(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155815
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B66B5/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059224
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 智之
【テーマコード(参考)】
3F304
【Fターム(参考)】
3F304BA08
3F304EA11
3F304EB02
3F304ED06
3F304ED12
3F304ED13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ロープの検査中に規定のかごの走行を行うことができるエレベータシステムを提供する。
【解決手段】エレベータシステムは、上下方向に走行するかごと、かごの走行に伴って走行するロープと、かごの内部に配置されるかご操作盤31と、乗場に配置される乗場操作盤32と、かご操作盤31及び乗場操作盤32に入力された情報に基づいて、かごの走行を制御する処理装置と、ロープを検査するためにロープに接するロープテスタ3と、ロープテスタ3をロープに対して移動させる移動部4と、を備え、処理装置は、ロープの検査中に、ロープテスタ3がロープに接するように、移動部4を制御し、処理装置は、ロープの検査中に、乗場操作盤32に入力された情報を無効にする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に走行するかごと、
前記かごの走行に伴って走行するロープと、
前記かごの内部に配置されるかご操作盤と、
乗場に配置される乗場操作盤と、
前記かご操作盤及び前記乗場操作盤に入力された情報に基づいて、前記かごの走行を制御する処理装置と、
前記ロープを検査するために前記ロープに接するロープテスタと、
前記ロープテスタを前記ロープに対して移動させる移動部と、を備え、
前記処理装置は、前記ロープの検査中に、前記ロープテスタが前記ロープに接するように、前記移動部を制御し、
前記処理装置は、前記ロープの検査中に、前記乗場操作盤に入力された情報を無効にする、エレベータシステム。
【請求項2】
前記処理装置は、前記ロープの検査中に、前記かご操作盤に入力された情報を有効にし、
前記処理装置は、前記ロープの検査中に前記かご操作盤に情報が入力された場合に、前記かごが乗場で停止するように、前記かごの走行を制御する、請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記処理装置は、前記かごの走行が停止した後に、前記ロープテスタが前記ロープから離れるように、前記移動部を制御する、請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記かごの内部の荷重を検出する荷重検出部をさらに備え、
前記処理装置は、前記荷重検出部の検出に基づいて、前記ロープの検査の可否を判定する検査可否判定部を備える、請求項1~3の何れか1項に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記かごは、内部に向けて情報を出力するかご出力部を備え、
前記処理装置は、前記ロープの検査が開始される前に、前記ロープの検査が開始される情報を前記かご出力部に出力させる、請求項1~4の何れか1項に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、エレベータシステムは、ロープを検査するためにロープに接するロープテスタと、ロープテスタをロープに対して移動させる移動部と、移動部を制御する処理装置とを備えている(例えば、特許文献1)。これにより、移動部がロープテスタを移動させることによって、ロープの検査を自動で行うことができる。そして、ロープの検査中においては、通常運転中のかごの走行ではなく、ロープ検査用の規定のかごの走行が行われることによって、例えば、ロープを適正に検査することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、ロープの検査中に規定のかごの走行を行うことができるエレベータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
