(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155899
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】無線送信装置、基地局、端末装置、移動通信システム、固定無線アクセスシステム、並びに、無線送信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H03F 1/02 20060101AFI20221006BHJP
H03F 3/20 20060101ALI20221006BHJP
H04B 1/04 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H03F1/02
H03F3/20
H04B1/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059341
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】小西 光邦
【テーマコード(参考)】
5J500
5K060
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA41
5J500AA62
5J500AA63
5J500AA64
5J500AA65
5J500AA68
5J500AC36
5J500AF10
5J500AH10
5J500AK29
5J500AK68
5J500AM08
5J500AS14
5J500AT01
5J500AT07
5J500RG09
5K060CC04
5K060DD03
5K060DD04
5K060EE05
5K060HH06
5K060JJ21
(57)【要約】
【課題】送信信号のピーク対平均電力比(PAPR)の増加に対応できるともに電力増幅器における低消費電力化を図ることができる無線送信装置を提供する。
【解決手段】無線送信装置は、送信対象のデータに基づいて電力増幅前のベースバンド信号を生成し、前記ベースバンド信号に基づいて、電力増幅動作の切り替えの制御信号を生成するベースバンド処理部と、無入力時又は小信号入力時に電力を消費する第1電力増幅動作と無入力時又は小信号入力時の消費電力が前記第1電力増幅動作よりも小さい第2電力増幅動作とを切り替え可能に構成された一又は複数の電力増幅器を有し、前記ベースバンド処理部から出力された高周波の送信信号を増幅する電力増幅部と、前記制御信号に基づいて、前記第1電力増幅動作と前記第2電力増幅動作との間で前記電力増幅器の電力増幅動作を切り替えるように制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信対象のデータに基づいて電力増幅前のベースバンド信号を生成し、前記ベースバンド信号に基づいて、電力増幅動作の切り替えの制御信号を生成するベースバンド処理部と、
無入力時又は小信号入力時に電力を消費する第1電力増幅動作と無入力時又は小信号入力時の消費電力が前記第1電力増幅動作よりも小さい第2電力増幅動作とを切り替え可能に構成された一又は複数の電力増幅器を有し、前記ベースバンド処理部から出力された高周波の送信信号を増幅する電力増幅部と、
前記制御信号に基づいて、前記第1電力増幅動作と前記第2電力増幅動作との間で前記電力増幅器の電力増幅動作を切り替えるように制御する制御部と、
を備える無線送信装置。
【請求項2】
請求項1の無線送信装置において、
前記第1電力増幅動作はA級又はAB級の電力増幅動作であり、
前記第2電力増幅動作はC級又はB級の電力増幅動作であり、
前記制御部は、前記電力増幅部に印加するバイアスを変更して前記電力増幅動作の切り替えを行う、ことを特徴とする無線送信装置。
【請求項3】
請求項1又は2の無線送信装置において、
前記制御信号は、前記第2電力増幅動作の時間帯に対応させて生成されるトリガー信号であり、
前記制御部は、
前記トリガー信号の低電位のオフ電圧から高電位のオン電圧への立ち上がりによって前記第1電力増幅動作から前記第2電力増幅動作に切り替え、
前記トリガー信号の前記オン電圧から前記オフ電圧への立ち下がりによって前記第2電力増幅動作から前記第2電力増幅動作に切り替えるように制御する、ことを特徴とする無線送信装置。
【請求項4】
請求項1又は2の無線送信装置において、
前記制御信号は、前記第1電力増幅動作の時間帯に対応させて生成されるトリガー信号であり、
前記制御部は、
前記トリガー信号の低電位のオフ電圧から高電位のオン電圧への立ち上がりによって前記第2電力増幅動作から前記第1電力増幅動作に切り替え、
前記トリガー信号の前記オン電圧から前記オフ電圧への立ち下がりによって前記第1電力増幅動作から前記第2電力増幅動作に切り替えるように制御する、ことを特徴とする無線送信装置。
【請求項5】
請求項3又は4の無線送信装置において、
前記ベースバンド処理部と前記電力増幅部との間に、前記送信信号を所定の遅延時間だけ送らせる遅延回路を備えることを特徴とする無線送信装置。
