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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156009
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B65D47/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059495
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【弁理士】
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】吉野 慶
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084AB07
3E084BA02
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB08
3E084DC03
3E084EA02
3E084EC03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HB09
3E084HC01
3E084HD01
3E084JA07
3E084KA06
3E084KB01
3E084KB10
3E084LA17
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD30
3E084LE06
(57)【要約】
【課題】 簡単な構成により、一定量の内容物を均等に拡散させながら吐出させることを可能とすると共に湿気による内容物の固まりを抑制できるようにした吐出容器を創出することを課題とする。
【解決手段】 容器本体10と、容器本体10内に連通する第1吐出口21が突設された頂壁22を有し、容器本体10の口部11上に設けられる内キャップ20と、内容物Pを吐出する第2吐出口46及び弾性変形可能な押圧部51で内部の空気を加圧する加圧室Qを有して口部11に装着される外キャップ30と、内キャップ20と間に、内容物Pを計量する計量空間Mを形成する計量筒体60を備え、計量筒体60と内キャップ20との間に、加圧空気Eを計量空間Mに供給するエアー通路APが形成され、容器本体10内と第2吐出口46との間が、第1吐出口21、計量空間M及び通気ルートLを介して連通される構成とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物(P)が収容される容器本体(10)と、該容器本体(10)内に連通する第1吐出口(21)が突設された頂壁(22)を有し、前記容器本体(10)の口部(11)上に設けられる内キャップ(20)と、前記内容物(P)を吐出する第2吐出口(46)及び弾性変形可能な押圧部(51)で内部の空気を加圧する加圧室(Q)を有して前記口部(11)に装着される外キャップ(30)と、前記内キャップ(20)と間に、前記第1吐出口(21)に入り込んだ内容物(P)を計量する計量空間(M)を形成する計量筒体(60)を備える吐出容器であって、
前記計量筒体(60)と前記内キャップ(20)との間に、加圧空気(E)を前記加圧室(Q)から前記計量空間(M)に供給するエアー通路(AP)が形成され、
前記容器本体(10)の内部と前記第2吐出口(46)との間が、前記第1吐出口(21)、前記計量空間(M)及び通気ルート(L)を介して連通されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
計量筒体(60)が、天壁(61)と、該天壁(61)の外周縁に連設された外筒体(62)と、前記天壁(61)の下面で且つ前記外筒体(62)の内側近傍の内に垂下設された内筒体(63)と、前記天壁(61)の下面で且つ前記内筒体(63)よりも内側となる位置に垂下設された密封筒(64)とを有して押圧部(51)の下端に連結されると共に、押圧部(51)の変形に合わせて移動可能に構成されている請求項1記載の吐出容器。
【請求項3】
計量筒体(60)が、天壁(61)と、該天壁(61)の外周縁に連設された外筒体(62)と、前記天壁(61)の下面で且つ前記外筒体(62)の内側近傍の内に垂下設された内筒体(63)と、前記天壁(61)の下面で且つ前記内筒体(63)よりも内側となる位置に垂下設された密封筒(64)とを有すると共に、外殻体(40)に一体に形成されている請求項1記載の吐出容器。
【請求項4】
密封筒(64)と第2吐出口(46)との間にボール(B)が配設されている請求項3記載の吐出容器。
【請求項5】
