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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155912
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/46 20060101AFI20221006BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B41J29/46 Z
B41J29/38 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059356
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 宗幹
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ06
2C061HJ07
2C061HJ08
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HK19
2C061HT05
2C061HT08
2C061HT13
2C061HV13
2C061HV14
2C061HV32
(57)【要約】
【課題】複数種類の通知装置のうち、省電力状態においてエラーが発生しているときに通知を行う装置を選ぶことができ、通知のタイミングを自由に選べるようにする。
【解決手段】画像形成装置は、印刷部、複数の通知装置、及び、操作パネルを備える。操作パネルは、省電力状態でのエラーの通知の開始条件の選択と、開始条件が満たされたときに通知を行う通知装置の選択と、を受け付ける。省電力状態は、アクティブ状態よりも電力供給先が制限され複数の通知装置への電力供給が停止される状態である。開始条件が満たされたときに、エラーの通知を行うと予め選択された通知装置は、省電力状態であっても、電力の供給を受けてエラーを通知する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷を行う印刷部と、
使用者に通知を行う複数の通知装置と、
アクティブ状態よりも電力供給先が制限され複数の前記通知装置への電力供給が停止される省電力状態でのエラーの通知の開始条件の選択と、前記開始条件が満たされたときに通知を行う前記通知装置の選択と、を受け付ける操作パネルを備え、
前記開始条件が満たされたときに、エラーの通知を行うと予め選択された前記通知装置は、前記省電力状態であっても、電力の供給を受けてエラーを通知する画像形成装置。
【請求項2】
発生したエラーが未解消のまま、前記省電力状態となっている未解消省電力状態のときには、
前記開始条件が満たされたとき、エラーの通知を行うと予め選択された前記通知装置は、電力の供給を受けて未解消のエラーを通知する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記省電力状態になった後、前記アクティブ状態に完全復帰していない間に新たにエラーが発生したとき、
エラーの通知を行うと選択された前記通知装置は、新たに発生したエラーを通知する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
それぞれの前記通知装置への電力供給を制御する制御部を備え、
前記省電力状態の間では、
前記制御部は、
前記開始条件が満たされるとエラーの通知を行うと予め選択された前記通知装置への電力の供給を開始し、
発生しているエラーを、電力供給が開始された前記通知装置に通知させる請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記省電力状態において、前記通知装置がエラーの通知を開始してから予め定められた通知継続時間が経過すると、前記通知装置への電力供給を停止する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、予め定められた監視項目についてアドバイスを通知すべき状態か否かを監視し、前記アドバイスを通知すべき状態を維持したまま前記省電力状態になっているとき、
前記制御部は、前記開始条件が満たされたときにエラーの通知を行うと予め選択された前記通知装置に前記アドバイスを通知させる請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記操作パネルは、前記操作パネルに設けられたハードキーのうちの特定のキーが操作されたことを前記開始条件とする選択を受け付ける請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
人の存在を検知する人感センサーを備え、
前記操作パネルは、前記人感センサーが人の存在を検知したことを前記開始条件とする選択を受け付ける請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記通知装置のうちの1つは、空中ディスプレイである請求項1乃至8の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記通知装置のうちの1つは、スピーカーである請求項1乃至9の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記通知装置のうちの1つは、表示パネルである請求項1乃至10の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記通知装置のうちの1つは、通知光源である請求項1乃至11の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発生したエラーを通知する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機、プリンターのような画像形成装置がある。画像形成装置は用紙に印刷する。画像形成装置では、用紙切れのようなエラーが発生することがある。特許文献1には、エラー発生を表示する画像形成装置の一例が記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、少なくとも第1の電力状態と第1の電力状態より消費電力の少ない第2の電力状態で動作可能であり、人体の接近を検知し、人体の検知が復帰条件を満たす場合に、第2の電力状態から第1の電力状態に復帰し、画像形成装置の状態に応じて復帰条件を変更し、画像形成装置の状態を通知する通知手段を有し、通知手段は、第1の電力状態では電力が供給され、第2の電力状態では電力が供給されず、画像形成装置の状態とは、エラー状態とエラーでない状態とを含み、画像形成装置がエラー状態の場合でも、画像形成装置を第1の電力状態から第2の電力状態に移行し、画像形成装置がエラー状態の場合では、復帰条件をエラーでない状態での条件より低い条件に変更する画像形成装置が記載されている。特許文献1では、通知手段が何かは明記されていないが、LCD表示部112とエラー通知部113がエラーの表示を行うことが記載されている(特許文献1:請求項1、請求項2、段落[0040]、図7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
