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特開2022-155855ブレーキ制御装置、ブレーキ制御装置の検査方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155855
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ブレーキ制御装置、ブレーキ制御装置の検査方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/18 20060101AFI20221006BHJP
   B60T 13/68 20060101ALI20221006BHJP
   B60T 13/66 20060101ALI20221006BHJP
   B60T 13/36 20060101ALI20221006BHJP
   B60T 15/36 20060101ALI20221006BHJP
   B60T 8/88 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B60T17/18
B60T13/68
B60T13/66 A
B60T13/36
B60T15/36 A
B60T8/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059282
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】518018986
【氏名又は名称】三菱重工エンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】染谷 貴司
(72)【発明者】
【氏名】小林 学志
(72)【発明者】
【氏名】西垣 亮
(72)【発明者】
【氏名】高原 一郎
【テーマコード(参考)】
3D048
3D049
3D246
【Fターム(参考)】
3D048AA04
3D048BB01
3D048CC43
3D048HH05
3D048HH27
3D048HH66
3D048HH68
3D048HH70
3D048HH81
3D048RR06
3D049AA04
3D049BB01
3D049CC03
3D049HH05
3D049HH21
3D049HH47
3D049HH48
3D049HH51
3D049HH53
3D049RR04
3D246AA17
3D246BA03
3D246DA01
3D246GA01
3D246HA42A
3D246LA32Z
3D246MA04
(57)【要約】
【課題】鉄道車両の信頼性を高めることができるブレーキ制御装置を提供する。
【解決手段】ブレーキ制御装置1は、BCU10と、空気タンクTに接続され、圧縮空気を、所定の指令圧力に応じた圧力でブレーキシリンダに出力する中継弁2と、空気タンクTに接続され、圧縮空気をブレーキ指令信号に応じた指令圧力で中継弁2に出力する指令圧力出力回路3と、を備えている。また、指令圧力出力回路3は、空気タンクTに並列に接続されたメイン系回路30及びバックアップ系回路31と、メイン系回路30の出力、及び、バックアップ系回路31の出力のうちの何れか一方を中継弁に出力する切替電磁弁32と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ指令信号を出力する制御部と、
圧縮空気が貯められた空気タンクに接続され、前記圧縮空気を、所定の指令圧力に応じた圧力でブレーキシリンダに出力する中継弁と、
前記空気タンクに接続され、前記圧縮空気を前記ブレーキ指令信号に応じた前記指令圧力で前記中継弁に出力する指令圧力出力回路と、
を備え、
前記指令圧力出力回路は、
前記空気タンクに接続されたメイン系回路と、
前記空気タンクに、前記メイン系回路と並列に接続されたバックアップ系回路と、
前記メイン系回路の出力、及び、前記バックアップ系回路の出力のうちの何れか一方を前記中継弁に出力する切替電磁弁と、
を備え、
前記メイン系回路及び前記バックアップ系回路は、それぞれ、
前記空気タンクと前記切替電磁弁との間に設けられ、前記ブレーキ指令信号に従って開閉動作するブレーキ指令用給気電磁弁と、
前記ブレーキ指令用給気電磁弁及び前記切替電磁弁を接続する流路と、外気との間に設けられ、前記ブレーキ指令信号に従って開閉動作するブレーキ指令用排気電磁弁と、
を有し、
前記制御部は、前記メイン系回路の異常を検知した場合に、前記切替電磁弁を制御して、前記メイン系回路の出力から前記バックアップ系回路の出力に切り替える
ブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記指令圧力出力回路は、更に、
前記切替電磁弁と前記中継弁との間に設けられた圧力センサである指令圧力センサを備え、
前記制御部は、運転者の操作に応じた目標値と、前記指令圧力センサの検出値と、に基づいて前記ブレーキ指令信号を出力する
請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記指令圧力出力回路は、更に、
前記バックアップ系回路と前記切替電磁弁との間に設けられた圧力センサであるバックアップ系圧力センサを備え、
前記制御部は、前記メイン系回路の出力から前記バックアップ系回路の出力に切り替えた場合に、前記目標値と、前記バックアップ系圧力センサの検出値と、に基づいて前記ブレーキ指令信号を出力する
請求項2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、更に、前記バックアップ系圧力センサの検出値が前記目標値に一致し、かつ、前記指令圧力センサの検出値が前記目標値から外れていることを条件の一つとして、前記メイン系回路の出力から前記バックアップ系回路の出力に切り替える
請求項3に記載のブレーキ制御装置。
【請求項5】
前記中継弁と前記ブレーキシリンダとを接続する流路、及び、前記ブレーキシリンダと外気とを接続する流路をそれぞれ開閉可能な滑走防止弁と、
所定の滑走防止指令信号の入力に応じて閉動作することにより、前記中継弁と前記ブレーキシリンダとを接続する流路を閉塞させる滑走防止用給気電磁弁と、
前記滑走防止指令信号の入力に応じて開動作することにより、前記ブレーキシリンダと外気とを接続する流路を開放させる滑走防止用排気電磁弁と、
前記前記滑走防止弁と前記ブレーキシリンダとの間に設けられた圧力センサであるBC圧力センサと、
を備え、
前記制御部は、滑走を検知した場合に、前記滑走防止用給気電磁弁及び前記滑走防止用排気電磁弁に前記滑走防止指令信号を出力する
請求項1から請求項4の何れか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項6】
前記空気タンクに接続され、前記圧縮空気を緊急停止用圧力に変換して出力する圧力調整部と、
前記圧力調整部と前記中継弁との間に設けられ、所定の緊急停止指令信号の入力に応じて開動作する緊急停止用電磁弁と、
前記緊急停止用電磁弁と前記中継弁との間に設けられた圧力センサである緊急停止用圧力センサと、
を備える請求項1から請求項5の何れか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項7】
請求項2から請求項4の何れか一項に記載のブレーキ制御装置の検査方法であって、
前記メイン系回路に属する前記ブレーキ指令用給気電磁弁と前記ブレーキ指令用排気電磁弁とを閉塞させるステップと、
前記指令圧力センサの検出値の変動に基づいて、前記メイン系回路、及び、前記中継弁のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定するステップと、
を有するブレーキ制御装置の検査方法。
【請求項8】
請求項3又は請求項4に記載のブレーキ制御装置の検査方法であって、
前記指令圧力センサの検出値と、前記バックアップ系圧力センサの検出値と、の対比の結果に基づいて、前記指令圧力センサ及び前記バックアップ系圧力センサのうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定するステップを有する
ブレーキ制御装置の検査方法。
【請求項9】
請求項5に記載のブレーキ制御装置の検査方法であって、
前記滑走防止用給気電磁弁と前記滑走防止用排気電磁弁とを閉塞させるステップと、
前記BC圧力センサの検出値の変動に基づいて、前記滑走防止弁、前記滑走防止用給気電磁弁及び前記滑走防止用排気電磁弁のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定するステップと、
を有するブレーキ制御装置の検査方法。
【請求項10】
請求項6に記載のブレーキ制御装置の検査方法であって、
前記緊急停止用電磁弁を開放させるステップと、
前記緊急停止用圧力センサの検出値に基づいて、前記圧力調整部及び前記緊急停止用電磁弁のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定するステップと、
を有するブレーキ制御装置の検査方法。
【請求項11】
請求項2から請求項4の何れか一項に記載のブレーキ制御装置の検査に用いるコンピュータを、
前記メイン系回路に属する前記ブレーキ指令用給気電磁弁と前記ブレーキ指令用排気電磁弁とを閉塞させる電磁弁制御指令部、
前記指令圧力センサの検出値の変動に基づいて、前記メイン系回路、及び、前記中継弁のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定する異常判定部、
として機能させるプログラム。
【請求項12】
請求項3又は請求項4に記載のブレーキ制御装置の検査に用いるコンピュータを、
