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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155849
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】エレベータ用ロープテスタ
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20221006BHJP
   G01N 27/83 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B66B5/00 D
G01N27/83
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059276
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 智之
(72)【発明者】
【氏名】田平 尚己
【テーマコード(参考)】
2G053
3F304
【Fターム(参考)】
2G053AA11
2G053AB21
2G053BA02
2G053BA14
2G053BB11
2G053BC20
2G053DA02
3F304BA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】磁性部が摩耗することを抑制することができるエレベータ用ロープテスタを提供する。
【解決手段】エレベータ用ロープテスタは、ロープを磁化させる磁化部と、ロープが内部に挿入されるために、第1方向へ延びる挿入凹面2と、を備える、エレベータ用ロープのロープテスタであって、ロープに接することによってロープを案内する案内部と、ロープから漏洩する磁束を集める磁性部と、磁性部の内部を通る磁束を検出する漏洩磁束検出部と、を備え、案内部は、挿入凹面2の底面を構成する案内底面3bを備え、磁性部は、挿入凹面の底面を構成する磁性底面8dを備え、案内底面は、第1方向視において、磁性底面8dよりも、挿入凹面2の内部側に配置される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープを磁化させる磁化部と、
前記ロープが内部に挿入されるために、第1方向へ延びる挿入凹面と、を備える、エレベータ用ロープのロープテスタであって、
前記ロープに接することによって前記ロープを案内する案内部と、
前記ロープから漏洩する磁束を集める磁性部と、
前記磁性部の内部を通る磁束を検出する漏洩磁束検出部と、を備え、
前記案内部は、前記挿入凹面の底面を構成する案内底面を備え、
前記磁性部は、前記挿入凹面の底面を構成する磁性底面を備え、
前記案内底面は、前記第1方向視において、前記磁性底面よりも、前記挿入凹面の内部側に配置される、エレベータ用ロープテスタ。
【請求項2】
前記磁性部の透磁率よりも低い透磁率を有する非磁性部を備え、
前記非磁性部は、前記挿入凹面の底面を構成する非磁性底面を備え、
前記案内底面は、前記第1方向視において、前記非磁性底面よりも、前記挿入凹面の内部側へ配置され、
前記非磁性底面は、前記第1方向視において、前記磁性底面よりも、前記挿入凹面の内部側へ配置される、請求項1に記載のエレベータ用ロープテスタ。
【請求項3】
前記挿入凹面は、前記案内底面が摩耗したことを検出する摩耗検出部を備える、請求項1又は2に記載のエレベータ用ロープテスタ。
【請求項4】
前記案内部が着脱される本体部をさらに備え、
前記摩耗検出部は、前記案内部に備えられる、請求項3に記載のエレベータ用ロープテスタ。
【請求項5】
前記磁性部は、前記挿入凹面の側面を構成する磁性側面を備え、
前記案内部は、前記挿入凹面の側面を構成する案内側面を備え、