省電力モードを利用できる画像形成装置がある。省電力モードは、消費電力を抑えるモードである。一部の構成部分への電力供給を停止するモードである。例えば、省電力モードでは、ヒーターへの電力供給が停止される。そして、省電力モードになると、表示パネルが消灯される場合が多い。そのため、エラーが発生したまま省電力モードになると、使用者はエラーが発生しているか否かを確認できない。長時間、エラー状態のまま、画像形成装置が放置される場合があり得る。
【0006】
特許文献1記載の画像形成装置では、人感センサーで人体の接近を感知したとき、第1の電力状態に復帰する。第1の電力状態では電力が通知手段に供給される。つまり、特許文献1記載の画像形成装置は、人が近づいたときに通知手段への電力供給を再開し、エラーを装置に近づいた人に通知しようとする。しかし、特許文献1記載の画像形成装置では、省電力モードの間、人感センサーが人を検知しない限り、エラー発生が通知されない。省電力モードでのエラーの通知の手法に選択の余地がなく、手法が1つに限られているという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、複数種類の通知装置のうち、省電力状態においてエラーが発生しているときに通知を行う装置を選ぶことができ、かつ、通知のタイミングを自由に選べるようにし、効率的にエラーを知らせる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題解決のため、本発明に係る画像形成装置は、印刷部、複数の通知装置、及び、操作パネルを備える。前記印刷部は印刷を行う。前記通知装置は使用者に通知を行う。前記操作パネルは、省電力状態でのエラーの通知の開始条件の選択と、前記開始条件が満たされたときに通知を行う前記通知装置の選択と、を受け付ける。前記省電力状態は、アクティブ状態よりも電力供給先が制限され複数の前記通知装置への電力供給が停止される状態である。前記開始条件が満たされたときに、エラーの通知を行うと予め選択された前記通知装置は、前記省電力状態であっても、電力の供給を受けてエラーを通知する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数種類の通知装置のうち、省電力状態においてエラーが発生しているときに通知を行う装置を選ぶことができる。しかも、省電力状態において、エラー通知のタイミングを自由に選ぶことができる。使用者は、認識しやすい通知の手法、通知のタイミングを選べる。効率的に発生したエラーを知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る空中ディスプレイの一例を示す図である。
図3】実施形態に係る複合機でのエラー検知を検知する構成の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る複合機での電力供給の一例を示す図である。
図5】実施形態に係る第1設定画面の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る第2設定画面の一例を示す図である。
図7】実施形態に係る複合機での未解消省電力状態での通知の一例を示す図である。
図8】実施形態に係る複合機の省電力状態で発生したエラーの通知の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る画像形成装置を図1図8を用いて説明する。以下の説明では、画像形成装置として複合機100を例に挙げて説明する。なお、画像形成装置は、プリンターでもよく、複合機100に限られない。但し、各実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0012】
(複合機100)
次に、図1を用いて、実施形態に係る複合機100の一例を説明する。図1は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。図1に示すように、複合機100は制御部1、記憶部2、原稿搬送部3a、画像読取部3b、操作パネル4、及び、印刷部5を備える。
【0013】
制御部1は複合機100の動作を制御する基板である。制御部1は、例えば、制御回路10、画像処理回路11、及び、通信回路部12を含む。制御回路10は、例えば、CPUである。制御回路10は各種演算や処理を行う。画像処理回路11は、例えば、画像処理のために開発された回路(ASIC)である。画像処理回路11は、画像データの画像処理を行い、プリントジョブ用画像データを生成する。プリントジョブ用画像データは印刷ジョブ、又は、送信ジョブに用いられる。また、制御部1は時間を測る計時回路を含んでもよい。
【0014】
複合機100は、記憶部2として、不揮発性の記憶装置及び揮発性の記憶装置を備える。不揮発性の記憶装置は、フラッシュメモリーとストレージのうち、少なくとも1つを備える。ストレージは、HDD又はSSDのうち、何れか一方、又は、両方である。また、例えば、揮発性の記憶装置はRAMである。記憶部2は、ソフトウェア(プログラム)やデータを不揮発的に記憶する。記憶部2のソフトウェアやデータに基づき、制御部1(制御回路10)は、演算や処理を行い、複合機100の各部を制御する。
【0015】
原稿搬送部3aは、原稿を読み取り位置(送り読取用コンタクトガラス、不図示)に向けて搬送する。原稿を読み取るジョブのとき、制御部1は、セットされた原稿を1枚ずつ読み取り位置に向けて原稿搬送部3aに搬送させる。画像読取部3bは、例えば、光源、イメージセンサーを含む。例えば、イメージセンサーは、ラインセンサーであり、複数の受光素子を含む。各受光素子は、反射光の光量に応じたアナログ画像信号を出力する。アナログ画像信号は、例えば、制御部1に入力される。アナログ画像信号に基づき、画像処理回路11は、読取画像データを生成する。制御部1は、原稿搬送部3aにより搬送される原稿や、載置読取用コンタクトガラス(不図示)にセットされた原稿を画像読取部3bに読み取らせる。読み取りの結果、読取画像データが生成される。読取画像データに基づいて印刷できるし(コピージョブ)、送信を行うこともできる(送信ジョブ)。
