(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155920
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】流体制御弁及びバルブタイミング変更装置
(51)【国際特許分類】
F16K 3/24 20060101AFI20221006BHJP
F01L 1/356 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F16K3/24 D
F01L1/356 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059366
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】堀内 海里
【テーマコード(参考)】
3G018
3H053
【Fターム(参考)】
3G018BA09
3G018BA33
3G018CA12
3G018CA18
3G018DA20
3G018DA25
3G018DA60
3G018DA73
3G018DA74
3G018EA31
3G018EA32
3G018FA01
3G018FA07
3G018GA02
3G018GA03
3G018GA14
3H053AA35
3H053BA12
3H053DA12
(57)【要約】
【課題】流体制御弁において、円環状板バネが過度に縮径してスプールと干渉するのを防止する。
【解決手段】流体制御弁Vは、流体が流入する流入口74,流体を通すべく外部に連通する連通口75,76,軸線Sを中心とする円筒状の内周面72,内周面において流入口に臨む領域に形成された環状溝部72aを有する有底筒状のスリーブ70と、流入口を開閉するべく,長尺な板バネを円環状に湾曲させて一端側領域及び他端側領域を部分的に重ねた重ね領域100cを含むように形成され縮径可能に環状溝部に配置された円環状板バネ100と、スリーブ内において内周面に摺動自在に配置されて連通口を開閉するスプール80と、円環状板バネ100が所定内径を超えて縮径するのを規制する縮径規制部としてのスリット101,102の溝底部101a,102aを含む。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流入する流入口,流体を通すべく外部に連通する連通口,軸線を中心とする円筒状の内周面,前記流入口に臨む領域において前記内周面から凹む環状溝部を有する有底筒状のスリーブと、
前記流入口を開閉するべく,長尺な板バネを円環状に湾曲させて一端側領域及び他端側領域を重ね合せた重ね領域を形成し,縮径可能に前記環状溝部に配置された円環状板バネと、
前記スリーブ内において前記内周面に摺動自在に配置されて前記連通口を開閉するスプールと、
前記円環状板バネが所定内径を超えて縮径するのを規制する縮径規制部と、
を含む、流体制御弁。
【請求項2】
前記縮径規制部は、前記重ね領域において、前記一端側領域及び前記他端側領域の縮径する向きへの相対移動を規制するストッパとして形成されている、
ことを特徴する請求項1に記載の流体制御弁。
【請求項3】
前記円環状板バネは、前記一端側領域に形成されたスリットを含み、
前記ストッパは、前記他端側領域の一部を受ける前記スリットの溝底部である、
ことを特徴とする請求項2に記載の流体制御弁。
【請求項4】
前記円環状板バネは、前記一端側領域に形成された第1スリットと、前記他端側領域に形成された第2スリットを含み、
前記ストッパは、前記第1スリットの溝底部と前記第2スリットの溝底部である、
ことを特徴とする請求項2に記載の流体制御弁。
【請求項5】
前記スリットの幅又は前記第1スリット及び第2スリットの幅は、前記板バネの厚さ以上の寸法に形成されている、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の流体制御弁。
【請求項6】
前記円環状板バネは、前記一端側領域の一方側に形成された矩形状の第1切欠き部と、前記他端側領域の他方側に形成された第2切欠き部を含み、
前記ストッパは、前記第1切欠き部の縁部と前記第2切欠き部の縁部である、
ことを特徴とする請求項2に記載の流体制御弁。
【請求項7】
前記円環状板バネは、前記一端側領域の一方側に偏倚して形成された矩形状の切欠き部と、前記他端側領域の一方側に偏倚し折り返して形成された折返し部を含み、
前記ストッパは、前記折返し部を受ける前記切欠き部の縁部である、
ことを特徴とする請求項2に記載の流体制御弁。
【請求項8】
前記円環状板バネは、前記重ね領域が前記流入口から外れた領域に位置するように前記環状溝部に配置されている、
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一つに記載の流体制御弁。
【請求項9】
前記流入口は、前記軸線回りに隔てて設けられた第1流入口と第2流入口を含み、
前記円環状板バネは、前記重ね領域が前記第1流入口及び前記第2流入口から外れた領域に位置するように前記環状溝部に配置されている、
ことを特徴とする請求項1ないし8いずれか一つに記載の流体制御弁。
【請求項10】
前記スプールは、電磁アクチュエータの駆動シャフトが係合して駆動力を及ぼす端部を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし9いずれか一つに記載の流体制御弁。
【請求項11】
前記駆動シャフトの駆動力に抗する向きに前記スプールを付勢するべく,前記スリーブ内に配置された付勢バネを含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の流体制御弁。
【請求項12】
前記連通口は、前記軸線の方向において前記流入口を挟んだ両側に位置する第1連通口及び第2連通口を含み、
前記スプールは、前記スリーブ内において往復動するロッドと、前記ロッドに設けられて前記流入口と前記第1連通口の間の通路を開閉する第1弁部と、前記ロッドに設けられて前記流入口と前記第2連通口の間の通路を開閉する第2弁部を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし11いずれか一つに記載の流体制御弁。
【請求項13】
前記スプールは、前記第1弁部と前記第2弁部の間に配置された圧縮バネを含み、
前記第1弁部は、前記第1連通口を閉塞し得る第1ランド及び前記第1ランドの内側に形成された第1内部通路を有すると共に前記ロッドに固定された第1固定部と、前記第1内部通路を開閉する第1蓋部を有すると共に前記ロッドに沿って可動に支持された第1可動部を含み、
前記第2弁部は、前記第2連通口を閉塞し得る第2ランド及び前記第2ランドの内側に形成された第2内部通路を有すると共に前記ロッドに固定された第2固定部と、前記第2内部通路を開閉する第2蓋部を有すると共に前記ロッドに沿って可動に支持された第2可動部を含み、
前記圧縮バネは、前記第1蓋部を閉弁させると共に前記第2蓋部を閉弁させる付勢力を及ぼすように配置されている、
ことを特徴とする請求項12に記載の流体制御弁。
【請求項14】
カムシャフトにより駆動される吸気バルブ又は排気バルブの開閉タイミングを変更するバルブタイミング変更装置であって、
前記カムシャフトと同軸上で回転するハウジングロータと、
前記ハウジングロータと協働して進角室及び遅角室を画定すると共に前記カムシャフトと一体的に回転するベーンロータと、
前記進角室及び遅角室に対する作動油の供給及び排出を制御するべく,請求項12又は13に記載の流体制御弁と、を備え、
前記流体制御弁の前記流入口は、作動油が供給される供給ポートであり、
前記流体制御弁の前記第1連通口は、前記遅角室に連通する遅角ポートであり、
前記流体制御弁の前記第2連通口は、前記進角室に連通する進角ポートである、
ことを特徴とするバルブタイミング変更装置。
【請求項15】
前記ベーンロータを前記カムシャフトに締結する締結ボルトを含み、
前記締結ボルトは、筒状に形成されると共に作動油を通す通路を含み、
前記流体制御弁は、前記締結ボルトの内側に配置されている、
ことを特徴とする請求項14に記載のバルブタイミング変更装置。
【請求項16】
前記流体制御弁は、前記カムシャフトが受ける変動トルクにより、前記遅角室と前記進角室との間で作動油を往復させるトルク駆動型の流体制御弁である、
ことを特徴とする請求項14又は15に記載のバルブタイミング変更装置。
【請求項17】
前記スプールは、前記第1弁部が開弁すると共に前記第2弁部が閉弁する遅角モードに位置付けられた状態において、前記カムシャフトが逆回りのトルクを受けるとき前記第2弁部が開弁して前記進角ポートから前記遅角ポートへの作動油の流れを許容し、かつ、前記第1弁部が閉弁すると共に前記第2弁部が開弁する進角モードに位置付けられた状態において、前記カムシャフトが順回りのトルクを受けるとき前記第1弁部が開弁して前記遅角ポートから前記進角ポートへの作動油の流れを許容すべく形成されている、
ことを特徴とする請求項16に記載のバルブタイミング変更装置。
【請求項18】
前記スプールは、前記第1弁部が前記遅角ポートを閉塞すると共に前記第2弁部が前記進角ポートを閉塞する中立保持モードに位置付けられた状態において、前記遅角室と前記進角室との間での作動油の往復を遮断するべく形成されている、