前記案内側面は、前記第1方向視において、前記磁性側面よりも、前記挿入凹面の内部側に配置される、請求項1~4の何れか1項に記載のエレベータ用ロープテスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータ用ロープテスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、エレベータ用ロープテスタは、ロープを磁化させる磁化部と、ロープが内部に挿入されるために、第1方向に延びる挿入凹面とを備えている。そして、エレベータ用ロープテスタは、ロープから漏洩する磁束を集める磁性部と、磁性部の内部を通る磁束を検出する漏洩磁束検出部とを備えている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、特許文献1に係るエレベータ用ロープテスタにおいては、磁性部で磁束を有効に集めるために、磁性部は、挿入凹面を構成している。しかしながら、磁性部がロープに接してロープを案内することになるため、磁性部が摩耗することになる。これにより、例えば、漏洩磁束検出部で適正に磁束を検出できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-132395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、磁性部が摩耗することを抑制することができるエレベータ用ロープテスタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エレベータ用ロープテスタは、ロープを磁化させる磁化部と、前記ロープが内部に挿入されるために、第1方向へ延びる挿入凹面と、を備える、エレベータ用ロープのロープテスタであって、前記ロープに接することによって前記ロープを案内する案内部と、前記ロープから漏洩する磁束を集める磁性部と、前記磁性部の内部を通る磁束を検出する漏洩磁束検出部と、を備え、前記案内部は、前記挿入凹面の底面を構成する案内底面を備え、前記磁性部は、前記挿入凹面の底面を構成する磁性底面を備え、前記案内底面は、前記第1方向視において、前記磁性底面よりも、前記挿入凹面の内部側に配置される。
【0007】
また、エレベータ用ロープテスタは、前記磁性部の透磁率よりも低い透磁率を有する非磁性部を備え、前記非磁性部は、前記挿入凹面の底面を構成する非磁性底面を備え、前記案内底面は、前記第1方向視において、前記非磁性底面よりも、前記挿入凹面の内部側へ配置され、前記非磁性底面は、前記第1方向視において、前記磁性底面よりも、前記挿入凹面の内部側へ配置される、という構成でもよい。
【0008】
また、エレベータ用ロープテスタにおいては、前記挿入凹面は、前記案内底面が摩耗したことを検出する摩耗検出部を備える、という構成でもよい。
【0009】
また、エレベータ用ロープテスタは、前記案内部が着脱される本体部をさらに備え、前記摩耗検出部は、前記案内部に備えられる、という構成でもよい。
【0010】
また、エレベータ用ロープテスタにおいては、前記磁性部は、前記挿入凹面の側面を構成する磁性側面を備え、前記案内部は、前記挿入凹面の側面を構成する案内側面を備え、前記案内側面は、前記第1方向視において、前記磁性側面よりも、前記挿入凹面の内部側に配置される、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、ロープテスタが用いられるエレベータの概要図である。
図2図2は、一実施形態に係るロープテスタの斜視図である。
図3図3は、図2のIII-III線要部断面図である。
図4図4は、同実施形態に係る磁性部の斜視図である。
図5図5は、同実施形態に係る磁性部の正面図である。
図6図6は、図3のVI-VI線要部断面図である。
図7図7は、図3のVII領域拡大図である。
図8図8は、図3のVIII領域拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、エレベータ用ロープテスタにおける一実施形態について、図1図8を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0013】
まず、本実施形態に係るエレベータ用ロープテスタ(以下、単に「ロープテスタ」ともいう)の各構成を説明するのに先立って、ロープテスタが用いられるエレベータについて、図1を参照しながら説明する。
【0014】
