(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155977
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】フェライト焼結磁石の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 41/02 20060101AFI20221006BHJP
H01F 1/10 20060101ALI20221006BHJP
C04B 35/26 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H01F41/02 G
H01F1/10
C04B35/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059450
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】須藤 信浩
(72)【発明者】
【氏名】加藤 竜也
【テーマコード(参考)】
5E040
5E062
【Fターム(参考)】
5E040AB01
5E040CA01
5E040HB03
5E062CD01
5E062CG02
(57)【要約】
【課題】成形体からの有機物の除去を効率よく行うことができる、又は、焼結磁石の寸法のバラツキを抑制できるフェライト焼結磁石の製造方法に関する。
【解決手段】フェライト焼結磁石の製造方法は、フェライト原料及び有機物を含む成形体を加熱して前記成形体から有機物を除去する工程と、有機物が除去された前記成形体を焼結する工程と、を備える。成形体10の外面は凸面12を有し、成形体を加熱する工程及び成形体を焼結する工程の少なくとも一方では、成形体10が、支持体20の上面20Uの上に、凸面12の最下部10Uが支持体20の上面20Uと接触するように、載置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェライト原料及び有機物を含む成形体を加熱して前記成形体から少なくとも一部の有機物を除去する工程と、
有機物の少なくとも一部が除去された前記成形体を焼結する工程と、を備える、フェライト焼結磁石の製造方法であって、
前記成形体の外面は凸面を有し、
前記成形体を加熱する工程及び前記成形体を焼結する工程の少なくとも一方では、前記成形体が、支持体の上面の上に、前記凸面の最下部が前記支持体の上面と接触するように、載置される、方法。
【請求項2】
前記成形体を加熱する工程及び前記成形体を焼結する工程の少なくとも一方では、前記成形体の凸面のうちの前記最下部以外の部分はいかなる支持体にも接触していない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成形体の外面は、前記凸面に加えて、さらに凹面又は平面を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記支持体の上面のうち、前記凸面と接触する部分は平面である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記成形体を加熱する工程及び前記成形体を焼結する工程の少なくとも一方では、前記成形体を前記上面の上で揺らす、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェライト焼結磁石の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フェライト粉末とバインダ等の有機物とを含む成形体を熱処理して成形体から有機物を除去し、その後焼結して、フェライト焼結磁石を得ることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60-130112号公報
【特許文献2】特開昭61-069104号公報
【特許文献3】特開平7-111220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、有機物を充分除去するのに長時間を要していた。
【0005】
また、有機物を除去した成形体を焼結する際、焼結後の寸法にバラツキが出る場合があった。
【0006】
本明細書の1つの課題は、成形体からの有機物の除去を効率よく行うことができる、フェライト焼結磁石の製造方法を提供することである。
【0007】
本明細書の他の課題は、焼結磁石の寸法のバラツキを抑制できるフェライト焼結磁石の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の一側面は、フェライト原料及び有機物を含む成形体を加熱して前記成形体から少なくとも一部の有機物を除去する工程と、
