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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155777
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】インターホン装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20221006BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H04N7/18 H
H04M9/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059173
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】前田 陵二
(72)【発明者】
【氏名】楠 浩和
【テーマコード(参考)】
5C054
5K038
【Fターム(参考)】
5C054CD06
5C054CE14
5C054FA07
5C054FC12
5C054FE01
5C054FE11
5C054FE21
5C054HA22
5K038AA06
5K038CC12
5K038DD15
5K038DD18
(57)【要約】
【課題】玄関子機の操作性を向上可能なインターホン装置を提供する。
【解決手段】インターホン装置は、来訪者Wが居住者を呼び出して通話するための集合玄関機と、集合玄関機からの呼び出しに居住者が応答するための居室親機と、を備える。集合玄関機は、空中画像Gを来訪者Wに向けて表示するための空中タッチディスプレイであって、空中画像Gを生成するための光を出射する表示装置と、光を反射及び透過して空中画像Gを所定の空間に結像する光学部材と、空中画像Gに対する来訪者Wの操作入力を検知する検知部と、を有する空中タッチディスプレイと、空中タッチディスプレイを制御する制御部と、を備える。制御部は、空中画像Gに含まれる呼出操作受付部C2の表示態様を変更する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者が居住者を呼び出して通話するための玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに前記居住者が応答するための居室親機と、を備えたインターホン装置であって、
前記玄関子機は、
空中画像を前記来訪者に向けて表示するための空中タッチディスプレイであって、前記空中画像を生成するための光を出射する光源と、前記光を反射及び透過して前記空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、前記空中画像に対する前記来訪者の操作入力を検知する検知部と、を有する空中タッチディスプレイと、
前記空中タッチディスプレイを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記空中画像に含まれる呼出操作受付部の表示態様を変更する、インターホン装置。
【請求項2】
前記所定の空間に配置され、前記来訪者の属性を検出可能なセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記センサによって検出された前記属性に基づいて、前記表示態様を変更する、請求項1に記載のインターホン装置。
【請求項3】
前記属性は、前記来訪者の身長及び年齢の少なくとも一方であり、
前記制御部は、
前記身長又は前記年齢が所定のしきい値以上の場合には、前記呼出操作受付部を第一表示モードで表示し、
前記身長又は前記年齢が前記所定のしきい値よりも低い場合には、前記呼出操作受付部を前記第一表示モードよりも簡易な表示態様である第二表示モードで表示する、請求項2に記載のインターホン装置。
【請求項4】
前記第二表示モードは、前記第一表示モードよりも、前記呼出操作受付部に含まれる呼出ボタンの数を少なくするモード、及び前記呼出ボタンのサイズを大きくするモードの少なくとも一方を含む、請求項3に記載のインターホン装置。
【請求項5】
前記属性は、前記来訪者が、前記玄関子機が設置された建物に関連付けられた人物であるかどうかを含み、
前記制御部は、
前記来訪者が前記建物に関連付けられた人物である場合には、前記呼出操作受付部を前記第一表示モードとは異なる第三表示モードで表示し、
前記来訪者が前記建物に関連付けられた人物ではない場合には、前記呼出操作受付部を前記第一表示モードで表示する、請求項3または4に記載のインターホン装置。
【請求項6】
前記第一表示モードは、テンキーを少なくとも含む表示モードであり、
前記第三表示モードは、前記来訪者が関連する前記建物内の部屋番号の表示を少なくとも含む表示モードである、請求項5に記載のインターホン装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記属性に応じて、前記呼出操作受付部の言語表記を変更する、請求項2から6のいずれか一項に記載のインターホン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、居住者を呼出して通話する機能を備えた玄関子機と、玄関子機からの呼出に応答する機能を備えた居室親機とを有するインターホン装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-267253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の従来のインターホン装置では、玄関子機として据え置き型のハード機器が用いられており、例えば、来訪者が子供などである場合、玄関子機の操作がしにくい場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、玄関子機の操作性を向上可能なインターホン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のインターホン装置は、
来訪者が居住者を呼び出して通話するための玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに前記居住者が応答するための居室親機と、を備えたインターホン装置であって、
前記玄関子機は、
空中画像を前記来訪者に向けて表示するための空中タッチディスプレイであって、前記空中画像を生成するための光を出射する光源と、前記光を反射及び透過して前記空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、前記空中画像に対する前記来訪者の操作入力を検知する検知部と、を有する空中タッチディスプレイと、
前記空中タッチディスプレイを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記空中画像に含まれる呼出操作受付部の表示態様を変更する。
