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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155804
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】曇り止めシステム
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/02 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B60S1/02 310
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059210
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 匡貴
(72)【発明者】
【氏名】堤 大
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA02
3D225AB01
3D225AC09
3D225AD02
3D225AD08
3D225AF28
3D225AG72
3D225AG73
3D225AG78
(57)【要約】
【課題】電力の消費効率を高めつつ、窓の曇りを効果的に抑制する。
【解決手段】車内空間から窓を介して車外空間を撮影する撮影装置10を備えた車両1に設けられる曇り止めシステムXであって、乗員の乗車状態を検出する第1検出装置35と、車内空間及び/又は車外空間の状態を検出する第2検出装置43と、車両1の走行状態を検出する第3検出装置44と、車内空間の空気を調整する空調装置20と、窓を加熱する加熱装置19と、第1~第3検出装置35、43、44の検出結果と空調装置20の稼働状態とに基づいて加熱装置19を制御する制御装置26と、を備えている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内空間から窓を介して車外空間を撮影する撮影装置を備えた車両に設けられる曇り止めシステムであって、
乗員の乗車状態を検出する第1検出装置と、
前記車内空間及び/又は前記車外空間の状態を検出する第2検出装置と、
前記車両の走行状態を検出する第3検出装置と、
前記車内空間の空気を調整する空調装置と、
前記窓を加熱する加熱装置と、
前記第1~第3検出装置の検出結果と前記空調装置の稼働状態とに基づいて前記加熱装置を制御する制御装置と、を備えていることを特徴とする曇り止めシステム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1検出装置の検出結果に基づいて前記加熱装置の第1制御パターン候補を決定し、前記第2検出装置の検出結果に基づいて前記加熱装置の第2制御パターン候補を決定し、前記第3検出装置の検出結果に基づいて前記加熱装置の第3制御パターン候補を決定し、前記空調装置の稼働状態に基づいて前記加熱装置の第4制御パターン候補を決定し、前記加熱装置の前記第1~第4制御パターン候補に基づいて前記加熱装置の制御パターンを決定し、決定した前記制御パターンによって前記加熱装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の曇り止めシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、PWM制御によって前記加熱装置を制御し、
前記第1~第4制御パターン候補は、いずれも、前記加熱装置のデューティー比を規定していることを特徴とする請求項2に記載の曇り止めシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1~第4制御パターン候補のうちで前記加熱装置のデューティー比が最も高いものを前記加熱装置の前記制御パターンに決定することを特徴とする請求項3に記載の曇り止めシステム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1検出装置の検出結果に基づいて前記乗員の人数を取得し、前記乗員の人数が多いほど、前記第1制御パターン候補における前記加熱装置のデューティー比を大きな値に設定することを特徴とする請求項3又は4に記載の曇り止めシステム。
【請求項6】
前記車両は、前部座席と、前記前部座席の後方に配置される後部座席と、を含み、
前記撮影装置は、前記前部座席の前方に位置する前記窓を介して前記車外空間を撮影し、
前記制御装置は、前記第1検出装置の検出結果に基づいて前記乗員の人数と位置を取得し、乗員の位置に基づいて運転者以外の前記乗員が前記前部座席に存在するか否かを判定し、前記運転者以外の前記乗員が前記前部座席に存在する場合に、前記運転者以外の前記乗員が前記前部座席に存在しない場合よりも、前記第1制御パターン候補における前記加熱装置のデューティー比を大きな値に設定することを特徴とする請求項5に記載の曇り止めシステム。
【請求項7】
前記第2検出装置は、前記車外空間の温度を検出する車外温度センサを含み、
前記制御装置は、前記車外空間の温度が低いほど、前記第2制御パターン候補における前記加熱装置のデューティー比を大きな値に設定することを特徴とする請求項3~6のいずれか1項に記載の曇り止めシステム。
【請求項8】
前記第2検出装置は、前記車外空間の温度を検出する車外温度センサと、前記車内空間の温度を検出する車内温度センサと、を含み、
前記制御装置は、前記車外空間の温度が所定の基準温度以下である場合に、前記車内空間と前記車外空間の温度差が小さいほど、前記第2制御パターン候補における前記加熱装置のデューティー比を大きな値に設定することを特徴とする請求項3~6のいずれか1項に記載の曇り止めシステム。
【請求項9】
前記第3検出装置は、車速を検出する車速センサを含み、
