特開 2022-155921 アプリケーションプログラム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022155921

(43)【公開日】2022-10-14

(54)【発明の名称】アプリケーションプログラム

(51)【国際特許分類】

   G06F 3/12 20060101AFI20221006BHJP

【ＦＩ】

G06F3/12 357

G06F3/12 305

G06F3/12 344

G06F3/12 360

【審査請求】未請求

【請求項の数】11

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021059369

(22)【出願日】2021-03-31

(71)【出願人】

【識別番号】000005267

【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000291

【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所

(72)【発明者】

【氏名】水谷 愛子

(57)【要約】

【課題】オペレーティングシステムに自動機能が搭載されている情報処理装置において、テンプレートを用いた印刷をプリンタに行わせる際の、ユーザの手間を軽減する技術を提供すること。
【解決手段】電子デバイス１のＯＳ２１は、トリガとアクションとを示す手続きデータが登録されている場合に、トリガを検出したことに応じてアクションを自動的に実行する連結プログラム２１１を有する。印刷アプリ２２は、ユーザ操作に基づいて起動された場合、ＣＰＵ１１に手動出力処理を実行させ、手続きデータに基づいて連結プログラム２１１によって起動された場合、起動時に入力される入力情報に含まれる印刷対象のスケジュールを取得し、テンプレート情報２２１を用いてテンプレートを選択し、印刷対象のスケジュールを選択されたテンプレートに配置した配置画像を印刷させる印刷ジョブを、プリンタに自動的に出力する。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

情報処理装置のコンピュータによって実行可能なアプリケーションプログラムであって、前記情報処理装置のオペレーティングシステムは、自動機能を有し、前記自動機能は、複数の機能や操作の一連の手続きと、前記一連の手続きを起動する条件である起動条件と、を示す手続きデータが、前記オペレーティングシステムに登録されている場合に、前記オペレーティングシステムが、前記起動条件を満たしたことに応じて前記一連の手続きを自動的に実行する機能であり、
前記アプリケーションプログラムは、前記情報処理装置のユーザインタフェースを用いたユーザ操作に基づいて起動される場合と、前記オペレーティングシステムが有する前記自動機能に基づいて起動される場合と、があり、
さらに前記アプリケーションプログラムは、印刷対象のデータの属性とテンプレートの情報との対応付けを示すテンプレート対応情報を有し、
さらに前記アプリケーションプログラムは、
前記コンピュータに、
前記情報処理装置の前記ユーザインタフェースを用いたユーザ操作に基づいて起動された場合に、印刷対象のデータの選択を前記ユーザインタフェースを用いて受け付け、選択された印刷対象のデータに基づく印刷ジョブを出力する手動出力処理を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記オペレーティングシステムが有する前記自動機能に基づいて起動された場合に、前記オペレーティングシステムから起動時に入力される入力情報であって、印刷対象のデータを含む前記入力情報を取得する取得処理と、前記取得処理にて取得した前記印刷対象のデータの属性に基づいて、前記テンプレート対応情報を用いてテンプレートを選択するテンプレート選択処理と、前記取得処理にて取得した前記印刷対象のデータを前記テンプレート選択処理によって選択された前記テンプレートに配置した配置画像を、プリンタに印刷させる印刷ジョブを、前記プリンタに出力する自動出力処理と、を実行させ、前記オペレーティングシステムは、前記自動機能によって前記アプリケーションプログラムを起動する際、前記入力情報を前記アプリケーションプログラムに渡す、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。

【請求項2】

請求項１に記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記取得処理では、
前記印刷対象のデータと、前記印刷対象のデータの属性を示す属性情報と、を含む前記入力情報を取得し、前記オペレーティングシステムは、前記自動機能によって前記アプリケーションプログラムを起動する際、前記印刷対象のデータと前記属性情報とを含む前記入力情報を前記アプリケーションプログラムに渡し、
前記テンプレート選択処理では、
前記取得処理にて取得した前記属性情報に示される属性に基づいて、前記テンプレート対応情報を用いてテンプレートを選択する、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。

【請求項3】

請求項１に記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記オペレーティングシステムが有する前記自動機能に基づいて起動された場合に、前記取得処理にて取得した前記印刷対象のデータの属性を解析する解析処理を実行させ、
前記テンプレート選択処理では、
前記解析処理にて解析された前記印刷対象のデータの属性に基づいて、前記テンプレート対応情報を用いてテンプレートを選択する、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。

【請求項4】

請求項１から請求項３のいずれか１つに記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記オペレーティングシステムが有する前記自動機能に基づいて起動された場合に、前記入力情報に基づく通知を、前記情報処理装置の前記ユーザインタフェースに行わせる通知処理を実行させ、前記情報処理装置の前記ユーザインタフェースの表示態様には、前記ユーザインタフェースによる一部の入力を制限するロック状態と、前記ロック状態ではない非ロック状態とがあり、前記ロック状態での前記通知処理による通知内容は、前記非ロック状態と異なる、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。

【請求項5】

請求項４に記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記通知処理では、
前記非ロック状態では、前記通知内容に、前記印刷対象のデータの内容を示す内容情報を含め、前記ロック状態では、前記通知内容に、前記内容情報を含めない、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。

【請求項6】

請求項４または請求項５に記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記オペレーティングシステムが有する前記自動機能に基づいて起動された場合に、前記取得処理の後、前記自動出力処理の前に、前記通知処理を実行させ、
前記通知処理では、
前記通知として、前記入力情報に基づく印刷を行うか否かの選択を要求する通知を行い、
前記コンピュータに、
前記通知処理の後、前記入力情報に基づく印刷を行うか否かの選択を受け付ける受付処理を実行させ、前記受付処理にて前記入力情報に基づく印刷を行うことの選択を受け付けたことを条件として、前記自動出力処理を実行させる、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。

【請求項7】

請求項６に記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記受付処理にて前記入力情報に基づく印刷を行うことの選択を受け付けた際、前記非ロック状態であれば、前記自動出力処理を実行させる一方、前記ロック状態であれば、前記ロック状態を解除させる画面を前記情報処理装置の前記ユーザインタフェースに表示させ、前記ロック状態から前記非ロック状態に移行したことを条件として、前記自動出力処理を実行させる、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。

【請求項8】

請求項６または請求項７に記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記受付処理では、
前記通知処理の後、前記入力情報に基づく印刷を行うか否か、さらに別のタイミングで印刷するか、のいずれかの選択を受け付け、
前記コンピュータに、
前記受付処理にて別のタイミングで印刷することの選択を受け付けた場合、前記取得処理にて取得した前記入力情報を保存する保存処理を実行させ、前記自動出力処理を実行させず、
さらに前記受付処理では、
保存されている前記入力情報がある場合、保存されている前記入力情報と、前記取得処理にて取得した前記入力情報と、のそれぞれについて、印刷を行うか否か、さらに前記別のタイミングで印刷するか、のいずれかの選択を受け付け、
さらに前記自動出力処理では、
保存されている前記入力情報について印刷を行う選択を受け付けた場合、保存されている前記入力情報に含まれる前記印刷対象のデータを、前記テンプレート選択処理にて選択された前記テンプレートに配置した配置画像を、前記プリンタに印刷させる印刷ジョブを、前記プリンタに出力する、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。

