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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155955
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20221006BHJP
   E02F 9/16 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
E02F9/26 C
E02F9/16 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059416
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136250
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 博臣
(74)【代理人】
【識別番号】100198719
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 良裕
(72)【発明者】
【氏名】足立 薫
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭司
(72)【発明者】
【氏名】藤川 幸治
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015EB00
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】エンジンスターターを操作してエンジンを始動した後に当該エンジンスターターから目線を大きく動かすことなく表示装置のモニターを確認することが可能な建設機械の提供。
【解決手段】ミニショベルは、運転席31と、運転席31の右側方において前後方向に延在するように設けられた内装カバー35Rと、モニター51と複数の操作ボタン52とを含む表示装置5と、エンジンスターター6とを備えて構成される。表示装置5は、内装カバー35Rの前端側において内装カバー35Rと一体的に設けられている。内装カバー35Rのうち表示装置5の下側一部は、運転席31側に張り出した張出部351Rを有している。エンジンスターター6は、張出部351Rに設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械であって、
運転席と、
前記運転席の側方において前後方向に延在するように設けられた内装カバーと、
表示部と操作部とを含み、前記内装カバーの前端側に設けられる表示装置と、
前記表示装置の下側に配置されるエンジンスターターと、
を備え、
前記内装カバーのうち前記表示装置の下側一部は、前記運転席側に張り出した張出部を有し、
前記エンジンスターターは、前記張出部に設けられていることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記表示装置は、前記内装カバーの前端側において前記内装カバーと一体的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記表示装置の後側に設置される操作レバーと、
前記操作レバーの下部を覆うブーツと、
を更に備え、
前記エンジンスターターは、機械幅方向に関して、前記ブーツのうち前記運転席側の端部と同じ位置又は前記端部よりも前記運転席に近い位置に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記表示装置の上端位置は、前記操作レバーの上端位置よりも低いことを特徴とする請求項3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記張出部の端面は、円弧形状を有することを特徴とする請求項1から4のうち何れかに記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャブやキャノピーなどで構成された運転スペースに表示装置を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミニショベルや油圧ショベル等の建設機械の分野において、運転スペースにモニターを設置したものが知られている。例えば、特許文献1では、キャブやキャノピーなどで構成された運転スペース(20)に補助モニター(70)を設置した油圧ショベル(1)が開示されている。
【0003】
特許文献1では、補助モニター(60)は、支持バー(70)によって運転シート(22)の前方の斜め右側から走行ペダル(31)や走行レバー(32)の後端よりも運転シート(22)に近づいた位置に支持されている(特許文献1の図2,3参照)。
【0004】
また、特許文献1では、操作レバー(23)の右側にエンジンスターターが設けられている(特許文献1の図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-008582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1では、補助モニターとエンジンスターターとが大きく離れた位置に設けられている。そのため、エンジンスターターを操作してエンジンを始動した後、視線をエンジンスターターから補助モニターに大きく動かす必要があった。
【0007】