【0007】
上記構成によれば、玄関子機として用いられる空中タッチディスプレイにおいて、空中画像に表示される呼出操作受付部の表示態様を変更できるため、玄関子機の操作性が大きく向上する。
【0008】
また、本発明のインターホン装置は、
前記所定の空間に配置され、前記来訪者の属性を検出可能なセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記センサによって検出された前記属性に基づいて、前記表示態様を変更してもよい。
【0009】
上記構成によれば、来訪者の属性として、例えば、来訪者の身長や年齢に応じて空中画像内の呼出操作受付部の表示態様を変更することで、様々な来訪者に対して操作性に優れた新規な玄関子機を提供できる。
【0010】
また、本発明のインターホン装置において、
前記属性は、前記来訪者の身長及び年齢の少なくとも一方であり、
前記制御部は、
前記身長又は前記年齢が所定のしきい値以上の場合には、前記呼出操作受付部を第一表示モードで表示し、
前記身長又は前記年齢が前記所定のしきい値よりも低い場合には、前記呼出操作受付部を前記第一表示モードよりも簡易な表示態様である第二表示モードで表示してもよい。
【0011】
上記構成によれば、例えば来訪者が子供である場合に簡易表示モードである第二表示モードで呼出操作受付部を表示することで、子供にも操作しやすい空中タッチディスプレイを提供できる。
【0012】
また、本発明のインターホン装置において、
前記第二表示モードは、前記第一表示モードよりも、前記呼出操作受付部に含まれる呼出ボタンの数を少なくするモード、及び前記呼出ボタンのサイズを大きくするモードの少なくとも一方を含んでもよい。
【0013】
上記構成によれば、子供でも空中タッチディスプレイを容易に操作可能となる。
【0014】
また、本発明のインターホン装置において、
前記属性は、前記来訪者が、前記玄関子機が設置された建物に関連付けられた人物であるかどうかを含み、
前記制御部は、
前記来訪者が前記建物に関連付けられた人物である場合には、前記呼出操作受付部を前記第一表示モードとは異なる第三表示モードで表示し、
前記来訪者が前記建物に関連付けられた人物ではない場合には、前記呼出操作受付部を前記第一表示モードで表示してもよい。
【0015】
上記構成によれば、来訪者が例えば居住者である場合と居住者ではない場合とで異なる表示モードを採用することで、操作性を向上させつつセキュリティを担保できる。
【0016】
また、本発明のインターホン装置において、
前記第一表示モードは、テンキーを少なくとも含む表示モードであり、
前記第三表示モードは、前記来訪者が関連する前記建物内の部屋番号の表示を少なくとも含む表示モードであってもよい。
【0017】
上記構成によれば、来訪者が居住者等である場合には関連する部屋番号を直接呼び出せるような呼出ボタンを空中画像内に表示することで、操作性を大きく向上できる。
【0018】
また、本発明のインターホン装置において、
前記制御部は、前記属性に応じて、前記呼出操作受付部の言語表記を変更してもよい。
【0019】
上記構成によれば、例えば来訪者が外国人である可能性が高い場合には、呼出操作受付部を日本語ではなく英語で表示することで、空中タッチディスプレイの操作性を向上できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、玄関子機の操作性を向上可能なインターホン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るインターホン装置の構成図である。
図2】空中タッチディスプレイを備える集合玄関機の模式図である。
図3】第一実施形態のインターホン装置における空中タッチディスプレイの一例を示す図である。
図4図3に示す空中タッチディスプレイの変形例を示す図である。
図5】第二実施形態及び第三実施形態のインターホン装置が搭載されるインターホンシステムの模式図である。
図6】第二実施形態におけるインターホン装置の制御システムの動作例を示すフローチャートである。
図7】第四実施形態のインターホン装置の空中タッチディスプレイによって表示される空中画像の一例を示す図である。
図8図7に示す空中画像の別の一例を示す図である。
図9図7に示す空中画像の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るインターホン装置及び当該インターホン装置を搭載する制御システムについて図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明に係るインターホン装置1を示す構成図である。図1に示すように、インターホン装置1は、例えば、一棟の建物内に複数の住戸が区画されるマンション等の集合住宅Mに用いられる。インターホン装置1は、集合玄関機10(10A~10C:玄関子機の一例)と、管理室親機20と、居室親機30と、制御装置40と、を備える。集合玄関機10、管理室親機20、居室親機30、及び制御装置40は、汎用プロトコルに従って通信が行われるネットワーク(本例では、LAN:Local Area Network)を介して互いに接続されている。
【0024】
集合玄関機10A~10C(以下、総称する場合は集合玄関機10という)は、集合住宅Mの建物エントランスや共用スペース等に設置されている。集合玄関機10は、例えば、集合住宅M内の居室親機30や管理室親機20を呼び出すことができるように構成されている。また、集合玄関機10は、例えば、来訪者の映像を撮像することができるように構成されている。
【0025】
集合玄関機10としては、例えば、集合玄関機10Aや10Cに示すように、据え置き型の操作受付部(ハード機器)を備える接触タイプの集合玄関機や、集合玄関機10Bに示すように、空中表示型のタッチディスプレイを備える非接触タイプの集合玄関機などがある。例えば、接触タイプの集合玄関機10Aは、部屋番号等を入力する操作部11、居住者等と会話する通話部12、来訪者を撮影するカメラ13、各種情報を表示する表示部14などを備える。非接触タイプの集合玄関機10Bは、来訪者を撮像するカメラ120、空中に画像(以下、空中画像という)を表示する空中タッチディスプレイ100などを備える。
【0026】
集合玄関機10A~10Cには、それぞれの集合玄関機を特定する固有情報(例えば、集合玄関機ID:identification等)が記憶されている。集合玄関機10は、インターホン回線(専用線)L1を介して制御装置40に接続されている。集合玄関機10は、制御装置40を経由して、居室親機30や管理室親機20などと通信可能である。なお、本例では、3台の集合玄関機(集合玄関機10A~10C)が制御装置40に接続されているが、接続される台数はこの台数に限定されない。
【0027】