【請求項9】

請求項１から請求項８のいずれか１つに記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
データの属性とプリンタの情報との対応付けを示す第１プリンタ対応情報を登録する第１登録処理を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記オペレーティングシステムが有する前記自動機能に基づいて起動された場合に、前記取得処理にて取得した前記印刷対象のデータの属性に基づいて、前記第１プリンタ対応情報を用いてプリンタを選択する第１プリンタ選択処理を実行させ、
前記自動出力処理では、
前記印刷ジョブを、前記第１プリンタ選択処理にて選択された前記プリンタに出力する、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。

【請求項10】

請求項１から請求項８のいずれか１つに記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
テンプレートの情報とプリンタの情報との対応付けを示す第２プリンタ対応情報を登録する第２登録処理を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記オペレーティングシステムが有する前記自動機能に基づいて起動された場合に、前記テンプレート選択処理にて選択された前記テンプレートに基づいて、前記第２プリンタ対応情報を用いてプリンタを選択する第２プリンタ選択処理を実行させ、
前記自動出力処理では、
前記印刷ジョブを、前記第２プリンタ選択処理にて選択された前記プリンタに出力する、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。

【請求項11】

請求項１から請求項８のいずれか１つに記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
プリンタの位置情報を登録する第３登録処理を実行させ、前記第３登録処理では、複数のプリンタについて位置情報を登録可能であり、
さらに前記コンピュータに、
前記オペレーティングシステムが有する前記自動機能に基づいて起動された場合に、前記情報処理装置の位置情報を前記オペレーティングシステムから取得する位置取得処理と、前記位置取得処理にて取得した前記情報処理装置の位置情報と、前記第３登録処理にて登録された各プリンタの位置情報と、に基づいて、プリンタを選択する第３プリンタ選択処理と、を実行させ、
前記自動出力処理では、
前記印刷ジョブを、前記第３プリンタ選択処理にて選択された前記プリンタに出力する、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本明細書に開示される技術分野は、プリンタに印刷ジョブを出力するアプリケーションプログラムに関する。

【背景技術】

【0002】

従来、テンプレートを用意し、画像の選択を受け付け、その選択された画像をそのテンプレートに配置した配置画像を生成する技術が知られている。例えば特許文献１には、自動的にテンプレートを選択する技術が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１９－０６７２６１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

近年、複数の機能や操作の一連の手続きを示す手続きデータをオペレーティングシステム（ＯＳ）に登録し、登録された手続きデータに従って機能や操作を自動的にＯＳが実行する自動機能がＯＳに搭載されている。この自動機能を利用することで、所望のアウトプットを得られるまでのユーザの作業を自動化できるため、ユーザの操作負担を大幅に軽減できる。前述したようなテンプレートを用いた印刷においてもこのＯＳによる自動機能を利用することでさらなる負担軽減が期待できる。しかしながら、特許文献１にはＯＳとの関連が記載されておらず、改善の余地がある。

【0005】

本明細書は、オペレーティングシステムに自動機能が搭載されている情報処理装置において、テンプレートを用いた印刷をプリンタに行わせる際の、ユーザの手間を軽減する技術を開示する。

【課題を解決するための手段】

【0006】

この課題の解決を目的としてなされたプログラムは、情報処理装置のコンピュータによって実行可能なアプリケーションプログラムであって、前記情報処理装置のオペレーティングシステムは、自動機能を有し、前記自動機能は、複数の機能や操作の一連の手続きと、前記一連の手続きを起動する条件である起動条件と、を示す手続きデータが、前記オペレーティングシステムに登録されている場合に、前記オペレーティングシステムが、前記起動条件を満たしたことに応じて前記一連の手続きを自動的に実行する機能であり、前記アプリケーションプログラムは、前記情報処理装置のユーザインタフェースを用いたユーザ操作に基づいて起動される場合と、前記オペレーティングシステムが有する前記自動機能に基づいて起動される場合と、があり、さらに前記アプリケーションプログラムは、印刷対象のデータの属性とテンプレートの情報との対応付けを示すテンプレート対応情報を有し、さらに前記アプリケーションプログラムは、前記コンピュータに、前記情報処理装置の前記ユーザインタフェースを用いたユーザ操作に基づいて起動された場合に、印刷対象のデータの選択を前記ユーザインタフェースを用いて受け付け、選択された印刷対象のデータに基づく印刷ジョブを出力する手動出力処理を実行させ、さらに前記コンピュータに、前記オペレーティングシステムが有する前記自動機能に基づいて起動された場合に、前記オペレーティングシステムから起動時に入力される入力情報であって、印刷対象のデータを含む前記入力情報を取得する取得処理と、前記取得処理にて取得した前記印刷対象のデータの属性に基づいて、前記テンプレート対応情報を用いてテンプレートを選択するテンプレート選択処理と、前記取得処理にて取得した前記印刷対象のデータを前記テンプレート選択処理によって選択された前記テンプレートに配置した配置画像を、プリンタに印刷させる印刷ジョブを、前記プリンタに出力する自動出力処理と、を実行させ、前記オペレーティングシステムは、前記自動機能によって前記アプリケーションプログラムを起動する際、前記入力情報を前記アプリケーションプログラムに渡す、ことを特徴としている。

【0007】

本明細書に開示されるアプリケーションプログラムは、ＯＳが有する自動機能に基づいて起動された場合に、起動時にＯＳから入力された印刷対象のデータの属性に基づいて、テンプレート対応情報を用いてテンプレートを選択する。さらに、アプリケーションプログラムは、印刷対象のデータを選択されたテンプレートに配置した配置画像を印刷させる印刷ジョブを、プリンタに自動的に出力する。これにより、登録された手続きデータに含まれる起動条件を満たした際に、所望のテンプレートを用いた配置画像が自動的に印刷されることになり、配置画像の印刷の度にユーザがテンプレートを選択する場合と比較して、配置画像を印刷する際のユーザの手間を軽減できる。

【0008】

上記アプリケーションプログラムの機能を実現する電子デバイス、アプリケーションプログラムの機能を実現するための制御方法、アプリケーションプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。

【発明の効果】

【0009】

本明細書に開示される技術によれば、オペレーティングシステムに自動機能が搭載されている情報処理装置において、テンプレートを用いた印刷をプリンタに行わせる際の、ユーザの手間を軽減する技術が実現される。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】実施の形態にかかる電子デバイスの概略構成図である。