ことを特徴とする請求項17に記載のバルブタイミング変更装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体制御弁及びこれを用いた内燃エンジンのバルブタイミング変更装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流体制御弁としては、作動油が流入する流入口及び作動油が流出する流出口を有するスリーブと、スリーブ内において往復動するスプールと、スプールを移動方向の一方向に付勢する付勢バネと、弾性変形により縮径するべく部分的に巻き重ねられてスリーブの内周壁に密接して配置され流入口を開閉するチェック弁としての円環状板バネ等を備えた、作動油制御弁が知られている。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に開示の作動油制御弁においては、円環状板バネに突起部を設け、スリーブに設けた回転規制部に円環状板バネの突起部を係止することで、円環状板バネの回転を規制するものである。しかしながら、円環状板バネが、作動油の圧力(差圧)を受けて過度に縮径すると、円環状板バネの内側を移動するスプールと干渉してスプールの動作を阻害する虞がある。
【0004】
特許文献2に開示の作動油制御弁においては、スリーブの段差部とスプールの段差部の位置関係を規定することにより、円環状板バネが傾いて縮径した際に、円環状板バネがスプールに引っ掛からないような構造を採用したものである。
しかしながら、円環状板バネが、作動油の圧力(差圧)を受けて過度に縮径すると、円環状板バネの内側を移動するスプールと干渉してスプールの動作を阻害する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-128785号公報
【特許文献2】特開2020-159203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、円環状板バネとスプールの干渉を防止して、所望する機能を得ることのできる、流体制御弁及びそれを用いたバルブタイミング変更装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の流体制御弁は、流体が流入する流入口,流体を通すべく外部に連通する連通口,軸線を中心とする円筒状の内周面,流入口に臨む領域において内周面から凹む環状溝部を有する有底筒状のスリーブと、流入口を開閉するべく,長尺な板バネを円環状に湾曲させて一端側領域及び他端側領域を重ね合せた重ね領域を形成し,縮径可能に環状溝部に配置された円環状板バネと、スリーブ内において内周面に摺動自在に配置されて連通口を開閉するスプールと、円環状板バネが所定内径を超えて縮径するのを規制する縮径規制部とを含む、構成となっている。
【0008】
上記流体制御弁において、縮径規制部は、円環状板バネの重ね領域において、一端側領域及び他端側領域の縮径する向きへの相対移動を規制するストッパとして形成されている、構成を採用してもよい。
【0009】
上記流体制御弁において、円環状板バネは、一端側領域に形成されたスリットを含み、ストッパは、他端側領域の一部を受けるスリットの溝底部である、構成を採用してもよい。
【0010】
上記流体制御弁において、円環状板バネは、一端側領域に形成された第1スリットと、他端側領域に形成された第2スリットを含み、ストッパは、第1スリットの溝底部と第2スリットの溝底部である、構成を採用してもよい。
【0011】
上記流体制御弁において、スリットの幅又は第1スリット及び第2スリットの幅は、板バネの厚さ以上の寸法に形成されている、構成を採用してもよい。
【0012】
上記流体制御弁において、円環状板バネは、一端側領域の一方側に形成された矩形状の第1切欠き部と、他端側領域の他方側に形成された第2切欠き部を含み、ストッパは、第1切欠き部の縁部と第2切欠き部の縁部である、構成を採用することができる。
【0013】
上記流体制御弁において、円環状板バネは、一端側領域の一方側に偏倚して形成された矩形状の切欠き部と、他端側領域の一方側に偏倚し折り返して形成された折返し部を含み、ストッパは、折返し部を受ける切欠き部の縁部である、構成を採用してもよい。
【0014】
上記流体制御弁において、円環状板バネは、重ね領域が流入口から外れた領域に位置するように環状溝部に配置されている、構成を採用してもよい。
【0015】
上記流体制御弁において、流入口は、軸線回りに隔てて設けられた第1流入口と第2流入口を含み、円環状板バネは、重ね領域が第1流入口及び第2流入口から外れた領域に位置するように環状溝部に配置されている、構成を採用してもよい。
【0016】
上記流体制御弁において、スプールは、電磁アクチュエータの駆動シャフトが係合して駆動力を及ぼす端部を含む、構成を採用してもよい。
【0017】
上記流体制御弁において、スリーブ内には、駆動シャフトの駆動力に抗する向きにスプールを付勢するべく,スリーブ内に配置された付勢バネを含む、構成を採用してもよい。
【0018】
上記流体制御弁において、連通口は、軸線の方向において流入口を挟んだ両側に位置する第1連通口及び第2連通口を含み、スプールは、スリーブ内において往復動するロッドと、ロッドに設けられて流入口と第1連通口の間の通路を開閉する第1弁部と、ロッドに設けられて流入口と第2連通口の間の通路を開閉する第2弁部を含む、構成を採用してもよい。
【0019】
上記流体制御弁において、スプールは、第1弁部と第2弁部の間に配置された圧縮バネを含み、第1弁部は、第1連通口を閉塞し得る第1ランド及び第1ランドの内側に形成された第1内部通路を有すると共にロッドに固定された第1固定部と、第1内部通路を開閉する第1蓋部を有すると共にロッドに沿って可動に支持された第1可動部を含み、第2弁部は、第2連通口を閉塞し得る第2ランド及び第2ランドの内側に形成された第2内部通路を有すると共にロッドに固定された第2固定部と、第2内部通路を開閉する第2蓋部を有すると共にロッドに沿って可動に支持された第2可動部を含み、圧縮バネは、第1蓋部を閉弁させると共に第2蓋部を閉弁させる付勢力を及ぼすように配置されている、構成を採用してもよい。
【0020】
本発明のバルブタイミング変更装置は、カムシャフトにより駆動される吸気バルブ又は排気バルブの開閉タイミングを変更するバルブタイミング変更装置であって、カムシャフトと同軸上で回転するハウジングロータと、ハウジングロータと協働して進角室及び遅角室を画定すると共にカムシャフトと一体的に回転するベーンロータと、進角室及び遅角室に対する作動油の供給及び排出を制御するべく,スリーブが第1連通口及び第2連通口を含みかつスプールが第1弁部及び第2弁部を含む構成をなす上記流体制御弁とを備え、流体制御弁の流入口は、作動油が供給される供給ポートであり、流体制御弁の第1連通口は、遅角室に連通する遅角ポートであり、流体制御弁の第2連通口は、進角室に連通する進角ポートである、構成となっている。
【0021】
上記バルブタイミング変更装置において、ベーンロータをカムシャフトに締結する締結ボルトを含み、締結ボルトは、筒状に形成されると共に作動油を通す通路を含み、流体制御弁は、締結ボルトの内側に配置されている、構成を採用してもよい。
【0022】
上記バルブタイミング変更装置において、流体制御弁は、カムシャフトが受ける変動トルクにより遅角室と進角室との間で作動油を往復させるトルク駆動型の流体制御弁である、構成を採用してもよい。
【0023】
上記バルブタイミング変更装置において、スプールは、第1弁部が開弁すると共に第2弁部が閉弁する遅角モードに位置付けられた状態において、カムシャフトが逆回りのトルクを受けるとき第2弁部が開弁して進角ポートから遅角ポートへの作動油の流れを許容し、かつ、第1弁部が閉弁すると共に第2弁部が開弁する進角モードに位置付けられた状態において、カムシャフトが順回りのトルクを受けるとき第1弁部が開弁して遅角ポートから進角ポートへの作動油の流れを許容すべく形成されている、構成を採用してもよい。
【0024】
上記バルブタイミング変更装置において、スプールは、第1弁部が遅角ポートを閉塞すると共に第2弁部が進角ポートを閉塞する中立保持モードに位置付けられた状態において、遅角室と進角室との間での作動油の往復を遮断するべく形成されている、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0025】
上記構成をなす流体制御弁によれば、円環状板バネとスプールの干渉を防止することができ、所望する機能を得ることができる。また、上記構成をなす流体制御弁を備えたバルブタイミング変更装置によれば、装置の小型化等を達成しつつ、流体制御弁の作動不良を招くことなく所望の動作を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の流体制御弁を備えたバルブタイミング変更装置が適用されるエンジンの構成を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す構成において、電磁アクチュエータ、流体制御弁が内蔵された締結ボルト、バルブタイミング変更装置及びカムシャフトを、カムシャフトと反対側の斜め前方から視た分解斜視図である。
【
図3】
図1に示す構成において、電磁アクチュエータ、流体制御弁が内蔵された締結ボルト、バルブタイミング変更装置及びカムシャフトを、カムシャフト側の斜め後方から視た分解斜視図である。
【
図4】本発明のバルブタイミング変更装置に含まれるハウジングロータ、ベーンロータ、及び回転付勢バネと、カムシャフトを、カムシャフトと反対側の斜め前方から視た分解斜視図である。
【
図5】本発明のバルブタイミング変更装置に含まれるハウジングロータ、ベーンロータ、及び回転付勢バネと、カムシャフトを、カムシャフト側の斜め後方から視た分解斜視図である。
【
図6】本発明のバルブタイミング変更装置が締結ボルトによりカムシャフトに締結固定された状態において、ロック機構が作動したロック状態を示す断面図である。
【
図7】本発明のバルブタイミング変更装置が締結ボルトによりカムシャフトに締結固定された状態において、流体制御弁の周りの領域の通路を示す断面図である。
【
