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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155808
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】空気吹き出し装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20221006BHJP
   F24F 13/08 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F24F7/06 101A
F24F13/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059216
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012858
【氏名又は名称】パワードライヤー有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(71)【出願人】
【識別番号】521182917
【氏名又は名称】株式会社大川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(71)【出願人】
【識別番号】514038513
【氏名又は名称】株式会社ストラ・テクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】本橋 孝雄
【テーマコード(参考)】
3L058
3L081
【Fターム(参考)】
3L058BC08
3L058BD01
3L058BK01
3L058BK05
3L081AA01
3L081AA10
3L081BA01
(57)【要約】
【課題】箱体の内部空間を通過する空気流に含まれている物質(例えば水蒸気、有害物質)を効率的に均等状態(安定化状態)にすることにより、例えば室内の空気に含まれている湿度の状態、殺菌の有無等の情報を有効的に活用すること。
【解決手段】多数の穴を有する第1空気流衝突板と第2空気流衝突板を両端開口の箱体内に空気流の流れる方向に所要間隙を有して固定的に配設されている空気吹き出し装置であって、前記第1空気流衝突板と第2空気流衝突板の前記多数の穴の位置は、それらの穴の中心をそれぞれ通る軸線が一致しないように互いにずれている空気吹き出し装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の穴を有する第1空気流衝突板と第2空気流衝突板を両端開口の箱体内に空気流の流れる方向に所要間隙を有して固定的に配設されている空気吹き出し装置であって、前記第1空気流衝突板と第2空気流衝突板の前記多数の穴の位置は、それらの穴の中心をそれぞれ通る軸線が一致しないように互いにずれている空気吹き出し装置。
【請求項2】
請求項1の空気吹き出し装置に於いて、前記第1空気流衝突板と第2空気流衝突板の前記多数の穴の位置は、縦方向及び横方向の両方に均一状態で略完全にずれている空気吹き出し装置。
【請求項3】
請求項1の空気吹き出し装置に於いて、第1空気流衝突板と第2空気流衝突板は、同一構造の長方形又は正方形のいずれか一方であり、その縦方向の縁周辺部及び該縦方向の縁周辺部と直交する横方向の縁周辺部は、マトリックス状に形成された前記多数の穴のある有孔領域に対して、穴を有しない列状及び行状の非有孔領域となっていることを特徴とする空気吹き出し装置。
【請求項4】
請求項1の空気吹き出し装置に於いて、前記箱体に前記第1空気流衝突板及び第2空気流衝突板を通過した空気流の中に含まれている物質の量を検出するセンサーが設けられていることを特徴とする空気吹き出し装置。
【請求項5】
請求項1の空気吹き出し装置に於いて、前記箱体に前記第1空気流衝突板及び第2空気流衝突板を通過した空気流に有害物質が含まれているか否かを検知するセンサーが設けられていることを特徴とする空気吹き出し装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5の空気吹き出し装置に於いて、情報処理装置が箱体に設けられ、前記情報処理装置は前記センサーが検知した物質の状態が記憶部に記録した情報に適合するか否かを判断し、該判断結果を出力することを特徴とする空気吹き出し装置。