有機物の少なくとも一部が除去された前記成形体を焼結する工程と、を備える、フェライト焼結磁石の製造方法である。前記成形体の外面は凸面を有し、
前記成形体を加熱する工程及び前記成形体を焼結する工程の少なくとも一方では、前記成形体が、支持体の上面の上に、前記凸面の最下部が前記支持体の上面と接触するように、載置される。
【0009】
前記成形体を加熱する工程及び前記成形体を焼結する工程の少なくとも一方では、前記凸面のうちの前記最下部以外の部分はいかなる支持体にも接触していない状態であることができる。
【0010】
前記成形体の外面は、前記凸面に加えて、さらに凹面又は平面を有することができる。
【0011】
前記支持体の上面のうち、前記凸面と接触する部分は平面であることができる。
【0012】
前記成形体を加熱する工程及び前記成形体を焼結する工程の少なくとも一方では、前記成形体を前記上面の上で揺らすことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の1側面によれば、成形体からの有機物の除去が効率よく行なわれる。
【0014】
本発明の他の1側面によれば、焼結磁石の寸法のバラツキが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】成形体を熱処理する工程及び成形体を焼結する工程において支持体上に成形体を載置した状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1の成形体及び支持体を、X方向、すなわち、成形体の軸方向から見た側面図である。
【
図3】比較例において、成形体を熱処理する工程及び成形体を焼結する工程において、支持体上に成形体を載置した状態を示す側面図である。
【
図4】(a)~(c)は、それぞれ、他の実施形態に係る成形体及び成形体の支持体の上に置ける載置状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(最終的に得られるフェライト焼結磁石の組成)
フェライト焼結磁石は鉄を主成分(50質量%以上)とする磁性酸化物である。フェライト焼結磁石に含まれるフェライトは、スピネルフェライト、六方晶フェライト、ガーネットフェライトであることができる。六方晶フェライトの例は、マグネトプランバイト型(M型)、W型、Y型、及び、Z型のフェライトである。中でも、マグネトプランバイト型のフェライトであることが好ましい。
【0017】
以下ではマグネトプランバイト型のフェライトを「M型フェライト」と表すことがある。M型フェライトは一般式AFe12O19(Aは、Sr、Ba、Ca等)で表される。このM型フェライトには、更に、磁気特性に影響しない範囲で、希土類元素、Bi、Pb、Si、Ga、Sn、Zn、In、Co、Ni、Ti、Cr、Mn、Cu、Ge、Nb、Zr、Al、B等が含有されていても良い。希土類元素の例は、La、Y、Sc、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuである
【0018】
M型フェライトの組成は特に限定されないが、M型フェライトは、Sr、Ba、Ca及びPbから選ばれる少なくとも1種の元素αと、希土類元素(Yを含む)及びBiからなる群から選択される少なくとも1種の元素Rと、Co、Mn、Ni、CuおよびZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素Mと、Feと、を含み、各金属元素の構成比率が、全金属元素量に対し、
α:1~13原子%
R:0.05~10原子%
Fe:80~95原子%
M:0.1~5原子%
を満足することができる。
【0019】
このM型フェライトの結晶構造内において、R元素はα元素のサイトに存在し、M元素はFeのサイトに存在するとした場合、フェライトの組成式は、下記一般式(1)で示される。
α(1-x)Rx[Fe(12-y)My]zO19・・・(1)
ここで、x、y、zは、前述の各金属元素の原子%から計算される値である。
【0020】
フェライト焼結磁石は、金属元素を下記式(2)で表される原子比で含むことが好ましい。
Ca1-a-bRaSrbFecCom・・・(2)
式(2)中、Rは希土類元素(Yを含む)及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であってLaを少なくとも含み、
式(2)中、a、b、c及びmは、下記式(3)~(6)を満たし、
0.360≦a≦0.420・・・(3)
0.110≦b≦0.173・・・(4)
8.51≦c≦9.71・・・(5)
0.208≦m≦0.269・・・(6)
【0021】
上記のように、フェライトがCaを含むM型フェライトであると、焼結時の収縮率の異方性が大きくなりやすく、焼結時の外的要因(支持体との接触による収縮阻害等)による焼結磁石の収縮率のバラツキを生じやすいので本発明の効果がより一層奏される。
