(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155783
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】車両用ドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/643 20150101AFI20221006BHJP
E05F 15/655 20150101ALI20221006BHJP
E05F 11/54 20060101ALI20221006BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20221006BHJP
B60J 5/06 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
E05F15/643
E05F15/655
E05F11/54 A
B60J5/04 C
B60J5/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059180
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】北 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA03
2E052DB03
2E052EA15
2E052EB01
2E052KA16
(57)【要約】
【課題】車両用ドア開閉装置において、構成を簡単にして、ケーブルをガイドローラユニットに簡単に連結可能とする。
【解決手段】ケーブルエンド122は、ケーブル12の端部に対して直交するように一端部122aが固着される。ケーブルホルダー25は、垂直軸ローラ21を支持する垂直軸19に嵌合される軸受部25bと、垂直軸19よりもガイドレール7の縦壁部7cから離間する側に位置し、ケーブルエンド122の他端部122bを保持する保持部25dと、垂直軸19よりも縦壁部7cに接近する側にあって、ケーブル12の端部を案内する円弧状のガイド溝25cと、ケーブルホルダー25が予め定めた所定位置に停止するように、サブブラケット27に設けたストッパ部27aに当接する被ストッパ部25eと、を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体パネルに固定され、縦断面略コ字型を呈して、長手方向のいずれか一方に湾曲部を有するガイドレールと、
スライドドアに連結されると共に、前記ガイドレールに長手方向へ移動可能に組付けられるガイドローラユニットと、
駆動部の駆動により前記ガイドレールの長手方向へ移動可能で、かつ前記ガイドローラユニットに接続されるケーブルと、を備えた車両用ドア開閉装置において、
前記ガイドローラユニットは、前記スライドドアに連結されるブラケットと、前記ブラケットに垂直軸により回動可能に支持され、前記ガイドレール内を長手方向へ移動可能な垂直軸ローラとを有し、
前記ケーブルは、自体の端部に固着されたケーブルエンドによりケーブルホルダーを介して前記ブラケットに接続され、
前記ケーブルエンドは、自体の長手方向が前記ケーブルの端部に対して直交するように一端部が固着され、
前記ケーブルホルダーは、前記垂直軸に所定角度回動可能に嵌合される軸受部と、前記垂直軸よりも前記ガイドレールの縦壁部から離間する側に位置し、前記ケーブルエンドの他端部を保持する保持部と、前記垂直軸よりも前記縦壁部に接近する側にあって、前記ケーブルの端部を案内する円弧状のガイド溝と、前記ケーブルホルダーが予め定めた所定位置に停止するように、前記ブラケットに設けたストッパ部に当接する被ストッパ部と、を有することを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ケーブルエンドは、自体の長手方向の略中央部に、前記ケーブルホルダーの前記軸受部の外周面に当接する凹部を有することを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【請求項3】
車体パネルに固定され、縦断面略コ字型を呈して、長手方向のいずれか一方に湾曲部を有するガイドレールと、
スライドドアに連結されると共に、前記ガイドレールに長手方向へ移動可能に組付けられるガイドローラユニットと、
駆動部の駆動により前記ガイドレールの長手方向へ移動可能で、かつ前記ガイドローラユニットに接続されるケーブルと、を備えた車両用ドア開閉装置において、
