(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155979
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】電子投票装置及び電子投票プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20120101AFI20221006BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059454
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】598171667
【氏名又は名称】受川 浩一郎
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】特許業務法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】受川 浩一郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC37
(57)【要約】
【課題】電子投票システムにおいて、複数ページ構成の候補者画面表示における候補者間の公平性を確保する。
【解決手段】本発明に係る電子投票装置は、複数ページ構成の候補者画面を表示し、候補者画面の何れかに表示された候補者の中から選挙人により選択された候補者に対して電子的な投票処理を行う電子投票装置であって、所定数よりも多い数の候補者が順番に並べて記憶された記憶手段と、複数ページの候補者画面に渡って、所定数を候補者の表示上限数とする一の候補者画面毎に、候補者を前記順番に並べて表示する表示制御手段と、を有し、表示制御手段は、選挙人が変わる毎に、順番を一ずつ繰り上げて又は繰り下げて、候補者を並べて表示する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ページ構成の候補者画面を表示し、該候補者画面の何れかに表示された候補者の中から選挙人により選択された候補者に対して電子的な投票処理を行う電子投票装置であって、
所定数よりも多い数の候補者が順番に並べて記憶された記憶手段と、
複数ページの候補者画面に渡って、前記所定数を候補者の表示上限数とする一の候補者画面毎に、候補者を前記順番に並べて表示する表示制御手段と、
を有し、
前記表示制御手段は、選挙人が変わる毎に、前記順番を一ずつ繰り上げて又は繰り下げて、候補者を並べて表示すること、
を特徴とする電子投票装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、タッチパネル式ディスプレイに候補者を表示すること、
を特徴とする請求項1に記載の電子投票装置。
【請求項3】
コンピュータに、
所定数よりも多い数の候補者が順番に並べて記憶された記憶手段と、
複数ページの候補者画面に渡って、前記所定数を候補者の表示上限数とする一の候補者画面毎に、候補者を前記順番に並べて表示する表示制御手段と、
して機能させ、
前記表示制御手段は、選挙人が変わる毎に、前記順番を一ずつ繰り上げて又は繰り下げて、候補者を並べて表示すること、
を特徴とする電子投票プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子投票装置及び電子投票プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、選挙等における投票方法においては、投票日に指定された投票所に来場した選挙人(有権者)が、事前に郵送された葉書を受付に提出し本人照会を行う。正しく受付を済ませた選挙人には投票用紙が手渡されるので、投票用紙に投票する立候補者の氏名を記入の上、投票箱に記入済みの投票用紙を投票箱に投票する、という流れが一般的である。
【0003】
また、2002年2月に電子投票特例法が施行されたことにより、いわゆる電子投票方式の実現が可能となった。すでにいくつかの地方自治体において、投票結果を電磁的記録媒体に記録する電子投票システムを導入した選挙により、一定の導入成果を上げている。
【0004】
電子投票方式の場合、投票所において、正しく受付を済ませた選挙人は投票カードを受け取ると、投票端末に投票カードを挿入し、投票端末上に表示された候補者の中から投票したい候補者を選択することで、投票を行う。
【0005】
ここで、従来の電子投票システムでは、候補者一覧を電子投票装置の画面に表示するようになっており、画面サイズ等の制約から一画面に表示できる候補者数や政党数には限りがあるため、多数の候補者が立候補する選挙の場合、一画面で全ての候補者名や政党名を表示できない場合がある。最初の画面に表示される候補者と次画面に表示される候補者との間で公平性を欠くという問題がある。また、大型の表示装置やタッチパネルを用いて一画面上に全ての候補者名や政党名を表示することも可能であるが、コストが高くなってしまうという問題がある。
【0006】