前記指令圧力センサの検出値と、前記バックアップ系圧力センサの検出値と、の対比の結果に基づいて、前記指令圧力センサ及び前記バックアップ系圧力センサのうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定する異常判定部として機能させる
プログラム。
【請求項13】
請求項5に記載のブレーキ制御装置の検査に用いるコンピュータを、
前記滑走防止用給気電磁弁と前記滑走防止用排気電磁弁とを閉塞させる電磁弁制御指令部、
前記BC圧力センサの検出値の変動に基づいて、前記滑走防止弁、前記滑走防止用給気電磁弁及び前記滑走防止用排気電磁弁のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定する異常判定部、
として機能させるプログラム。
【請求項14】
請求項6に記載のブレーキ制御装置の検査に用いるコンピュータを、
前記緊急停止用電磁弁を開放させる電磁弁制御指令部、
前記緊急停止用圧力センサの検出値に基づいて、前記圧力調整部及び前記緊急停止用電磁弁のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定する異常判定部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ制御装置、ブレーキ制御装置の検査方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両(電気車)におけるブレーキ装置には、機械式ブレーキが使用されている場合がある。また、機械式ブレーキとしては、一般に、ブレーキシリンダを通じて空気力で車輪に制輪子を抑圧し、その摩擦力で減速させる空気ブレーキが使用されている。
【0003】
機械式ブレーキ(空気ブレーキ)を制御するブレーキ制御装置には、所定の圧力で圧縮された圧縮空気を空気タンクからブレーキシリンダに向けて送出する際に、運転者のブレーキ操作に応じた圧力で送出する電空変換弁が搭載されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-018784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、鉄道車両は、予め規定されたダイヤ(運行規則)どおりに運行することが強く求められている。その一方で、鉄道車両における空気ブレーキの機械系統には冗長性がなく、何らかの異常が生じた場合には即運行不能となり得る。
【0006】
本発明の目的は、鉄道車両の信頼性を高めることができるブレーキ制御装置、ブレーキ制御装置の検査方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、ブレーキ制御装置は、ブレーキ指令信号を出力する制御部と、圧縮空気が貯められた空気タンクに接続され、前記圧縮空気を、所定の指令圧力に応じた圧力でブレーキシリンダに出力する中継弁と、前記空気タンクに接続され、前記圧縮空気を前記ブレーキ指令信号に応じた前記指令圧力で前記中継弁に出力する指令圧力出力回路と、を備える。また、前記指令圧力出力回路は、前記空気タンクに接続されたメイン系回路と、前記空気タンクに、前記メイン系回路と並列に接続されたバックアップ系回路と、前記メイン系回路の出力、及び、前記バックアップ系回路の出力のうちの何れか一方を前記中継弁に出力する切替電磁弁と、を備える。また、前記メイン系回路及び前記バックアップ系回路は、それぞれ、前記空気タンクと前記切替電磁弁との間に設けられ、前記ブレーキ指令信号に従って開閉動作するブレーキ指令用給気電磁弁と、前記ブレーキ指令用給気電磁弁及び前記切替電磁弁を接続する流路と外気との間に設けられ、前記ブレーキ指令信号に従って開閉動作するブレーキ指令用排気電磁弁と、を有している。そして、前記制御部は、前記メイン系回路の異常を検知した場合に、前記切替電磁弁を制御して、前記メイン系回路の出力から前記バックアップ系回路の出力に切り替える。
このようにすることで、メイン系回路に異常が生じた場合であっても、中継弁への出力が、直ちに、バックアップ系回路に切り替わるので、鉄道車両は運行を継続することができる。
したがって、鉄道車両の信頼性を高めることができる。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記指令圧力出力回路は、更に、前記切替電磁弁と前記中継弁との間に設けられた圧力センサである指令圧力センサを備え、前記制御部は、前記運転者の操作に応じた目標値と、前記指令圧力センサの検出値と、に基づいて前記ブレーキ指令信号を出力する。
このようにすることで、指令圧力センサの検出値に応じて、各種電磁弁(ブレーキ指令用給気電磁弁、ブレーキ指令用排気電磁弁)の開閉動作をフィードバック制御するので、中継弁に印加される圧力を、運転者の操作に応じた目標値に迅速かつ精度良く一致させることができる。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記指令圧力出力回路は、更に、前記バックアップ系回路と前記切替電磁弁との間に設けられた圧力センサであるバックアップ系圧力センサを備え、前記制御部は、前記メイン系回路の出力から前記バックアップ系回路の出力に切り替えた場合に、前記目標値と、前記バックアップ系圧力センサの検出値と、に基づいて前記ブレーキ指令信号を出力する。
このようにすることで、指令圧力センサに異常が生じていた場合であっても、バックアップ系回路及びバックアップ系圧力センサにて正常なフィードバック制御を継続することができる。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、前記制御部は、更に、前記バックアップ系圧力センサの検出値が前記目標値に一致し、かつ、前記指令圧力センサの検出値が前記目標値から外れていることを条件の一つとして、前記メイン系回路の出力から前記バックアップ系回路の出力に切り替える。
このようにすることで、メイン系回路の出力からバックアップ系回路の出力に切り替えた際に、より確実に正規の運転に復帰することができる。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、前記中継弁と前記ブレーキシリンダとを接続する流路、及び、前記ブレーキシリンダと外気とを接続する流路をそれぞれ開閉可能な滑走防止弁と、所定の滑走防止指令信号の入力に応じて閉動作することにより、前記中継弁と前記ブレーキシリンダとを接続する流路を閉塞させる滑走防止用給気電磁弁と、前記滑走防止指令信号の入力に応じて開動作することにより、前記ブレーキシリンダと外気とを接続する流路を開放させる滑走防止用排気電磁弁と、前記滑走防止弁と前記ブレーキシリンダとの間に設けられた圧力センサであるBC圧力センサと、を備え、前記制御部は、滑走を検知した場合に、前記滑走防止用給気電磁弁及び前記滑走防止用排気電磁弁に前記滑走防止指令信号を出力する。
このようにすることで、鉄道車両の滑走が生じたときに、直ちに、当該滑走が抑制されるようにブレーキが解除される。また、検査時において、BC圧力センサの検出値をモニタリングすることで、滑走防止弁、滑走防止用給気電磁弁及び滑走防止用排気電磁弁が正常に機能しているか否かを容易に判断することができる。
【0012】
また、本発明の一態様によれば、ブレーキ制御装置は、前記空気タンクに接続され、前記圧縮空気を緊急停止用圧力に変換して出力する圧力調整部と、前記圧力調整部と前記中継弁との間に設けられ、所定の緊急停止指令信号の入力に応じて開動作する緊急停止用電磁弁と、前記緊急停止用電磁弁と前記中継弁との間に設けられた圧力センサである緊急停止用圧力センサと、を備える。
このようにすることで、緊急停止を実施すべき状況において、より確実に鉄道車両を停止することができる。また、検査時において、緊急停止用圧力センサの検出値をモニタリングすることで、圧力調整部、緊急停止用電磁弁が正常に機能しているか否かを容易に判断することができる。
【0013】
また、本発明の一態様によれば、ブレーキ制御装置の検査方法は、前記メイン系回路に属する前記ブレーキ指令用給気電磁弁と前記ブレーキ指令用排気電磁弁とを閉塞させるステップと、前記指令圧力センサの検出値の変動に基づいて、前記メイン系回路、及び、前記中継弁のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定するステップと、を有する。
このようにすることで、指令圧力出力回路及び中継弁における不具合の有無を簡素かつ精度良く特定することができる。したがって、ブレーキ制御装置のメンテナンスに必要な労力を大幅に低減することができる。
【0014】
また、本発明の一態様によれば、上述のブレーキ制御装置の検査方法は、前記指令圧力センサの検出値と、前記バックアップ系圧力センサの検出値と、の対比の結果に基づいて、前記指令圧力センサ及び前記バックアップ系圧力センサのうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定するステップを有する。
このようにすることで、指令圧力センサ、バックアップ系圧力センサにおける不具合の有無を簡素かつ精度良く特定することができる。したがって、ブレーキ制御装置のメンテナンスに必要な労力を大幅に低減することができる。
【0015】
また、本発明の一態様によれば、上述のブレーキ制御装置の検査方法は、前記滑走防止用給気電磁弁と前記滑走防止用排気電磁弁とを閉塞させるステップと、前記BC圧力センサの検出値の変動に基づいて、前記滑走防止弁、前記滑走防止用給気電磁弁及び前記滑走防止用排気電磁弁のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定するステップと、を有する。
このようにすることで、滑走防止用回路(滑走防止弁、滑走防止用給気電磁弁及び滑走防止用排気電磁弁を有する回路)における不具合の有無を簡素かつ精度良く特定することができる。したがって、ブレーキ制御装置のメンテナンスに必要な労力を大幅に低減することができる。