図8】本発明のバルブタイミング変更装置に含まれる締結ボルト、流体制御弁等を、カムシャフトと反対側の斜め前方から視た分解斜視図である。
【
図9】本発明のバルブタイミング変更装置に含まれる締結ボルト、流体制御弁等を、カムシャフト側の斜め後方から視た分解斜視図である。
【
図10】本発明の流体制御弁が締結ボルトの内側に配置された状態を示す断面図である。
【
図11】本発明の流体制御弁に含まれるスリーブを示す斜視断面図である。
【
図12】本発明の流体制御弁に含まれるスプールを示す斜視断面図である。
【
図13】
図10に示す締結ボルト及び流体制御弁において、円環状板バネの領域を示す軸線に垂直な断面図である。
【
図14】本発明の流体制御弁に含まれる第1実施形態に係る円環状板バネの外観斜視図である。
【
図16】第1実施形態に係る円環状板バネが拡径して閉弁した状態から縮径して開弁する動作を説明する模式図である。
【
図17】ベーンロータが、ハウジングロータに対して中間位置にロックされた状態を示す断面図である。
【
図18】ベーンロータが、ハウジングロータに対して最遅角位置に位置する状態を示す断面図である。
【
図19】ベーンロータが、ハウジングロータに対して最進角位置に位置する状態を示す断面図である。
【
図20】遅角モードにおいて、カムシャフトが逆回りのトルクを受けるとき、流体制御弁のスプールと、遅角ポート、進角ポート、遅角室及び進角室内の作動油の流れの関係を示す模式図である。
【
図21】遅角モードにおいて、カムシャフトが順回りのトルクを受けるとき、流体制御弁のスプールと、遅角ポート、進角ポート、遅角室及び進角室内の作動油の流れの関係を示す模式図である。
【
図22】進角モードにおいて、カムシャフトが逆回りのトルクを受けるとき、流体制御弁のスプールと、遅角ポート、進角ポート、遅角室及び進角室内の作動油の流れの関係を示す模式図である。
【
図23】進角モードにおいて、カムシャフトが順回りのトルクを受けるとき、流体制御弁のスプールと、遅角ポート、進角ポート、遅角室及び進角室内の作動油の流れの関係を示す模式図である。
【
図24】中立保持モードにおいて、カムシャフトが逆回りのトルクを受けるとき、流体制御弁のスプールと、遅角ポート、進角ポート、遅角室及び進角室内の作動油の流れ呉の関係を示す模式図である。
【
図25】中立保持モードにおいて、カムシャフトが順回りのトルクを受けるとき、流体制御弁のスプールと、遅角ポート、進角ポート、遅角室及び進角室内の作動油の流れの関係を示す模式図である。
【
図26】第2実施形態に係る円環状板バネを示す外観斜視図である。
【
図28】第3実施形態に係る円環状板バネを示す外観斜視図である。
【
図30】第4実施形態に係る円環状板バネを示す外観斜視図である。
【
図32】第5実施形態に係る円環状板バネを示す外観斜視図である。
【
図34】第6実施形態に係る円環状板バネを示す外観斜視図である。
【
図36】第7実施形態に係る円環状板バネを示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本発明に係る流体制御弁Vを備えたバルブタイミング変更装置Mは、
図1に示すように、内燃エンジンのカムシャフト1に取り付けられて、カムシャフト1により駆動される吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期すなわちバルブタイミングを変更するものである。
【0028】
内燃エンジンは、吸気バルブ又は排気バルブを開閉駆動するカムシャフト1、作動油を溜めるオイルパン2、オイルパン2内の作動油をカムシャフト1に向けて供給する供給通路3、供給通路3の途中に設けられ作動油を吸引して加圧するオイルポンプ4、バルブタイミング変更装置Mを覆うチェーンカバー5、チェーンカバー5に固定された電磁アクチュエータ6を備えている。
【0029】
カムシャフト1は、
図1ないし
図7に示すように、軸線Sを中心として一方向CRに回転するものであり、嵌合軸部1a、通路1b,1c、雌ネジ部1d、位置決めピンPを嵌合させる嵌合穴1eを備えている。
供給通路3は、内燃エンジンのシリンダブロック及びシリンダヘッド等に形成される。
電磁アクチュエータ6は、チェーンカバー5に固定されるものであり、
図3に示すように、軸線S方向に移動する駆動シャフト6a、駆動シャフト6aを駆動する励磁用のコイル(不図示)を備えている。
【0030】
バルブタイミング変更装置Mは、
図2ないし
図5、
図6に示すように、ハウジングロータ10、ベーンロータ20、回転付勢バネ30、ロック機構40、締結ボルト50、フィルタ部材60、流体制御弁V、ストッパ部材St、止め輪Srを備えている。
また、流体制御弁Vは、通路を切り換えて作動油の流れを制御するものであり、スリーブ70、スプール80、付勢バネ90、円環状板バネ100を備えている。
【0031】
ハウジングロータ10は、カムシャフト1の軸線S上で回転可能に支持され、チェーンを介してクランクシャフトの回転に連動し、ベーンロータ20を介してクランクシャフトの回転駆動力をカムシャフト1に伝達する。
ハウジングロータ10は、
図4ないし
図6に示すように、円板状の第1ハウジング11と、第1ハウジング11に結合される有底円筒状の第2ハウジング12とからなる二分割構造をなす。そして、ハウジングロータ10は、ベーンロータ20を最遅角位置と最進角位置の間の角度範囲において相対的に回転可能に収容すると共に、ベーンロータ20と協働して進角室AC及び遅角室RCを画定する。
【0032】
第1ハウジング11は、スプロケット11a、嵌合孔11b、内壁面11c、ロック穴11d、弧状凹部11e、ネジbを通す3つの円孔11fを備えている。
嵌合孔11bは、カムシャフト1の嵌合軸部1aに回動自在に嵌合される。内壁面11cは、ベーンロータ20の背面24と摺動自在に接触する。ロック穴11dは、ロック機構40のロックピン41が微小隙間をおいて嵌合する。弧状凹部11eは、ロック穴11dの周りに形成されて、ロック穴11dに嵌合したロックピン41の先端受圧部41aに作動油を導く。
【0033】
第2ハウジング12は、
図4ないし
図6に示すように、円筒壁12a、前壁12b、開口部12c、ネジbを捩じ込む3つのネジ孔12d、3つのシュー部12e、掛止溝12f、凹部12g、第1ハウジング11の内壁面11cの外周縁領域に嵌め込んで結合される環状結合部12hを備えている。
【0034】
開口部12cは、締結ボルト50を通すべく、軸線Sを中心とする円形孔をなす。
3つのシュー部12eは、前壁12bの内側において、円筒壁12aから中心に向かって突出すると共に周方向において等間隔に配置して形成されている。
1つのシュー部12eは、ベーンロータ20のベーン部22を当接させて最大遅角位置を規定し、他の1つのシュー部12eは、ベーンロータ20のベーン部22を当接させて最大進角位置を規定する。
掛止溝12fは、回転付勢バネ30の第1端部32を掛止するべく、開口部12cの一部を切り欠いて形成されている。凹部12gは、回転付勢バネ30のコイル部31の一部を収容する。
【0035】
ベーンロータ20は、ハウジングロータ10の内側に配置され、ハウジングロータ10と協働して進角室AC及び遅角室RCを画定すると共に、ワッシャWを挟んで締結ボルト50でカムシャフト1に固定され、カムシャフト1と一体的に回転する。
ベーンロータ20は、
図4ないし
図6に示すように、ハブ部21、3つのベーン部22、前面23、環状凹部23a、掛止溝23b、背面24、嵌合孔25、凹部26、溝通路27、遅角通路28、進角通路29を備えている。
【0036】
ベーン部22は、ハウジングロータ10のシュー部12eと協働して進角室AC及び遅角室RCを画定する。前面23は、第2ハウジング12の前壁12bの内壁面に摺動自在に接触して配置される。環状凹部23aは、回転付勢バネ30のコイル部31の一部を収容するべく前面23を環状に肉抜きして形成されている。掛止溝23bは、回転付勢バネ30の第2端部33を掛止するべく前面23の一部を肉抜きして形成されている。
【0037】
背面24は、軸線Sに垂直な平面に形成され、カムシャフト1の端面に接合されると共に第1ハウジング11の内壁面11cに摺動自在に接触して配置される。また、背面24には、カムシャフト1の嵌合穴1eに組み付けられる位置決めピンPが嵌合される嵌合穴24aが設けられている。嵌合孔25は、締結ボルト50の円筒部50aが密接して嵌合される内径寸法に形成されている。
凹部26は、
図5及び
図6に示すように、1つのベーン部22において、ロック機構40を収容するように形成され、ロック機構40に含まれる付勢バネ42を受ける受け部26a、ベーンロータ20の外部に連通する連通路26bを備えている。
【0038】
溝通路27は、環状溝通路27a及び直線溝通路27bにより形成され、カムシャフト1の端面及びハウジングロータ10の内壁面11cと協働して、作動油をロック機構40に向けて供給し又ロック機構40から排出する。すなわち、溝通路27は、ロック機構40に対して、供給される作動油の流れ方向において流体制御弁Vよりも上流側で、締結ボルト50の貫通路54を通して導かれた作動油を供給してロックを解除し、又、ロック時に排出する役割をなす。溝通路27は、ベーンロータ20の背面24に形成されているため、加工が容易であり、又、内壁面11cの摺動領域に潤滑作用をもたらす。
【0039】
遅角通路28は、遅角室RCに対する作動油の供給及び排出を行うものであり、
図18に示すように、嵌合孔25の内周面に形成された環状溝28aと、環状溝28aからハブ部21を径方向に貫通する貫通路28bにより形成されている。
進角通路29は、進角室ACに対する作動油の供給及び排出を行うものであり、
図19に示すように、嵌合孔25の内周面に形成された環状溝29aと、環状溝29aからハブ部21を径方向に貫通する貫通路29bにより形成されている。
