(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156027
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】シート処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 9/00 20060101AFI20221006BHJP
B65H 45/04 20060101ALI20221006BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B65H9/00 J
B65H45/04
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059518
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】田口 雅則
【テーマコード(参考)】
2H270
3F102
3F108
【Fターム(参考)】
2H270KA57
2H270LA70
2H270LA75
2H270LC02
2H270LC04
2H270LC06
2H270LC07
2H270LC10
2H270LC15
2H270LC16
2H270LC17
2H270LC19
2H270MC55
2H270MC61
2H270MC62
2H270MC64
2H270MC67
2H270PA04
2H270PA07
2H270PA14
2H270PA15
2H270PA16
2H270ZC03
2H270ZC04
3F102AA06
3F102AA09
3F102AB01
3F102BA03
3F102BB08
3F102CA03
3F102EA02
3F102EA17
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
3F108BB31
(57)【要約】
【課題】シートにおける加工位置に応じてシート収容部内のシートの向きを変更する手間を軽減すること。
【解決手段】回転装置6xは、搬送路の途中における加工装置51,52の位置よりもシート搬送方向の上流側においてシートを回転させることにより前記シートの向きを変える。情報取得部8aは、シート収容部100内の前記シートのサイズおよび向きを表すシートサイズ情報およびシート向き情報と前記シートにおける加工位置を表す加工位置情報とを取得する。回転制御部8eは、前記シート向き情報および前記加工位置情報に応じて前記回転装置6xを制御する。加工制御部8dは、前記回転装置6xを経由した後の前記シートの向きと前記シートサイズ情報および前記加工位置情報とに応じて前記加工装置51,52を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを収容可能な1つ以上のシート収容部と、
前記シート収容部内の前記シートを搬送路へ送り出し、さらに前記シートを前記搬送路に沿って搬送する搬送装置と、
前記搬送路の途中で前記シートに加工を施す加工装置と、
前記搬送路の途中における前記加工装置の位置よりもシート搬送方向の上流側において前記シートの面に沿って前記シートを回転させることにより前記シートの向きを変える回転装置と、
前記シート収容部内の前記シートのサイズおよび向きを表すシートサイズ情報およびシート向き情報と前記シートにおける加工位置を表す加工位置情報とを取得する情報取得部と、
前記シート向き情報および前記加工位置情報に応じて前記回転装置を制御する回転制御部と、
前記シート向き情報および前記回転装置の制御結果に応じて定まる前記回転装置を経由した後の前記シートの向きと前記シートサイズ情報および前記加工位置情報とに応じて前記加工装置を制御する加工制御部と、を備えるシート処理装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、前記シートサイズ情報および前記シート向き情報に応じて、前記シートが回転されない場合に設定可能な前記加工位置情報の候補である第1候補情報と前記シートが回転される場合に設定可能な前記加工位置情報の候補である第2候補情報とを区別して情報出力装置へ出力し、前記第1候補情報および前記第2候補情報の中から選択される前記加工位置情報を情報入力装置から取得する、請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記情報取得部は、加工対象となる前記シートの枚数を表すシート枚数情報をさらに取得し、前記加工位置情報が前記第2候補情報から選択された場合に前記シート枚数情報に対応する枚数の前記シートの加工に要する時間を表す第1処理時間情報と、前記シート収容部内の前記シートの向きが変更された上で前記第2候補情報に相当する位置を表す前記加工位置情報が選択された場合に前記シート枚数情報に対応する枚数の前記シートの加工に要する時間を表す第2処理時間情報と、を前記第2候補情報に対応付けて前記情報出力装置へ出力する、請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記搬送装置によって搬送される前記シートに画像を形成するプリント装置をさらに備え、