【0016】
操作パネル4は、表示パネル6a、タッチパネル41、ハードキー42、及び、通知光源6bを含む。制御部1は表示パネル6aの表示を制御する。例えば、制御部1は、画面、各種メッセージ、操作用画像を表示パネル6aに表示させる。操作用画像は、例えば、ボタン、ソフトキー、タブである。タッチパネル41の出力に基づき、制御部1は、操作された操作用画像を認識する。また、操作されたハードキー42から出力される信号に基づき、制御部1は操作されたハードキー42を認識する。
【0017】
印刷部5は、給紙部5a、用紙搬送部5b、画像形成部5c、及び、定着部6dを含む。例えば、給紙部5aは、用紙カセット、用紙を送り出す給紙ローラーを含む。印刷時、制御部1は給紙部5aに用紙を供給させる。用紙搬送部5bは、例えば、モーター、搬送ローラー対を含む。制御部1は、給紙部5aから送り出された用紙を用紙搬送部5bに搬送させる。例えば、画像形成部5cは、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、及び、転写ローラーを含む。制御部1は、感光体ドラムを帯電させ、画像データに基づき感光体ドラムを露光装置に露光させる。また、制御部1は、感光体ドラムの静電潜像を現像装置にトナーで現像させる。また、制御部1は転写ローラーに電圧を印加し、トナー像を用紙に転写させる。定着部6dは、例えば、ヒーター、定着用回転体を含む。制御部1は、トナー像が転写された用紙を定着部6dに加熱・加圧させる。制御部1はトナー像の定着を定着部6dに行わせる。
【0018】
制御部1は通信回路部12を含む。通信回路部12は、通信制御回路及び通信用メモリーを含む。通信用メモリーは、通信用のソフトウェアを記憶する。ネットワークを介し、通信回路部12は、コンピューター200と通信できる。例えば、コンピューター200は、PCでもよいし、サーバーでもよい。通信回路部12は、コンピューター200から送信されたプリントジョブデータを受信する。プリントジョブデータに基づき、制御部1は、プリントジョブ用画像データを生成する。制御部1は、プリントジョブ用画像データに基づく印刷を画像形成部5cに行わせる。以下、コンピューター200から送信され、受信したプリントジョブデータに基づく印刷ジョブをプリントジョブと称する。
【0019】
また、複合機100は人感センサー7を含む。人感センサー7は人を検知するセンサーである。人感センサー7は、複合機100の周囲(傍)に人がいるか否かを検知するセンサーともいえる。例えば、人感センサー7の検知エリアは、複合機100の前方である。しかし、人感センサー7の検知エリアは複合機100の側方でもよく、前方に限られない。
【0020】
例えば、人感センサー7は赤外線センサーである。例えば、赤外線センサーは、焦電センサーとコンデンサーを含む。焦電センサーは、受けた赤外線の量に応じた電圧を出力する。コンデンサーは焦電センサーの出力電圧を充電する。例えば、コンデンサーが充電した電圧が人感センサー7の出力電圧とされる。赤外線センサーの赤外線受光面は、検知エリアの方向に向けられる。赤外線センサーは所定の角度範囲の赤外線を受ける。人から発せられた赤外線を受けると、人感センサー7の出力電圧が大きくなる。人感センサー7と人の距離が近いほど、人感センサー7の出力電圧が大きくなりやすい。人感センサー7の出力電圧は、制御部1(制御回路10)に入力される。制御部1は、人感センサー7の出力電圧に基づき、人がいるか否かを判定する。例えば、人感センサー7の出力電圧が予め定められた閾値以上のとき、制御部1(制御回路10)は、人がいると判定する。人感センサー7の出力電圧が閾値未満のとき、制御部1は人がいないと判定する。
【0021】
なお、人感センサー7は、反射型センサーでもよい。この場合、人感センサー7はレーザー光を発射する発光素子と、反射光を受光するための受光素子を備える。受光素子の出力は制御部1に入力される。受光素子の出力電圧が所定値以下の状態から所定値を超えたとき、制御部1(制御回路10)は、人がいると判定する。また、人感センサー7はカメラでもよい。カメラの撮影範囲は、複合機100の前方としてもよい。カメラの撮影によって得られた撮影データは、制御部1に入力される。制御部1は、撮影データに写る人物を判定してもよい。また、撮影データに基づき、制御部1は、複合機100に近づいてくる人、通過していく人を認識してもよい。
【0022】
(通知装置6)
次に、図1図2に基づき、実施形態に係る複合機100が備える通知装置6の一例を説明する。図2は実施形態に係る空中ディスプレイ6dの一例を示す図である。
【0023】
複合機100は、複数の通知装置6を備える。通知装置6は使用者に向けて通知を行う装置である。具体的に、複合機100は、通知装置6として、表示パネル6a、通知光源6b、スピーカー6c、及び、空中ディスプレイ6dを備える。複合機100は、これら以外の通知装置6を備えてもよい。
【0024】
表示パネル6aは、操作パネル4の一部である。表示パネル6aは、液晶表示パネルでもよいし、有機EL表示パネルでもよい。制御部1は、各種メッセージ、画像を表示パネル6aに表示させる。
【0025】
通知光源6bは使用者に複合機100の状態を通知するための光源である。例えば、通知光源6bは操作パネル4のハウジング(筐体)の一部に取り付けられる。例えば、通知光源6bはLEDである。なお、通知光源6bは電灯のようなLED以外の光源でもよい。通知光源6bは複数設けられてもよい。図1では、便宜上、通知光源6bを1つのみ図示する。それぞれの通知光源6bは、発する色が異なってもよい。通知光源6bのうち、少なくとも1つは、エラー発生を伝えるための光源である。例えば、エラー発生を伝える光源は赤色の光を発する(赤色LED)。なお、エラー発生を伝える光源の発光色は、赤色以外でもよい。
【0026】
スピーカー6cは、操作パネル4に取り付けられてもよい。また、スピーカー6cは、操作パネル4の外部に設けられてもよい。また、スピーカー6cは複数設けられてもよい。制御部1(制御回路10)は、スピーカー6cに再生用アナログ信号を入力する。入力信号に基づき、スピーカー6cの振動板が振動する。その結果、音がスピーカー6cから出る。制御部1は、音をスピーカー6cに出力(再生)させる。例えば、記憶部2は、各メッセージの再生用アナログ信号のデータを不揮発的に記憶する。記憶部2のデータに基づき、制御部1は、再生用アナログ信号を生成し、スピーカー6cに入力する。
