(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155895
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 7/06 20060101AFI20221006BHJP
F16H 19/02 20060101ALI20221006BHJP
F16F 1/12 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H02K7/06 A
F16H19/02 Z
F16F1/12 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059335
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 陽介
【テーマコード(参考)】
3J059
3J062
5H607
【Fターム(参考)】
3J059AB12
3J059BA01
3J059BC01
3J059BD01
3J059CB06
3J059GA31
3J062AA35
3J062AA36
3J062AB21
3J062BA19
3J062BA21
3J062CD02
3J062CD22
3J062CF34
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB14
5H607CC03
5H607DD03
5H607DD19
5H607EE52
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外力が加わったときに各部の損傷を抑えるアクチュエータの提供。
【解決手段】アクチュエータは、中心軸に沿って延びたリードスクリューと、その中心軸回りに回転駆動させるモータと、モータを固定するモータブラケットと、リードスクリューを挟んだ両側に配置され、軸方向に延びる一対のガイドシャフトと、リードスクリューのネジ溝に噛み合う雌ネジ部を備え、リードスクリューの中心軸回りの回転により、一対のガイドシャフトに沿って軸方向に移動するスライドフレームと、スライドフレームに対して軸方向一方側に対象物を保持する対象物保持部を備え、一対のガイドシャフトに沿って軸方向に移動可能とされた保持枠と、リードスクリューを挟んだ両側に配置されて軸方向に延び、スライドフレームに設けられた第一受け部と保持枠に設けられた第二受け部との間に圧縮状態で設けられ、保持枠を軸方向一方側に付勢する一対のコイルスプリングとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に沿って延び、外周面にネジ溝が設けられたリードスクリューと、
前記リードスクリューを前記中心軸回りに回転駆動させるモータと、
前記モータを取付面に固定するモータブラケットと、
前記リードスクリューを挟んだ両側にそれぞれ配置され、前記中心軸の軸方向に延びる一対のガイドシャフトと、
前記リードスクリューの前記ネジ溝に噛み合う雌ネジ部を備え、前記リードスクリューの前記中心軸回りの回転により、前記一対のガイドシャフトに沿って前記軸方向に移動するスライドフレームと、
前記スライドフレームに対して前記軸方向一方側に対象物を保持する対象物保持部を備え、前記一対のガイドシャフトに沿って前記軸方向に移動可能とされた保持枠と、
前記リードスクリューを挟んだ両側に配置されて前記軸方向に延び、前記スライドフレームに設けられた第一受け部と前記保持枠に設けられた第二受け部との間に圧縮状態で設けられ、前記保持枠を前記軸方向一方側に付勢する一対のコイルスプリングと、を備える、
アクチュエータ。
【請求項2】
前記リードスクリューの前記中心軸、前記一対のガイドシャフトのシャフト中心軸、および一対の前記コイルスプリングのスプリング中心軸が、前記取付面に平行な同一面に沿って配置されている、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記モータブラケットは、前記軸方向に延びるガイド面を備え、
前記スライドフレームは、前記ガイド面に沿って前記軸方向に移動する、
請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記モータブラケットは、前記一対のガイドシャフトの少なくとも一方が挿通される挿通孔を備える、
請求項1~3の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記ガイドシャフトは、前記コイルスプリングの径方向内側に挿通されている、
請求項1~4の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記保持枠は、前記スライドフレームの前記第一受け部に対して前記軸方向他方側に設けられ、前記第一受け部に突き当たることで前記保持枠の前記軸方向一方側への移動を規制する移動規制部をさらに備える、