【請求項6】
請求項5の無線送信装置において、
前記遅延時間は、前記トリガー信号のオフ電圧からオン電圧への立ち上がりの開始時から、前記立ち上がりによって切り替わった後の電力増幅動作が安定するまでの時間に相当する遅延時間である、ことを特徴とする無線送信装置。
【請求項7】
請求項5の無線送信装置において、
前記遅延時間は、前記トリガー信号のオン電圧からオフ電圧への立ち下がりの開始時から、前記立ち下がりによって切り替わった後の電力増幅動作が安定するまでの時間に相当する遅延時間である、ことを特徴とする無線送信装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかの無線送信装置において、
送信先との間の無線通信の同期状態が未同期の場合に、少なくとも同期信号を送信する時間帯が前記第1電力増幅動作になり、他の時間帯が前記第2電力増幅動作になるように、前記電力増幅器の電力増幅動作を切り替える、ことを特徴とする無線送信装置。
【請求項9】
請求項8の無線送信装置において、
送信先との間の無線通信の無線フレームにおいて、同期信号を含む制御ブロックが送信されるリソースブロック又はスロットが前記第1電力増幅動作になり、前記制御ブロックが送信されないリソースブロック又はスロットが前記第2電力増幅動作になるように、前記電力増幅器の電力増幅動作を切り替える、ことを特徴とする無線送信装置。
【請求項10】
請求項8の無線送信装置において、
送信先との間の無線通信の無線フレームを構成するリソースブロック又はスロットの内部において、同期信号を含む制御ブロックが送信される時間帯が前記第1電力増幅動作になり、前記制御ブロックが送信されない時間帯が前記第2電力増幅動作になるように、前記電力増幅器の電力増幅動作を切り替える、ことを特徴とする無線送信装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかの無線送信装置を備えることを特徴とする移動通信システムの基地局。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれかの無線送信装置を備えることを特徴とする固定無線アクセス(FWA)システムの基地局。
【請求項13】
請求項1乃至10のいずれかの無線送信装置を備えることを特徴とする移動通信システムの端末装置。
【請求項14】
請求項1乃至10のいずれかの無線送信装置を備えることを特徴とする固定無線アクセス(FWA)システムの端末装置。
【請求項15】
請求項11の基地局及び請求項13の端末装置の少なくとも一方を備えることを特徴とする移動通信システム。
【請求項16】
請求項12の基地局及び請求項14の端末装置の少なくとも一方を備えることを特徴とする固定無線アクセス(FWA)システム。
【請求項17】
電力増幅器により高周波の送信信号を増幅して送信する無線送信方法であって、
送信対象のデータに基づいて電力増幅前のベースバンド信号を生成し、前記ベースバンド信号に基づいて、電力増幅動作の切り替えの制御信号を生成することと、
前記制御信号に基づいて、無入力時又は小信号入力時に電力を消費する第1電力増幅動作と、無入力時又は小信号入力時の消費電力が前記第1電力増幅動作よりも小さい第2電力増幅動作との間で、前記電力増幅器の電力増幅動作を切り替えることと、
を含むことを特徴とする無線送信方法。
【請求項18】
高周波の送信信号を増幅する電力増幅器を有する無線送信装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
送信対象のデータに基づいて電力増幅前のベースバンド信号を生成し、前記ベースバンド信号に基づいて、電力増幅動作の切り替えの制御信号を生成するためのプログラムコードと、
前記制御信号に基づいて、無入力時又は小信号入力時に電力を消費する第1電力増幅動作と、無入力時又は小信号入力時の消費電力が前記第1電力増幅動作よりも小さい第2電力増幅動作との間で、前記電力増幅器の電力増幅動作を切り替えるためのプログラムコードと、
を含むことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力増幅器を有する無線送信装置、基地局、端末装置、移動通信システム、固定無線アクセスシステム、並びに、無線送信方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、移動通信システムの基地局に用いられ、端末装置に送信される高周波の送信信号を増幅する広帯域の電力増幅器を有する無線送信装置が知られている(特許文献1参照)。この無線送信装置によれば、常に最大出力電力が一定であることから、多値数の多い変調方式に対しても、既存の小型・小出力の電力増幅器で対応することができる。