【0027】
さらに、複合機100は通知装置6として、空中ディスプレイ6dを備えてもよい。空中ディスプレイ6dは、空気中(空間)に映像を結像させる装置である。空中ディスプレイ6dは、立体的な映像表示させることもできる。図2は、実施形態に係る空中ディスプレイ6dの一例を示す図である。例えば、空中ディスプレイ6dは、光源61、レンズ62、位相変調装置63を備える。
【0028】
光源61は、空中に映像(立体映像、立体表示物)を表示するための光源である。光源61には、例えば、レーザー光照射装置やLEDを用いることができるがこれらに限られない。また、光源61は複数でもよい。例えば、空中ディスプレイ6dは、R、G、Bの色ごとに、光源61を備えてもよい。レンズ62は、光源61から出射された光を平行にする。位相変調装置63は、立体表示物の表示のため、光源61からの光を回折させる。位相変調装置63が光源61からの光を回折させることにより、光の入射面と反対側の空間に、立体表示物が表示される。つまり、立体表示物が空中に表示される。
【0029】
制御部1は、ホログラムデータを生成し、位相変調装置63に与える。例えば、記憶部2のストレージは、空中ディスプレイ6dにて表示する映像のホログラムデータを予め不揮発的に記憶する。位相変調装置63は、与えられたホログラムデータに基づき光を回折する。これにより、ホログラムデータに基づく立体表示物が再現する。図5は星形のホログラムを示す。例えば、制御部1がメッセージを再現するホログラムデータを位相変調装置63に送信した場合、メッセージが立体表示物(ホログラム映像)として表示される。
【0030】
(エラーの検知)
次に、図3を用いて、実施形態に係る複合機100でのエラーの検知の一例を説明する。図3は、実施形態に係る複合機100でのエラー検知を検知する構成の一例を示す図である。
【0031】
(1)エラー発生の検知
制御部1は、エラーが発生したことを検知する。例えば、制御部1は、用紙切れ、色材切れ、ジャム(用紙の詰まり)、通信エラー、プログラムの実行エラーをエラーとして検知する。印刷している状態でエラーが発生したとき、制御部1は印刷を停止する。例えば、制御部1は、給紙動作、用紙搬送動作、画像形成動作、及び、定着動作を停止させる。
【0032】
(1-1)用紙切れのエラー
用紙切れを検知するため、複合機100は用紙切れセンサー81を備える。例えば、用紙切れセンサー81は給紙部5aの用紙カセットに設けられる。用紙カセットが複数ある場合、用紙カセットごとに用紙切れセンサー81が設けられる。例えば、用紙切れセンサー81は光センサーである。用紙切れセンサー81の出力は、用紙があるときとないときとでレベルが異なる。用紙切れセンサー81の出力は制御部1に入力される。用紙切れセンサー81の出力に基づき、制御部1は、用紙切れが生じたか否かを認識する。なお、上記以外の手法を用いて、制御部1は用紙切れを検知してもよい。
【0033】
(1-2)色材切れのエラー
色材切れ(トナー切れ)を検知するため、複合機100は色材残量センサー82を備える。例えば、色材残量センサー82は、色材を収容し、補給するコンテナー(容器)と接する位置に設けられる。コンテナーが複数ある場合、コンテナーごとに色材残量センサー82が設けられる。例えば、色材残量センサー82の出力レベルは、コンテナー内の色材の量に応じて異なる。色材残量センサー82の出力は制御部1に入力される。色材残量センサー82の出力が色材切れと判定するレベルになったとき、制御部1は、色材切れが生じたと検知する。なお、制御部1は上記以外の手法で色材切れを検知してもよい。
【0034】
(1-3)ジャムのエラー
ジャムを検知するため、複合機100は、複数の用紙搬送センサー83を備える。複数の用紙搬送センサー83は、それぞれ、距離を隔てて、用紙の搬送路に配置される。例えば、各用紙搬送センサー83は光センサーである。各用紙搬送センサー83の出力は、用紙が検知範囲にあるときとないときとでレベルが異なる。例えば、各用紙搬送センサー83の出力は制御部1に入力される。各用紙搬送センサー83の出力に基づき、制御部1は、用紙搬送センサー83の設置位置に用紙が到達したか、及び、通過したかを認識できる。用紙搬送センサー83ごとに、給紙開始後に到達すべき時間、及び、通過完了すべき時間が予め定められる。給紙開始後、到達すべき時間までに用紙到達を検知できない用紙搬送センサー83があるとき、又は、給紙開始後に通過を完了すべき時間になのに用紙を検知している用紙搬送センサー83があるとき、制御部1はジャムが発生したと判定する。これにより、ジャム発生のエラーが検知される。
【0035】
(1-4)通信エラー
制御部1はコンピューター200との通信において、エラーが発生したことを検知できる。例えば、コンピューター200から通信が途絶えて一定時間が経過したとき(タイムアウトしたとき)、制御部1は通信エラーが発生したと判定する。
【0036】
(1-5)プログラムに起因するエラー
また、制御部1は、ジョブの間に、実行しているプログラムにおいて、エラーが発生したことを検知できる。例えば、プログラムの処理が停止して動かなくなったとき、制御部1はプログラムの実行エラーが発生したと判定する。
【0037】
(2)エラー解消の検知
また、制御部1は、発生したエラーが解消されたことも検知できる。例えば、以下のように、制御部1は、エラー解消を検知する。
(2-1)制御部1は、用紙切れのエラーが解消されたことを検知する。用紙切れセンサー81の出力レベルが用紙ありを示すレベルになったとき、制御部1は、用紙切れのエラーが解消されたと判定してもよい。
(2-2)制御部1は、色材切れのエラーが解消されたことを検知する。色材残量センサー82の出力レベルが色材ありを示すレベルになったとき、制御部1は、色材切れのエラーが解消されたと判定してもよい。
(2-3)制御部1は、ジャムのエラーが解消されたことも検知する。ジャムのエラーが発生ししたとき、制御部1は用紙搬送を停止させる。停止時に出力が用紙ありのレベルを示した用紙搬送センサー83の全てが、用紙なしを示すレベルになったとき、制御部1は、ジャムのエラーが解消されたと判定してもよい。
(2-4)制御部1は、コンピューター200との通信エラーが解消されたことも検知する。通信回路部12がコンピューター200と通信可能な状態に復帰したとき、制御部1は、通信エラーが解消されたと判定してもよい。
(2-5)制御部1は、実行しているプログラムに起因するエラーが解消されたことも検知する。例えば、エラーが発生したプログラムの実行がキャンセルされたとき、制御部1は、実行したプログラムに起因するプログラムのエラーが解消されたと判定してもよい。