【請求項7】
請求項1の空気吹き出し装置に於いて、箱体は直管状のダクトであり、該ダクトの一端開口部に相当する空気吸い込み口部、又は他端開口部に相当する空気流吹き出し部のいずれかに、吸い込み装置を構成する電動ファンが配設されていることを特徴とする空気吹き出し装置。
【請求項8】
請求項1の空気吹き出し装置に於いて、箱体の他端開口部に相当する空気流吹き出し部に、空気流の流速に対応して自然に回転する整流用ファンを内設したことを特徴とする空気吹き出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事務室、教室、病院、工場の作業室などの室内に配備される空気吹き出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の発明の課題は、構造が簡単で、空気吹出口の面積や螺旋流発生回転羽根車の大きさ毎に部品を調整する必要がない一様空気流吹出装置を提供することであり、その解決手段は、螺旋方向に交差する多数の壁体を有し、軸方向に空気を透過するハニカム板又はジグザグ状に折り畳んで壁体を形成したフィルタより成る通気抵抗体3を、螺旋流発生回転羽根車2の排風側直前面に設置し、さらにその排風側前面にやや間隔を開けて、全面に亘って開孔率の均一な多孔板4,5を設置する、空気吹き出し装置である。
【0003】
この特許文献1の空気吹き出し装置は、前後面が開口の箱体1の内部空間に全面に亘って開孔率の均一な第1多孔板4と,第2多孔板5を配設し、空気を第1多孔板4と第2多孔板5の各穴に強制的に送り込むものであることから、前方に位置する第1多孔板4の穴を通過した空気が後方に位置する第2多孔板5の同軸上の各穴を通過する際、いわゆる「乱流」が生じ難いという問題点がある。これは螺旋流発生回転羽根車2の排風側直前面にハニカム板又はジグザグ状に折り畳んで壁体を形成したフィルタより成る通気抵抗体3を介して、各穴の中心軸が一致する多孔板4,5を対向状態に設置するからだと推測される。
【0004】
したがって、仮に前記箱体1の前記第1多孔板4及び,第2多孔板5の下流側に「空気流の物質状態検知室」を一体的に設けた場合であっても、空気流が十分に乱流を起こして下流側へ波状に流れないので、本発明の主たる課題を得ることができない(符号は特許文献1のもの)。
【0005】
次に特許文献2の図1には、「筐体Eは、その空気ダクト2の空気流路に、粒子センサー21を有するもの」で、前記粒子センサー21の上流側には、空気処理システムを構成する電動ファンが配設されている。この特許文献2の空気汚染センサシステムは、空気流路を流れる空気流の中に含まれている物質の量(例えば水蒸気の密度)を計測するものではない点、前記空気流路内に複数の空気流衝突板を配設するものではない点等で、本発明とは、その構成が異なる(符号は特許文献2のもの)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-289500号公報
【特許文献2】特開2008-510135号公報の図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主たる目的は、箱体の内部空間を通過する空気流に含まれている物質(例えば水蒸気、有害物質)を効率的に均等状態(安定化状態)にすることにより、例えば室内の空気に含まれている湿度の状態、殺菌の有無等の情報を有効的に活用することができることである。本発明の第2の目的は、製造コストの削減、組み合わせの容易化等を実現することである。その他の目的は、従属項によって特定される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の空気吹き出し装置は、多数の穴を有する第1空気流衝突板と第2空気流衝突板を両端開口の箱体内に空気流の流れる方向に所要間隙を有して固定的に配設されている空気吹き出し装置であって、前記第1空気流衝突板と第2空気流衝突板の前記多数の穴の位置は、それらの穴の中心をそれぞれ通る軸線が一致しないように互いにずれていることを特徴とする。