【0022】
上記のフェライト焼結磁石は、上記以外に、Si、Al、Ba、Crなどの副成分を含んでもよい。これらは、フェライト焼結磁石における粒界成分であることができる。また、Al、Ba、Crは、フェライト中にも、粒界中にも含まれることができる。Si、Al、Ba、Crの量はそれぞれ、SiO2換算、Al2O3換算、BaO換算、Cr2O3換算で、0.0~1.0質量%、0.0~1.0質量%、0.0~0.1質量%、0.0~0.2質量%とすることができる。
【0023】
なお、Caなどの金属は、フェライト相及び粒界相の両方において含まれる場合がある。
【0024】
フェライト焼結磁石及び成形体の組成は、蛍光X線定量分析等によって測定することができる。また、フェライト焼結磁石のフェライト主相の存在は、X線回折や電子線回折によって確認することが出来る。
【0025】
(フェライト焼結磁石の製造方法)
本発明の一側面に係るフェライト焼結磁石の製造方法は、フェライト原料及び有機物を含む成形体を加熱して成形体から有機物を除去する工程と、有機物が除去された成形体を焼結する工程と、を備える。
【0026】
(フェライト原料)
フェライト原料は、最終的なフェライト焼結磁石が含有する金属及び半金属元素をその組成で含む。フェライト原料は、フェライト粉末(例えば、M型フェライト等の六方晶系フェライト)を含むことが好適であり、フェライト粉末に加えて、フェライト焼結磁石を構成する金属及び半金属元素から選択される少なくとも1つを含有する単体または化合物の粉末を含むことができる。その場合でも、フェライト原料の全体の金属及び半金属元素の組成は、最終的に得るフェライト焼結磁石の組成と同じとすればよい。
【0027】
フェライト粉末以外の粉末の例は、Feを含む酸化物(酸化鉄等)、Caなど元素αを含む化合物、元素Rを含む化合物、Coなど元素Mを含む酸化物、及び、Si及びAl、Crからなる群から選択される少なくとも1つを含む化合物の粉末である。
【0028】
化合物の例は、各元素(単数でも複数でもよい)の酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、塩化物など、焼成後に各元素の酸化物となることのできる化合物であることができる。このような化合物の粉体は、焼結時の焼結助剤として働くことができる。例えば、成形体のフェライト原料が、フェライト粉末以外に、Ca、Siの化合物を適量含有することで、高密度のフェライト焼結磁石を得られる。
【0029】
フェライト原料は、BET法で求められる比表面積(SSA:Specific Surface Area)が4~12m2/g程度であることが好ましい。
【0030】
(フェライト原料の製造方法)
フェライト粉末を含むフェライト原料は例えば以下のようにして得ることができる。
【0031】
<仮焼用原料調製工程>
まず仮焼用原料を用意する。仮焼用原料は、仮焼で生成するフェライトを構成する金属及び半金属元素をその組成で含む。この金属及び半金属元素は、最終的に得られるフェライト焼結磁石を構成する金属および半金属原子の少なくとも一部となる。仮焼用原料は、金属及び半金属元素の化合物の混合物であることができる。各化合物は粉末状であることが好適である。化合物の例は、各元素の酸化物、または、焼成により各元素の酸化物となることができる化合物(炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等)である。具体的な例は、SrCO3、La(OH)3、Fe2O3、BaCO3、CaCO3およびCo3O4である。仮焼用原料は、例えば、Si成分等の副成分を含有する材料(例えば化合物)を含んでいてもよい。Si成分の場合の化合物の例はSiO2である。各化合物の粉末の平均径は、例えば、均質な配合を可能とする観点から0.1~2.0μm程度とすることが好ましい。
【0032】
仮焼用原料は、金属及び半金属元素を、最終的に得られるフェライト焼結磁石の金属及び半金属元素に対応する組成で含んでいてもよいが、一部の元素を後述する仮焼き後に添加するようにしても良い。後添加の時期、所望とする組成や磁気特性が得られやすいように調整すればよい。
【0033】
具体的には、各化合物を混合した後、湿式アトライタ、ボールミル等を用い、0.1~20時間程度、混合及び粉砕処理をすることにより、仮焼用原料を得ることができる。
【0034】
<仮焼工程>
仮焼用原料を仮焼きする。仮焼は例えば、空気中等の酸化性雰囲気中で行うことが好ましい。仮焼きの温度は、1100~1400℃の温度範囲とすることが好ましく、1100~1300℃がより好ましく、1150~1300℃がさらに好ましい。
【0035】
仮焼温度で保持する時間は1秒間~10時間とすることが出来、1秒間~5時間が好ましい。仮焼により得られた仮焼体は、前述したようなフェライト相(例えばM相)を70%以上含むことができる。