【0038】
(アクティブモードと省電力モード)
次に、図4を用いて、実施形態に係る複合機100のモードの一例を説明する。図4は、実施形態に係る複合機100での電力供給の一例を示す図である。
【0039】
複合機100は電源回路部9及び電源スイッチ101を含む。電源スイッチ101により、複合機100の主電源のON/OFFを行うことができる。例えば、電源スイッチ101は、複合機100の前面又は側面に設けられる。電源回路部9は電源スイッチ101と接続される。電源回路部9は、電源スイッチ101が操作されたことを認識する。
【0040】
例えば、電源回路部9は電源用基板である。電源コードにより、配電用のコンセントと電源回路部9が電気的に接続される。電源回路部9は、商用電源300(コンセント)から電力の供給を受ける。電源回路部9は、電源コントローラー90、電力変換回路91、選択回路92を含む。電源コントローラー90は、電源スイッチ101への操作を認識し、電源ONの操作、又は、電源OFFの操作がなされたことを認識する。また、電源コントローラー90は、電力変換回路91、選択回路92の動作を制御する。電力変換回路91は、整流、降圧等を行う。電力変換回路91は、複合機100の動作に必要な電圧を生成する。複数の電力変換回路91は、それぞれ大きさの異なる電圧を生成する。選択回路92は、複合機100の各部分への電力供給と供給停止の切り替えを行う回路である。
【0041】
複合機100の状態には、アクティブ状態(アクティブモード)と省電力状態(省電力モード)がある。アクティブ状態は、電源回路部9が複合機100の全ての部分に電力を供給するモードである。アクティブ状態は、複合機100を印刷できる状態で保つモードでもある。電源スイッチ101により複合機100の主電源が投入されたとき、制御部1、記憶部2、操作パネル4、印刷部54等への電力供給が開始される。各部が起動し、複合機100は、アクティブ状態で起動する。
【0042】
省電力状態は、複合機100のうち、電源回路部9が予め定められた部分(供給停止部分)への電力供給を停止する状態である。供給停止部分は、例えば、制御部1の一部、記憶部2、表示パネル6a、原稿搬送部3a、画像読取部3b、印刷部5である。省電力状態の実現のため、選択回路92は、供給停止部分への電力供給と停止を切り替える。電源コントローラー90は選択回路92による電力供給のスイッチングを制御する。電源コントローラー90は、例えば、マイコンである。
【0043】
省電力状態では、電源回路部9は、各通知装置6(表示パネル6a、通知光源6b、スピーカー6c、及び、空中ディスプレイ6d)への電力の供給を原則的に停止する。なお、電源回路部9は、省電力状態では、一部又は全部の通知装置6への電力の供給を一時的に再開する場合がある(詳細は後述)。
【0044】
なお、操作を受け付ける又はデータを受信する部分については、電源回路部9は、省電力状態でも電力の供給を続けてもよい。例えば、電源回路部9は、制御部1のうちの通信回路部12、タッチパネル41、ハードキー42、各種センサーについては、省電力モードでも電力の供給を続けてもよい。
【0045】
アクティブ状態から省電力状態への移行条件は予め定められる。制御部1は、移行条件の充足を監視する。例えば、移行条件は、起動してから又はアクティブ状態で印刷ジョブが完了してから、ジョブを行わない、又は、操作パネル4に操作がなされない時間が、予め定められた移行時間継続したことである。また、移行条件は、ハードキー42として設けられた節電キーの操作であってもよい。この場合、操作パネル4は、ハードキー42として節電キーを備える。移行条件が満たされたとき、制御部1は、省電力状態への移行を電源回路部9((電源コントローラー90))に指示する。電源回路部9(電源コントローラー90)は、供給停止部分への電力供給を選択回路92に停止させる。
【0046】
省電力状態からアクティブ状態への復帰条件も予め定められる。省電力状態でも電力を供給する部分から割込信号を電源回路部9が受信したとき、電源回路部9は、省電力状態で電力供給を停止していた部分への電力供給を再開する。復帰条件は、例えば、操作パネル4(タッチパネル41)へのタッチを検知したことでもよい。あるいは、復帰条件は、操作パネル4がジョブの実行指示を受け付けたことでもよい。電力供給を停止されていた部分が起動する。全ての部分の起動が完了すると、アクティブ状態が新たに始まる。
【0047】
ここで、複合機100では、アクティブ状態に復帰せず、省電力状態でジョブを実行することができる。例えば、複合機100は、省電力状態でも、操作パネル4で設定操作を必要としないジョブを実行できる。例えば、複合機100では、省電力状態のままプリントジョブを実行できる。
【0048】
省電力状態のままプリントジョブを行う場合、電源回路部9は、プリントジョブで動作させる部分への電力供給を再開する。例えば、電源回路部9は、制御部1、記憶部2、及び、印刷部5への電力供給を再開する。これにより、制御部1、記憶部2、及び、印刷部5は、一時的に復帰(起動)する。プリントジョブが完了すると(全ページが排出トレイに排出されると)、電源回路部9は、制御部1、記憶部2、及び、印刷部5への電力供給を再停止する。
【0049】
一方、プリントジョブでは、例えば、表示パネル6a、原稿搬送部3a、及び、画像読取部3bを動作させる必要はない。そのため、省電力状態のままプリントジョブを行う場合、電源回路部9は、表示パネル6a、原稿搬送部3a、及び、画像読取部3bへの電力供給を再開しない。このように、省電力状態でもジョブを実行することができる。
【0050】
(省電力状態での通知の設定)
次に、図5図7を用いて、実施形態に係る複合機100での省電力状態での通知の設定の一例を説明する。図5は、実施形態に係る第1設定画面S1の一例を示す図である。図6は、実施形態に係る第2設定画面S2の一例を示す図である。
【0051】
制御部1はエラーの発生を検知できる。アクティブ状態でエラーの発生を検知した場合、制御部1は、エラーの発生を通知装置6に通知させる。制御部1は、エラーが発生したこと、及び、発生したエラーの種類を伝えるメッセージを表示パネル6a、通知光源6b、スピーカー6c、空中ディスプレイ6dの何れか1つまたは複数に通知させる。アクティブ状態では、制御部1は、少なくとも1つの通知装置6にエラー発生を通知させる。
【0052】
一方、アクティブ状態では、移行条件が満たされると、制御部1は、省電力状態への移行を電源回路部9に指示する。この指示を受けて、電源回路部9は複合機100を省電力状態にする。省電力状態の移行に伴い、電源回路部9は、各通知装置6(表示パネル6a、通知光源6b、スピーカー6c、及び、空中ディスプレイ6d)への電力供給を停止する。
