(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155892
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/21 20110101AFI20221006BHJP
B60R 21/215 20110101ALI20221006BHJP
【FI】
B60R21/21
B60R21/215
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059327
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 航
(72)【発明者】
【氏名】岡上 喜貴
(72)【発明者】
【氏名】本田 了悟
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA04
3D054AA07
3D054AA16
3D054BB22
3D054FF17
(57)【要約】
【課題】エアバッグ装置の周りのトリム又はエアバッグ装置の組付作業性を向上させることを目的とする。
【解決手段】周りに車両5のトリム12が取付けられるエアバッグ装置20であって、折畳まれたエアバッグ22と、エアバッグを収納し、車両に固定される取付部材30と、エアバッグを取付部材とは反対側から覆った状態で取付部材と連結された本体部42と、本体部から突出して設けられ、少なくとも一部がトリムによって覆われる突出支持部50と、を含むエアバッグリッド40と、を備え、突出支持部は、本体部と連結された基端側縁部分51と、基端側縁部分とは反対側の先端側縁部分52と、基端側縁部分と先端側縁部分との間に設けられ、トリム側を連結する係止部分(例えば係止孔54)と、先端側縁部分に沿って連続して設けられた補強部分53とを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周りに車両のトリムが取付けられるエアバッグ装置であって、
折畳まれたエアバッグと、
前記エアバッグを収納し、前記車両に固定される取付部材と、
前記エアバッグを前記取付部材とは反対側から覆った状態で前記取付部材と連結された本体部と、前記本体部から突出して設けられ、少なくとも一部が前記トリムによって覆われる突出支持部と、を含むエアバッグリッドと、
を備え、
前記突出支持部は、前記本体部と連結された基端側縁部分と、前記基端側縁部分とは反対側の先端側縁部分と、前記基端側縁部分と前記先端側縁部分との間に設けられ、前記トリムを連結する係止部分と、前記先端側縁部分に沿って連続して設けられた補強部分とを含む、エアバッグ装置。
【請求項2】
請求項1記載のエアバッグ装置であって、
前記係止部分は、前記基端側縁部分と前記先端側縁部分との間に設けられ、前記トリムに設けられた相手側係止部としての係止突部が押込まれて係止する係止孔である、エアバッグ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のエアバッグ装置であって、
前記突出支持部を前記トリムとは反対側から支持する支持部を備えるエアバッグ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のエアバッグ装置であって、
前記本体部は、前記車両の室内に露出するガーニッシュ部分と、前記ガーニッシュ部分から前記取付部材側に向けて前記エアバッグを囲むように突出し、前記取付部材と連結された周壁部分と、を含み、
前記支持部は、前記突出支持部と前記周壁部分との間に前記エアバッグリッドと一体に設けられた部分を含む、エアバッグ装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のエアバッグ装置であって、
前記補強部分は、前記係止部分から前記先端側縁部分に向うに連れて前記先端側縁部分から離れる面を含む形状に形成されている、エアバッグ装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のエアバッグ装置であって、
前記補強部分は、前記先端側縁部分との間に隙間を設けた状態で前記先端側縁部分の長手方向に沿って延びる梁部分と、前記先端側縁部分と前記梁部分との間に設けられ、前記先端側縁部分に対して前記梁部分を繋ぐ柱部分とを含む、エアバッグ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のエアバッグ装置であって、
前記柱部分は、前記先端側縁部分の長手方向において、前記係止部分が設けられる範囲内に設けられるものを含む、エアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、エアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エアバッグモジュールと、ケースと、エアバッグドアガーニッシュとを備える後席用サイドエアバッグ装置を開示している。エアバッグモジュールは、シートバックの側部とホイルハウスとの間に配置される。エアバッグドアガーニッシュは、エアバッグモジュールを車室側から覆っている。エアバッグドアガーニッシュの外周縁部は、サイドガーニッシュによって車室側から覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアバッグドアガーニッシュとサイドガーニッシュとの位置関係を一定に保つために、サイドガーニッシュに設けられた係止爪がエアバッグドアガーニッシュに形成された係止孔に係止される構成が考えられる。しかしながら、係止爪を係止孔に挿入する際に、係止孔の周縁部が係止爪による押込力によって係止爪から逃げる方向に変形してしまう恐れがある。この場合、サイドガーニッシュに設けられた係止爪をより強く押込んで係止孔に係止させる必要が生じ、サイドガーニッシュの組付作業性が悪くなる恐れがある。特に、エアバッグドアガーニッシュは、エアバッグの膨張時の衝撃によって意図しない箇所で割れてしまわないように、弾性変形し易い素材によって形成されるため、係止爪の押込時において係止孔の周縁部が弾性変形し易く、上記のような組付作業性の悪化といった問題が生じやすい。