押圧部(51)にボール(B)を第1吐出口(21)に押し付けるステック(56)が設けられている請求項4記載の吐出容器。
【請求項6】
通気ルート(L)が、計量筒体(60)の内筒体(63)と内キャップ(20)の頂壁(22)とが対向する部分に形成される環状隙間(S)と、内キャップ(20)に立設されたガイド筒(24)に形成された通気孔(24a)と、計量筒体(60)の外筒体(62)の下端に形成された切欠孔(67)と、が連通することにより形成されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の吐出容器。
【請求項7】
第1吐出口(21)の上端に、径方向外側に向かって反ることで逆流防止壁として機能するカール部(21a)が形成されている請求項1乃至6のいずれか一項に記載の吐出容器。
【請求項8】
前記第2吐出口(46)に弁体が設けられている請求項1乃至7のいずれか一項に記載の吐出容器。
【請求項9】
オーバーキャップ(45)に、第2吐出口(46)を閉塞する閉塞部(45a)が設けられている請求項1乃至8のいずれか一項に記載の吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体状、顆粒状又は液状の内容物の定量吐出を可能とする吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体状又は顆粒状の内容物を一定量吐出させることが可能な容器として、容器本体の口頸部を閉蓋する蓋から計量筒を垂下すると共に、口頸部内へ嵌合させたキャップ本体の底壁部から起立するテーパ状筒の上端部を計量筒内に遊挿させ、容器本体を倒立させると計量筒内に粉体を流入させることができ、容器本体を正立させると計量筒内の内容物の一部が容器本体内へ戻るが、他の一部はテーパ状筒に連設された計量室内に一定量の内容物を溜めることができ、再び容器本体を倒立させると、計量室内の内容物を蓋に設けた計量振出孔から振り出せる容器が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-10556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の容器では、内容物が計量室内から蓋に設けた計量振出孔から落下することで吐出する構成であることから、内容物が集中的に吐出されやすく、例えば内容物が、胡椒や塩などの調味料の場合にあっては、食材に対して調味料を均等に振り掛けることができず、濃淡が発生したり味にムラができたりする虞があった。
また特許文献1に記載の容器では、湿気を帯びた環境下において空気中に含まれる水分が容器本体に侵入しやすく、調味料の一部が塊状に固まりやすいという問題もあった。
【0005】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、簡単な構成により、一定量の粉体状、顆粒状又は液状の内容物を均等に拡散させながら吐出させることを可能とすると共に、粉体状又は顆粒状の内容物にあっては湿気による内容物の固まりを抑制できるようにした吐出容器を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、
内容物が収容される容器本体と、容器本体内に連通する第1吐出口が突設された頂壁を有し、容器本体の口部上に設けられる内キャップと、内容物を吐出する第2吐出口及び弾性変形可能な押圧部で内部の空気を加圧する加圧室を有して口部に装着される外キャップと、内キャップと間に、第1吐出口に入り込んだ内容物を計量する計量空間を形成する計量筒体を備える吐出容器であって、
計量筒体と内キャップとの間に、加圧空気を加圧室から計量空間に供給するエアー通路が形成され、
容器本体の内部と第2吐出口との間が、第1吐出口、計量空間及び通気ルートを介して連通されていることを特徴とする、と云うものである。
本発明の主たる手段では、倒立操作及び戻し操作を行うことで、内容物を計量空間で保持することができ、続く押下操作を行うことにより、計量空間で保持されている内容物を加圧空気の力によって第2吐出口から均等に拡散させながら吐出することを達成し得る。
【0007】
本発明の他の手段は、本発明の主たる手段に、計量筒体が、天壁と、天壁の外周縁に連設された外筒体と、天壁の下面で且つ外筒体の内側近傍の内に垂下設された内筒体と、天壁の下面で且つ内筒体よりも内側となる位置に垂下設された密封筒とを有して押圧部の下端に連結されると共に、押圧部の変形に合わせて移動可能に構成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、押圧部を押下操作したときに、密封筒が第1吐出口のカール部に当接することによる計量空間の形成を達成し得る。