【0040】
回転付勢バネ30は、
図4ないし
図6に示すように、コイル部31、第1端部32、第2端部33を有するコイルバネである。
そして、回転付勢バネ30は、コイル部31がベーンロータ20の環状凹部23a及びハウジングロータ10の凹部12gに収容され、第1端部32がハウジングロータ10の掛止溝12fに掛止され、第2端部33がベーンロータ20の掛止溝23bに掛止される。
これにより、回転付勢バネ30は、ベーンロータ20をハウジングロータ10に対して進角方向に回転付勢する。
【0041】
このように、進角方向に付勢する回転付勢バネ30を採用することにより、進角させる際の作動トルクをアシストすることで、応答性を向上させることができる。
また、作動トルクと負荷トルクとの差が、進角時と遅角時とで略同等となるように回転付勢バネ30の荷重を設定することにより、制御性を向上させることができる。
【0042】
ロック機構40は、
図6に示すように、ロックピン41、付勢バネ42、円筒ホルダ43を備えている。そして、ロック機構40は、
図17に示すように、ベーンロータ20をハウジングロータ10に対して最遅角位置と最進角位置の間の中間位置にロックする。
ロックピン41は、略円柱状をなし、先端受圧部41aを有する。そして、ロックピン41は、ハウジングロータ10のロック穴11dに嵌合し得るべく、ベーンロータ20の背面24に対して軸線S方向に出没自在に保持される。
付勢バネ42は、ロックピン41を突出する向きに付勢する。
円筒ホルダ43は、付勢バネ42により付勢されたロックピン41を往復動自在に保持すると共に突出位置を規定するストッパの役割をなし、ベーンロータ20の凹部26に嵌め込まれて固定される。また、円筒ホルダ43は、
図5に示すように、ロックピン41の周りにおいて直線溝通路27bに連通する環状油溜りCを画定するべく、ベーンロータ20の背面24から没入するように配置されている。環状油溜りCを設けることで、ロックピン41の周りに作動油が充填されてロックを円滑に解除することができる。
【0043】
そして、エンジンの起動により、オイルポンプ4で加圧された作動油が、カムシャフト1の通路1b,1c、締結ボルト50内の隙間通路Cp、締結ボルト50の貫通路54、及びベーンロータ20の背面24に形成された溝通路27及び環状油溜りCを通してロック機構40に導かれ、ロックピン41の先端受圧部41aに加わる油圧が上昇すると、ロックピン41がロック穴11dから離脱してロックが解除される。
一方、エンジンの停止により、供給される作動油の油圧が低下すると、ロックピン41に作用していた作動油は、溝通路27及び貫通路54、隙間通路Cp、通路1c,1bを通して流れ出し、ロックピン41を押圧する油圧が低下する。すると、ロックピン41が付勢バネ42により付勢されてハウジングロータ10のロック穴11dに嵌合し、ベーンロータ20はハウジングロータ10に対して中間位置にロックされる。
【0044】
締結ボルト50は、
図6ないし
図9に示すように、軸線Sを中心とする円筒部50a、流体制御弁Vを嵌合する嵌合孔51、開口部52、環状凹部53、貫通路54、遅角通路55、進角通路56、鍔付き頭部57、雄ネジ部58、受け溝59a、止め輪溝59bを備えている。
【0045】
円筒部50aは、ベーンロータ20の嵌合孔25に密接して嵌合される外径寸法に形成されている。
嵌合孔51は、軸線Sを中心とする円筒状の内周面をなす。
開口部52は、嵌合孔51よりも小径の円形孔に形成され、作動油を通す通路として機能する。
環状凹部53は、開口部52に隣接して、フィルタ部材60が嵌め込まれるように形成されている。
貫通路54は、ロック機構40に対して作動油を導入又は排出するものであり、円筒部50aにおいて軸線Sに垂直な径方向に貫通する。
遅角通路55は、ベーンロータ20の遅角通路28に連通するべく、円筒部50aにおいて軸線Sに垂直な径方向に貫通する。
進角通路56は、ベーンロータ20の進角通路29に連通するべく、円筒部50aにおいて軸線Sに垂直な径方向に貫通する。
鍔付き頭部57は、ワッシャWを挟んでベーンロータ20の前面23に当接する。
雄ネジ部58は、カムシャフト1の雌ネジ部1dに螺合される。
受け溝59aは、ストッパ部材Stを嵌め込むべく形成されている。
止め輪溝59bは、止め輪Srを嵌め込むべく形成されている。
【0046】
フィルタ部材60は、作動油に混入する異物を捕獲するものであり、締結ボルト50の環状凹部53に嵌め込まれて、流体制御弁Vのスリーブ70で保持される。
ストッパ部材Stは、円環状の円板として形成され、締結ボルト50の受け溝59aに嵌め込まれて、嵌合孔51に嵌合された流体制御弁Vのスリーブ70を押え込む役割をなす。また、ストッパ部材Stは、スプール80の端面82a2を受け止めて、スプール80を遅角モードに対応する休止位置に停止させる役割をなす。
止め輪Srは、C型リングであり、スナップフィットにより締結ボルト50の止め輪溝59bに嵌め込まれて、ストッパ部材Stの抜け落ちを規制する。
【0047】
流体制御弁Vは、進角室AC及び遅角室RCに対して作動油を供給又は排出するべく通路を切り換えるものであり、
図8ないし
図10に示すように、スリーブ70、スプール80、付勢バネ90、円環状板バネ100を備えている。
【0048】
スリーブ70は、
図8、
図9、
図11に示すように、有底円筒状に形成され、外壁71、肉抜き部71a,71b,71c、内周面72、環状溝部72a,72b,72c、開口部73、供給ポート74、遅角ポート75、進角ポート76、ストッパ壁77、バネ受け部78を備えている。
ここで、供給ポート74は、流体としての作動油が流入する流入口として機能する。遅角ポート75は、流体としての作動油を通すべく外部に連通する第1連通口として機能する。進角ポート76は、流体としての作動油を通すべく外部に連通する第2連通口として機能する。
【0049】
外壁71は、軸線Sを中心とする円筒面として形成され、締結ボルト50の嵌合孔51に密接して嵌合される。
肉抜き部71aは、底壁の外側から供給ポート74(第1供給ポート74a及び第2供給ポート74b)に臨む領域において、外壁71の一部を肉抜きして形成され、締結ボルト50の内壁と協働して隙間通路Cpを画定する。
肉抜き部71bは、遅角ポート75から締結ボルト50の遅角通路55に臨む領域において、外壁71の一部を肉抜きして形成され、遅角ポート75と遅角通路55の間の通路として機能する。
肉抜き部71cは、進角ポート76から締結ボルト50の進角通路56に臨む領域において、外壁71の一部を肉抜きして形成され、進角ポート76と進角通路56の間の通路として機能する。
【0050】
内周面72は、軸線Sを中心とする円筒状に形成され、スプール80の第1弁部82(第1ランド82a
1)及び第2弁部83(第2ランド83a
1)を密接させて摺動自在にガイドする。
環状溝部72aは、円環状板バネ100を配置するべく、
図10及び
図11に示すように、供給ポート74に臨む領域において、軸線S方向において供給ポート74の開口幅よりも幅広で内周面72から凹むように環状に肉抜きして円筒面として形成されている。
環状溝部72bは、遅角ポート75に臨む領域において、内周面72から凹むように環状に肉抜きして形成され、作動油の通路として機能する。
環状溝部72cは、進角ポート76に臨む領域において、内周面72から凹むように環状に肉抜きして形成され、作動油の通路として機能する。
開口部73は、スプール80のロッド81を軸線S方向に突出させる。
【0051】
供給ポート74は、隙間通路Cpと連通すると共に、隙間通路Cpにおいて貫通路54よりも下流側に配置されている。
また、供給ポート74は、
図9、
図13、
図16に示すように、軸線S回りに互いに隔てて設けられた、第1流入口としての第1供給ポート74aと、第2流入口としての第2供給ポート74bを含む。
具体的には、
図16に示すように、第1供給ポート74aと中心線h1と第2供給ポート74bの中心線h2とは、180度よりも小さい挟角θ(例えば、80度~110度程度の挟角θ)をなし、好ましくは、中心線h1と中心線h2とが環状溝部72aに配置された円環状板バネ100の重ね領域100cの中心を通る法線h3に対して線対称となるように形成されている。尚、上記形態に限るものではなく、供給ポート74と重ね領域100cとが重ならないように配置されていれば好ましい。
すなわち、第1供給ポート74a及び第2供給ポート74bは、環状溝部72aに配置された円環状板バネ100に対して、重ね領域100cから外れた第1領域100dと第2領域100eに臨むように形成されている。
言い換えれば、円環状板バネ100は、重ね領域100cが第1供給ポート74a及び第2供給ポート74bから外れた領域、すなわち、対向領域に位置するように環状溝部72aに配置されている。
【0052】
このように、軸線S回りに隔てられた二つの供給ポート(第1供給ポート74a及び第2供給ポート74b)を採用することにより、供給ポート74aから流入する作動油が、円環状板バネ100の第1領域100dに作用し、供給ポート74bから流入する作動油が、円環状板バネ100の第2領域100eに作用するため、円環状板バネ100を内向きに凸状に押し曲げることなく円環状を維持させつつ縮径させることができる。
【0053】
遅角ポート75は、肉抜き部71bを介して締結ボルト50の遅角通路55と連通し、又、ベーンロータ20の遅角通路28を経て遅角室RCと連通する。
進角ポート76は、肉抜き部71cを介して締結ボルト50の進角通路56と連通し、又、ベーンロータ20の進角通路29を経て進角室ACと連通する。
ここで、遅角ポート75と進角ポート76は、