管理室親機20は、集合住宅の管理室に設置されている。管理室親機20は、操作部21、通話部22、表示部23などを備える。管理室親機20には、その管理室親機を特定する固有情報(例えば、管理室親機ID等)が記憶されている。管理室親機20は、インターホン回線L2を介して制御装置40に接続されている。管理室親機20は、制御装置40を経由して、居室親機30や集合玄関機10などと通信可能である。
【0028】
居室親機30は、集合住宅の各住居内に設置されている。居室親機30は、表示部31、操作部32、通話部33などを備える。居室親機30には、それぞれ居室親機を特定する固有情報(例えば、居室親機ID等)が記憶されている。居室親機30は、インターホン回線L3を介して制御装置40に接続されている。居室親機30は、制御装置40を経由して、集合玄関機10や管理室親機20などと通信可能である。
【0029】
制御装置40は、インターホン回線を介して接続される集合玄関機10、管理室親機20、及び居室親機30との間の通信等を制御する。制御装置40には、その制御装置を特定する固有情報(例えば、制御機ID等)が記憶されている。
【0030】
図2は、空中タッチディスプレイ100を備える集合玄関機10Bの模式図である。図2に示すように、集合玄関機10Bは、来訪者Wに向けて空中画像Gを表示可能な空中タッチディスプレイ100と、当該空中タッチディスプレイ100の動作を制御する制御部110と、を備える。
【0031】
空中タッチディスプレイ100は、表示装置101と、光学部材102と、検知部103と、を備える。
【0032】
表示装置101は、空中画像Gを生成するための光Pを出射する装置である。表示装置101は、例えば、光源(LED(Light Emitting Diode)など)、レンズユニット、液晶ディスプレイ等で構成されている。表示装置101は、制御部110に通信可能に接続されている。空中画像Gは、例えば、矩形状(図7参照)に形成されている。
【0033】
光学部材102は、表示装置101から出射された光Pを反射及び透過し、来訪者Wに向けて表示する空中画像Gを所定の空間に結像する部材である。表示装置101から出射された光は、光学部材102で反射及び透過して光学部材102と面対称の位置で集光する。集光した光は、再度発散して、空中タッチディスプレイ100の上方空間において空中画像Gとして来訪者Wに観測される。
【0034】
検知部103は、空中画像Gに対する来訪者Wの操作入力を検知する。検知部103は、空間にある物体までの距離を測定することが可能な三次元距離センサで構成される。検知部103は、制御部110に通信可能に接続されている。
【0035】
制御部110は、空中タッチディスプレイ100の表示装置101及び検知部103を制御する。例えば、制御部110は、検知部103が取得する情報に基づいて来訪者Wの指先の空間的な位置や動きを判別する。また、制御部110は、来訪者Wからの空中画像Gへの操作入力に応じて、表示装置101から出射する光Pにより生成される空中画像Gの表示内容を変化させる。また、制御部110は、空中画像Gを操作する来訪者Wに応じて、表示装置101から出射する光Pにより生成される空中画像Gの表示位置、表示角度、及び表示態様などを変更させる。
【0036】
(第一実施形態)
図3は、第一実施形態のインターホン装置1における集合玄関機10Bの空中タッチディスプレイ100を示す図である。図3に示すように、集合玄関機10Bは、空中タッチディスプレイ100の前側に居る来訪者Wの画像を撮像するためのカメラ120(センサの一例)を備える。カメラ120は、来訪者Wの顔画像を撮像することが可能な位置に配置されている。例えば、カメラ120は、空中タッチディスプレイ100の後側における上方の空間に設置されている。
【0037】
第一実施形態のインターホン装置1は、例えば、以下のように動作する。
【0038】
カメラ120は、来訪者Wの画像を撮像し、撮像した来訪者Wの顔画像から来訪者Wの目線の高さを検出する。カメラ120は、検出した来訪者Wの目線情報を制御部110へ送信する。
【0039】
制御部110は、受信した来訪者Wの目線情報に基づいて、来訪者Wに対して表示する空中画像Gの表示位置を決定する。制御部110は、来訪者Wの目線の高さを所定のしきい値と比較して、その比較結果に基づいて空中画像Gの表示位置を決定する。制御部110は、来訪者Wの目線の高さが所定のしきい値以上の場合には、目線の高さが所定のしきい値未満の場合よりも、空中画像Gの表示位置を高くする。
【0040】
例えば、来訪者W1である場合、制御部110は、来訪者W1の目線の高さH1を所定のしきい値と比較し、目線の高さH1が所定のしきい値以上であるときには、来訪者W1に対して表示する空中画像G1の表示位置を高さh1の位置に表示する。また、来訪者W2である場合、制御部110は、来訪者W2の目線の高さH2を所定のしきい値と比較し、目線の高さH2が所定のしきい値未満であるときには、来訪者W2に対して表示する空中画像G2の表示位置を高さh2の位置に表示する。なお、高さの基準位置は、光学部材102の位置とする。
【0041】
制御部110は、目線の高さH1が所定のしきい値以上である来訪者W1に対して表示する空中画像G1の表示位置の高さh1を、目線の高さH2が所定のしきい値未満である来訪者W2に対して表示する空中画像G2の表示位置の高さh2よりも高くする。
【0042】
制御部110は、空中タッチディスプレイ100の筐体100a内における表示装置101の位置及び角度を変化させることにより、空中画像Gが表示される表示位置を所定の表示位置に変更する。具体的には、制御部110は、光学部材102に対する表示装置101の対向位置及び対向角度を変化させることにより、空中画像Gの表示位置を変更する。例えば、空中画像G1よりも低い位置に空中画像G2を表示する場合には、筐体100a内における表示装置101の位置を、空中画像G1を表示する場合の表示装置101の位置よりも高くしてもよい。これにより、空中画像G2を表示する場合において、表示装置101から出射する光Pの光学部材102に対する入射角度を、空中画像G1を表示する場合における入射角度よりも鋭角にすることで、空中画像G1よりも低い位置に空中画像G2を表示することができる。
【0043】
以上説明したように、第一実施形態のインターホン装置1は、来訪者Wが居住者を呼び出して通話するための集合玄関機10B(玄関子機の一例)と、集合玄関機10Bからの呼び出しに居住者が応答するための居室親機30と、を備える。集合玄関機10Bは、空中画像Gを来訪者Wに向けて表示するための空中タッチディスプレイ100と、空中画像Gの表示位置を変更するための制御部110と、を備える。そして、空中タッチディスプレイ100は、空中画像Gを生成するための光を出射する表示装置101と、光を反射及び透過して空中画像Gを所定の空間に結像する光学部材102と、空中画像Gに対する来訪者Wの操作入力を検知する検知部103と、を有する。この構成によれば、集合玄関機10Bの操作受付部として用いられる空中画像Gの表示位置を変更することができるため、空中タッチディスプレイ100を備えた集合玄関機10Bの操作性が大きく向上する。