図1に示すように、エレベータ21は、例えば、人が乗るためのかご22と、かご22に接続されるかごロープ23と、かごロープ23に接続される釣合錘24と、かごロープ23を駆動してかご22及び釣合錘24を上下方向に走行させる巻上機25とを備えていてもよい。また、エレベータ21は、例えば、かご22を案内するかごレール26と、釣合錘24を案内する錘レール27と、かご22の走行速度を検出する調速機28と、エレベータ21の各部を制御する処理部29とを備えていてもよい。
【0015】
また、本実施形態においては、かごロープ23の一端がかご22に固定され、かごロープ23の他端が釣合錘24に固定されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、かごロープ23の両端がそれぞれ昇降路X1の上部又は下部に固定され、かごロープ23がかご22のシーブ及び釣合錘24のシーブにそれぞれ巻き掛けられることによって、かごロープ23がかご22及び釣合錘24にそれぞれ接続されている、という構成でもよい。
【0016】
また、本実施形態に係るエレベータ21は、巻上機25を機械室X2の内部に配置する、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、機械室X2が備えられておらず、エレベータ21は、巻上機25を昇降路X1の内部に配置する、という構成でもよい。
【0017】
巻上機25は、例えば、かごロープ23が巻き掛けられる綱車25aと、綱車25aを回転させる駆動源25bと、綱車25aを制動する制動部25cとを備えていてもよい。また、調速機28は、例えば、かご22に接続される無端環状のガバナロープ28aと、かご22の速度を検出するために、ガバナロープ28aが巻き掛けられるガバナ車28bと、ガバナロープ28aに張力を付与するために、ガバナロープ28aに吊り下げられる張り車28cと、ガバナロープ28aを把持する把持部28dとを備えていてもよい。
【0018】
かご22は、例えば、かごレール26を挟むことによってかご22を停止させる停止部22aと、調速機28の動作を停止部22aへ伝達する伝達部22bとを備えていてもよい。そして、例えば、かご22の速度が設定速度を超えた場合に、把持部28dがガバナロープ28aを把持し、ガバナロープ28aの走行が停止されることによって、かご22の停止部22aは、作動する、という構成でもよい。
【0019】
図2に示すように、ロープテスタ1は、エレベータ用ロープX3を診断するために用いられる。なお、エレベータ用ロープ(以下、単に「ロープ」ともいう)X3は、エレベータ21に用いられるロープ23,28aであれば特に限定されず、例えば、かごロープ23、ガバナロープ28aとすることができる。
【0020】
ロープテスタ1は、ロープX3が内部に挿入されるために、第1方向D1へ延びる挿入凹面2を備えている。挿入凹面2は、例えば、ロープテスタ1の第2方向D2の一端に配置されていてもよい。そして、挿入凹面2は、第1方向D1視において、一部が開放された凹面に形成されていてもよい。なお、挿入凹面2は、外部に露出している面である。
【0021】
また、ロープテスタ1は、例えば、本実施形態のように、ロープX3に接することによってロープX3を案内する案内部3と、案内部3が着脱される本体部4とを備えていることが好ましい。なお、案内部3を本体部4に固定する方法は、特に限定されない。そして、本体部4は、第2方向D2の他端に、把持される把持部4aを備えていてもよい。
【0022】
図3に示すように、ロープテスタ1は、例えば、ロープX3を磁化させる磁化部5と、ロープX3から漏洩する磁束を検出する漏洩磁束検出部6と、ロープX3の内部を通る磁束を検出する内部磁束検出部7とを備えていることが好ましい。そして、ロープテスタ1は、例えば、各磁束検出部6,7で検出した情報を、有線又は無線によって、外部装置(例えば、当該情報に基づいてロープX3を診断する診断システム)へ向けて出力してもよい。
【0023】
漏洩磁束検出部6及び内部磁束検出部7は、例えば、本体部4の内部に収容されていてもよい。なお、各磁束検出部6,7の構成は、特に限定されないが、例えば、各磁束検出部6,7は、磁束の大きさを電圧(電流)の大きさに変換する各種磁気センサ(ホール素子、コイル)としてもよい。