【図2】手動出力処理の手順を示すフローチャートである。

【図3】定期的手続きデータに基づいて起動された場合の印刷アプリによる処理の手順を示すシーケンス図である。

【図4】テンプレート情報の例を示す説明図である。

【図5】プリンタ情報の例を示す説明図である。

【図6】ロック状態での選択画面の例を示す説明図である。

【図7】非ロック状態での選択画面の例を示す説明図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下、電子デバイスに組み込まれたプログラムを具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、スマートフォンやタブレットコンピュータなどの携帯可能な電子デバイスに組み込まれたアプリケーションプログラム（以下、「アプリ」とする）を開示するものである。

【0012】

本形態の電子デバイス１は、図１に示すように、ＣＰＵ１１と、メモリ１２と、を含むコントローラ１０を備える。さらに、電子デバイス１は、ユーザインタフェース（以下、「ユーザＩＦ」とする）１３と、通信インタフェース（以下、「通信ＩＦ」とする）１４と、位置検知部１５と、を備え、これらがコントローラ１０に電気的に接続されている。電子デバイス１は、さらに、他の検知部や他の機能を備えていても良い。電子デバイス１は、情報処理装置の一例である。

【0013】

ＣＰＵ１１は、メモリ１２から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。ＣＰＵ１１は、コンピュータの一例である。メモリ１２は、例えば、ＲＯＭ、ＲＡＭ、ＨＤＤ、フラッシュメモリ、を含み、各種のプログラムやデータを記憶する。なお、図１中のコントローラ１０は、電子デバイス１の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際に電子デバイス１に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。

【0014】

ユーザＩＦ１３は、表示機能を備える構成と操作受付機能を備える構成とを含む。ユーザＩＦ１３は、例えば、表示機能とタッチ受付機能とを備えるタッチパネルを含み、さらに、音声入力機能を備えるマイクや音声出力機能を備えるスピーカを含んでもよい。

【0015】

通信ＩＦ１４は、各種の外部装置との通信を行うためのハードウェアを含む。通信ＩＦ１４の通信方式は、Ｗｉ－Ｆｉ（登録商標）、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）、ＵＳＢ、ＮＦＣ（Near Field Communicationの略）等である。電子デバイス１は、通信ＩＦ１４として、複数の通信方式に対応可能であっても良い。また、電子デバイス１は、通信ＩＦ１４を介して、インターネットへの接続が可能であっても良い。

【0016】

位置検知部１５は、ＧＰＳ等を利用して、電子デバイス１の地表面方向の位置を検知するためのハードウェアを含む。位置検知部１５は、所定のビーコン発生器から送出されるビーコンを受信することで、電子デバイス１の位置を検知するものであっても良い。

【0017】

本形態の電子デバイス１のメモリ１２には、図１に示すように、オペレーティングシステム（以下、「ＯＳ」とする）２１と、各種のアプリと、が組み込まれている。ＯＳ２１は、複数のタスクを管理して切り換えることにより複数のタスクを並行して処理できるマルチタスクＯＳであり、例えば、ｉＯＳ（登録商標）、Ａｎｄｒｏｉｄ（登録商標）、Ｗｉｎｄｏｗｓ（登録商標）、ｍａｃＯＳ（登録商標）、Ｌｉｎｕｘ（登録商標）のいずれかである。

【0018】

本形態の電子デバイス１のＯＳ２１には、連結プログラム２１１が組み込まれている。連結プログラム２１１は、あらかじめ登録された手続きデータに基づいて、その手続きデータに登録された処理を自動的に実行するプログラムである。連結プログラム２１１は、自動機能を実現するためのプログラムの一例である。連結プログラム２１１は、例えば、ｉＯＳ上で動作可能なSiriShortcutである。

【0019】

連結プログラム２１１には、１以上の手続きデータを登録可能であり、各手続きデータには、その手順の実行を開始する条件であるトリガと、実行される手順の内容であるアクションと、が関連付けて記憶される。連結プログラム２１１は、登録されている手続きデータのトリガの検知を常時行い、トリガを検知すると、そのトリガに対応して記憶されているアクションの実行を開始する。なお、手続きデータのアクションには、複数の機能や操作を所定の順序で順に実行する一連の手続きを登録することができる。トリガは、自動機能の起動条件の一例であり、アクションは、自動機能の手続きの一例である。

【0020】

連結プログラム２１１の各手続きデータには、トリガとして、例えば、ユーザＩＦ１３への所定の操作の受け付け、電子デバイス１が備える各種の検知部による所定の情報の検知、電子デバイス１に組み込まれている各種のアプリによる所定の情報の出力、の登録が可能である。また、連結プログラム２１１の各手続きデータには、アクションとして、例えば、ユーザＩＦ１３への出力や操作入力の受け付け、所定のアプリの起動や停止、所定のアプリへの所定の情報の出力、の登録が可能である。

【0021】

なお、本形態の電子デバイス１は、ユーザＩＦ１３の表示態様として、ロック状態と非ロック状態とを切り替えるロック機能を備えている。電子デバイス１は、例えば、所定時間以上連続して操作を受け付けなかった場合に、ロック状態となる。ロック状態では、電子デバイス１は、例えば、所定のロック状態用の画面を表示し、ユーザＩＦ１３への操作の一部を制限する。

【0022】

電子デバイス１は、ロック状態では、ロック状態を解除するための解除情報の入力を受け付け、入力を受け付けた情報がメモリ１２に記憶している解除情報と一致する場合、ロック状態を解除して非ロック状態に移行する。非ロック状態となると、電子デバイス１は、ロック状態用の画面を非表示とし、各種の操作を受け付け可能な画面である非ロック状態用の画面を表示する。

【0023】

ただし、ＯＳ２１や連結プログラム２１１は、ロック状態でも、各検知部による検知や登録されている手続きデータのトリガに該当するか否かの判断を行っている。連結プログラム２１１は、登録されている手続きデータのトリガを検知したと判断した場合には、ロック状態でも、検知したトリガに対応するアクションの実行を自動的に開始する。

【0024】

電子デバイス１には各種のアプリを組み込み可能であり、本形態の電子デバイス１には、少なくとも印刷アプリ２２を含む各種のアプリが組み込まれている。印刷アプリ２２は、プリンタに印刷を実行させるための印刷ジョブを生成して、生成した印刷ジョブを、指定された出力先に宛てて出力する機能を備えるプログラムである。印刷ジョブの出力先は、電子デバイス１に直接接続されているプリンタであってもよいし、直接接続されていないプリンタと共用するサーバであってもよい。印刷アプリ２２は、アプリケーションプログラムの一例である。