【0044】
また、インターホン装置1によれば、所定の空間に配置され、来訪者Wの目線の高さHを検出可能なカメラ120をさらに備える。そして、制御部110は、カメラ120によって検出された来訪者Wの目線の高さHに基づいて、空中画像Gの表示位置を変更する。具体的には、制御部110は、来訪者Wの目線の高さHが所定のしきい値以上の場合には、目線の高さHが所定のしきい値よりも低い場合よりも、空中画像Gの表示位置を高くする。このように、来訪者Wの目線の高さHに応じて空中画像Gの表示位置を変更することで、例えば、来訪者Wが通常よりも背の低い人物(例えば、子供など)である場合や通常よりも背の高い人物(例えば、外国人など)である場合にも、空中タッチディスプレイ100を備えた集合玄関機10Bの操作性を損なうことがない。そのため、いかなる来訪者Wに対しても良好な操作性を提供できる。
【0045】
なお、上記第一実施形態では、カメラ120を空中タッチディスプレイ100の後側における上方の空間に設置する例を示したが、これに限られない。例えば、カメラ120は、空中タッチディスプレイ100の筐体部に設置するようにしてもよい。また、据え置き型のハード機器を備える接触タイプの集合玄関機10Aが空中タッチディスプレイ100と併設されている場合には、集合玄関機10Aに設けられるカメラ13と共通のカメラを用いてもよい。
【0046】
(変形例)
図4は、図3に示す空中タッチディスプレイ100の変形例を示す図である。
変形例の空中タッチディスプレイ100Aを搭載するインターホン装置1の動作は、例えば、以下のようになる。
【0047】
カメラ120は、来訪者Wの画像を撮像し、撮像した来訪者Wの顔画像から来訪者Wの目線の高さを検出する。カメラ120は、検出した来訪者Wの目線情報を制御部110Aへ送信する。
【0048】
制御部110Aは、受信した来訪者Wの目線情報に基づいて、来訪者Wに対して表示する空中画像Gの表示角度を決定する。例えば、制御部110Aは、来訪者Wの目線の高さを所定のしきい値と比較して、その比較結果に基づいて空中画像Gの表示角度を決定する。
【0049】
制御部110Aは、来訪者Wの目線の高さが所定のしきい値よりも高い場合には、例えば、矩形状の空中画像G3の下辺bsが上辺tsよりも来訪者Wに対して近づく方向へ傾斜するように空中画像G3の表示角度を設定する。また、来訪者Wの目線の高さが所定のしきい値よりも高い場合には、制御部110Aは、空中画像G3の画像面が空中タッチディスプレイ100Aの前後方向に対して略垂直となるように空中画像G3の表示角度を設定してもよい。なお、空中タッチディスプレイ100Aに対して来訪者Wが対向する側を空中タッチディスプレイ100Aの前側とする。
【0050】
例えば、来訪者Wの目線の高さが高い場合(背が高い来訪者の場合)には、空中画像G3に示すように画像面の仰角が大きくなるように空中画像G3の表示角度を設定し、来訪者Wの目線の高さが低い場合(背が低い来訪者の場合)には、空中画像G4に示すように画像面の仰角が空中画像G3の場合よりも小さくなるように空中画像G4の表示角度を設定してもよい。
【0051】
また、制御部110Aは、来訪者Wの目線の高さが所定のしきい値以下である場合には、例えば、空中画像G5として図4に示すように、矩形状の空中画像G5の上辺tsが下辺bsよりも来訪者Wに対して近づく方向へ傾斜するように空中画像G5の表示角度を設定してもよい。
【0052】
制御部110Aは、空中タッチディスプレイ100の筐体100Aa内における表示装置101の位置及び角度を変化させることにより、空中画像Gが表示される表示角度を所定の表示角度に変更する。具体的には、制御部110Aは、光学部材102に対する表示装置101の対向位置及び対向角度を変化させることにより、空中画像Gの表示角度を変更する。例えば、空中画像G4を表示する場合には、筐体100a内における表示装置101の位置を、空中画像G3を表示する場合の表示装置101の位置よりも高くするとともに、表示装置101の角度を変更してもよい。これにより、空中画像G4を表示する場合において、表示装置101から出射する光Pの光学部材102に対する入射角度を、空中画像G3を表示する場合における入射角度よりも鋭角にすることで、空中画像G3よりも低い位置であって、且つ、画像面の仰角が空中画像G3の場合よりも小さくなるように、空中画像G4を表示することができる。
【0053】
以上説明したように、変形例の空中タッチディスプレイ100Aを搭載するインターホン装置1によれば、集合玄関機10Bは、空中画像Gを来訪者Wに向けて表示するための空中タッチディスプレイ100Aと、空中画像Gの表示角度を変更するための制御部110Aと、を備える。このため、集合玄関機10Bの操作受付部として用いられる空中画像Gの表示角度を変更できるため、空中タッチディスプレイ100Aを備えた集合玄関機10Bの操作性が大きく向上する。
【0054】
また、変形例の空中タッチディスプレイ100Aを搭載するインターホン装置1によれば、カメラ120によって検出された来訪者Wの目線の高さHに応じて、空中画像Gの表示角度を変更できる。具体的には、来訪者Wの目線の高さが所定のしきい値以下である場合には、矩形状の空中画像Gの上辺tsが下辺bsよりも来訪者Wに対して近づく方向に傾斜するように表示角度を変更できる。そのため、例えば、来訪者Wが通常よりも背の低い人物(例えば、子供など)である場合にも、集合玄関機10Bの操作性を損なうことがない。
【0055】
また、変形例の空中タッチディスプレイ100Aを搭載するインターホン装置1によれば、来訪者Wの目線の高さが所定のしきい値よりも高い場合には、空中画像Gが垂直となるように、又は下辺bsが上辺tsよりも来訪者Wに対して近づく方向に傾斜するように表示角度を変更する。これにより、通常の背丈または通常よりも背の高い人物が空中タッチディスプレイ100Aを操作する場合には、据え置き型のハード機器としての従来の集合玄関機10Aの操作部と同様の角度で空中画像Gを表示するため、違和感なく空中タッチディスプレイ100Aを操作することができる。
【0056】
(第二実施形態)
図5は、第二実施形態のインターホン装置1を制御する制御システムS11の模式図である。制御システムS11は、インターホン装置1が搭載されるインターホンシステムに用いられる。図5に示すように、制御システムS11は、集合玄関機10A(ハード機器の一例)と、集合玄関機10Bと、カメラ120と、居室親機30(図1参照)と、制御装置40(図1参照)と、を備える。
【0057】
集合玄関機10Aは、図1で説明したように、操作受付部としての操作部11を有する。なお、集合玄関機10Aの表示部14がタッチディスプレイとして構成されている場合には、表示部14が操作受付部として機能する。また、集合玄関機10Aは、集合玄関機10Aの動作を制御する制御部15を有する。