【0024】
漏洩磁束検出部6は、漏洩磁束法の診断のための磁束の検出を行っており、内部磁束検出部7は、全磁束法の診断のための磁束の検出を行っている。なお、ロープX3のサイズ(断面積)によって、ロープX3の内部を通る磁束の量が変わるため、外部装置(例えば、診断システム)において、内部磁束検出部7の検出値は、ロープX3の劣化を診断するための情報としてだけでなく、ロープX3のサイズを算出するための情報として使用されてもよい。
【0025】
磁化部5は、例えば、本実施形態のように、第1及び第2磁石部5a,5bと、第1磁石部5aと第2磁石部5bとを磁気的に接続する磁路部5cとを備えていることが好ましい。これにより、第1及び第2磁石部5a,5bと磁路部5cとは、ロープX3と協働することによって、無端環状の磁気回路を構成することができる。
【0026】
なお、各磁石部5a,5bの構成は、特に限定されないが、例えば、各磁石部5a,5bは、永久磁石としてもよく、また、電磁石としてもよい。また、磁路部5cの材質は、特に限定されないが、磁路部5cは、高い透磁率を有しており、例えば、純鉄や低炭素鋼で形成されていてもよい。
【0027】
また、磁路部5cは、並列される第1及び第2分離路5d,5eと、第1及び第2分離路5d,5eを結合して第1磁石部5aに接続させる第1結合路5fと、第1及び第2分離路5d,5eを結合して第2磁石部5bに接続させる第2結合路5gとを備えていてもよい。そして、内部磁束検出部7は、第1分離路5dの内部を通る磁束を検出していてもよい。
【0028】
また、本体部4は、例えば、本実施形態のように、ロープX3から漏洩する磁束を集める磁性部8と、磁性部8の透磁率よりも低い透磁率を有する非磁性部9とを備えていることが好ましい。そして、漏洩磁束検出部6は、例えば、磁化部5によって磁化されるロープX3から漏洩する磁束を検出するために、磁性部8の内部を通る磁束を検出していてもよい。
【0029】
ところで、案内部3、磁性部8及び非磁性部9は、例えば、本実施形態のように、それぞれ挿入凹面2を構成していてもよい。そして、案内部3は、例えば、ロープテスタ1の第1方向D1の両端部にそれぞれ配置されており、一対の案内部3,3は、例えば、第1方向D1において、第1及び第2磁石部5a,5bを挟むように、配置されている、という構成でもよい。
【0030】
磁性部8の材質は、特に限定されないが、磁性部8は、磁性材料で形成され、高い透磁率を有しており、例えば、純鉄や低炭素鋼で形成されていてもよい。また、非磁性部9の材質は、特に限定されないが、非磁性部9は、非磁性材料で形成され、低い透磁率を有しており、例えば、ロープX3の硬度よりも低い硬度の金属(例えば、アルミ青銅、アルミ)や硬質樹脂で形成されてもよい。
【0031】
また、例えば、磁性部8の透磁率は、非磁性部9の透磁率の100倍以上であることが好ましく、また、1000倍以上であることがより好ましい。また、例えば、磁性部8の透磁率は、大気の透磁率の100倍以上であることが好ましく、また、1000倍以上であることがより好ましい。
【0032】
また、案内部3の材質は、特に限定されないが、案内部3は、例えば、非磁性材料で形成され、低い透磁率を有してもよく、そして、例えば、ロープX3の硬度よりも低い硬度の金属(例えば、アルミ青銅、アルミ)や硬質樹脂で形成されている、という構成でもよい。なお、案内部3の硬度は、例えば、非磁性部9の硬度と同じでもよく、また、例えば、非磁性部9の硬度よりも低くてもよい。
【0033】
図4及び図5に示すように、磁性部8は、例えば、挿入凹面2を構成する凹状部8a,8aと、凹状部8aと漏洩磁束検出部6とを接続する接続部8bとを備えていてもよい。これにより、図5に示すように、ロープX3の断線部分が凹状部8a,8a間に位置したときに、断線部分から漏洩した磁束が、磁性部8によって集められ、漏洩磁束検出部6は、磁性部8の内部(接続部8b,8b間)を通る磁束を検出することができる。なお、接続部8bと漏洩磁束検出部6との間には、例えば、隙間が形成されていてもよい。
【0034】