前記制御装置は、前記車速が高いほど、前記第3制御パターン候補における前記加熱装置のデューティー比を大きな値に設定することを特徴とする請求項3~8のいずれか1項に記載の曇り止めシステム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記空調装置の風量が多いほど、前記第4制御パターン候補における前記加熱装置のデューティー比を小さな値に設定することを特徴とする請求項3~9のいずれか1項に記載の曇り止めシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の窓の曇りを抑制するための曇り止めシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の窓の曇りを抑制するための曇り止めシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両等の移動体に取り付けられる窓ガラスと、窓ガラスの室内側表面に設けられる防曇膜と、窓ガラスの室内側表面の温度を検出する温度センサと、移動体の室内の温度及び湿度を検出する温湿度センサと、防曇膜に付着する水分を気化する乾燥手段と、温度センサによって検出されるガラス温度と、温湿度センサによって検出される室内の温度及び湿度とに基づいて防曇膜に曇りが生じるまでの時間を推測し、推測した時間に基づいて乾燥手段を作動させる回路を有する制御部とを含む、窓ガラスシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/189353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両の窓の曇り易さは、様々な要因によって変化する。例えば、乗員の人数が多いほど、乗員が放出する水蒸気量が増えるため、窓が曇りやすくなる。また、車速が高いほど、走行風によって窓が冷やされるため、車内空間の水蒸気が窓の近傍で凝集しやすくなり、窓が曇りやすくなる。一方で、空調装置の風量が多いほど、外気導入や除湿の効果が高まるため、窓が曇りにくくなる。
【0006】
上記の従来技術では、このような様々な要因を考慮せずに防曇膜に曇りが生じるまでの時間を推測しているため、防曇膜に曇りが生じるまでの時間を正確に推測することは困難である。そのため、乾燥手段の作動時間が短すぎて防曇膜の曇りを抑制できなかったり、乾燥手段の作動時間が長すぎて電力を無駄に消費してしまったりする恐れがある。
【0007】
本発明は、以上の背景に鑑み、電力の消費効率を高めつつ、窓の曇りを効果的に抑制することが可能な曇り止めシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、車内空間(SP1)から窓(6)を介して車外空間(SP2)を撮影する撮影装置(10)を備えた車両(1)に設けられる曇り止めシステム(X)であって、乗員の乗車状態を検出する第1検出装置(35)と、前記車内空間及び/又は前記車外空間の状態を検出する第2検出装置(41、43)と、前記車両の走行状態を検出する第3検出装置(44)と、前記車内空間の空気を調整する空調装置(20)と、前記窓を加熱する加熱装置(19)と、前記第1~第3検出装置の検出結果と前記空調装置の稼働状態とに基づいて前記加熱装置を制御する制御装置(26)と、を備えている。
【0009】
この態様によれば、乗員の乗車状態、車内空間及び/又は車外空間の状態、車両の走行状態、及び空調装置の稼働状態に基づいて加熱装置を制御することができる。即ち、車両の窓の曇り易さを変化させる様々な要因に基づいて加熱装置を制御することができる。これに伴って、加熱装置の稼働時間や出力を適正化することができるため、電力の消費効率を高めつつ、窓の曇りを効果的に抑制することができる。
【0010】
上記の態様において、前記制御装置は、前記第1検出装置の検出結果に基づいて前記加熱装置の第1制御パターン候補を決定し、前記第2検出装置の検出結果に基づいて前記加熱装置の第2制御パターン候補を決定し、前記第3検出装置の検出結果に基づいて前記加熱装置の第3制御パターン候補を決定し、前記空調装置の稼働状態に基づいて前記加熱装置の第4制御パターン候補を決定し、前記加熱装置の前記第1~第4制御パターン候補に基づいて前記加熱装置の制御パターンを決定し、決定した前記制御パターンによって前記加熱装置を制御しても良い。
【0011】
この態様によれば、車両の窓の曇り易さを変化させる要因ごとに決定された制御パターン候補に基づいて、加熱装置の制御パターンを適切に決定することができる。
【0012】
上記の態様において、前記制御装置は、PWM制御によって前記加熱装置を制御し、前記第1~第4制御パターン候補は、いずれも、前記加熱装置のデューティー比を規定していても良い。
【0013】
この態様によれば、PWM制御によって加熱装置を制御することで、加熱装置の熱損失を減らすことができる。そのため、電力の消費効率を更に高めることができる。
【0014】
上記の態様において、前記制御装置は、前記第1~第4制御パターン候補のうちで前記加熱装置のデューティー比が最も高いものを前記加熱装置の前記制御パターンに決定しても良い。
【0015】
この態様によれば、車両の窓が最も曇り易くなる状況に対応できるように、加熱装置を稼働させることができる。そのため、車両の窓が曇るのをより効果的に抑制することができる。
【0016】
上記の態様において、前記制御装置は、前記第1検出装置の検出結果に基づいて前記乗員の人数を取得し、前記乗員の人数が多いほど、前記第1制御パターン候補における前記加熱装置のデューティー比を大きな値に設定しても良い。
【0017】
乗員の人数が多いほど、乗員が放出する水蒸気量が増えるため、窓が曇りやすくなる。上記の態様によれば、このような傾向を考慮して、第1制御パターン候補における加熱装置のデューティー比を適切な値に設定することができる。
【0018】
上記の態様において、前記車両は、前部座席(4)と、前記前部座席の後方に配置される後部座席(5)と、を含み、前記撮影装置は、前記前部座席の前方に位置する前記窓を介して前記車外空間を撮影し、前記制御装置は、前記第1検出装置の検出結果に基づいて前記乗員の人数と位置を取得し、乗員の位置に基づいて運転者以外の前記乗員が前記前部座席に存在するか否かを判定し、前記運転者以外の前記乗員が前記前部座席に存在する場合に、前記運転者以外の前記乗員が前記前部座席に存在しない場合よりも、前記第1制御パターン候補における前記加熱装置のデューティー比を大きな値に設定しても良い。
【0019】
運転者以外の乗員が前部座席に存在する場合には、運転者以外の乗員が前部座席に存在しない場合と比較して、前部座席の前方の窓の近傍で乗員が放出する水蒸気の量が増えるため、前部座席の前方の窓が曇りやすくなる。上記の態様によれば、このような傾向を考慮して、第1制御パターン候補における加熱装置のデューティー比を適切な値に設定することができる。
【0020】