【0009】
上記構成に於いて、第1空気流衝突板と第2空気流衝突板の前記多数の穴の位置は、縦方向及び横方向の両方に均一状態で略完全にずれていることを特徴とする。また第1空気流衝突板と第2空気流衝突板は、同一構造の長方形又は正方形のいずれか一方であり、その縦方向の縁周辺部及び該縦方向の縁周辺部と直交する横方向の縁周辺部は、マトリックス状に形成された前記多数の穴のある有孔領域に対して、穴を有しない列状及び行状の非有孔領域となっていることを特徴とする。また箱体に第1空気流衝突板及び第2空気流衝突板を通過した空気流の中に含まれている物質の量を検出するセンサーが設けられていることを特徴とする。また箱体に第1空気流衝突板及び第2空気流衝突板を通過した空気流に有害物質が含まれているか否かを検知するセンサーが設けられていることを特徴とする。また箱体の外部に直接又は間接的に情報処理装置が設けられ、情報処理装置はセンサーが検知した物質の状態が記憶部に記録した情報の範囲内であるか否かを判断し、該判断結果を出力することを特徴とする。さらに、箱体は直管状のダクトであり、該ダクトの一端開口部に相当する空気吸い込み口部、又は他端開口部に相当する空気流吹き出し部のいずれかに、吸い込み装置を構成する電動ファンが配設されていることを特徴とする。ここで、「箱体に設けられ」とは、箱体の外壁面、その内壁面、箱体付近の壁などに配備されることをいう。加えて、箱体の他端開口部に相当する空気流吹き出し部に、空気流の流速に対応して自然に回転する整流用ファンを内設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、前方の位置する第1空気流衝突板の多数の穴を通過した直進状態の空気流が、該第1空気流衝突板の後方に所要間隔を有して対向する第2空気流衝突板の多数の穴同士を結ぶ壁状実体部分(非有孔部分)に衝突して十分な乱流が生じ、同時に該壁状実体部分を避けることにより、空気流は該第2空気流衝突板の多数の穴をそれぞれ波状に流れて行くので、該空気流に含まれている物質(例えば水蒸気、有害物質)が均等状態(安定化状態)となる。したがって、該空気流に含まれている物質が、例えば水蒸気の場合には、内部空間の一部に集中して水滴状にならないので、空気流の通り道に存在する水蒸気がセンサーの外面に付着しない。それ故に、空気流に含まれている水蒸気、有害物質等の物質をセンサーで検出することにより、室内の空気に含まれている湿度の状態、殺菌の有無等の情報を有効的に活用することができる。
【0011】
特に、請求項2に記載の発明は、第1空気流衝突板と第2空気流衝突板の多数の穴の位置は、縦方向及び横方向の両方に均一状態で略完全にずれているので、空気流に含まれている物質(例えば水蒸気、有害物質)を効率的に均等状態(安定化状態)にすることができる。
【0012】
また請求項3に記載の発明は、第1空気流衝突板と第2空気流衝突板は、同一構造の長方形又は正方形のいずれか一方であり、その縦方向の縁周辺部及び該縦方向の縁周辺部と直交する横方向の縁周辺部は、マトリックス状に形成された前記多数の穴のある有孔領域に対して、穴を有しない列状及び行状の非有孔領域となっているので、前記第2空気流衝突板を前記第1空気流衝突板に対して逆様状態に対向させることができる。したがって、同一形状及び構造の空気流衝突板を組み合わせることが可能であるから、製造コストの削減、組み合わせの容易化等を実現することができる。その他の効果は、従属項によって特定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1乃至図10は本発明の第1実施形態を示す各説明図。
図1】斜視からの概略説明図(便宜上、箱体を仮想線で示し、一方、数枚の空気流衝突板、電動モータ付き電動ファン、絶対湿度センサーを実線で示す)。
図2】箱体を空気流方向に沿って縦断面で切断した概略説明図。
図3】横長箱体の前方部側の第1筒状部(空気混合処理室)の斜視図。