【0008】
本発明の他の手段は、本発明の主たる手段に、計量筒体が、天壁と、天壁の外周縁に連設された外筒体と、天壁の下面で且つ外筒体の内側近傍の内に垂下設された内筒体と、天壁の下面で且つ内筒体よりも内側となる位置に垂下設された密封筒とを有すると共に、外殻体に一体に形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、外殻体に一体に形成された計量筒体と内キャップとの間に計量空間を有する構成を達成し得る。
【0009】
また本発明の他の手段は、上記手段において、密封筒と第2吐出口との間にボールが配設されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、吐出容器を倒立姿勢にすると、ボールが密封筒側に移動して、内容物が容器本体から計量空間内に移動することを許容し得る。また倒立姿勢から正立姿勢に戻すと、ボールが第2吐出口をシールして容器本体と計量空間とを遮断するため、加圧空気が容器本体側に漏れることなく第2吐出部から勢いよく外部に排出されることを達成し得る。
【0010】
また本発明の他の手段は、上記手段において、押圧部にボールを第2吐出口に押し付けるステックが設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、ボールを第2吐出口内に強く押し付けることができるため、内容物が第2吐出口の表面に付着することによるシール性の低下が見られるような場合であっても、容器本体と計量空間との間の遮断を確実に達成し得る。
【0011】
また本発明の他の手段は、上記手段において、通気ルートが、計量筒体の内筒体と内キャップの頂壁とが対向する部分に形成される環状隙間と、内キャップに立設されたガイド筒に形成された通気孔と、計量筒体の外筒体の下端に形成された切欠孔と、が連通することにより形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、計量空間の空気が第2吐出口に抜ける通路を確保することができるため、計量空間の内容物を確実に吐出させることを達成し得る。
【0012】
また本発明の他の手段は、上記手段において、第1吐出口の上端に、径方向外側に向かって反ることで逆流防止壁として機能するカール部が形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、一定量の内容物を計量空間内に保持することを確実に達成し得る。
【0013】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、第2吐出口に弁体が設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、空気中に含まれる水分の容器本体内への侵入防止を達成し得る。
【0014】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、オーバーキャップに、第2吐出口を閉塞する閉塞部が設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、内容物の漏れ防止、湿気による内容物の固まりの抑制を達成し得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、簡単な構成により、一定量の粉体状、顆粒状又は液状の内容物を加圧空気によって均等に拡散させながら吐出させることができる。
また、空気中に含まれる水分の容器本体内への侵入を防止できるため、湿気による内容物の固まりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施例として吐出容器の正立姿勢(初期状態)を示す部分断面図である。
図2】開蓋状態を示す外キャップの平面図である。
図3】使用時の一例として倒立姿勢を示す吐出容器の部分断面図である。
図4】正立姿勢に戻した状態を示す吐出容器の部分断面図である。
図5】押下操作直後の状態を示す吐出容器の部分断面図である。
図6】吐出状態を示す吐出容器の部分断面図である。
図7】本発明の第2実施例として吐出容器の正立姿勢を示す部分断面図である。
図8】開蓋状態を示す外キャップの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の第1実施例として吐出容器の正立姿勢(初期状態)を示す部分断面図、図2は開蓋状態を示す外キャップの平面図、図3は使用時の一例として倒立姿勢を示す吐出容器の部分断面図、図4は正立姿勢に戻した状態を示す吐出容器の部分断面図、図5は押下操作直後の状態を示す吐出容器の部分断面図、図6は吐出状態を示す吐出容器の部分断面図である。尚、図3乃至図6ではオーバーキャップを省略して示している。