上記の態様において、前記第2検出装置は、前記車外空間の温度を検出する車外温度センサ(43)を含み、前記制御装置は、前記車外空間の温度が低いほど、前記第2制御パターン候補における前記加熱装置のデューティー比を大きな値に設定しても良い。
【0021】
車外空間の温度が低いほど、窓の温度も低くなるため、車内空間の水蒸気が窓の近傍で凝集しやすくなり、窓が曇りやすくなる。上記の態様によれば、このような傾向を考慮して、第2制御パターン候補における加熱装置のデューティー比を適切な値に設定することができる。
【0022】
上記の態様において、前記第2検出装置は、前記車外空間の温度を検出する車外温度センサ(43)と、前記車内空間の温度を検出する車内温度センサ(41)と、を含み、前記制御装置は、前記車外空間の温度が所定の基準温度以下である場合に、前記車内空間と前記車外空間の温度差が小さいほど、前記第2制御パターン候補における前記加熱装置のデューティー比を大きな値に設定しても良い。
【0023】
車外空間の温度が比較的低い場合、車内空間と車外空間の温度差が小さければ、車内空間及び窓の温度も比較的低いと推定される。このような状態で乗員が車両に乗り込むと、乗員の体温によって車内空間の温度が上昇し、車内空間と窓の温度差が一時的に大きくなる。同時に、乗員が放出する水蒸気によって車内空間の湿度も上昇する。これに伴って、車内空間の水蒸気が窓の近傍で凝集しやすくなり、窓が曇りやすくなる。上記の態様によれば、このような傾向を考慮して、第2制御パターン候補における加熱装置のデューティー比を適切な値に設定することができる。
【0024】
上記の態様において、前記第3検出装置は、車速を検出する車速センサを含み、前記制御装置は、前記車速が高いほど、前記第3制御パターン候補における前記加熱装置のデューティー比を大きな値に設定しても良い。
【0025】
車速が高いほど、走行風によって窓が冷やされるため、車内空間の水蒸気が窓の近傍で凝集しやすくなり、窓が曇りやすくなる。上記の態様によれば、このような傾向を考慮して、第3制御パターン候補における加熱装置のデューティー比を適切な値に設定することができる。
【0026】
上記の態様において、前記制御装置は、前記空調装置の風量が多いほど、前記第4制御パターン候補における前記加熱装置のデューティー比を小さな値に設定しても良い。
【0027】
空調装置の風量が多いほど、外気導入や除湿の効果が高まるため、窓が曇りにくくなる。上記の態様によれば、このような傾向を考慮して、第4制御パターン候補における加熱装置のデューティー比を適切な値に設定することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上の構成によれば、電力の消費効率を高めつつ、窓の曇りを効果的に抑制することが可能な曇り止めシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1実施形態に係る車両を示す斜視図
図2】本発明の第1実施形態に係るフロントウィンドウとその周辺部を示す断面図
図3】本発明の第1実施形態に係る車両を示すブロック図
図4】本発明の第1実施形態に係る第1決定処理を示すフローチャート
図5】本発明の第1実施形態に係る第1制御パターン候補の各パターンを示す波形図
図6】本発明の第1実施形態に係る第2決定処理を示すフローチャート
図7】本発明の第1実施形態に係る第2制御パターン候補の各パターンを示す波形図
図8】本発明の第1実施形態に係る第3決定処理を示すフローチャート
図9】本発明の第1実施形態に係る第3制御パターン候補の各パターンを示す波形図
図10】本発明の第1実施形態に係る第4決定処理を示すフローチャート
図11】本発明の第1実施形態に係る第4制御パターン候補の各パターンを示す波形図
図12】本発明の第1実施形態に係る曇り止め制御を示すフローチャート
図13】本発明の第2実施形態に係る第1決定処理を示すフローチャート
図14】本発明の第2実施形態に係る第1制御パターン候補の各パターンを示す波形図
図15】本発明の第3実施形態に係る第2決定処理を示すフローチャート
図16】本発明の第3実施形態に係る第2制御パターン候補の各パターンを示す波形図
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
以下、図1図12を参照しつつ、本発明の第1実施形態について説明する。
【0031】
<車両1>
まず、図1図3を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る車両1について説明する。
【0032】
図1を参照して、本実施形態に係る車両1は、自動車である。車両1は、前後方向に長い車体2を有する。車体2の内部には車内空間SP1が形成されており、車内空間SP1の前後方向中央部には乗員を収容する車室3が設けられている。車室3には、例えば、複数の前部座席4(運転席、助手席)と、前部座席4の後方に配置される複数の後部座席5と、が設けられている。なお、本実施形態では座席が前後に2列設けられているが、他の実施形態では座席が前後に1列だけ設けられていても良いし、座席が前後に3列以上設けられていても良い。
【0033】
車体2の前部には、前部座席4の前方にフロントウィンドウ6(窓の一例)が設けられている。フロントウィンドウ6は、ガラスによって形成されている。なお、他の実施形態では、フロントウィンドウ6がガラス以外の透明性材料(例えば、透明性樹脂)によって形成されていても良い。車体2の後部には、後部座席5の後方にリアウィンドウ7が設けられている。車体2の両側部には、前部座席4及び後部座席5の側方に複数のサイドドア8が設けられており、各サイドドア8の上部にはサイドウィンドウ9が設けられている。
【0034】
図1図2を参照して、フロントウィンドウ6の上部後方には、フロントカメラ10(撮影装置の一例)が設けられている。フロントカメラ10は、車内空間SP1からフロントウィンドウ6を介して車外空間SP2(本実施形態では、車両1の前方の空間)を撮影する装置である。フロントカメラ10は、例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。フロントカメラ10は、フロントウィンドウ6を介して前方から入射される光を収束させるレンズと、レンズによって収束された光を電気信号に変換するセンサと、を含む。なお、図2の矢印Pは、フロントカメラ10の視野(撮影可能範囲)を示している。
【0035】