【0005】
そこで、エアバッグ装置の周りにサイドガーニッシュのようなトリムが車室側から取り付けられる構成において、エアバッグ装置又はトリムの組付作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、エアバッグ装置は、周りに車両のトリムが取付けられるエアバッグ装置であって、折畳まれたエアバッグと、前記エアバッグを収納し、前記車両に固定される取付部材と、前記エアバッグを前記取付部材とは反対側から覆った状態で前記取付部材と連結された本体部と、前記本体部から突出して設けられ、少なくとも一部が前記トリムによって覆われる突出支持部と、を含むエアバッグリッドと、を備え、前記突出支持部は、前記本体部と連結された基端側縁部分と、前記基端側縁部分とは反対側の先端側縁部分と、前記基端側縁部分と前記先端側縁部分との間に設けられ、前記トリムを連結する係止部分と、前記先端側縁部分に沿って連続して設けられた補強部分とを含む。
【発明の効果】
【0007】
エアバッグ装置の周りトリムが設けられる構成において、エアバッグ装置又はトリムの組付作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るエアバッグ装置を示す正面図である。
【
図2】エアバッグ装置を車幅方向中央側から見た側面図である。
【
図7】エアバッグ装置の突出支持部の部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係るエアバッグ装置について説明する。
【0010】
<エアバッグ装置の適用例>
図1はエアバッグ装置20を示す正面図である。
図1においてエアバッグ装置20が取付けられる周辺部分が示されている。
【0011】
エアバッグ装置20は、車両に組込まれる。エアバッグ装置20は、車両に対して衝撃が加わった場合に膨張展開して、乗員に対する衝撃を緩和する装置である。エアバッグ装置20が車両に装着された状態で、エアバッグ装置20の周囲にトリムが取付けられる。トリムは、車両において内装材となる樹脂パネルである。
【0012】
本実施形態では、エアバッグ装置20が後部座席用のエアバッグ装置20である例が説明される。このエアバッグ装置20は、車両5の外面(ボディの外面)よりも内側であってホイルハウスの車室側にトリム12が設けられる。ホイルハウスの内側に配置されるトリム12は、ホイルハウスインナパネルと称されてもよい。トリム12は、後部座席の背もたれ10と、当該背もたれ10の車幅方向外側のインナパネルとの間に配置された状態で、前方に面している。このトリム12に、エアバッグ装置20が設けられる。このトリム12から膨張したエアバッグ22は、後部座席の乗員とリアサイドドアとの間で展開することができる。これにより、外部から乗員に向けて加わる衝撃を緩和したり、車幅方向外側に移動する乗員を受止めて衝撃を吸収したりすることができる。
【0013】
上記のようなエアバッグ装置20は、エアバッグの膨張展開による衝撃を受止めることができるように、車両にしっかりと固定される必要がある。このため、エアバッグ装置20のベースとなる部分は、トリム12よりも高剛性な部位、例えば、金属ボディ部分等に直接又はブラケットを介して固定される。よって、エアバッグ装置20を車両における高剛性部位に取付けた後に、当該エアバッグ装置20の表面の周りを囲むようにトリム12の取付がなされることがある。
【0014】
この場合に、トリム12をエアバッグ装置20に取付ければ、エアバッグ装置20の周囲でもトリム12がしっかりと一定位置に支持される。トリム12とエアバッグ装置20との取付構造を外部に露出させないようにするためには、トリム12をエアバッグ装置20の周りで押すような作業を行うことによって、トリム12の取付作業を行えるようにすることが望ましい。例えば、後述するように、エアバッグ装置20に係止孔54を形成し、トリム12に当該係止孔54に係止可能な係止突部14を係止する。そして、エアバッグ装置20の周りの空間にトリム12を押込むと共に、係止突部14を係止孔54に押込んで、トリム12をエアバッグ装置20の表面の周りに取付けすることが考えられる。
【0015】
しかしながら、エアバッグ装置20の表面材料は、弾性変形し易い材料で形成されているため、係止突部14を係止孔54に押込む際、係止孔54を周縁部分が変形してしまい、係止突部14を係止孔54の周縁部に係止させることが困難となる可能性がある。このような背景下、本エアバッグ装置20では、係止孔54が形成された突出支持部50を補強して、エアバッグ装置20の周りのトリム12の組付作業性を向上させるようにしている。
【0016】
なお、エアバッグ装置20の周りのトリム12は、エアバッグ装置20の表面の周り全体を囲む必要は無く、エアバッグ装置20の周りの一部にのみ存在していてもよい。エアバッグ装置20は、後部座席用のエアバッグ装置20であることは必須ではなく、車両に組込まれた状態で、周りにトリムが設けられるものであればよい。例えば、助手席用エアバッグ装置、膝用エアバッグ装置の周りには、トリムの一例としてインストルメントパネルが配置される。このため、例えば、助手席エアバッグ装置又は膝用エアバッグ装置についても、本実施形態に係る構成が適用され得る。
【0017】
<エアバッグ装置の全体構成>
図2はエアバッグ装置20を車幅方向中央側から見た側面図である。
図3はエアバッグ装置20を示す斜視図である。
図4はエアバッグ装置20を示す背面図であり、
図5はエアバッグ装置20を示す分解斜視図である。
図6は
図2のVI-VI線断面図である。