【0025】

本形態の印刷アプリ２２は、テンプレート情報２２１と、プリンタ情報２２２と、を有している。テンプレート情報２２１は、印刷アプリ２２が印刷ジョブを生成する際に用いるテンプレートの情報である。プリンタ情報２２２は、印刷アプリ２２が印刷ジョブを出力する出力先を決定するための情報である。印刷アプリ２２による動作や、テンプレート情報２２１、プリンタ情報２２２、の詳細については、後述する。

【0026】

なお、印刷アプリ２２は、所定のモデルのプリンタに対応する専用のプログラムであってもよいし、各種のプリンタに対応する汎用のプログラムであってもよい。印刷アプリ２２は、Ａ４等の定型サイズの用紙に印刷するプリンタ用のプログラムであってもよいし、ラベル紙への印刷を行ってラベルを作成するプリンタ用のプログラムであってもよいし、いずれも可能なプログラムであってもよい。

【0027】

本形態の電子デバイス１には、図１に示すように、さらに、スケジュールアプリ２３が組み込まれている。スケジュールアプリ２３は、ユーザによるスケジュールの登録、編集、削除等の指示を受け付け、指示に基づいて、電子デバイス１のメモリ１２にスケジュールを記憶するアプリである。

【0028】

そして、本形態の電子デバイス１は、図１に示すように、通信ＩＦ１４を介して、印刷アプリ２２に対応するプリンタである第１プリンタ３または第２プリンタ４と接続可能である。第１プリンタ３と第２プリンタ４とは、いずれも、印刷アプリ２２によって生成された印刷ジョブに基づく印刷を実行可能な装置である。

【0029】

本形態の第１プリンタ３は、例えば、電子デバイス１のユーザの職場に設置され、ロール状のラベル紙を収容してラベルに印刷可能なラベルプリンタである。本形態の第２プリンタ４は、例えば、電子デバイス１のユーザの自宅に設置されているラベルプリンタである。なお、第１プリンタ３および第２プリンタ４は、電子写真方式またはインクジェット方式によって、普通紙等の用紙への印刷を実行可能な普通紙プリンタであっても良い。

【0030】

続いて、印刷アプリ２２による動作の例について、シーケンス図等を参照して説明する。なお、以下の処理および各処理ステップは、基本的に、各プログラムに記述された命令に従ったＣＰＵ１１の処理を示す。ＣＰＵ１１による処理は、電子デバイス１のＯＳ２１のＡＰＩを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、ＯＳ２１の記載を省略してプログラムの動作を説明する。

【0031】

まず、ユーザの操作に基づいて手動で起動された場合の印刷アプリ２２の処理である、手動出力処理の手順について、図２のフローチャートを参照して説明する。手動出力処理は、ユーザＩＦ１３へのユーザ操作に基づいて、例えば、ユーザによってアプリのアイコンが操作されることで、印刷アプリ２２が指定されて起動された場合に、印刷アプリ２２に基づいて、電子デバイス１のＣＰＵ１１にて実行される。

【0032】

手動出力処理では、ＣＰＵ１１は、あらかじめ備えているトップ画面を表示して（Ｓ１０１）、ユーザの操作を受け付ける。ＣＰＵ１１は、ユーザの操作に基づいて、印刷対象のデータや使用するテンプレートの選択、印刷パラメータの選択を受け付ける（Ｓ１０２）。ＣＰＵ１１は、プリンタが選択されていない場合には、プリンタの選択も受け付ける。そして、ＣＰＵ１１は、印刷実行の指示を受け付けたか否かを判断し（Ｓ１０３）、受け付けていない場合には（Ｓ１０３：ＮＯ）、さらにユーザの操作を受け付ける。

【0033】

印刷実行の指示を受け付けたと判断した場合（Ｓ１０３：ＹＥＳ）、ＣＰＵ１１は、印刷ジョブを生成し（Ｓ１０４）、生成した印刷ジョブを、指定された出力先に送信する（Ｓ１０５）。印刷ジョブの出力先は、電子デバイス１に接続されているプリンタ、例えば、第１プリンタ３や第２プリンタ４であってもよいし、電子デバイス１と接続されていないプリンタと共用するサーバであってもよい。

【0034】

本形態の印刷アプリ２２は、印刷ジョブを送信した後、印刷ログを記憶する（Ｓ１０６）。印刷ログには、印刷対象のデータを示す情報と、印刷させる装置であるプリンタを示す情報と、印刷を実行した日時を示す情報と、が互いに関連付けて記憶される。テンプレートを使用した印刷ジョブを生成した場合、印刷ログには、使用したテンプレートの情報も含まれる。

【0035】

さらに、ＣＰＵ１１は、ユーザの操作による印刷アプリ２２を終了させる指示を受け付けたか否かを判断する（Ｓ１０７）。終了の指示を受け付けていない場合（Ｓ１０７：ＮＯ）、ＣＰＵ１１は、例えば、トップ画面の表示などに戻り、さらにユーザの操作を受け付ける。ユーザの操作によって終了の指示を受け付けたと判断した場合（Ｓ１０７：ＹＥＳ）、ＣＰＵ１１は、印刷アプリ２２を終了させる。

【0036】

本形態の印刷アプリ２２は、ユーザの操作とは異なる手順で起動される場合もある。本形態の電子デバイス１には、アクションに印刷アプリ２２の起動手順が含まれる１以上の手続きデータが登録されている。印刷アプリ２２は、登録された手続きデータのトリガが検出された際に、連結プログラム２１１によって自動的に起動される。アクションに印刷アプリ２２の起動手順が含まれる手続きデータのアクションには、起動した印刷アプリ２２に、手続きデータのトリガに関する情報を含む入力情報を渡す手順が含まれる。

【0037】

なお、手続きデータの登録は、例えば、印刷アプリ２２とともに提供される登録ファイルを利用することで、印刷アプリ２２のインストールに伴って、自動的にあるいはユーザの選択に基づいて行われる。また、印刷アプリ２２とは別のアプリとして、手続きデータを登録するための登録アプリであって、あらかじめ複数の手続きデータが用意されている登録アプリが提供されてもよい。登録アプリを実行することで、例えば、ユーザの選択に基づいて、選択された手続きデータが電子デバイス１に登録される。

【0038】

印刷アプリ２２は、連結プログラム２１１の機能によって手続きデータに基づいて起動された場合、連結プログラム２１１から入力される入力情報を受け取り、受け取った入力情報に基づいて、起動後の処理手順を決定する。印刷アプリ２２は、例えば、入力情報に基づいて、印刷対象のデータや使用するテンプレート、印刷ジョブの出力先を決定する。

【0039】

本形態の印刷アプリ２２は、連結プログラム２１１を介さずに、ユーザの通常の操作に基づいて手動で起動された場合、入力情報を受け取らない。印刷アプリ２２は、起動時に入力情報を受け取らなかった場合、前述した手動出力処理を実行する。本形態の印刷アプリ２２は、ユーザ操作に基づいて手動で起動された場合、すなわち、起動時に入力情報を受け取らなかった場合と、連結プログラム２１１によって自動的に起動された場合、すなわち、起動時に入力情報を受け取った場合と、でそれぞれ異なる動作を実行する。