エレベータシステムは、上下方向に走行するかごと、前記かごの走行に伴って走行するロープと、前記かごの内部に配置されるかご操作盤と、乗場に配置される乗場操作盤と、前記かご操作盤及び前記乗場操作盤に入力された情報に基づいて、前記かごの走行を制御する処理装置と、前記ロープを検査するために前記ロープに接するロープテスタと、前記ロープテスタを前記ロープに対して移動させる移動部と、を備え、前記処理装置は、前記ロープの検査中に、前記ロープテスタが前記ロープに接するように、前記移動部を制御し、前記処理装置は、前記ロープの検査中に、前記乗場操作盤に入力された情報を無効にする。
【0006】
また、エレベータシステムにおいては、前記処理装置は、前記ロープの検査中に、前記かご操作盤に入力された情報を有効にし、前記処理装置は、前記ロープの検査中に前記かご操作盤に情報が入力された場合に、前記かごが乗場で停止するように、前記かごの走行を制御する、という構成でもよい。
【0007】
また、エレベータシステムにおいては、前記処理装置は、前記かごの走行が停止した後に、前記ロープテスタが前記ロープから離れるように、前記移動部を制御する、という構成でもよい。
【0008】
また、エレベータシステムは、前記かごの内部の荷重を検出する荷重検出部をさらに備え、前記処理装置は、前記荷重検出部の検出に基づいて、前記ロープの検査の可否を判定する検査可否判定部を備える、という構成でもよい。
【0009】
また、エレベータシステムにおいては、前記かごは、内部に向けて情報を出力するかご出力部を備え、前記処理装置は、前記ロープの検査が開始される前に、前記ロープの検査が開始される情報を前記かご出力部に出力させる、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るエレベータシステムの概要図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るロープテスタ装置の概要図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係るエレベータシステムの制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、エレベータシステムにおける一実施形態について、
図1~
図3を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0012】
図1に示すように、エレベータシステム1は、例えば、エレベータ21と、エレベータ21のロープ23を検査するロープテスタ装置2とを備えていてもよい。
【0013】
エレベータ21は、例えば、人が乗るためのかご22と、かご22に接続されるかごロープ23と、かごロープ23に接続される釣合錘24と、かごロープ23を駆動してかご22及び釣合錘24を上下方向に走行させる巻上機25とを備えていてもよい。また、エレベータ21は、例えば、かご22を案内するかごレール26と、釣合錘24を案内する錘レール27と、かご22の走行速度を検出する調速機28と、エレベータ21の各部を制御するエレベータ処理部29とを備えていてもよい。
【0014】
また、本実施形態においては、かごロープ23の一端がかご22に固定され、かごロープ23の他端が釣合錘24に固定されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、かごロープ23の両端がそれぞれ昇降路X1の上部又は下部に固定され、かごロープ23がかご22のシーブ及び釣合錘24のシーブにそれぞれ巻き掛けられることによって、かごロープ23がかご22及び釣合錘24にそれぞれ接続されている、という構成でもよい。
【0015】
また、本実施形態に係るエレベータ21は、巻上機25を機械室X2の内部に配置する、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、機械室X2が備えられておらず、エレベータ21は、巻上機25を昇降路X1の内部に配置する、という構成でもよい。
【0016】
巻上機25は、例えば、かごロープ23が巻き掛けられる綱車25aと、綱車25aを回転させる駆動源25bと、綱車25aを制動する制動部25cとを備えていてもよい。また、調速機28は、例えば、かご22に接続される無端環状のガバナロープ28aと、かご22の速度を検出するために、ガバナロープ28aが巻き掛けられるガバナ車28bと、ガバナロープ28aに張力を付与するために、ガバナロープ28aに吊り下げられる張り車28cと、ガバナロープ28aを把持する把持部28dとを備えていてもよい。