図2を参照して、フロントカメラ10は、ブラケット11を介してフロントウィンドウ6の内面に取り付けられている。ブラケット11は、フロントカメラ10の周りに配置される本体部12と、本体部12から前方に延びるフード部13と、を含む。本体部12は、フロントウィンドウ6の内面に固定されている。フード部13は、フロントウィンドウ6と共にフロントカメラ10のレンズの前方の空間を囲んでいる。フード部13は、左右方向に延びる底壁13Aと、底壁13Aの左右両端部から上方に延びる左右両側壁13B(図2では、右側壁13Bのみを表示)と、を含む。
【0036】
図3を参照して、車両1は、推進装置14と、ブレーキ装置15と、ステアリング装置16と、HMI17(Human Machine Interface)と、ナビゲーション装置18と、加熱装置19と、空調装置20と、乗員センサ21と、外界センサ22と、車両センサ23と、制御装置26と、を備えている。加熱装置19、空調装置20、乗員センサ21、外界センサ22、車両センサ23、及び制御装置26は、曇り止めシステムXを構成している。
【0037】
推進装置14は、車両1に駆動力を付与する装置である。推進装置14は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関及び/又は電動モータを含む。
【0038】
ブレーキ装置15は、車両1に制動力を付与する装置である。ブレーキ装置15は、例えば、ブレーキロータにパッドを押し付けるブレーキキャリパと、ブレーキキャリパに油圧を供給する電動シリンダとを含む。
【0039】
ステアリング装置16は、車輪の舵角を変える装置である。ステアリング装置16は、例えば、車輪を転舵するラックアンドピニオン機構と、ラックアンドピニオン機構を駆動する電動モータとを含む。
【0040】
HMI17は、各種情報(例えば、加熱装置19の故障)を乗員に報知するとともに、乗員から入力操作を受け付ける装置である。HMI17は、例えば、タッチパネル、音声発生装置、イグニッションスイッチ等を含む。
【0041】
ナビゲーション装置18は、車両1の目的地への経路案内等を行う装置である。ナビゲーション装置18は、乗員から入力操作を受け付ける入力機器を含む。この入力機器は、HMI17の一部によって構成されていても良いし、HMI17とは別個に設けられていても良い。ナビゲーション装置18は、地図情報を記憶している。ナビゲーション装置18は、人工衛星から受信した信号に基づいて車両1の現在位置(緯度及び経度)を特定する。ナビゲーション装置18は、地図情報と車両1の現在位置と乗員が上記入力機器に入力した車両1の目的地とに基づいて、車両1の出発地(例えば、現在位置)から目的地までの経路を設定する。
【0042】
加熱装置19は、フロントウィンドウ6を加熱することでフロントウィンドウ6の曇りを抑制する装置である。図2を参照して、加熱装置19は、フロントウィンドウ6の内面に接触する複数本の金属製の電熱線28によって構成されている。複数本の電熱線28のうちの少なくとも一部は、フロントカメラ10の視野(図2の矢印P参照)内に配置されていると良い。なお、他の実施形態では、加熱装置19は、ITOフィルム(Indium Tin Oxide Film)等の透明フィルムによって構成されていても良い。また、他の実施形態では、加熱装置19は、フロントウィンドウ6に内蔵されていても良いし、フロントウィンドウ6と間隔を介して対向していても良い。
【0043】
図3を参照して、空調装置20は、車内空間SP1の空気を調整する装置である。空調装置20は、車内空間SP1及び車外空間SP2に接続されたダクトと、ダクト内に設置されるエバポレータ及びヒータコアと、ダクト内に空気の流れを発生させるブロアファンと、ブロアファンを駆動させる電動モータと、を含む。空調装置20は、風量(ブロアファンの回転数)や空調モードを切り替え可能に設けられている。上記の空調モードには、例えば、車外空間SP2の空気を車内空間SP1に導入する外気導入モードと、車内空間SP1の空気を循環させる内気循環モードと、フロントウィンドウ6に向かって空気を吹き付けるデフロスタモードとが含まれる。
【0044】
乗員センサ21は、乗員の乗車状態を検出するセンサである。乗員センサ21は、乗員によるシートベルトの装着状態を検出するシートベルトセンサ35(第1検出装置の一例)と、乗員を撮影する乗員カメラ36と、を含む。
【0045】
外界センサ22は、車外空間SP2に存在する物標(例えば、車両1の走行路上の障害物や区画線)を検出するセンサである。外界センサ22は、前述のフロントカメラ10と、ソナー38と、車外カメラ39と、を含む。
【0046】
車両センサ23は、車内空間SP1の状態、車外空間SP2の状態、車両1の走行状態等を検出するセンサである。車両センサ23は、車内空間SP1の温度(以下、「車内温度」と称する)を検出する車内温度センサ41と、車内空間SP1の湿度(以下、「車内湿度」と称する)を検出する車内湿度センサ42と、車外空間SP2の温度(以下、「車外温度」と称する)を検出する車外温度センサ43(第2検出装置の一例)と、車速を検出する車速センサ44(第3検出装置の一例)とを含む。
【0047】
制御装置26は、CPUやROM、RAM等から構成された電子制御ユニットである。制御装置26は、CAN(Controller Area Network)等の通信ネットワークによって車両1の各構成要素に接続されており、車両1の各構成要素を制御する。
【0048】
制御装置26は、外界認識部52と走行制御部53と曇り止め制御部54と記憶部55とを含む。
【0049】
制御装置26の外界認識部52は、外界センサ22の検出結果に基づいて、車外空間SP2に存在する物標(例えば、車両1の走行路上の障害物や区画線)の位置を認識する。例えば、外界認識部52は、フロントカメラ10が撮影した画像上の濃度値の変化を解析することで、車両1の前方に存在する物標の位置を認識する。
【0050】
制御装置26の走行制御部53は、外界センサ22や車両センサ23の検出結果に基づいて、車両1の走行を制御する。例えば、車速センサ44が検出した車速が所定の第1閾値速度以上である場合に、走行制御部53は、外界認識部52が認識した区画線の位置に基づいて車線維持制御を実行する。車線維持制御において、走行制御部53は、区画線によって区画される車線内の基準位置(例えば、車線の幅方向中央)を車両1が走行するように、ステアリング装置16を制御する。また、車速センサ44が検出した車速が所定の第2閾値速度以上である場合に、走行制御部53は、外界認識部52が認識した障害物の位置に基づいて衝突軽減制御を実行する。衝突軽減制御において、走行制御部53は、車両1と障害物との衝突が回避又は軽減されるように、ブレーキ装置15を制御する。