【0040】

次に、電子デバイス１に登録されている手続きデータに基づいて、連結プログラム２１１によって起動された場合の印刷アプリ２２の動作の例について説明する。以下の処理は、基本的に、印刷アプリ２２等に基づいて、電子デバイス１のＣＰＵ１１にて実行される処理である。

【0041】

本形態の電子デバイス１には、１日１回等の予め設定された定期的なタイミングが到来したことをトリガに含む手続きデータ（以下、「定期的手続きデータ」とする）が登録されているものとする。本形態の定期的手続きデータのトリガには、さらに、自宅や職場等の所定の位置範囲内への進入の条件を含んでも良い。

【0042】

本形態の定期的手続きデータのアクションには、例えば、未処理のスケジュールが有るか否かの判断と、未処理のスケジュールがあると判断した場合に印刷アプリ２２を起動する手順と、が含まれる。未処理のスケジュールは、スケジュールアプリ２３に登録されているスケジュールのうち、印刷アプリ２２による処理が完了していないスケジュールであり、例えば、新規に登録されたスケジュール、処理の実行が延期されたスケジュール、である。本形態の印刷アプリ２２は、スケジュールアプリ２３に登録されたスケジュールに対する処理として、例えば、スケジュール帳に貼るラベルを作成するための印刷ジョブを生成する。

【0043】

定期的手続きデータに基づく印刷アプリ２２等の処理の手順について、図３のシーケンス図を参照して説明する。なお、定期的手続きデータが登録されていない場合、電子デバイス１は、図３に示す動作を実行しない。また、図３中に示すＯＳ２１の処理には、連結プログラム２１１による処理が含まれる。

【0044】

本形態の印刷アプリ２２は、ユーザ操作によってあらかじめ、テンプレート情報２２１とプリンタ情報２２２との登録指示を受け付ける（Ｓ２０１）。テンプレート情報２２１は、例えば、図４に示すように、スケジュールの属性と、テンプレートの種類と、を関係付ける情報である。テンプレート情報２２１は、テンプレート対応情報の一例であり、スケジュールの属性は、印刷対象のデータの属性の一例である。

【0045】

スケジュールの属性は、スケジュールを分類するための情報であり、例えば、ビジネス、重要、プライベート、休日、である。スケジュールの属性は、単に重要なスケジュールであるか否かを示す情報であっても良いし、変更可能なスケジュールであるか否かを示す情報であっても良い。スケジュールアプリ２３は、スケジュールの登録時等に、そのスケジュールの属性のユーザによる指定を受け付け可能であり、指定された属性の情報をスケジュールに関連付けて記憶する。

【0046】

テンプレートの種類は、スケジュールのラベルを印刷する際に使用するテンプレートの情報であり、例えば、枠情報、フォント情報、サイズ情報、を含む。重要なスケジュールに対応する重要テンプレートは、例えば、枠なし、太文字フォント、スケジュール帳の平日欄のサイズ、である。テンプレートには、背景画像の他、所定の文字やマーク、顔文字などを含んでも良い。

【0047】

本形態の印刷アプリ２２は、あらかじめ複数種類のテンプレートを備えており、例えば、ユーザの指示に基づいて、スケジュールの属性ごとに選択されたテンプレートの種類をテンプレート情報２２１に記憶する。印刷アプリ２２は、あらかじめテンプレートの情報が記憶されたテンプレート情報２２１を有していても良い。また、印刷アプリ２２は、新たなテンプレートの作成指示や各テンプレートの編集指示を受け付けても良い。

【0048】

プリンタ情報２２２は、例えば、図５に示すように、電子デバイス１に接続可能なプリンタごとに、プリンタの識別情報と、スケジュールの属性またはテンプレートの種類または設置場所を示す情報と、の対応付けを示す情報である。プリンタとスケジュールの属性との対応付けを示すプリンタ情報２２２は、第１プリンタ対応情報の一例である。プリンタとテンプレートの種類との対応付けを示すプリンタ情報２２２は、第２プリンタ対応情報の一例である。

【0049】

印刷アプリ２２は、印刷ジョブの送信先として選択可能な複数のプリンタが登録された場合、ユーザの指定に基づいて、プリンタごとのスケジュールの属性またはテンプレートの種類または設置場所の情報を受け付け、受け付けた情報をプリンタ情報２２２に記憶する。なお、接続可能なプリンタが１台のみであれば、プリンタ情報２２２は、無くても良い。また、図５では、スケジュールの属性とテンプレートの種類と設置場所との全ての情報を含むプリンタ情報２２２を図示しているが、いずれか１つ以上の情報を含んでいても良い。

【0050】

印刷アプリ２２は、ユーザの登録指示に基づいて、テンプレート情報２２１とプリンタ情報２２２とを、メモリ１２に登録する（Ｓ２０２）。プリンタ情報２２２を登録するＳ２０２は、第１登録処理と第２登録処理と第３登録処理との一例である。

【0051】

また、ユーザは、任意のタイミングでスケジュールアプリ２３を実行し、スケジュールの登録や編集の指示を行う（Ｓ２０５）。スケジュールアプリ２３は、ユーザの指示に基づいて、スケジュールを登録し（Ｓ２０６）、登録や編集の指示を受け付けたことを示す情報をＯＳ２１に渡す（Ｓ２０７）。

【0052】

ＯＳ２１の連結プログラム２１１は、電子デバイス１の時計機能に基づいて、定期的手続きデータのトリガに該当する定期的なタイミングが到来したか否かを判断する（Ｓ２１１）。定期的なタイミングであると判断した場合（ａｌｔ：［ＹＥＳ］）、連結プログラム２１１は、定期的手続きデータのトリガを満たしたと判断して、定期的手続きデータのアクションを開始する。定期的なタイミングではないと判断した場合、連結プログラム２１１は、定期的手続きデータのアクションを実行しない。

【0053】

定期的手続きデータのアクションとして、連結プログラム２１１は、まず、新規または保存中のスケジュールが有るか否かを判断する（Ｓ２１２）。新規のスケジュールは、前回の定期的なタイミングから今回の定期的なタイミングまでの間に登録や編集が行われたスケジュールであり、保存中のスケジュールは、後述する手順によってメモリ１２に保存されているスケジュールである。