その結果として、変調方式が多様化しても、従来の無線送信装置に大規模な設計変更を施すことなく、各変調方式での通信を実現することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年の移動通信システムにおける更なる広帯域化、変調多値数の増加などにより、送信信号のピーク対平均電力比(PAPR:Peak to Average Power Ratio)が増加し、飽和出力が大きい電力増幅器が必要になってきている。このような飽和出力が大きい電力増幅器では、信号の入力がない無信号時でも大きな電力消費が発生するため、無線送信装置の消費電力が高くなる、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る無線送信装置は、送信対象のデータに基づいて電力増幅前のベースバンド信号を生成し、前記ベースバンド信号に基づいて、電力増幅動作の切り替えの制御信号を生成するベースバンド処理部と、無入力時又は小信号入力時に電力を消費する第1電力増幅動作と無入力時又は小信号入力時の消費電力が前記第1電力増幅動作よりも小さい第2電力増幅動作とを切り替え可能に構成された一又は複数の電力増幅器を有し、前記ベースバンド処理部から出力された高周波の送信信号を増幅する電力増幅部と、前記制御信号に基づいて、前記第1電力増幅動作と前記第2電力増幅動作との間で前記電力増幅器の電力増幅動作を切り替えるように制御する制御部と、を備える。
【0006】
前記無線送信装置において、前記第1電力増幅動作はA級又はAB級の電力増幅動作であり、前記第2電力増幅動作はC級又はB級の電力増幅動作であり、前記制御部は、前記電力増幅部に印加するバイアスを変更して前記電力増幅動作の切り替えを行ってもよい。
【0007】
前記無線送信装置において、前記制御信号は、前記第2電力増幅動作の時間帯に対応させて生成されるトリガー信号であり、前記制御部は、前記トリガー信号の低電位のオフ電圧から高電位のオン電圧への立ち上がりによって前記第1電力増幅動作から前記第2電力増幅動作に切り替え、前記トリガー信号の前記オン電圧から前記オフ電圧への立ち下がりによって前記第2電力増幅動作から前記第1電力増幅動作に切り替えるように制御してもよい。
【0008】
前記無線送信装置において、前記制御信号は、前記第1電力増幅動作の時間帯に対応させて生成されるトリガー信号であり、前記制御部は、前記トリガー信号の低電位のオフ電圧から高電位のオン電圧への立ち上がりによって前記第2電力増幅動作から前記第1電力増幅動作に切り替え、前記トリガー信号の前記オン電圧から前記オフ電圧への立ち下がりによって前記第1電力増幅動作から前記第2電力増幅動作に切り替えるように制御してもよい。
【0009】
前記無線送信装置において、前記ベースバンド処理部と前記電力増幅部との間に、前記送信信号を所定の遅延時間だけ送らせる遅延回路を備えてもよい。
【0010】
ここで、前記遅延時間は、前記トリガー信号のオフ電圧からオン電圧への立ち上がりの開始時から、前記立ち上がりによって切り替わった後の電力増幅動作が安定するまでの時間に相当する遅延時間であってもよい。また、前記遅延時間は、前記トリガー信号のオン電圧からオフ電圧への立ち下がりの開始時から、前記立ち下がりによって切り替わった後の電力増幅動作が安定するまでの時間に相当する遅延時間であってもよい。
【0011】
前記無線送信装置において、送信先との間の無線通信の同期状態が未同期の場合に、少なくとも同期信号を送信する時間帯が前記第1電力増幅動作になり、他の時間帯が前記第2電力増幅動作になるように、前記電力増幅器の電力増幅動作を切り替えてもよい。
【0012】
ここで、送信先との間の無線通信の無線フレームにおいて、同期信号を含む制御ブロックが送信されるリソースブロック又はスロットが前記第1電力増幅動作になり、前記制御ブロックが送信されないリソースブロック又はスロットが前記第2電力増幅動作になるように、前記電力増幅器の電力増幅動作を切り替えてもよい。
【0013】
また、送信先との間の無線通信の無線フレームを構成するリソースブロック又はスロットの内部において、同期信号を含む制御ブロックが送信される時間帯が前記第1電力増幅動作になり、前記制御ブロックが送信されない時間帯が前記第2電力増幅動作になるように、前記電力増幅器の電力増幅動作を切り替えてもよい。
【0014】
本発明の他の態様に係る移動通信システム又は固定無線アクセス(FWA)システムの基地局は、前記いずれかの無線送信装置を備える。
【0015】
本発明の更に他の態様に係る移動通信システム又は固定無線アクセス(FWA)システムの端末装置は、前記いずれかの無線送信装置を備える。
【0016】
本発明の更に他の態様に係る移動通信システム又は固定無線アクセス(FWA)システムは、前記基地局及び前記端末装置の少なくとも一方を備える。
【0017】
本発明の更に他の態様に係る無線送信方法は、電力増幅器により高周波の送信信号を増幅して送信する無線送信方法である。この無線送信方法は、送信対象のデータに基づいて電力増幅前のベースバンド信号を生成し、前記ベースバンド信号に基づいて、電力増幅動作の切り替えの制御信号を生成することと、前記制御信号に基づいて、無入力時又は小信号入力時に電力を消費する第1電力増幅動作と、無入力時又は小信号入力時の消費電力が前記第1電力増幅動作よりも小さい第2電力増幅動作との間で、前記電力増幅器の電力増幅動作を切り替えることと、を含む。