【0053】
しかし、省電力状態でもプリントジョブを行うことができる。省電力状態で実行したプリントジョブでエラーが発生する場合がある。しかし、省電力状態に移行したとき、各通知装置6への電力供給は停止されている。
【0054】
また、エラーが発生し、発生したエラーが解消されない状態のまま、制御部1が省電力状態への移行を電源回路部9に指示することがある。この場合、エラーが未解消の状態でも、電源回路部9は複合機100を省電力状態にする。省電力状態への移行により、通知装置6への電力供給が停止する。これにあわせ、通知装置6でのエラーの通知が終了する。例えば、表示パネル6aの画面表示が消える。以下の説明では、発生したエラーが未解消のまま省電力状態になっている状態を、「未解消省電力状態」と称する。
【0055】
従来、省電力状態では発生しているエラーの表示がなされない。発生しているエラーがわからない。アクティブ状態に復帰させなければ、発生しているエラーを知覚できない場合もある。この場合、ジョブを開始したくても、直ちに開始できない。長時間、エラーの状態を放置すべきではない。そこで、複合機100では、省電力状態において、通知装置6への電力供給を行い、通知装置6を一時的に起動させ、エラー通知の機会を増やす。
【0056】
操作パネル4は、省電力状態でのエラーの通知の開始条件の選択と、開始条件が満たされたときにエラーの通知を行う通知装置6の選択と、を受け付ける。以下では、図5図6を用いて、複数の設定画面を用いて設定する例を説明する。
【0057】
開始条件及び通知装置6を選ぶとき、使用者は第1設定画面S1を表示させるための操作を行う。操作パネル4が当該操作を受け付けたとき、制御部1は、第1設定画面S1を表示させる。第1設定画面S1は、開始条件を設定するための画面である。言い換えると、第1設定画面S1は、省電力状態のときにエラーの通知を行うタイミングを設定する画面である。
【0058】
第1設定画面S1は、例えば、第1タイミング選択ボタンA1、第2タイミング選択ボタンA2、第3タイミング選択ボタンA3、ネクストボタンA4を含む。例えば、第1タイミング選択ボタンA1は、ハードキー42のうちの特定のキーの操作を開始条件とする選択を行うためのボタンである。例えば、特定のキーは、節電キーである。なお、特定のキーは節電キーに限られず、他種のハードキー42でもよい。
【0059】
第2タイミング選択ボタンA2は、人感センサー7が人の存在を検知したことを開始条件とする選択を行うためのボタンである。第3タイミング選択ボタンA3は、新たなエラーの発生の検知を開始条件とする選択を行うためのボタンである。なお、開始条件は、これらの3つに限られない。開始条件は、複合機100の筐体に設けられたカバー開閉のように別の条件が追加されてもよく、4つ以上でもよい。
【0060】
操作パネル4は、1つの開始条件のみの選択を受け付けてもよい。操作パネル4は、複数のタイミング選択ボタンの選択を受け付けてもよい。つまり、複数の開始条件を選択することが可能でもよい。例えば、第1設定画面S1内の開始条件の全てを選択することも可能である。図5は、3つのボタンのうち、2つを選択している状態の一例を示す。図5に示すように、制御部1は、選択されているタイミング選択ボタンを白黒反転状態で表示させてもよい。
【0061】
設定が完了すると、使用者はネクストボタンA4を操作する。ネクストボタンA4が操作されたとき、制御部1は、第1設定画面S1で設定された開始条件を記憶部2に不揮発的に記憶させる。そして、制御部1は、第1設定画面S1に続き、第2設定画面S2を表示パネル6aに新たに表示させる。
【0062】
図6は第2設定画面S2の一例を示す。第2設定画面S2は、例えば、第1デバイス選択ボタンB1、第2デバイス選択ボタンB2、第3デバイス選択ボタンB3、第4デバイス選択ボタンB4、OKボタンB5を含む。使用者は各デバイス選択ボタンを操作して、通知装置6を選択できる。操作パネル4は、省電力状態で通知を行う装置の選択を受け付ける。第1デバイス選択ボタンB1は表示パネル6aと対応する。第2デバイス選択ボタンB2は通知光源6bと対応する。第3デバイス選択ボタンB3はスピーカー6cと対応する。第4デバイス選択ボタンB4は空中ディスプレイ6dと対応する。通知装置6が5個以上設けられる場合、デバイス選択ボタンは、通知装置6の個数と同じ数だけ設けられる。
【0063】
操作パネル4は、1つの通知装置6のみの選択を受け付けてもよい。操作パネル4は、複数のデバイス選択ボタンを選択する操作を受け付けてもよい。全ての通知装置6を選択することも可能である。全ての通知装置6を選択すれば、使用者に知られる可能性をできるだけ高めることができる。図6は、3つのデバイス選択ボタンのうち、2つ(第3デバイス選択ボタンB3と第4デバイス選択ボタンB4)が選択されている状態を示す。図6に示すように、制御部1は、選択されているタイミング選択ボタンを白黒反転状態で表示させてもよい。
【0064】
図6に示すように、デバイス選択ボタンごとに、通知継続時間入力欄C1が設けられてもよい。通知継続時間入力欄C1がタッチされたとき、制御部1は、ソフトウェアテンキー画面(不図示)を表示させる。ソフトウェアテンキー画面の入力を行うことにより、使用者は、通知装置6ごとに、通知を継続する時間を設定できる。つまり、操作パネル4は、通知装置6ごとに、通知を継続する時間の設定を受け付けてもよい。
【0065】
設定が完了すると、使用者は、OKボタンB5を操作する。OKボタンB5が操作されたとき、制御部1は、第2設定画面S2で選択された通知装置6と設定された通知継続時間を記憶部2に不揮発的に記憶させる。これにより、省電力状態での通知に関する設定が完了する。
【0066】
(未解消省電力状態での通知)
次に、図7を用いて、実施形態に係る複合機100での未解消省電力状態での通知の一例を説明する。図7は、実施形態に係る複合機100での未解消省電力状態での通知の一例を示す図である。
【0067】
図7のスタートは、発生したエラーが未解消のまま、省電力状態への移行を開始する時点である。まず、制御部1は、第1設定画面S1及び第2設定画面S2での設定内容21を読み出す(ステップ♯11)。例えば、制御部1は、読み出した設定内容21をRAMに記憶させる。つまり、制御部1は、選択された開始条件、選択された通知装置6、及び、通知継続時間を読み出す。なお、アクティブ状態に復帰するとき、制御部1は、図7の処理を終了する。
【0068】