図7はエアバッグ装置20の突出支持部50の部分拡大斜視図である。
図4及び
図5において固定ブラケット38が省略されている。
図5において切断面よりも奥に存在する部分が省略されている場合がある。
【0018】
エアバッグ装置20は、エアバッグ22と、取付部材30と、エアバッグリッド40とを備える。
【0019】
エアバッグ22は、所定形状に裁断された基布を縫製等することで、袋状に膨張展開可能に構成されている。エアバッグ22が膨張展開し得る形状は、当該エアバッグ22が展開する空間の形状、エアバッグ22が受止める乗員の部位等に合せて設定される。例えば、エアバッグ22は、後部座席に着座する乗員とリアサイドドアの内面との間で扁平形状に膨張展開可能な袋状に形成されている。
【0020】
エアバッグ22にインフレータ24が固定されている。インフレータ24は、本実施形態では、長尺形状、より具体的には、丸棒状に形成されている。インフレータ24内には、ガス発生剤及び点火装置等が内蔵されている。インフレータ24の少なくとも一部がエアバッグ22内に収容された状態で、インフレータ24がエアバッグ22に固定される。この固定構造の一例が後で説明される。
【0021】
インフレータ24のうちエアバッグ22内に収容された部分にガス噴出口が形成されている。インフレータ24は、車両の衝撃検知部等からの点火命令信号等を受けて前記点火装置を発火させ、この発火によりガス発生剤を燃焼させて、これにより噴出するガスをエアバッグ22内に供給する。これにより、エアバッグ22が膨張展開することができる。
【0022】
エアバッグ22は、折畳まれている。折畳み構成は、特に限定されず、例えば、蛇腹状の折畳みであってもよいし、ロール状の折畳みであってもよい。エアバッグ22は、折畳まれた状態で、取付部材30に収納されている。
【0023】
取付部材30は、エアバッグ22を収納し、かつ、車両5(例えば、金属製のボディ)に固定される部材である。本実施形態では、取付部材30は、一方側が開口する直方体箱状に形成されている。取付部材30は、例えば、金属板をプレス加工することによって形成される。
【0024】
より具体的には、取付部材30は、底部31と、収容周壁部32とを含む。底部31は、一方向に長い長方形板状に形成されている。収容周壁部32は、底部31の周囲から底部31の一方面側に立上がる形状に形成されている。これにより、底部31の一方面側に収容周壁部32によって囲まれる空間が形成され、この空間に折畳まれたエアバッグ22が収納される。取付部材30のうち底部31とは反対側は開口しており、エアバッグ22は当該開口から外方に膨張展開することができる。
【0025】
収容周壁部32のうち、底部31の一方側の短辺に対応する部分に開口が形成されている。インフレータ24の一端部が当該開口を通って取付部材30の外側に突出している(
図4参照)。
【0026】
収容周壁部32のうち底部31の2つの長辺に対応する一対の側壁部分の外面に連結片34が設けられる。連結片34は、収容周壁部32の外面から外側に向う基端部分とその基端部分の先端部から底部31側に向う先端部分とを含む形状(例えば、前記長辺方向に沿って見てL字状をなす形状)に形成される。
【0027】
上記連結片34は、例えば、収容周壁部32のうち底部31とは反対側の縁部に部分的な延長片部分を一体形成し、当該延長片部分をL字状に曲げることによって形成される。連結片は、周壁部とは別体に形成されており、周壁部に対して溶接、ネジ止等されてもよい。
【0028】
連結片34の位置及び数は任意である。底部31の2つの長辺のそれぞれにおいて、複数の連結片34が形成されてもよい。本実施形態では、底部31の2つの長辺のそれぞれにおいて、3つの連結片34が間隔をあけて形成されている。
【0029】
なお、本実施形態では、収容周壁部32のうち底部31の2つの長辺に対応する一対の側壁部分に、その長手方向に沿う部分的な補強突部32P1が形成されている。補強突部32P1の長手方向中間部から上記連結片34に向う枝突部32P2が形成されている(
図5参照)。これにより、収容周壁部32が、特に連結片34が設けられた部分を中心にして補強され、変形し難くなっている。これらの補強突部32P1、枝突部32P2は省略されてもよい。また、本実施形態では、取付部材30のうち底部31の4つの角部分に開口が形成されている。これらの開口が形成されることは必須ではない。
【0030】
エアバッグ22及びインフレータ24は、次のようにして取付部材30に固定されている。すなわち、インフレータ24のうちエアバッグ22内に収容された部分からネジ部25が突出する。ネジ部25は、エアバッグ22を貫通して、エアバッグ22の外に突出している。底部31に、ネジ挿通孔が形成されている。ネジ部25が底部31のネジ挿通孔を貫通して底部31の外側に突出する。底部31の外側で、ネジ部25にナット26が螺合締付される。これにより、インフレータ24が底部31の内面側に固定される。また、エアバッグ22の一部がインフレータ24と底部31との間に挟持され、これにより、エアバッグ22が底部31の内面側に固定される。
【0031】
取付部材30は、固定ブラケット38を介して車両5に固定される。本実施形態では、固定ブラケット38は、金属板をプレス加工等することによって形成された部材である。固定ブラケット38の一部が底部31の外面に重ね合わされた状態で、取付部材30に固定されている。例えば、固定ブラケット38は、ネジ止、溶接、カシメ構造等によって取付部材の底部31に固定される。固定ブラケットは、取付部材の周壁部分に固定されてもよい。固定ブラケット38の他の一部が固定用延出部39として底部31から外方に延出している。固定用延出部39にネジ止のためのネジ挿通孔が形成される。ネジを利用して、固定用延出部39が車両5に固定されることで、取付部材30が固定ブラケット38を介して車両5に固定される。固定ブラケット38は、溶接、カシメ等によって車両5に固定されてもよい。