請求項1~5の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器には小型化とともに多機能化が求められており、電子機器の内部に組み込まれている部品を駆動して様々な機能を実現することが望まれている。例えば、カメラが組み込まれたスマートフォンにおいては、カメラの高機能化を図るため、カメラを駆動するギヤドモータをスマートフォンの内部に組み込んだものも開発されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ギヤドモータで中心軸回りに回転させるスクリュー軸と、スクリュー軸に噛み合わせたナットを備え、スクリュー軸を回転させたときにナットとともに軸方向にスライド移動するスライド部材と、を備える構成では、以下のような問題が生じることがある。
すなわち、このような構成では、ギヤドモータでスクリュー軸を回転させることによって、スライド部材で対象物をスライド移動させる。この場合、対象物側からスライド部材に軸方向の外力が加わった場合、スクリュー軸とナットとの噛み合い部分、モータ等に過大な力が掛かり、モータの逆回転によるスライド部材の位置ずれ、各部の損傷等を招く虞がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、外力が加わった場合の影響を有効に抑えることができるアクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のアクチュエータの一つの態様は、中心軸に沿って延び、外周面にネジ溝が設けられたリードスクリューと、前記リードスクリューを前記中心軸回りに回転駆動させるモータと、前記モータを取付面に固定するモータブラケットと、前記リードスクリューを挟んだ両側にそれぞれ配置され、前記中心軸の軸方向に延びる一対のガイドシャフトと、前記リードスクリューの前記ネジ溝に噛み合う雌ネジ部を備え、前記リードスクリューの前記中心軸回りの回転により、前記一対のガイドシャフトに沿って前記軸方向に移動するスライドフレームと、前記スライドフレームに対して前記軸方向一方側に対象物を保持する対象物保持部を備え、前記一対のガイドシャフトに沿って前記軸方向に移動可能とされた保持枠と、前記リードスクリューを挟んだ両側に配置されて前記軸方向に延び、前記スライドフレームに設けられた第一受け部と前記保持枠に設けられた第二受け部との間に圧縮状態で設けられ、前記保持枠を前記軸方向一方側に付勢する一対のコイルスプリングと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、外力が加わった場合の影響を有効に抑えることができるアクチュエータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態のアクチュエータの斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のアクチュエータを
図1とは異なる方向から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のアクチュエータのギヤドモータ、モータブラケット、およびリードスクリューを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のアクチュエータのスライドフレーム、および一対のガイドシャフトを主に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態のアクチュエータのスライドフレームがスライドした状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態であるアクチュエータ1について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態のアクチュエータ1の斜視図である。
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。以下の説明において特に断りのない限り、中心軸J1の軸方向をZ軸方向、Z軸方向と平行な取付面100に直交する方向をX軸方向、X軸方向およびZ軸方向に直交する方向をY軸方向とする。また、以下の説明においては、Z軸方向を、単に「軸方向」と呼び、+Z側を単に「軸方向一方側」と呼び、-Z側を単に「軸方向他方側」と呼ぶ。
【0010】
図1、
図2に示すように、アクチュエータ1は、ギヤドモータ2と、モータブラケット8と、リードスクリュー3と、スライドフレーム4と、保持枠5と、一対のガイドシャフト6と、一対のコイルスプリング7と、を備える。
【0011】
ギヤドモータ2は、モータ20および遊星歯車機構30を備える。
モータ20は、中心軸J1方向に延びるモータシャフト(図示無し)を備える。モータ20は、例えばステッピングモータである。モータ20は、モータハウジング21内に、モータシャフトを備えたロータ、およびステータを備える。モータ20は、モータシャフトを中心軸J1周りに回転駆動させる。