前記加工装置は、画像が形成された前記シートに加工を施す、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに加工を施すことが可能なシート処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
後処理装置が、画像形成装置に連結される場合がある。前記画像形成装置は、シート収容部に収容されたシートを搬送路へ送り出し、さらに前記シートを搬送路に沿って搬送しつつ、前記シートに画像を形成する。前記後処理装置は、画像が形成された前記シートにステープル加工または孔開け加工などの加工を施す加工装置を備える。
【0003】
なお、前記画像形成装置および前記後処理装置を含む装置は、前記シートに加工を施すことが可能なシート処理装置の一例である。
【0004】
また、前記後処理装置において、前記シートにおける加工位置を複数の選択肢から選択できることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記加工装置が前記シートに加工可能な位置は、前記シート収容部内における前記シートの向きによって制限される。前記シートにおける加工位置に応じて前記シート収容部内の前記シートの向きを変更することは手間である。
【0007】
本発明の目的は、シートにおける加工位置に応じてシート収容部内のシートの向きを変更する手間を軽減できるシート処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係るシート処理装置は、1つ以上のシート収容部と、搬送装置と、加工装置と、回転装置と、情報取得部と、回転制御部と、加工制御部と、を備える。前記シート収容部は、シートを収容可能である。前記搬送装置は、前記シート収容部内の前記シートを搬送路へ送り出し、さらに前記シートを前記搬送路に沿って搬送する。前記加工装置は、前記搬送路の途中で前記シートに加工を施す。前記回転装置は、前記搬送路の途中における前記加工装置の位置よりもシート搬送方向の上流側において前記シートの面に沿って前記シートを回転させることにより前記シートの向きを変える。前記情報取得部は、前記シート収容部内の前記シートのサイズおよび向きを表すシートサイズ情報およびシート向き情報と前記シートにおける加工位置を表す加工位置情報とを取得する。前記回転制御部は、前記シート向き情報および前記加工位置情報に応じて前記回転装置を制御する。前記加工制御部は、前記シート向き情報および前記回転装置の制御結果に応じて定まる前記回転装置を経由した後の前記シートの向きと前記シートサイズ情報および前記加工位置情報とに応じて前記加工装置を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シートにおける加工位置に応じてシート収容部内のシートの向きを変更する手間を軽減できるシート処理装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係るシート処理装置の正面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るシート処理装置における画像形成装置および中継ユニットの構成図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るシート処理装置における後処理装置の構成図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るシート処理装置における制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るシート処理装置における回転措置の構成図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るシート処理装置におけるジョブ準備処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係るシート処理装置における後処理制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[シート処理装置10の構成]
実施形態に係るシート処理装置10は、画像形成装置1、画像読取装置2、中継ユニット6および後処理装置5を備える(