【0032】
なお、取付部材が直接車両に固定されてもよい。例えば、取付部材に車両への固定のための延出片が形成され、当該延出片が直接車両に固定されてもよい。
【0033】
エアバッグリッド40は、本体部42と、突出支持部50とを備える。本体部42は、エアバッグ22を、取付部材30とは反対側から覆った状態で、取付部材30と連結される。本体部42によってエアバッグ22が覆われることによって、通常状態において、エアバッグ22が乗員から隠される。突出支持部50は、本体部42から突出して設けられている。突出支持部50の少なくとも一部はトリム12によって覆われている。この突出支持部50が、エアバッグ装置20の周りにおいてトリム12の少なくとも一部を支持する。
【0034】
より具体的には、エアバッグリッド40は、樹脂等によって金型一体成型される。エアバッグ22の膨張展開時において、エアバッグリッド40は、当該エアバッグ22が膨張展開するための開口を形成する。また、エアバッグ22の膨張展開力を受けたときに、破損せずに変形し得る柔軟性を有することが要請される。このため、エアバッグリッド40は、トリム12よりも柔軟な樹脂により形成される。例えば、トリム12がポリプロピレン(PP)で形成され、エアバッグリッド40がエラストマー、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)によって形成されていてもよい。
【0035】
本体部42は、ガーニッシュ部分44と、周壁部分46とを含む。
【0036】
ガーニッシュ部分44は、車両の室内に露出する部分である。より具体的には、ガーニッシュ部分44は、底部31とは反対側でエアバッグ22を覆う。ガーニッシュ部分44の表面は、トリム12の表面と連続して、車室内に露出し、当該トリム12と共に車室内面を構成する。ガーニッシュ部分44は、トリム12の表面と連続して、車室内壁面を形作る形状に形成される。このため、ガーニッシュ部分44は、車室内壁面形状に応じて、平面、曲面又はそれらが複合した形状に形成される。ガーニッシュ部分44に、エアバッグ22が膨張展開する際の開口を形成するためのティアラインが形成されていてもよい。ティアラインは、例えば、ガーニッシュ部分44の裏側において凹む溝であり、ガーニッシュ部分44は、当該ティアラインに沿って部分的に裂けて開口を形成する。
【0037】
周壁部分46は、ガーニッシュ部分44の裏面から取付部材30側に向けて当該取付部材30内のエアバッグ22を囲むように突出している。ここでは、周壁部分46は、長方形形枠状に突出する形状に形成される。周壁部分46は、収容周壁部32よりも大きく開口している。このため、収容周壁部32は、周壁部分46内に収容され得る。周壁部分46のうち連結片34に対応する部分に連結孔47が形成される。ここでは、周壁部分46の基端部と先端部との間に連結孔47が形成される。また、周壁部分46のうち2つの長辺に対応する部分のそれぞれに、各連結片34に対応して3つの連結孔47が形成される。連結孔47は、長方形状に形成されている。
【0038】
取付部材30の収容周壁部32が周壁部分46内に収容された状態で、各連結片34が対応する連結孔47に引っ掛けられる。この状態では、連結片34の先端部が連結孔47の周縁のうち周壁部分46の先端側の部分に引っ掛っている。これにより、周壁部分46が取付部材30と連結される。
【0039】
周壁部分46の突出方向Aにおいて、連結孔47の開口寸法は、連結片34の基端部分の厚み寸法より大きい(
図3参照)。このため、連結片34は、連結孔47に引っ掛った状態で、前記方向Aに沿って動くことができる。また、周壁部分46の突出方向A及び厚み方向Bに直交する方向Cにおいて、連結孔47の開口寸法は、連結片34の基端部分の幅寸法より大きい。このため、連結片34は、連結孔47に引っ掛った状態で、前記方向Cに沿って動くことができる。また、収容周壁部32の外面と連結片34の先端部との間隔は、周壁部分46の厚み寸法よりも大きい。このため、連結片34は、連結孔47に引っ掛った状態で、前記方向Bに沿って動くこともできる。
【0040】
よって、周壁部分46と取付部材30との連結状態において、連結片34が連結孔47に引っ掛って動ける範囲で、取付部材30に対してエアバッグリッド40が動くことができる。
【0041】
突出支持部50は、ガーニッシュ部分44の外周縁のうちの一部からガーニッシュ部分44の外側に向けて突出している。より具体的には、ガーニッシュ部分44のうちの1つの縁に、その内側に向って延びる縁壁45が形成される。その縁壁45からガーニッシュ部分44の外側に向うようにして細長い長方形板状の突出支持部50が形成される。突出支持部50は、ガーニッシュ部分44の外側に向うに連れてガーニッシュ部分44の裏面から遠ざかるように傾斜している。突出支持部50に、トリム12側に設けられた相手側係止部が係止状態で連結する係止部分が形成される。
【0042】
相手側係止部は、例えば、固定用の係止突部14であってもよい(
図6参照)。より具体的には、係止突部14は、トリム12の裏面側に突出するように設けられた部分である。係止突部14は、例えば、内外方向に弾性変形可能な一対の係止片15を含む。係止片15は、係止孔54に引っ掛り可能な抜け止部15aを有している。このような係止突部14は、クランプ又はクリップ等と呼ばれる周知構成が適用されてもよい。係止突部14は、トリム12に対して金型一体成型された部分であってもよいし、トリム12とは別体に金型成形され、嵌込構造、ネジ止、溶着等によってトリム12と合体されてもよい。係止突部14は、トリム12と同様に、PPによって形成されてもよいし、PPと同程度の硬度の樹脂によって形成されてもよい。
【0043】
係止部分は、例えば、上記係止突部14が抜け止係止可能な係止孔54であってもよい(
図2、
図4から