【0018】
尚、以下の説明において、「上」方向、「下」方向とはそれぞれ、図1に示すように容器本体10を正立姿勢とした場合の容器軸Oに沿う鉛直上向き、鉛直方向下向きを意味し、容器本体10の底部(図示せず)に対して口部11が位置する側を上側、口部11に対して底部が位置する側を下側とする。また「右」方向及び「左方向とは、図1において、それぞれ容器軸Oに直交する右方向及び左方向とする。更に「径方向」とは容器軸Oに対して直交する方向とし、「周方向」とは容器軸O回りを周回する方向とする。
【0019】
吐出容器1は、例えば胡椒や塩などの調味料若しくはベビーパウダーなどの粉体状又は顆粒状、或いは液状の内容物Pを定量吐出させるための容器である。まず吐出容器1の構成について説明する。
図1に示すように、吐出容器1は、上端に口部11を有する容器本体10と、口部11に装着される内キャップ20と、内キャップ20の外側に内キャップ20を覆うように装着される外キャップ30を有して構成される。外キャップ30の下端には計量筒体60が設けられている。
【0020】
容器本体10は、胴部12の上に縮径状に形成された肩部13を介して口部11が起立設する有底筒状の容器であり、口部11の外周面には、後述する外殻体40の外筒部42を装着するための雄ネジ14が刻設されている。開封前の口部11の上縁には、内容物Pが収容された容器本体10内を密封するためのシール部材70が剥離可能な状態で貼設されている。
【0021】
内キャップ20は、容器軸Oに沿う筒状の第1吐出口21が突設された頂壁22と、頂壁22の周縁部に形成されて口部11との間にシール部材70を挟み込むフランジ部23と、口部11とフランジ部23との間に起立設された円筒状のガイド筒24とを有して合成樹脂材料により一体に構成されている。第1吐出口21の上端には径方向外側に向かって反ることで逆流防止壁として機能するカール部21aが形成されている。またガイド筒24の図示左側の位置には、鉛直方向に延びると共に径方向に貫通する通気孔24aが形成されている。
【0022】
外キャップ30は、上部を開放する開放部41が形成された外殻体40と、開放部41を封止する弾性変形可能な変形部材50と、変形部材50の下面に垂下設されて変形部材50とを有して形成されている。
【0023】
外殻体40は、内面に刻設された雄ネジ42aを有して口部11に螺合する外筒部42と、外筒部42の上端に連設されると共に上部に開放部41が形成された略半球状の外殻部43と、図2に示すように外筒部42の上端で且つ側方の位置に、薄肉状に形成されたヒンジ44を介して開閉可能に連結されたオーバーキャップ45を有して合成樹脂材料により一体に成形されている。外殻部43の図示左側の位置には径方向外側に向かって突出する第2吐出口46が形成され、上端の開放部41には円筒状に起立すると共にその外周面にアンダーカット状の第1係止爪47aを備える連結筒部47が形成されている。
【0024】
変形部材50はシリコンゴム等の弾性変形部材で形成されており、その中央には略半球状を有して上下方向に変形可能なドーム状の押圧部51が設けられている。変形部材50の径方向の外側には、外殻体40側の第1係止爪47aに係合する第1被係合爪52を備えて連結筒部47に連結可能な二重円筒状の第1嵌合部53が設けられている。また押圧部51の下面には、後述する計量筒体60を支持する第2係止爪54を備える二重円筒状の第2嵌合部55が設けられている。
【0025】
計量筒体60は、円形状の天壁61と、天壁61の外周縁に連設された筒状の外筒体62と、天壁61の下面で且つ外筒体62の内側近傍に垂下設された筒状の内筒体63と、天壁61の下面で且つ内筒体63よりも内側となる位置に垂下設され、押下した時にカール部21aに当接して容器本体10の内外をシールする密封筒64とを有して合成樹脂材料により一体に形成されている。
【0026】
外筒体62の上端には、変形部材50側の第2嵌合部55の第2係止爪54に係合する第2被係合爪65が形成されている。変形部材50の第2嵌合部55が外筒体62の上端に係合することにより、押圧部51と天壁61との間に加圧室Qが形成されるように構成されている。また外筒体62と内筒体63とが径方向に対向する部分には隙間66が周設され、この隙間66内には内キャップ20に立設されたガイド筒24が配設される。そして、計量筒体60はこのガイド筒24に沿って上下方向に移動できるように構成されている。天壁61の外縁部には、隙間66に連通する連通孔68が周方向に沿って所定の間隔を有して複数形成されており、加圧室Qと隙間66との間は連通孔68を介して連通している。また隙間66内の、ガイド筒24の内周面と内筒体63の外周面とが径方向に対向する部分には、連通孔68及び隙間66と共に加圧室Qと計量空間Mとの間を連通させるエアー通路APが形成されている。