図1参照)。さらに、シート処理装置10は、制御装置8、操作装置801および表示装置802も備える(
図2参照)。
【0013】
例えば、シート処理装置10は、プリンター、複写機、スキャナーおよびファクシミリ装置として機能する複合機などである。
【0014】
画像形成装置1は、シート9に画像を形成するプリント処理を実行する。画像読取装置2は、原稿から画像を読み取る画像読取処理を実行する。
【0015】
画像読取装置2は、画像形成装置1の上部に連結され、中継ユニット6は、画像形成装置1と画像読取装置2との間のスペースにおいて、画像形成装置1に装着されている。また、後処理装置5は、画像形成装置1および中継ユニット6の側面に連結されている。
【0016】
中継ユニット6は、画像形成装置1と後処理装置5との間でシート9の搬送を中継する。後処理装置5は、中継ユニット6を経由して搬送されて来るシート9に対する各種の加工処理を実行する。
【0017】
シート処理装置10は、画像形成装置1、中継ユニット6および後処理装置5に亘って設けられた搬送路30を備える(
図2,3参照)。搬送路30は、シート9の通路を成す。
【0018】
搬送路30は、画像形成装置1内に設けられた主搬送路301と、中継ユニット6内に設けられた中継搬送路302と、後処理装置5内に設けられた後搬送路303とを含む。中継搬送路302は、主搬送路301と後搬送路303とに繋がっている。
【0019】
また、シート処理装置10は、画像形成装置1、中継ユニット6および後処理装置5に亘って設けられた搬送装置3を備える(
図2,3参照)。搬送装置3は、シート収容部100内のシート9を搬送路30へ送り出し、さらにシート9を搬送路30に沿って搬送する。
【0020】
具体的には、搬送装置3は、シート収容部100から主搬送路301へシート9を送り出す送出機構31を備える。さらに、搬送装置3は、シート9を主搬送路301、中継搬送路302および後搬送路303に沿って搬送する複数組の搬送ローラー対32を備える。
【0021】
複数組の搬送ローラー対32は、不図示のモーターによって回転駆動されることにより、シート9を搬送路30に沿って搬送する。
【0022】
主搬送路301は、2分岐した第1分岐路301aおよび第2分岐路301bを含む(
図2参照)。搬送装置3は、シート9を第1分岐路301aおよび第2分岐路301bの一方へ選択的に案内する第1進路切替機構33をさらに備える。第2分岐路301bは、中継搬送路302に連通している。
【0023】
操作装置801は、ユーザーの操作を受け付ける装置である。例えば、操作装置801は、押しボタンおよびタッチパネルの一方または両方を含む。また、表示装置802は、情報を表示するパネル表示ユニットを含む。
【0024】
[画像形成装置1]
図2に示されるように、画像形成装置1は、1つ以上のシート収容部100、搬送装置3の一部およびプリント装置4を備える。シート収容部100は、複数のシート9を収容可能である。
【0025】
図2に示される例では、シート処理装置10は、複数のシート収容部100を備える。シート9は、紙または樹脂フィルムなどのシート状の画像形成媒体である。
【0026】
プリント装置4は、搬送装置3により搬送されるシート9に、プリント対象データに基づく画像を形成するプリント処理を実行する。前記プリント対象データは、出力画像の情報を含むデータである。
【0027】
図1に示される例において、プリント装置4は、電子写真方式で前記プリント処理を実行する。しかしながら、プリント装置4が、インクジェット方式またはその他の方式によって前記プリント処理を実行する装置であってもよい。
【0028】
搬送装置3は、プリント装置4によって画像が形成されたシート9を、第1分岐路301aまたは第2分岐路301bへ搬送する。
【0029】
[中継ユニット6]
中継ユニット6は、画像形成装置1と後処理装置5との間に配置され、画像形成装置1の第2分岐路301bから中継搬送路302へ搬入される画像形成後のシート9を後処理装置5の後搬送路303へ搬送する。
【0030】
中継ユニット6の上面には、第1分岐路301aから排出されるシート9を受ける中間排出トレイ60が形成されている。
【0031】
[後処理装置5]
後処理装置5は、後搬送路303の途中でシート9に加工を施す1つ以上の加工装置を備える。前記加工装置は、画像が形成されたシート9に加工を施す。
【0032】
図3に示される例において、前記加工装置は、孔開け装置51、ステープル装置52およびシート折り装置53を含む。さらに、後処理装置5は、それぞれ加工を施されたシート9を受ける第1後排出トレイ501、第2後排出トレイ502および第3後排出トレイ503を備える。
【0033】