図4】第1筒状部(空気混合処理室)を構成する両端開口の処理室本体と、この処理室本体に組み込まれる第1空気流衝突板と、第2空気流衝突板とを示す斜視図(便宜上、2枚のみを示す)。
図5】第1空気流衝突板の表面(一端開口部、吸い込み口側)から見た「有孔領域」と「非有孔領域」の説明図。
図6】第2空気流衝突板の表面(一端開口部、吸い込み口側)から見た「有孔領域」と「非有孔領域」の説明図で、第2空気流衝突板は第1空気流衝突板を逆様にしたものである。
図7】箱体を構成する空気混合処理室に空気流衝突板を組み込む一例を示す説明図(空気流衝突板を側壁の垂直案内切欠部から内部空間に差し込む実施例)。
図8】箱体を構成する空気混合処理室の吸い込み口から保持枠を介して空気流衝突板を内部空間に押し込む説明図。
図9】第1空気流衝突板及び第2空気流衝突板の各縦溝に嵌め込んで状態で、互いに対向させた場合に於いて、多数の穴の中心をそれぞれ通る軸線Oが一致しない旨の要部説明図。
図10】第1空気流衝突板の穴を通過した空気が第2空気流衝突板の実体部分に衝突して乱流が生じ、それを避けて直ぐ近くの第2空気流衝突板の穴を通過し、これによって空気流が波状になって水蒸気が均等(安定化)状態になる旨の説明図。
図11】本発明の第2の実施形態を示す説明図(情報処理装置を加味したもの)。
図12】本発明の第3の実施形態を示す説明図(整流用ファンを加味したもの)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至図10は、本発明の第1実施形態を示す各説明図である。まず、図1及び図2を参照にして空気吹き出し装置Xを構成する主な部材について簡単に説明する。この空気吹き出し装置Xは、例えば建物の内部空間を構成する室内の壁面に沿って水平状態に取付けられる。ここで建物の内部空間は建物の出入り口に開閉扉が存在する場合は、共用部分の各住戸の玄関扉の外壁面に至る共用空間のみならず、各住戸の玄関扉の内壁面以降の専有部分の空間も含まれる。また建物には、住居のみならず、工場、作業所、仕事場、学校、病院、会議室、集会所、運動場、水族館などが含まれる。
【0015】
空気吹き出し装置Xは、縦断面が比較的長い矩形状の箱体1(例えば直管状のダクト)の内部空間3、4、5に、空気流が流れる上流側(一端開口部、吸い込み口側)2から下流側(他端開口部、吹き出し口側)6に沿って第1空気流衝突板11と、第2空気流衝突板12と、吸い込み装置を構成する電動モータ16付き電動ファン17と、前記第1空気流衝突板11及び第2空気流衝突板12を通過した空気流の中に含まれている水蒸気S自体の量を検出する絶対湿度センサー21が、所要間隔を有してそれぞれ順番に配設されている。
【0016】
前記横長の箱体1は、曲管状のダクトよりも、直管状のダクトを用いているが好ましい。但し、曲管状のダクトを積極的には排除するものではない。また箱体1は角筒状又は円筒状のいずれであっても良い。また長さや材質如何を問わない。
【0017】
ここで図1を参照にして、前記箱体1を便宜上区分けすると、1aは箱体1の一端開口部に相当する吸込み口2から空気を取り入れ、かつ、第1空気流衝突板11及び第2空気流衝突板12にそれぞれ形成された多数の各穴を介して空気を乱流させる第1内部空間3を有する第1筒状部(以下、「空気混合処理室」とも言う)である。
【0018】
次に1bは第1筒状部(空気混合処理室)1aに直線状に接続する吸い込み装置用の筒状取付け部であり、実施形態では、例えば角筒状である筒状取付け部1bの第2内部空間4の略中央部に電動モータ16付き電動ファン17が支持アーム15を介して配設されている。なお、電動モータ16と電動ファン17が別体の場合には、前記電動モータ16は筒状取付け部1bの上壁に設置し、図示しない動力伝達手段を介して筒状取付け部1bの第2内部空間4に配設した電動ファン17を回転させることができる。また電動ファン17の外観形状や構造如何を問わない。
【0019】