そこで、本発明は、エンジンスターターを操作してエンジンを始動した後に当該エンジンスターターから目線を大きく動かすことなく表示装置のモニターを確認することが可能な建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、建設機械であって、運転席と、前記運転席の側方において前後方向に延在するように設けられた内装カバーと、表示部と操作部とを含み、前記内装カバーの前端側に設けられる表示装置と、前記表示装置の下側に配置されるエンジンスターターと、を備え、前記内装カバーのうち前記表示装置の下側一部は、前記運転席側に張り出した張出部を有し、前記エンジンスターターは、前記張出部に設けられていることを特徴とする建設機械を提供している。
【0009】
ここで、前記表示装置は、前記内装カバーの前端側において前記内装カバーと一体的に設けられているのが好ましい。
【0010】
また、前記表示装置の後側に設置される操作レバーと、前記操作レバーの下部を覆うブーツと、を更に備え、前記エンジンスターターは、機械幅方向に関して、前記ブーツのうち前記運転席側の端部と同じ位置又は前記端部よりも前記運転席に近い位置に設けられるのが好ましい。
【0011】
また、前記表示装置の上端位置は、前記操作レバーの上端位置よりも低いのが好ましい。
【0012】
更に、前記張出部の端面は、円弧形状を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内装カバーのうち表示装置の下側一部は運転席側に張り出した張出部を有し、当該張出部にエンジンスターターが設けられている。つまり、エンジンスターターと表示装置とが比較的近くに配置されている。そのため、エンジンスターターを操作してエンジンを始動した後に当該エンジンスターターから目線を大きく動かすことなく表示装置のモニターを確認することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態によるミニショベル(キャブ仕様)の一部を示す斜視図。
図2図1の斜視図からキャブを除去し、運転スペースを拡大した拡大図。
図3】運転スペースの右側方前部を運転席の着座位置から見た斜視図。
図4】運転スペースの右側方前部を機械左側から見た側面図。
図5】運転スペースの右側方前部を上から見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<1.実施形態>
本発明の実施形態による建設機械について、図1から図5を参照しながら説明する。以下では、建設機械の一例として、図1に示すキャブ仕様のミニショベル1を例示する。
【0016】
図1に示すように、ミニショベル1は、図示しない下部走行体上に対して旋回可能に設けられた上部旋回体2と、上部旋回体2の旋回フレーム21上に設置されたキャブ3とを備えて構成される。
【0017】
なお、図1では図示を省略しているが、ミニショベル1は、ブーム、アーム及びバケットなどから構成されるアタッチメントを備えている。当該アタッチメントは、上部旋回体2の旋回フレーム21の前面に装着される。
【0018】
キャブ3の左側面の一部には、乗降口30が形成されている。また、キャブ3は、ミニショベル1を運転(操作)するための空間(以下、運転スペース3Sとも称する)を内部に有している。
【0019】
図2に示すように、運転スペース3Sには、運転席31と、運転席31の左側方において前後方向に延在する左内装カバー35Lと、運転席31の右側方において前後方向に延在する右内装カバー35Rとが設けられている。
【0020】
左内装カバー35Lの前端上面には、運転席31に着座したオペレータが左手で操作する操作レバー4Lが設けられている。操作レバー4Lには、下部を覆うブーツ41Lが設けられている。
【0021】
キャブ3の右側面には乗降口がないため、右内装カバー35Rは、上述した左内装カバー35Lの前端よりも前側に延在している。
【0022】
右内装カバー35Rの上面には、左右方向(キャブ3の幅方向)に関して操作レバー4Lとほぼ同じ位置において運転席31に着座したオペレータの右手で操作する操作レバー4Rが設けられている。操作レバー4Rには、下部を覆うブーツ41Rが設けられている。
【0023】
右内装カバー35Rの前端側(操作レバー4Rよりも前側の部分)は、ブーツ41Rの位置から前側に向かって上がるように傾斜している。
【0024】
図3及び図4に示すように、右内装カバー35Rの前端側一部(前側に向かって上がっている部分)には、表示装置5が右内装カバー35Rに組み込まれる形で一体的に設けられている。
【0025】
図3に示すように、表示装置5は、各種情報を画面に表示するモニター51と、各種操作を行う複数の操作ボタン52とを備えて構成される。なお、モニター51は本発明に係る表示部の一例であり、複数の操作ボタン52は本発明に係る操作部の一例である。
【0026】
図4に示すように、右内装カバー35Rの前端側一部に表示装置5が組み込まれることにより、表示装置5の上端位置は、操作レバー4Rの上端位置よりも低くなっている。また、表示装置5は、運転席31に着座したオペレータから見た場合にキャブ3の一部を構成する右前縦ピラーと重なる位置に配置されている。
【0027】
また、図3に示すように、右内装カバー35Rのうち表示装置5の下側一部は、表示装置5よりも左側(運転席31側)に張り出した張出部351Rを有している。そして、張出部351Rの端面は、円弧形状を有している。
【0028】
張出部351Rには、エンジンスターター6が設けられている。エンジンスターター6は、エンジンキーと、当該エンジンキーを差し込む差込口とを備えて構成されている。具体的には、エンジンスターター6は、オペレータがエンジンキーを差込口に差し込んで所定方向に回すことでエンジンが始動するように構成されている。