図10に示すように、軸線Sの方向において、供給ポート74を挟んだ両側に位置するように配置されている。すなわち、流体を通すべく外部に連通する連通口は、軸線Sの方向において流入口(供給ポート74)を挟んだ両側に位置する第1連通口(遅角ポート75)及び第2連通口(進角ポート76)を含む構成となっている。
ストッパ壁77は、スプール80の第2弁部83の端面83a
2を受け止めて、スプール80を進角モードに対応する最奥位置に停止させる。
バネ受け部78は、付勢バネ90の端部を受ける。
【0054】
スプール80は、
図10及び
図12に示すように、スリーブ70の内側において内周面72と摺動自在に配置され、軸線S方向に伸長するロッド81、ロッド81に設けられた第1弁部82及び第2弁部83、第1弁部82と第2弁部83の間に配置された圧縮バネ84を備えている。
ロッド81は、内部通路81a、内部通路81aから径方向に貫通する開口81b、端部81cを備えている。
内部通路81a及び開口81bは、ロッド81が軸線S方向に往復動する際に、付勢バネ90が配置される空間内の圧力を調整する役割をなす。
端部81cには、電磁アクチュエータ6の駆動シャフト6aが係合して、付勢バネ90の付勢力に抗して駆動力が及ぼされる。
【0055】
第1弁部82は、供給ポート74と遅角ポート75の間の通路を開閉するものであり、ロッド81に固定された第1固定部82aと、ロッド81に沿って可動に支持されて圧縮バネ84により付勢される第1可動部82bを備えている。
第1固定部82aは、内周面72に密接して摺動する第1ランド82a1、端面82a2、第1内部通路82a3、端面82a4を備えている。
第1ランド82a1は、軸線Sを中心とし内周面72の内径と略同径又は僅かに小さい外径の円筒面でかつ遅角ポート75を閉塞する幅寸法に形成され、遅角ポート75を開放又は閉塞する。
第1可動部82bは、圧縮バネ84と協働して逆止弁として機能するものであり、ロッド81に摺動自在に嵌合された第1嵌合部82b1、第1内部通路82a3を開閉するべく端面82a4に離脱可能に当接する第1蓋部82b2を備えている。
【0056】
第2弁部83は、供給ポート74と進角ポート76の間の通路を開閉するものであり、ロッド81に固定された第2固定部83aと、ロッド81に沿って可動に支持されて圧縮バネ84により付勢される第2可動部83bを備えている。
第2固定部83aは、内周面72に密接して摺動する第2ランド83a1、端面83a2、第2内部通路83a3、端面83a4を備えている。
第2ランド83a1は、軸線Sを中心として内周面72の内径と略同径又は僅かに小さい外径の円筒面でかつ進角ポート76を閉塞する幅寸法に形成され、進角ポート76を開放又は閉塞する。
第2可動部83bは、圧縮バネ84と協働して逆止弁として機能するものであり、ロッド81に摺動自在に嵌合された第2嵌合部83b1、第2内部通路83a3を開閉するべく端面83a4に離脱可能に当接する第2蓋部83b2を備えている。
【0057】
圧縮バネ84は、圧縮型のコイルバネであり、第1弁部82の第1可動部82bと第2弁部83の第2可動部83bの間に配置されて、第1蓋部82b2が第1内部通路82a3を閉塞し、第2蓋部83b2が第2内部通路83a3を閉塞するように付勢力を及ぼす。
【0058】
付勢バネ90は、圧縮型のコイルバネであり、
図10に示すように、一端部がスプール80の端面83a
2に当接し、他端部がスリーブ70のバネ受け部78に当接するように組み付けられている。そして、付勢バネ90は、休止状態にあるとき、スプール80の端面82a
2をストッパ部材Stに当接させる休止位置、すなわち、遅角モードに対応する位置にスプール80を停止させる付勢力を及ぼす。
【0059】
円環状板バネ100は、
図10ないし
図14に示すように、長尺な板バネを円環状に湾曲させて一端側領域100a及び他端側領域100bを重ね合せた重ね領域100cを形成した状態で、縮径可能にスリーブ70の環状溝部72aに配置され、スリーブ70の供給ポート74を経て内部に供給される作動油の流れのみを許容する逆止弁として機能するものである。
【0060】
円環状板バネ100は、
図15に示すように、中心線L方向に長尺な平板状の板バネにおいて、一端側領域100aに形成された第1スリット101、他端側領域100bに形成された第2スリット102を備えている。
第1スリット101は、板バネの厚さと同等又それ以上の幅Swをなし、一端側領域100aの端部から内側に所定長さに亘って伸長するように形成され、終端において溝底部101aを画定する。
第2スリット102は、板バネの厚さと同等又はそれ以上の幅Swをなし、他端側領域100bの端部から内側に所定長さに亘って伸長するように形成され、終端において溝底部102aを画定する。
ここでは、第1スリット101と第2スリット102は、中心線Lに垂直な中央横断線CLに対して線対称をなす同一形状に形成されている。
【0061】
そして、
図14に示すように、一端側領域100aの第1分割片100a
1が他端側領域100bの第1分割片100b
1の外側から重なり、一端側領域100aの第2分割片100a
2が他端側領域100bの第2分割片100b
2の内側から重なるように、一端側領域100aと他端側領域100bが噛み合わされて重ね領域100cを画定する円環状に保持され、スリーブ70の環状溝部72aに配置される。
【0062】
上記構成において、第1スリット101の溝底部101aと第2スリット102の溝底部102aは、互いに当接することで、一端側領域100a及び他端側領域100bの縮径する向きへの相対移動を規制するストッパとして機能する。
すなわち、円環状板バネ100は、重ね領域100cにおいて、所定内径を超えて縮径するのを規制する縮径規制部を備えた構成となっている。
尚、「所定内径」とは、円環状板バネ100が縮径した状態で、供給ポート74から流入する作動油が所望される流入量となると共に、円環状板バネ100の内側を往復動するスプール80が接触しないで円滑に移動できる隙間を確保できる内径である。
【0063】
ここでは、二つのスリット(第1スリット101及び第2スリット102)を設けると共にスリットの幅Swが板バネの厚さと同等又はそれ以上に形成されているため、重ね領域100cにおける捻れや浮き上がりを抑制しつつ、一端側領域100aと他端側領域100bを密接させた状態で重ね合わせることができる。
また、円環状板バネ100は、
図13に示すように、重ね領域100cがスリーブ70の第1供給ポート74a及び第2供給ポート74bから外れて対向する領域に位置するように、スリーブ70の環状溝部72aに配置される。
このように、重ね領域100cが第1供給ポート74a及び第2供給ポート74bから遠ざけて配置されることにより、閉弁状態において、円環状板バネ100の重ね領域100cの二つのスリットに生じる微小隙間を通して作動油が流入及び流出するのを確実に防止することができる。
【0064】
円環状板バネ100の縮径動作について説明すると、
図16に示すように、円環状板バネ100は、長尺な板バネを円環状に湾曲させ一端側領域100a及び他端側領域100bを重ね合せた重ね領域100cを形成し縮径可能にスリーブ70の環状溝部72aに配置されている。したがって、この配置状態において、スリーブ70の内側に対する外側の圧力が所定レベルを超えない限り、円環状板バネ100は、弾性復元力により環状溝部72a内において拡径して供給ポート74を閉塞した状態にある。
【0065】
この状態において、第1供給ポート74a及び第2供給ポート74bの外側にある作動油の圧力がスリーブ70の内側のある作動油の圧力よりも所定レベルを超えて大きくなると、円環状板バネ100は外側の作動油の圧力Fを受けて縮径し始める。
この縮径動作においては、第1供給ポート74aから流入する作動油の圧力Fが円環状板バネ100の第1領域100dに作用し、第2供給ポート74bから流入する作動油の圧力Fが円環状板バネ100の第2領域100eに作用する。
【0066】
これにより、円環状板バネ100は、一箇所に集中して圧力を受ける場合に比べて、より円滑に環状溝部72aの内周面を滑るように、一端側領域100a及び他端側領域100bの重なり量が増加するように周方向に相対的に移動して、円環状の形態を維持しつつ縮径する。
そして、第1スリット101の溝底部101aと第2スリット102の溝底部102aとが互いに当接した時点、すなわち、所定内径に至った時点で、円環状板バネ100の縮径動作が停止する。このとき、円環状板バネ100は、スプール80と干渉しない状態に保持される。これにより、円環状板バネ100とスプール80の干渉を防止でき、所望する機能を得ることができる。
【0067】
このように、円環状板バネ100が所定内径を超えて縮径するのを規制する縮径規制部として、円環状板バネ100に設けたストッパとして機能するスリットの溝底部101a,102aを採用したことにより、別部品で縮径規制部を形成する場合に比べて、構造の簡素化、低コスト化を達成することができる。
尚、円環状板バネ100は、供給される作動油が、通路1b,1c、隙間通路Cp及び供給ポート74を経て流体制御弁V内に流れ込み、遅角ポート75から遅角室RC又は進角ポート76から進角室ACに供給された後で、貫通路54及び溝通路27に満たされた作動油の油圧がロック機構40を解除可能な油圧に達したときにロックが解除されるように、その開弁特性が設定されている。
【0068】
次に、バルブタイミング変更装置Mの動作について説明する。
内燃エンジンが停止した状態においては、
図17に示すように、ベーンロータ20は、ロック機構40によりハウジングロータ10に対して中間位置にロックされている。