図5参照)。より具体的には、係止孔54は、方形状の孔であってもよい。本実施形態では、係止孔54は、係止突部14の押込方向に向けて順次狭くなる角錐台状の孔に形成されることで係止突部14を案内し、係止突部14が係止孔54に挿入されやすくなる。係止孔54は、係止突部14の形状に応じて引っ掛けやすい形状、例えば、丸い孔又は楕円孔に形成されてもよい。
【0044】
係止突部14が係止孔54に押込まれると、係止片15が係止孔54の周縁に接触して内側に弾性変形する。係止片15のうち抜け止部15aが係止孔54の周縁を越えると、係止片15が弾性的に元の形状に戻って、抜け止部15aが係止孔54の周縁に抜け止係止する。これにより、トリム12がエアバッグリッド40に支持される。
【0045】
本実施形態では、突出支持部50に複数(ここでは3つ)の係止孔54が形成されている。複数の係止孔54は、突出支持部50の長手方向に沿って間隔をあけて形成される。
【0046】
また、エアバッグリッド40の長手方向における両方の端部にも、追加突出支持部48、49が形成されている(
図2参照)。追加突出支持部48、49にも、上記係止孔54と同様の係止孔48h、49hが形成されている。係止孔54、係止孔48h、49hの開口方向(押込方向)は、一致している。トリム12に、係止孔54、係止孔48h、49hのそれぞれに対応する位置に、同じ方向に突出する係止突部14が設けられる。すると、エアバッグ装置20が車両に固定された状態で、ガーニッシュ部分44の周囲にトリム12を装着すると、各係止突部14が同じ方向で係止孔54、係止孔48h、49hに押込まれる。これにより、トリム12の同じ方向への装着作業によって、各係止突部14が対応する係止孔54、係止孔48h、49hに抜け止係止され得る。
【0047】
なお、追加突出支持部48、49には、ガイド孔48gh、49ghが形成されている(
図2参照)。ガイド孔48gh、49ghは、トリム12から離れる方向に向けて徐々に拡開する孔形状に形成されている。トリム12に突設されたガイド棒を当該ガイド孔48gh、49ghに挿入することで、係止孔54、係止孔48h、49hに対する係止突部14の押込作業が容易に行われ得る。なお、追加突出支持部48、49の一方又は両方は省略されてもよい。
【0048】
なお、上記したように、取付部材30に対してエアバッグリッド40が相対移動し得る構成は、トリム12の取付時において、トリム12とエアバッグリッド40とを位置合わせすることに役立つ。すなわち、エアバッグ装置20が車両5に固定された状態で、エアバッグリッド40は、取付部材30を介して車両5に支持される。この状態で、トリム12が装着される。トリム12は、エアバッグリッド40にも取付けられるが、他の部分で車両5に対して位置決めされる。例えば、トリム12のうちガーニッシュ部分44の隣に位置しない他の周縁部は、他の内装部材等にも隣接する。このため、トリム12は、当該他の内装部材に対して位置決めされ得る。係止突部14が係止孔54に押込まれることによって、係止孔54の位置が係止突部14の位置に合せて移動する。これにより、エアバッグリッド40がトリム12を基準とする位置に移動することができる。これにより、トリム12の表面に対してガーニッシュ部分44の表面が意匠的に連続して配置されるようになる。
【0049】
なお、本実施形態では、突出支持部50に係止孔54が形成され、トリム12側に係止突部14が設けられる例が説明される。しかしながら、突出支持部にトリム側に突出する係止突部が設けられ、トリム側に係止突部が係止する係止孔を有する係止可能箇所が設けられてもよい。
【0050】
<突出支持部>
突出支持部50についてより具体的に説明する。上記したように、突出支持部50は、細長い長方形板状であり、ガーニッシュ部分44の外側に向うに連れてガーニッシュ部分44の裏面から遠ざかるように傾斜している。突出支持部50のうち本体部42に連結された部分が基端側縁部分51である。突出支持部50のうち基端側縁部分とは反対側の部分が先端側縁部分52である。上記係止部分としての係止孔54は、基端側縁部分51と先端側縁部分52との間に設けられる。より具体的には、突出支持部50の長手方向における両端寄りの部分及び長手方向中間部の3箇所に、係止孔54が形成される。係止孔54は、方形状であり、その1つの辺が基端側縁部分51と平行であり、他方の辺が先端側縁部分52と平行である。他の2つの片は、基端側縁部分51と先端側縁部分52とに対して垂直な方向に延びている。
【0051】
突出支持部50は、先端側縁部分52に沿って設けられた補強部分53を含む。突出支持部50の長手方向において、補強部分53は、少なくとも係止孔54が形成された領域部分に設けられていてもよい。突出支持部50の長手方向において、補強部分53は、複数の係止孔54の間の領域に設けられていてもよい。本実施形態では、補強部分53は、突出支持部50の長手方向において、先端側縁部分52の全体に設けられる。
【0052】
補強部分53は、係止孔54から先端側縁部分52に向うに連れて、先端側縁部分52から離れる面53fを含む形状に形成されていてもよい(
図6参照)。
【0053】
本実施形態では、補強部分53は、梁部分53aと、柱部分53bとを含む。梁部分53aは、先端側縁部分52との間に隙間を設けた状態で先端側縁部分52の長手方向に沿って延びる形状に形成されている。より具体的には、梁部分53aは、先端側縁部分52のうち周壁部分46側に設けられた細長い板状に形成されている。梁部分53aは、先端側縁部分52の最先端縁より手前の線状箇所から当該最先端縁に向うに連れて先端側縁部分52から離れる方向に延在している。このため、先端側縁部分52と梁部分53aとの間に、先端側縁部分52の最先端縁に向うに連れて徐々に広がる三角溝が形成される。梁部分53aのうち周壁部分46を向く面が上記面53fである。面53fは、周壁部分46のうち対向する外面と平行であってもよい。これにより、面53fと周壁部分46の外面とを金型成形し易くなる。