前記ガイドローラユニットは、前記スライドドアに連結されるブラケットと、前記ブラケットに垂直軸により回動可能に支持され、前記ガイドレール内を長手方向へ移動可能な垂直軸ローラとを有し、
前記ケーブルは、自体の端部に固着されたケーブルエンドによりケーブルホルダーを介して前記ブラケットに接続され、
前記ケーブルホルダーは、前記垂直軸に回動可能に嵌合されると共に、前記垂直軸よりも前記ガイドレールの縦壁部から離間する側に位置にあって、前記ケーブルエンドが連結される連結部と、前記垂直軸よりも前記縦壁部に接近する側にあって、前記ケーブルの端部を案内する円弧状のガイド溝と、前記ケーブルホルダーが予め定めた所定位置に停止するように、前記ブラケットに設けたストッパ部に当接する被ストッパ部と、を有することを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【請求項4】
請求項3において、前記垂直軸の中心Oを原点とし、前記原点Oを通る前記ガイドレールの長手方向の直線をx軸とし、原点Oを通り前記x軸と直交する直線をy軸とした2次元座標により第1象限から第4象限を規定した場合、前記ケーブルホルダーの前記連結部は、第3象限又は第4象限に位置し、前記ケーブルにおける前記ケーブルエンドから直接延出する第1端部に連続し、かつ前記センターガイドレールの前記縦壁部に接近して前方へ延出する第2端部は、第1象限及び/又は第2象限に位置することを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかにおいて、前記ストッパ部は、前記被ストッパ部に対して上下方向から挟み込むように当接することを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかにおいて、前記ガイドローラユニットは、さらに、前記ブラケットに水平軸により回動可能に支持される水平軸ローラと、前記水平軸と共に前記ブラケットに固定されるサブブラケットと、を有し、
前記ストッパ部を前記サブブラケットに設けたことを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアを自動開閉させるための車両用ドア開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車体側に固定され、かつ前部に車内側に向けて湾曲した湾曲部を有するガイドレールと、スライドドアに接続され、かつガイドレールに長手方向へ移動可能に嵌合されるローラを有するガイドローラユニットと、駆動装置の駆動によりガイドレールに沿って移動可能なクローズ用ケーブル及びオープン用ケーブルとを備え、クローズ用ケーブル及びオープン用ケーブルのそれぞれのケーブルエンドを、連結用ホルダーを介してガイドローラユニットのブラケットに接続した車両用ドア開閉装置が開示されている。
【0003】
前記車両用ドア開閉装置は、上述構成により、クローズ用ケーブル又はオープン用ケーブルが駆動装置の駆動によりクローズ方向又はオープン方向へ引っ張られると、ガイドローラユニットがガイドレールの長手方向に沿って移動することで、スライドドアをクローズ方向又はオープン方向へ自動開閉させる。
【0004】
通常、スライドドアは、全閉状態になる際、ガイドローラユニットがガイドレールの湾曲部を通過することで、車体側面と面一となるように車体の内側に引き込まれるようになっている。このような構成であると、ガイドローラユニットがガイドレールの湾曲部を移動するとき、特にクローズ用ケーブルの配索経路長が必然的に長くなることに起因して、クローズ用ケーブルに対して必要以上の緊張力が作用する。このように、クローズ用ケーブルに対して必要以上の緊張力が作用すると、スライドドアの円滑なクローズ作動に対して悪影響を及ぼす虞がある。
【0005】
したがって、スライドドアの円滑な開閉作動を可能にするには、ガイドローラユニットがガイドレールの湾曲部又は直線部のいずれの部位を移動する場合であっても、クローズ用ケーブルの配索経路長の変化を最小限に抑制する必要がある。このためには、ケーブルの配索経路を、ガイドレールの縦壁部に極力近づけることが望ましい。
【0006】
前述の問題点を解消可能な構成として、例えば、特許文献2には、ガイドレールとスライドドアとに跨るように設けられ、スライドドアを支持するためのブラケットと、当該ブラケットに取り付けられるサブブラケットと、開放用ケーブル及び閉塞用ケーブルのそれぞれの端部が連結されると共に、サブブラケットに、各ケーブルが未緊張状態または弱緊張状である第1の位置から各ケーブルの引張方向に変位した第2の位置に変位可能に支持されたケーブルホルダーと、ケーブルホルダーを第2の位置でロック可能なロック機構と、を有するガイドローラユニットを備えた車両用ドア開閉装置が開示されている。