【0051】
制御装置26の曇り止め制御部54は、フロントウィンドウ6の曇りを抑制すべく、加熱装置19及び空調装置20を制御する。例えば、曇り止め制御部54は、車両センサ23の検出結果やHMI17に対する乗員の入力操作に基づいて、空調装置20の風量や空調モードを切り替える。曇り止め制御部54は、車両センサ23の検出結果等に基づいて、PWM制御によって加熱装置19を制御する。
【0052】
制御装置26の記憶部55は、メモリやHDD等によって構成されている。記憶部55は、車両1の制御に必要なプログラムやテーブル等を記憶している。
【0053】
<第1決定処理>
次に、図4図5を参照しつつ、制御装置26の曇り止め制御部54が実行する第1決定処理について説明する。第1決定処理は、乗員の人数(以下、「乗車人数」と称する)に基づいて加熱装置19の第1制御パターン候補を決定するための処理である。第1決定処理は、例えば、車両1のイグニッションスイッチがONになった直後(加熱装置19の電源がONになった直後)に実行される。以下、車両1の定員数が5人である場合を例に説明を行うが、車両1の定員数が4人以下又は6人以上である場合も同様の処理を実行することができる。
【0054】
図4を参照して、第1決定処理が開始されると、曇り止め制御部54は、シートベルトセンサ35の検出結果に基づいて乗車人数を取得する(ステップST1)。なお、他の実施形態では、曇り止め制御部54は、乗員カメラ36が撮影した乗員の画像に基づいて乗車人数を取得しても良い。
【0055】
次に、曇り止め制御部54は、乗車人数が1人であるか否かを判定する(ステップST2)。乗車人数が1人である場合(ステップST2:Yes)、曇り止め制御部54は、第1制御パターン候補をパターン1-1に決定する(ステップST3)。
【0056】
乗車人数が1人でない場合(ステップST2:No)、曇り止め制御部54は、乗車人数が2人であるか否かを判定する(ステップST4)。乗車人数が2人である場合(ステップST4:Yes)、曇り止め制御部54は、第1制御パターン候補をパターン1-2に決定する(ステップST5)。
【0057】
乗車人数が2人でない場合(ステップST4:No)、曇り止め制御部54は、乗車人数が3人であるか否かを判定する(ステップST6)。乗車人数が3人である場合(ステップST6:Yes)、曇り止め制御部54は、第1制御パターン候補をパターン1-3に決定する(ステップST7)。
【0058】
乗車人数が3人でない場合(ステップST6:No)、曇り止め制御部54は、乗車人数が4人であるか否かを判定する(ステップST8)。乗車人数が4人である場合(ステップST8:Yes)、曇り止め制御部54は、第1制御パターン候補をパターン1-4に決定する(ステップST9)。乗車人数が4人でない場合(ステップST8:No)、即ち、乗車人数が5人である場合、曇り止め制御部54は、第1制御パターン候補をパターン1-5に決定する(ステップST10)。
【0059】
図5を参照して、第1制御パターン候補のパターン1-1~パターン1-5では、パターン1-1、パターン1-2、パターン1-3、パターン1-4、パターン1-5の順に、加熱装置19のデューティー比が大きくなっている。このように、曇り止め制御部54は、ステップST1で取得した乗車人数が多いほど、第1制御パターン候補における加熱装置19のデューティー比を大きな値に設定する。
【0060】
乗車人数が多いほど、乗員が放出する水蒸気量が増えるため、フロントウィンドウ6が曇りやすくなる。上記の第1決定処理によれば、このような傾向を考慮して、第1制御パターン候補における加熱装置19のデューティー比を適切な値に設定することができる。
【0061】
<第2決定処理>
次に、図6図7を参照しつつ、曇り止め制御部54が実行する第2決定処理について説明する。第2決定処理は、車外温度に基づいて加熱装置19の第2制御パターン候補を決定するための処理である。なお、車外温度は、車両1の走行領域や走行時間帯に応じて大きく変動する可能性がある。そのため、第2決定処理は、車両1のイグニッションスイッチがONになった直後(加熱装置19の電源がONになった直後)から定期的に実行されると良い。
【0062】
図6を参照して、第2決定処理が開始されると、曇り止め制御部54は、車外温度センサ43の検出結果に基づいて車外温度を取得する(ステップST11)。
【0063】
次に、曇り止め制御部54は、車外温度が0℃よりも高いか否かを判定する(ステップST12)。車外温度が0℃よりも高い場合(ステップST12:Yes)、曇り止め制御部54は、第2制御パターン候補をパターン2-1に決定する(ステップST13)。
【0064】
車外温度が0℃以下である場合(ステップST12:No)、曇り止め制御部54は、車外温度が-10℃よりも高いか否かを判定する(ステップST14)。車外温度が-10℃よりも高い場合(ステップST14:Yes)、曇り止め制御部54は、第2制御パターン候補をパターン2-2に決定する(ステップST15)。
【0065】
車外温度が-10℃以下である場合(ステップST14:No)、曇り止め制御部54は、車外温度が-20℃よりも高いか否かを判定する(ステップST16)。車外温度が-20℃よりも高い場合(ステップST16:Yes)、曇り止め制御部54は、第2制御パターン候補をパターン2-3に決定する(ステップST17)。
【0066】
車外温度が-20℃以下である場合(ステップST16:No)、曇り止め制御部54は、車外温度が-30℃よりも高いか否かを判定する(ステップST18)。車外温度が-30℃よりも高い場合(ステップST18:Yes)、曇り止め制御部54は、第2制御パターン候補をパターン2-4に決定する(ステップST19)。車外温度が-30℃以下である場合(ステップST18:No)、曇り止め制御部54は、第2制御パターン候補をパターン2-5に決定する(ステップST20)。
【0067】
図7を参照して、第2制御パターン候補のパターン2-1~パターン2-5では、パターン2-1、パターン2-2、パターン2-3、パターン2-4、パターン2-5の順に、加熱装置19のデューティー比が大きくなっている。このように、曇り止め制御部54は、ステップST11で取得した車外温度が低いほど、第2制御パターン候補における加熱装置19のデューティー比を大きな値に設定する。