【0029】
図5に示すように、エンジンスターター6は、左右方向(機械幅方向)に関して、操作レバー4Rのブーツ41Rの左端(運転席31側の端部)とほぼ同じ位置(破線参照)に設けられている。
【0030】
上述した実施形態によれば、右内装カバー35Rのうち表示装置5の下側一部は運転席31側(左側)に張り出した張出部351Rを有し、その張出部351Rにエンジンスターター6が設けられている。つまり、エンジンスターター6と表示装置5とが比較的近くに配置されている。そのため、エンジンスターター6を操作してエンジンを始動した後にエンジンスターター6から目線を大きく動かすことなく表示装置5のモニター51を確認することが可能である。
【0031】
特に、上述した実施形態によれば、エンジンスターター6がエンジンキーと当該エンジンキーを差し込む差込口とから構成されている。そのため、エンジンスターター6が表示装置5の比較的近くに配置されることでエンジンキーの抜き忘れを防止できる。
【0032】
また、上述した実施形態によれば、表示装置5の上端位置が操作レバー4Rの上端位置よりも低くなっているため、表示装置5によって運転席31に着座したオペレータの前方右側の視界が遮蔽されない。
【0033】
また、上述した実施形態によれば、機械幅方向に関して、操作レバー4Rのブーツ41Rの左端とほぼ同じ位置にエンジンスターター6が設けられている。そのため、機械幅方向に関して、操作レバー4Rのブーツ41Rの左端よりもエンジンスターター6が右側に配置されるものに比べると、運転席31に着座したオペレータがエンジンスターター6を把握し易い。また、エンジンスターター6を操作した際に、オペレータの腕と操作レバー4Rとが接触し難く、ミニショベル1の誤作動を抑制することが可能である。
【0034】
また、上述した実施形態によれば、張出部351Rの端面が円弧状に形成されているため、他の形状(矩形状など)で形成される場合に比べて、張出部351Rによって遮蔽される前方右側の視界を最小限に抑えることが可能である。また、張出部351Rの端面に角が形成されないため、オペレータの作業服が引っ掛かり難く、また、オペレータの脚が張出部351Rに接触したとしても怪我をせずに済む。
【0035】
また、上述した実施形態によれば、表示装置5及びエンジンスターター6が右内装カバー35Rと一体的に設けられているため、表示装置5及びエンジンスターター6に対する防水加工を容易に施すことが可能である。また、特許文献1に記載の油圧ショベルに比べて、部品点数が少なくなり、組立工数も削減できる。更に、右内装カバー35Rと表示装置5との一体感が生まれ、美観も向上する。
【0036】
<2.変形例>
本発明による建設機械は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0037】
例えば、上述した実施形態では、本発明をキャブ仕様のミニショベルに適用する場合を例示したが、これに限定されず、キャノピー仕様のミニショベルに適用するようにしてもよい。
【0038】
また、上述した実施形態では、キャブ3の左側面の一部に乗降口30が形成され、乗降口30とは反対側の右内装カバー35Rに表示装置5やエンジンスターター6が設けられる場合を例示したが、これに限定されない。
【0039】
例えば、クローラクレーンのようにキャブの右側面の一部に乗降口が形成されている場合には、上述した実施形態のキャブ3の運転スペース3Sにおける各部を左右対称、すなわち、左内装カバーに表示装置やエンジンスターターを配置するようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、エンジンスターター6が、左右方向に関して、操作レバー4Rのブーツ41Rの左端とほぼ同じ位置に設けられている場合を例示したが、これに限定されない。エンジンスターター6が、左右方向に関して、操作レバー4Rのブーツ41Rの左端よりも左側(運転席31側)に設けられるようにしてもよい。
【0041】
また、上述した実施形態では、張出部351Rの端面が円弧形状を有する場合を例示したが、これに限定されず、多角形形状を有するようにしてもよい。
【0042】
また、上述した実施形態では、表示装置5の上端位置が操作レバー4Rの上端位置よりも低くなる場合を例示したが、これに限定されず、前方右側の視界を遮蔽しない範囲であれば、例えば、表示装置5の上端位置と操作レバー4Rの上端位置とがほぼ同じ位置に配置されるようにしてもよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、エンジンスターター6がエンジンキーと当該エンジンキーを差し込む差込口とから構成されている場合を例示したが、これに限定されない。例えば、エンジンスターター6がプッシュ式のボタン(キーレス仕様)で構成されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように本発明に係る建設機械は、運転スペースにモニターを備えるミニショベルなどに適している。
【符号の説明】
【0045】
1 ミニショベル
2 上部旋回体
3 キャブ
3S 運転スペース
4L,4R 操作レバー
5 表示装置
6 エンジンスターター
21 旋回フレーム
30 乗降口
31 運転席
35L 左内装カバー
35R 右内装カバー
41L,41R ブーツ
51 モニター
52 操作ボタン
351R 張出部
図1
図2
図3
図4
図5