【0007】
特許文献2に開示のケーブルホルダーに連結された各ケーブルは、ガイドレールの縦壁部に極力接近するように、ケーブルホルダーに形成されたガイド溝により引き回し方向へ案内されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3907105号公報
【特許文献2】特許第6815941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献2に開示の車両用ドア開閉装置においては、各ケーブルがガイドレールの縦壁部に極力接近させて配索されるため、ガイドローラユニットがガイドレールの湾曲部を通過する際にあっても、各ケーブルの配索経路長の変化を極力抑えて、円滑な作動を得ることができる効果を奏する。しかしながら、この効果を得るために、ケーブルホルダーをブラケットと別体で形成されたサブブラケットに回動可能に支持する構成に加え、ケーブルホルダーを第2の位置でロック可能なロック機構を有する構成であるため、構成が複雑で、かつ各ケーブルのガイドローラユニットに対する連結作業が面倒であるという課題を有している。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑み、構成が簡単で、かつケーブルをガイドローラユニットに簡単に連結可能とした車両用ドア開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
車体パネルに固定され、縦断面略コ字型を呈して、長手方向のいずれか一方に湾曲部を有するガイドレールと、スライドドアに連結されると共に、前記ガイドレールに長手方向へ移動可能に組付けられるガイドローラユニットと、駆動部の駆動により前記ガイドレールの長手方向へ移動可能で、かつ前記ガイドローラユニットに接続されるケーブルと、を備えた車両用ドア開閉装置において、前記ガイドローラユニットは、前記スライドドアに連結されるブラケットと、前記ブラケットに垂直軸により回動可能に支持され、前記ガイドレール内を長手方向へ移動可能な垂直軸ローラとを有し、前記ケーブルは、自体の端部に固着されたケーブルエンドによりケーブルホルダーを介して前記ブラケットに接続され、前記ケーブルエンドは、自体の長手方向が前記ケーブルの端部に対して直交するように一端部が固着され、前記ケーブルホルダーは、前記垂直軸に所定角度回動可能に嵌合される軸受部と、前記垂直軸よりも前記ガイドレールの縦壁部から離間する側に位置し、前記ケーブルエンドの他端部を保持する保持部と、前記垂直軸よりも前記縦壁部に接近する側にあって、前記ケーブルの端部を案内する円弧状のガイド溝と、前記ケーブルホルダーが予め定めた所定位置に停止するように、前記ブラケットに設けたストッパ部に当接する被ストッパ部と、を有することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記ケーブルエンドは、自体の長手方向の略中央部に、前記ケーブルホルダーの前記軸受部の外周面に当接する凹部を有するものとする。
【0013】
車体パネルに固定され、縦断面略コ字型を呈して、長手方向のいずれか一方に湾曲部を有するガイドレールと、スライドドアに連結されると共に、前記ガイドレールに長手方向へ移動可能に組付けられるガイドローラユニットと、駆動部の駆動により前記ガイドレールの長手方向へ移動可能で、かつ前記ガイドローラユニットに接続されるケーブルと、を備えた車両用ドア開閉装置において、前記ガイドローラユニットは、前記スライドドアに連結されるブラケットと、前記ブラケットに垂直軸により回動可能に支持され、前記ガイドレール内を長手方向へ移動可能な垂直軸ローラとを有し、前記ケーブルは、自体の端部に固着されたケーブルエンドによりケーブルホルダーを介して前記ブラケットに接続され、前記ケーブルホルダーは、前記垂直軸に回動可能に嵌合されると共に、前記垂直軸よりも前記ガイドレールの縦壁部から離間する側に位置にあって、前記ケーブルエンドが連結される連結部と、前記垂直軸よりも前記縦壁部に接近する側にあって、前記ケーブルの端部を案内する円弧状のガイド溝と、前記ケーブルホルダーが予め定めた所定位置に停止するように、前記ブラケットに設けたストッパ部に当接する被ストッパ部と、を有することを特徴とする。
【0014】