【0017】
かご22は、例えば、かごレール26を挟むことによってかご22を停止させる停止部22aと、調速機28の動作を停止部22aへ伝達する伝達部22bとを備えていてもよい。そして、例えば、かご22の速度が設定速度を超えた場合に、把持部28dがガバナロープ28aを把持し、ガバナロープ28aの走行が停止されることによって、かご22の停止部22aは、作動する、という構成でもよい。
【0018】
また、エレベータ21は、例えば、本実施形態のように、かご22の内部の荷重を検出する荷重検出部30を備えていることが好ましい。荷重検出部30の構成は、特に限定されないが、荷重検出部30は、例えば、かご22の床下に配置されるセンサ(例えば、ロードセル)としてもよく、また、例えば、かごロープ23の端部に接続されるセンサ(例えば、ロードセル)としてもよい。
【0019】
図2に示すように、ロープテスタ装置2は、例えば、かごロープ23を検査するためにかごロープ23に接するロープテスタ3と、ロープテスタ3を移動させる移動部4と、ロープテスタ装置2の各部を制御するテスタ処理部5とを備えていてもよい。なお、本実施形態においては、ロープテスタ装置2は、かごロープ23を検査しているが、例えば、ガバナロープ28aを検査していてもよい。
【0020】
移動部4は、例えば、ロープテスタ3がかごロープ23に近づいたりかごロープ23から離れたりする方向へ、ロープテスタ3を移動可能な接離移動部6を備えていてもよい。接離移動部6は、例えば、第1方向D1へロープテスタ3を移動させる第1移動部6aと、第1方向D1と直交する第2方向D2へ、ロープテスタ3を移動させる第2移動部6bとを備えていてもよい。
【0021】
ロープテスタ3は、例えば、先端に、第3方向D3に沿って延びる溝3aを備えていてもよい。そして、ロープテスタ3がかごロープ23を検査するときに、かごロープ23が溝3aに挿入され、溝3aは、かごロープ23に接する、という構成でもよい。なお、第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2とそれぞれ直交する方向である。
【0022】
図示していないが、ロープテスタ3は、例えば、内部に永久磁石及び磁束検出部(例えば、検出コイル、ホール素子)を備えていてもよい。これにより、例えば、永久磁石がかごロープ23を磁化し、磁束検出部が磁束(例えば、かごロープ23から漏洩する磁束、かごロープ23の内部を通る磁束)を検出することによって、かごロープ23の損傷(例えば、断線)を検査することができる。
【0023】
図3に示すように、ロープテスタ装置2は、例えば、情報が入力される入力部7と、検査結果を出力する検査出力部8とを備えていてもよい。特に限定されないが、入力部7に入力される情報は、例えば、かごロープ23の検査を自動で行うための情報であって、端に配置されるかごロープ23の位置、かごロープ23の本数、かごロープ23,23の間隔、検査開始時間等である。
【0024】
テスタ処理部5は、例えば、本実施形態のように、各情報を取得する第1取得部5aと、各情報を記憶する第1記憶部5bと、各情報を演算する第1演算部5cと、移動部4及び検査出力部8を制御する第1制御部5dとを備えていてもよい。例えば、第1演算部5cは、ロープテスタ3で検出した磁束の情報に基づいて、かごロープ23の状態を判定し、第1制御部5dは、かごロープ23の状態の判定結果を、検査出力部8へ出力してもよい。
【0025】
また、エレベータ21は、例えば、かご22の内部に配置されるかご操作盤31と、乗場に配置される乗場操作盤32とを備えていてもよい。かご操作盤31は、例えば、かご22の行先の指示が入力される行先入力部と、戸を開ける指示が入力される戸開入力部と、戸を閉める指示が入力される戸閉入力部とを備えていてもよい。乗場操作盤32は、例えば、上昇するかご22を呼び出す指示が入力される上昇呼出入力部と、下降するかご22を呼び出す指示が入力される下降呼出入力部とを備えていてもよい。
【0026】
また、かご22は、かご22の内部に向けて情報を出力するかご出力部22cを備えていることが好ましい。かご出力部22cの構成は、特に限定されないが、かご出力部22cは、例えば、視覚的に情報を出力する装置(例えば、ディスプレイ、表示灯等)としてもよく、また、例えば、聴覚的に情報を出力する装置(例えば、スピーカー、ブザー等)としてもよい。
【0027】