孔開け装置51は、シート9にパンチ孔を開ける孔開け加工を実行する。ステープル装置52は、複数枚のシート9を綴じるステープル加工を実行する。シート折り装置53は、シート9を2つ折りまたは3つ折りにする折り加工を実行する。
【0034】
後処理装置5内の後搬送路303は、中継搬送路302に連通する後基幹路303aと、それぞれ後基幹路303aから分岐した第3分岐路303b、第4分岐路303cおよび第5分岐路303dと、を含む。
【0035】
また、搬送装置3は、後基幹路303aを通過したシート9を第3分岐路303b、第4分岐路303cおよび第5分岐路303dのうちのいずれか1つへ選択的に案内する第2進路切替機構34をさらに備える。
【0036】
孔開け装置51は、後基幹路303aにおいてシート9に対する前記孔開け加工を実行する。前記孔開け加工を施されたシート9は、第3分岐路303b、第4分岐路303cおよび第5分岐路303dのいずれかへ搬送される。
【0037】
搬送装置3は、第3分岐路303bへ搬送されたシート9を第1後排出トレイ501上へ排出する。
【0038】
ステープル装置52は、第4分岐路303cへ搬送されたシート9に対する前記ステープル加工を実行する。搬送装置3は、前記ステープル加工が施されたシート9を第2後排出トレイ502上へ排出する。
【0039】
シート折り装置53は、第5分岐路303dへ搬送されたシート9に対する前記折り加工を実行する。搬送装置3は、前記折り加工が施されたシート9を第3後排出トレイ503上へ排出する。
【0040】
[制御装置8]
制御装置8は、各種のデータ処理およびシート処理装置10の制御を実行する。
【0041】
図4に示されるように、制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)81と、RAM(Random Access Memory)82、二次記憶装置83および信号インターフェイス84などの周辺機器とを備える。さらに、制御装置8は、ホスト装置7などの他の装置と通信可能な通信装置85も備える。
【0042】
二次記憶装置83は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。二次記憶装置83は、前記コンピュータープログラムおよび各種のデータの記憶および更新が可能である。例えば、フラッシュメモリーまたはハードディスクドライブの一方または両方が、二次記憶装置83として採用される。
【0043】
信号インターフェイス84は、各種のセンサーが出力する信号をデジタルデータへ変換し、変換後のデジタルデータをCPU81へ伝送する。さらに、信号インターフェイス84は、CPU81が出力する制御指令を制御信号へ変換し、前記制御信号を制御対象の機器へ伝送する。
【0044】
通信装置85は、シート処理装置10にジョブを送信するホスト装置7などの他装置との通信を実行する。CPU81は、通信装置85を通じて他装置と通信する。前記ジョブは、前記プリント処理および前記加工装置による処理の内容を指定する情報を含む。前記ジョブは、前記プリント対象データを含む。
【0045】
CPU81は、コンピュータープログラムを実行することにより、各種のデータ処理および制御を実行するプロセッサーである。RAM82は、コンピューター読み取り可能な揮発性の記憶装置である。RAM82は、CPU81が実行する前記コンピュータープログラムおよびCPU81が各種の処理を実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する。
【0046】
CPU81は、前記コンピュータープログラムを実行することにより実現される複数の処理モジュールを含む。前記複数の処理モジュールは、主制御部8a、搬送制御部8b、プリント制御部8cおよび加工制御部8dなどを含む。
【0047】
主制御部8aは、操作装置801に対する操作に応じて各種の処理を開始させる制御、および、表示装置802の制御などを実行する。
【0048】
搬送制御部8bは、搬送装置3を制御することにより、シート収容部100からのシート9の送り出し、および、搬送路30に沿ったシート9の搬送を制御する。プリント制御部8cは、搬送装置3によるシート9の搬送に同期して、プリント装置4に前記プリント処理を実行させる。
【0049】
加工制御部8dは、前記加工装置を制御する加工制御を実行する。例えば、加工制御部8dは、前記加工制御において、それぞれ予め取得されるシートサイズ情報、シート向き情報および加工位置情報に基づいて孔開け装置51およびステープル装置52の一方または両方を制御する。
【0050】
前記シートサイズ情報および前記シート向き情報は、それぞれシート収容部100内のシート9のサイズおよび向きを表す。前記加工位置情報は、シート9に対する加工位置を表す。
【0051】