【0036】
仮焼体の一次粒子の平均粒径は0.1~10μm、特に0.1~5μmであることが好ましい。平均粒径は、SEMにより測定すればよい。
【0037】
<粉砕工程>
仮焼工程で顆粒状や塊状となった仮焼体を粉砕し、フェライト粉末を得る。これにより、後述する成形工程での成形が容易となる。この粉砕工程では、前述したように仮焼用原料に配合しなかった残りの原料化合物を添加しても良い(原料の後添加)。粉砕工程は、例えば、仮焼体を粗い粉末となるように粉砕(粗粉砕)した後、これを更に微細に粉砕する(微粉砕)、2段階の工程で行っても良い。以下では、粗粉砕として乾式粗粉砕を行った後に、微粉砕として湿式粉砕を行う場合について説明するが、これに限定されるものではなく、適宜粉砕方法を組み合わせてよい。
【0038】
粗粉砕は、例えば、平均粒径が0.5~5.0μmとなるまで行われる。粉砕手段は特に限定されず、例えば乾式振動ミル、ローラーミル、ハンマーミル等が使用できるが、これに限定されるものではない。粉砕時間は、粉砕手段に応じて適宜決定すればよい。
【0039】
乾式粗粉砕の後、仮焼体の粗粉砕材と水とを含む粉砕用スラリーを調製し、これを湿式粉砕することにより微粉砕を行うことができる。粉砕用スラリー中の仮焼体の含有量は、10~70質量%程度であることが好ましい。微粉砕では、得られた微粉砕材の平均粒径が、好ましくは0.08~2.0μm、より好ましくは0.1~1.0μm、更に好ましくは0.2~0.8μm程度となるように、微粉砕を行うことができる。微粉砕材の比表面積(例えばBET法により求められる。)は、4~12m2/g程度とすることが好ましい。湿式粉砕に用いる粉砕手段は特に限定されないが、通常、ボールミル、アトライタ等を用いることが好ましい。粉砕時間は、粉砕手段に応じて適宜決定すればよいが、例えば湿式アトライタの場合、30分間~20時間程度が好ましく、湿式ボールミル粉砕では10~50時間程度が好ましい。
【0040】
粉砕工程で、フェライト焼結磁石の金属元素及び半金属元素の残りの一部を添加する場合、例えば、添加を微粉砕時に行うことができる。本実施形態では、Si成分であるSiO2や、Ca成分であるCaCO3を、微粉砕の際に添加することが出来るが、これらを仮焼用原料の調製工程や粗粉砕工程において添加しても良い。
【0041】
微粉砕工程では、湿式法の場合、分散媒として水のほか、トルエン、キシレン等の非水系溶媒を用いることが出来る。水系溶媒を用いるほうが、生産性の観点で有利であるが、これに限定されることなく、例えば、後述の表面処理剤の溶媒への溶解性などを考慮し、適宜溶媒を選択すればよい。
【0042】
<乾燥工程>
湿式粉砕後、フェライト粉末を含むスラリーを乾燥させる。乾燥温度は、好ましくは80~150℃、更に好ましくは100~120℃である。また、乾燥時間は、好ましくは1~40時間、更に好ましくは5~25時間である。乾燥後の磁性粉末の一次粒子の平均粒径は、好ましくは0.08~2μmの範囲内、更に好ましくは0.1~1μmの範囲内である。乾燥により、フェライト粉末を含むフェライト原料が得られる。
【0043】
(成形用原料の調製工程)
続いて、フェライト原料と有機物とを混合して、成形用原料を準備する。
【0044】
具体的には、フェライト原料及び有機物をニーダーなどで混練することで、分散性のよい成形用原料を得ることができる。
【0045】
有機物は、バインダ樹脂、ワックス類、及び、可塑剤からなる群から選択される少なくとも1種であることができ、さらに添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、滑剤及び/又は分散剤(表面処理剤)であることができる。滑剤と分散剤はお互いを兼ねることが出来る。
【0046】
バインダ樹脂の例は、熱可塑性樹脂などの高分子化合物であり、熱可塑性樹脂の例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、アタクチックポリプロピレン、アクリルポリマー、ポリスチレン、ポリアセタールである。バインダ樹脂は2種以上用いても良い。
【0047】
ワックス類の例は、カルナバワックス、モンタンワックス、蜜蝋などの天然ワックス;パラフィンワックス、ウレタン化ワックス、ポリエチレングリコールなどの合成ワックスである。
【0048】
可塑剤の例は、フタル酸エステルである。
【0049】
フェライト原料100質量%に対して、バインダ樹脂の添加量は、好ましくは3~20質量%であり、ワックス類の添加量は、好ましくは3~20質量%であり、可塑剤の添加量は、バインダ樹脂の100質量%に対して、好ましくは0.1~5質量%である。
【0050】
添加剤の添加量は、フェライト原料100質量%に対して、合計0~8質量%であってよく、好ましくは合計0.1~8質量%である。