【0054】
柱部分53bは、先端側縁部分52と梁部分53aとの間に設けられ、先端側縁部分52に対して梁部分53aを繋ぐ形状に形成されている。ここでは、柱部分53bは、先端側縁部分52に対して垂直な三角形板状に形成される。先端側縁部分52の長手方向において部分的な箇所で、先端側縁部分52の内面と梁部分53aの内面とを繋いでいる。柱部分53bは、1つであってもよいが、本実施形態では、先端側縁部分52の長手方向において、間隔をあけて複数設けられる。複数の柱部分53bの位置は任意である。複数の柱部分53bは、先端側縁部分52の長手方向において一定間隔で儲けられてもよいし、異なる間隔で設けられてもよい。
【0055】
柱部分53bが先端側縁部分52と梁部分53aとを繋ぐことで、先端側縁部分52が変形し難くなり、従って、突出支持部50も変形し難くなる。
【0056】
柱部分53bは、先端側縁部分52の長手方向において、係止孔54が設けられる範囲内に設けられるものを含んでもよい。係止突部14を係止孔54に押込む際には、先端側縁部分52の長手方向において係止孔54の中央に対応する位置で、当該係止孔54の周縁が撓み変形し易い。この撓み変形を抑制するためには、柱部分53bは、先端側縁部分52の長手方向において、係止孔54が設けられる範囲の中央に近い位置に設けられることが好ましい。例えば、先端側縁部分52の長手方向において係止孔54が設けられる範囲を3等分又は5等分した場合に、その中央の領域に柱部分53bが設けられてもよい。
【0057】
なお、補強部分53は、上記先端側縁部分52と梁部分53aとの間の隙間がない形状、例えば、先端側縁部分52の先端部をその手前よりも肉厚にする細長い突起形状として形成されてもよい。
【0058】
<支持部について>
本突出支持部50は、トリム12とは反対側から支持部によって支持される。支持部が突出支持部50を支持することによって、係止突部14が係止孔54に押込まれる際に、突出支持部50が押込方向に押されて当該押込方向に変形し難くなる。
【0059】
本実施形態では、支持部は、支持用リブ部60と、追加支持部70とを含む。
【0060】
支持用リブ部60は、突出支持部50と周壁部分46との間に設けられ、エアバッグリッド40と一体に設けられた部分である。すなわち、支持用リブ部60は、エアバッグリッド40の金型成形時に金型一体成型された部分である。支持用リブ部60は、先端側縁部分52に対して直交する方向に延びる板状であり、突出支持部50のうち周壁部分46側の面から周壁部分46に向って延びている。
【0061】
支持用リブ部60は、少なくとも1つ設けられればよいが、本実施形態では、先端側縁部分52の長手方向に沿った方向において間隔をあけて複数の支持用リブ部60が設けられる。複数の支持用リブ部60は、突出支持部50の長手方向において、係止孔54を避けた位置に設けられる。複数の支持用リブ部60のうち突出支持部50の長手方向中央寄りの2つの支持用リブ部60(以下、区別する場合には支持用リブ部60aと表記する)は、周壁部分46の基端寄りに繋がっている(
図3及び
図6参照)。複数の支持用リブ部60のうち支持用リブ部60aよりも外側の支持用リブ部60(以下、区別する場合には支持用リブ部60bと表記する)は、支持用リブ部60aよりも大きい長さで周壁部分46に繋がっている。
【0062】
支持用リブ部60aのうち先端側縁部分52よりの部分であって周壁部分46に対向する内向き辺部分60aeは、突出支持部50の長手方向に沿って延在している(
図6及び
図7参照)。
【0063】
支持用リブ部60は、いずれかの柱部分53bから周壁部分46に向って連続して当該周壁部分46に延びていてもよい。換言すれば、先端側縁部分52の長手方向において、支持用リブ部60は、いずれかの柱部分53bと同じ位置に設けられてもよい。これにより、先端側縁部分52の長手方向において、支持用リブ部60が補強部分53を支持する位置と、柱部分53bが補強部分53と先端側縁部分52とを繋ぐ位置とが揃えられる。よって、支持用リブ部60によって、柱部分53bが設けられた部分を効果的に支持することができ、先端側縁部分52が部分的にも全体的にも変形し難くなる。
【0064】
なお、ガーニッシュ部分44の裏面には適宜リブ部64が設けられる。また、リブ部64は、適宜周壁部分46にも繋がっている。
【0065】
追加支持部70は、エアバッグリッド40に対して別体として追加された部材である。追加支持部70は、例えば、金属板をプレス加工等することによって形成された部材である。追加支持部70は、樹脂等によって形成された部材であってもよい。
【0066】
追加支持部70は、基部71と、中間部72と、先端側支え部73とを含む。先端側縁部分52の長手方向において、追加支持部70の幅は、突出支持部50の長さよりも小さく、上記2つの支持用リブ部60aを支えることができる程度の大きさ(2つの支持用リブ部60a間の間隔より大きいが、その外側の支持用リブ部60bには達し無い大きさ)に設定される。
【0067】
基部71は、取付部材30の底部31の外面側に配置される。エアバッグ22及びインフレータ24を固定するためのネジ部25及びナット26を利用して、底部31の外面に取付けられる。
【0068】
基部71のうち底部31から延出する部分から取付部材30の先端側縁部分52に向けて中間部72が延在している。中間部72の先端部から支持用リブ部60aの内向き辺部分60aeに沿うように、先端側支え部73が延在している。これにより、支持用リブ部60aの内向き辺部分60aeが先端側支え部73の外向き面によってトリム12の反対側から支えられる。先端側支え部73のうち2つの内向き辺部分34aeの間に凹部が形成さえていてもよい。
【0069】
追加支持部70は、突出支持部50の裏面又は補強部分53に直接接して突出支持部50をトリム12の反対側から支持してもよい。
【0070】