ところで、図6図8に示すように、挿入凹面2は、例えば、湾曲面状に形成される挿入底面2aと、平面状に形成され、第3方向D3で互いに対面するように配置される一対の挿入側面2b,2bとを備えていてもよい。なお、挿入底面2aは、例えば、平面状に形成されていてもよい。また、第1~第3方向D1~D3は、互いに直交する方向である。
【0035】
案内部3は、例えば、本実施形態のように、挿入凹面2を構成する案内凹面3aを備えていてもよい。そして、案内凹面3aは、例えば、挿入底面2aを構成する案内底面3bと、挿入側面2bを構成する案内側面3c,3cとを備えていることが好ましい。
【0036】
磁性部8は、例えば、本実施形態のように、凹状部8aに、挿入凹面2を構成する磁性凹面8cを備えていてもよい。そして、磁性凹面8cは、例えば、挿入底面2aを構成する磁性底面8dと、挿入側面2bを構成する磁性側面8e,8eとを備えていることが好ましい。
【0037】
非磁性部9は、例えば、本実施形態のように、挿入凹面2を構成する非磁性凹面9aを備えていてもよい。そして、非磁性凹面9aは、例えば、挿入底面2aを構成する非磁性底面9bと、挿入側面2bを構成する非磁性側面9c,9cとを備えていることが好ましい。
【0038】
そして、本実施形態のように、案内底面3bは、第1方向D1視において、非磁性底面9bよりも、挿入凹面2の内部側へ配置されており、非磁性底面9bは、第1方向D1視において、磁性底面8dよりも、挿入凹面2の内部側へ配置されている、という構成が好ましい。これにより、案内底面3bは、第1方向D1視において、磁性底面8dよりも、挿入凹面2の内部側に配置されている。
【0039】
したがって、案内底面3bがロープX3に接してロープX3を案内するときに、ロープX3は、非磁性底面9b及び磁性底面8dから離れることになる。しかも、仮に、案内底面3bが摩耗した場合でも、ロープX3が非磁性底面9bに接することになるため、ロープX3は、磁性底面8dから離れることになる。その結果、ロープX3が磁性底面8dに接することを抑制することができる。
【0040】
なお、「挿入凹面2の内部側」とは、挿入凹面2で形成される内空間の中心に近い側のことである。例えば、「挿入凹面2の内部側」とは、挿入凹面2の内部に挿入されるロープX3の中心に近い側ともいえる。
【0041】
また、本実施形態のように、案内側面3cは、第1方向D1視において、非磁性側面9cよりも、挿入凹面2の内部側へ配置されており、非磁性側面9cは、第1方向D1視において、磁性側面8eよりも、挿入凹面2の内部側へ配置されている、という構成が好ましい。これにより、案内側面3cは、第1方向D1視において、磁性側面8eよりも、挿入凹面2の内部側に配置されている。
【0042】
したがって、仮に、案内側面3cがロープX3に接した場合に、ロープX3は、非磁性側面9c及び磁性側面8eから離れることになる。しかも、仮に、案内側面3cが摩耗した場合でも、ロープX3は、非磁性側面9cに接し、磁性側面8eから離れることになる。その結果、ロープX3が磁性側面8eに接することを抑制することができる。
【0043】
このように、ロープX3が磁性凹面8c(磁性底面8d及び磁性側面8e)に接することを抑制することができるため、磁性部8が摩耗することを抑制することができる。特に限定されないが、第1方向D1視における磁性底面8dと案内底面3bとの距離(段差)、即ち、磁性底面8dとロープX3との距離は、例えば、0.1mm以上としてもよく、また、例えば、0.2mm以上とすることが好ましく、また、例えば、0.3mm以上とすることがさらに好ましい。
【0044】
一方で、磁性凹面8cが露出されているため、磁束凹面8cとロープX3との距離を小さくすることができるため、例えば、ロープX3から漏洩した磁束を検出する精度を向上させることができる。特に限定されないが、磁性底面8dとロープX3との距離、即ち、第1方向D1視における磁性底面8dと案内底面3bとの距離(段差)は、例えば、1.0mm以下としてもよく、また、例えば、0.8mm以下とすることが好ましく、また、例えば、0.6mm以下とすることがさらに好ましい。
【0045】