【0016】
また、本発明の一態様によれば、上述のブレーキ制御装置の検査方法は、前記緊急停止用電磁弁を開放させるステップと、前記緊急停止用圧力センサの検出値に基づいて、前記圧力調整部及び前記緊急停止用電磁弁のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定するステップと、を有する。
このようにすることで、緊急停止用回路(圧力調整部、緊急停止用電磁弁を有する回路)における不具合を簡素かつ精度良く特定することができる。したがって、ブレーキ制御装置のメンテナンスに必要な労力を大幅に低減することができる。
【0017】
また、本発明の一態様によれば、プログラムは、上述のブレーキ制御装置の検査に用いるコンピュータを、前記メイン系回路に属する前記ブレーキ指令用給気電磁弁と前記ブレーキ指令用排気電磁弁とを閉塞させる電磁弁制御指令部、前記指令圧力センサの検出値の変動に基づいて、前記メイン系回路、及び、前記中継弁のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定する異常判定部、として機能させる。
【0018】
また、本発明の一態様によれば、プログラムは、上述のブレーキ制御装置の検査に用いるコンピュータを、前記指令圧力センサの検出値と、前記バックアップ系圧力センサの検出値と、の対比の結果に基づいて、前記指令圧力センサ及び前記バックアップ系圧力センサのうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定する異常判定部として機能させる。
【0019】
また、本発明の一態様によれば、プログラムは、上述のブレーキ制御装置の検査に用いるコンピュータを、前記滑走防止用給気電磁弁と前記滑走防止用排気電磁弁とを閉塞させる電磁弁制御指令部、前記BC圧力センサの検出値の変動に基づいて、前記滑走防止弁、前記滑走防止用給気電磁弁及び前記滑走防止用排気電磁弁のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定する異常判定部、として機能させる。
【0020】
また、本発明の一態様によれば、プログラムは、上述のブレーキ制御装置の検査に用いるコンピュータを、前記緊急停止用電磁弁を開放させる電磁弁制御指令部、前記緊急停止用圧力センサの検出値に基づいて、前記圧力調整部及び前記緊急停止用電磁弁のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定する異常判定部、として機能させる。
【発明の効果】
【0021】
上述のブレーキ制御装置、ブレーキ制御装置の検査方法及びプログラムによれば、鉄道車両の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施形態に係るブレーキ制御装置の全体構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係るブレーキ制御装置の機能構成を示す図である。
図3】第1の実施形態に係るBCUのブレーキ制御用の処理フローを示す図である。
図4】第1の実施形態に係るBCUの出力切替用の処理フローを示す図である。
図5】第1の実施形態に係るBCUの、回路切替後におけるブレーキ制御用の処理フローを示す図である。
図6】第1の実施形態に係るBCUの滑走防止用の処理フローを示す図である。
図7】第1の実施形態に係るBCUの緊急停止用の処理フローを示す図である。
図8】第1の実施形態に係るブレーキ制御装置の検査時における第1の処理フローを示す図である。
図9】第1の実施形態に係るブレーキ制御装置の検査時における第2の処理フローを示す図である。
図10】第1の実施形態に係るブレーキ制御装置の検査時における第3の処理フローを示す図である。
図11】第1の実施形態に係るブレーキ制御装置の検査時における第3の処理フローを示す図である。
図12】第2の実施形態に係るブレーキ制御装置の検査システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置、及び、ブレーキ制御装置の検査方法について、図1図11を参照しながら説明する。
【0024】
(全体構成)
図1は、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置の全体構成を示す図である。
図1に示すブレーキ制御装置1は、鉄道車両(例えば、新幹線等の電気車)に搭載されている。ブレーキ制御装置1は、同じ鉄道車両に搭載された空気タンクTからブレーキシリンダBC1、BC2への、圧縮空気の送出を制御する。
【0025】
図1に示すように、ブレーキ制御装置1は、BCU(Break Control Unit)10と、中継弁2と、指令圧力出力回路3と、滑走防止用回路4と、緊急停止用回路5と、を備えている。
【0026】
BCU10は、ブレーキ制御装置1の動作全体を司る制御ユニットである。
BCU10は、図示しない運転室の操作用コントローラを通じて、運転者によるブレーキ操作を受け付ける。そして、BCU10は、運転者によるブレーキ操作に応じて、所定の電気信号であるブレーキ指令信号を指令圧力出力回路3に出力する。
【0027】
中継弁2は、空気タンクTに接続された圧縮空気を、所定の指令圧力に応じた圧力でブレーキシリンダBC1、BC2に向けて出力するパイロット式の弁である。
図1に示すように、中継弁2の一次側には、圧縮空気が貯められた空気タンクTが接続される。また、中継弁2の二次側には、後述する滑走防止用回路4を経て、複数のブレーキシリンダBC1、BC2が接続される。中継弁2は、指令圧力出力回路3から所定の指令圧力となった圧縮空気を中継弁2内部の指令室(図示せず)に受け付けて、二次側が当該指令圧力に応じた圧力となるように圧縮空気を出力する。また、中継弁2は、緊急停止用回路5から所定の緊急停止用圧力となった圧縮空気を中継弁2内部の別の指令室(図示せず)に受け付けて、二次側が当該緊急停止用圧力に応じた圧力となるように圧縮空気を出力する。
【0028】
指令圧力出力回路3は、空気タンクTに接続され、その圧縮空気を、BCU10から入力するブレーキ指令信号に応じた指令圧力で中継弁2に出力する。
図1に示すように、指令圧力出力回路3は、メイン系回路30と、バックアップ系回路31と、切替電磁弁32と、指令圧力センサPS1と、バックアップ系圧力センサPS2と、を有している。
また、メイン系回路30は、ブレーキ指令用給気電磁弁30A及びブレーキ指令用排気電磁弁30Rを有してなる。また、バックアップ系回路31は、ブレーキ指令用給気電磁弁31A及びブレーキ指令用排気電磁弁31Rを有してなる。
【0029】
図1に示すように、メイン系回路30及びバックアップ系回路31は、空気タンクTに並列に接続されている。
メイン系回路30のブレーキ指令用給気電磁弁30A、及び、バックアップ系回路31のブレーキ指令用給気電磁弁31Aは、空気タンクTと切替電磁弁32との間に設けられ、ブレーキ指令信号に従って開閉動作する。
また、メイン系回路30のブレーキ指令用排気電磁弁30Rは、ブレーキ指令用給気電磁弁30A及び切替電磁弁32を接続する流路(空気配管)と、外気との間に設けられ、ブレーキ指令信号に従って開閉動作する。また、バックアップ系回路31のブレーキ指令用排気電磁弁31Rは、ブレーキ指令用給気電磁弁31A及び切替電磁弁32を接続する流路(空気配管)と、外気との間に設けられ、ブレーキ指令信号に従って開閉動作する。
切替電磁弁32は、BCU10からの指令信号(後述する回路切替指令信号)に応じて、メイン系回路30の出力、及び、バックアップ系回路31の出力のうちの何れか一方を選択して中継弁2に出力する。なお、選択されない方の出力は、切替電磁弁32にて閉塞される。
指令圧力センサPS1は、切替電磁弁32と中継弁2との間に設けられた圧力センサであって、指令圧力出力回路3が中継弁2に向けて出力する圧縮空気の圧力(指令圧力)を検出する。
バックアップ系圧力センサPS2は、バックアップ系回路31と切替電磁弁32との間に設けられた圧力センサである。バックアップ系圧力センサPS2は、切替電磁弁32がメイン系回路30の出力を選択している場合であっても、バックアップ系回路31が出力する圧縮空気の圧力を検出することができる。
【0030】
滑走防止用回路4は、中継弁2を通じて上記指令圧力に応じた圧力で出力された圧縮空気をブレーキシリンダBC1、BC2に向けて出力する。通常時においては、中継弁2から出力された圧縮空気は、滑走防止用回路4を経て、そのままブレーキシリンダBC1、BC2に入力されることで、所望する度合いでブレーキが作動する。しかし、BCU10によって鉄道車両の“滑走”が検知された場合は、直ちに、滑走防止用回路4が中継弁2からブレーキシリンダBC1、BC2に向けて出力される圧縮空気を遮断してブレーキを解除する。これにより、鉄道車両の“滑走”を抑止することができる。
【0031】
図1に示すように、滑走防止用回路4は、複数のブレーキシリンダBC1、BC2の各々に対応して、滑走防止弁40N、41N、滑走防止用給気電磁弁40A、41A、滑走防止用排気電磁弁40R、41R、及び、BC圧力センサPS4、PS5を備えている。
【0032】
滑走防止弁40Nは、中継弁2とブレーキシリンダBC1とを接続する流路、及び、ブレーキシリンダBC1と外気とを接続する流路を有し、それぞれ独立に開閉可能とする。滑走防止弁40Nは、滑走防止用給気電磁弁40A及び滑走防止用排気電磁弁40Rを通じて内部の指令室(図示せず)に印加される圧力に従い、上記2つの流路を開閉するパイロット式の弁である。
滑走防止用給気電磁弁40Aは、所定の滑走防止指令信号の入力に応じて閉動作することにより、滑走防止弁40Nにおける、上記中継弁2とブレーキシリンダBC1とを接続する流路を閉塞させる。