これにより、ベーンロータ20のバタツキ等を防止しつつ、内燃エンジンを円滑に始動させることができる。また、内燃エンジンの停止状態において、進角室AC及び遅角室RC内には、隙間等から漏れ出る分を除き、円環状板バネ100の逆流防止機能により基本的に作動油が充填されている。
【0069】
続いて、内燃エンジンの始動により、通路1b,1c、隙間通路Cpを通して供給された作動油が、円環状板バネ100を開弁させて供給ポート74から流体制御弁Vの内部に流れ込み、遅角ポート75から遅角室RC又は進角ポート76から進角室ACに供給され、その後、貫通路54及び溝通路27を通してロック機構40に導かれる作動油の油圧が解除可能油圧になると、ロックピン41がロック穴11dから離脱してロックが解除される。そして、内燃エンジンの始動後は、電磁アクチュエータ6の駆動シャフト6aを介して流体制御弁Vのスプール80の位置が適宜制御されて、ベーンロータ20及びカムシャフト1が遅角側へ又は進角側へ、あるいは所定の角度位置に保持されるように位相制御が行われる。
【0070】
例えば、遅角モードの場合は、
図20及び
図21に示すように、スプール80は付勢バネ90の付勢力により休止位置に位置付けられる。
遅角モードにおいて、第1弁部82は、供給ポート74と遅角ポート75の間の通路を開放した開弁状態に設定され、第2弁部83は、供給ポート74と進角ポート76の間の通路を閉塞した閉弁状態に、具体的には、第2固定部83aの第2ランド83a
1が進角ポート76を開放し、第2可動部83bの第2蓋部83b
2が第2内部通路83a
3を閉塞した状態に設定される。
【0071】
この状態において、カムシャフト1が順回転方向CRと逆回りのトルク(-ΔT)を受けると、進角室AC内の作動油の油圧が上昇する。したがって、
図20に示すように、進角室AC内の作動油は、圧縮バネ84の付勢力に抗しつつ第2可動部83bの第2蓋部83b
2を第2固定部83aから離脱させる。これにより、第2内部通路83a
3が開放され、進角ポート76から遅角ポート75への作動油の流れが許容される。
【0072】
一方、カムシャフト1が順回りのトルク(ΔT)を受けると、遅角室RC内の作動油の油圧が上昇する。ただし、
図21に示すように、遅角室RC内の作動油は、第2可動部83bを第2固定部83aに当接させる向きに作用するため、第2内部通路83a
3は閉塞された状態にあり、遅角ポート75から進角ポート76への作動油の流れは生じない。
【0073】
上記逆回りのトルク(-ΔT)と順回りのトルク(ΔT)とを連続的に受けることにより、進角室AC内の作動油が遅角室RC内に移動して、ベーンロータ20は、
図18に示す最遅角位置に位置付けられる。この過程で、隙間から漏れ出た作動油を補充するべく、円環状板バネ100は適宜開弁して、供給ポート74からの作動油の流入を許容する。
【0074】
次に、進角モードの場合は、
図22及び
図23に示すように、スプール80は、付勢バネ90の付勢力に抗して、電磁アクチュエータ6の駆動シャフト6aにより、軸線S方向の最奥位置に位置付けられる。
進角モードにおいて、第2弁部83は、供給ポート74と進角ポート76の間の通路を開放した開弁状態に設定され、第1弁部82は、供給ポート74と遅角ポート75の間の通路を閉塞した閉弁状態、具体的には、第1固定部82aの第1ランド82a
1が遅角ポート75を開放し、第1可動部82bの第1蓋部82b
2が第1内部通路82a
3を閉塞した状態に設定される。
【0075】
この状態において、カムシャフト1が順回転方向CRと逆回りのトルク(-ΔT)を受けると、進角室AC内の作動油の油圧が上昇する。ただし、
図22に示すように、進角室AC内の作動油は、第1可動部82bを第1固定部82aに当接させる向きに作用するため、第1内部通路82a
3は閉塞された状態にあり、進角ポート76から遅角ポート75への作動油の流れは生じない。
【0076】
一方、カムシャフト1が順回りのトルク(ΔT)を受けると、遅角室RC内の作動油の油圧が上昇する。したがって、
図23に示すように、遅角室RC内の作動油は、圧縮バネ84の付勢力に抗しつつ第1可動部82bの第1蓋部82b
2を第1固定部82aから離脱させる。これにより、第1内部通路82a
3が開放され、遅角ポート75から進角ポート76への作動油の流れが許容される。
【0077】
上記逆回りのトルク(-ΔT)と順回りのトルク(ΔT)とを連続的に受けることにより、遅角室RC内の作動油が進角室AC内に移動して、ベーンロータ20は、
図19に示す最進角位置に位置付けられる。この過程で、隙間から漏れ出た作動油を補充するべく、円環状板バネ100は適宜開弁して、供給ポート74からの作動油の流入を許容する。
【0078】
すなわち、流体制御弁Vのスプール80は、第1弁部82が開弁すると共に第2弁部83が閉弁する遅角モードに位置付けられた状態において、カムシャフト1が逆回りのトルク(-ΔT)を受けるとき第2弁部83が開弁して進角ポート76から遅角ポート75への作動油の流れを許容し、かつ、第1弁部82が閉弁すると共に第2弁部83が開弁する進角モードに位置付けられた状態において、カムシャフト1が順回りのトルク(ΔT)を受けるとき第1弁部82が開弁して遅角ポート75から進角ポート76への作動油の流れを許容すべく形成されている。
【0079】
次に、中立保持モードの場合、
図24及び
図25に示すように、スプール80は、付勢バネ90の付勢力に抗して、電磁アクチュエータ6の駆動シャフト6aにより、軸線S方向の中間位置に位置付けられる。
中立保持モードにおいて、第1弁部82は、供給ポート74と遅角ポート75の間の通路を閉塞した閉弁状態に設定され、第2弁部83は、供給ポート74と進角ポート76の間の通路を閉塞した閉弁状態に設定される。
具体的には、第1弁部82は、第1固定部82aの第1ランド82a
1が遅角ポート75を閉塞し、第1可動部82bの第1蓋部81b
2が第1内部通路82a
3を閉塞した状態に設定される。また、第2弁部83は、第2固定部83aの第2ランド83a
1が進角ポート76を閉塞し、第2可動部83bの第2蓋部83b
2が第2内部通路83a
3を閉塞した状態に設定される。
【0080】
この状態において、カムシャフト1が順回転方向CRと逆回りのトルク(-ΔT)を受けると、進角室AC内の作動油の油圧が上昇する。ただし、
図24に示すように、進角ポート76は、第2弁部83の第2ランド83a
1により閉塞されているため、進角室AC内の作動油は、進角ポート76から遅角ポート75へ移動できず、進角室AC内に留まる。
【0081】
一方、カムシャフト1が順回りのトルク(ΔT)を受けると、遅角室RC内の作動油の油圧が上昇する。ただし、
図25に示すように、遅角ポート75は、第1弁部82の第1ランド82a
1により閉塞されているため、遅角室RC内の作動油は、遅角ポート75から進角ポート76へ移動できず、遅角室RC内に留まる。
【0082】
上記のように、中立保持モードにおいては、遅角室RCと進角室ACとの間での作動油の往復が遮断されるため、ベーンロータ20は、ハウジングロータ10に対して、最遅角位置と最進角位置の間の所望の中間位置に保持される。
尚、中立保持モードにおいて、流体制御弁V内の作動油に漏れを生じた場合は、円環状板バネ100が適宜開弁して、その漏れ量に相当する作動油が補充される。
すなわち、流体制御弁Vにおいて、スプール80は、第1弁部82が遅角ポート75を閉塞すると共に第2弁部83が進角ポート76を閉塞する中立保持モードに位置付けられた状態において、遅角室RCと進角室ACとの間での作動油の往復を遮断するべく形成されている。
【0083】
以上述べたように、流体制御弁Vは、カムシャフト1が受ける変動トルクにより、遅角室RCと進角室ACとの間で作動油を往復させるトルク駆動型の流体制御弁であるため、作動油を遅角室RC及び進角室ACに対して常時供給及び排出するタイプに比べて、作動油の循環量を低減することができる。また、作動油を排出する排出通路が不要になるため、内燃エンジンにおける通路の構成が簡素化され、内燃エンジンの小型化にも寄与する。
【0084】
また、流体制御弁Vは締結ボルト50の内側に配置されているため、部品の集約化、装置の小型化に寄与する。
特に、円環状板バネ100は、長尺な板バネを円環状に湾曲させて重ね領域100cを形成し縮径可能に形成されたものであるため、配置スペースが狭くて済み、構造の簡素化、部品の集約化、装置の小型化にさらに寄与する。
【0085】
以上述べたように、上記実施形態に係る流体制御弁Vによれば、円環状板バネ100とスプール80の干渉を防止して、所望する機能を得ることができる。また、上記流体制御弁Vを備えたバルブタイミング変更装置Mによれば、装置の小型化等を達成しつつ、流体制御弁Vの作動不良を招くことなく所望の動作を得ることができる。
【0086】
図26及び
図27は、第2実施形態に係る円環状板バネ110を示すものである。
第2実施形態に係る円環状板バネ110は、中心線L方向に長尺な平板状の板バネにおいて、一端側領域110aに形成されたスリット111を備えている。
スリット111は、板バネの厚さと同等又それ以上の幅Swをなし、一端側領域110aの端部から内側に所定長さに亘って伸長するように形成され、終端において溝底部111aを画定する。
【0087】
円環状板バネ110は、
図26に示すように、一端側領域110aの第1分割片110a
1が他端側領域110bの外側から重なり、一端側領域110aの第2分割片110a
2が他端側領域110bの内側から重なるように、一端側領域110aと他端側領域110bが噛み合わされて重ね領域110cを画定する円環状に保持され、スリーブ70の環状溝部72aに配置される。
【0088】
上記構成において、スリット111の溝底部111aは、他端側領域110bの一部としての端部110b1を受けることで、一端側領域110a及び他端側領域110bの縮径する向きへの相対移動を規制するストッパとして機能する。