制御部1は、電源回路部9に省電力状態への移行を指示する(ステップ♯12)。これにより、電源回路部9は、複合機100の各部分への電力供給を停止、制限する。例えば、省電力状態に移行した時点では、制御部1は、全ての通知装置6(表示パネル6a、通知光源6b、スピーカー6c、及び、空中ディスプレイ6d)への電力供給を、電源回路部9に停止させる。
【0069】
なお、電源回路部9は、開始条件が満たされたか否かを判定する部分には、電力供給を継続する。例えば、制御回路10、記憶部2の設定内容21を記憶する領域(例えば、RAM)、通信回路部12への電力供給を継続してもよい。また、電源回路部9は、人感センサー7、ハードキー42への電力供給を継続してもよい。
【0070】
制御部1は開始条件が満たされたか否かを監視する(ステップ♯13、ステップ♯13のNo→ステップ♯13)。開始条件が満たされたとき、制御部1は、エラー表示を行うと予め選択されている通知装置6への電力供給を電源回路部9に行わせる(ステップ♯14)。制御部1は、一時的に電力供給を再開する通知装置6を電源回路部9に指示する。電源回路部9は支持された通知装置6への電力供給を再開する。つまり、制御部1は、選択されている通知装置6を一時的に復帰させる。
【0071】
そして、制御部1は、予め選択された通知装置6にエラーが発生していることを通知させる(ステップ♯15)。表示パネル6aが選択されている場合、制御部1は、エラーが発生していること、及び、発生しているエラーの種類を示すメッセージを表示パネル6aに表示させる。通知光源6bが選択されている場合、制御部1は、エラー発生通知用の通知光源6bを点灯させる。スピーカー6cが選択されている場合、制御部1は、エラーが発生していること、及び、発生しているエラーの種類を知らせるメッセージをスピーカー6cに再生させる。空中ディスプレイ6dが選択されている場合、制御部1は、エラーが発生していること、及び、発生しているエラーの種類を示すメッセージを空中ディスプレイ6dに表示させる。
【0072】
そして、制御部1は、通知開始から通知継続時間の間、選択された通知装置6にエラーの通知を継続させる(ステップ♯16)。通知開始から通知継続時間が経過すると、制御部1は、電力供給を一時的に再開した通知装置6(ステップ♯15で通知を行う通知装置6)への電力供給を停止する(ステップ♯17)。そして、制御部1は、ステップ♯13を行う(ステップ♯13に戻る)。
【0073】
ここで、制御部1は、予め定められた監視項目についてアドバイスを通知すべき状態か否かを監視してもよい。
【0074】
例えば、監視項目は、用紙カセットの用紙残量でもよい。この場合、用紙カセットに、用紙残量センサーが設けられる(図3参照)。用紙残量センサーは用紙カセット内の用紙残量に応じた電圧を出力する。用紙残量センサーの出力は、制御部1に入力される。用紙残量センサーの出力に基づき、制御部1は、用紙の残量を示す値(用紙残量値)を求める。例えば、制御部1は、現在の用紙残量センサーの出力値を、用紙満杯時の用紙残量センサーの出力値で除す。これにより、制御部1は、用紙満杯時に対する現在の用紙残量の比率を用紙残量値として求めてもよい。
【0075】
監視項目が用紙カセットの用紙の残量の場合、制御部1は、用紙切れではないが、用紙残量値が予め定められた用紙監視基準値よりも小さいとき、アドバイスを通知すべき状態と判定してもよい。つまり、用紙残量が少なくなっているとき、制御部1は、アドバイスを通知すべき状態と判定してもよい。
【0076】
また、監視項目は、色材の残量でもよい。色材残量センサー82の出力に基づき、制御部1は、色材の残量を示す値(色材残量値)を求める。例えば、制御部1は、現在の色材残量センサー82の出力値を、色材満杯時の色材残量センサー82の出力値で除す。これにより、制御部1は、色材満杯時に対する現在の色材残量の比率を色材残量値として求めてもよい。
【0077】
監視項目が色材の残量の場合、制御部1は、色材切れではないが、色材残量値が予め定められた色材監視基準値よりも小さいとき、アドバイスを通知すべき状態と判定してもよい。つまり、色材の残量が少なくなっているとき、制御部1は、アドバイスを通知すべき状態と判定してもよい。
【0078】
そして、制御部1は、ステップ♯15、ステップ♯16において、エラー発生を通知するとき、エラーの通知とともに、アドバイスもあわせて、通知装置6に通知させてもよい。例えば、制御部1は、「用紙の残りが少なくなっています。」のようなメッセージや、「トナーの残りが少なくなっています。」のようなメッセージを、アドバイスとして、通知装置6に通知させてもよい。なお、制御部1は、アドバイスを表示させなくてもよい。また、操作パネル4は、アドバイスを表示するか否かの選択を受け付けてもよい。
【0079】
(省電力状態で発生したエラーの通知)
次に、図8を用いて、実施形態に係る複合機100の省電力状態で発生したエラーの通知の一例を説明する。図8は、実施形態に係る複合機100の省電力状態で発生したエラーの通知の一例を示す図である。
【0080】
図8の処理は、単なる省電力状態(未解消省電力状態ではない省電力状態)での処理である。図8のスタートは、省電力状態で制御部1がエラーの発生を検知した時点である。例えば、省電力状態でのプリントジョブで用紙切れ、色材切れ、又は、ジャムのようなエラーが発生した時点である。図8のスタートは、省電力状態において、通信エラーが発生した時点でもよい。
【0081】
なお、開始条件として、エラーの発生が選択されていない場合、制御部1は、図8の処理を行わないようにしてもよい。つまり、第1設定画面S1で第3タイミング選択ボタンA3が選択されていないとき(図5参照)、制御部1は、図8の処理を行わないようにしてもよい。
【0082】
まず、制御部1は、第1設定画面S1及び第2設定画面S2での設定内容21(設定値)を読み出す(ステップ♯21、ステップ♯11と同様)。制御部1は、読み出した設定内容21をRAMに記憶させる。そして、制御部1は、エラー表示を行うと予め選択されている通知装置6への電力供給を電源回路部9に行わせる(ステップ♯22)。制御部1は、一時的に電力供給を再開する通知装置6を電源回路部9に指示する。電源回路部9は支持された通知装置6への電力供給を再開する。つまり、制御部1は、選択されている通知装置6を一時的に復帰させる。
【0083】
そして、制御部1は、予め選択された通知装置6にエラーが発生したことを通知させる(ステップ♯23)。通知の手法、通知の内容は、図7のステップ♯15と同様である。そして、制御部1は、通知開始から通知継続時間の間、選択された通知装置6にエラーの通知を継続させる(ステップ♯24)。通知開始から通知継続時間が経過すると、制御部1は、電力供給を一時的に再開した通知装置6(ステップ♯23で通知を行う通知装置6)への電力供給を停止する(ステップ♯25)。そして、制御部1は、本フローチャートの処理を終了する(END)。