前記加工制御が実行されることにより、シート9における前記加工位置情報に対応する位置に前記孔開け加工および前記ステープル加工の一方または両方が施される。
【0052】
また、加工制御部8dは、前記加工制御において、それぞれ予め取得される前記シートサイズ情報、前記シート向き情報および折り数情報に基づいてシート折り装置53を制御する。前記折り数情報は、シート9を2つ折りおよび3つ折りのいずれに加工するかを表す情報である。
【0053】
前記加工位置情報は、予め定められた複数の候補位置から選択される指定位置を表す。即ち、孔開け装置51は、シート9における前記複数の候補位置のいずれかに前記孔開け加工を施すことが可能である。同様に、ステープル装置52は、シート9における前記複数の候補位置のいずれかに前記ステープル加工を施すことが可能である。
【0054】
ところで、前記加工装置がシート9に加工可能な位置は、シート収容部100内におけるシート9の向きによって制限される。シート9における加工位置に応じてシート収容部100内のシート9の向きを変更することは手間である。
【0055】
図2,5に示されるように、シート処理装置10は、回転装置6xを備える。回転装置6xは、シート9の面に沿ってシート9を回転させることによりシート9の向きを変える。本実施形態において、回転装置6xは、中継ユニット6内に設けられている。
【0056】
さらに、CPU81における前記複数の処理モジュールは、回転装置6xを制御する回転制御部8eをさらに含む(
図4参照)。
【0057】
シート処理装置10が回転装置6xを備えることにより、シート9における前記加工位置に応じてシート収容部100内のシート9の向きを変更する手間が軽減される。
【0058】
[回転装置6x]
回転装置6xは、搬送路30の途中における前記加工装置の位置よりもシート搬送方向の上流側においてシート9を回転させる。本実施形態において、回転装置6xは、中継搬送路302においてシート9を回転させる。
【0059】
図2,5に示されるように、回転装置6xは、2組のレジストローラー対61と、ローラー移動機構62と、ターンテーブル63と、テーブル駆動機構64と、前シートガイド65と、後シートガイド66と、シート検出部67と、を備える。
【0060】
レジストローラー対61各々は、不図示のモーターによって回転駆動される駆動ローラー61aと、駆動ローラー61aの下面に接する従動ローラー61bと、を含む。従動ローラー61bは、駆動ローラー61aに対して従動回転する。
【0061】
レジストローラー対61は、シート9を挟んで回転することによってシート9を中継搬送路302に沿って搬送する。
【0062】
前シートガイド65は、中継搬送路302に沿って搬送されるシート9をレジストローラー対61へ案内する。
【0063】
ローラー移動機構62は、2組のレジストローラー対61における従動ローラー61bを作動位置と退避位置との間で移動させる機構である。例えば、ローラー移動機構62は、カム機構と前記カム機構を駆動するモーターとを含む。
【0064】
従動ローラー61bは、前記作動位置において駆動ローラー61aの下面に接する。一方、従動ローラー61bは、前記退避位置において駆動ローラー61aに対し下方へ離隔している。
【0065】
ターンテーブル63は、中継搬送路302に沿って配置され、回転可能に支持されている。ターンテーブル63には、2つの従動ローラー61bを中継搬送路302へ露出させる複数の開口63aが形成されている(
図5参照)。
【0066】
2つの従動ローラー61bは、ターンテーブル63の開口63aを通じて2つの駆動ローラー61aに接触する。即ち、2つの従動ローラー61bは、前記作動位置に存在するときに、ターンテーブル63の開口63aから中継搬送路302へ突出している。
【0067】
一方、2つの従動ローラー61bは、前記退避位置に存在するときに、ターンテーブル63よりも下方に位置する。従って、2つの従動ローラー61bが前記退避位置に存在するときに、ターンテーブル63は2つの従動ローラー61bに干渉することなく回転可能である。
【0068】
2組のレジストローラー対61がシート9を挟んでいる状態で停止すると、シート9は、2組のレジストローラー対61によってターンテーブル63の上方に保持される。
【0069】
シート検出部67は、2組のレジストローラー対61へ向かって搬送されるシート9を検出する。例えば、シート検出部67は、不図示の変位部材および検出センサーを備える。
【0070】
前記変位部材は、2組のレジストローラー対61へ向かって搬送されるシート9と接触することにより、第1位置から第2位置へ変位する。前記検出センサーは、前記第2位置へ変位した前記変位部材を検出する。
【0071】