これに関する技術として、例えば特許文献1には、全候補者リストを電子投票機101の表示部103に1画面で表示するので、選挙人は全ての候補者名や政党名などを一度に見ることができるので、選挙の公平性を維持する電子投票システム100が記載されている(段落0025等)。また、表示部103は、動画などを高速に表示することは苦手であるが、ポスターや印刷物などを高精細で表示することができる電子ペーパーなどと呼ばれている電子表示媒体で、全ての候補者名や政党名などを一度に公平に見ることができるように1画面内に表示することが記載されている(段落0065等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の発明は、電子ペーパーなどと呼ばれている電子表示媒体で、全ての候補者名や政党名などを一度に公平に見ることができるように1画面内に表示するとことが記載されているとはいえ、多数の候補者が立候補する選挙の場合、一画面で全ての候補者名や政党名を表示できずに、複数の候補者画面に渡って候補者名や政党名を表示せざるを得ない場合がある。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑み提案されたものであり、一つの側面では、電子投票システムにおいて、複数ページ構成の候補者画面表示における候補者間の公平性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る電子投票装置は、複数ページ構成の候補者画面を表示し、該候補者画面の何れかに表示された候補者の中から選挙人により選択された候補者に対して電子的な投票処理を行う電子投票装置であって、所定数よりも多い数の候補者が順番に並べて記憶された記憶手段と、複数ページの候補者画面に渡って、前記所定数を候補者の表示上限数とする一の候補者画面毎に、候補者を前記順番に並べて表示する表示制御手段と、を有し、前記表示制御手段は、選挙人が変わる毎に、前記順番を一ずつ繰り上げて又は繰り下げて、候補者を並べて表示する。
【0011】
また上記の課題を解決するため、本発明に係る電子投票プログラムは、コンピュータに、所定数よりも多い数の候補者が順番に並べて記憶された記憶手段と、複数ページの候補者画面に渡って、前記所定数を候補者の表示上限数とする一の候補者画面毎に、候補者を前記順番に並べて表示する表示制御手段と、して機能させ、前記表示制御手段は、選挙人が変わる毎に、前記順番を一ずつ繰り上げて又は繰り下げて、候補者を並べて表示する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施の形態によれば、電子投票システムにおいて、複数ページ構成の候補者画面表示における候補者間の公平性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る電子投票システムのシステム構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る電子投票装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る電子投票装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る候補者名簿の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る候補者画面(その1)の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る候補者画面(その2)の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る候補者画面(その3)の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る電子投票装置の表示制御処理を示すフローチャート図である。
【
図9】本実施形態に係るローテーション表示制御処理を説明する図(その1)である。
【
図10】本実施形態に係るローテーション表示制御処理を説明する図(その2)である。
【
図11】本実施形態に係るローテーション表示制御処理を説明する図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお以下において選挙人、投票者は同義であるものとして説明する。
【0015】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る電子投票システムのシステム構成例を示す図である。
図1の電子投票システム100は、電子投票装置10及び投票カード20を含む。
【0016】
電子投票装置(以下単に投票装置という)10は、例えばタッチパネル式のタブレット端末又はパーソナルコンピュータなどであり、選挙人(投票者)が投票カード20を差し込みの上、投票画面上に表示された複数の候補者の中から投票したい候補者をタッチ等により選択することで、投票を行える投票装置である。
【0017】
(ハードウェア構成)
図2は、本実施形態に係る電子投票装置のハードウェア構成例を示す図である。投票装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、HDD(Hard Disk Drive)14、通信装置15、表示装置16及び入力装置17を有する。
【0018】