【0058】
集合玄関機10Bは、図2で説明したように、空中タッチディスプレイ100と、制御部110とを有する。空中タッチディスプレイ100は、表示装置101と、光学部材102と、検知部103とを備え、来訪者W(ユーザの一例)に向けて空中画像Gを表示する。制御部110は、空中タッチディスプレイ100の動作を制御する。また、制御部110は、インターホン回線L1を介して、集合玄関機10Aの制御部15と通信可能に接続されている。
【0059】
カメラ120は、来訪者Wを検知するとともに、検知した来訪者Wの画像を撮像可能なカメラである。本形態では、集合玄関機10Aと集合玄関機10Bとが併設されているため、両集合玄関機の共用のカメラとして、単一のカメラ120が設けられている。カメラ120は、集合玄関機10A及び集合玄関機10Bに通信可能に接続されている。なお、集合玄関機10Aと集合玄関機10Bとが併設されている場合には、例えば、集合玄関機10Aに設けられているカメラ13を、両集合玄関機の共用のカメラとして用いてもよい。
【0060】
居室親機30(呼出機器の一例)は、図1で説明したように、集合玄関機10A又は集合玄関機10Bからの呼び出し操作に基づいて呼出可能な機器である。
【0061】
制御装置40は、図1で説明したように、集合玄関機10及び居室親機30に接続されており、集合玄関機10と居室親機30との間の通信等を制御する。制御装置40は、集合玄関機10A及び集合玄関機10Bへの呼出操作の入力があったとき、集合玄関機10Aの制御部15及び集合玄関機10Bの制御部110から受信する呼出信号に基づいて、居室親機30を呼び出す呼出処理を実行する。
【0062】
このような構成を有する制御システムS11の動作例について、図6を参照して説明する。
先ず、制御システムS11は、カメラ120によって、来訪者Wを検知する(ステップS1)。カメラ120は、検知した来訪者Wの画像を撮像開始する(ステップS2)。また、カメラ120は、来訪者Wを検知した旨を報知する検知信号を集合玄関機10A及び集合玄関機10Bへ送信する。
【0063】
次に、集合玄関機10Aの制御部15は、受信した検知信号に基づいて、待機状態から駆動状態へと移行し、表示部14に所定の画像を表示するとともに、操作部11を操作可能な受付状態にする(ステップS3)。集合玄関機10Bの制御部110は、受信した検知信号に基づいて、待機状態から駆動状態へと移行し、空中画像Gの表示を開始する(ステップS4)。これにより、集合玄関機10A及び集合玄関機10Bは、来訪者Wからの操作入力を待つ入力待ち状態になる。
【0064】
次に、例えば、集合玄関機10Aの操作部11に対して来訪者Wの第一操作入力があり、さらには、集合玄関機10Bの空中画像Gに対しても来訪者Wの第二操作入力があったとする。この場合、集合玄関機10Aの制御部15は、第一操作入力を受け付ける(ステップS5)。集合玄関機10Bの制御部110は、第二操作入力を受け付ける(ステップS6)。制御部15及び制御部110は、受け付けた受付情報を互いに送受信して、第一操作入力及び第二操作入力のうち、後に受け付けた方の操作入力を判別する。具体的には、制御部15及び制御部110は、第一操作入力を第二操作入力よりも後に受け付けたか否かを判定する(ステップS7)。
【0065】
第一操作入力を第二操作入力よりも後に受け付けたと判定された場合(ステップS7のYes)、制御部15及び制御部110は、最初に受け付けた第二操作入力に基づく処理をキャンセルして、後に受け付けた第一操作入力に基づく処理を実行する(ステップS8)。一方、第一操作入力を第二操作入力よりも後に受け付けていないと判定された場合(ステップS7のNo)、制御部15及び制御部110は、最初に受け付けた第一操作入力に基づく処理をキャンセルして、後に受け付けた第二操作入力に基づく処理を実行する(ステップS9)。
【0066】
例えば、来訪者Wが最初に集合玄関機10Bの空中画像Gに対して第二操作入力を行っていたが、その操作途中で操作方法が分かりにくくなったため、その第二操作入力を止めて、集合玄関機10Aの操作部11に対する第一操作入力を行ったとする。この場合には、制御部15及び制御部110は、最初に行った集合玄関機10Bに対する第二操作入力に基づく処理をキャンセルして、後に行った集合玄関機10Aに対する第一操作入力に基づく処理を実行する。
【0067】
例えば、来訪者Wが最初に集合玄関機10Aの操作部11に対して第一操作入力を開始したが、その操作途中で操作部11への接触操作を止めて、集合玄関機10Bの空中画像Gに対する第二操作入力を行ったとする。この場合には、制御部15及び制御部110は、最初に行った集合玄関機10Aに対する第一操作入力に基づく処理をキャンセルして、後に行った集合玄関機10Bに対する第二操作入力に基づく処理を実行する。
【0068】
また、制御システムS11は、例えば、以下のように動作してもよい。
先ず、上記動作例と同様に、集合玄関機10Aは、カメラ120から受信した検知信号に基づいて、表示部14に所定の画像を表示するとともに、操作部11を操作可能な受付状態にする。集合玄関機10Bは、カメラ120から受信した検知信号に基づいて、空中画像Gの表示を開始する。
【0069】
次に、例えば、集合玄関機10Aの操作部11に対する来訪者Wの第一操作入力及び集合玄関機10Bの空中画像Gに対する来訪者Wの第二操作入力の一方の操作入力を受け付けて、その操作入力に対応する居室親機30の呼出処理が開始されたとする。そして、その呼出処理が開始された後に、集合玄関機10Aの操作部11に対する来訪者Wの第一操作入力及び集合玄関機10Bの空中画像Gに対する来訪者Wの第二操作入力の他方の操作入力を受けたとする。この場合、集合玄関機10Aの制御部15と集合玄関機10Bの制御部110は、それぞれが受け付けた操作入力の受付情報を送受信して、第一操作入力及び第二操作入力のうち、最初に受け付けた方の操作入力を判別するとともに、最初の操作入力に対応する居室親機30の呼出処理が開始されていることを確認する。制御部15及び制御部110は、判別結果及び確認結果に基づいて、他方の操作入力(後の操作入力)の受け付けを止めて、一方の操作入力(最初の操作入力)に基づく処理(呼出処理以降の処理)を実行する。
【0070】
例えば、来訪者Wが最初に集合玄関機10Bの空中画像Gに対して第二操作入力を行い、その第二操作入力に対応する居室親機30の呼出処理が開始された。ところが、呼出処理が開始された後に、来訪者Wは、その操作が間違っていたのではないかと心配になり、集合玄関機10Aの操作部11に対する第一操作入力を開始したとする。この場合には、制御部15及び制御部110は、後に開始した集合玄関機10Aに対する第一操作入力を受け付けずに、最初に行った集合玄関機10Bに対する第二操作入力に基づく呼出処理をそのまま継続して実行する。