シート検出部67の位置からターンテーブル63の回転中心までの距離、および、搬送装置3によるシート9の搬送速度は既知である。従って、回転制御部8eは、シート検出部67がシート9を検出し続ける時間を計時することにより、シート9の搬送方向の長さを特定することができる。
【0072】
さらに、回転制御部8eは、シート検出部67がシート9を検出する状態から検出しない状態へ変化した時点から、シート9の搬送方向の長さに応じた目標時間が経過したときに2組のレジストローラー対61を停止させる。これにより、回転制御部8eは、シート9の中心とターンテーブル63の回転中心とが一致する中心一致タイミングでシート9の搬送を停止させることができる。
【0073】
ローラー移動機構62は、2組のレジストローラー対61がシート9を挟んで停止しているときに、2つの従動ローラー61bを前記作動位置から前記退避位置へ移動させることができる。2つの従動ローラー61bが前記作動位置から前記退避位置へ移動すると、シート9は、ターンテーブル63上に載置される。
【0074】
テーブル駆動機構64は、2つの従動ローラー61bが前記退避位置に存在するときに、ターンテーブル63を水平面に沿って90度回転させる。これにより、シート9は、ターンテーブル63上に載置された状態でシート9の面に沿って90度回転する。その結果、シート9の中心とターンテーブル63の回転中心とが一致する状態のまま、ターンテーブル63上のシート9の向きが変わる。
【0075】
テーブル駆動機構64がターンテーブル63を90度回転させた後、ローラー移動機構62は、2つの従動ローラー61bを前記退避位置から前記作動位置へ移動させる。これにより、向きが変更されたシート9が、2組のレジストローラー対61によってターンテーブル63の上方に保持される。
【0076】
そして、2組のレジストローラー対61は、再び回転することにより、向きが変更されたシート9を後搬送路303へ向けて搬送する。後シートガイド66は、2組のレジストローラー対61により搬送されるシート9を後搬送路303へ案内する。
【0077】
以下の説明において、回転制御部8eが回転装置6xにシート9の向きを変更させる制御のことをシート回転制御と称する。以下、前記シート回転制御の手順を説明する。
【0078】
回転制御部8eは、まず前記中心一致タイミングにおいて2組のレジストローラー対61の回転を停止させる。続いて、回転制御部8eは、ローラー移動機構62を制御することにより、2つの従動ローラー61bを前記作動位置から前記退避位置へ移動させる。さらに、回転制御部8eは、テーブル駆動機構64を制御することにより、ターンテーブル63を90度回転させる。
【0079】
続いて、回転制御部8eは、ローラー移動機構62を制御することにより、2つの従動ローラー61bを前記退避位置から前記作動位置へ移動させる。最後に、回転制御部8eは、2組のレジストローラー対61の回転を再開させる。
【0080】
主制御部8aは、ホスト装置7から事前問合せ情報を受信したときに、後述するジョブ準備処理を開始させる。ホスト装置7は、前記ジョブをシート処理装置10へ送信する前に、前記事前問合せ情報をシート処理装置10へ送信する。
【0081】
さらに、主制御部8aがホスト装置7から前記ジョブを受信したときに、搬送制御部8bが前記ジョブに対応するシート9の搬送を搬送装置3に実行させ、さらに、プリント制御部8cが前記ジョブに対応する前記プリント処理をプリント装置4に実行させる。さらに、前記ジョブがシート9に対する加工を指示する情報を含む場合に、加工制御部8dおよび回転制御部8eが、後述する後処理制御を実行する(
図6,7参照)。
【0082】
[ジョブ準備処理]
以下、
図6に示されるフローチャートを参照しつつ、前記ジョブ準備処理の手順の一例について説明する。以下の説明において、S101,S102,…は、前記ジョブ準備処理における複数の工程の識別符号を表す。前記ジョブ準備処理において、まず、工程S101の処理が実行される。
【0083】
<工程S101>
工程S101において、主制御部8aは、ホスト装置7から前記事前問合せ情報に含まれる対象情報を取得し、処理を工程S102へ移行させる。前記対象情報は、前記プリント処理の対象となるシート9のサイズの情報である。
【0084】
<工程S102>
工程S102において、主制御部8aは、前記シートサイズ情報および前記シート向き情報を含むシート情報を取得する。
【0085】
本実施形態において、主制御部8aは、操作装置801に対する操作に従ってシート収容部100ごとに前記シート情報を設定し、設定した前記シート情報を二次記憶装置83に記録する処理を実行可能である。この場合、主制御部8aは、工程S102において、二次記憶装置83から前記シート情報を取得する。
【0086】