遊星歯車機構30は、モータシャフト(図示無し)によって駆動される。遊星歯車機構30は、ハウジング31内に、太陽歯車、複数の遊星歯車、キャリア等を備える。遊星歯車機構30は、モータシャフトの回転を所定の減速比で減速し、出力軸(図示無し)から出力する。
【0012】
図3に示すように、モータブラケット8は、モータ20、および遊星歯車機構30を、アクチュエータ1を搭載する機器の取付面100に固定する。本実施形態において、アクチュエータ1が搭載される機器は、例えばスマートフォンである。モータブラケット8は、ベース部81と、複数の固定部82と、第一軸支部83と、第二軸支部84と、スライドガイド部85と、シャフト挿通部86と、を一体に備える。
【0013】
ベース部81は、板状で、取付面100に沿う。ベース部81は、ナット収容開口81aを備える。ナット収容開口81aは、X軸方向から見て、Z軸方向に長軸方向を有する長方形状である。
【0014】
複数の固定部82は、ベース部81からY軸方向の両側に突出している。複数の固定部82は、Y軸方向の両側に、それぞれZ軸方向に間隔をあけて2個ずつ設けられる。各固定部82には、ビス等が挿通されるビス挿通孔82hが設けられる。モータブラケット8は、ベース部81を取付面100に沿わせた状態で、ビス挿通孔82hに挿通させたビス等によって取付面100に固定される。
【0015】
第一軸支部83は、ナット収容開口81aに対してZ軸方向他方側に設けられる。第一軸支部83は、ベース部81からX軸方向に突出する。第一軸支部83は、Z軸方向に貫通する第一軸支孔83aを備える。第一軸支孔83aには、遊星歯車機構30のZ軸方向一方側の端部が挿入される。第一軸支部83は、遊星歯車機構30のZ軸方向一方側の端部を保持する。第一軸支部83は、遊星歯車機構30のZ軸方向一方側の端部を保持することで、出力軸(図示無し)を中心軸J1周りに回転可能に保持する。
【0016】
第二軸支部84は、ナット収容開口81aに対してZ軸方向一側に設けられる。第二軸支部84は、ベース部81からX軸方向に突出する。第二軸支部84は、Z軸方向に貫通する第二軸支孔84aを備える。第二軸支孔84aには、軸受87を介して後述するリードスクリュー3の端部3aが中心軸J1周りに回転自在に支持される。
【0017】
スライドガイド部85は、ナット収容開口81aに対してY軸方向の両側に設けられる。スライドガイド部85は、ベース部81からX軸方向に突出し、Z軸方向に連続する。スライドガイド部85の先端部には、Z軸方向に延びるガイド面85gが設けられる。
【0018】
シャフト挿通部86は、ベース部81において、Z軸方向他方側の端部に設けられる。シャフト挿通部86は、ベース部81からX軸方向に突出する。シャフト挿通部86は、後述する一方のガイドシャフト6が挿通される挿通孔86hを有する。本実施形態において、シャフト挿通部86は、ベース部81のY軸方向中央部に対して一方側にのみ設けられる。シャフト挿通部86は、ベース部81のY軸方向中央部に対して両側に設けてもよい。
【0019】
リードスクリュー3は、中心軸J1に沿って延びている。リードスクリュー3は、外周面にネジ溝3tが設けられている。リードスクリュー3のZ軸方向一方側の端部は、遊星歯車機構30の出力軸(図示無し)に連結される。リードスクリュー3は、遊星歯車機構30の出力軸と一体に中心軸J1周りに回転する。リードスクリュー3は、モータ20のモータ軸(図示無し)の回転が、遊星歯車機構30を介して伝達される。つまり、モータ20は、リードスクリュー3を中心軸J1回りに回転駆動させる。リードスクリュー3のZ軸方向一方側の端部3aは、軸受87を介して第二軸支孔84aに回転自在に支持される。
ここで、対象物側から外力が加わった場合に、リードスクリュー3が逆転するのを抑えるためには、ネジのリードを短くすることが望ましい。また、リードスクリューとして、1条から3条のネジを用いることが好ましい。
【0020】
図1、
図2に示すように、一対のガイドシャフト6は、リードスクリュー3を挟んだ両側にそれぞれ配置される。各ガイドシャフト6は、Z軸方向に延びる。各ガイドシャフト6は、Z軸方向一方側の端部6aが、後述する保持枠5に支持される。本実施形態において、一対のガイドシャフト6のうち、Y軸方向一方側のガイドシャフト6は、Y軸方向他方側のガイドシャフト6よりも軸方向他方側に突出する突出端部6tを備える。
【0021】
図4に示すように、スライドフレーム4は、ナット部41と、一対の延出部42と、一対の第一受け部43と、を一体に有する。
【0022】
ナット部41は、スライドナット44を一体に備えている。スライドナット44は、リードスクリュー3のネジ溝3tに噛み合う雌ネジ部45を有する。スライドナット44は、リードスクリュー3の中心軸J1周りの回転により、リードスクリュー3に沿ってZ軸方向に移動する。スライドナット44は、例えば金属製で、樹脂製のナット部41にインサート成形される。