滑走防止用排気電磁弁40Rは、所定の滑走防止指令信号の入力に応じて開動作することにより、滑走防止弁40Nにおける、上記ブレーキシリンダBC1と外気とを接続する流路を開放させる。
なお、滑走防止弁41N、滑走防止用給気電磁弁41A、滑走防止用排気電磁弁41R及びブレーキシリンダBC2についての構成は、上述の滑走防止弁40N、滑走防止用給気電磁弁40A、滑走防止用排気電磁弁40R及びブレーキシリンダBC1と同様であるため説明を省略する。
【0033】
また、BC圧力センサPS4、PS5は、滑走防止弁40N、41NとブレーキシリンダBC1、BC2との間にそれぞれ設けられた圧力センサである。BC圧力センサPS4、PS5は、それぞれ、ブレーキシリンダBC1、BC2に印加される圧力(即ち、実際に係るブレーキの度合いを示す圧力)を検出する。
【0034】
緊急停止用回路5は、中継弁2への指令圧力を出力する回路であって、指令圧力出力回路3とは別系統に設けられた保安用の回路である。
図1に示すように、緊急停止用回路5は、圧力調整部50と、緊急停止用電磁弁51と、緊急停止用圧力センサPS6と、を有している。また、圧力調整部50は、圧力調整用電磁弁50aと、2段圧力調整弁50bと、を有している。
【0035】
圧力調整部50は、空気タンクTに接続され、当該空気タンクTに溜められている圧縮空気を緊急停止用圧力に変換して出力する。ここで、「緊急停止用圧力」とは、鉄道車両に対し緊急停止指令が発せられた場合に、緊急停止を実現するために中継弁2に特別に印加される圧力である。圧力調整部50は、緊急停止が行われる前(通常運転時)の段階で予め緊急停止用圧力とされた圧縮空気を生成しておく。
2段圧力調整弁50bは、空気タンクTから供給された圧縮空気を予め規定された圧力で出力する圧力調整弁であって、圧力調整用電磁弁50aを通じて印加される圧力に応じて動作するパイロット式の弁である。
緊急停止用電磁弁51は、圧力調整部50と中継弁2との間に設けられ、BCU10からの所定の緊急停止指令信号の入力に応じて開動作する。これにより、圧力調整部50が生成した緊急停止用圧力が中継弁2の指令室に印加され、緊急停止のためのブレーキが作動する。
【0036】
緊急停止用圧力センサPS6は、緊急停止用電磁弁51と中継弁2との間に設けられた圧力センサであって、緊急停止指令信号が出力された際に、圧力調整部50から中継弁2に向けて出力される圧縮空気の圧力を検出する。
【0037】
また、中継弁出力圧力センサPS3は、中継弁2と滑走防止弁40N、41N等の間に設けられ、中継弁2からブレーキシリンダBC1、BC2に向けて出力される圧縮空気の圧力を検出する。
【0038】
(機能構成)
図2は、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置の機能構成を示す図である。
図2に示すように、BCU10は、指令圧力出力回路3の各種電磁弁(ブレーキ指令用給気電磁弁30A、31A、ブレーキ指令用排気電磁弁30R、31R)及び切替電磁弁32に向けて動作制御用の電気信号を出力し、開閉動作、切替動作を制御する。また、BCU10は、指令圧力出力回路3の指令圧力センサPS1及びバックアップ系圧力センサPS2から圧力の検出値を取得する。
同様に、BCU10は、滑走防止用回路4の各種電磁弁(滑走防止用給気電磁弁40A、41A、滑走防止用排気電磁弁40R、41R)に向けて動作制御用の電気信号を出力し、開閉動作を制御する。また、滑走防止用回路4のBC圧力センサPS4、PS5から圧力の検出値を取得する。
同様に、BCU10は、緊急停止用回路5の緊急停止用電磁弁51に向けて動作制御用の電気信号を出力し、開閉動作を制御する。また、緊急停止用回路5の緊急停止用圧力センサPS6から圧力の検出値を取得する。
【0039】
BCU10は、例えばマイクロプロセッサ等であって、主の記録領域(メモリ)等に読み込まれた専用のプログラムに基づいて動作を行う。
本実施形態に係るBCU10は、図2に示すように、操作受付部100、フィードバック制御部101、ブレーキ指令出力部102、回路切替部103、滑走防止指令出力部104、緊急停止指令出力部105及び状態監視部106としての機能を発揮する。
【0040】
操作受付部100は、運転室に備えられたブレーキ操作手段(ブレーキレバー等)に対する運転者のブレーキ操作(1ノッチ、2ノッチ、・・・等)を受け付ける。
フィードバック制御部101は、指令圧力センサPS1の検出値をモニタリングしながら、当該検出値を、操作受付部100が受け付けた運転者のブレーキ操作に対応する目標値に近づけるためのフィードバック制御を行う。具体的には、フィードバック制御部101は、指令圧力センサPS1の検出値と、ブレーキ操作に対応する目標値と、の差圧を計測する。ブレーキ指令出力部102は、フィードバック制御部101の測定結果に基づいて、ブレーキ指令信号を指令圧力出力回路3に出力する。
回路切替部103は、指令圧力出力回路3におけるメイン系回路30の異常を検知した場合に、切替電磁弁32に所定の回路切替指令信号を出力して、中継弁2への圧縮空気の出力をメイン系回路30の出力からバックアップ系回路31の出力に切り替える。
滑走防止指令出力部104は、鉄道車両の滑走を検知した場合に、滑走防止用給気電磁弁40A、41A及び滑走防止用排気電磁弁40R、41Rに滑走防止指令信号を出力する。
緊急停止指令出力部105は、運転中の鉄道車両に対して緊急停止指令が発せられた場合に、緊急停止用電磁弁51に向けて緊急停止指令信号を出力する。
状態監視部106は、鉄道車両の運転中において、指令圧力センサPS1、バックアップ系圧力センサPS2、中継弁出力圧力センサPS3(図1)、BC圧力センサPS4、PS5、緊急停止用圧力センサPS6の検出値をモニタリングして、一定時間ごとに、図示しない記録媒体にログとして記録する。
【0041】
(BCUのブレーキ制御用の処理フロー)
図3は、第1の実施形態に係るBCUのブレーキ制御用の処理フローを示す図である。
図3に示す処理フローは、鉄道車両の運行中において、BCU10の操作受付部100、フィードバック制御部101及びブレーキ指令出力部102によって実行される。なお、図3に示される処理フローにおいては、終始、切替電磁弁32により、メイン系回路30の出力が選択されているものとする。
【0042】
鉄道車両の運行中において、運転者は、当該鉄道車両の運転室に備えられたブレーキレバーを所望に操作する。操作受付部100は、このブレーキレバーを通じて運転者の操作を受け付ける(ステップS00)。
フィードバック制御部101は、まず、ステップS00で受け付けた操作が、走行中の鉄道車両にかけるブレーキの度合いを強める「ブレーキ操作」か、ブレーキの度合いを弱める「ブレーキ解除操作」か、のいずれであるかを判定する(ステップS01)。
【0043】
受け付けた操作が「ブレーキ操作」であった場合(ステップS01:YES)、ブレーキを効かせるために、中継弁2の指令室は、現時点よりも高い圧力となる必要がある。そこで、フィードバック制御部101は、ブレーキ操作(1ノッチ、2ノッチ、・・・)に対応する目標値と、指令圧力センサPS1の検出値(現時点の指令圧力)との差圧を測定し、当該差圧の測定結果が所定の判定閾値以上か否かを判定する(ステップS02)。
目標値と検出値との差圧の測定結果が上記判定閾値以上であった場合(ステップS02:YES)、ブレーキ指令出力部102は、ブレーキ指令信号をブレーキ指令用給気電磁弁30Aに出力する(ステップS03)。これにより、ブレーキ指令用給気電磁弁30Aが開放されて、空気タンクTの圧縮空気がブレーキ指令用給気電磁弁30A及び切替電磁弁32を通じて中継弁2の指令室に流入し、より高い圧力が印加される。
続いて、フィードバック制御部101は、再度、目標値と検出値との差圧を測定し、当該差圧の測定結果が所定の判定閾値以上か否かを判定する(ステップS02)。目標値と検出値との差圧の測定結果が上記判定閾値よりも小さかった場合(ステップS02:NO)、ブレーキ指令出力部102は、ブレーキ指令信号の出力を停止し(ステップS04)、ブレーキ指令用給気電磁弁30Aを閉塞して処理を終了する。
【0044】
なお、本実施形態に係るブレーキ指令出力部102は、ステップS03において、メイン系回路30のブレーキ指令用給気電磁弁30Aに出力するブレーキ指令信号を、バックアップ系回路31のブレーキ指令用給気電磁弁31Aにも同時に出力する。また、ブレーキ指令出力部102は、ステップS04において、メイン系回路30のブレーキ指令用給気電磁弁30Aへのブレーキ指令信号の停止と同時に、バックアップ系回路31のブレーキ指令用給気電磁弁31Aへのブレーキ指令信号も停止する。これにより、メイン系回路30のブレーキ指令用給気電磁弁30Aと、バックアップ系回路31のブレーキ指令用給気電磁弁31Aとは、フィードバック制御(ステップS02~S04の処理)において、常に同じタイミングで開閉する。
【0045】
他方、受け付けた操作が「ブレーキ解除操作」であった場合(ステップS01:NO)、ブレーキを緩めるために、中継弁2の指令室は、現時点よりも低い圧力となる必要がある。そこで、フィードバック制御部101は、ブレーキ操作(1ノッチ、2ノッチ、・・・)に対応する目標値と、指令圧力センサPS1の検出値(現時点の指令圧力)との差圧を測定し、当該差圧の測定結果が所定の判定閾値以上か否かを判定する(ステップS05)。
目標値と検出値との差圧の測定結果が上記判定閾値以上であった場合(ステップS05:YES)、ブレーキ指令出力部102は、ブレーキ指令信号をブレーキ指令用排気電磁弁30Rに出力する(ステップS06)。これにより、ブレーキ指令用排気電磁弁30Rが開放されて、中継弁2の指令室に留まっていた圧縮空気が切替電磁弁32及びブレーキ指令用排気電磁弁30Rを通じて外気へと流出し、中継弁2の指令室の圧力が低減される。