【0027】
図5に示すように、外筒体62の下端は内筒体63の下端よりも下方に突出している。計量筒体60が下方に移動すると、外筒体62の下端が内キャップ20の頂壁22に当接する。同時に、密封筒64がカール部21aに当接する。これにより、容器本体10の内側と外側とを二重にシールすることが可能となっている。そして二重にシールされたその内部、すなわち上下方向については天壁61と頂壁22の間で且つ径方向については第1吐出口21とガイド筒24の間(密封筒64と内筒体63の間でもある)には、ドーナツ状の計量空間Mが形成される。このような構成により、加圧空気Eを加圧室Qから計量空間Mに効率よく供給することが可能となっている。
またこのシール状態にあっても、内筒体63の下端は内キャップ20の頂壁22に当接することがなく、この間には環状隙間Sが形成される。また外筒体62の下端で、第2吐出口46と径方向において対向する左側の位置には切欠孔67が形成されている。そして、第2吐出口46と計量空間Mとの間には環状隙間S、通気孔24a及び切欠孔67が径方向に連通して成る通気ルートLが形成されている(図1図6参照)。
【0028】
オーバーキャップ45は、内側に変形部材50を収納することが可能な寸法を有して形成されている。図1に破線で示すように、オーバーキャップ45の内面には、閉蓋状態において第2吐出口46の先端に当接することで閉塞し、第2吐出口46からの内容物Pの漏れを防止する傾斜状の閉塞部45aが設けられている。閉塞部45aは、吐出容器1の不使用時においては、空気中に含まれる水分の容器本体10内への侵入を防止する。このため、湿気を帯びた環境下にあっても容器本体10内に収容されている内容物Pが塊状に固まることを抑制することができる。
【0029】
吐出容器1の組み付けは、シール部材70が貼設された容器本体10の口部11の上縁に、内キャップ20のフランジ部23を載置し、その上から外殻体40に変形部材50及び計量筒体60が組み付けられた外キャップ30の外筒部42を、口部11に被せながら雄ネジ14と雌ネジ42aを螺合させて装着することによって行う。
【0030】
次に、上記構成から成る吐出容器1の使用方法について、図1図3乃至図6を参照しつつ説明する。
【0031】
図1に示す初期状態において、一度外キャップ30を螺脱させると共に内キャップ20を外し、口部11の上端からシール部材70を剥離して取り外した後、再び内キャップ20及び外キャップ30を装着して吐出容器1を使用可能状態に設定する。
【0032】
続いて、図3に示すように、吐出容器1を倒立姿勢に設定する操作を行い、内容物Pを、容器本体10内から第1吐出口21を通じ、密封筒64と内筒体63とが離れて開状態にある計量空間M内に、すなわち計量筒体60の天壁61上に移動させる(倒立操作)。
続いて、図4に示すように、再び吐出容器1を正立状態に戻す操作を行う(戻し操作)。この戻し操作では、大部分の内容物Pは第1吐出口21を通じて容器本体10内に戻ることになるが、一定量の内容物Pを計量空間Mに残量させることができる。すなわち、第1吐出口21の上端に形成されたカール部21aが逆流防止壁として機能するため、一定量の内容物Pを頂壁22上で且つ第1吐出口21の周囲に設けられる開状態の計量空間M内で一時的に保持することができる。
尚、倒立操作及び戻し操作は、オーバーキャップ45を閉蓋状態として行うこともできるし、開蓋状態として行うこともできる。ただし、閉蓋状態で行った場合には、オーバーキャップ45の閉塞部45aが第2吐出口46の先端を閉塞することから、これらの操作中に内容物Pが第2吐出口46から外部に吐出されてしまうことを防止することができる点で好ましい。
【0033】
次に、指又は手で変形部材50の押圧部51を下方に押し込む操作を行う(押下操作)。
すると、図5に示すように、押圧部51と共に計量筒体60が下降移動し、外筒体62の下端が内キャップ20の頂壁22に当接すると同時に、密封筒64の下端がカール部21aに当接し、計量空間Mの内側と外側とが一部(通気ルートL)を除き、二重にシールされる閉状態に設定される。これにより、容器本体10及び計量空間Mとそれ以外の外部とを遮断することができる。
【0034】