すなわち、円環状板バネ110は、重ね領域110cにおいて、所定内径を超えて縮径するのを規制する縮径規制部を備えた構成となっている。
【0089】
ここでは、スリット111を設けると共にスリットの幅Swが板バネの厚さと同等又はそれ以上に形成されているため、重ね領域110cにおける捻れや浮き上がりを抑制しつつ、一端側領域110aと他端側領域110bを密接させた状態で重ね合わせることができる。
また、円環状板バネ110は、重ね領域110cがスリーブ70の第1供給ポート74a及び第2供給ポート74bから外れて対向する領域に位置するように、スリーブ70の環状溝部72aに配置される。
このように、重ね領域110cが第1供給ポート74a及び第2供給ポート74bから遠ざけて配置されることにより、閉弁状態において、円環状板バネ110の重ね領域110cのスリットに生じる微小隙間を通して作動油が流入及び流出するのを確実に防止することができる。
【0090】
前述の実施形態と同様に、第2実施形態に係る円環状板バネ110を備えた流体制御弁Vにおいても、円環状板バネ110とスプール80の干渉を防止して、所望する機能を得ることができる。また、上記流体制御弁Vを備えたバルブタイミング変更装置Mにおいても、装置の小型化等を達成しつつ、流体制御弁Vの作動不良を招くことなく所望の動作を得ることができる。
【0091】
図28及び
図29は、第3実施形態に係る円環状板バネ120を示すものである。
第3実施形態に係る円環状板バネ120は、中心線L方向に長尺な平板状の板バネにおいて、一端側領域120aに形成されたスリット121と、他端側領域120bに形成された突出片122を備えている。
スリット121は、板バネの幅寸法の1/3程度の幅Swをなし、一端側領域120aの端部から内側に所定長さに亘って伸長するように形成され、終端において溝底部121aを画定する。
突出片122は、その先端において中心線Lに直交する幅方向の直線に沿って折り返して形成された折返し部122aを備えている。折返し部122aの高さ寸法は、板バネの板厚と同じか僅かに小さい寸法に設定されている。
【0092】
円環状板バネ120は、
図28に示すように、一端側領域120aの第1分割片120a
1及び第2分割片120a
2が他端側領域120bの外側から重なり、他端側領域120bの突出片122及び折返し部122aがスリット121内に挿入されかつ折返し部122aが内側から径方向外側に向かって挿入されている。そして、一端側領域120aと他端側領域120bは重ね合わされて重ね領域120cを画定する円環状に保持され、スリーブ70の環状溝部72aに配置される。
【0093】
上記構成において、スリット121の溝底部121aは、他端側領域120bの一部としての折返し部122aを受けることで、一端側領域120a及び他端側領域120bの縮径する向きへの相対移動を規制するストッパとして機能する。
すなわち、円環状板バネ120は、重ね領域120cにおいて、所定内径を超えて縮径するのを規制する縮径規制部を備えた構成となっている。
【0094】
ここでは、一端側領域120aと他端側領域120bとが、噛み合わされることなく単に重ね合わされているため、両者をより密接させた状態に保持することができる。
また、円環状板バネ120は、重ね領域120cがスリーブ70の第1供給ポート74a及び第2供給ポート74bから外れて対向する領域に位置するように、スリーブ70の環状溝部72aに配置される。
このように、重ね領域120cが第1供給ポート74a及び第2供給ポート74bから遠ざけて配置されることにより、閉弁状態において、円環状板バネ120の重ね領域120cのスリットに生じる微小隙間を通して作動油が流入及び流出するのを確実に防止することができる。
【0095】
前述の実施形態と同様に、第3実施形態に係る円環状板バネ120を備えた流体制御弁Vにおいても、円環状板バネ120とスプール80の干渉を防止して、所望する機能を得ることができる。また、上記流体制御弁Vを備えたバルブタイミング変更装置Mにおいても、装置の小型化等を達成しつつ、流体制御弁Vの作動不良を招くことなく所望の動作を得ることができる。
【0096】
図30及び
図31は、第4実施形態に係る円環状板バネ130を示すものである。
第4実施形態に係る円環状板バネ130は、中心線L方向に長尺な平板状の板バネにおいて、一端側領域130aに形成されたスリット131と、他端側領域130bの一方側に形成された矩形状の切欠き部132を備えている。
スリット131は、板バネの厚さと同等又それ以上の幅Swをなし、一端側領域130aの端部から内側に所定長さに亘って伸長するように形成され、終端において溝底部131aを画定する。
切欠き部132は、その縁部に切り込みを入れ中心線L上に沿うように折り返して形成され、他端側領域130bの一部としての折返し部132aを備えている。折返し部132aの高さ寸法は、板バネの板厚と同じか僅かに小さい寸法に設定されている。
【0097】
円環状板バネ130は、
図30に示すように、一端側領域130aの第1分割片130a
1及び第2分割片130a
2が他端側領域130bの外側から重なり、他端側領域130bの一部及び折返し部132aがスリット131内に挿入されかつ折返し部132aが内側から径方向外側に向かって挿入されている。そして、一端側領域130aと他端側領域130bは重ね合わされて重ね領域130cを画定する円環状に保持され、スリーブ70の環状溝部72aに配置される。
【0098】
上記構成において、スリット131の溝底部131aは、他端側領域130bの一部としての折返し部132aを受けることで、一端側領域130a及び他端側領域130bの縮径する向きへの相対移動を規制するストッパとして機能する。
すなわち、円環状板バネ130は、重ね領域130cにおいて、所定内径を超えて縮径するのを規制する縮径規制部を備えた構成となっている。
【0099】
ここでは、一端側領域130aと他端側領域130bとが、噛み合わされることなく単に重ね合わされているため、両者をより密接させた状態に保持することができる。
また、円環状板バネ130は、重ね領域130cがスリーブ70の第1供給ポート74a及び第2供給ポート74bから外れて対向する領域に位置するように、スリーブ70の環状溝部72aに配置される。
このように、重ね領域130cが第1供給ポート74a及び第2供給ポート74bから遠ざけて配置されることにより、閉弁状態において、円環状板バネ130の重ね領域130cのスリットに生じる微小隙間を通して作動油が流入及び流出するのを確実に防止することができる。
【0100】
前述の実施形態と同様に、第4実施形態に係る円環状板バネ130を備えた流体制御弁Vにおいても、円環状板バネ130とスプール80の干渉を防止して、所望する機能を得ることができる。また、上記流体制御弁Vを備えたバルブタイミング変更装置Mにおいても、装置の小型化等を達成しつつ、流体制御弁Vの作動不良を招くことなく所望の動作を得ることができる。
【0101】
図32及び
図33は、第5実施形態に係る円環状板バネ140を示すものである。
第5実施形態に係る円環状板バネ140は、中心線L方向に長尺な平板状の板バネにおいて、一端側領域140aに形成されたスリット141と、他端側領域140bの一方側及び他方側に形成された矩形状の二つの切欠き部142を備えている。
スリット141は、板バネの幅寸法の1/3程度の幅Swをなし、一端側領域140aの端部から内側に所定長さに亘って伸長するように形成され、終端において溝底部141aを画定する。
二つの切欠き部142は、それぞれ縁部142aを備えている。
【0102】
円環状板バネ140は、
図32に示すように、一端側領域140aの第1分割片140a
1及び第2分割片140a
2が他端側領域140bの二つの切欠き部142に内側から挿入されて他端側領域140bの外側から重なるように噛み合わされる。
そして、一端側領域140aと他端側領域140bは重ね合わされて重ね領域140cを画定する円環状に保持され、スリーブ70の環状溝部72aに配置される。
【0103】
上記構成において、スリット141の溝底部141aは、他端側領域140bの一部としての二つの縁部142aが並ぶ領域の壁面を受けることで、一端側領域140a及び他端側領域140bの縮径する向きへの相対移動を規制するストッパとして機能する。
すなわち、円環状板バネ140は、重ね領域140cにおいて、所定内径を超えて縮径するのを規制する縮径規制部を備えた構成となっている。
【0104】
ここでは、円環状板バネ140は、重ね領域140cがスリーブ70の第1供給ポート74a及び第2供給ポート74bから外れて対向する領域に位置するように、スリーブ70の環状溝部72aに配置される。
このように、重ね領域140cが第1供給ポート74a及び第2供給ポート74bから遠ざけて配置されることにより、閉弁状態において、円環状板バネ140の重ね領域120cのスリットに生じる微小隙間を通して作動油が流入及び流出するのを確実に防止することができる。
【0105】
前述の実施形態と同様に、第5実施形態に係る円環状板バネ140を備えた流体制御弁Vにおいても、円環状板バネ140とスプール80の干渉を防止して、所望する機能を得ることができる。また、上記流体制御弁Vを備えたバルブタイミング変更装置Mにおいても、装置の小型化等を達成しつつ、流体制御弁Vの作動不良を招くことなく所望の動作を得ることができる。
【0106】
図34及び
図35は、第6実施形態に係る円環状板バネ150を示すものである。
第6実施形態に係る円環状板バネ150は、中心線L方向に長尺な平板状の板バネにおいて、一端側領域150aの一方側に形成された矩形状の第1切欠き部151と、他端側領域150bの他方側に形成された矩形状の第2切欠き部152を備えている。