好ましくは、前記垂直軸の中心Oを原点とし、前記原点Oを通る前記ガイドレールの長手方向の直線をx軸とし、原点Oを通り前記x軸と直交する直線をy軸とした2次元座標により第1象限から第4象限を規定した場合、前記ケーブルホルダーの前記連結部は、第3象限又は第4象限に位置し、前記ケーブルにおける前記ケーブルエンドから直接延出する第1端部に連続し、かつ前記センターガイドレールの前記縦壁部に接近して前方へ延出する第2端部は、第1象限及び/又は第2象限に位置する。
【0015】
好ましくは、前記ストッパ部は、前記被ストッパ部に対して上下方向から挟み込むように当接する。
【0016】
好ましくは、前記ガイドローラユニットは、さらに、前記ブラケットに水平軸により回動可能に支持される水平軸ローラと、前記水平軸と共に前記ブラケットに固定されるサブブラケットと、を有し、前記ストッパ部を前記サブブラケットに設ける。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、ケーブルエンドを垂直軸ローラが支持される垂直軸に所定角度回動可能に嵌合されるケーブルホルダーに接続した構成としたことにより、構成を簡単にして、ケーブルエンドを簡単かつ確実にガイドローラユニットに接続できると共に、ケーブルの配索経路長の変化を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明における一実施形態を適用した車両の側面図である。
【
図2】本発明に係る車両用ドア開閉装置の平面図である。
【
図4】
図3において矢印IV方向から見た要部の正面図である。
【
図5】
図3において矢印V方向から見た側面図である。
【
図6】ブラケットの一部を切り欠いて示す要部の斜視図である。
【
図7】ケーブル及びケーブルホルダーの接続手順を示す要部の斜視図である。
【
図8】
図4におけるVIII-VIII線に相当する横断面図である。
【
図10】クローズ用ケーブルホルダーの平面図である。
【
図11】
図10において矢印XI方向から見たクローズ用ケーブルホルダーの正面図である。
【
図13】他の実施形態における
図8と同一部位の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではなく、以下の実施形態から当業者が自明の範囲内で適宜変更したものも含む。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用ドア開閉装置1は、小型ワゴンタイプの車両2における左側の車体パネル4の内側に配置されると共に、車体パネル4に前後方向へ開閉自在に支持される左側のスライドドア3を後述の駆動部11の駆動により自動開閉させるものである。
なお、以下に説明する方位は、断りのない限り、車両用ドア開閉装置1を車両2に取り付けた状態での方位を指す。
【0021】
スライドドア3は、車体パネル4の側面に設けられた乗降口の上下に配設された前後方向を向くアッパーガイドレール5及びロアガイドレール6と、乗降口後部の車体パネル4に固定された前後方向を向くセンターガイドレール7とにより前後方向へ移動可能に支持されて、乗降口を閉鎖した
図1に示す全閉位置から車体パネル4の外側面より若干外方に移動しつつ、車体パネル4に沿って後方へ移動した図示略の全開位置、及びその逆へ移動する。
【0022】
スライドドア3のセンターガイドレール7に相対する部位には、センターガイドレール7に前後方向(開閉方向)へ移動可能に支持されるガイドローラユニット8が取り付けられる。なお、詳細な図示は省略するが、スライドドア3のアッパーガイドレール5及びロアガイドレール6にもそれぞれ相対する部位に、アッパーガイドレール5及びロアガイドレール6にそれぞれ前後方向へ移動自在に支持されるアッパーガイドローラユニット9及びロアガイドローラユニット10がそれぞれ取り付けられる。
【0023】
図2に示すように、車両用ドア開閉装置1は、車体パネル4に固定される前述のセンターガイドレール7と、図示略のモータを含む駆動部11と、駆動部11のハウジング111から前方へ導出されるクローズ用ケーブル12及び後方へ導出されるオープン用ケーブル13と、センターガイドレール7に前後方向へ移動可能に支持されると共に、スライドドア3に連結される前述のガイドローラユニット8とを備えて、駆動部11から出力される動力によりスライドドア3を自動開閉させる。
【0024】
駆動部11は、ハウジング内111に図示略のモータ、モータの回転を減速して出力する図示略の減速機構、及び減速機構に連結されて正逆回転可能な図示略の回転ドラムを収容することで構成される。さらに、ハウジング内111内には、クローズ用ケーブル12及びオープン用ケーブル13を緊張状態とする図示略のテンショナーが設けられる。
【0025】