図1にしめすように、スライドナット44を備えたナット部41は、ベース部81のナット収容開口81aの内側に配置される。ナット部41は、スライドナット44と一体に、ナット収容開口81a内でZ軸方向に移動する。ナット部41がナット収容開口81a内に収容されることで、アクチュエータ1のX軸方向における厚み寸法が抑えられる。
【0023】
図4に示すように、一対の延出部42は、ギヤドモータ2のY軸方向両側に設けられる。一対の延出部42は、ナット部41からZ軸方向他方側に延びる。一対の延出部42は、スライドガイド部85のガイド面85gに突き当たる突き当たり面42fを有する。
【0024】
一対の第一受け部43は、一対の延出部42のZ軸方向他方側の端部に一体に設けられる。一対の第一受け部43は、一対の延出部42のそれぞれのX軸方向他方側の端部から、Y軸方向両側に突出する。各第一受け部43は、Z軸方向に直交する板状である。一対の第一受け部43は、後述する一対のコイルスプリング7のZ軸方向他方側の端部7bが突き当たる。
【0025】
一対の第一受け部43には、ガイドシャフト6が挿通されるシャフト挿通孔43hが設けられる。一対の第一受け部43は、後述する一対のガイドシャフト6によって、Z軸方向に移動自在に支持される。
【0026】
このようなスライドフレーム4は、リードスクリュー3の中心軸J1回りの回転によってナット部41と一体にZ軸方向に移動する。
ここで、スライドフレーム4は、Z軸方向一方側のナット部41がリードスクリュー3によって支持され、Z軸方向他方側の一対の第一受け部43が一対のガイドシャフト6によって支持される。つまり、スライドフレーム4は、ナット部41と一対の第一受け部43との計3点で安定的に支持された状態で、Z軸方向に移動可能とされている。
また、スライドフレーム4は、一対の延出部42の突き当たり面42fがスライドガイド部85のガイド面85gに突き当たった状態で、Z軸方向に移動する。これにより、スライドフレーム4は、より安定してZ軸方向に移動可能とされている。
【0027】
図1、
図2に示すように、保持枠5は、対象物保持部51と、一対のサポート部52と、一対の第二受け部53と、一対の移動規制部55と、を一体に備える。
【0028】
対象物保持部51は、保持枠5のZ軸方向一方側の端部に設けられる。対象物保持部51は、板状で、Z軸方向に直交する面に設けられる。対象物保持部51は、Z軸方向から見て、Y軸方向に長軸方向を有する長方形状である。対象物保持部51は、例えば、スマートフォンのカメラ部を保持する。
【0029】
対象物保持部51は、スクリュー挿通孔51aと、シャフト固定孔51bと、対象物取付孔51cと、を備える。
スクリュー挿通孔51aは、対象物保持部51のY軸方向中央部に設けられる。スクリュー挿通孔51aは、対象物保持部51をZ軸方向に貫通する。スクリュー挿通孔51aには、リードスクリュー3の軸方向一方側の端部3aが挿入可能とされる。
【0030】
シャフト固定孔51bは、対象物保持部51において、スクリュー挿通孔51aに対してY軸方向両側に設けられる。シャフト固定孔51bは、一対のガイドシャフト6の軸方向一方側の端部6aが、嵌合等によって固定される。
【0031】
対象物取付孔51cは、対象物保持部51においてY軸方向両端部に設けられる。対象物取付孔51cは、対象物保持部51をZ軸方向に貫通する。対象物取付孔51cは、対象物を対象物保持部51のZ軸方向一方側に突き当てた状態で、対象物に締結されるビス等が挿入される。つまり、対象物保持部51は、スライドフレーム4に対してZ軸方向一方側に対象物を保持する。
【0032】
一対のサポート部52は、Y軸方向に間隔をあけて設けられる。一対のサポート部52は、それぞれ、対象物保持部51からZ軸方向他方の側に延びる。一対のサポート部52は、一対のガイドシャフト6、及びコイルスプリング7に対してY軸方向両側に沿うように設けられる。
【0033】
第二受け部53は、対象物保持部51の一部に設けられる。第二受け部53は、対象物保持部51において、各シャフト固定孔51bの径方向外側に設けられる。第二受け部53は、後述するコイルスプリング7のZ軸方向一方側の端部が突き当たる。第二受け部53には、各ガイドシャフト6が固定されるシャフト固定孔53h(
図2参照)が設けられる。
【0034】
一対の移動規制部55は、一対のサポート部52のZ軸方向他方側の端部に設けられる。各移動規制部55は、板状で、Z軸方向に直交する。各移動規制部55は、スライドフレーム4の第一受け部43に対してZ軸方向他方側に配置される。各移動規制部55には、ガイドシャフト6が挿通されるシャフト固定孔53hが設けられる。
移動規制部55は、第一受け部43に突き当たることで保持枠5のZ軸方向一方側への移動を規制する。
【0035】
このような保持枠5は、一対のガイドシャフト6とともに、リードスクリュー3の回転によってスライドフレーム4とともにZ軸方向に移動可能とされる。
【0036】