CPU11は、各種プログラムの実行や演算処理を行う。ROM12は、起動時に必要なプログラムなどが記憶されている。RAM13は、CPU11での処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアである。HDD14は、各種データ及びプログラムを格納する。通信装置15は、他装置との通信を行う。
【0019】
表示装置16は、タッチパネル式のカラーディスプレイである。入力装置17は、表示装置16(ディスプレイ画面上)のタップ座標(タッチ座標)を検知可能なタッチパネルにより実現されうる。この場合、入力操作は画面上のタッチパネルとプログラムにより制御されるソフトウェアキー等とにより実現される。
【0020】
(ソフトウェア構成)
図3は、本実施形態に係る電子投票装置のソフトウェア構成例を示す図である。投票装置10は、主な機能部として、表示制御部101、投票処理部102、及び記憶部103を有する。
【0021】
表示制御部101は、複数ページ構成の候補者画面を表示し、複数ページの候補者画面に渡って、所定数候補者を表示上限数(例えば5名)とする一の候補者画面毎に、候補者を順番に並べて表示する機能を有している。また表示制御手段は、選挙人が変わる毎に、例えば候補者が候補者名簿で記載されている順番を初回順番として、選挙人が変わる毎に以降は、一ずつ繰り上げて又は繰り下げて、候補者を並べて表示する
投票処理部102は、電子投票処理を実行する機能を有している。電子投票処理では、選挙人に選択され投票が確定した候補者の情報などを投票済DB103bに保存する。
【0022】
記憶部103は、HDD14等に候補者名簿103a及び投票済DB103bを記憶する機能を有している。
【0023】
なお、各機能部は、投票装置10を構成するコンピュータのCPU、ROM、RAM等のハードウェア資源上で実行されるコンピュータプログラム及びアプリケーションプログラムによって実現されるものである。これらの機能部は、「手段」、「モジュール」、「ユニット」、又は「回路」に読替えてもよい。
【0024】
(候補者名簿)
図4は、本実施形態に係る候補者名簿の一例を示す図である。
図4に示されるように候補者名簿103aは、「番号」、「候補者」、「ふりがな」、「所属政党」を含む候補者リストである。「番号」は例えば立候補届出順に各候補者に対して付番されるもので、候補者名簿103aにおいてはその「番号順」に候補者が並べられる。
図4の候補者名簿103aにおいては、「番号」1の「候補者」鈴木一郎~「番号」15の候補者「山本次郎」の計15名の候補者が掲載されている。
【0025】
<投票手順>
本実施形態に係る電子投票システム100における投票手順について、再び
図1を参照しつつ説明する。
【0026】
(手順1)
選挙人は、事前に郵送された投票所入場券(ハガキ等)を持参して、投票日に指定された投票所に入場する。
【0027】
(手順2)
投票所の受付者は、投票所入場券と選挙人名簿とを照合して、来場者が選挙人本人であるかどうか本人照会を行う。投票所入場券と選挙人名簿とが合致しないなどの問題がある場合は、選挙実施者側で予め決められた対応を行う。
【0028】
(手順3)
来場者が選挙人本人であることを確認すると、受付者は、選挙人(来場者)に所定の投票カード20を手渡す。
【0029】
(手順4)
受付で投票カード20を受け取った選挙人は、投票装置10が設置された投票ブースに移動する。
【0030】
(手順5)
選挙人はまずはじめに投票カード20をカード読取装置(非図示)に挿入する。投票装置10は挿入された投票カード20が正当なカード(正当な選挙人)であるか否かの判定を実行し、正当と判定した場合、実際の投票画面に遷移する。一方、投票装置10は挿入された投票カード20が正当でないと判定した場合、エラー等を表示し、投票画面に遷移させない。
【0031】
(手順6)
選挙人は投票装置10の候補者画面上に表示された複数の候補者の中から投票したい一の候補者をタップ(タッチ)操作で選択するなどして電子投票を行う。選挙人は投票を終えると、最後に投票終了画面において投票終了の操作を行う。その後選挙人は投票ブースを後にして投票カード回収箱30の前に移動する。
【0032】
(手順7)
選挙人は、出口付近に設けられた投票カード回収箱30に投票カード20を投函した後、投票所から退場する。
【0033】
<候補者画面1>
図5は、本実施形態に係る候補者画面(その1)の一例を示す図である。本実施形態に係る候補者画面(その1)においては、画面サイズ等を考慮の上、一画面につき例えば表示上限数5名の候補者が表示可能である。
【0034】
ここで、
図5(a)に示される候補者画面は、第1候補者画面である。即ち候補者が5名を超える場合、一画面内に全ての候補者を表示することができないため、6名以降の候補者は次画面以降の候補者画面において表示される。この場合、選挙人Aは例えば「候補者画面2」をタップ(タッチ)操作すると第1候補者画面から第2候補者画面に画面遷移させ、例えば「候補者画面3」をタップ操作すると第1候補者画面から第3候補者画面に画面遷移させることができる。
【0035】
図5(b)に示される候補者画面は、第3候補者画面である。第3候補者画面においては、5名の候補者が表示されていることからも分かるように、本選挙事例の場合、次に示すように全15名の候補者が存在していることになる。