なお、支持用リブ部60及び追加支持部70の一方又は両方は省略されてもよい。
【0071】
<トリムの取付作業について>
上記エアバッグ装置20が車両5に固定された状態で、トリム12を取付ける作業例について説明する。
【0072】
すなわち、エアバッグリッド40は、取付部材30を介して車両5に対して支持されている。ガーニッシュ部分44の表面は車室内を向いている。また、複数の係止孔54は、同一方向で揃って車室内を向いている。
【0073】
トリム12に設けられた複数の係止突部14が対応する係止孔54、係止孔48h、49hに押込まれる。
【0074】
この際、係止突部14が係止孔54の周縁に押し当てられるので、突出支持部50のうち係止孔54の周辺部分がトリム12から反対側に向けて押されて変形しようとする。
【0075】
特に、突出支持部50のうち先端側縁部分52に近い部分は、本体部42によって支持されていないので、大きく変形しようとする。しかしながら、突出支持部50の先端側縁部分52は、補強部分53によって補強されている。これにより、突出支持部50の変形が抑制される。支持用リブ部60及び追加支持部70によって、突出支持部50の変形が効果的に抑制される。
【0076】
このように、突出支持部50の変形が抑制されているため、係止突部14を係止孔54に押込んだ際に、係止孔54が押込方向に対して逃げるように変位したり、変形したりし難い。これにより、係止突部14を係止孔54に押込む力によって、係止突部14の係止片15が効果的に内側に弾性変形することができる。また、係止片15の抜け止部15aが係止孔54を越えるまで、係止突部14が係止孔54に容易に押込まれ得る。
【0077】
係止突部14が係止孔54、係止孔48h、49hに係止することによって、トリム12に対してエアバッグリッド40の位置が調整され、ガーニッシュ部分44の表面とトリム12の表面とが連続した意匠を構成するようになる。
【0078】
なお、上記例では、エアバッグ装置20の固定後にトリム12を組付けする例が示された。しかしながら、例えば、助手席エアバッグ装置のように、トリムを先に組付した後に、エアバッグ装置を組付ける場合でも、同様に、突出支持部50の変形が抑制されるため、エアバッグ装置の組付作業性が向上する。
【0079】
<効果等>
このように構成されたエアバッグ装置20によると、相手側係止部である係止突部14が係止部分である係止孔54に係止する際、係止突部14は、係止孔54の周縁を押しながら係止孔54を貫通する。このとき、係止孔54の周縁には、本体部42と連結された基端側縁部分51を支点としてトリム12とは反対側に向う力が加わる。これにより、係止突部14が部分的に撓み変形しようとする。特に、自由端である先端側縁部分52は、その長手方向において部分的に撓み変形し易いところ、突出支持部50の先端側縁部分52に補強部分53が設けられているため、突出支持部50の部分的な変形が抑制される。これにより、係止突部14が係止片15を貫通して係止片15に係止し易くなり、エアバッグ装置20の周りのトリム12の組付作業性を向上させることができる。
【0080】
突出支持部が変形し易い場合には、当該変形があってもトリム12を容易かつ確実に組付できるような特殊なクリップの利用の検討を生じさせる。しかしながら、突出支持部50の変形を抑制することによる、トリム12の組付作業性向上は、汎用的なクリップの利用可能性を高める。
【0081】
また、係止部分が係止孔54であるため、突出支持部50は、係止孔54の周縁で変形し易いところ、補強部分53によって係止孔54の周縁の変形を有効に抑制できる。
【0082】
また、補強部分53は、係止孔54から先端側縁部分52に向うに連れて先端側縁部分52から離れる面53fを含む形状に形成されている。このため、突出支持部50は先端側に向うほど、当該突出支持部50の先端側縁部分52から離れる面を形成する部分によって変形し難くなるように補強される。
【0083】
また、補強部分53は、梁部分53aと柱部分53bとを含む構成とされているため、軽量化及び使用材料の削減を図りつつ、補強部分53によって突出支持部50を補強することができる。また、上記構成によって、先端側縁部分52と梁部分53aとの間に空間を設けることによって、肉厚となるすぎることを抑制でき、これにより、突出支持部50の金型成形後における樹脂ヒケを抑制できる。
【0084】
また、柱部分53bは、先端側縁部分52の長手方向において、係止孔54が設けられる範囲内に設けられるものを含むため、突出支持部50のうち係止孔54が設けられる部分を、柱部分53bによって効果的に変形し難くなるようにすることができる。
【0085】
このように、突出支持部50のうち変形し易い箇所に柱部分53bを設けることによって、突出支持部50の先端側縁部分52の変形をなるべく一様とすることができ、これにより、トリム12の組付作業性がより向上する。
【0086】
また、支持部である支持用リブ部60及び追加支持部70によって、トリム12とは反対側から突出支持部50を支持するため、係止突部14が突出支持部50をトリム12とは反対側に押す力が、上記支持用リブ部60及び追加支持部70によって受止められる。これにより、突出支持部50が基端側縁部分51を中心としてトリム12とは反対側に変形し難くなる。これにより、係止突部14が係止孔54を容易に貫通して係止孔54に係止することができ、エアバッグ装置20の周りのトリム12の組付作業性を向上させることができる。
【0087】
また、支持部が柱部分53bから本体部42に連続して本体部42に伸びる支持用リブ部60を含むため、突出支持部50のうち柱部分53bが設けられた部分を効果的に支持することができる。突出支持部50が全体的にも部分的にも変形し難くなる。
【0088】