図2に示すように、センターガイドレール7は、前部に車内側へ向かって湾曲する湾曲部71、及び湾曲部71の後端から後方へ略直線状に延伸する直線部72を形成し、かつ
図4、9に縦断面図で示すように、下部7a、上部7bと、下部7aと上部7bとを互いに繋いで車外側に位置にする縦壁部7cとを有する縦断面略コ字型をなしている。
【0026】
クローズ用ケーブル12は、回転ドラムの外周面に設けられた螺旋状の溝に送り出し及び巻き込み可能に掛け回されて、ハウジング111に接続された前側の可撓性の導管121を挿通して前端から導出されると共に、センターガイドレール7の前端部に設けられたプーリ14に掛け回されて後方へ方向転換してセンターガイドレール7の長手方向に沿って配索される。後方へ延伸するクローズ用ケーブル12の端末には、特に
図7に示すような形状のクローズ用ケーブルエンド122が固着される。クローズ用ケーブルエンド122は、ガイドローラユニット8における後述のクローズ用ケーブルホルダー25を介してガイドローラユニット8における後述の可動ブラケット18に連結される。
【0027】
クローズ用ケーブルエンド122は、特に
図8から理解できるように、クローズ用ケーブル12の軸方向(前後方向)へ対して長手方向が略直交する方向(車内外方向)へ延伸する形状を呈して、車内側を向く一端部122aがクローズ用ケーブル12の端末に固着され、車外側を向く他端部122bがクローズ用ケーブルホルダー25の後述の保持部25dに保持され、長手方向の中央部に設けられる円弧状の凹部122cがクローズ用ケーブルホルダー25における後述の軸受部25bの外周面に嵌合されることにより、ケーブル用ケーブルホルダー25に接続される。
【0028】
オープン用ケーブル13は、回転ドラムの溝に送り出し及び巻き込み可能に掛け回されて、駆動部11に接続された後側の可撓性の導管131を挿通して後端から導出されると共に、センターガイドレール7の後端部に設けられたプーリ15に掛け回されて前方へ方向転換してセンターガイドレール7の長手方向に沿って配索される。前方へ延伸するオープン用ケーブル13の端末には、円柱状のオープン用ケーブルエンド132が固着される。オープン用ケーブルエンド132は、ガイドローラユニット8における後述のオープン用ケーブルホルダー26を介してガイドローラユニット8の可動ブラケット18に連結される。
【0029】
本実施形態においては、オープン用ケーブルホルダー26は、可動ブラケット18に後述の水平軸24により固定されるサブブラケット27の後部に保持される。なお、オープン用ケーブルホルダー26は、特許文献1に開示のホルダーと同一であるため、詳細説明については省略する。しかしながら、本発明は、本実施形態に限定されるものでなく、可動ブラケット18に対するオープン用ケーブル13の接続においても、可動ブラケット18に対するクローズ用ケーブル12の接続と同様な構成を用いても良い。この場合には、オープン用ケーブル13のケーブルエンドが接続されるオープン用ケーブルホルダーは、後側の垂直軸20の下部に嵌合される。
【0030】
特に
図3に示すように、ガイドローラユニット8は、図示略のボルトによりスライドドア3に接続される固定ブラケット16と、固定ブラケット16に上下方向を向く連結軸17により回動可能に連結される可動ブラケット18と、可動ブラケット16の折曲水平部18aに前後の垂直軸19、20にそれぞれ回動可能に支持され、センターガイドレール7内に前後方向へ移動可能に嵌合される前後2個の垂直軸ローラ21、22と、前後の垂直軸ローラ21、22の間にあって、可動ブラケット18の折曲垂直部18bに水平軸23により回動可能に支持され、センターガイドレール7の下部7a上を長手方向へ転動可能な水平軸ローラ24と、クローズ用ケーブルエンド122が接続されるクローズ用ケーブルホルダー25と、オープン用ケーブルエンド132が連結されるオープン用ケーブルホルダー26と、水平軸23により折曲垂直部18bの側面に固定されるサブブラケット27とを備える。
【0031】
図2に示すように、ガイドローラユニット8の両ブラケット16、18は、スライドドア3が全開位置から閉じられた場合には、センターガイドレール7の直線部72の後端に位置する想像線で示す全開位置Aから湾曲部71に位置する実線で示す湾曲位置Bを経由して想像線で示す全閉位置Cに移動し、また、スライドドア3が全閉位置から開かれた場合には、その逆に全閉位置Cから湾曲位置Bを経由して全開位置Aに移動する。
【0032】
特に