【0036】
番号1 鈴木一郎
番号2 田中太郎
番号3 山田花子
:(省略)
番号15 山本次郎
また、選挙人Aは第3候補者画面において「候補者画面1」をタップ操作すると第3候補者画面から再び第1候補者画面に画面遷移させ、例えば「候補者画面2」をタップ操作すると第3候補者画面から第2候補者画面に画面遷移させることができる。
【0037】
選挙人(投票者)Aは、投票画面上に表示された複数の候補者の中から投票したい一の候補者(例えば、鈴木一郎)に対応する「選択ボタン」をタップ操作で選択の上、「確定する」をタップ操作することで電子投票を行う。選挙人Aは投票を終えると、最後に投票終了画面において投票終了の操作を行う。
【0038】
<候補者画面2>
図6は、本実施形態に係る候補者画面(その2)の一例を示す図である。
図6は選挙人Bにおける候補者画面を示す。選挙人Bが上述したように投票カード20をカード読取装置(非図示)に挿入し、投票カード20が正当なカード(正当な選挙人)であると判定された場合、候補者画面が表示される。本実施形態に係る候補者画面(その2)においても、画面サイズ等を考慮の上、一画面につき例えば最大5名の候補者が表示可能である。
【0039】
図6(a)に示される候補者画面は、第1候補者画面である。
図6(b)に示される候補者画面は、第3候補者画面である。選挙人Bは例えば「候補者画面2」をタップ操作すると第1候補者画面から第2候補者画面に画面遷移させ、例えば「候補者画面3」をタップ操作すると第1候補者画面から第3候補者画面に画面遷移させることができる。
【0040】
ここで、
図5(a)及び
図6(a)の第1候補者画面を比較すると、
図5(a)では最も先頭に表示された候補者が「番号1 鈴木一郎」であったのに対し、
図6(a)では最も先頭に表示された候補者が「番号2 田中太郎」となっている。
【0041】
また、
図5(b)及び
図6(b)の第3候補者画面を比較すると、
図5(b)では最も末尾に表示された候補者が「番号15 山本次郎」であったのに対し、
図6(b)では最も末尾に表示された候補者が「番号1 鈴木一郎」となっている。
【0042】
即ち、投票装置10は、投票を行う選挙人が変わる毎に、候補者の表示順序を1つずつ繰り上げて(又は繰り下げて)表示する、いわば候補者のローテーション表示制御を実行する。
【0043】
このように例えば、候補者画面が第1候補者画面、第2候補者画面及び第3候補者画面といった複数ページ構成の候補者画面からなる場合、第1候補者画面に表示される候補者が有利となるとともに、同一候補者画面上でも先頭に表示される候補者が有利である。しかしながら、本実施例によれば、候補者画面上、候補者のローテーション表示制御を実行することで、全候補者に対して第1候補者画面及び先頭に表示される機会を付与することができるため、複数ページ構成の候補者画面表示における候補者間の公平性を確保することが可能である。
【0044】
また、複数の選挙人による投票が行われるにつれて、投票装置10のタッチパネル式ディスプレイ画面上、頻繁にタップ操作された箇所には、汚れや指紋などの投票跡が付くことがある。この場合、投票跡が付いている箇所に表示されている候補者が多く投票されているということになり、後半に投票を行おうとする選挙人の投票行動に影響を与える恐れがある。受付者が常にディスプレイ画面をふき取りできるとも限らない。しかしながら、本実施例によれば、候補者画面上、候補者のローテーション表示制御を実行することで、投票跡が付いている箇所は分散されるため、投票跡が付いている箇所に表示されている候補者とそうでない候補者間の公平性を確保することが可能である。
【0045】
<候補者画面3>
図7は、本実施形態に係る候補者画面(その3)の一例を示す図である。
図7は選挙人Cにおける候補者画面を示す。本実施形態に係る候補者画面(その3)においても、画面サイズ等を考慮の上、一画面につき例えば最大5名の候補者が表示可能である。
【0046】
図7(a)に示される候補者画面は、第1候補者画面である。
図7(b)に示される候補者画面は、第3候補者画面である。
【0047】
図6(a)及び
図7(a)の第1候補者画面を比較すると、
図6(a)では最も先頭に表示された候補者が「番号2 田中太郎」であったのに対し、
図7(a)では最も先頭に表示された候補者が「番号3 山田花子」となっている。
【0048】
また、
図6(b)及び
図7(b)の第3候補者画面を比較すると、
図6(b)では最も末尾に表示された候補者が「番号1 鈴木一郎」であったのに対し、
図7(b)では最も末尾に表示された候補者が「番号2 田中太郎」となっている。
【0049】
<情報処理>
図8は、本実施形態に係る電子投票装置の表示制御処理を示すフローチャート図である。電子投票装置のCPUが本フローチャートを実現可能なプログラムを読み込んで実行させることで、各ステップ(以下、「S」と表記する)を実現することができる。
【0050】
S11:投票処理部102は、選挙人から挿入された投票カード20が正当なカード(正当な選挙人)であるか否かの判定を実行する。正当な投票カード20であると判定した場合、S12へ進む。
【0051】