一対のコイルスプリング7は、リードスクリュー3を挟んだ両側に配置される。一対のコイルスプリング7は、それぞれZ軸方向に延びる。各コイルスプリング7は、スライドフレーム4に設けられた第一受け部43と、保持枠5に設けられた第二受け部53との間に圧縮状態で設けられる。各コイルスプリング7は、保持枠5を、スライドフレーム4に対してZ軸方向一方側に付勢する。本実施形態において、ガイドシャフト6は、コイルスプリング7の径方向内側に挿通されている。
【0037】
本実施形態において、リードスクリュー3の中心軸J1、一対のガイドシャフト6のシャフト中心軸J2、および一対のコイルスプリング7のスプリング中心軸J3は、取付面100に平行な同一面に沿ってY軸方向に並べて配置されている。
【0038】
上述したようなアクチュエータ1では、モータ20で遊星歯車機構30を介してリードスクリュー3を中心軸J1回りに回転駆動させる。すると、リードスクリュー3のネジ溝3tに噛み合う雌ネジ部45を備えたスライドフレーム4が、Z軸方向に移動する。このとき、スライドフレーム4は、一対のガイドシャフト6に沿って安定的に移動する。スライドフレーム4の第一受け部43と保持枠5の第二受け部53との間には、一対のコイルスプリング7が圧縮状態で設けられている。これにより、保持枠5は、スライドフレーム4に対してZ軸方向一方側に付勢されている。
図5に示すように、スライドフレーム4がZ軸方向に移動すると、一対のコイルスプリング7に付勢された保持枠5が、スライドフレーム4とともにZ軸方向に移動する。つまり、対象物保持部51がモータ20の駆動によってZ軸方向に進退する。これによって、対象物保持部51に保持される対象物が、アクチュエータ1によってZ軸方向に進退駆動される。
【0039】
対象物側から保持枠5をZ軸方向他方側に押圧する方向の外力が加わった場合、一対のコイルスプリング7が圧縮される方向に弾性変形する。これにより、保持枠5がスライドフレーム4に対してZ軸方向他方側に相対変位する。したがって、対象物側から加わる外力が、保持枠5および一対のコイルスプリング7で吸収される。
【0040】
本実施形態によれば、対象物側から保持枠5をZ軸方向他方側に押圧する方向の外力が加わった場合、一対のコイルスプリング7が圧縮される方向に弾性変形することで、保持枠5がスライドフレーム4に対してZ軸方向他方側に相対変位する。これにより、対象物側から加わる外力を、保持枠5および一対のコイルスプリング7で吸収することができる。したがって、スライドフレーム4、リードスクリュー3、およびモータ20に外力による影響が及ぶのを抑えることができる。一対のコイルスプリング7は、リードスクリュー3を挟んだ両側に配置されているので、対象物側から加わる外力を安定的に吸収し、スライドフレーム4、リードスクリュー3、およびモータ20に偏荷重が掛かるのを抑えることができる。
【0041】
本実施形態によれば、リードスクリュー3、一対のガイドシャフト6、および一対のコイルスプリング7を、取付面100に平行な同一面に沿って配置することで、取付面100に直交する方向におけるアクチュエータ1のサイズを薄型化することができる。
【0042】
本実施形態によれば、スライドフレーム4がリードスクリュー3の回転によってZ軸方向に移動する場合、スライドフレーム4がモータブラケット8のガイド面85gに沿うことで、スライドフレーム4の移動を安定的なものとすることができる。
【0043】
本実施形態によれば、一対のガイドシャフト6の少なくとも一方がモータブラケット8の挿通孔86hに挿通されることで、モータ20でリードスクリュー3を回転させたときに、一対のガイドシャフト6、および一対のガイドシャフト6に支持されたスライドフレーム4、保持枠5が、リードスクリュー3の中心軸J1回りに供回りすることが抑えられる。
【0044】
本実施形態によれば、ガイドシャフト6をコイルスプリング7の径方向内側に挿通させることで、ガイドシャフト6とコイルスプリング7とを別々に配置する場合に比較し、ガイドシャフト6、およびコイルスプリング7を配置するためのスペースが少なくて済む。したがって、アクチュエータ1の小型化を図ることができる。
【0045】
本実施形態によれば、保持枠5の移動規制部55がスライドフレーム4の第一受け部43に突き当たることで、対象物側から外力が作用していない状態における、スライドフレーム4に対する保持枠5の位置を規定することができる。
【0046】
以上に、本発明の一実施形態およびその変形例を説明したが、実施形態および変形例における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0047】
例えば、上述した実施形態のアクチュエータ1の用途は、特に限定されない。上述した実施形態のアクチュエータ1は、例えば、スマートフォン等に搭載される。
【符号の説明】
【0048】
1…アクチュエータ、3…リードスクリュー、3t…ネジ溝、4…スライドフレーム、5…保持枠、6…ガイドシャフト、7…コイルスプリング、8…モータブラケット、20…モータ、43…第一受け部、45…雌ネジ部、51…対象物保持部、53…第二受け部、55…移動規制部、85g…ガイド面、86h…挿通孔、100…取付面、J1…中心軸、J2…シャフト中心軸、J3…スプリング中心軸