次に1cは筒状取付け部1bに直線状に接続する角筒状の空気流の物質状態検知室で、この空気流の物質状態検知室1cの第3内部空間5には、支持アーム20を介して、第1空気流衝突板11及び第2空気流衝突板12を通過した空気流の中に含まれている水蒸気S自体の量を検出する絶対湿度センサー21が設けられている。この絶対湿度センサー21は、温度補償素子と湿度検出素子とからなり、空気流の通り道である前記空気流の物質状態検知室の第3内部空間5に配置されていることから、空気の湿度(容積絶対湿度)を検出することができる。なお、「容積絶対湿度」とは、空気に含まれる水蒸気の密度で、単位は「g/m3(グラム毎立方メートル)」で表されている。
【0020】
次に箱体1の空気混合処理室1aについて説明する。図4で示すように箱体1の一部を構成する空気混合処理室1aは、実施形態では、アルミニウム、鋼板、合成樹脂等の素材で形成された筒状体、例えば横倒れ直方体である。もちろん、箱体1は垂直状態の直方体であっても良い。
【0021】
ここで図4を参照にすると、符号aは底壁、bは底壁に対して平行に対向する上壁、cは左の対向側壁、dは右の対向側壁、2は吸込み口(空気混合処理室1aの前方開口)、eは空気混合処理室1aの後方開口である。
【0022】
この空気混合処理室1aには、事務室、教室、病院、工場の作業室などの室内に存在する空気が、図示しない給気ダクトを介して、又は介さないで、吸込み口2から第1内部空間3へと、その大部分が吸い込み装置の吸引力によって略直進状態に流れ込む。
【0023】
次に、空気混合処理室1a内に組み込まれる数枚の空気流衝突板について説明する。ここで「数枚」とは、2枚を含み、好ましくは3枚、より好ましくは4枚乃至7枚である。また数枚の空気流衝突板の各間隔は、例えば50mm~100mmである。また空気流衝突板の厚さ、穴の数や形状、穴径如何によって空気の吹き出し速度及び流量が異なるが、発明の課題を達成することができるように設定するのが望ましい。
【0024】
図1及び図2では、例えば合計4枚の空気流衝突板が、両端開口の空気混合処理室1a内に空気流の流れる方向に所要間隙を有して固定的に配設されている。ここでは、説明の便宜上、図5図6を参照にして第1空気流衝突板11と第2空気流衝突板12を説明する。なお、ここでは便宜上、第2空気流衝突板12の後方に位置するものを「第3空気流衝突板11」といい、また「第3空気流衝突板11」の後方に位置するものを「第4空気流衝突板12」という。以下、空気流衝突板の枚数が増えた場合は同様に空気流衝突板11と空気流衝突板12が交互に繰り返す。
【0025】
図5は第1空気流衝突板11の表面(一端開口部、吸い込み口側)から見た「有孔領域」と「非有孔領域」の説明図である。一方、図6は第2空気流衝突板12の表面(一端開口部、吸い込み口側)から見た「有孔領域」と「非有孔領域」の説明図で、この第2空気流衝突板12は第1空気流衝突板11を逆様にしたものである。製造コストの削減等の理由から、空気流衝突板11及び第2空気流衝突板12は同一形状及び構造をしている。したがって、ここでは第1空気流衝突板11の構成を説明し、第2空気流衝突板12の説明は、第1空気流衝突板11の構成のそれを援用する。
【0026】
第1空気流衝突板11と第2空気流衝突板12の多数の穴11a、12aの位置は、例えば図9の要部説明図で示すように、それらの穴11a、12aの中心をそれぞれ通る軸線Oが一致しないように上下方向に互いにずれている。実施形態では、前記多数の穴の位置は、望ましくは縦方向及び横方向の両方に均一状態で略完全にずれている。
【0027】
多数の穴の位置は、例えば上下方向にのみ、又は左右方向にのみ一部又は全部ずれていても良いが、空気流に含まれている物質の一例である水蒸気Sを効率的に均等状態に混合するという発明の主たる課題との関係では、縦方向及び横方向の両方に均一状態で略完全にずれているものが望ましい。もちろん、多数の穴の形状と大きさに関しては、物理的に「円形」であることや「開口率が同一」であることは、必ずしも要しないが、望ましくは板厚、穴径、穴数等を考慮しながら開口率を略同一にする。
【0028】
その場合、壁体にマトリックス状の多数の穴を形成する場合に於いて、第1の壁体と、これに対向する第2の壁体の多数の穴の位置が、行方向(横方向)に一セルずらし、かつ、列方向(縦方向)に一セルずらした二種類の空気流衝突板を製作する場合も考えられるが、製造コストの削減、組み合わせの容易化等の観点から、図5に示す実施形態が良い。