表示制御部101は、記憶部103の候補者名簿103aの情報に基づいて、候補者画面の表示制御処理を実行する。具体的に、複数ページ構成の候補者画面を表示し、複数ページの候補者画面に渡って、所定数候補者を表示上限数(例えば5名)とする一の候補者画面毎に、候補者を順番に並べて表示する(
図4)。また表示制御手段は、選挙人が変わる毎に、例えば候補者が候補者名簿で記載されている順番を初回順番として、選挙人が変わる毎に以降は、一ずつ繰り上げて又は繰り下げて、候補者を並べて表示する(
図5、6のローテーション表示制御処理)。
【0052】
S12:投票処理部102は、選挙人により、候補者画面の中から一の候補者が選択・確定するための投票確定操作が行われたか否かを判定する。
【0053】
S13:投票処理部102は、選挙人に選択され投票が確定した候補者の情報などを投票済DB103bに保存する投票処理を実行する。
【0054】
(ローテーション表示制御処理)
表示制御部101が実行するローテーション表示制御処理について説明する。
まず表示制御部101は、記憶部103の候補者名簿103aを参照し、候補者名簿の最大番号を取得する。最大番号は候補者数に等しい。次に、候補者数を、一の候補者画面内に表示する候補者の表示上限数(既知の設定事項情報)で除算する。除算値(但し、小数点以下は繰り上げ)が、全候補者数を表示するに必要な候補者画面の必要ページ数である。
【0055】
具体的に、候補者名簿の最大番号15である場合、候補者数は15名である。次に、候補者数15を、一の候補者画面内に表示する候補者の表示上限数5で除算する。よってこの場合、全候補者数を表示するに必要な候補者画面の必要ページ数は3である。
【0056】
図9は、本実施形態に係るローテーション表示制御処理を説明する図(その1)である。次に表示制御部101は、1ページ目の候補者画面から必要ページ数最後の候補者画面のそれぞれに候補者表示枠を、各画面に表示させる候補者数分ずつ並べて生成する。例えば、1ページ目の候補者画面では5つの候補者表示枠を縦に並べて生成し、2ページ目の候補者画面では5つの候補者表示枠を縦に並べて生成し、3ページ目の候補者画面では5つの候補者表示枠を縦に並べて生成する。
【0057】
また表示制御部101は、1ページ目の候補者画面から必要ページ数最後の候補者画面のそれぞれの候補者表示枠に対して最初を1とした枠番号を順に付番する。例えば、1ページ目の候補者画面では候補者表示枠が並べられた順番に枠番号1~5の枠番号を付番し、2ページ目の候補者画面では候補者表示枠が並べられた順番に枠番号6~10の枠番号を付番し、3ページ目の候補者画面では候補者表示枠が並べられた順番に枠番号11~15の枠番号を付番する。なお、枠番号の最後の番号は候補者数と等しくなる。
【0058】
図10は、本実施形態に係るローテーション表示制御処理を説明する図(その2)である。次に表示制御部101は、記憶部103の候補者名簿103aを参照し、初回の候補者画面を表示する場合には、各候補者表示枠に対してその枠番号と等しい候補者名簿103aの「番号」の候補者情報を挿入していく(枠番号=「番号」)。
【0059】
図11は、本実施形態に係るローテーション表示制御処理を説明する図(その3)である。次に表示制御部101は、次回の候補者画面を表示する場合には、候補者の表示順番を前回と1つ繰り上げて(又は繰り上げて)、候補者名簿103aの「番号」の候補者情報を挿入していく。なお、繰り上げに際し、1ページ目の候補者画面において先頭(最初)の候補者表示枠の候補者情報は、必要ページ数最後の候補者画面の末尾(最後)の候補者表示枠にローテーション移動する。
【0060】
<総括>
本実施形態に係る電子投票装置10においては、投票を行う選挙人が変わる毎に、候補者の表示順序を1つずつ繰り上げて(又は繰り下げて)表示する、いわば候補者のローテーション表示制御を実行する。これにより、全候補者に対して第1候補者画面及び/又は先頭に表示される機会を付与することができるため、複数ページ構成の候補者画面表示における候補者間の公平性を確保することが可能である。
【0061】
また、投票装置10のタッチパネル式ディスプレイ画面上、選挙人のタップ操作に伴う汚れや指紋の投票跡が付いている箇所は分散されるため、投票跡が付いている箇所に表示されている候補者とそうでない候補者間の公平性を確保することが可能である。
【0062】
即ち、本実施形態に係る電子投票装置10においては、複数ページ構成の候補者画面表示における候補者間の公平性を確保することが可能である。
【0063】
なお、本発明の好適な実施の形態により、特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【0064】
本発明は、上述の実施形態の1つ以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは記録媒体を介してシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出し作動させる処理でも実現可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 電子投票装置
20 投票カード
100 電子投票システム
101 表示制御部
102 投票処理部
103 記憶部