続けて、更に強く押圧部51を押下すると、図6に示すように、押圧部51が凹部状に変形して加圧室Qが減容されるため、内部の空気を加圧することができる。加圧室Q内の加圧空気Eは、連通孔68から隙間66及びエアー通路APを通じて計量空間Mに供給され、更には環状隙間S、通気孔24a及び切欠孔67による通気ルートLを通って第2吐出口46から吐出容器1の外部に排出される。このとき同時に、移動する加圧空気Eが計量空間Mに保持されている内容物Pを吹き飛ばすことから、内容物Pは加圧空気Eと共に通気ルートL及び第2吐出口46を通じて外部に吐出させられる。
【0035】
このように、上記第1実施例に示す吐出容器1では、押圧部51を押下操作した際の加圧空気Eの流れで計量空間M内に一時的に保持されている内容物Pを吹き飛ばし、第2吐出口46から外部に勢いよく吐出させる構成としているため、内容物Pを均等に拡散させながら吐出することができる。特に、二重にシールする構成としたことから、容器本体及び計量空間Mとそれ以外の外部とを遮断することができ、加圧空気Eを加圧室Qから計量空間M、更には第2吐出口46に向けて効率よく移動させることができる。
尚、内容物Pが計量空間M内に保持された後は、吐出容器1がどのような姿勢であっても、すなわち第2吐出口46の向きが、例えば下向き、上向き、横向きなどどのような向きであっても、押圧部51を押下操作することにより、内容物Pを確実に吐出させることが可能である。
【0036】
このように、吐出容器1では、上記した倒立操作及び戻し操作を行うことにより、一定量の内容物Pを計量空間Mで保持することができ、続く押下操作において計量空間M内に保持した一定量の内容物Pを移動する加圧空気Eによって均等に拡散させながら吐出することができる。
【0037】
また本実施形態の吐出容器1にあっては、計量空間M内に保持された内容物Pのみが吐出される構成であるため、一度に大量の内容物Pが吐出されることを防止することができる。更に計量空間Mは一定量の内容物Pを保持する構成であるため、1回の押下操作で、概ね一定量の内容物Pを吐出させることができる。
【0038】
尚、加圧空気Eが排出された直後の加圧室Q内は減圧状態にあるため、押圧部51を押下していた指又は手を離すと、外部の空気が吐出時と同じ経路を第2吐出口46から逆流して加圧室Q内に流れ込むため、加圧室Qを元の状態に復元することができる。
【0039】
図7は本発明の第2実施例として吐出容器の正立姿勢を示す部分断面図、図8は開蓋状態を示す外キャップの平面図である。
第2実施例に示す吐出容器1は、変形部材50にステック56を設ける点、第1吐出口21の上にボールBを設ける点及び計量筒体60が外殻体40と一体に設けられ上下方向に移動しない構成とした点、更には第2吐出口46が3つの吐出孔46aを有して構成されている点を除き、第1実施例と共通している。
【0040】
図7に示すように、本発明の第2実施例では、変形部材50を構成する押圧部51の下面に容器軸Oに沿って延びるステック56が垂下設されており、その下端は計量筒体60を構成する天壁61の中心に設けられた貫通孔61aに挿入されている。
【0041】
また計量筒体60の密封筒64と対向して設けられた第1吐出口21のカール部21a上にボールBが配設されている。ボールBは、第1吐出口21の内径よりも大きく且つカール部21aの先端の内径よりも小さい直径を有する。またボールBは、常にカール部21aと密封筒64とが対向する間に位置し、上下方向に移動可能であり、正立姿勢においてはカール部21a上に載置され、倒立姿勢とした場合には密封筒64の先端に載置される構成である。そして、吐出容器1をどのような姿勢にしても、ボールBはカール部21aと密封筒64との間に位置し、径方向に外れないように構成されている。
【0042】
また計量筒体60は、外殻体40の上部側に一体に形成されており、天壁61の中心には貫通孔61aが穿設されている。この貫通孔61aには押圧部51の下面から延びるステック56が摺動可能に挿入されており、ステック56の下端はカール部21a上に載置されているボールBに対向している。また計量筒体60の天壁61と内キャップ20の頂壁22とが上下方向にいて対向する間に計量空間Mが設けられている。
【0043】
第2実施例に示す吐出容器では、上記第1実施例同様の倒立操作及び戻し操作を行うと、第1吐出口21を閉塞しているボールBもその操作に合わせて上下に移動するため、内容物Pを容器本体10内から計量空間Mに移動させることができ、一定量の内容物Pを計量空間Mにおいて一時的に保持することができる。
【0044】