【0071】
この処理は、集合玄関機10Bの空中画像Gに対する第二操作入力と集合玄関機10Aの操作部11に対する第一操作入力の順番が逆の場合も同様であり、最初に行った集合玄関機の操作入力に基づく呼出処理が開始された場合には、その後の集合玄関機に対する操作入力は受け付けない。
【0072】
以上説明したように、第二実施形態のインターホン装置1を制御する制御システムS11は、操作部11を有する集合玄関機10A(ハード機器)と、空中画像Gを表示するための表示装置101と光学部材102と検知部103とを有する空中タッチディスプレイ100(集合玄関機10B)と、集合玄関機10Aを制御する制御部15及び空中タッチディスプレイ100を制御する制御部110と、を備える。そして、制御部15,110は、操作部11に対する来訪者Wの第一操作入力及び空中画像Gに対する来訪者Wの第二操作入力の両方を受け付けた場合には、第一操作入力及び第二操作入力のうち、最初に受け付けた方の操作入力に基づく処理をキャンセルして、後に受け付けた方の操作入力に基づく処理を実行する。この構成によれば、ハード機器である接触タイプの集合玄関機10Aに対する操作入力と、空中画像にタッチする非接触タイプの集合玄関機10Bに対する操作入力とが混在した場合でも、後の操作入力を優先させることで、ハード機器と空中画像とが併存するインターホン装置1の制御品質を向上可能である。
【0073】
また、第二実施形態のインターホン装置1を制御する制御システムS11は、来訪者Wを検知するカメラ120をさらに備える。そして、制御部110は、カメラ120により来訪者Wが検知された場合に、空中画像Gの表示を開始する。この構成によれば、空中画像Gは、来訪者Wが存在する場合のみに表示されるため、制御システムS11への負荷を低減することができるとともに、空中タッチディスプレイ100の電力消費量を削減できる。
【0074】
また、第二実施形態のインターホン装置1を制御する制御システムS11は、集合玄関機10Aの操作部11への第一操作入力又は集合玄関機10Bの空中画像Gへの第二操作入力を受け付けることで呼出可能な居室親機30をさらに備える。そして、制御部15,110は、第一操作入力及び第二操作入力の一方を受け付けることで居室親機30の呼出処理を開始した後に、第一操作入力及び第二操作入力の他方を受け付けた場合には、他方の操作入力を受け付けることなく一方の操作入力に基づく処理を実行する。一方の操作入力による居室親機30の呼出処理が開始された後で他方の操作入力がなされた場合に当該他方の操作入力を優先すると、呼出先が混乱して適切な制御ができなくなるおそれがある。これに対して、上記構成によれば、一方の操作入力による呼出処理が開始された後は、他方の操作入力を受け付けることなくキャンセルして、一方の操作入力に基づく処理を継続するので、呼出先の混乱が生じず制御品質を維持することができる。
【0075】
なお、上記第二実施形態では、制御システムS11がインターホンシステムに用いられる場合について説明したが、これに限られない。例えば、制御システムS11は、ナースコールシステムに用いられてもよい。この場合、ナースステーションに設置される従来のナースコール親機が接触タイプのハード機器に相当する。そして、空中画像Gを医療従事者に向けて表示する空中タッチディスプレイは、ナースステーションで従来のナースコール親機に併設される。また、患者が看護師を呼び出すための、あるいはナースコール親機からの呼び出しを受信するためのナースコール子機が呼出機器に相当する。
【0076】
(第三実施形態)
次に、図5を再び参照して、第三実施形態のインターホン装置1が搭載されるインターホンシステムS12について説明する。図5に示すように、インターホンシステムS12におけるインターホン装置1は、据え置き型のハード機器を備える接触タイプの集合玄関機10Aと、空中画像Gにタッチする非接触タイプの集合玄関機10Bと、カメラ120と、居室親機30(図1参照)と、を備える。
【0077】
集合玄関機10Aは、上記第二実施形態で説明した構成と同様に、操作部11と、表示部14と、制御部15と、を有する。
【0078】
集合玄関機10Bは、上記第二実施形態で説明した構成である空中タッチディスプレイ100及び制御部110の他に、第一センサ210と、第二センサ220と、を有する。第一センサ210及び第二センサ220は、制御部110に通信可能に接続されている。空中タッチディスプレイ100は、表示装置101と、光学部材102と、検知部103とを備え、来訪者Wに向けて空中画像Gを表示する。制御部110は、空中タッチディスプレイ100の動作を制御する。
【0079】
第一センサ210は、集合住宅Mの第一出入口K1の開閉動作を検出する。第一センサ210は、第一出入口K1の開閉動作を検出することにより、来訪者Wが第一出入口K1を通過したことを検知する。第二センサ220は、集合住宅Mの第二出入口K2の開閉動作を検出する。第二センサ220は、第二出入口K2の開閉動作を検出することにより、来訪者Wが第二出入口K2を通過したことを検知する。第一出入口K1及び第二出入口K2は、来訪者Wの存否を検知して開閉する自動ドアである。
【0080】
集合玄関機10A及び集合玄関機10Bは、集合住宅Mの第一出入口K1と第二出入口K2との間に設けられた建物エントランスE2に設置されている。第一センサ210は、建物エントランスE2と外部E1との間に設置される第一出入口K1の近傍に配置されている。第二センサ220は、建物エントランスE2と居住エリアE3との間に設置される第二出入口K2の近傍に配置されている。
【0081】
カメラ120は、上記第二実施形態で説明したように、来訪者Wを検知するとともに、検知した来訪者Wの画像を撮像する。居室親機30は、上記第二実施形態で説明したように、集合玄関機10A又は集合玄関機10Bからの呼び出し操作に基づいて呼出可能な機器である。
【0082】
インターホンシステムS12におけるインターホン装置1は、例えば、以下のように動作する。
集合住宅Mを訪れた来訪者Wが第一出入口K1を通過すると、第一センサ210は第一出入口K1の開閉動作を検知し、検知した旨を示す検知信号を制御部110に送信する。
【0083】
制御部110は、第一センサ210から受信した検知信号に基づいて、来訪者Wに向けての空中画像Gの表示を開始する。
【0084】
次に、来訪者Wが、例えば、表示された空中画像Gに対して所定の操作入力を行うと、第二出入口K2が開放される。そして、来訪者Wが第二出入口K2を通過すると、第二センサ220は、第二出入口K2の開閉動作を検知し、検知した旨を示す検知信号を制御部110に送信する。
【0085】
制御部110は、第二センサ220から受信した検知信号に基づいて、空中画像Gの表示を停止する。
【0086】