続いて、フィードバック制御部101は、再度、目標値と検出値との差圧を測定し、当該差圧の測定結果が所定の判定閾値以上か否かを判定する(ステップS05)。目標値と検出値との差圧の測定結果が上記判定閾値よりも小さかった場合(ステップS05:NO)、ブレーキ指令出力部102は、ブレーキ指令信号の出力を停止し(ステップS07)、ブレーキ指令用排気電磁弁30Rを閉塞して処理を終了する。
【0046】
なお、本実施形態に係るブレーキ指令出力部102は、ステップS06において、メイン系回路30のブレーキ指令用排気電磁弁30Rに出力するブレーキ指令信号を、バックアップ系回路31のブレーキ指令用排気電磁弁31Rにも同時に出力する。また、ブレーキ指令出力部102は、ステップS07において、メイン系回路30のブレーキ指令用排気電磁弁30Rへのブレーキ指令信号の停止と同時に、バックアップ系回路31のブレーキ指令用排気電磁弁31Rへのブレーキ指令信号も停止する。これにより、メイン系回路30のブレーキ指令用排気電磁弁30Rと、バックアップ系回路31のブレーキ指令用排気電磁弁31Rとは、フィードバック制御(ステップS05~S07の処理)において、常に同じタイミングで開閉する。
【0047】
(BCUの回路切替用の処理フロー)
図4は、第1の実施形態に係るBCUの回路切替用の処理フローを示す図である。
図4に示す処理フローは、鉄道車両の運行中において、BCU10の回路切替部103によって実行される。なお、図4に示される処理フローの初期においては、切替電磁弁32により、メイン系回路30の出力が選択されているものとする。
【0048】
図3に示す処理フローにおいて、フィードバック制御部101及びブレーキ指令出力部102は、メイン系回路30に対し、フィードバック制御で各種電磁弁を開閉させるように指令信号を出力するものとして説明した(ステップS02~S04、ステップS05~S07)。回路切替部103は、この処理中において、指令圧力センサPS1の検出値が目標値に到達しないまま、予め規定された一定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS11)。
【0049】
フィードバック制御において、上記一定の時間が経過する前に指令圧力センサPS1の検出値が目標値に到達した場合(ステップS11:NO)、回路切替部103は、メイン系回路30が正常に動作しているものとみなし、特別な処理を行うことなく処理を終了する。
他方、指令圧力センサPS1の検出値が目標値に到達しない状態が上記一定の時間だけ継続した場合(ステップS11:YES)、フィードバック制御が想定の通りには実行されていないことから、メイン系回路30における不具合が疑われる。したがって、この場合、回路切替部103は、メイン系回路30の異常を検知する。
次いで、回路切替部103は、バックアップ系圧力センサPS2の検出値を取得し(ステップS12)、バックアップ系圧力センサPS2の検出値と目標値とが一致しているか否かを判定する(ステップS13)。
ここで、上述したように、メイン系回路30のブレーキ指令用給気電磁弁30A、ブレーキ指令用排気電磁弁30Rと、バックアップ系回路31のブレーキ指令用給気電磁弁31A、ブレーキ指令用排気電磁弁31Rとは、同一のブレーキ指令信号に基づいて、それぞれ、互いに同じタイミングで開閉動作する。したがって、メイン系回路30及びバックアップ系回路31の両方が正常に動作している場合は、指令圧力センサPS1の検出値とバックアップ系圧力センサPS2の検出値とは同じ指令圧力を示している。しかしながら、メイン系回路30及びバックアップ系回路31のいずれか一方に不具合が発生した場合、指令圧力センサPS1の検出値とバックアップ系圧力センサPS2の検出値とは互いに異なる圧力値を示す。
【0050】
バックアップ系圧力センサPS2の検出値と目標値とが一致している場合(ステップS13:YES)、バックアップ系回路31は正常に動作しているものと判断される。したがって、回路切替部103は、切替電磁弁32に対し回路切替指令信号を出力して、中継弁2への出力をメイン系回路30からバックアップ系回路31へと切り替える(ステップS14)。これにより、メイン系回路30からの出力は遮蔽され、代わりに、バックアップ系回路31からの出力が中継弁2に送出される。
他方、バックアップ系圧力センサPS2の検出値と目標値とが一致していない場合(ステップS13:NO)は、メイン系回路30及びバックアップ系回路31の両方が故障しているか、或いは、メイン系回路30、バックアップ系回路31とは異なる部分で不具合が生じていることが想定される。したがって、この場合、回路切替部103は、正規の運転を継続することができない旨を示す異常通知信号を運転者等に向けて出力する(ステップS15)。
【0051】
(BCUの、回路切替後におけるブレーキ制御用の処理フロー)
図5は、第1の実施形態に係るBCUの、回路切替後におけるブレーキ制御用の処理フローを示す図である。
図5に示す処理フローは、鉄道車両の運行中であって、かつ、BCU10の回路切替部103による処理(図4)に基づき、切替電磁弁32にて、中継弁2への出力がメイン系回路30からバックアップ系回路31に切り替えられた後において、操作受付部100、フィードバック制御部101及びブレーキ指令出力部102によって実行される。
【0052】
操作受付部100は、図3のステップS00と同様に、ブレーキレバーを通じて運転者の操作を受け付ける(ステップS20)。そして、フィードバック制御部101は、ステップS20で受け付けた操作が、走行中の鉄道車両にかけるブレーキの度合いを強める「ブレーキ操作」か、ブレーキの度合いを弱める「ブレーキ解除操作」か、のいずれであるかを判定する(ステップS21)。
【0053】
受け付けた操作が「ブレーキ操作」であった場合(ステップS21:YES)、フィードバック制御部101は、ブレーキ操作に対応する目標値と、バックアップ系圧力センサPS2の検出値(現時点の指令圧力)との差圧を測定し、当該差圧の測定結果が所定の判定閾値以上か否かを判定する(ステップS22)。
目標値と検出値との差圧の測定結果が上記判定閾値以上であった場合(ステップS22:YES)、ブレーキ指令出力部102は、ブレーキ指令信号をバックアップ系回路31のブレーキ指令用給気電磁弁31Aに出力する(ステップS23)。これにより、ブレーキ指令用給気電磁弁31Aが開放されて、空気タンクTの圧縮空気がブレーキ指令用給気電磁弁31A及び切替電磁弁32を通じて中継弁2の指令室に流入し、より高い圧力が印加される。
続いて、フィードバック制御部101は、再度、目標値と検出値(検出値はバックアップ系圧力センサPS2によるもの)との差圧を測定し、当該差圧の測定結果が所定の判定閾値以上か否かを判定する(ステップS22)。目標値と検出値との差圧の測定結果が上記判定閾値よりも小さかった場合(ステップS22:NO)、ブレーキ指令出力部102は、ブレーキ指令信号の出力を停止し(ステップS24)、バックアップ系回路31のブレーキ指令用給気電磁弁31Aを閉塞して処理を終了する。
【0054】
他方、受け付けた操作が「ブレーキ解除操作」であった場合(ステップS21:NO)、フィードバック制御部101は、ブレーキ操作に対応する目標値と、バックアップ系圧力センサPS2の検出値(現時点の指令圧力)との差圧を測定し、当該差圧の測定結果が所定の判定閾値以上か否かを判定する(ステップS25)。
目標値と検出値との差圧の測定結果が上記判定閾値以上であった場合(ステップS25:YES)、ブレーキ指令出力部102は、ブレーキ指令信号をバックアップ系回路31のブレーキ指令用排気電磁弁31Rに出力する(ステップS26)。これにより、ブレーキ指令用排気電磁弁31Rが開放されて、中継弁2の指令室に留まっていた圧縮空気が切替電磁弁32及びブレーキ指令用排気電磁弁31Rを通じて外気へと流出し、中継弁2の指令室の圧力が低減される。
続いて、フィードバック制御部101は、再度、目標値と検出値(検出値はバックアップ系圧力センサPS2によるもの)との差圧を測定し、当該差圧の測定結果が所定の判定閾値以上か否かを判定する(ステップS25)。目標値と検出値との差圧の測定結果が上記判定閾値よりも小さかった場合(ステップS25:NO)、ブレーキ指令出力部102は、ブレーキ指令信号の出力を停止し(ステップS27)、バックアップ系回路31のブレーキ指令用排気電磁弁31Rを閉塞して処理を終了する。
【0055】
このように、BCU10は、切替電磁弁32を通じてメイン系回路30の出力からバックアップ系回路31の出力に切り替えた場合に、運転者の操作に対応する目標値と、バックアップ系圧力センサPS2の検出値と、に基づいてブレーキ指令信号を出力する。
【0056】
(BCUの滑走防止用の処理フロー)
図6は、第1の実施形態に係るBCUの滑走防止用の処理フローを示す図である。
図6に示す処理フローは、鉄道車両の運行中において、BCU10の滑走防止指令出力部104によって実行される。
【0057】
図6に示すように、滑走防止指令出力部104は、鉄道車両の運行中において、車輪がレール上を滑る“滑走”の発生の監視を行いながら(ステップS31)、“滑走”が発生したか否かを判定する(ステップS32)。滑走防止指令出力部104は、“滑走”の発生を検知しない場合は(ステップS32:NO)、“滑走”の監視を継続する。
ここで、例えば、滑走防止指令出力部104は、車輪の回転速度を検出する車輪回転速度検出手段と、車体の移動速度を計測する車体速度計測手段と、を用いて“滑走”の発生を検知する。具体的には、滑走防止指令出力部104は、車輪回転速度検出手段を通じて得られた車輪の回転速度から算出された走行速度と、車体速度計測手段を通じて直接的に計測された車体速度と、の間に所定値以上のずれが生じた場合は、“滑走”が発生したものと判断することができる。
【0058】