【0068】
車外温度が低いほど、フロントウィンドウ6の温度も低くなるため、車内空間SP1の水蒸気がフロントウィンドウ6の近傍で凝集しやすくなり、フロントウィンドウ6が曇りやすくなる。上記の第2決定処理によれば、このような傾向を考慮して、第2制御パターン候補における加熱装置19のデューティー比を適切な値に設定することができる。
【0069】
<第3決定処理>
次に、図8図9を参照しつつ、曇り止め制御部54が実行する第3決定処理について説明する。第3決定処理は、車速に基づいて加熱装置19の第3制御パターン候補を決定するための処理である。なお、車速は、車両1の走行時に大きく変動する。そのため、第3決定処理は、車両1のイグニッションスイッチがONになった直後(加熱装置19の電源がONになった直後)から定期的に実行されると良い。
【0070】
図8を参照して、第3決定処理が開始されると、曇り止め制御部54は、車速センサ44の検出結果に基づいて車速を取得する(ステップST21)。
【0071】
次に、曇り止め制御部54は、車速が25km/hよりも低いか否かを判定する(ステップST22)。車速が25km/hよりも低い場合(ステップST22:Yes)、曇り止め制御部54は、第3制御パターン候補をパターン3-1に決定する(ステップST23)。
【0072】
車速が25km/h以上である場合(ステップST22:No)、曇り止め制御部54は、車速が50km/hよりも低いか否かを判定する(ステップST24)。車速が50km/hよりも低い場合(ステップST24:Yes)、曇り止め制御部54は、第3制御パターン候補をパターン3-2に決定する(ステップST25)。
【0073】
車速が50km/h以上である場合(ステップST24:No)、曇り止め制御部54は、車速が75km/hよりも低いか否かを判定する(ステップST26)。車速が75km/hよりも低い場合(ステップST26:Yes)、曇り止め制御部54は、第3制御パターン候補をパターン3-3に決定する(ステップST27)。
【0074】
車速が75km/h以上である場合(ステップST26:No)、曇り止め制御部54は、車速が100km/hよりも低いか否かを判定する(ステップST28)。車速が100km/hよりも低い場合(ステップST28:Yes)、曇り止め制御部54は、第3制御パターン候補をパターン3-4に決定する(ステップST29)。車速が100km/h以上である場合(ステップST28:No)、曇り止め制御部54は、第3制御パターン候補をパターン3-5に決定する(ステップST30)。
【0075】
図9を参照して、第3制御パターン候補のパターン3-1~パターン3-5では、パターン3-1、パターン3-2、パターン3-3、パターン3-4、パターン3-5の順に、加熱装置19のデューティー比が大きくなっている。このように、曇り止め制御部54は、ステップST21で取得した車速が高いほど、第3制御パターン候補における加熱装置19のデューティー比を大きな値に設定する。
【0076】
車速が高いほど、走行風によってフロントウィンドウ6が冷やされるため、車内空間SP1の水蒸気がフロントウィンドウ6の近傍で凝集しやすくなり、フロントウィンドウ6が曇りやすくなる。上記の第3決定処理によれば、このような傾向を考慮して、第3制御パターン候補における加熱装置19のデューティー比を適切な値に設定することができる。
【0077】
<第4決定処理>
次に、図10図11を参照しつつ、曇り止め制御部54が実行する第4決定処理について説明する。第4決定処理は、空調装置20の風量(ブロアファンの回転数)に基づいて加熱装置19の第4制御パターン候補を決定するための処理である。なお、空調装置20の風量は、車両1の走行領域や走行時間帯に応じて大きく変動する可能性がある。そのため、第4決定処理は、車両1のイグニッションスイッチがONになった直後(加熱装置19の電源がONになった直後)から定期的に実行されると良い。以下、空調装置20の風量が5段階で切り替えられる場合を例に説明を行うが、空調装置20の風量が4段階以下又は6段階以上で切り替えられる場合も同様の処理を実行することができる。
【0078】
図10を参照して、第4決定処理が開始されると、曇り止め制御部54は、空調装置20の風量目盛りを取得する(ステップST31)。風量目盛りは、空調装置20の風量と比例する設定値であり、乗員によるHMI17に対する入力操作や車両センサ23の検出結果に基づいて切り替えられる。
【0079】
次に、曇り止め制御部54は、風量目盛りが「1」に設定されているか否かを判定する(ステップST32)。風量目盛りが「1」に設定されている場合(ステップST32:Yes)、曇り止め制御部54は、第4制御パターン候補をパターン4-1に決定する(ステップST33)。
【0080】
風量目盛りが「1」に設定されていない場合(ステップST32:No)、曇り止め制御部54は、風量目盛りが「2」に設定されているか否かを判定する(ステップST34)。風量目盛りが「2」に設定されている場合(ステップST34:Yes)、曇り止め制御部54は、第4制御パターン候補をパターン4-2に決定する(ステップST35)。
【0081】
風量目盛りが「2」に設定されていない場合(ステップST34:No)、曇り止め制御部54は、風量目盛りが「3」に設定されているか否かを判定する(ステップST36)。風量目盛りが「3」に設定されている場合(ステップST36:Yes)、曇り止め制御部54は、第4制御パターン候補をパターン4-3に決定する(ステップST37)。
【0082】
風量目盛りが「3」に設定されていない場合(ステップST36:No)、曇り止め制御部54は、風量目盛りが「4」に設定されているか否かを判定する(ステップST38)。風量目盛りが「4」に設定されている場合(ステップST38:Yes)、曇り止め制御部54は、第4制御パターン候補をパターン4-4に決定する(ステップST39)。風量目盛りが「4」に設定されていない場合(ステップST38:No)、即ち、風量目盛りが「5」に設定されている場合、曇り止め制御部54は、第4制御パターン候補をパターン4-5に決定する(ステップST40)。
【0083】