また、特に限定されないが、第1方向D1視における非磁性底面9bと案内底面3bとの距離(段差)は、例えば、0.1mm以上としてもよく、また、例えば、0.2mm以上としてもよい。また、特に限定されないが、第1方向D1視における非磁性底面9bと案内底面3bとの距離(段差)は、例えば、0.6mm以下としてもよく、また、例えば、0.4mm以下としてもよい。
【0046】
また、特に限定されないが、第1方向D1視における非磁性底面9bと磁性底面8dとの距離(段差)は、例えば、0.1mm以上としてもよく、また、例えば、0.2mm以上としてもよい。また、特に限定されないが、第1方向D1視における非磁性底面9bと磁性底面8dとの距離(段差)は、例えば、0.6mm以下としてもよく、また、例えば、0.4mm以下としてもよい。
【0047】
また、特に限定されないが、第1方向D1視における磁性側面8eと案内側面3cとの距離(段差)は、例えば、0.1mm以上としてもよく、また、例えば、0.2mm以上とすることが好ましく、また、例えば、0.3mm以上とすることがさらに好ましい。また、特に限定されないが、第1方向D1視における磁性側面8eと案内側面3cとの距離(段差)は、例えば、1.0mm以下としてもよく、また、例えば、0.8mm以下とすることが好ましく、また、例えば、0.6mm以下とすることがさらに好ましい。
【0048】
また、特に限定されないが、第1方向D1視における非磁性側面9cと案内側面3cとの距離(段差)は、例えば、0.1mm以上としてもよく、また、例えば、0.2mm以上としてもよい。また、特に限定されないが、第1方向D1視における非磁性側面9cと案内側面3cとの距離(段差)は、例えば、0.6mm以下としてもよく、また、例えば、0.4mm以下としてもよい。
【0049】
また、特に限定されないが、第1方向D1視における非磁性側面9cと磁性側面8eとの距離(段差)は、例えば、0.1mm以上としてもよく、また、例えば、0.2mm以上としてもよい。また、特に限定されないが、第1方向D1視における非磁性側面9cと磁性側面8eとの距離(段差)は、例えば、0.6mm以下としてもよく、また、例えば、0.4mm以下としてもよい。
【0050】
また、案内部3は、例えば、本実施形態のように、案内底面3bが摩耗したことを検出する摩耗検出部3dを備えていることが好ましい。これにより、案内底面3bが摩耗したことを認識することができる。したがって、例えば、磁性底面8dが摩耗する可能性を認識することができるため、磁性部8が摩耗することをさらに抑制することができる。
【0051】
なお、摩耗検出部3dの構成は、特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、摩耗検出部3dは、案内底面3bに形成される溝であってもよい。これにより、溝の深さが浅くなったり、溝が無くなったりした場合に、案内底面3bが摩耗したことを検出することができる。
【0052】
また、摩耗検出部3dが案内部3に設けられているため、摩耗検出部3dによって、案内底面3bが摩耗したことを検出された場合に、案内部3を取り替えることができる。即ち、現在の案内部3を本体部4から取り外し、新たな案内部3を本体部4に取り付けることによって、磁性部8が摩耗することを抑制することができる。
【0053】
以上より、本実施形態のように、エレベータ用ロープテスタ1は、ロープX3を磁化させる磁化部5と、前記ロープX3が内部に挿入されるために、第1方向D1へ延びる挿入凹面2と、を備える、エレベータ用ロープX3のロープテスタ1であって、前記ロープX3に接することによって前記ロープX3を案内する案内部3と、前記ロープX3から漏洩する磁束を集める磁性部8と、前記磁性部8の内部を通る磁束を検出する漏洩磁束検出部6と、を備え、前記案内部3は、前記挿入凹面2の底面2aを構成する案内底面3bを備え、前記磁性部8は、前記挿入凹面2の底面2aを構成する磁性底面8dを備え、前記案内底面3bは、前記第1方向D1視において、前記磁性底面8dよりも、前記挿入凹面2の内部側に配置される、という構成が好ましい。
【0054】