【0029】
すなわち、第1空気流衝突板11と第2空気流衝突板12は、同一構造の長方形又は正方形のいずれか一方であり、その縦方向の縁周辺部及び該縦方向の縁周辺部と直交する横方向の縁周辺部は、マトリックス状に形成された前記多数の穴のある有孔領域に対して、穴を有しない列及び行状の非有孔領域となっており、後方に位置する前記第2空気流衝突板12は、前方に位置する前記1空気流衝突板11に対して逆様の状態に組み込む。このように構成すると、例えば行方向(横方向)に合計9個形成された小円形状の各セル(穴)の位置と、列方向(縦方向)に合計13個形成された各セル(穴)の位置とは、逆様の態様で対向させた場合には略全部のセル(穴)が軸方向で整合しない状態になる。なお、符号11b、12bは、各板11、12の壁状実体部分(非有孔部分)である。
【0030】
ところで、第1空気流衝突板11と第2空気流衝突板12とを組合せる場合には、作業能率の向上という観点から、図7で示すように、空気混合処理室1aの一側壁cに形成した複数の垂直案内切欠部7に複数の空気流衝突板11、12を第1内部空間3へとそれぞれ差し込むのが望ましい(差し込み式)。この差し込み式にすると、簡単に複数の空気流衝突板11、12を第1筒状部(空気混合処理室)1a内に組み込むことができるのみならず、取り外しも容易なので、例えばメンテナンス作業をする場合は効率的に行うことができる。
【0031】
もちろん、前記第1内部空間3に複数の空気流衝突板11、12等を組み込む場合には、例えば図8で示すような保持枠18を利用するのが好ましい。
【0032】
保持枠18は、例えば左右一対の対向縦溝19を有するチャンネル形状のものを用いる。その場合(イ)第1空気流衝突板11の保持枠18と第2空気流衝突板12の保持枠がそれぞれ別体であり、第1筒状部(空気混合処理室)1aの第1内部空間3に第1空気流衝突板等を順番に組み込んだ場合と、(ロ)前方の位置の保持枠18と後方に位置する保持枠18が複数の水平連結杆を介して一体のユニット型である場合とが考えられる。したがって、このような実施形態の場合、保持枠18は、第1内部空間3に第1空気流衝突板等を順番に組み込んだ場合、間隙を形成するスペッサーの役割を果たす。なお、各11、12は空気混合処理室1aの内面に略直交状態に配設される。
【0033】
次に、前述したように実施形態では、筒状取付け部1bの第2内部空間4の略中央部に電動モータ16付き電動ファン17が支持アーム15を介して配設されているが、電動モータ16付き電動ファン17の配設場所は、ダクトの一端開口部に相当する空気吸い込み口部(例えば吸い込み口2)であっても良い。
【0034】
しかしながら、乱流を効率的或いは確実に発生させる場合には、ダクトの一端開口部よりも、第2内部空間4の略中央部に配設するのが望ましい。
【0035】
次に箱体1に第1空気流衝突板11及び第2空気流衝突板12を通過した空気流の中に含まれている物質の量を検出するセンサー21が設けられているが、前記センサーは、例えば空気流の中に含まれている水蒸気S自体の量を検出する絶対湿度センサー21である。
【0036】
ところで、実施形態如何によっては、箱体1に前記第1空気流衝突板11及び第2空気流衝突板12を通過した空気流に有害物質が含まれているか否かを検知しても良い。このような場合には、前記センサー21は、超粒子検知手段に置換することができる。なお、超粒子検知手段に置換した場合には、殺菌や滅菌等の観点から、箱体1の内部空間の適宜箇所に紫外線放射手段を配設するのが好ましい(利用発明)。
【0037】
次に、図11は本発明の第2の実施形態を示す説明図(情報処理装置を加味したもの)である。この第2実施形態は、情報処理装置30が箱体の外部に設けられ、前記情報処理装置は前記センサーが検知した物質の状態が記憶部に記録した情報に適合するか否かを判断し、該判断結果を出力する。
【0038】