図10~12に示すように、クローズ用ケーブルホルダー25は、平面視略円形状の鍔部25aと、鍔部25aの中心部にあって、前側の垂直軸19の下部に所定角度回動可能に嵌合される円筒状の軸受部25bと、クローズ用ケーブル12の端部(クローズ用ケーブルエンド122の一端部122aから前方へ向けて延出する部分)12aを前方へ向けて案内する円弧状のガイド溝25cと、クローズ用ケーブルエンド122の他端部122bを保持する保持部25dと、可動ブラケット18に対して
図8において反時計方向から当接することにより、クローズ用ケーブルホルダー25の回動を規制して正規位置に停止させる被ストッパ部25eとを有して、軸受部25bに垂直軸19の下部が嵌合されることにより、可動ブラケット18に接続される。
【0033】
ガイド溝25cは、垂直軸19よりも車内側、すなわちセンターガイドレール7の縦壁部7cに接近する側にあって、軸受部25bの外周面の周りに設けられ、円周方向へ所定の長さ(鍔部25aの円周長さの略1/3)を有する円弧状のガイド部25fの外周面に設けられる。
【0034】
保持部25dは、垂直軸19よりも車外側、すなわちセンターガイドレール7の縦壁部7cから離間する位置にあって、クローズ用ケーブルエンド122が軸受部25bを中心とする反時計方向から嵌合し得るように前方が円弧状に開口する縦断面略コ字状を呈して、クローズ用ケーブルエンド122の他端部122bを上下から挾みことでクローズ用ケーブルエンド122を保持する。
【0035】
被ストッパ部25eは、保持部25dの裏面(後面)に設けられる。ストッパ部27aは、サブブラケット27の前端にあって、
図6に示すように、被ストッパ部25eに対向する前側が開口するように凹状に形成される。
【0036】
クローズ用ケーブルエンド122がクローズ用ケーブルホルダー25を介して可動ブラケット18に連結された状態においては、クローズ用ケーブルエンド122は、一端部122aが垂直軸19よりもセンターガイドレール7の縦壁部7cに接近する側の位置にし、他端部122bが垂直軸19よりも縦壁部7cから離間する側に位置し、凹部122cが軸受部25bにおける後方を向く外周面に嵌合する。
【0037】
上述のように、クローズ用ケーブルエンド122がクローズ用ケーブルホルダー25を介してガイドローラユニット8の垂直軸19に連結されることにより、例えば、
図8に示すように、ガイドローラユニット8が湾曲位置Bにある場合、クローズ用ケーブルエンド122の一端部122aが垂直軸19よりもセンターガイドレール7の縦壁部7cに接近する側の位置していることから、クローズ用ケーブル12は、センターガイドレール7における湾曲部71の縦壁部7cに接近または接触することにより、クローズ用ケーブル12の配索経路長の変化を最小限に抑えることができる。これにより、スライドドア3の円滑な自動開閉を可能にする。
【0038】
また、クローズ用ケーブルホルダー25は、軸受部25が垂直軸19に回動可能に嵌合されると共に、保持部25dの裏面に設けた被ストッパ部25eがサブブラケット27に設けたストッパ部27aに対して垂直軸19を中心とする反時計方向から当接することにより、クローズ用ケーブル12からの引っ張り方向の荷重を被ストッパ部25eがストッパ部27aに当接することで受け止める。被ストッパ部25eがストッパ部27aに当接した状態においては、クローズ用ケーブルホルダー25の保持部25dがストッパ部27aにより上下から挟み込まれるため、クローズ用ケーブルホルダー25及びクローズ用ケーブルエンド122の不要な上下動を確実に抑えられる。
【0039】
次に、クローズ用ケーブルエンド122を可動ブラケット18に連結する場合の接続作業手順について説明する。
先ず、
図7に示すA状態に示すように、可動ブラケット18に未装着状態のクローズ用ケーブルホルダー25に対してクローズ用ケーブルエンド122を上方から押し込む。次いで、B状態に示すように、クローズ用ケーブルエンド122の凹部122cをクローズ用ケーブルホルダー25の軸受部25bの外周に嵌合しつつ、クローズ用ケーブルホルダー25を矢印方向(時計方向)へ回動させて、C状態に示すように、クローズ用ケーブルエンド122の他端部122bをクローズ用ケーブルホルダー25の保持部25dに嵌合させる。これにより、クローズ用ケーブルホルダー25は、クローズ用ケーブルエンド122に接続される。
【0040】
次いで、クローズ用ケーブルホルダー25の軸受部25bに前側の垂直軸19の下部を若干嵌合させた状態で、クローズ用ケーブルホルダー25を駆動部11に設けられたテンショナーの付勢力に抗しつつ矢印方向(時計方向)へ回動させて、垂直軸19に完全に嵌合させる。これにより、垂直軸19に嵌合されたクローズ用ケーブルホルダー25は、クローズ用ケーブル12に作用するテンショナーの緊張力により、C状態に示す矢印と反対方向(反時計方向)へ回動して、