斯かる構成によれば、磁性底面8dが挿入凹面2の底面2aを構成しているため、磁性部8で磁束を有効に集めることができる。そして、案内底面3bは、挿入凹面2の底面2aを構成し、しかも、第1方向D1視において、磁性底面8dよりも、挿入凹面2の内部側に配置されている。これにより、案内底面3bがロープX3に接してロープX3を案内するときに、ロープX3が磁性底面8dから離れる。したがって、磁性部8が摩耗することを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態のように、エレベータ用ロープテスタ1は、前記磁性部8の透磁率よりも低い透磁率を有する非磁性部9を備え、前記非磁性部9は、前記挿入凹面2の底面2aを構成する非磁性底面9bを備え、前記案内底面3bは、前記第1方向D1視において、前記非磁性底面9bよりも、前記挿入凹面2の内部側へ配置され、前記非磁性底面9bは、前記第1方向D1視において、前記磁性底面8dよりも、前記挿入凹面2の内部側へ配置される、という構成が好ましい。
【0056】
斯かる構成によれば、案内底面3bは、第1方向D1視において、非磁性底面9bよりも挿入凹面2の内部側へ配置され、非磁性底面9bは、第1方向D1視において、磁性底面8dよりも挿入凹面2の内部側へ配置されている。これにより、案内底面3bが摩耗した場合でも、ロープX3が非磁性底面9bに接するため、ロープX3が磁性底面8dに接することを抑制することができる。したがって、磁性部8が摩耗することをさらに抑制することができる
【0057】
また、本実施形態のように、エレベータ用ロープテスタ1においては、前記挿入凹面2は、前記案内底面3bが摩耗したことを検出する摩耗検出部3dを備える、という構成が好ましい。
【0058】
斯かる構成によれば、摩耗検出部3dによって、案内底面3bが摩耗したことを検出されるため、案内底面3bが摩耗したことを認識することができる。これにより、例えば、磁性部8が摩耗する可能性を認識することができるため、磁性部8が摩耗することを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態のように、エレベータ用ロープテスタ1は、前記案内部3が着脱される本体部4をさらに備え、前記摩耗検出部3dは、前記案内部3に備えられる、という構成が好ましい。
【0060】
斯かる構成によれば、摩耗検出部3dが案内部3に備えられ、案内部3は、本体部4に着脱可能に構成されている。これにより、例えば、摩耗検出部3dによって、案内底面3bが摩耗したことを検出された場合に、案内部3を取り替えることによって、磁性部8が摩耗することを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態のように、エレベータ用ロープテスタ1においては、前記磁性部8は、前記挿入凹面2の側面2bを構成する磁性側面8eを備え、前記案内部3は、前記挿入凹面2の側面2bを構成する案内側面3cを備え、前記案内側面3cは、前記第1方向D1視において、前記磁性側面8eよりも、前記挿入凹面2の内部側に配置される、という構成が好ましい。
【0062】
斯かる構成によれば、磁性側面8eが挿入凹面2の側面2bを構成しているため、磁性部8で磁束を有効に集めることができる。そして、案内側面3cは、挿入凹面2の側面2bを構成し、しかも、第1方向D1視において、磁性側面8eよりも、挿入凹面2の内部側に配置されている。これにより、ロープX3が案内側面3cに接した場合でも、ロープX3は、磁性側面8eから離れる。したがって、磁性部8が摩耗することをさらに抑制することができる。
【0063】
なお、ロープテスタ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、ロープテスタ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0064】
(1)上記実施形態に係るエレベータ用ロープテスタ1においては、案内底面3bは、第1方向D1視において、非磁性底面9bよりも、挿入凹面2の内部側へ配置され、非磁性底面9bは、第1方向D1視において、磁性底面8dよりも、前記挿入凹面2の内部側へ配置される、という構成である。しかしながら、エレベータ用ロープテスタ1は、斯かる構成に限られない。