“滑走”の発生を検知した場合(ステップS32:YES)、滑走防止指令出力部104は、直ちに、滑走防止用給気電磁弁40A、41A、及び、滑走防止用排気電磁弁40R、41Rに滑走防止指令信号を出力する(ステップS33)。
滑走防止用給気電磁弁40A、41Aは、滑走防止指令信号を受けて閉塞し、また、滑走防止用排気電磁弁40R、41Rは、滑走防止指令信号を受けて開放する。これにより、滑走防止弁40N、41Nにおける、中継弁2とブレーキシリンダBC1とを接続する流路が閉塞されるとともに、ブレーキシリンダBC1と外気とを接続する流路が開放される。そうすると、ブレーキシリンダBC1、BC2に印加される圧力が急速に低減され、ブレーキが緩められる。これにより、滑走していた車輪が再び回転し始める。
【0059】
(BCUの緊急停止用の処理フロー)
図7は、第1の実施形態に係るBCUの緊急停止用の処理フローを示す図である。
図7に示す処理フローは、鉄道車両の運行中において、BCU10の緊急停止指令出力部105によって実行される。
【0060】
図7に示すように、緊急停止指令出力部105は、鉄道車両の運行中において、当該鉄道車両に対し緊急停止指令が発せられたか否かの監視を行いながら(ステップS41)、緊急停止指令が発せられたか否かを判定する(ステップS42)。緊急停止指令出力部105は、緊急停止指令を検知しない場合は(ステップS42:NO)、緊急停止指令の監視を継続する。
ここで、鉄道車両に対する緊急停止指令は、例えば、外部の保安系システムから専用の通信ネットワークを経由して発せられる場合、又は、鉄道車両を運転する運転者自身の操作により発せられる場合がある。このような緊急停止指令を受け付けた場合には(ステップS42:YES)、緊急停止指令出力部105は、直ちに、緊急停止用電磁弁51に緊急停止指令信号を出力する(ステップS43)。これにより、緊急停止用電磁弁51が開放され、圧力調整部50によって緊急停止用圧力に調節された圧縮空気が中継弁2の指令室に送出される。そうすると、中継弁2を通じて、ブレーキシリンダBC1、BC2に対し、上記緊急停止用圧力に応じた圧力が印加される。これにより、鉄道車両において、緊急停止ブレーキがかけられる。
【0061】
続いて、図8図11を参照しながら、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置の検査方法について説明する。
【0062】
(ブレーキ制御装置の検査時における第1の処理フロー)
図8は、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置の検査時における第1の処理フローを示す図である。
図8に示す処理フローは、検査作業員によって定期的(例えば、一日の運行終了前後など)に行われるブレーキ制御装置1に対する検査の処理の流れの一つを示している。検査作業員は、この処理フローに従い、ブレーキ制御装置1の指令圧力出力回路3周辺における異常の有無を検査する。
【0063】
まず、検査作業員は、指令圧力センサPS1の検出値を確認しながらブレーキレバー等を操作して、事前圧力調整を行う(ステップS51)。ここで、検査作業員は、指令圧力センサPS1の検出値が、空気タンクTに貯められた圧縮空気の圧力と大気圧との間の圧力値となるように調整する。また、検査作業員は、メイン系回路30の出力が選択される(中継弁2に送出される)ように切替電磁弁32を操作する。
次に、検査作業員は、メイン系回路30のブレーキ指令用給気電磁弁30A及びブレーキ指令用排気電磁弁30Rを閉塞させる操作を行う(ステップS52)。これにより、メイン系回路30から、切替電磁弁32を経由して中継弁2までに渡る閉回路が形成される。
次に、検査作業員は、指令圧力センサPS1の検出値を確認し、当該検出値が変動しているか否かを確認する(ステップS53)。
指令圧力センサPS1の検出値が変動していない場合(ステップS53:一定)、検査作業員は、閉回路を構成するブレーキ指令用給気電磁弁30A、ブレーキ指令用排気電磁弁30R及び中継弁2に対し「異常なし」と判定する。
また、指令圧力センサPS1の検出値が増加している場合(ステップS53:増加)、閉塞状態にあるはずのブレーキ指令用給気電磁弁30Aを通じて、空気タンクTから中継弁2にかけて圧縮空気が流入していることが考えられる。したがって、検査作業員は、「ブレーキ指令用給気電磁弁30Aに異常の可能性あり」と判定し(ステップS55)、異常が疑われるブレーキ指令用給気電磁弁30Aの点検を行う。
他方、指令圧力センサPS1の検出値が減少している場合(ステップS53:減少)、閉塞状態にあるはずのブレーキ指令用排気電磁弁30R、又は、中継弁2の指令室から外気にかけて圧縮空気が流出していることが考えられる。したがって、検査作業員は、「ブレーキ指令用排気電磁弁30R又は中継弁2に異常の可能性あり」と判定し(ステップS56)、異常が疑われるブレーキ指令用排気電磁弁30R、中継弁2の点検を行う。
【0064】
なお、検査作業員は、上述のステップS52にて、更に、バックアップ系回路31のブレーキ指令用給気電磁弁31A及びブレーキ指令用排気電磁弁31Rを閉塞させる操作を行うことで、ブレーキ指令用給気電磁弁31A、ブレーキ指令用排気電磁弁31R及び切替電磁弁32からなる閉回路を形成してもよい。
この場合、更に、検査作業員は、バックアップ系圧力センサPS2の検出値の変動を確認して、ブレーキ指令用給気電磁弁31A、ブレーキ指令用排気電磁弁31R及び切替電磁弁32の少なくとも何れか一つにおいて異常があるか否かの判定を行ってもよい。例えば、検査作業員は、バックアップ系圧力センサPS2の検出値が増加している場合、「ブレーキ指令用給気電磁弁31Aに異常の可能性あり」と判定することができる。また、検査作業員は、バックアップ系圧力センサPS2の検出値が減少している場合、「ブレーキ指令用排気電磁弁31R又は切替電磁弁32に異常の可能性あり」と判定することができる。
【0065】
(ブレーキ制御装置の検査時における第2の処理フロー)
図9は、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置の検査時における第2の処理フローを示す図である。
図9に示す処理フローは、図8に示す処理フローと同様に、検査作業員によって定期的に行われるブレーキ制御装置1に対する検査の処理の流れの一つを示している。検査作業員は、この処理フローに従い、指令圧力出力回路3の圧力センサにおける異常の有無を検査する。
【0066】
検査作業員は、指令圧力センサPS1及びバックアップ系圧力センサPS2の検出値を確認しながらブレーキレバー等を操作して、事前圧力調整を行う(ステップS61)。次に、検査作業員は、指令圧力センサPS1、バックアップ系圧力センサPS2のそれぞれの検出値が同じか否かを判定する(ステップS62)。ここで、上述したように、メイン系回路30及びバックアップ系回路31の各種電磁弁は、それぞれ、同一のブレーキ指令信号に基づいて動作するので、指令圧力センサPS1及びバックアップ系圧力センサPS2は、常に同じ検出値を示すはずである。
したがって、指令圧力センサPS1、バックアップ系圧力センサPS2のそれぞれの検出値が同一であった場合は(ステップS62:YES)、検査作業員は、指令圧力センサPS1及びバックアップ系圧力センサPS2に対し「異常なし」と判定する(ステップS63)。
他方、指令圧力センサPS1、バックアップ系圧力センサPS2のそれぞれの検出値が異なっていた場合(ステップS62:NO)、検査作業員は、「指令圧力センサPS1及びバックアップ系圧力センサPS2の何れかに異常の可能性あり」と判定し(ステップS64)、異常が疑われる各圧力センサの点検を行う。
【0067】
(ブレーキ制御装置の検査時における第3の処理フロー)
図10は、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置の検査時における第3の処理フローを示す図である。
図10に示す処理フローは、図8図9に示す処理フローと同様に、検査作業員によって定期的に行われるブレーキ制御装置1に対する検査の処理の流れの一つを示している。検査作業員は、この処理フローに従い、ブレーキ制御装置1の滑走防止用回路4周辺における異常の有無を検査する。
【0068】
まず、検査作業員は、BC圧力センサPS4、PS5の検出値を確認しながらブレーキレバー等を操作して、事前圧力調整を行う(ステップS71)。ここで、検査作業員は、BC圧力センサPS4、PS5の検出値が、空気タンクTに貯められた圧縮空気の圧力と大気圧との間の圧力値となるように調整する。
【0069】
次に、検査作業員は、滑走防止用給気電磁弁40A、41A及び滑走防止用排気電磁弁40R、41Rを閉塞させる操作を行う(ステップS72)。これにより、滑走防止弁40N、41NからブレーキシリンダBC1、BC2までに渡る閉回路が形成される。
次に、検査作業員は、BC圧力センサPS4、PS5の検出値を確認し、当該検出値が変動しているか否かを確認する(ステップS73)。
BC圧力センサPS4、PS5の検出値が変動していない場合(ステップS73:一定)、検査作業員は、閉回路を構成する滑走防止弁40N、41N、滑走防止用給気電磁弁40A、41A、滑走防止用排気電磁弁40R、41R及びブレーキシリンダBC1、BC2に対し「異常なし」と判定する。
また、BC圧力センサPS4、PS5の検出値が増加している場合(ステップS73:増加)、閉塞状態にあるはずの滑走防止弁40N、41Nを通じて、空気タンクTからブレーキシリンダBC1、BC2にかけて圧縮空気が流入していることが考えられる。したがって、検査作業員は、「滑走防止用給気電磁弁40A、41A又は滑走防止弁40N、41Nに異常の可能性あり」と判定し(ステップS75)、異常が疑われる滑走防止用給気電磁弁40A、41A、滑走防止弁40N、41Nの点検を行う。