【0054】

新規または保存中のスケジュールが有ると判断した場合（ａｌｔ：［有］）、連結プログラム２１１は、印刷アプリ２２を起動し（Ｓ２１５）、新規または保存中のスケジュールの情報を含む入力情報を印刷アプリ２２へ渡す（Ｓ２１６）。これにより、印刷アプリ２２が起動され、印刷アプリ２２は、入力情報を連結プログラム２１１から取得する。Ｓ２１６は、取得処理の一例である。Ｓ２１６の後、連結プログラム２１１は、定期的手続きデータのアクションを終了する。なお、新規または保存中のスケジュールが無いと判断した場合には、連結プログラム２１１は、印刷アプリ２２を起動せず、定期的手続きデータのアクションを終了する。

【0055】

印刷アプリ２２は、起動時に、スケジュールの情報を含む入力情報を受け取った場合、前述した手動出力処理を実行せず、入力情報に対応してあらかじめ設定されている動作を開始する。印刷アプリ２２は、まず、電子デバイス１がロック状態であるか否かを、ＯＳ２１に問い合わせて回答を得る（Ｓ２２１）。

【0056】

そして、印刷アプリ２２は、入力情報として取得したスケジュールの情報に基づいて、印刷するか否かの選択を受け付ける選択画面をユーザＩＦ１３に表示させ、ユーザの選択を受け付ける（Ｓ２２２）。Ｓ２２２は、通知処理および受付処理の一例である。なお、入力情報として取得したスケジュールが複数有る場合、印刷アプリ２２は、スケジュールごとに選択画面を表示しても良いし、１つの選択画面に纏めて表示してスケジュールごとの回答を受け付けても良い。

【0057】

Ｓ２２２では、印刷アプリ２２は、Ｓ２２１にて取得した回答に基づいて、電子デバイス１がロック状態であるか否かに応じて、異なる内容の通知を行う。印刷アプリ２２は、ロック状態では、例えば、図６に示すように、印刷対象のデータの内容を示す内容情報を含まない選択画面を表示させ、非ロック状態では、例えば、図７に示すように、印刷対象のデータの内容情報を含む選択画面を表示させる。

【0058】

ロック状態では、非ロック状態と比較して入力可能な情報に制限があることから、ロック状態と非ロック状態とで通知内容が異なることで、それぞれの状態にあった表示を行うことができる。例えば、ロック状態では第三者が電子デバイス１を保持している可能性が少なからずあるため、内容情報を通知に含めないことで、安全性を高めることができる。一方で、非ロック状態では本人が電子デバイス１を保持している可能性が高いため、内容情報を含めて報知することで、どのような印刷が行われるのかをユーザが把握し易い。なお、ロック状態では画面に表示可能なデータ量に制約がある場合もあり、メッセージの量を非ロック状態よりも少なくしてもよい。

【0059】

印刷アプリ２２は、表示させた選択画面にて、「印刷する」、「印刷しない」、「後で通知」、のいずれかの選択を受け付ける。印刷アプリ２２は、選択画面にて、「後で通知」の選択を受け付けた場合（ａｌｔ：［後で］）、選択画面を非表示とし、今回の通知の対象となったスケジュールの情報を保存する指示をＯＳ２１に渡す（Ｓ２２３）。Ｓ２２３は、保存処理の一例である。印刷アプリ２２は、Ｓ２２３の後、Ｓ２５１に進んで、自身を終了させる。なお、今回の通知の対象となったスケジュールが、既に保存されている保存中のスケジュールであれば、印刷アプリ２２は、Ｓ２２３をスキップして終了する。

【0060】

ＯＳ２１は、印刷アプリ２２の指示に基づいて、スケジュールの情報を保存する（Ｓ２２４）。Ｓ２２４にて保存されたスケジュールの情報が有る場合、ＯＳ２１は、前述したＳ２１２にて、保存中のスケジュールが有ると判断する。今回の通知とは別のタイミングで印刷の選択を再度受け付けることで、ユーザの望むタイミングで印刷できることが期待できる。なお、印刷アプリ２２は、選択画面の表示後、所定時間が経過しても選択を受け付けない場合、「後で通知」の選択を受け付けた場合と同様に、スケジュールの情報の保存を指示して終了しても良い。

【0061】

印刷アプリ２２は、表示中の選択画面にて、「印刷する」の選択を受け付けた場合（ａｌｔ：［印刷］）、さらに、Ｓ２２１にて取得した回答に基づいて、ロック状態であれば（ａｌｔ：〔ロック状態〕）、ロックを解除する情報を受け付ける指示をＯＳ２１に渡す（Ｓ２２５）。印刷アプリ２２は、ロック状態でも印刷の実行可否の選択は受け付けるが、実行が選択された場合にはロック状態の解除を要求する。これにより、第三者による印刷を抑制し、安全性を高めることができる。

【0062】

ＯＳ２１は、印刷アプリ２２からの指示に基づいて、ロック状態を解除する解除情報を受け付ける解除画面を、ユーザＩＦ１３に表示させる（Ｓ２２６）。ユーザは、解除画面にて、ロック状態を解除するための解除情報を入力する（Ｓ２２７）。ＯＳ２１は、入力された解除情報が適切な解除情報であるか否かを判断し、適切な解除情報ではないと判断した場合、再度解除画面を表示させ、適切な解除情報の入力を受け付けるまでロック状態を維持する。一方、適切な解除情報が入力されたと判断した場合、ＯＳ２１は、ロック状態を解除して非ロック状態となる。

【0063】

ＯＳ２１は、ユーザの操作によって非ロック状態となった場合、非ロック状態となったことを示す情報を印刷アプリ２２に渡す（Ｓ２２８）。なお、印刷アプリ２２は、解除画面の表示指示の後に、非ロック状態となったことを示す情報を受け取らないまま所定時間が経過した場合、自身を終了させても良い。

【0064】

印刷アプリ２２は、Ｓ２２１にてロック状態ではないとの回答を得た場合、または、Ｓ２２８の情報を受け取った後、印刷対象のスケジュールの属性を示す属性情報を取得する（Ｓ２３１）。属性情報は、例えば、スケジュールの登録時にユーザによって指定されている情報であり、例えば、ＯＳ２１から受け取る入力情報に含まれている。ＯＳ２１は、印刷対象のスケジュールの情報として、スケジュールの属性の情報もスケジュールアプリ２３から取得して、印刷アプリ２２に渡す。ＯＳ２１から印刷対象のスケジュールの属性情報も取得することで、印刷アプリ２２が属性を解析する場合と比較して、属性情報の取得が容易である。

【0065】

なお、入力情報にスケジュールの属性情報が含まれていない場合、印刷アプリ２２は、例えば、印刷対象のスケジュールの文言を解析して、スケジュールの属性を取得しても良い。印刷アプリ２２は、例えば、文言に会社名や部署名が含まれている場合にビジネスと判断し、文言に重要や緊急の文字が含まれている場合に重要と判断し、文言に家族や友人の名前が含まれている場合にプライベートと判断し、文言に休日を示す日付情報が含まれている場合に休日と判断する。印刷アプリ２２がスケジュールを解析して属性情報を取得する場合のＳ２３１は、解析処理の一例である。印刷対象のスケジュールの属性を印刷アプリ２２が解析するとすれば、スケジュールの登録時に属性を関連付けておく必要が無く、ユーザの手間をより軽減できる。