図8に示すように、被ストッパ部25eがストッパ部27aに当接することで、クローズ用ケーブルホルダー25は正規位置に停止して保持される。
【0041】
好ましくは、クローズ用ケーブルホルダー25を垂直軸19に嵌合したあと、例えば、
図9に2点鎖線で示すように、垂直軸19の下端部にEワッシャー等の抜け止め部材191を嵌合する。このようにすると、クローズ用ケーブルホルダー25を垂直軸19に確実に接続できる。
【0042】
なお、クローズ用ケーブル12の可動ブラケット18に対する接続は、好ましくは、オープン用ケーブル13を可動ブラケット18に連結したあとに行われる。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、クローズ用ケーブル12の可動ブラケット18に対する連結を、オープン用ケーブル13を可動ブラケット18に連結する前に行っても良い。
【0043】
次に、車両用ドア開閉装置1の作用について説明する。
駆動部11のモータが駆動して減速機構を介して回転ドラムがオープン方向へ回転した場合には、オープン用ケーブル13は、回転ドラムに巻き込まれ、クローズ用ケーブル12が回転ドラムから送り出される。これにより、ガイドローラユニット8は、オープン用ケーブル13が引っ張られることで後方へ移動する。これに伴って、スライドドア3は、全閉位置Cからオープン方向へ移動し、湾曲位置Bを経由して最終的に全開位置Aに移動して停止する。
【0044】
駆動部11のモータの駆動により減速機構を介して回転ドラムがクローズ方向へ回転した場合には、クローズ用ケーブル12は、回転ドラムに巻き込まれ、オープン用ケーブル13が回転ドラムから送り出される。これにより、ガイドローラユニット8は、クローズ用ケーブル12が引っ張られることで前方へ移動する。これに伴って、スライドドア3は、全開位置Aからクローズ方向へ移動し、湾曲位置Bを経由して最終的に全閉位置Cに移動して停止する。
【0045】
ガイドローラユニット8が湾曲位置Bを通過する際には、
図8に示すように、クローズ用ケーブル12は、垂直軸ローラ21を支持する垂直軸19よりもセンターガイドレール7の縦壁部7cに接近した位置から、湾曲部71の湾曲形状に沿うように、斜め前方へ向けて導出される。このため、ガイドローラユニット8が直線部72にあるときと、湾曲部71にあるときとのクローズ用ケーブル12の配索経路長の変化を最小限に抑えることで、スライドドア3の円滑なクローズ作動を得ることができる。
【0046】
さらには、クローズ用ケーブルエンド122に作用するクローズ用ケーブル12の引張力に対しては、クローズ用ケーブルエンド122の凹部122cがクローズ用ケーブルホルダー25の軸受部25を介して垂直軸19に当接し、かつ他端部122bがクローズ用ケーブルホルダー25の被ストッパ部25eを介してサブブラケット27のストッパ部27aに当接することで、クローズ用ケーブル12の引張力をガイドローラユニット8に対して確実に伝達することができる。
【0047】
次に、他の実施形態を
図13に基づいて説明する。
他の実施形態におけるクローズ用ケーブルホルダー28及びクローズ用ケーブルエンド123は、その構成を前記実施形態のクローズ用ケーブルホルダー25及びクローズ用ケーブルエンド122と相違する。
【0048】
クローズ用ケーブルホルダー28は、その中心孔28aに垂直軸19の下部が相対的に回動可能に嵌合されることにより垂直軸19に接続されると共に、垂直軸19よりもセンターガイドレール7の縦壁部7cから離間する側に位置する部位に設けた被ストッパ部28bが可動ブラケット18に設けたストッパ部18cに対して反時計方向側から当接することで、反時計方向への回動が規制されて正規位置に保持される。なお、可動ブラケット18に設けられるストッパ部18cは、前記実施形態と同様に、被ストッパ部28bが当接した際、被ストッパ部28bを上下から挟み込むような形状を呈している。
【0049】
さらに、クローズ用ケーブルホルダー28は、その外周面にあって、かつ垂直軸19よりも車内側、すなわちセンターガイドレール7の縦壁部7cに接近する側にクローズ用ケーブル12を前方へ向けて案内する円弧状のガイド溝28cと、垂直軸19よりも車外側、すなわち縦壁部7cから離間する側に設けられる連結部28dとを有している。
【0050】