【0018】
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、高周波の送信信号を増幅する電力増幅器を有する無線送信装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、送信対象のデータに基づいて電力増幅前のベースバンド信号を生成し、前記ベースバンド信号に基づいて、電力増幅動作の切り替えの制御信号を生成するためのプログラムコードと、前記制御信号に基づいて、無入力時又は小信号入力時に電力を消費する第1電力増幅動作と、無入力時又は小信号入力時の消費電力が前記第1電力増幅動作よりも小さい第2電力増幅動作との間で、前記電力増幅器の電力増幅動作を切り替えるためのプログラムコードと、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、無線送信装置から送信される送信信号のピーク対平均電力比(PAPR)の増加に対応できるともに電力増幅器における低消費電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係る無線送信装置の全体構成の一例を示すブロック図。
【
図2】実施形態に係る無線送信装置の電力増幅部の構成の一例を示すブロック図。
【
図3】実施形態に係る電力増幅部を構成する電力増幅器のA級動作及びC級動作の一例を示すグラフ。
【
図4】実施形態に係る無線送信装置における電力増幅部の電力増幅器に対するバイアス制御の一例を示すフローチャート。
【
図5】無線フレームにおける同期信号を含むSSBの配置例を示す説明図。
【
図6】
図4のバイアス制御における無線フレーム中のSSバーストセットの配置と電力増幅器に印加するゲートバイアス電圧の切り替えとの関係の一例を示す説明図。
【
図7】
図6中の破線領域AにおけるA級動作時のゲートバイアス電圧の拡大図。
【
図8】
図4のバイアス制御におけるトリガー信号とゲートバイアス電圧との関係の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本書に記載された実施形態に係る無線送信装置は、移動通信システムの基地局に設けられ、電力増幅前のベースバンド信号に基づいて電力増幅動作の切り替えの制御信号を生成し、そのトリガー信号に基づいて、無入力時又は小信号入力時に電力を消費する第1電力増幅動作(例えば、A級動作)と、無入力時又は小信号入力時の消費電力が第1電力増幅動作よりも小さい第2電力増幅動作(例えば、C級動作)との間で、電力増幅器の電力増幅動作を切り替えるように制御する。
【0022】
なお、以下に説明する実施形態の構成、並びに、その構成によって得られる作用及び効果はそれぞれ一例であり、以下に説明する内容に限られるものではない。また、以下の実施形態で説明する無線送信装置は、移動通信システムの基地局や端末装置(ユーザ装置:UE)に適用できるだけでなく、固定無線アクセス(FWA)システムの基地局や端末装置(ユーザ装置:UE)、放送システムなどにも適用できる。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線送信装置10の全体構成の一例を示すブロック図である。
図1において、無線送信装置10は、ベースバンド処理部20とRF(高周波)信号処理部30と電力増幅部40とバイアス制御部50と出力処理部60とアンテナ70とを備える。
【0024】
ベースバンド処理部20は、送信対象のデータに基づいて電力増幅前のベースバンド信号を生成する。例えば、ベースバンド処理部20は、送信対象の制御情報やユーザデータ(IPパケット)等のデータと無線伝送路を介して送信されるOFDM信号等のベースバンド信号の変換(変調)とを行う。変調方式としては、例えば変調多値数が互いに異なるQPSK、16QAM、64QAM等を用いることができる。
【0025】
RF信号処理部30は、例えば、OFDM信号等のベースバンド信号に対してDA変換処理を行い、所定周波数帯の高周波のアナログ送信信号を生成する。なお、RF信号処理部30は、送信信号を所定の遅延時間だけ遅らせる後述の遅延回路を含んでもよい。
【0026】
電力増幅部40は、単数又は複数の電力増幅器を有し、ベースバンド処理部20から出力された送信信号を増幅する。電力増幅部40の電力増幅器は、例えば、FET(電界効果トランジスタ)等で構成された飽和出力が大きい(低ひずみの範囲が広い)広帯域の増幅器であり、広帯域化、変調多値数の増加などによりピーク対平均電力比(PAPR)が増加した送信信号に対応できる。
【0027】
電力増幅部40の電力増幅器は、無入力時又は小信号入力時に電力を消費する第1電力増幅動作(例えば、A級又はAB級の電力増幅動作)と、無入力時又は小信号入力時の消費電力が前記第1電力増幅動作よりも小さい第2電力増幅動作(例えば、B級又はC級の電力増幅動作)と、を切り替え可能に構成されている。