第1切欠き部151は、一方側において板バネの幅方向において半分以上に亘って切り欠かれ、幅方向に伸長する縁部151aを画定する。
第2切欠き部152は、他方側において板バネの幅方向において半分以上に亘って切り欠かれ、幅方向に伸長する縁部152aを画定する。
【0107】
円環状板バネ150は、
図34に示すように、一端側領域150aが他端側領域150bの外側から重なり、又、他端側領域150bが一端側領域150aの外側から重なるように噛み合わされる。そして、一端側領域150aと他端側領域150bは重ね合わされて重ね領域150cを画定する円環状に保持され、スリーブ70の環状溝部72aに配置される。
【0108】
上記構成において、第1切欠き部151の縁部151aと第2切欠き部152の縁部152aとは、互いに相手側の壁面を受けることで、一端側領域150a及び他端側領域150bの縮径する向きへの相対移動を規制するストッパとして機能する。
すなわち、円環状板バネ150は、重ね領域150cにおいて、所定内径を超えて縮径するのを規制する縮径規制部を備えた構成となっている。
【0109】
ここでは、円環状板バネ150は、重ね領域150cがスリーブ70の第1供給ポート74a及び第2供給ポート74bから外れて対向する領域に位置するように、スリーブ70の環状溝部72aに配置される。
このように、重ね領域150cが第1供給ポート74a及び第2供給ポート74bから遠ざけて配置されることにより、閉弁状態において、円環状板バネ150の重ね領域120cのスリットに生じる微小隙間を通して作動油が流入及び流出するのを確実に防止することができる。
【0110】
前述の実施形態と同様に、第6実施形態に係る円環状板バネ150を備えた流体制御弁Vにおいても、円環状板バネ150とスプール80の干渉を防止して、所望する機能を得ることができる。また、上記流体制御弁Vを備えたバルブタイミング変更装置Mにおいても、装置の小型化等を達成しつつ、流体制御弁Vの作動不良を招くことなく所望の動作を得ることができる。
【0111】
図36及び
図37は、第7実施形態に係る円環状板バネ160を示すものである。
第7実施形態に係る円環状板バネ160は、中心線L方向に長尺な平板状の板バネにおいて、一端側領域160aの一方側に偏倚して形成された矩形状の切欠き部161と、他端側領域160bの一方側に形成された切欠き部162を備えている。
切欠き部161は、一方側に偏倚した領域において、板バネの幅方向において1/4ないし1/5程度に亘って切り欠かれ、幅方向に伸長する縁部161aを画定する。
切欠き部162は、その縁部に切り込みを入れ中心線Lと平行に折り返して形成された折返し部162aを備えている。折返し部162aの高さ寸法は、板バネの板厚と同じか僅かに小さい寸法に設定されている。
【0112】
円環状板バネ160は、
図36に示すように、一端側領域160aが他端側領域160bの外側から重なり、折返し部162aが切欠き部161の中心線Lに平行な縁部に沿うように内側から径方向外側に向かって挿入されている。そして、一端側領域160aと他端側領域160bは重ね合わされて重ね領域160cを画定する円環状に保持され、スリーブ70の環状溝部72aに配置される。
【0113】
上記構成において、切欠き部161の縁部161aは、他端側領域160bの折返し部162aを受けることで、一端側領域160a及び他端側領域160bの縮径する向きへの相対移動を規制するストッパとして機能する。
すなわち、円環状板バネ160は、重ね領域160cにおいて、所定内径を超えて縮径するのを規制する縮径規制部を備えた構成となっている。
【0114】
ここでは、一端側領域160aと他端側領域160bとが、噛み合わされることなく単に重ね合わされているため、両者をより密接させた状態に保持することができる。
また、切欠き部161と折返し部162aとは、スリーブ70の環状溝部72aに配置された状態で、供給ポート74(開口部)から軸線S方向の一方側に外れた領域において環状溝部72aの内周面に接触するようになっている。
したがて、円環状板バネ160は、重ね領域160cが第1供給ポート74a及び第2供給ポート74bに対して如何なる位置に配置されても、閉弁状態において、円環状板バネ160の重ね領域160cに生じる微小隙間を通して作動油が流入及び流出するのを確実に防止することができる。
【0115】
前述の実施形態と同様に、第7実施形態に係る円環状板バネ160を備えた流体制御弁Vにおいても、円環状板バネ160とスプール80の干渉を防止して、所望する機能を得ることができる。また、上記流体制御弁Vを備えたバルブタイミング変更装置Mにおいても、装置の小型化等を達成しつつ、流体制御弁Vの作動不良を招くことなく所望の動作を得ることができる。
【0116】
上記実施形態においては、スリーブ70の流入口(供給ポート74)を開閉する円環状板バネとして、二つのスリット(第1スリット101,第2スリット102)を備えた円環状板バネ100及び一つのスリット111,121,131,141を備えた円環状板バネ110,120,130,140を示したが、これに限定されるものではなく、所定内径を超えて縮径するのを規制する縮径規制部を画定するものであれば、三つ以上のスリットを備えた円環状板バネ、その他の形態をなす円環状板バネを採用してもよい。
【0117】
上記実施形態においては、流体が流入する流入口として、二つの流入口すなわち第1流入口(供給ポート74a)及び第2流入口(供給ポート74b)を示したが、これに限定されるものではなく、一つの流入口(供給ポート)を採用し、円環状板バネ100,110,120,130,140,150の重ね領域100c,110c,120c,130c,140c,150cが一つの流入口(供給ポート)から外れた領域に位置するようにスリーブの環状溝部に配置される構成を採用してもよい。
【0118】
上記実施形態においては、円環状板バネが所定内径を超えて縮径するのを規制する縮径規制部として、円環状板バネに設けた縮径規制部を示したが、これに限定されるものではない。例えば、スリーブ内の配置スペースが確保されれば、円環状板バネが所定内径まで縮径したときそれ以上の縮径を規制する円環状の規制部材をスリーブ内に配置してスリーブの内壁に固定した構成を採用してもよい。
【0119】
上記実施形態においては、ロック機構40が中間位置にロックする場合を示したが、これに限定されるものではなく、最遅角位置又はその他の位置であってもよい。
上記実施形態においては、ベーンロータ20を回転付勢する回転付勢バネとして、進角方向に付勢力を及ぼす回転付勢バネ30を示したが、これに限定されるものではなく、逆に遅角方向に付勢力を及ぼす回転付勢バネを採用してもよい。
【0120】
上記実施形態においては、流体制御弁としてトルク駆動型の流体制御弁Vを示したが、これに限定されるものではなく、本発明に係る円環状板バネを備えて作動油の供給及び排出を行うものであればその他の形態をなす流体制御弁を採用してもよい。
上記実施形態においては、流体制御弁Vが締結ボルト50の内側に配置された場合を示したが、これに限定されるものではなく、流体制御弁がエンジンのシリンダブロックに配置された構成においても、本発明を適用することができる。
【0121】
上記実施形態においては、流体制御弁が制御する流体として作動油を取り扱う場合を示したが、これに限定されるものではなく、スリーブ内に配置されて流入口を開閉する円環状板バネを作動させ得る流体であれば、その他の流体の流れを制御する際に適用されてもよい。
【0122】
以上述べたように、本発明の流体制御弁は、円環状板バネとスプールの干渉を防止することができ、所望する機能を得ることができるため、自動車等に搭載された内燃式のエンジンに適用できるのは勿論のこと、二輪車等に搭載された内燃エンジン、その他の流体の流れを制御する機器あるいは装置においても有用である。
【符号の説明】
【0123】
1 カムシャフト
6 電磁アクチュエータ
6a 駆動シャフト
AC 進角室
RC 遅角室
S 軸線
10 ハウジングロータ
20 ベーンロータ
50 締結ボルト
51 嵌合孔(通路)
52 開口部(通路)
54 貫通路
55 遅角通路
56 進角通路
V 流体制御弁
70 スリーブ
72 内周面
72a 環状溝部
74 供給ポート(流入口)
74a 第1供給ポート(第1流入口)
74b 第2供給ポート(第2流入口)
75 遅角ポート(連通口、第1連通口)
76 進角ポート(連通口、第2連通口)
80 スプール
81 ロッド
81c 端部
82 第1弁部
82a 第1固定部
82a1 第1ランド
82a3 第1内部通路
82b 第1可動部
82b2 第1蓋部
83 第2弁部
83a 第2固定部
83a1 第2ランド
83a3 第2内部通路
83b 第2可動部
83b2 第2蓋部
84 圧縮バネ
90 付勢バネ
100 円環状板バネ
100a 一端側領域
100b 他端側領域
100c 重ね領域
101 第1スリット
101a 溝底部(ストッパ、縮径規制部)
102 第2スリット
102a 溝底部(ストッパ、縮径規制部)
110,120,130,140,150,160 円環状板バネ
110a,120a,130a,140a,150a,160a 一端側領域
110b,120b,130b,140b,150b,160b 他端側領域
110c,120c,130c,140c,150c,160c 重ね領域
111,121,131,141 スリット
111a,121a,131a,141a 溝底部(ストッパ、縮径規制部)
111b 端部(他端側領域の一部)
122a,132a 折返し部(他端側領域の一部)
151 第1切欠き部
152 第2切欠き部
151a,152a 縁部(ストッパ)
161 切欠き部
161a 縁部(ストッパ)
162a 折返し部