【0065】
例えば、案内底面3bは、第1方向D1視において、非磁性底面9bと同じ位置である、という構成でもよい。また、例えば、非磁性底面9bは、第1方向D1視において、磁性底面8dと同じ位置である、という構成でもよい。
【0066】
(2)また、上記実施形態に係るエレベータ用ロープテスタ1においては、案内側面3cは、第1方向D1視において、非磁性側面9cよりも、挿入凹面2の内部側へ配置され、非磁性側面9cは、第1方向D1視において、磁性側面8eよりも、挿入凹面2の内部側へ配置されている、という構成である。しかしながら、エレベータ用ロープテスタ1は、斯かる構成に限られない。
【0067】
例えば、案内側面3cは、第1方向D1視において、非磁性側面9cと同じ位置である、という構成でもよい。また、例えば、非磁性側面9cは、第1方向D1視において、磁性側面8eと同じ位置である、という構成でもよい。また、例えば、案内側面3cは、第1方向D1視において、磁性側面8eと同じ位置である、という構成でもよい。
【0068】
(3)また、上記実施形態に係るエレベータ用ロープテスタ1においては、摩耗検出部3dは、案内底面3bに形成される溝である、という構成である。しかしながら、エレベータ用ロープテスタ1は、斯かる構成に限られない。例えば、摩耗検出部3dは、案内底面3bに塗料された色層である、という構成でもよい。具体的には、案内底面3bが摩耗することに伴って、色層が摩耗して無くなることによって、案内底面3bの摩耗が検出される、という構成でもよい。
【0069】
(4)また、上記実施形態に係るエレベータ用ロープテスタ1においては、摩耗検出部3dは、案内部3に備えられている、という構成である。しかしながら、エレベータ用ロープテスタ1は、斯かる構成に限られない。例えば、摩耗検出部は、非磁性部9に備えられていてもよい。具体的には、案内底面3bが摩耗し、非磁性底面9bも摩耗した場合に、摩耗検出部が摩耗することによって、案内底面3bの摩耗が検出される、という構成でもよい。
【0070】
(5)また、エレベータ用ロープテスタ1は、例えば、第2方向D2において、案内部3と本体部4との間に挿入される介挿体を備える、という構成でもよい。これにより、介挿体の厚み、個数を変更することによって、第1方向D1視における案内底面3bと磁性底面8dとの距離を変更することができる。
【0071】
(6)また、エレベータ用ロープテスタ1は、例えば、磁性凹面8cと非磁性凹面9aとの段差を埋めるように、磁性凹面8cに非磁性のコーティング樹脂を塗布した状態で、ロープX3を検査してもよい。例えば、コーティング樹脂は、塗布した後に乾燥して固体の状態でもよく、また、例えば、塗布した後も、液体(例えば、ジェル)の状態でもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…ロープテスタ、2…挿入凹面、2a…挿入底面、2b…挿入側面、3…案内部、3a…案内凹面、3b…案内底面、3c…案内側面、3d…摩耗検出部、4…本体部、4a…把持部、5…磁化部、5a…第1磁石部、5b…第2磁石部、5c…磁路部、5d…第1分離路、5e…第2分離路、5f…第1結合路、5g…第2結合路、6…漏洩磁束検出部、7…内部磁束検出部、8…磁性部、8a…凹状部、8b…接続部、8c…磁性凹面、8d…磁性底面、8e…磁性側面、9…非磁性部、9a…非磁性凹面、9b…非磁性底面、9c…非磁性側面、21…エレベータ、22…かご、22a…停止部、22b…伝達部、23…かごロープ、24…釣合錘、25…巻上機、25a…綱車、25b…駆動源、25c…制動部、26…かごレール、27…錘レール、28…調速機、28a…ガバナロープ、28b…ガバナ車、28c…張り車、28d…把持部、29…処理部、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、X1…昇降路、X2…機械室、X3…エレベータ用ロープ
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