エレベータ処理部29は、例えば、本実施形態のように、各情報を取得する第2取得部29aと、各情報を記憶する第2記憶部29bと、各情報を演算する第2演算部29cと、巻上機25及びかご出力部22cを制御する第2制御部29dとを備えていてもよい。例えば、第2演算部29cは、かご操作盤31及び乗場操作盤32に入力された情報に基づいて、かご22の走行内容を演算し、第2制御部29dは、第2演算部29cの演算に基づいて巻上機25を制御することによって、かご22の走行を制御してもよい。
【0028】
第2演算部29cは、例えば、本実施形態のように、荷重検出部30の検出に基づいて、かごロープ23の検査の可否を判定する検査可否判定部29eを備えていることが好ましい。例えば、検査可否判定部29eは、荷重検出部30の検出に基づいて、かご22の内部に人がいないと判定した場合に、かごロープ23の検査が可能(検査可能)であると判定する一方で、かご22の内部に人がいると判定した場合に、かごロープ23の検査が不可能(検査不可)と判定する、という構成でもよい。
【0029】
なお、テスタ処理部5及びエレベータ処理部29は、それぞれエレベータシステム1を制御している。即ち、エレベータシステム1は、テスタ処理部5及エレベータ処理部29から構成される処理装置1aを備えている。そして、テスタ処理部5とエレベータ処理部29とは、例えば、本実施形態のように、分離された別体の装置である場合には、互いに通信可能であることが好ましい。
【0030】
これにより、テスタ処理部5が接離移動部6を制御してロープテスタ3を移動し、ロープテスタ3がかごロープ23を検査するときに、即ち、ロープテスタ装置2がロープ検査中に、エレベータ処理部29は、巻上機25を制御することによって、ロープ検査用の規定のかご22の走行を行うことができる。なお、テスタ処理部5とエレベータ処理部29は、一体の装置、即ち、一つの装置である、という構成でもよい。
【0031】
また、特に限定されないが、ロープ検査用の規定のかご22の走行とは、例えば、ロープテスタ3がかごロープ23に接している状態では、一定速度で一方向の走行としてもよい。また、例えば、ロープ検査中のかご22の走行速度(最高速度)は、通常運転中のかご22の走行速度(最高速度)よりも、遅くなっていてもよい。
【0032】
各処理部5,29は、CPU及びMPU等のプロセッサ(例えば、各演算部5c,29c、各制御部5d,29d)、ROM及びRAM等のメモリ(例えば、各取得部5a,29a、各記憶部5b,29b)、各種インターフェイス(例えば、各取得部5a,29a)等を備えるコンピュータであってもよい。そして、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行し、ソフトウェア及びハードウェアが協働することによって、各処理部5,29の各部5a~5d,29a~29dが実現されていてもよい。
【0033】
例えば、1つのコンピュータにおけるプロセッサが処理を実行することによって、各処理部5,29の各部5a~5d,29a~29dが実現されている、という構成でもよい。具体的には、各処理部5,29の各部5a~5d,29a~29dは、例えば、一つの装置に備えられている、という構成でもよい。
【0034】
また、例えば、複数のコンピュータにおけるプロセッサが分散して処理を実行することによって、各処理部5,29の各部5a~5d,29a~29dが実現されている、という構成でもよい。具体的には、各処理部5,29の各部5a~5d,29a~29dは、例えば、互いに通信可能な複数の装置に分散して備えられている、という構成でもよい。
【0035】
本実施形態に係るエレベータシステム1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るエレベータシステム1の制御について説明する。なお、エレベータシステム1の制御は、以下の内容に限定されない。
【0036】
まず、かご22の内部に人がいた場合に、かご22の内部から人をかご22の外部へ退出させる必要がある。そこで、例えば、ロープ検査の開始前(例えば、検査開始の3分~5分前)に、第2制御部29dがかご出力部22cを制御することによって、かご出力部22cは、かごロープ23の検査が開始される情報を出力することが好ましい。
【0037】
例えば、検査が開始されること及びエレベータ21が使用できなくなることを、ディスプレイであるかご出力部22cで表示したり、スピーカーであるかご出力部22cでアナウンスしたりしてもよい。また、例えば、かご22の内部の照明であるかご出力部22cを消灯することによって、検査が開始されること及びエレベータ21が使用できなくなることを出力してもよい。