【0028】
なお、以下の実施形態では、一例として、第1電力増幅動作がA級の電力増幅動作(以下「A級動作」ともいう。)であり第2電力増幅動作がC級の電力増幅動作(以下「C級動作」ともいう。)である場合について説明する。
図3に示すように、A級動作は、低ひずみで電力増幅することができるが無入力時又は小信号入力時においても所定の電力Pc0[W]を消費する電力増幅動作であり、C級動作は、無入力時又は小信号入力時において消費電力がA級動作よりも小さい(消費電力がほとんどない)電力増幅動作である。
【0029】
ベースバンド処理部20は、送信対象のデータから生成されたベースバンド信号に基づいて、電力増幅部40の電力増幅器における電力増幅動作(A級動作、C級動作)の切り替えの制御信号を生成する。制御信号は、例えば、第1電力増幅動作(A級動作)の時間帯に対応させて生成される所定幅のパルス波形からなるトリガー信号である。
【0030】
バイアス制御部50は、前記トリガー信号などの制御信号に基づいて、A級動作(第1電力増幅動作)とC級動作(第2電力増幅動作)との間で、電力増幅部40の電力増幅器の電力増幅動作を切り替えるように制御する。例えば、バイアス制御部50は、時間軸上で連続する複数の無線フレームにおいて、ベースバンド処理部20から電力増幅部40に増幅対象の信号が入力される時間帯に電力増幅部40の増幅器をA級動作させ、ベースバンド処理部20から電力増幅部40に信号が入力されない時間帯にC級動作させるように制御する。
【0031】
出力処理部60は、例えば、所定の周波数の送信信号のみを通過させるバンドパスフィルター(BPF)、アンテナ70を送受信に共用できるように送信信号及び受信信号の経路を切り替える送受共用器(DUP:DUPlexer)等で構成されている。
【0032】
電力増幅部40で増幅された送信信号は出力処理部60を介してアンテナ70から送信される。
【0033】
図2は、本実施形態に係る無線送信装置10の電力増幅部40の構成の一例を示すブロック図である。
図2において、電力増幅部40は、複数Nの電力増幅器400(1)~400(N)を縦続接続した構成を有する。電力増幅部40を構成する電力増幅器は単数であってもよい。
【0034】
電力増幅器400(1)~400(N)はそれぞれ、例えば、入力側のカップリングコンデンサCと、電力増幅機能を有する半導体素子としてのFET401(1)~401(N)と、入力側のバイアス・整合回路402(1)~402(N)と、出力側のバイアス・整合回路403(1)~403(N)とを有する。入力側のバイアス・整合回路402(1)~402(N)は、FET401(1)~401(N)のゲート端子に直流のバイアス(以下「ゲートバイアス電圧」ともいう。)VG1~VGNを印加する機能と、前段回路の出力インピーダンスとFET401(1)~401(N)の入力インピーダンスとを整合させる機能と、を有する。出力側のバイアス・整合回路403(1)~403(N)は、FET401(1)~401(N)のドレイン端子に直流のバイアス(以下「ドレインバイアス電圧」ともいう。)VD1~VDNを印加する機能と、FET401(1)~401(N)の出力インピーダンスと後段回路の入力インピーダンスと入力インピーダンスとを整合させる機能と、を有する。
【0035】
FET401(1)~401(N)のそれぞれの電力増幅動作は、ゲート端子に印加される直流のゲートバイアス電圧を変化させることによりA級動作とC級動作との間で切り替えることができる。例えば、FET401(1)~401(N)はそれぞれ、ゲートバイアス電圧値が所定のオン閾値よりも大きいオン電圧のときにA級動作の状態になり、入力された送信信号を低ひずみ状態で増幅することができる。また、FET401(1)~401(N)はそれぞれ、ゲートバイアス電圧値が所定のオフ閾値(<オン閾値)よりも小さいオフ電圧のときにC級動作の状態になり、消費電力がA級動作よりも低くなる。
【0036】
図4は、本実施形態に係る無線送信装置10における電力増幅部40の電力増幅器に対するバイアス制御の一例を示すフローチャートである。
図4は、移動通信システムの基地局(例えば、eNodeB、gNodeBなど)に組み込まれた無線送信装置10が、端末装置(以下「UE」ともいう。)との同期が未確立(無線接続が未確立)の状態においてUEに無線接続の初期設定のための同期信号及び報知情報を含むブロックを所定の間隔で周期的に送信するときに行う電力増幅器のバイアス制御の例を示している。
【0037】
なお、以下の制御例において、電力増幅部40を構成する複数の電力増幅器を区別せずに説明する場合は電力増幅器400と表記する。また、電力増幅器400の電力増幅動作の初期設定はA級動作である。
【0038】
図4において、本例の電力増幅器400のバイアス制御は、ベースバンド処理部20で実行される前段制御S110と、バイアス制御部50で実行される後段制御S120とを含む。