以上説明したように、第三実施形態のインターホン装置1は、来訪者Wが居住者を呼び出して通話するための集合玄関機10Bと、集合玄関機10Bからの呼び出しに居住者が応答するための居室親機30と、を備える。集合玄関機10Bは、空中画像Gを来訪者Wに向けて表示するための空中タッチディスプレイ100であって、空中画像Gを生成するための光を出射する表示装置101と、光を反射及び透過して空中画像Gを所定の空間に結像する光学部材102と、空中画像Gに対する来訪者Wの操作入力を検知する検知部103と、を有する空中タッチディスプレイ100と、空中タッチディスプレイ100を制御する制御部110と、来訪者Wを検知する第一センサ210と、を備える。そして、制御部110は、第一センサ210により来訪者Wが検知された場合に、空中画像Gの表示を開始する。この構成によれば、集合玄関機10Bとして空中タッチディスプレイ100を用いることで操作性を向上可能である。また、空中画像Gは、来訪者Wが存在する場合のみに表示されるため、空中タッチディスプレイ100の電力消費量を削減することができる。
【0087】
また、第三実施形態のインターホン装置1によれば、第一センサ210は、集合玄関機10Bが設置された建物エントランスE2と外部E1との間に設置される第一出入口K1の近傍に配置され、制御部110は、第一センサ210によって第一出入口K1の開閉が検出されたことに基づいて、空中画像Gの表示を開始する。このため、来訪者Wの到着による空中画像Gの表示開始のタイミングを容易な構成で制御することができる。
【0088】
また、第三実施形態のインターホン装置1は、建物エントランスE2と居住エリアE3との間に設置される第二出入口K2の近傍に配置される第二センサ220をさらに備える。そして、制御部110は、第二センサ220によって第二出入口K2の開閉が検出されたことに基づいて、空中画像Gの表示を停止する。この構成によれば、来訪者Wが空中タッチディスプレイ100の空中画像Gへの操作を終えたことに基づいて、空中画像Gの表示が停止されるので、空中タッチディスプレイ100の電力消費量の削減効果をさらに高めることができる。
【0089】
(第四実施形態)
図7から図9を参照して、第四実施形態のインターホン装置1における集合玄関機10Bの空中タッチディスプレイ100が表示する空中画像例について説明する。
【0090】
集合玄関機10Bは、空中タッチディスプレイ100の前側に居る来訪者Wの画像を撮像するためのカメラ120を備える。カメラ120は、撮像した来訪者Wの顔画像に基づいて、来訪者Wの属性を検出することが可能なカメラである。来訪者Wの属性には、例えば、来訪者Wの身長や年齢、あるいは来訪者Wが集合住宅Mに関連付けられた人物であるかどうかなどが含まれる。集合住宅Mに関連付けられた人物であることは、予め顔画像を撮像して、集合玄関機10Bに登録しておく。関連付けられる人物には、例えば、集合住宅Mの居住者、その居住者の親類、友人等が含まれてよい。カメラ120は、上記第一実施形態で説明したように、例えば、空中タッチディスプレイ100の後側における上方の空間に設置されている。
【0091】
図7は、空中タッチディスプレイ100によって表示される空中画像Gの第一表示モードを示す。図7に示すように、第一表示モードの空中画像Gには、来訪者画像表示部C1と、呼出操作受付部C2と、が設けられている。来訪者画像表示部C1には、カメラ120によって撮像された来訪者Wの顔画像が表示される。呼出操作受付部C2には、呼び出す部屋番号を入力するためのテンキー41と、部屋番号を入力した後に押す呼出ボタン42と、入力した番号を取り消すことが可能な取消ボタン43などが表示される。
【0092】
図8は、空中タッチディスプレイ100によって表示される空中画像Gの第二表示モードを示す。図8に示すように、第二表示モードの空中画像Gは、全領域が呼出操作受付部Dで構成されている。呼出操作受付部Dには、空中画像Gの操作内容が表示される操作メッセージ部D1と、呼び出す部屋番号を入力するためのテンキー51が表示される第一操作部D2と、部屋番号を入力した後に押す呼出ボタン52が表示される第二操作部D3と、が設けられている。第二表示モードは、図7の呼出操作受付部C2に示す第一表示モードよりも簡易な表示態様のモードである。第二表示モードは、例えば、第一表示モードよりも呼出操作受付部Dに含まれる操作ボタンの数が少なく、操作ボタンのサイズが大きいモードである。また、第二表示モードは、表示文字が平仮名のみで構成されるモードである。
【0093】
図9は、空中タッチディスプレイ100によって表示される空中画像Gの第三表示モードを示す。図9に示すように、第三表示モードの空中画像Gには、来訪者画像表示部F1と、呼出操作受付部F2と、が設けられている。来訪者画像表示部F1には、カメラ120によって撮像された来訪者Wの顔画像が表示される。呼出操作受付部F2には、空中画像Gの操作内容を示す操作メッセージ61と、空中タッチディスプレイ100側で選択した集合住宅M内の訪問先を示す部屋番号62と、選択された部屋番号を呼び出すための呼出ボタン63などが表示される。第三表示モードは、来訪者Wが集合住宅Mに関連付けられた人物であると判定されたときに表示されるモードである。第三表示モードでは、関連付けられている来訪者Wの呼出入力の操作性を高めるために、例えば、部屋番号の入力操作工程を省略するように構成されている。
【0094】
第四実施形態のインターホン装置1における空中タッチディスプレイ100は、例えば、以下のように動作する。
カメラ120は、来訪者Wの画像を撮像し、撮像した来訪者Wの顔画像から来訪者Wの身長及び年齢を検出する。カメラ120は、検出した来訪者Wの身長及び年齢などの属性情報を制御部110へ送信する。
【0095】
制御部110は、カメラ120から受信した来訪者Wの属性情報に基づいて、来訪者Wの身長又は年齢が所定のしきい値以上であるか否か判定する。制御部110は、来訪者Wの身長又は年齢が所定のしきい値以上であると判定した場合には、図7に示すように、空中画像Gの呼出操作受付部C2にテンキー41と、呼出ボタン42と、取消ボタン43などが表示される第一表示モードを表示する。
【0096】
一方、制御部110は、来訪者Wの身長又は年齢が所定のしきい値よりも低いと判定した場合には、図8に示すように、空中画像Gの呼出操作受付部Dに操作メッセージ部D1と、第一操作部D2と、第二操作部D3が設けられる第二表示モードを表示する。制御部110は、操作メッセージ部D1に、例えば、「へやばんごうを、いれてから「よびだし」をおしてください」というように、操作する内容を平仮名で表示する。そして、第一操作部D2と第二操作部D3には操作内容を実行することができる最小限のボタンを表示する。
【0097】
また、第四実施形態のインターホン装置1における空中タッチディスプレイ100は、例えば、以下のように動作してもよい。
カメラ120は、来訪者Wの画像を撮像し、撮像した来訪者Wの顔画像から来訪者Wが集合住宅Mに関連付けられた人物であるかどうか検出する。カメラ120は、検出した属性情報を制御部110へ送信する。