【0038】
これにより、ロープ検査の開始前に、かご22の内部に人がいた場合に、かご22の内部の人に、ロープ検査が開始されること及びエレベータ21が使用できなくなることを認識させることができる。したがって、例えば、かご22の内部の人がかご22の外部へ退出することを促すことができる。
【0039】
また、例えば、ロープ検査の開始前(例えば、検査開始の直前~1分前)に、検査可否判定部29eは、荷重検出部30の検出に基づいて、かごロープ23の検査の可否を判定することが好ましい。これより、かご22の内部に人がいない場合に、検査可否判定部29eが検査可能と判定するため、かご22の内部に人がいない場合に、かごロープ23の検査を行うことができる。
【0040】
なお、検査可否判定部29eが検査不可と判定した場合に、例えば、かご出力部22cは、かごロープ23の検査が開始される情報を出力してもよい。即ち、ロープ検査の開始前の設定期間(例えば、検査開始直前~5分前)であり且つ検査可否判定部29eが検査不可と判定した場合に、かご出力部22cは、ロープ検査が開始される情報を出力する、という構成でもよい。
【0041】
そして、検査可否判定部29eが検査可能と判定した場合に、かごロープ23の検査が開始される。具体的には、第1制御部5dが移動部4を制御することによって、ロープテスタ3がかごロープ23に接するように移動し、第2制御部29dが巻上機25を制御することによって、かご22がロープ検査用の規定の走行を行う。これにより、かごロープ23の検査を自動で行うことができる。
【0042】
ところで、ロープ検査中においては、乗場操作盤32に入力された情報が無効にされている。これにより、かご22の走行は、ロープ検査中に、乗場操作盤32に入力された情報に基づいて、制御されない。したがって、ロープ検査中に、乗場操作盤32に情報が入力された場合でも、ロープ検査用の規定のかご22の走行を行うことができるため、例えば、かごロープ23を適正に検査することができる。
【0043】
なお、乗場操作盤32に入力された情報が無効となる構成は、特に限定されない。例えば、乗場操作盤32は、処理装置1aへ向けて情報(出力信号)を出力しない、という構成でもよく、また、例えば、処理装置1aは、入力された乗場操作盤32の情報(出力信号)を無効にする、という構成でもよい。
【0044】
一方で、かご操作盤31に入力された情報は、ロープ検査中でも、有効となっている。そして、ロープ検査中に、かご操作盤31に情報が入力された場合には、第2制御部29dがかご22の走行を制御することによって、かご22は、乗場で停止する。これにより、例えば、ロープ検査中に、かご22の内部に人を閉じ込めることを抑制することができる。
【0045】
なお、かご22が停止する乗場は、例えば、かご操作盤31に情報が入力されたときの最寄りの乗場としてもよく、また、例えば、所定の乗場(例えば、避難階の乗場等)としてもよい。また、かご22が停止する乗場は、例えば、かご操作盤31の行先入力部に情報が入力された場合は、入力された乗場とし、それ以外の入力部に情報が入力された場合は、最寄り階又は所定の乗場とする、という構成でもよい。
【0046】
なお、検査可否判定部29eは、ロープ検査の開始前だけでなく、ロープ検査中にも、荷重検出部30の検出に基づいて、かごロープ23の検査の可否を判定してもよい。そして、ロープ検査中に、検査可否判定部29eが検査不可と判定した場合には、かご操作盤31に情報が入力された場合と同じ制御が行われてもよい。
【0047】
このように、かご22が乗場に停止することによって、かご22の走行が、ロープ検査用の規定の走行ではなくなるため、かごロープ23の検査が停止される。このとき、かご22が走行中である場合には、ロープテスタ3の位置を保持しておき、かご22の走行が停止した後に、第1制御部5dが移動部4を制御することによって、ロープテスタ3がかごロープ32から離れる。これにより、ロープテスタ3がかごロープ23から離れるときに、例えば、ロープテスタ3がかごロープ23を摩耗や損傷させることを抑制することができる。
【0048】
そして、かご22が乗場に停止した後に、検査可否判定部29eが検査可能と判定した場合に、ロープ検査が再開される、という構成でもよい。また、かご22が乗場に停止した後に、手動による復旧操作が行われない限り、ロープ検査が再開されない、という構成でもよい。そして、ロープ検査が終了した場合や、ロープ検査が再開されない場合には、処理装置1aは、かご22を通常運転で走行させる。