【0039】
前段制御S110において、無線フレームにおける同期信号(PSS,SSS)を含む制御ブロックとしてのSSB(同期信号ブロック)の配置を決定する(S111)。
【0040】
SSBは、同期信号としてのPSS(プライマリー同期信号)及びSSS(セカンダリー同期信号)のほか、UEに対する報知情報が割り当てられるPBCH(物理報知チャネル)を含み、無線フレームのスロット単位又はリソースブロック単位で配置される。例えば、
図5に示すように、無線フレームに所定のサブキャリア幅で5スロット(T1=5ms)からなるSSバーストセットが定義され、そのSSバーストセットの先頭から任意の数のスロットにSSBが配置される。
図5の例では、先頭から2個のスロットのそれぞれにSSBが2組ずつ配置されている。SSバーストセットは、所定のSSバーストセット周期(T2=5ms~160ms,初期値:20ms)でセル内に繰り返し送信される。SSバーストセット内の複数のSSBはそれぞれ、セル内の互いに異なる向きの複数のビームで送信される。
【0041】
ここで、無線フレーム内のSSBの配置は、リソースブロック(スロット)のサブキャリア幅に基づいて決定してもよい。
【0042】
図4に戻り、ベースバンド処理部20は、SSBの配置を決定した後、セル内のUEとの同期が未確立か否かを判断する(S112)。ここで、UEとの同期を確立するとは、上りリンク及び下りリンクの同期を確立することであってよい。具体的には、例えば、UEとの同期を確立するとは、UEが無線送信装置10から送信されたSSBを受信して、下りリンクの同期を確立したのち、プリアンブル信号をUEから送信し、前記プリアンブル信号をベースバンド処理部20が検出することで上りリンクとの同期も併せて確立することである。UEとの同期が未確立の場合(S112でYES)、ベースバンド処理部20は、無線リソースの時間軸上のリソースブロック(RB)単位又はスロット単位で、同期信号を含むSSBが未送信か否かを判断する(S113)。判断対象のRB又はスロットにおいてSSBが未送信の場合(S113でYES)、ベースバンド処理部20は、RB又はスロットについて電力増幅器400のゲートバイアス電圧を降下させる制御信号(トリガー信号)を生成してバイアス制御部50に出力する(S114)。
【0043】
次に、後段制御S120において、バイアス制御部50は、ベースバンド処理部20から受信した制御信号(トリガー信号)に基づいて、当該RB又はスロットについて電力増幅器400に印加するゲートバイアス電圧を降下させ(S121)、電力増幅器400の電力増幅動作をA級動作からC級動作に切り替える(S122)。このC級動作への切り替えにより、当該RB又はスロットにおける電力増幅器400の消費電力を低減するとともに雑音の増幅をなくすことができる。また、当該RB又はスロットにおいて電力増幅器400の電源供給を停止する場合のような電源供給再開時の電力増幅器400の不安定動作によるSSB送信時の通信品質低下を防止することができる。
【0044】
なお、
図4のバイアス制御例において、UEとの同期が未確立でない場合すなわちUEとの同期が確立している場合(S112でNO)、ベースバンド処理部20は上記制御信号(トリガー信号)の生成及び出力を行わないので、電力増幅器400の電力増幅動作はA級動作に維持される(S123)。このA級動作の維持により、UEに対する同期確立後のユーザデータ又は制御情報を含むデータ送信時にひずみの発生を抑制した高品質の通信が可能になる。
【0045】
更に、UEとの同期が未確立の場合に判断対象のRB又はスロットにおいて同期信号を含むSSBが未送信でない場合すなわちSSBが送信される場合(S113でNO)も、ベースバンド処理部20は上記制御信号(トリガー信号)の生成及び出力を行わないので、電力増幅器400の電力増幅動作はA級動作に維持される(S123)。このA級動作の維持により、UEに対する同期確立のためのSSBの送信時にひずみの発生を抑制した高品質の通信が可能になる。
【0046】
図6は、
図4のバイアス制御における無線フレーム80中のSSバーストセット81の配置と電力増幅器400に印加するゲートバイアス電圧の切り替えとの関係の一例を示す説明図である。
図7は、
図6中の破線領域Aで示したA級動作時のゲートバイアス電圧の拡大図である。
図6において、本実施形態の無線送信装置10は、所定の時間幅(図示の例では10ms)の無線フレーム80を基準にして送信信号を送信する。UEに送信される同期信号を含む所定時間幅T1のSSバーストセット81は、所定のSSバーストセット周期T2で無線フレーム80の先頭部分に配置される。図示の例では、SSバーストセット周期T2が無線フレーム80の2つ分の時間幅であり、連続する2つの無線フレームの1番目の無線フレームの先頭部分にSSバーストセット81が配置されている。
【0047】