【0066】

印刷アプリ２２は、スケジュールの属性に基づいて、テンプレートを選択する（Ｓ２３２）。Ｓ２３２は、テンプレート選択処理の一例である。印刷アプリ２２は、テンプレート情報２２１（図４参照）を用いて、スケジュールの属性情報に対応して登録されているテンプレートを選択する。さらに、印刷アプリ２２は、スケジュールの内容を示すテキストを、選択されたテンプレートに配置し、配置画像に基づいて、印刷ジョブを生成する（Ｓ２３３）。

【0067】

さらに、印刷アプリ２２は、印刷ジョブを出力する出力先のプリンタを選択する（Ｓ２３４）。印刷アプリ２２は、例えば、Ｓ２３１にて取得した属性情報と、プリンタ情報２２２と、を用いて、出力先のプリンタを選択する。印刷アプリ２２は、例えば、スケジュールの属性がビジネスであれば、職場のプリンタである第１プリンタ３を出力先のプリンタとして選択し、スケジュールの属性がプライベートであれば、自宅のプリンタである第２プリンタ４を出力先のプリンタとして選択する。この場合、Ｓ２３４は、第１プリンタ選択処理の一例である。登録されたプリンタの中から印刷対象のスケジュールの属性に対応するプリンタを選択することで、印刷対象のスケジュールの属性にあったプリンタに出力できる。

【0068】

なお、印刷アプリ２２は、Ｓ２３２にて選択したテンプレートの種類と、プリンタ情報２２２と、を用いてプリンタを選択しても良い。印刷アプリ２２は、例えば、選択されたテンプレートがビジネステンプレートであれば、職場のプリンタである第１プリンタ３を選択し、選択されたテンプレートがプライベートテンプレートであれば、自宅のプリンタである第２プリンタ４を選択するとしても良い。この場合、Ｓ２３４は、第２プリンタ選択処理の一例である。登録されたプリンタの中から選択されたテンプレートに対応するプリンタを選択することで、テンプレートにあったプリンタに出力できる。

【0069】

また、印刷アプリ２２は、ＯＳ２１から電子デバイス１の位置の情報を取得し、取得した情報に基づいて、電子デバイス１の位置に近い位置に設置されているプリンタを選択しても良い。ＯＳ２１は、例えば、位置検知部１５（図１参照）によって、電子デバイス１の位置の情報を取得できる。また、各プリンタの設置位置の情報は、プリンタ情報２２２に登録されている。印刷アプリ２２は、ＯＳ２１から取得した位置情報に基づいて、例えば、電子デバイス１の位置が職場であると判断した場合、職場に設置されている第１プリンタ３を選択し、電子デバイス１の位置が自宅であると判断した場合、自宅に設置されている第２プリンタ４を選択するとしても良い。この場合、Ｓ２３４は、位置取得処理と第３プリンタ選択処理との一例である。プリンタの位置情報と現在の電子デバイス１の位置情報とに基づいてプリンタを選択することで、ユーザが利用し易い位置にあるプリンタに出力できる。

【0070】

印刷アプリ２２は、Ｓ２３３にて生成した印刷ジョブを、Ｓ２３４にて選択した出力先のプリンタに出力する（Ｓ２３５）。Ｓ２３５は、自動出力処理の一例である。印刷アプリ２２は、生成された印刷ジョブや選択されたプリンタの情報をユーザＩＦ１３を介して通知しても良い。

【0071】

なお、印刷アプリ２２は、Ｓ２３４にて選択した出力先のプリンタと接続できない場合、接続できない旨を通知するメッセージを表示させても良いし、印刷ジョブを一旦記憶して次回起動された際に印刷するとしても良い。また、印刷アプリ２２は、Ｓ２３４にて選択した出力先のプリンタと接続できない場合、接続可能なプリンタを検索し、接続可能な別のプリンタに切り替えて出力しても良い。

【0072】

印刷ジョブを受け付けたプリンタは、受け付けた印刷ジョブに基づいて、印刷を実行する（Ｓ２４１）。これにより、選択されたテンプレートに新規または保存中のスケジュールの情報が配置された配置画像に基づく印刷物が作成される。

【0073】

印刷アプリ２２は、今回の印刷の対象が保存中のスケジュールであれば、そのスケジュールの情報の削除をＯＳ２１に指示し（Ｓ２３６）、自身を終了させる（Ｓ２５１）。これにより、印刷済みのスケジュールは、以後の通知の対象とならない。また、印刷の対象が保存中のスケジュールではない場合には、印刷アプリ２２は、Ｓ２３６をスキップして終了する。

【0074】

また、印刷アプリ２２は、Ｓ２２２にて表示させた選択画面にて、「印刷しない」の選択を受け付けた場合（ａｌｔ：［印刷しない］）、今回の通知の対象が保存中のスケジュールであれば、そのスケジュールの情報の削除をＯＳ２１に指示し（Ｓ２３８）、自身を終了させる（Ｓ２５１）。通知の対象が保存中のスケジュールではなく、新規のスケジュールである場合には、印刷アプリ２２は、Ｓ２３８をスキップして終了する。「印刷しない」が選択された新規のスケジュールは、保存されることはなく、以後の通知の対象とはならない。本形態の印刷アプリ２２は、通知にて印刷の実行可否の選択を受け付けるので、望まない印刷を回避できる。

【0075】

以上、詳細に説明したように、本明細書に記載の印刷アプリ２２は、定期的手続きデータに基づいて連結プログラム２１１によって起動された場合、連結プログラム２１１から入力情報を受け取り、受け取った入力情報に基づいて、テンプレートを選択する。さらに、印刷アプリ２２は、印刷対象のデータをテンプレートに配置した配置画像を印刷させる印刷ジョブを生成し、生成した印刷ジョブを第１プリンタ３または第２プリンタ４に自動的に出力する。これにより、配置画像の印刷の度にユーザがテンプレートを選択する場合と比較して、配置画像を印刷する際のユーザの手間を軽減できる。

【0076】

ここまで、定期的手続きデータによる手順を詳細に説明したが、電子デバイス１には、さらに他の手続きデータが登録されていても良い。つまり、電子デバイス１には、定期的タイミングとは異なるトリガで実行され、アクションに印刷アプリ２２の起動を含む手続きデータが登録されていても良い。

【0077】

次に、定期的手続きデータとは異なる手続きデータに基づいて、連結プログラム２１１によって起動された場合の印刷アプリ２２の動作の例について、説明する。印刷アプリ２２は、他の手続きデータに基づいて起動された場合にも、トリガの情報を入力情報としてＯＳ２１から受け取る。印刷アプリ２２は、受け取った入力情報に基づいて、起動後の動作を決定する。