【0049】
以上より、本実施形態のように、エレベータシステム1は、上下方向に走行するかご22と、前記かご22の走行に伴って走行するロープ(本実施形態においては、かごロープ)23と、前記かご22の内部に配置されるかご操作盤31と、乗場に配置される乗場操作盤32と、前記かご操作盤31及び前記乗場操作盤32に入力された情報に基づいて、前記かご22の走行を制御する処理装置1aと、前記ロープ23を検査するために前記ロープ23に接するロープテスタ3と、前記ロープテスタ3を前記ロープ23に対して移動させる移動部4と、を備え、前記処理装置1aは、前記ロープ23の検査中に、前記ロープテスタ3が前記ロープ23に接するように、前記移動部4を制御し、前記処理装置1aは、前記ロープ23の検査中に、前記乗場操作盤32に入力された情報を無効にする、という構成が好ましい。
【0050】
斯かる構成によれば、ロープ23の検査中に、乗場操作盤32に入力された情報が無効にされるため、かご22の走行は、乗場操作盤32に入力された情報に基づいて、制御されない。これにより、乗場操作盤32に情報が入力された場合でも、ロープ23の検査中に、規定のかご22の走行を行うことができる。
【0051】
また、本実施形態のように、エレベータシステム1においては、前記処理装置1aは、前記ロープ23の検査中に、前記かご操作盤31に入力された情報を有効にし、前記処理装置1aは、前記ロープ23の検査中に前記かご操作盤31に情報が入力された場合に、前記かご22が乗場で停止するように、前記かご22の走行を制御する、という構成が好ましい。
【0052】
斯かる構成によれば、ロープ23の検査中も、かご操作盤31に入力された情報が有効であるため、かご操作盤31に情報が入力された場合に、処理装置1aがかご22の走行を制御することによって、かご22は、乗場で停止する。これにより、例えば、ロープ23の検査中に、かご22の内部に人を閉じ込めることを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態のように、エレベータシステム1においては、前記処理装置1aは、前記かご22の走行が停止した後に、前記ロープテスタ3が前記ロープ23から離れるように、前記移動部4を制御する、という構成が好ましい。
【0054】
斯かる構成によれば、かご操作盤31に情報が入力され、かご22の走行が停止した後に、処理装置1aは、移動部4を制御する。これにより、ロープ23の走行が停止した後に、ロープテスタ3をロープ23から離すことができる。
【0055】
また、本実施形態のように、エレベータシステム1は、前記かご22の内部の荷重を検出する荷重検出部30をさらに備え、前記処理装置1aは、前記荷重検出部30の検出に基づいて、前記ロープ23の検査の可否を判定する検査可否判定部29eを備える、という構成が好ましい。
【0056】
斯かる構成によれば、荷重検出部30は、かご22の内部の荷重を検出し、検査可否判定部29eは、荷重検出部30の検出に基づいて、ロープ23の検査の可否を判定する。これにより、かご22の内部に人がいない場合に、ロープ23の検査を行うことができる。
【0057】
また、本実施形態のように、エレベータシステム1においては、前記かご22は、内部に向けて情報を出力するかご出力部22cを備え、前記処理装置1aは、前記ロープ23の検査が開始される前に、前記ロープ23の検査が開始される情報を前記かご出力部22cに出力させる、という構成が好ましい。
【0058】
斯かる構成によれば、ロープ23の検査が開始される前に、かご出力部22cは、ロープ23の検査が開始される情報を出力する。これにより、ロープ23の検査が開始される前に、かご22の内部に人がいた場合に、かご22の内部の人に、ロープ23の検査が開始されることを認識させることができる。
【0059】
なお、エレベータシステム1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータシステム1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0060】
(1)上記実施形態に係るエレベータシステム1においては、処理装置1aは、かごロープ23の検査中に、かご操作盤31に入力された情報を有効にする、という構成である。しかしながら、エレベータシステム1は、斯かる構成に限られない。例えば、処理装置1aは、かごロープ23の検査中に、かご操作盤31に入力された情報を無効にする、という構成でもよい。