【0084】
なお、ステップ♯25に至るまでにエラーが解消されたとき、制御部1は、その時点で図8のフローチャートの処理を終了する。また、ステップ♯25に至るまでにアクティブ状態への復帰条件が満たされた時点に、制御部1は、図8のフローチャートの処理を終了してもよい。
【0085】
このようにして、実施形態に係る画像形成装置(複合機100)は、印刷部5、複数の通知装置6(表示パネル6a、通知光源6b、スピーカー6c、及び、空中ディスプレイ6d)、及び、操作パネル4を備える。印刷部5は印刷を行う。通知装置6は使用者に通知を行う。操作パネル4は、省電力状態でのエラーの通知の開始条件の選択と、開始条件が満たされたときに通知を行う通知装置6の選択と、を受け付ける。省電力状態は、アクティブ状態よりも電力供給先が制限され複数の通知装置6への電力供給が停止される状態である。開始条件が満たされたときに、エラーの通知を行うと予め選択された通知装置6は、省電力状態であっても、電力の供給を受けてエラーを通知する。
【0086】
省電力状態でエラーが発生している場合、エラーの通知を開始する条件(エラー通知のタイミング)と、エラーの通知を行う装置を自由に選択することができる。省電力状態で発生しているエラーの通知を行う装置、及び、通知のタイミングを自由に選ぶことができる。省電力状態でも、効率的にエラーが発生していることを知らせることができる。
【0087】
また、使用者の事情を考慮して、通知を行う装置、及び、通知のタイミングを選ぶことができる。例えば、視力障碍者がいる場合、視力障碍者に伝わる通知を選ぶことができる。例えば、音を発する通知装置6を選ぶことができる。また、例えば、画像形成装置から離れていても未解消のエラーの通知を視認できる通知装置6を選ぶことができる。
【0088】
発生したエラーが未解消のまま、省電力状態となっている未解消省電力状態のときには、開始条件が満たされたとき、エラーの通知を行うと予め選択された通知装置6は、電力の供給を受けて未解消のエラーを通知する。発生したエラーが未解消のまま省電力状態になっているときのエラーの通知について、通知を開始する条件(エラー通知のタイミング)と、エラーの通知を行う装置を選択することができる。未解消省電力状態のときに、通知を行う装置、及び、通知のタイミングを自由に選ぶことができる。省電力状態でも、効率的に未解消のエラーを知らせることができる。
【0089】
省電力状態になった後、アクティブ状態に完全復帰していない間に新たにエラーが発生したとき、エラーの通知を行うと選択された通知装置6は、新たに発生したエラーを通知する。省電力状態の間に、新たなエラーが発生したとき、エラーの発生を通知することができる。
【0090】
画像形成装置は制御部1を備える。制御部1は、それぞれの通知装置6への電力供給を制御する。省電力状態の間では、制御部1は、開始条件が満たされるとエラーの通知を行うと予め選択された通知装置6への電力の供給を開始する。発生しているエラーを、電力供給が開始された通知装置6に通知させる。省電力状態での電力供給を制御することができる。省電力状態にて電力供給が停止されている通知装置6に、適切なタイミングで電力供給を再開することができる。開始条件が満たされたとき、選択された通知装置6を動作させることができる。
【0091】
制御部1は、省電力状態において、通知装置6がエラーの通知を開始してから予め定められた通知継続時間が経過すると、通知装置6への電力供給を停止する。電力供給を再開した通知装置6への電力供給を再度、停止することができる。必要以上に長く通知が続かない。また、電力供給を再停止することにより、使用されていない画像形成装置の消費電力を抑えることができる。
【0092】
制御部1は、予め定められた監視項目についてアドバイスを通知すべき状態か否かを監視する。アドバイスを通知すべき状態を維持したまま省電力状態になっているとき、制御部1は、開始条件が満たされたときにエラーの通知を行うと予め選択された通知装置6にアドバイスを通知させる。開始条件が満たされたとき、アドバイスを表示することもできる。有益な情報を使用者に伝えることができる。
【0093】
操作パネル4は、操作パネル4に設けられたハードキー42のうちの特定のキーが操作されたことを開始条件とする選択を受け付けてもよい。特定のハードキー42の操作がなされたとき、選択された通知装置6がエラーを通知する。使用者が画像形成装置の近くにいるタイミングでエラーを通知することができる。使用者が知覚しやすいタイミングで通知を行うことができる。
【0094】
画像形成装置(複合機100)は、人の存在を検知する人感センサー7を備える。操作パネル4は、人感センサー7が人の存在を検知したことを開始条件とする選択を受け付ける。人感センサー7が人の存在を検知したとき、選択された通知装置6がエラーを通知する。使用者が画像形成装置を通っているタイミングでエラーを通知することができる。使用者が知覚しやすいタイミングで通知を行うことができる。
【0095】
通知装置6のうちの1つは、空中ディスプレイ6dである。発生したエラーに関する通知を空間に映し出すことができる。離れた場所からでも視認できるように、通知を出すことができる。
【0096】
通知装置6のうちの1つは、スピーカー6cである。音声によってエラーを通知することができる。画像形成装置の周囲にいる人に、広範囲にわたってエラーを通知することができる。画像形成装置を見ていない人にもエラーが発生していることを知らせることができる。
【0097】
通知装置6のうちの1つは、表示パネル6aである。表示パネル6aに表示することにより、エラーを通知することができる。
【0098】
通知装置6のうちの1つは、通知光源6bである。通知用の光源を点灯することにより、エラーの発生を通知することができる。
【0099】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、エラーを検知する画像形成装置に使用可能である。
【符号の説明】
【0101】
100 複合機(画像形成装置) 1 制御部
4 操作パネル 42 ハードキー
5 印刷部 6 通知装置
6a 表示パネル(通知装置) 6b 通知光源(通知装置)
6c スピーカー(通知装置) 6d 空中ディスプレイ(通知装置)
7 人感センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8