電力増幅器400に印加されるゲートバイアス電圧Vgbは、時間幅T1のSSバーストセット81の時間帯が少なくともA級動作バイアス期間内に含まれるようにパルス波形状に制御される。A級動作バイアス期間は、電力増幅器400をA級動作させるためのゲートバイアス電圧Vgb(A)が継続している期間(
図7の時間軸上のPf2~Pf1の期間)である。
【0048】
図7において、電力増幅器400をC級動作からA級動作に切り替えるためにパルス状に変化するゲートバイアス電圧(以下、「A級バイアス波形」という。)90は、立ち上がり部(Pr1~Pr2)91と、電圧維持部(Pr2~Pf1)92と、立ち下がり部(Pf1~Pf2)93とを有する。A級バイアス波形90は、Pr1点で上昇し始め、Pr2点でA級動作のゲートバイアス電圧Vgb(A)に到達する。その後、A級バイアス波形90は、所定のA級動作バイアス期間だけA級動作のゲートバイアス電圧Vgb(A)が継続し、Pf1点で降下し始め、Pf2点で電力増幅器400をC級動作させるためのゲートバイアス電圧Vgb(C)に到達する。
【0049】
ここで、SSBを送信している時間帯において電力増幅器400を安定してA級動作させるために、時間幅T1のSSバーストセット81の時間帯がA級バイアス波形90の少なくとも電圧安定部(Pr2~Pf1)92内に位置するように、後述のトリガー信号に基づいてゲートバイアス電圧Vgbが制御される。
【0050】
更に、本実施形態のA級バイアス波形90では、電圧維持部92の開始部分に所定時間幅Δtrの立ち上がり後タイミングマージンが設定されている。この立ち上がり後タイミングマージンにより、ゲートバイアス電圧Vgbが立ち上がり後にA級動作のゲートバイアス電圧Vgb(A)に到達したときのリンギングやオーバーシュートなどの過渡的な不安定変化部分を回避することができる。また、電圧維持部92の終了部分に所定時間幅Δtfの立ち下がり前タイミングマージンを設定し、ゲートバイアス電圧VgbをC級動作のゲートバイアス電圧Vgb(C)への切り替え制御タイミングを遅めにしている。この立ち下がり前タイミングマージンにより、SSBの送信信号を安定したA級動作でひずみ低減の電力増幅を確実に実行できる。この場合、A級バイアス波形90の開始部分に立ち上がりマージン期間tmargintr=tr+Δtrが設定され、A級バイアス波形90の終了部分に立ち下がりマージン期間tmargintf=tf+Δtfが設定されるので、これらのマージン期間を除いた電圧維持部92の時間幅tcの中央部分の内側で、送信対象のSSBが電力増幅される。
【0051】
図8は、
図4のバイアス制御におけるトリガー信号Stとゲートバイアス電圧Vgbとの関係の一例を示す説明図である。
図8において、前述のベースバンド処理部20により、電力増幅器400のC級動作の時間帯に対応させてトリガー信号Stが生成される。トリガー信号Stは、低電位のオフ電圧St(OFF)と高電位のオン電圧St(ON)とを取り得る。
【0052】
図8において、トリガー信号Stのオフ電圧St(OFF)からオン電圧St(ON)への立ち上がりにより、バイアス制御部50は、電力増幅器400に印加するゲートバイアス電圧VgbをA級動作のゲートバイアス電圧Vgb(A)からC級動作のゲートバイアス電圧Vgb(C)に切り替えるように制御する。この制御により、電力増幅器400の電力増幅動作がA級動作からC級動作に切り替る。
【0053】
また、
図8において、トリガー信号Stのオン電圧St(ON)からオフ電圧St(OFF)への立ち下がりにより、バイアス制御部50は、電力増幅器400に印加するゲートバイアス電圧VgbをC級動作のゲートバイアス電圧Vgb(C)からA級動作のゲートバイアス電圧Vgb(A)に切り替えるように制御する。この制御により、電力増幅器400の電力増幅動作がC級動作からA級動作に切り替る。
【0054】
なお、
図8の例とは異なる別の例では、電力増幅器400のA級動作の時間帯に対応させてトリガー信号Stを生成してもよい。
【0055】
この場合、トリガー信号Stのオフ電圧St(OFF)からオン電圧St(ON)への立ち上がりにより、バイアス制御部50は、電力増幅器400に印加するゲートバイアス電圧VgbをC級動作のゲートバイアス電圧Vgb(C)からA級動作のゲートバイアス電圧Vgb(A)に切り替えるように制御する。この制御により、電力増幅器400の電力増幅動作がC級動作からA級動作に切り替る。
【0056】
また、トリガー信号Stのオン電圧St(ON)からオフ電圧St(OFF)への立ち下がりにより、バイアス制御部50は、電力増幅器400に印加するゲートバイアス電圧VgbをA級動作のゲートバイアス電圧Vgb(A)からC級動作のゲートバイアス電圧Vgb(C)に切り替えるように制御する。この制御により、電力増幅器400の電力増幅動作がA級動作からC級動作に切り替る。
【0057】
なお、本実施形態の無線送信装置10において、ベースバンド処理部20と電力増幅部40との間に、送信信号を所定の遅延時間だけ送らせる遅延回路を備えてもよい。例えば、
図1に例示した無線送信装置10の構成において、RF信号処理部30が上記遅延回路の機能を有してもよい。