続いて、押下操作を行うと、押圧部51が凹状に変形してステック56が下方に移動し、ステック56の下端がカール部21a上のボールBを移動不能に押さえ付けるため、第1吐出口21が強くシールされる。同時に、第1実施例同様に、加圧室Qが減容して加圧空気Eが生成され、加圧空気Eは連通孔68からエアー通路APを介して計量空間Mに供給され、更には環状隙間S、通気孔24a及び切欠孔67による通気ルートLを通って第2吐出口46に形成されている3つの吐出孔46a(図8参照)から吐出容器1の外部に排出される。このとき同時に、計量空間Mに保持されている内容物Pが、移動する加圧空気Eと共に通気ルートL及び第2吐出口46を通じて外部に勢いよく吐出される。特に、第2実施例では、ボールBが第1吐出口21を確実にシールすることが可能であるため、第1実施例に比較し、加圧空気Eを加圧室Qから計量空間M、更には第2吐出口46に向けて効率よく移動させることが可能である。
【0045】
加圧空気Eが排出された直後の加圧室Q内は減圧状態にある。このため、押圧部51を押下していた指又は手を解除すると、外部の空気が第2吐出口46の3つの吐出孔46aから流入し、加圧室Q内に向かって吐出時とは逆方向に流れ込むため、加圧室Qを元の状態に復元させることができる。尚、第2実施例では、空気が逆方向に流れる間においてもボールBが第1吐出口21を確実にシールすることが可能であるため、第1実施例に比較し加圧室Qを効率よく元の状態に復元させることができる。
【0046】
上記第1実施例及び第2実施例においては、第2吐出口46に、例えば中央部が十字形状に切断されて成るスリットを有してゴムやエラストマー等の軟質材で形成される弁体を設ける構成が好ましい。このような弁体は、指又は手で押圧部51を押下操作した場合には、加圧空気Eが十字形状のスリットを外部方向に押し開きながら通過することで弁体が開き、また押下していた指又は手を解除して押下操作を止めると、空気が逆流してスリットが復元されて弁体が閉じるように動作する。このため、吐出容器1の不使用時においては、空気中に含まれる水分の容器本体10内への侵入を防止することが可能となることから、湿気を帯びた環境下にあっても容器本体10内に収容されている内容物Pが塊状に固まることを抑制することができる。
【0047】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、上記実施例では、外キャップ30を構成する外殻体40の外筒部42と容器本体10の口部11とがネジを介して装着される場合を示して説明したが、外筒部42が口部11に対してアンダーカット係合することにより装着される構成であってもよい。
【0048】
また上記実施例では、外キャップ30を構成するオーバーキャップ45が、ヒンジ44を介して外殻体40に一体且つ開閉可能に設けられる構成を示して説明したが、オーバーキャップ45を外殻体40とは別体で構成してもよい。
【0049】
また上記実施例では、粉体状又は顆粒状の内容物を示して説明したが、液状の内容物であってもよい。
【0050】
また上記実施例では、押圧部51を変形可能なドーム状の部材として説明したが、弾性変形することで空気を送ることができる部材であれば、例えば伸縮自在な蛇腹構造を有するフイゴなどのような部材で構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、粉体状、顆粒状又は液状の内容物を定量吐出させる吐出容器の分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 : 吐出容器
10 : 容器本体
11 : 口部
12 : 胴部
13 : 肩部
14 : 雄ネジ
20 : 内キャップ
21 : 第1吐出口
21a: カール部
22 : 頂壁
23 : フランジ部
24 : ガイド筒
24a: 通気孔
30 : 外キャップ
40 : 外殻体
41 : 開放部
42 : 外筒部
42a: 雄ネジ
43 : 外殻部
44 : ヒンジ
45 : オーバーキャップ
45a: 閉塞部
46 : 第2吐出口
46a: 吐出孔
47 : 連結筒部
47a: 第1係止爪
50 : 変形部材
51 : 押圧部
52 : 第1被係合爪
53 : 第1嵌合部
54 : 第2係止爪
55 :第2嵌合部
56 : ステック
60 : 計量筒体
61 : 天壁
61a:貫通孔
62 : 外筒体
63 : 内筒体
64 : 密封筒
65 : 第2被係合爪
66 : 隙間
67 : 切欠孔
68 : 連通孔
70 : シール部材
AP : エアー通路
B : ボール
E : 加圧空気
L : 通気ルート
M : 計量空間
O : 容器軸
P : 内容物
Q : 加圧室
S : 環状隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8