図11を参照して、第4制御パターン候補のパターン4-1~パターン4-5では、パターン4-1、パターン4-2、パターン4-3、パターン4-4、パターン4-5の順に、加熱装置19のデューティー比が小さくなっている。このように、曇り止め制御部54は、ステップST31で取得した風量目盛りが大きいほど(即ち、空調装置20の風量が多いほど)、第4制御パターン候補における加熱装置19のデューティー比を小さな値に設定する。
【0084】
空調装置20の風量が多いほど、外気導入や除湿の効果が高まるため、フロントウィンドウ6が曇りにくくなる。上記の第4決定処理によれば、このような傾向を考慮して、第4制御パターン候補における加熱装置19のデューティー比を適切な値に設定することができる。
【0085】
<曇り止め制御>
次に、図12を参照しつつ、曇り止め制御部54が実行する曇り止め制御について説明する。曇り止め制御は、フロントウィンドウ6の曇りを抑制するための制御である。例えば、曇り止め制御は、車両1のイグニッションスイッチがONになった直後から定期的に実行される。
【0086】
曇り止め制御が開始されると、曇り止め制御部54は、上述の第1~第4決定処理を実行することで、第1~第4制御パターン候補を決定する(ステップST41~ステップST44)。なお、車両1のイグニッションスイッチがONになった直後以外のタイミングで曇り止め制御が実行される場合、曇り止め制御部54は、車両1のイグニッションスイッチがONになった直後の第1決定処理で決定された第1制御パターン候補を流用することで、第1決定処理を省略しても良い。
【0087】
次に、曇り止め制御部54は、最終決定処理を実行する(ステップST45)。最終決定処理において、曇り止め制御部54は、第1~第4制御パターン候補に基づいて加熱装置19の制御パターンを決定する。例えば、曇り止め制御部54は、第1~第4制御パターン候補のうちで加熱装置19のデューティー比が最も高いものを、加熱装置19の制御パターンに決定する。なお、他の実施形態では、曇り止め制御部54は、第1~第4制御パターン候補における加熱装置19のデューティー比の平均値を算出し、加熱装置19の制御パターンのデューティー比が上記の平均値と一致するように加熱装置19の制御パターンを決定しても良い。更に、他の実施形態では、曇り止め制御部54は、所定の規則に基づいて第1~第4制御パターン候補に対する重み付けを行い、重み付けされた第1~第4制御パターン候補に基づいて加熱装置19の制御パターンを決定しても良い。
【0088】
次に、曇り止め制御部54は、曇り止め処理を実行する(ステップST46)。曇り止め処理において、曇り止め制御部54は、フロントウィンドウ6の曇りを抑制すべく、最終決定処理(ステップST45)において決定した加熱装置19の制御パターンによって加熱装置19を制御する。
【0089】
以上のように、曇り止め制御部54は、シートベルトセンサ35、車外温度センサ43、及び車速センサ44の検出結果と空調装置20の稼働状態とに基づいて加熱装置19を制御する。これにより、フロントウィンドウ6の曇り易さを変化させる様々な要因に基づいて加熱装置19を制御することができる。これに伴って、加熱装置19の稼働時間や出力を適正化することができるため、電力の消費効率を高めつつ、フロントウィンドウ6の曇りを効果的に抑制することができる。
【0090】
また、曇り止め制御部54は、加熱装置19の第1~第4制御パターン候補に基づいて加熱装置19の制御パターンを決定し、決定した制御パターンによって加熱装置19を制御する。これにより、フロントウィンドウ6の曇り易さを変化させる要因ごとに決定された制御パターン候補に基づいて、加熱装置19の制御パターンを適切に決定することができる。
【0091】
また、曇り止め制御部54は、PWM制御によって加熱装置19を制御し、第1~第4制御パターン候補及び制御パターンは、いずれも、加熱装置19のデューティー比を規定している。このようにPWM制御によって加熱装置19を制御することで、加熱装置19の熱損失を減らすことができる。そのため、電力の消費効率を更に高めることができる。
【0092】
また、曇り止め制御部54は、第1~第4制御パターン候補のうちで加熱装置19のデューティー比が最も高いものを加熱装置19の制御パターンに決定する。これにより、フロントウィンドウ6が最も曇り易くなる状況に対応できるように、加熱装置19を稼働させることができる。そのため、フロントウィンドウ6が曇るのをより効果的に抑制することができる。
【0093】
(第2実施形態)
次に、図13図14を参照しつつ、本発明の第2実施形態について説明する。なお、曇り止め制御部54が実行する第1決定処理以外の内容は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、第1決定処理のステップST2~ステップST4、ステップST6、ステップST8は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0094】
図13を参照して、第1決定処理が開始されると、曇り止め制御部54は、シートベルトセンサ35の検出結果に基づいて乗車人数及び乗員の位置を取得する(ステップST1)。なお、他の実施形態では、曇り止め制御部54は、乗員カメラ36が撮影した乗員の画像に基づいて乗車人数及び乗員の位置を取得しても良い。
【0095】
次に、曇り止め制御部54は、第1実施形態と同様にステップST2~ステップST4を実行する。ステップST4の判定がYesである場合(乗車人数が2人である場合)、曇り止め制御部54は、運転者以外の乗員(以下、「同乗者」と称する)が前部座席4に存在するか否かを判定する(ステップST4A)。同乗者が前部座席4に存在する場合(ステップST4A:Yes)、曇り止め制御部54は、第1制御パターン候補をパターン1-2Aに決定する(ステップST5A)。同乗者が前部座席4に存在しない場合(ステップST4A:No)、曇り止め制御部54は、第1制御パターン候補をパターン1-2Bに決定する(ステップST5B)。
【0096】
同様に、ステップST6、ステップST8の判定がYesである場合(乗車人数が3人又は4人である場合)に、曇り止め制御部54は、同乗者が前部座席4に存在するか否かを判定する(ステップST6A、ステップST8A)。同乗者が前部座席4に存在する場合(ステップST6A、ステップST8A:Yes)、曇り止め制御部54は、第1制御パターン候補をパターン1-3A、1-4Aにそれぞれ決定する(ステップST7A、ステップST9A)。同乗者が前部座席4に存在しない場合(ステップST6A、ステップST8A:No)、曇り止め制御部54は、第1制御パターン候補をパターン1-3B、1-4Bにそれぞれ決定する(ステップST7B、ステップST9B)。