【0058】
図8の例において、前記遅延時間は、例えば、トリガー信号Stのオフ電圧St(OFF)からオン電圧St(ON)への立ち上がりの開始時から、その立ち上がりによって切り替わった後のC級動作が安定するまでの時間に相当する遅延時間である。また、前記遅延時間は、トリガー信号Stのオン電圧St(ON)からオフ電圧St(OFF)への立ち下がりの開始時から、その立ち下がりによって切り替わった後のA級動作が安定するまでの時間に相当する遅延時間であってもよい。
【0059】
また、
図8の例とは異なる上記別の例において、前記遅延時間は、例えば、トリガー信号Stのオフ電圧St(OFF)からオン電圧St(ON)への立ち上がりの開始時から、その立ち上がりによって切り替わった後のA級動作が安定するまでの時間に相当する遅延時間である。また、前記遅延時間は、トリガー信号Stのオン電圧St(ON)からオフ電圧St(OFF)への立ち下がりの開始時から、その立ち下がりによって切り替わった後のC級動作が安定するまでの時間に相当する遅延時間であってもよい。
【0060】
また、以上のバイアス制御例では、移動通信システムの基地局(例えば、eNodeB、gNodeBなど)に組み込まれた無線送信装置10について説明したが、本実施形態の無線送信装置10は、固定無線アクセス(FWA)システムの基地局に組み込まれる無線送信装置や、放送システムの無線送信装置にも適用できる。
【0061】
以上、本実施形態によれば、無線送信装置10から送信される送信信号のピーク対平均電力比(PAPR)の増加に対応できるともに電力増幅器400における低消費電力化を図ることができる。
特に、本実施形態によれば、送信先(例えば、UE)との間の無線通信の同期状態が未同期の場合に、少なくとも同期信号含むSSBを送信する時間帯がA級動作になり、他の時間帯がC級動作になるので、未同期の状態から同期を確立する処理における電力増幅器400における低消費電力化を図ることができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、データ非送信時(例えば、SSB非送信時)に電力増幅器400の電力増幅動作がA級動作からC級動作に切り替わっているので、データ非送信時における雑音増幅を抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、データ非送信時(例えば、SSB非送信時)に電力増幅器400の電源供給を停止しないので、電源供給再開時の電力増幅器400の不安定動作によるSSB送信時の通信品質低下を防止することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、送信先(例えばUE)との間の無線通信の無線フレームにおけるRB又はスロットの単位で、同期信号を含むSSB(制御ブロック)が送信されるRB又はスロットであるか否かを判断し、SSB(制御ブロック)が送信されるRB又はスロットについて電力増幅器400をA級動作からC級動作に切り替えている。従って、SSB(制御ブロック)の送信開始タイミング及び送信終了タイミングを個別に検知して制御する場合に比して、バイアス制御が簡易になる。
【0065】
なお、上記実施形態において、無線通信の無線フレームを構成するRB又はスロットの内部において、同期信号を含むSSB(制御ブロック)が送信される時間帯をA級動作にし、SSB(制御ブロック)が送信されない時間帯がC級動作になるように、電力増幅器400の電力増幅動作を切り替えてもよい。この場合は、電力増幅器400における消費電力を更に低減することができる。
【0066】
なお、本明細書で説明された処理工程並びに無線送信装置、基地局、端末装置、移動通信システム、固定無線アクセス(FWA)システムなどの構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0067】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、Node B、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0068】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0069】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0070】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0071】
10 :無線送信装置
20 :ベースバンド処理部
30 :RF信号処理部
40 :電力増幅部
50 :バイアス制御部
60 :出力処理部
70 :アンテナ
80 :無線フレーム
81 :SSバーストセット
90 :A級バイアス波形
92 :電圧維持部
400 :電力増幅器
401 :FET
402 :バイアス・整合回路
403 :バイアス・整合回路