【0098】
制御部110は、カメラ120から受信した来訪者Wの属性情報に基づいて、来訪者Wを集合住宅Mに関連付けられた人物であると認識した場合には、図9に示すように、空中画像Gの呼出操作受付部F2に操作メッセージ61と、部屋番号62と、呼出ボタン63などが表示される第三表示モードを表示する。制御部110は、関連付けられた来訪者Wであると検知した場合、その来訪者Wに関連する部屋番号、例えば「103」を来訪者Wの入力操作なしで表示し、操作メッセージ61として、例えば、「表示された部屋番号でよろしければ、「呼出」(呼出ボタン63)を押してください」と表示する。この場合、呼出ボタン63が押されると、例えば、来訪者Wが集合住宅Mの居住者であるときには集合玄関のドアが解錠され、来訪者Wが友人であるときには部屋番号「103」への呼出処理が開始されるようにしてもよい。
【0099】
一方、制御部110は、来訪者Wを集合住宅Mに関連付けられた人物ではないと認識した場合には、図7に示すように、空中画像Gの呼出操作受付部C2にテンキー41と、呼出ボタン42と、取消ボタン43などが表示される第一表示モードを表示する。
【0100】
また、例えば、制御部110は、来訪者Wの身長又は年齢が所定のしきい値よりも低く、さらに、来訪者Wが集合住宅Mに関連付けられた人物であると判定した場合には、図8に示す空中画像Gにおいて、呼出操作受付部Dの第一操作部D2にその来訪者Wに関連する部屋番号を来訪者Wの入力操作なしで表示し、操作メッセージ部D1に「「よびだし」をおしてください」と平仮名で表示するようにしてもよい。
【0101】
以上説明したように、第四実施形態のインターホン装置1は、来訪者Wが居住者を呼び出して通話するための集合玄関機10Bと、集合玄関機10Bからの呼び出しに居住者が応答するための居室親機30と、を備える。集合玄関機10Bは、空中画像Gを来訪者Wに向けて表示するための空中タッチディスプレイ100であって、空中画像Gを生成するための光を出射する表示装置101と、光を反射及び透過して空中画像Gを所定の空間に結像する光学部材102と、空中画像Gに対する来訪者Wの操作入力を検知する検知部103と、を有する空中タッチディスプレイ100と、空中タッチディスプレイ100を制御する制御部110と、を備える。そして、制御部110は、空中画像Gに含まれる呼出操作受付部C2の表示態様を変更する。この構成によれば、集合玄関機10Bとして用いられる空中タッチディスプレイ100において、空中画像Gに表示される呼出操作受付部C2の表示態様を変更できるため、集合玄関機10Bの操作性が大きく向上する。
【0102】
また、第四実施形態のインターホン装置1は、所定の空間に配置され、来訪者Wの属性を検出可能なカメラ120をさらに備える。そして、制御部110は、カメラ120によって検出された属性に基づいて、呼出操作受付部C2の表示態様を変更する。この構成によれば、来訪者Wの属性として、例えば、来訪者Wの身長や年齢に応じて空中画像G内の呼出操作受付部C2の表示態様を変更することで、様々な来訪者Wに対して操作性に優れた新規な集合玄関機10Bを提供できる。
【0103】
また、第四実施形態のインターホン装置1によれば、属性は、来訪者Wの身長及び年齢の少なくとも一方である。そして、制御部110は、身長又は年齢が所定のしきい値以上の場合には、呼出操作受付部C2を第一表示モードで表示し、身長又は年齢が所定のしきい値よりも低い場合には、呼出操作受付部Dを第一表示モードよりも簡易な表示態様である第二表示モードで表示する。このため、例えば、来訪者Wが子供である場合に簡易表示モードである第二表示モードで呼出操作受付部Dを表示することで、子供にも操作しやすい空中タッチディスプレイ100を提供できる。
【0104】
また、第四実施形態のインターホン装置1によれば、第二表示モードは、第一表示モードよりも、呼出操作受付部Dに含まれる操作ボタンの数を少なくするモード、及び操作ボタンのサイズを大きくするモードの少なくとも一方を含む。このため、子供でも空中タッチディスプレイ100を容易に操作可能となる。
【0105】
また、第四実施形態のインターホン装置1によれば、属性は、来訪者Wが、集合玄関機10Bが設置された集合住宅Mに関連付けられた人物であるかどうかを含む。そして、制御部110は、来訪者Wが集合住宅Mに関連付けられた人物である場合には、呼出操作受付部F2を第一表示モードとは異なる第三表示モードで表示し、来訪者Wが集合住宅Mに関連付けられた人物ではない場合には、呼出操作受付部C2を第一表示モードで表示する。これにより、来訪者Wが例えば居住者である場合と居住者ではない場合とで異なる表示モードを採用することで、操作性を向上させつつセキュリティを担保することができる。
【0106】
また、第四実施形態のインターホン装置1によれば、第一表示モードは、テンキー41を少なくとも含む表示モードであり、第三表示モードは、来訪者Wが関連する集合住宅M内の部屋番号62の表示を少なくとも含む表示モードである。このため、来訪者Wが居住者、親類、友人等である場合には関連する部屋番号62を直接呼び出せるような呼出ボタンを空中画像G内に表示することで、操作性を大きく向上できる。
【0107】
また、例えば、制御部110は、カメラ120から受信する属性情報に基づいて、来訪者Wを外国人であると判定した場合には、呼出操作受付部C2,D,F2の言語表記を所定の外国語に変更してもよい。この構成によれば、例えば来訪者が外国人である可能性が高い場合には、呼出操作受付部C2,D,F2を日本語ではなく英語で表示することで、空中タッチディスプレイ100の操作性を向上できる。
【0108】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0109】
1:インターホン装置、10(10A~10C):集合玄関機(玄関子機の一例)、11:操作部、12:通話部、13:カメラ、14:表示部、15:制御部、20:管理室親機、30:居室親機、40:制御装置、41:テンキー、42:呼出ボタン、43:取消ボタン、51:テンキー、52:呼出ボタン、61:操作メッセージ、62:部屋番号、63:呼出ボタン、100,100A:空中タッチディスプレイ、100a,100Aa:筐体、101:表示装置、102:光学部材、103:検知部、110:制御部、120:カメラ(センサの一例)、210:第一センサ、220:第二センサ、C1:来訪者画像表示部、C2:呼出操作受付部、D:呼出操作受付部、D1:操作メッセージ部、D2:第一操作部、D3:第二操作部、E1:外部、E2:建物エントランス、E3:居住エリア、F1:来訪者画像表示部、F2:呼出操作受付部、G(G1~G5):空中画像、K1:第一出入口、K2:第二出入口、M:集合住宅、S11:制御システム、S12:インターホンシステム、W,W1,W2:来訪者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9