特に、支持部は、突出支持部50と周壁部分46との間にエアバッグリッド40と一体的に設けられた部分として上記支持用リブ部60を含む。ここで、エアバッグリッド40は、エアバッグ22の膨張展開時に変形し易い材料によって形成されている。しかしながら、周壁部分46は、取付部材30と連結されている。このため、周壁部分46は、エアバッグリッド40の他の部分と比べて、変形し難い。支持用リブ部60が比較的変形し難い周壁部分46と一体的に設けられることで、支持用リブ部60によって突出支持部50の変形が効果的に抑制される。
【0089】
支持用リブ部60は、突出支持部50に対して基端側縁部分51から先端側縁部分52に向けて延びるため、基端側縁部分51と先端側縁部分52との間における突出支持部50の変形を有効に抑制することもできる。
【0090】
また、突出支持部50によって係止突部14のうち係止孔54を突出た部分が保護され、係止突部14の係止がより確実に保たれ易いという利点もある。
【0091】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0092】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0093】
本明細書及び図面は下記の各態様を開示する。
【0094】
第1の態様は、周りに車両のトリムが取付けられるエアバッグ装置であって、折畳まれたエアバッグと、前記エアバッグを収納し、前記車両に固定される取付部材と、前記エアバッグを前記取付部材とは反対側から覆った状態で前記取付部材と連結された本体部と、前記本体部から突出して設けられ、少なくとも一部が前記トリムによって覆われる突出支持部と、を含むエアバッグリッドと、を備え、前記突出支持部は、前記本体部と連結された基端側縁部分と、前記基端側縁部分とは反対側の先端側縁部分と、前記基端側縁部分と前記先端側縁部分との間に設けられ、前記トリムを連結する係止部分と、前記先端側縁部分に沿って連続して設けられた補強部分とを含む、エアバッグ装置である。
【0095】
このエアバッグ装置によると、相手側係止部が係止部分に係止状態で連結される際、補強部分によって突出支持部が部分的に変形することが抑制される。このため、トリムを組付ける際に、相手側係止部が突出支持部のうち相手側係止部を押しても、突出支持部が部分的に変形し難くなり、エアバッグ装置の周りのトリムの組付作業性を向上させることができる。
【0096】
第2の態様は、第1の態様に係るエアバッグ装置であって、前記係止部分は、前記基端側縁部分と前記先端側縁部分との間に設けられ、前記トリムに設けられた相手側係止部としての係止突部が押込まれて係止する係止孔とされている。
【0097】
この場合、係止突部が係止孔に押込まれる際に、補強部分によって、係止孔の周縁部が変形し難くなり、これにより、エアバッグ装置の周りのトリムの組付作業性をより向上させることができる。
【0098】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るエアバッグ装置であって、前記突出支持部を前記トリムとは反対側から支持する支持部を備える。
【0099】
この場合、相手側係止部が係止部分に係止状態で連結される際、支持部によって突出支持部の全体がトリムとは反対側に変形し難いように支持される。このため、トリムを組付ける際に、相手側係止部が突出支持部のうち相手側係止部を押しても、突出支持部が全体的に変形し難くなり、エアバッグ装置の周りのトリムの組付作業性を向上させることができる。
【0100】
第4の態様は、第3の態様に係るエアバッグ装置であって、前記本体部は、前記車両の室内に露出するガーニッシュ部分と、前記ガーニッシュ部分から前記取付部材側に向けて前記エアバッグを囲むように突出し、前記取付部材と連結された周壁部分と、を含み、前記支持部は、前記突出支持部と前記周壁部分との間に前記エアバッグリッドと一体に設けられた部分を含む。
【0101】
この場合、支持部は、突出支持部と周壁部分との間にエアバッグリッドと一体に設けられた部分を含むため、突出支持部が支持部を介して周壁部分によっても支えられ、突出支持部がより変形し難くなる。
【0102】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係るエアバッグ装置であって、前記補強部分は、前記係止部分から前記先端側縁部分に向うに連れて前記先端側縁部分から離れる面を含む形状に形成されているものである。
【0103】
この場合、突出支持部のうち先端側縁部分に近づく部分ほど、補強部分によって補強して変形し難くすることができる。
【0104】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係るエアバッグ装置であって、前記補強部分は、前記先端側縁部分との間に隙間を設けた状態で前記先端側縁部分の長手方向に沿って延びる梁部分と、前記先端側縁部分と前記梁部分との間に設けられ、前記先端側縁部分に対して前記梁部分を繋ぐ柱部分とを含む。
【0105】
これにより、軽量化及び使用材料の削減を図りつつ、補強部分によって突出支持部を補強することができる。
【0106】
第7の態様は、第6の態様に係るエアバッグ装置であって、前記柱部分は、前記先端側縁部分の長手方向において、前記係止部分が設けられる範囲内に設けられるものを含む。
【0107】
これにより、突出支持部のうち係止部分が設けられる部分を、柱部分によって効果的に変形し難くすることができる。
【符号の説明】
【0108】
5 車両
12 トリム
14 係止突部(相手側係止部)
20 エアバッグ装置
22 エアバッグ
30 取付部材
31 底部
32 収容周壁部
34 連結片
40 エアバッグリッド
42 本体部
44 ガーニッシュ部分
46 周壁部分
47 連結孔
50 突出支持部
51 基端側縁部分
52 先端側縁部分
53 補強部分
53a 梁部分
53b 柱部分
53f 面
54 係止孔(係止部分)
60 支持用リブ部(支持部)
70 追加支持部(支持部)