【0051】
滑剤の例は、脂肪酸エステルである。
本実施形態において、フェライト原料100質量%に対する滑剤の添加量は、0~5質量%であってよく、好ましくは0.1~5質量%である。
【0052】
分散剤(表面処理剤)の例は、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸又はその塩/誘導体、シランカップリング剤などが挙げられる。
【0053】
本実施形態において、フェライト原料100質量%に対する分散剤(表面処理剤)の添加量は、0~3質量%であって良く、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.3~3質量%、更に好ましくは0.4~2.0質量%である。分散剤(表面処理剤)の添加量がこの範囲内であることにより、分散剤がフェライト原料に十分に付着して凝集力を弱めることが出来るとともに、混練物中にフェライト原料を均一に分散させることが出来る。なお、添加量が多すぎると、フェライト原料表面に吸着できずに過剰となった分散剤(表面処理剤)が存在することで、上記のフェライト原料の凝集力の低下の効果や、混練物中のフェライト原料の分散性向上の効果が低下する傾向となる。
【0054】
これらの有機物の混合順序に限定はなく、フェライト原料に対して、全部同時に混合してもよく、フェライト原料に対して任意の順に混合してもよい。特に、分散剤(表面処理剤)などは、上述の粉砕工程で添加することもできる。例えば、湿式粉砕中にスラリーに分散剤を添加してもよく、湿式粉砕後乾燥前のスラリーに分散剤を添加してもよく、乾燥後のフェライト原料に対して、他の有機物と混合する前に事前に混合してもよい。
【0055】
混練により得られた成形用原料は、ペレタイザなどでペレットに成形することが好適である。ペレタイザとしては、例えば2軸1軸押し出し機が用いられる。また、混練およびペレット成形は、使用する有機成分の溶融温度に応じて、加熱しながら実施しても良い。
【0056】
<成形工程>
上記の成形用原料を成形して、所望の形状を有する成形体を得る。成形方法に特に限定はない。
【0057】
例えば、射出成形装置を用いて、磁場中で成形体を得ることができる。具体的には、成形用原料のペレットを、射出成形機のシリンダ内でスクリューにより混練しながら溶融し、溶融した成形用原料を所望の形状に対応するキャビティを有する金型内に射出して成形すればよい。成形時に、金型には所定の磁場が印可することができる。成形用原料をシリンダ内で160~230℃に加熱溶融して射出成形することができる。金型の温度は20~80℃とすることができる。金型への印可磁場は398~1592kA/m(5~20kOe)程度とすることができる。
【0058】
このようにして、フェライト原料、及び、有機物を含む成形体が得られる。
【0059】
成形体の外面は凸面を含む。
図1は、本実施形態の成形体の一例を示す斜視図である。この態様の成形体10は、厚みのある円弧形状(U字形状)の平面(端面)16を、平面16と垂直な軸方向に移動してできる立体形状、すなわち、アークセグメント形状である。成形体10は、凸面12、凸面12に対向する凹面14、凸面12と凹面14とを連結する、平面16、16、平面18、18を有している。
【0060】
成形体10の軸方向の長さLは5~100mmとすることができ、アークの幅Wは5~100mmとすることができ、アークの高さHは5~50mmとすることができる。
【0061】
<成形体の加熱工程(有機物除去工程)>
次に、フェライト原料及び有機物を含む成形体10を加熱して成形体10から有機物の少なくとも一部を除去する。成形体から有機物が過剰に除去されると、成形体の保形力が不足し、カケを生じることがある。加熱後の成形体にバインダ樹脂の一部が残ることで、成形体の保形力を十分高くし、カケなどの不良を抑制することが出来る。
【0062】
加熱による熱処理の雰囲気は、大気中のような酸素含有雰囲気でもよく、窒素中のような酸素非含有雰囲気でもよい。加熱の温度は、有機物を除去できる温度であれば良く、例えば、100~600℃の温度とすることができる。加熱の時間は有機物の量や種類に応じて適宜設定できるが、通常、0.5~100時間とすることができる。
【0063】
成形体10を加熱すると、成形体の内部の有機物が揮発及び熱分解等し、成形体の表面から揮発物及び分解物のガスが外部に排出される。有機物の除去時の昇温速度が急激であると、有機物の急激な揮発や分解ガスの発生により、成形体にワレやクラックを生じてしまうことがある。そこで、除去する有機成分に応じて、有機物が揮発したり分解したりする温度域の昇温速度を、例えば、0.01~1℃/分程度のゆっくりとした昇温速度に適宜調整することができる。熱処理温度や温度プロファイルは適宜設定することができる。また、有機物を複数種使用している場合、加熱処理を複数回に分けて実施しても良い。