【0061】
(2)また、上記実施形態に係るエレベータシステム1においては、処理装置1aは、かご22の走行が停止した後に、ロープテスタ3がかごロープ23から離れるように、移動部4を制御する、という構成である。しかしながら、エレベータシステム1は、斯かる構成に限られない。例えば、処理装置1aは、かご22が走行中でも、ロープテスタ3がかごロープ23から離れるように、移動部4を制御する、という構成でもよい。
【0062】
(3)また、エレベータシステム1においては、移動部4は、接離移動部6だけでなく、接離移動部6と別機構であって、ロープテスタ3を退避位置へ移動可能な退避移動部をさらに備えている、という構成でもよい。そして、例えば、かごロープ23の検査が終了したり、かごロープ23の検査が再開されなかったりすることによって、かご22が通常運転で走行する場合に、処理装置1aは、退避移動部を制御することによって、ロープテスタ3を退避位置へ移動させる、という構成でもよい。
【0063】
斯かる構成によれば、かごロープ23の検査を行わないときに、ロープテスタ3をかごロープ23に接することを確実に防止することができる。なお、退避位置とは、接離移動部6がロープテスタ3をかごロープ23へ最も近づく位置へ移動させた場合でもロープテスタ3がかごロープ23から離れる位置のことである。
【符号の説明】
【0064】
1…エレベータシステム、1a…処理装置、2…ロープテスタ装置、3…ロープテスタ、3a…溝、4…移動部、5…テスタ処理部、5a…第1取得部、5b…第1記憶部、5c…第1演算部、5d…第1制御部、6…接離移動部、6a…第1移動部、6b…第2移動部、7…入力部、8…検査出力部、21…エレベータ、22…かご、22a…停止部、22b…伝達部、22c…かご出力部、23…かごロープ、24…釣合錘、25…巻上機、25a…綱車、25b…駆動源、25c…制動部、26…かごレール、27…錘レール、28…調速機、28a…ガバナロープ、28b…ガバナ車、28c…張り車、28d…把持部、29…エレベータ処理部、29a…第2取得部、29b…第2記憶部、29c…第2演算部、29d…第2制御部、29e…検査可否判定部、30…荷重検出部、31…かご操作盤、32…乗場操作盤、X1…昇降路、X2…機械室、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向
【手続補正書】
【提出日】2022-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に走行するかごと、
前記かごの走行に伴って走行するロープと、
前記かごの内部に配置されるかご操作盤と、
乗場に配置される乗場操作盤と、
前記かご操作盤及び前記乗場操作盤に入力された情報に基づいて、前記かごの走行を制御する処理装置と、
前記ロープを検査するために前記ロープに接するロープテスタと、
前記ロープテスタを前記ロープに対して移動させる移動部と、を備え、
前記処理装置は、前記ロープの検査中に、前記ロープテスタが前記ロープに接するように、前記移動部を制御し、
前記処理装置は、前記ロープの検査中に、前記乗場操作盤に入力された情報を無効にする、エレベータシステムであって、
前記処理装置は、前記ロープの検査中に、前記かご操作盤に入力された情報を有効にし、
前記処理装置は、前記ロープの検査中に前記かご操作盤に情報が入力された場合に、前記かごが乗場で停止するように、前記かごの走行を制御する、エレベータシステム。
【請求項2】
前記処理装置は、前記かごの走行が停止した後に、前記ロープテスタが前記ロープから離れるように、前記移動部を制御する、請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記かごの内部の荷重を検出する荷重検出部をさらに備え、
前記処理装置は、前記荷重検出部の検出に基づいて、前記ロープの検査の可否を判定する検査可否判定部を備える、請求項1又は2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記かごは、内部に向けて情報を出力するかご出力部を備え、
前記処理装置は、前記ロープの検査が開始される前に、前記ロープの検査が開始される情報を前記かご出力部に出力させる、請求項1~3の何れか1項に記載のエレベータシステム。