クローズ用ケーブルエンド123は、上下方向を向く円柱状を呈してクローズ用ケーブル12の端末に固着されると共に、クローズ用ケーブルホルダー28の連結部28dに接続される。クローズ用ケーブルエンド123がクローズ用ケーブルホルダー28を介して垂直軸19に接続された状態においては、クローズ用ケーブルエンド123は、垂直軸19よりも車外側に位置し、クローズ用ケーブル12は、その端部12aがガイド溝28cに略半周掛け回されて、垂直軸19よりもセンターガイドレール7の縦壁部7cに接近する位置から前方へ導出される。
【0051】
すなわち、垂直軸19の中心Oを原点とし、当該原点Oを通る前後方向の直線をx軸とし、原点Oを通りx軸と直交する車内外方向の直線をy軸とし、x軸において後方を正方向とし、y軸において車内側を向く方向を正方向として、原点Oとする2次元座標により第1象限から第4象限を規定すると、クローズ用ケーブルエンド123、すなわちクローズ用ケーブルホルダー28に対する連結点は、第4象限に位置し、クローズ用ケーブル12におけるケーブルエンド123から直接延出する第1端部12bは、第4象限に位置する。また、第1端部12に連続し、かつセンターガイドレール7の縦壁部7cに接近して前方へ延出する第2端部12cは、第1象限に位置する。なお、本実施形態においては、第2端部12cは、第1象限に位置するものとするが、これに代えて、第2端部12cを第1象限及び/又は第2象限に位置するものとしてもよい。
【0052】
これにより、連結点が第4象限に位置することで、クローズ用ケーブル12の第1端部12bは、
図13に矢印aで示すように、後斜め車内方向へ巻き掛けられたあと、第2端部12cは、矢印bで示すように方向を変えて、前斜め車内方向へ導出されるため、クローズ用ケーブル12がクローズ用ケーブルホルダー28のガイド溝28cに大きく巻き掛けられて、クローズ用ケーブル12とクローズ用ケーブルホルダー28との互いの接触面が大きくなる。これにより、クローズ用ケーブル12をクローズ用ケーブルホルダー28に確実に接続可能とし、かつクローズ用ケーブルホルダー28を垂直軸19に安定した状態で接続でき、耐久性の向上を図ることができる。
【0053】
クローズ用ケーブル12のガイドローラユニット8に対する連結作業は、前記実施形態と略同様な作業手順をもって行われる。
すなわち、先ず、可動ブラケット18に未装着状態のクローズ用ケーブルホルダー28の連結部28dにクローズ用ケーブルエンド123を嵌合して接続する。次いで、クローズ用ケーブルホルダー28のガイド溝28cにクローズ用ケーブルエンド122の端部122aを巻き掛けた状態で、クローズ用ケーブルホルダー122の中心孔28aに前側の垂直軸19の下部を若干嵌合させた状態で、クローズ用ケーブルホルダー28を駆動部11に設けられたテンショナーの緊張力に抗しつつ引張方向(時計方向)へ回動させて、垂直軸19に完全に嵌合させる。これにより、垂直軸19に嵌合されたクローズ用ケーブルホルダー28は、クローズ用ケーブル12に作用するテンショナーの付勢力により引っ張られることで反時計方向へ回動して、最終的に被ストッパ部28bがストッパ部18cに当接することにより、クローズ用ケーブルホルダー28は正規位置に保持される。
【0054】
なお、
図13に示す他の実施形態において、連結点を前記2次元座標の第4象限としたが、これに代えて第3象限としても良い。この場合においても、第4象限としたものと同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0055】
1 車両用ドア開閉装置 2 車両
3 スライドドア 4 車体パネル
5 アッパーガイドレール 6 ロアガイドレール
7 センターガイドレール 7a 下部
7b 上部 7c 縦壁部
71 湾曲部 72 直線部
8 ガイドローラユニット 9 アッパーガイドローラユニット
10 ロアガイドローラユニット 11 駆動部
111 ハウジング 12 クローズ用ケーブル
12a 端部 12b 第1端部
12c 第2端部 121 導管
122 クローズ用ケーブルエンド 122a 一端部
122b 他端部 122c 凹部
123 クローズ用ケーブルエンド 13 オープン用ケーブル
131 導管 132 オープン用ケーブルエンド
14、15 プーリ 16 固定ブラケット
17 連結軸 18 可動ブラケット
18a 折曲水平部 18b 折曲垂直部
19、20 垂直軸 21、22 垂直軸ローラ
23 水平軸 24 水平軸ローラ
25 クローズ用ケーブルホルダー 25a 鍔部
25b 軸受部 25c ガイド溝
25d 保持部 25e 被ストッパ部
25f ガイド部 26 オープン用ケーブルホルダー
27 サブブラケット 27a ストッパ部
28 クローズ用ケーブルホルダー 28a 中心孔
28b 被ストッパ部 28c ガイド溝
28d 連結部