【0064】
以下の式により定義される加熱工程前後の有機物除去率は、30~100%であって良く、好ましくは40~98%である。
有機物除去率(%)=(加熱前成形体質量-加熱後成形体質量)/(加熱前成形体質量×有機物含有率(%)/100)×100
【0065】
本実施形態では、加熱工程において、
図1及び
図2に示すように、成形体10を、耐火性の支持体20の上面20U上に、凸面12の最下部12Bが支持体20の上面20Uと接触するように載置する。
【0066】
上面20Uのうちの凸面12と接触する部分は平面であることが好適である。通常、耐火物製の支持体20の表面は表面粗度を有している。本明細書における「平面」とは、平均平面からの算術平均高さSaが1mm以下の表面粗度を有することができる。算術平均高さはISO 25178に定義される。
【0067】
また、耐火物製の支持体20の表面は、完全な平面でなく緩やかなカーブを描いていることも多い。本明細書における平面とは、平面度が5mm以下の場合を含む。平面度は、支持体20の上面20U、例えば、成形体10と対向する部分に関して、光学式、接触式等の市販の3D表面形状測定装置で高さ分布を取得し、最小二乗法で平均平面を求め、平均平面と高さ分布の内の平均平面から最も離れた点までの距離とすることができる。平面度は2mm以下であってもよく、1mm以下であってもよい。
【0068】
本実施形態では、凸面12の最下部12Bの外形形状は、凸面12の軸方向に沿った実質的に直線状となる。最下部12Bの直線の長さは成形体の軸方向長さL以下である。最下部12Bの直線の幅(
図1のY方向)は、上面20Uに垂直な方向から見て2mm以下であることができる。
【0069】
上述のようにワレやクラックを防ぐために有機物の除去のための加熱工程はゆっくりとした昇温速度とせざるを得ないため、加熱工程が生産工程上でのボトルネックとなりやすい。また、有機物の除去は、成形体の表面からの有機物の揮発物や分解物の放出によって進行するため、成形体と雰囲気との接触面積が大きいほど促進されやすい。
【0070】
本実施形態の方法では、成形体の凸面の最下部を支持体の上面で支持するので成形体と支持体との接触面積を少なくすることができる。すなわち、有機物の除去が進行する過程で、成形体と雰囲気との接触面積を大きくできるので、有機物の除去の進行が効率的に促される。
【0071】
ここで、加熱工程において、凸面12の最下部12B以外の部分は、いかなる支持体にも支持(接触)されていないことが好ましい。これにより、成形体10と雰囲気との接触面積をより大きくできる。
【0072】
また、加熱工程において、支持体20上で成形体10を揺らすことができる。例えば、送風式炉を利用して成形体10に気流(熱風等)を供給する、バイブレータを利用して支持体20を振動させる、炉内で成形体を支持する支持体をレールやコンベアなどを介して移動させながら加熱することなどにより、加熱工程において成形体10を支持体20上で揺らすことが好ましい。気流を成形体10に供給する方向に特に限定はなくいが、例えば、
図1のX方向のように凸面12と平行に気流を供給してもよいが、
図2のY方向のように凸面12のうちの最下部12B(支持体20の上面20U)から離れた上端部12Tに当たるように気流を供給してもよい。
【0073】
本実施形態では、凸面12の最下部12Bが支持体20の上面20Uで支持されているので、成形体10は容易に支持体20上で揺れることができる。成形体10が揺れることで、成形体10における支持体20との接触部分における有機物の除去がより一層容易となる。
【0074】
支持体20の材料は特に限定されないが、耐火材であれば良く、例えば、アルミナ等のセラミクスであることができる。
【0075】
支持体20の形状に限定はない。支持体20は、
図1のように、板状でもよいが、板の外縁に上向きの縁部がある箱状の支持体(いわゆる匣鉢)でもよい
【0076】
<焼結工程>
焼結工程において、加熱工程を経て有機物の少なくとも一部が除去された成形体10を焼結して、フェライト焼結磁石を得る。
【0077】
焼結雰囲気は大気中等の酸素雰囲気であることができる。焼結温度は、1150~1300℃とすることができ、好ましくは1180~1270℃の温度とすることができる。焼結温度に維持する時間は1分~3時間程度とすることができる。
【0078】
なお、前述の加熱工程の後に常温に冷却することなく連続で焼結工程を実施してもよく、熱工程の後に一度室温まで冷却してから焼結工程を行ってもよい。
【0079】
焼結工程は、上述の加熱による有機物除去の工程と同様に、成形体10の凸面12の最下部12Bが支持体20の上面20Uと接触するように成形体10を支持体20の上面20Uの上に載置した状態で、行うことが好適である。
【0080】