【0078】

例えば、電子メールの受信をトリガとする手続きデータによって起動された場合、印刷アプリ２２は、入力情報として、受信した電子メールのタイトルと送信元との情報を受け取る。印刷アプリ２２は、入力情報として受け取った電子メールのタイトルの情報に基づいて、例えば、所定の発注メールであると判断した場合、宛先ラベルを印刷するか否かを通知する。ユーザによって印刷する指示を受け付けたら、印刷アプリ２２は、宛先ラベル用のテンプレートを選択し、選択したテンプレートに電子メールの送信元の情報を配置した印刷ジョブを生成し、生成した印刷ジョブを所定のプリンタに出力する。

【0079】

例えば、電子デバイス１の位置が所定の位置範囲内、例えば、所定の座席の近傍に入ったことをトリガとする手続きデータによって起動された場合、印刷アプリ２２は、入力情報として、所定の位置範囲内に入ったことを示す情報を受け取る。印刷アプリ２２は、入力情報に基づいて、例えば、所定の座席に着席した日時を印刷するか否かを通知する。ユーザによって印刷する指示を受け付けたら、印刷アプリ２２は、打刻用のテンプレートを選択し、選択したテンプレートにユーザの名前や日時の情報を配置した印刷ジョブを生成し、生成した印刷ジョブを所定のプリンタに出力する。

【0080】

例えば、電子デバイス１が所定の相手との無線通信を確立したことをトリガとする手続きデータによって起動された場合、印刷アプリ２２は、入力情報として、通信相手の情報を受け取る。印刷アプリ２２は、入力情報に基づいて、例えば、イベントの受け付けにてイベント用のプリンタとの無線通信を確立した場合、イベントの受け付け票を印刷するか否かを通知する。ユーザによって印刷する指示を受け付けたら、印刷アプリ２２は、受け付け票用のテンプレートを選択し、選択したテンプレートにユーザの名前や日時の情報を配置した印刷ジョブを生成し、生成した印刷ジョブを接続されたプリンタに出力する。

【0081】

例えば、スケジュールアプリ２３に登録されているスケジュールの日時が到来したことをトリガとする手続きデータによって起動された場合、印刷アプリ２２は、入力情報として、到来したスケジュールの情報を受け取る。印刷アプリ２２は、例えば、入力情報として受け取った情報に該当する期間に撮影された写真を印刷するか否かを通知する。ユーザによって印刷する指示を受け付けたら、印刷アプリ２２は、写真用のテンプレートを選択し、選択したテンプレートにスケジュールの情報や写真を配置した印刷ジョブを生成し、生成した印刷ジョブを所定のプリンタに出力する。印刷アプリ２２は、複数枚の写真を配置できるテンプレートを選択しても良い。

【0082】

なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、電子デバイス１は、携帯可能なものに限らず、据え置き型のパーソナルコンピュータ等であっても良い。また、電子デバイス１に接続されるプリンタは、印刷単機能のものに限らず、複合機、複写機、ＦＡＸ装置、等の、通信機能と印刷機能とを有する装置であればよい。

【0083】

また、本形態では、印刷アプリ２２が、各テンプレートの画像データを有し、スケジュールの内容等をテンプレートに配置した配置画像を生成するとしたが、プリンタが、テンプレートの画像データや合成機能を有していても良い。その場合、印刷アプリ２２は、選択されたテンプレートを示す情報と、スケジュールの内容を示す情報と、合成の指示と、を含む印刷ジョブをプリンタに出力し、プリンタが、テンプレートの画像とスケジュールの画像との合成を行って、合成画像に基づく印刷とを行うとすれば良い。

【0084】

また、例えば、印刷アプリ２２は、スケジュールの属性が取得できない、または、取得された属性に対応するテンプレートが登録されていない、等の理由によってテンプレートを選択できなかった場合、あらかじめ決まっている所定のテンプレートを選択するとしても良いし、テンプレートを使用しないとしても良い。また、印刷アプリ２２は、テンプレートが選択できなかった場合に、記憶している印刷ログに基づいて、よく使うテンプレートを抽出して提案してもよい。

【0085】

また、例えば、本形態の印刷アプリ２２は、各種の情報に基づいて出力先のプリンタを選択するとしたが、出力先のプリンタはあらかじめ決まっていても良い。例えば、スケジュールのラベルは全て、自宅の第２プリンタ４で印刷するとしても良い。その場合、プリンタの情報は、定期的手続きデータの入力情報として連結プログラム２１１から受け取っても良いし、定期的手続きデータに対応する印刷アプリ２２に登録されていても良い。

【0086】

また、本形態では、印刷アプリ２２は、印刷するか否かの選択を受け付けるとしたが、新規のスケジュールが有れば自動的に印刷ジョブを生成し、自動的に出力しても良い。その場合、印刷アプリ２２は、印刷ジョブの出力後に、印刷ジョブを出力したことを通知しても良い。また、「後で通知」の選択肢は、無くても良い。ただし、「後で通知」を選択可能にすることで、別のタイミングでの印刷が可能となり、ユーザの利便性が向上する。

【0087】

また、例えば、電子デバイス１がロック状態であるか否かの判断は、行わなくても良い。つまり、印刷アプリ２２は、「印刷する」の選択を受け付けた場合、ロック状態であっても印刷ジョブを生成して出力するとしても良い。ただし、ロック状態では、不用意に接触しただけの可能性もあることから、ロックの解除を受け付けることで、ユーザの明確な意思を確認できる。

【0088】

また、本形態では、「後で通知」の選択を受け付けた場合、スケジュールの属性情報の取得処理やテンプレートの選択処理も後で行うとしたが、これに限らない。例えば、スケジュールの情報に属性情報が含まれていない場合、印刷アプリ２２は、スケジュールの文言の解析を行って属性情報を取得してから、Ｓ２２３にて、属性情報を付加したスケジュールの情報の保存をＯＳ２１に指示するとしても良い。また、例えば、印刷アプリ２２は、「後で通知」の選択を受け付けた場合にもテンプレートの選択まで行って、Ｓ２２３にて、スケジュールの情報と選択されたテンプレートの情報との保存をＯＳ２１に指示するとしても良い。

【0089】

また、例えば、本形態では、印刷アプリ２２は、手続きデータに基づいて起動された場合、処理が終了したら自身を終了させるとしたが、終了しなくてもよい。

【0090】

また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。

【0091】

また、実施の形態に開示されている処理は、単一のＣＰＵ、複数のＣＰＵ、ＡＳＩＣなどのハードウェア、またはそれらの組合せで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。

【符号の説明】

【0092】

１ 電子デバイス
３ 第１プリンタ
４ 第２プリンタ
１１ ＣＰＵ
１３ ユーザＩＦ

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】