他方、BC圧力センサPS4、PS5の検出値が減少している場合(ステップS75:減少)、閉塞状態にあるはずの滑走防止用排気電磁弁40R、41R、又は、滑走防止弁40N、41Nから外気にかけて圧縮空気が流出していることが考えられる。したがって、検査作業員は、「滑走防止用排気電磁弁40R、41R又は滑走防止弁40N、41Nに異常の可能性あり」と判定し(ステップS76)、異常が疑われる滑走防止用排気電磁弁40R、41R、滑走防止弁40N、41Nの点検を行う。
【0070】
(ブレーキ制御装置の検査時における第4の処理フロー)
図11は、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置の検査時における第4の処理フローを示す図である。
図11に示す処理フローは、図8図10に示す処理フローと同様に、検査作業員によって定期的に行われるブレーキ制御装置1に対する検査の処理の流れの一つを示している。検査作業員は、この処理フローに従い、ブレーキ制御装置1の緊急停止用回路5周辺における異常の有無を検査する。
【0071】
まず、検査作業員は、圧力調整用電磁弁50aを制御して、2段圧力調整弁50bにて緊急停止用の圧力からなる圧縮空気を生成する(ステップS81)。
次に、検査作業員は、緊急停止用電磁弁51を開放させる操作を行う(ステップS82)。これにより、ステップS81で生成された圧縮空気が中継弁2へと流入する。
次に、検査作業員は、緊急停止用圧力センサPS6の検出値が正規の緊急停止用圧力を示しているか否かを判定する(ステップS83)。
緊急停止用圧力センサPS6の検出値が正規の緊急停止用圧力を示している場合(ステップS83:YES)、検査作業員は、圧力調整部50及び緊急停止用電磁弁51中継弁2に対し「異常なし」と判定する(ステップS84)。
他方、緊急停止用圧力センサPS6の検出値が正規の緊急停止用圧力を示していない場合(ステップS83:NO)、圧力調整部50で生成された圧縮空気が正規の緊急停止用圧力となっていないか、緊急停止用電磁弁51の開閉動作に異常があると考えられる。したがって、検査作業員は、「圧力調整部50又は緊急停止用電磁弁51に異常の可能性あり」と判定する(ステップS85)。
【0072】
(作用・効果)
以上の通り、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置1は、指令圧力出力回路3において空気タンクTに並列に接続されたメイン系回路30及びバックアップ系回路31と、メイン系回路30の出力、及び、バックアップ系回路31の出力のうちの何れか一方を中継弁2に出力する切替電磁弁32と、を備える構成とされている。
そして、BCU10は、鉄道車両の運行中においてメイン系回路30の異常を検知した場合に、切替電磁弁32を制御して、メイン系回路30の出力からバックアップ系回路31の出力に切り替える。
このようにすることで、メイン系回路30に異常が生じた場合であっても、中継弁2への出力が、直ちに、バックアップ系回路31に切り替わるので、鉄道車両は運行を継続することができる。
したがって、鉄道車両の信頼性を高めることができる。
【0073】
また、従来の鉄道車両においては、指令圧力出力回路3として、入力された電流値(運転者の操作に対応する電流値)に応じた圧力で圧縮空気を出力する機能を有する電空変換弁を用いるのが一般的である。これに対し、第1の実施形態に係るメイン系回路30及びバックアップ系回路31は、それぞれ、空気タンクTと切替電磁弁32との間に設けられたブレーキ指令用給気電磁弁30A、31Aと、切替電磁弁32と外気との間に設けられたブレーキ指令用排気電磁弁30R、31Rと、で構成される。
ここで、上述の電空変換弁は、装置構成が複雑であるため、一般的な電磁弁と比較して筐体サイズが極めて大きく、価格も高価となる。そのため、このような電空変換弁を2つ搭載させて指令圧力出力回路3にバックアップ機能を持たせることは、ブレーキ制御装置として求められる構成サイズ、製造コストの観点から現実的ではなかった。
しかしながら、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置1によれば、メイン系回路30及びバックアップ系回路31は、上述の一般的な電磁弁のみで構成される。これにより、構成サイズ、製造コストの増加を抑えつつ、上述のようなバックアップ機能を持たせることができる。
【0074】
また、第1の実施形態に係る指令圧力出力回路3は、更に、切替電磁弁32と中継弁2との間に設けられた指令圧力センサPS1を備えている。そして、BCU10は、運転者の操作に応じた目標値と、指令圧力センサPS1の検出値と、に基づいてブレーキ指令信号を出力する。
このようにすることで、指令圧力センサPS1の検出値に応じて、指令圧力出力回路3を構成する各種電磁弁の開閉動作をフィードバック制御するので、中継弁2に印加される圧力を、運転者の操作に応じた目標値に迅速かつ精度良く一致させることができる。
【0075】
また、第1の実施形態に係る指令圧力出力回路3は、更に、バックアップ系回路31と切替電磁弁32との間に設けられたバックアップ系圧力センサPS2を備えている。そして、BCU10は、メイン系回路30の出力からバックアップ系回路31の出力に切り替えた場合に、目標値と、バックアップ系圧力センサPS2の検出値と、に基づいてブレーキ指令信号を出力する。換言すると、BCU10は、メイン系回路30の出力からバックアップ系回路31の出力に切り替えた場合に、フィードバック制御のために参照する検出値を、指令圧力センサPS1の検出値からバックアップ系圧力センサPS2の検出値に切り替える。
このようにすることで、指令圧力出力回路3の指令圧力センサPS1に異常が生じていた場合であっても、バックアップ系回路31及びバックアップ系圧力センサPS2にて正常なフィードバック制御を継続することができる。
【0076】
また、第1の実施形態に係る指令圧力出力回路3によれば、バックアップ系圧力センサPS2は、切替電磁弁32の一次側(バックアップ系回路31と切替電磁弁32との間)に設けられ、かつ、指令圧力センサPS1は、切替電磁弁32の二次側(切替電磁弁32と中継弁2との間)に設けられている。
これにより、バックアップ系回路31を用いて運行している間、バックアップ系圧力センサPS2、指令圧力センサPS1の両方で同一の圧力(中継弁2に入力する圧縮空気の圧力)を検出する。したがって、バックアップ系圧力センサPS2、指令圧力センサPS1の各々をモニタリングして対比することで、運行中においても、指令圧力センサPS1又はバックアップ系圧力センサPS2のいずれかで生じた不具合を直ちに把握することができる。
【0077】
また、第1の実施形態に係るBCU10は、バックアップ系圧力センサPS2の検出値が目標値に一致し、かつ、指令圧力センサPS1の検出値が目標値から外れていることを条件の一つとして、メイン系回路30の出力からバックアップ系回路31の出力に切り替える(図4の処理フローを参照)。
ここで、バックアップ系圧力センサPS2の検出値が目標値に一致していることは、バックアップ系回路31及びバックアップ系圧力センサPS2が正常に機能していることを意味している。したがって、メイン系回路30の出力からバックアップ系回路31の出力に切り替えた際に、より確実に正規の運転に復帰することができる。
【0078】
また、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置1は、更に、滑走防止弁40N、41N、滑走防止用給気電磁弁40A、41A及び滑走防止用排気電磁弁40R、41Rを備えている。また、ブレーキ制御装置1は、前記滑走防止弁40N、41NとブレーキシリンダBC1、BC2との間に設けられたBC圧力センサPS4、PS5を備えている。
そして、BCU10は、滑走を検知した場合に、滑走防止用給気電磁弁40A、41A及び滑走防止用排気電磁弁40R、41Rに滑走防止指令信号を出力する。
このようにすることで、鉄道車両の滑走が生じたときに、直ちに、当該滑走が抑制されるようにブレーキが解除される。また、検査時において、BC圧力センサPS4、PS5の検出値をモニタリングすることで、滑走防止弁40N、41N、滑走防止用給気電磁弁40A、41A及び滑走防止用排気電磁弁40R、41Rが正常に機能しているか否かを容易に判断することができる。
【0079】
また、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置1は、更に、圧力調整部50と、緊急停止用電磁弁51と、を備えている。また、ブレーキ制御装置1は、緊急停止用電磁弁51と中継弁2との間に設けられた緊急停止用圧力センサPS6を備えている。
このようにすることで、緊急停止を実施すべき状況において、より確実に鉄道車両を停止することができる。また、検査時において、緊急停止用圧力センサPS6の検出値をモニタリングすることで、圧力調整部50、緊急停止用電磁弁51が正常に機能しているか否かを容易に判断することができる。
【0080】
また、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置1の検査方法は、メイン系回路30に属するブレーキ指令用給気電磁弁30Aとブレーキ指令用排気電磁弁30Rとを閉塞させるステップを有している。また、ブレーキ制御装置1の検査方法は、指令圧力センサPS1の検出値の変動に基づいて、メイン系回路30、及び、中継弁2のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定するステップを有している(図8の処理フローを参照)。換言すると、検査方法は、第1のステップで電磁弁を閉塞して指令圧力出力回路3内に閉回路を形成し、第2のステップで当該閉回路内部における圧力の変化を観察する。