焼結工程においてはフェライト相を含む酸化物の組織の緻密化が進むため、成形体の収縮が生じる。この収縮による形状変化は温度プロファイルや荷姿等の影響を受ける。
【0081】
成形体10と支持体20との接触部では収縮時に摩擦が生じ、焼結前後での成形体の形状を異ならせる原因となる。支持体20には、通常アルミナ等のセラミックス製のものが用いられるが、使用による摩耗等に応じて支持体20の上面の場所により表面の滑らかさにも差が生じることがあり、接触箇所により摩擦の大きさが異なることもある。また、支持体に反り等が生じることで平面性が低くなることもある。したがって、接触箇所が異なると接触面積に差がでることもあり、製品間での収縮バラツキの要因となる。
【0082】
焼結体の寸法バラツキが大きいと、所望の形状を得るために焼結後の加工工程が必要となる。また、加工を実施する際にも、寸法バラツキが大きいほど加工しろが増える。加工しろが増えると、加工時のクラックやカケの原因となり、歩留まりの低下を引き起こす。また、加工しろが増加するとフェライト磁石の抗折強度の低下につながる恐れがある。
【0083】
本実施形態では、焼結工程において凸面12の最下部12Bが支持体20により支持されているため、成形体10と支持体20との接触箇所及び接触面積を減らせる。すなわち、焼結により成形体が収縮する際に、成形体と支持体との摩擦抵抗が生じる箇所及び面積を減らすことができ、製品寸法のバラツキが小さくなる。
【0084】
本発明は上記実施形態に限定されず様々な変形態様が可能である。
【0085】
例えば、成形体の形状は、外面が凸面を有する限り特に限定されない。特に、成形体の外面が、凸面に加えて、凹面及びまたは平面を有する場合に効果が高い。このような形状の場合、通常は、成形体を安定させるべく、凹面14が下向きとなるように(
図3参照)、又は、平面16等が下向きとなるように支持体20上に載置される。しかしながら、本実施形態では、凸面12を下向きとし、凸面12の最下部12Bが支持体20の上面20Uと接触するように、支持体上に載置する。
【0086】
成形体10の他の形態を
図4の(a)~(c)に示す。
図4の(a)では成形体の軸に垂直な断面がアークセグメント状でなく、D字状であり、凸面12、凸面12と対向する平面14’、凸面12と平面14’とを連結する平面18、18、及び、視線方向(X方向)の端面である平面16、16を有している。
【0087】
図4の(b)では、軸方向断面が樽型形状をしており、凸面12、凸面12と対向する凸面14’、凸面12及び凸面14’を連結する平面18、18、及び、視線方向(X方向)の端面である平面16、16を有する。
【0088】
図4の(c)では、軸方向断面において、
図4の(b)と上面のみが異なっており、凸面12、凸面12と対向し、逆V字状の山を形成する平面14’及び14’’、凸面12及び平面14’、14’’を連結する平面18、18、及び、視線方向(X方向)の端面16、16を有する。
【0089】
これらの成形体10においても、凸面12が下向きに配置され、凸面12の最下部12Bが支持体20の上面20Uと接触している。
【0090】
凸面12の最下部12Bの曲率半径は、曲面である限り特に限定されないが、水平方向の一方向から見て、例えば、0.1~100mmであることができる。
【0091】
成形体の形状は、図示したもの以外でも様々な変形が可能であり、用途に応じて様々な形状を有することができ、特に限定されない。また、成形体の寸法にも特段の限定はない。成形体の形状の他の例は、球、円柱、円筒、又は、楕円球である。凸面の表面に微細な(例えば算術平均高さSa(高低差)1mm以下)程度の凹凸があってもよい。
【0092】
円柱、円筒、あるいは、
図1に示す凸面12のような凸面12を有する成形体の場合、凸面の最下部の形状は、上述のように、軸方向に沿って伸びる直線状となる。これに対して、成形体の形状が、例えば、球状、あるいは、球面を有する形状の場合、当該球面の最下部の形状は点状となる。表面粗度を考慮した最下部の点の直径は2mm以下とすることができる。
【0093】
成形体10の面(凸面、凹面、平面等)間にできる稜や角は面取りされていてもよい。成形体は、凸面を複数有するものであってもよい。
【0094】
上記実施形態では、成形体の加熱工程(有機物の除去工程)、及び、成形体の焼結工程の両方において、凸面の最下部が支持体の上面と接触するように成形体を支持体の上面の上に載置したが、成形体の有機物の除去工程、又は、成形体の焼結工程のいずれか一方で、上記の載置法を採用すれば、少なくとも一方の効果を得ることができる。
【0095】
(実施例)
(フェライト原料の作製)