【0097】
図14を参照して、パターン1-2Aとパターン1-2Bでは、パターン1-2Aの方がパターン1-2Bよりも加熱装置19のデューティー比が大きくなっている。同様に、パターン1-3Aとパターン1-3Bでは、パターン1-3Aの方がパターン1-3Bよりも加熱装置19のデューティー比が大きくなっており、パターン1-4Aとパターン1-4Bでは、パターン1-4Aの方がパターン1-4Bよりも加熱装置19のデューティー比が大きくなっている。このように、曇り止め制御部54は、同乗者が前部座席4に存在する場合に、同乗者が前部座席4に存在しない場合よりも、第1制御パターン候補における加熱装置19のデューティー比を大きな値に設定する。
【0098】
同乗者が前部座席4に存在する場合には、同乗者が前部座席4に存在しない場合と比較して、フロントウィンドウ6の近傍で乗員が放出する水蒸気の量が増えるため、フロントウィンドウ6が曇りやすくなる。第2実施形態の第1決定処理によれば、このような傾向を考慮して、第1制御パターン候補における加熱装置19のデューティー比を適切な値に設定することができる。
【0099】
(第3実施形態)
次に、図15図16を参照しつつ、本発明の第3実施形態について説明する。なお、曇り止め制御部54が実行する第2決定処理以外の内容は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0100】
第2決定処理が開始されると、曇り止め制御部54は、車外温度センサ43の検出結果に基づいて車外温度を取得する。次に、曇り止め制御部54は、車外温度が所定の基準温度(例えば、10℃)以下であるか否かを判定する。なお、他の実施形態では、基準温度は、10℃以外の温度であっても良い。
【0101】
車外温度が基準温度よりも高い場合、曇り止め制御部54は、第2制御パターン候補を決定することなく、第2決定処理を終了する。この場合、曇り止め制御部54は、加熱装置19を稼働させない。
【0102】
一方で、車外温度が基準温度以下である場合、曇り止め制御部54は、車内温度センサ41及び車外温度センサ43の検出結果に基づいて車内空間SP1と車外空間SP2の温度差(以下、「内外温度差」と称する)を取得する(ステップST41)。
【0103】
次に、曇り止め制御部54は、内外温度差が5℃よりも小さいか否かを判定する(ステップST42)。内外温度差が5℃よりも小さい場合(ステップST42:Yes)、曇り止め制御部54は、第2制御パターン候補をパターン5-1に決定する(ステップST43)。
【0104】
内外温度差が5℃以上である場合(ステップST42:No)、曇り止め制御部54は、内外温度差が10℃よりも小さいか否かを判定する(ステップST44)。内外温度差が10℃よりも小さい場合(ステップST44:Yes)、曇り止め制御部54は、第2制御パターン候補をパターン5-2に決定する(ステップST45)。
【0105】
内外温度差が10℃以上である場合(ステップST44:No)、曇り止め制御部54は、内外温度差が15℃よりも小さいか否かを判定する(ステップST46)。内外温度差が15℃よりも小さい場合(ステップST46:Yes)、曇り止め制御部54は、第2制御パターン候補をパターン5-3に決定する(ステップST47)。
【0106】
内外温度差が15℃以上である場合(ステップST46:No)、曇り止め制御部54は、内外温度差が20℃よりも小さいか否かを判定する(ステップST48)。内外温度差が20℃よりも小さい場合(ステップST48:Yes)、曇り止め制御部54は、第2制御パターン候補をパターン5-4に決定する(ステップST49)。内外温度差が20℃以上である場合(ステップST48:No)、曇り止め制御部54は、第2制御パターン候補をパターン5-5に決定する(ステップST50)。
【0107】
図16を参照して、第2制御パターン候補のパターン5-1からパターン5-5では、パターン5-5、パターン5-4、パターン5-3、パターン5-2、パターン5-1の順に、加熱装置19のデューティー比が大きくなっている。このように、車外温度が基準温度以下である場合に、曇り止め制御部54は、ステップST41で取得した内外温度差が小さいほど、第2制御パターン候補における加熱装置19のデューティー比を大きな値に設定する。
【0108】
車外温度が比較的低い場合、内外温度差が小さければ、車内温度及びフロントウィンドウ6の温度も比較的低いと推定される。このような状態で乗員が車両1に乗り込むと、乗員の体温によって車内空間SP1の温度が上昇し、車内空間SP1とフロントウィンドウ6の温度差が一時的に大きくなる。同時に、乗員が放出する水蒸気によって車内空間SP1の湿度も上昇する。これに伴って、車内空間SP1の水蒸気がフロントウィンドウ6の近傍で凝集しやすくなり、フロントウィンドウ6が曇りやすくなる。第3実施形態の第2決定処理によれば、このような傾向を考慮して、第2制御パターン候補における加熱装置19のデューティー比を適切な値に設定することができる。
【0109】
上記の第1~第3実施形態では、曇り止めシステムXによってフロントウィンドウ6の曇りを抑制しているが、他の実施形態では、曇り止めシステムXによってリアウィンドウ7やサイドウィンドウ9の曇りを抑制しても良い。言い換えると、上記の第1~第3実施形態では、フロントカメラ10を撮影装置の一例としているが、他の実施形態では、リアカメラやサイドカメラ(いずれも図示せず)を撮影装置の一例としても良い。
【0110】
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 :車両
4 :前部座席
5 :後部座席
6 :フロントウィンドウ(窓の一例)
10 :フロントカメラ(撮影装置の一例)
19 :加熱装置
20 :空調装置
26 :制御装置
35 :シートベルトセンサ(第1検出装置の一例)
41 :車内温度センサ(第2検出装置の一例)
43 :車外温度センサ(第2検出装置の一例)
44 :車速センサ(第3検出装置の一例)
SP1 :車内空間
SP2 :車外空間
X :曇り止めシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16