このようにすることで、指令圧力出力回路3及び中継弁2における不具合の有無を簡素かつ精度良く特定することができる。したがって、ブレーキ制御装置1のメンテナンスに必要な労力を大幅に低減することができる。
【0081】
また、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置1の検査方法は、指令圧力センサPS1の検出値と、バックアップ系圧力センサPS2の検出値と、の対比の結果に基づいて、指令圧力センサPS1及びバックアップ系圧力センサPS2のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定するステップを有する(図9の処理フローを参照)。
このようにすることで、指令圧力センサPS1、バックアップ系圧力センサPS2における不具合の有無を簡素かつ精度良く特定することができる。したがって、ブレーキ制御装置1のメンテナンスに必要な労力を大幅に低減することができる。
【0082】
また、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置1の検査方法は、滑走防止用給気電磁弁40A、41Aと滑走防止用排気電磁弁40R、41Rとを閉塞させるステップを有している。また、ブレーキ制御装置1の検査方法は、BC圧力センサPS4、PS5の検出値の変動に基づいて、滑走防止弁40N、41N、滑走防止用給気電磁弁40A、41A及び滑走防止用排気電磁弁40R、41Rのうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定するステップを有している(図10の処理フローを参照)。換言すると、検査方法は、第1のステップで電磁弁を閉塞して滑走防止用回路4内に閉回路を形成し、第2のステップで当該閉回路内部における圧力の変化を観察する。
このようにすることで、滑走防止用回路4における不具合の有無を簡素かつ精度良く特定することができる。したがって、ブレーキ制御装置1のメンテナンスに必要な労力を大幅に低減することができる。
【0083】
また、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置1の検査方法は、緊急停止用電磁弁51を開放させるステップと、緊急停止用圧力センサPS6の検出値に基づいて、圧力調整部50及び緊急停止用電磁弁51のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定するステップと、を有している。
このようにすることで、緊急停止用回路5における不具合を簡素かつ精度良く特定することができる。したがって、ブレーキ制御装置1のメンテナンスに必要な労力を大幅に低減することができる。
【0084】
以上、第1の実施形態に係るブレーキ制御装置1及びブレーキ制御装置1の検査方法について詳細に説明したが、ブレーキ制御装置1及びブレーキ制御装置1の検査方法の具体的な態様は、上述のものに限定されることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を加えることは可能である。
【0085】
例えば、第1の実施形態に係るBCU10は、ブレーキを効かせる場合には、ブレーキ指令用給気電磁弁30A(31A)を開閉させて指令圧力のフィードバック制御を行うものとして説明した。また、第1の実施形態に係るBCU10は、ブレーキを緩める場合には、ブレーキ指令用排気電磁弁30R(31R)を開閉させて指令圧力のフィードバック制御を行うものとして説明した。
他の実施形態においては、BCU10は、ブレーキを効かせる場合及びブレーキを緩める場合のそれぞれにおいて、ブレーキ指令用給気電磁弁30A(31A)とブレーキ指令用排気電磁弁30R(31R)との両方を開閉させながらフィードバック制御を行う態様であってもよい。
例えば、BCU10は、ブレーキを効かせる目的でブレーキ指令用給気電磁弁30Aを開放した結果、指令圧力が目標値を超えて上昇した(オーバーシュートした)場合には、次いで、ブレーキ指令用排気電磁弁30Rを微小時間だけ開放して指令圧力を低減させて目標値に一致させるようにしてもよい。
【0086】
また、他の実施形態に係るブレーキ制御装置1においては、第1の実施形態で説明した指令圧力出力回路3、滑走防止用回路4及び緊急停止用回路5の構成を必ずしも具備する態様でなくともよい。
例えば、他の実施形態に係るブレーキ制御装置1は、指令圧力出力回路3のみを具備し、滑走防止用回路4、緊急停止用回路5の両方を備えていない態様であってもよい。
また、他の実施形態に係るブレーキ制御装置1は、メイン系回路30及びバックアップ系回路31のうちのいずれか一方又は両方が、従来の電空変換弁で構成される態様であってもよい。
以上のような変形例に係るブレーキ制御装置1に対しても、図8図11で説明した各種検査方法は、適宜、適用可能である。
【0087】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係るブレーキ制御装置の検査システムについて、図12を参照しながら説明する。
【0088】
図12は、第2の実施形態に係るブレーキ制御装置の検査システムの全体構成を示す図である。
図12に示すように、ブレーキ制御装置検査システム90は、コンピュータ900を備えている。
また、コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備えている。
【0089】
第2の実施形態に係るブレーキ制御装置検査システム90は、第1の実施形態で説明した各種検査の処理フロー(図8図11)を自動的に実行する。
具体的には、上述した各検査の処理フローが、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0090】
具体的には、CPU901は、プログラムに従って動作することにより、電磁弁制御指令部9010、異常判定部9011として機能する。なお、CPU901は、通信インタフェース905を介して、BCU10に制御用の信号を出力し、間接的にブレーキ制御装置1の動作を制御する。
【0091】
電磁弁制御指令部9010は、BCU10を通じて、メイン系回路30に属するブレーキ指令用給気電磁弁30Aとブレーキ指令用排気電磁弁30Rとを閉塞させる。そして、異常判定部9011は、指令圧力センサPS1の検出値の変動に基づいて、メイン系回路30、及び、中継弁2のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定する。
【0092】
また、異常判定部9011は、指令圧力センサPS1の検出値と、バックアップ系圧力センサPS2の検出値と、の対比の結果に基づいて、指令圧力センサPS1及びバックアップ系圧力センサPS2のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定する。
【0093】
また、電磁弁制御指令部9010は、BCU10を通じて、滑走防止用給気電磁弁40A、41Aと滑走防止用排気電磁弁40R、41Rとを閉塞させる。そして、異常判定部9011は、BC圧力センサPS4、PS5の検出値の変動に基づいて、滑走防止弁40N、41N、滑走防止用給気電磁弁40A、41A及び滑走防止用排気電磁弁40R、41Rのうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定する。
【0094】
また、電磁弁制御指令部9010は、BCU10を通じて、緊急停止用電磁弁51を開放させる。そして、異常判定部9011は、緊急停止用圧力センサPS6の検出値に基づいて、圧力調整部50及び緊急停止用電磁弁51のうちの少なくとも何れか一つに異常があると判定する。
【0095】
なお、第2の実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、入出力インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。
【0096】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0097】
また、ブレーキ制御装置検査システム90は、1台のコンピュータ900で構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。
【0098】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0099】
1 ブレーキ制御装置
10 BCU(制御部)
100 操作受付部
101 フィードバック制御部
102 ブレーキ指令出力部
103 回路切替部
104 滑走防止指令出力部
105 緊急停止指令出力部
106 状態監視部
2 中継弁
3 指令圧力出力回路
30 メイン系回路
31 バックアップ系回路
30A、31A ブレーキ指令用給気電磁弁
30R、31R ブレーキ指令用排気電磁弁
32 切替電磁弁
4 滑走防止用回路
40N、41N 滑走防止弁
40A、41A 滑走防止用給気電磁弁
40R、41R 滑走防止用排気電磁弁
5 緊急停止用回路
50 圧力調整部
50a 圧力調整用電磁弁
50b 2段圧力調整弁
51 緊急停止用電磁弁
90 ブレーキ制御装置検査システム
900 コンピュータ
901 CPU
9010 電磁弁制御指令部
9011 異常判定部
902 主記憶装置
903 補助記憶装置
904 入出力インタフェース
905 通信インタフェース
T 空気タンク
BC1、BC2 ブレーキシリンダ
PS1 指令圧力センサ
PS2 バックアップ系圧力センサ
PS3 中継弁出力圧力センサ
PS4、PS5 BC圧力センサ
PS6 緊急停止用圧力センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12