まず、酸化鉄(Fe2O3;不純物として、Mn、Cr、Al、Si、Clを含む)、水酸化ランタン(La(OH)3)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、炭酸バリウム(BaCO3)、酸化コバルト(Co3O4)を、金属元素の原子比率がCa0.36La0.48Sr0.16Ba0.001Fe11.25Co0.15となるように含む混合粉末を用意した。この混合粉末に対して、Si成分として、酸化ケイ素(SiO2、含水率:約20%前後、以後も同一原料)を、混合粉末100質量%に対して、0.66質量%となるように添加して、第2混合粉末を得た。
【0096】
第2混合粉末を湿式アトライタにて粉砕しながら混合してスラリーを得て、その後乾燥して、仮焼用原料を得た。仮焼用原料を大気中、1225℃で2時間保持して、仮焼処理を行った。得られた仮焼体を、小型ロット振動ミルにて粗粉砕し、粗粉砕材を得た。
【0097】
得られた粗粉砕材に対して、フェライト原料(焼成後のフェライト焼結磁石を構成する金属元素と同じ)の金属元素比率がCa0.45La0.40Sr0.15Ba0.001Fe9.2Co0.245となるように、酸化鉄(Fe2O3;不純物として、Mn、Cr、Al、Si、Clを含む))、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、酸化コバルト(Co3O4)を添加し、湿式ボールミルにてBET法により求められる比表面積が8.5~10.0m2/gとなるように微粉砕して、フェライト粉末を含むフェライト原料を得た。
【0098】
(フェライト原料および有機物を含む成形体の作製)
フェライト原料、PP(ポリプロピレン、バインダ樹脂として使用)、パラフィンワックス(ワックス類として使用)、アクリル樹脂(バインダ樹脂として使用)、DOP(フタル酸ジオクチル、可塑剤として使用)、およびステアリン酸(添加剤として使用)を混合して、ペレットを得た。ペレットの組成は、フェライト原料=90質量%、PP=4質量%、パラフィンワックス=4質量%、アクリル樹脂=0.5質量%、DOP=1質量%、ステアリン酸=0.5質量%とした。加圧加熱ニーダーを用いて、165℃で2.5時間混練を行い、混練物(コンパウンド)をペレタイザでペレット状に成形した。
【0099】
次に、磁場中射出成形装置を用い、ペレットを加熱溶融した後、金型内に射出成形して成形体を得た。なお、金型内に磁場を印可した状態で、射出成形を行った。射出温度は185℃、金型温度は40℃、射出時の印可磁場は1273kA/mとした。成形体の形状は
図1に示すアークセグメント型であり、W=32mm、H=12mm,L=25mmであった。
【0100】
(フェライト粉末及び有機物を含む成形体の有機物除去)
成形体10を支持体(アルミナ板)20の上に
図1及び
図2のように、凸面12の最下部12Bが支持体20の上面20Uと接触するように載置した。次に、大気雰囲気下にて室温から200℃まで0.1℃/分の昇温速度にて成形体を加熱し有機物の除去を行った。また、加熱工程には熱風送風式の乾燥炉を使用することで、支持体上で成形体を揺らしながら有機物の除去を行った。
【0101】
得られた3つの成形体における熱処理前後での質量変化から有機物除去率の平均を下記の式から求めた。
有機物除去率(%)=(加熱前成形体質量-加熱後成形体質量)/(加熱前成形体質量×有機物含有率(%)/100)×100
【0102】
(成形体の焼成と評価)
有機物除去済みの成形体を支持体(アルミナ板)上にて
図1及び
図2のように、凸面12の最下部12Bのみが支持体20の上面20Uと接触するように載置した。次に、大気中にて、1200~1220℃にて1時間保持して焼結し、フェライト焼結磁石を得た。
【0103】
得られた5つのフェライト焼結磁石の幅Wを測定し、平均値と標準偏差を評価した結果を表2に示す。
【0104】
(比較例)
有機物除去工程及び焼結工程の両方において、成形体を、
図2に代えて、
図3のように、凸面が上向きになるように配置した以外は、実施例1と同様にした。
【0105】
結果を表1及び表2に示す。
【0106】
【0107】
【0108】
表1より、比較例(
図3)に比べて、実施例(
図2)のように支持した場合は、有機物除去率が大きいことが確認された。実施例では、比較例に比べて有機物の除去時に雰囲気との接触箇所及び接触面積が小さくなることに起因すると考えられる。
【0109】
また、表2より、比較例に比べて実施例では、焼結後の幅Wの絶対値が小さくなった。これは、実施例のように支持した場合、比較例に比べて支持体との摩擦抵抗が小さくなり、幅Wの収縮量が大きくなったためであると考えられる。また、比較例に比べて実施例では焼結後の幅Wの標準偏差も小さくなった。支持体との摩擦抵抗の影響を受けにくいため、寸法バラツキも小さくなったと考えられる。
【符号の説明】
【0110】
10…成形体、12…凸面、12B…凸面の最下部、14…凹面、16,18…平面、20…支持体、20U…上面。