すなわち、第2実施形態の空気吹き出し装置X2は、箱体1の内部又は外部のいずれかに情報処理装置30が直接又は間接的に設けられ、前記情報処理装置30はセンサー21が検知した物質の状態が記憶部に記録した情報の範囲内であるか否かを判断し、該判断結果を出力する。具体的には、情報処理装置30は、センサー21と接続し、該センサーが検知した情報を取得する入力部31、この入力部が取得した前記情報、予め比較するための登録情報(閾値など)等を記憶する記憶部32、記憶部の登録情報と入力部が取得した検知情報とを比較し、例えば閾値を超えたか否か、或いは閾値よりも下がったか否か、或いは又閾値を基準とする所定の範囲内であるか否かを判断する評価部33、評価部が判断した結果を、表示部、報知部等に出力する出力部34を有している。
【0039】
なお、符号35は情報処理装置30の制御部である。また出力部34は情報送信手段を備え、該情報受信手段と接続する通信網36の先には、測定情報を管理する測定情報管理サーバ37が有線又は無線で接続されている。
【0040】
最後に図12は本発明の第3の実施形態を示す説明図(整流用ファンを加味したもの)である。この実施形態では、箱体1の他端開口部に相当する空気流吹き出し部6に、空気流の流速に対応して自然に回転する整流用ファン40を内設したことを特徴とする。このように構成すると、センサーが設けられた空気流の物質状態検知室1cの通過中の空気流を安定化状態にすることができる(風車的効果)。
【0041】
図10は、本発明の各実施形態に於いて、空気Aが最初の第1空気流衝突板11の穴11aを通過し、まず第2空気流衝突板12の実体部分12bに衝突して乱流Fが生じ、それを避けて直ぐ近くの第2空気流衝突板12の穴12aを通過し、次に第2空気流衝突板12の後方に位置する第1空気流衝突板11の実体部分11bに衝突して乱流Fが生じ、それを避けて直ぐ近くの第2空気流衝突板12の穴12aを通過することを以下順次繰り返し、次第に空気流が波状になって、それに含まれている水蒸気Sが均等(安定化)状態になる旨の説明図である。
【0042】
以上、本発明の各実施形態は、前方の位置する第1空気流衝突板11の多数の穴11aを通過した直進状態の空気流が、該第1空気流衝突板の後方に所要間隔を有して対向する第2空気流衝突板12の多数の穴同12a士を結ぶ壁状実体部分(非有孔部分)12bに衝突して十分な乱流Fが生じ、同時に該壁状実体部分12bを避けることにより、空気流は該第2空気流衝突板の多数の穴12aをそれぞれ波状に流れて行くので、該空気流に含まれている物質(例えば水蒸気、有害物質)が均等状態(安定化状態)となる。
【0043】
したがって、該空気流に含まれている物質が、例えば水蒸気の場合には、空気流の物質状態検知室1cの内部空間の一部に集中して水滴状にならないので、空気流の通り道に存在する水蒸気がセンサーの外面に付着しない。
【0044】
それ故に、空気流に含まれている水蒸気、有害物質等の物質をセンサーで正確に検出することにより、室内の空気に含まれている湿度の状態、殺菌の有無等の情報を有効的に活用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、事務室、教室、病院、工場の作業室などの室内に配備される空気吹き出し装置の分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
X、X2…気吹き出し装置、
A…空気、S…水蒸気、F…乱流、
1…箱体、
1a…空気混合処理室、
1b…筒状取付け部、
1c…空気流の物質状態検知室、
2…一端開口部、吸い込み口、
3…第1内部空間、
4…第2内部空間、
5…第3内部空間、
6…他端開口部、吹き出し口、
7…垂直案内切欠部、
11…第1空気流衝突板、
12…第2空気流衝突板、
11a…第1空気流衝突板の多数の穴、
12a…第2空気流衝突板の多数の穴、
11b、12b…壁状実体部分(非有孔部分)、
15…支持アーム、
16…電動モータ、17…電動ファン、
18…保持枠、19…対向縦溝、
20…支持アーム20、
21…センサー(絶対湿度センサー、超粒子検知手段など)、
30…情報処理装置、
31…入力部、32…記憶部、
33…評価部、34…出力部、
35…制御部、
36…通信網、
37…測定情報管理サーバ、
40…整流用ファン。
図1
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図12