なお、シート処理装置10が、シート収容部100ごとにシート9の搬送方向および幅方向のサイズを検出するサイズ検出センサーを備えていてもよい。前記幅方向は、前記搬送方向に交差する方向である。
【0087】
主制御部8aは、前記サイズ検出センサーにより検出される前記搬送方向および前記幅方向のサイズの比較により、シート収容部100内のシート9の向きを特定することができる。即ち、前記サイズ検出センサーにより検出される前記搬送方向および前記幅方向のサイズの情報は、前記シートサイズ情報および前記シート向き情報を含む。
【0088】
従って、シート処理装置10が前記サイズ検出センサーを備える場合、主制御部8aは、工程S102において、前記サイズ検出センサーから前記シート情報を取得することができる。
【0089】
<工程S103>
工程S103において、主制御部8aは、シート9に対する加工位置の候補を表す位置候補情報を設定する。その際、主制御部8aは、前記シートサイズ情報および前記シート向き情報に応じて、前記位置候補情報を、第1候補情報と第2候補情報とに区別して設定する。
【0090】
前記第1候補情報は、回転装置6xによってシート9が回転されない場合に設定可能な前記加工位置情報の候補である。前記第2候補情報は、回転装置6xによってシート9が回転される場合に設定可能な前記加工位置情報の候補である。
【0091】
主制御部8aは、前記第1候補情報と前記第2候補情報とを設定した後、処理を工程S104へ移行させる。
【0092】
<工程S104>
工程S104において、主制御部8aは、工程S103で設定した前記位置候補情報をホスト装置7へ送信し、前記ジョブ準備処理を終了させる。
【0093】
即ち、工程S104において、主制御部8aは、前記シートサイズ情報および前記シート向き情報に応じて、前記第1候補情報と前記第2候補情報とを区別してホスト装置7へ送信する。
【0094】
ホスト装置7は情報を表示部などに出力可能な情報出力装置の一例である。また、前記第1候補情報および前記第2候補情報をホスト装置7へ送信することは、情報を前記情報出力装置へ出力することの一例である。
【0095】
シート9が回転装置6xによって回転される場合、シート9が回転されない場合よりもシート9が前記加工装置へ搬送されるまでの所要時間が長い。
【0096】
ホスト装置7において、前記第1候補情報と前記第2候補情報とが区別されて前記加工位置情報の候補としてユーザーに提供される。このような情報提供は、ユーザーによる前記加工位置情報の設定の判断材料となる。
【0097】
例えば、ユーザーは、加工対象となるシート9の枚数が少ない場合に、前記第2候補情報から前記加工位置情報を選択する、という判断が可能となる。一方、ユーザーは、加工対象となるシート9の枚数が多い場合に、シート収容部100内のシート9の向きを変更した上で、前記第1候補情報から前記加工位置情報を選択する、という判断も可能となる。
【0098】
ホスト装置7は、ホスト装置7が備えるキーボードなどの操作部に対する選択操作に従って、前記第1候補情報および前記第2候補情報の中から前記加工位置情報を選択する。さらに、ホスト装置7は、選択された前記加工位置情報を含む前記ジョブをシート処理装置10へ送信する。
【0099】
[後処理制御]
次に、
図7に示されるフローチャートを参照しつつ、前記後処理制御の手順の一例について説明する。以下の説明において、S201,S202,…は、前記後処理制御における複数の工程の識別符号を表す。前記ジョブ準備処理において、まず、工程S201の処理が実行される。
【0100】
<工程S201>
工程S201において、主制御部8aは、ホスト装置7から受信された前記ジョブに含まれる前記加工位置情報と前記シート情報とを取得し、処理を工程S202へ移行させる。
【0101】
工程S201において、主制御部8aは、工程S102と同様に前記シートサイズ情報および前記シート向き情報を含む前記シート情報を取得する。
【0102】
また、工程S201においてホスト装置7から取得される前記加工位置情報は、前記第1候補情報および前記第2候補情報の中から選択される情報である。なお、ホスト装置7は、キーボードなどを備える情報入力装置の一例である。
【0103】
<工程S202>
工程S202において、回転制御部8eは、前記加工位置情報が前記第1候補情報から選択されているか、または、前記第2候補情報から選択されているかを判定する。
【0104】
具体的には、回転制御部8eは、工程S103と同様に、前記シートサイズ情報および前記シート向き情報に応じて前記第1候補情報および前記第2候補情報を特定する。さらに、回転制御部8eは、前記加工位置情報が前記第1候補情報および前記第2候補情報のいずれから選択されているかを判定する。
【0105】
そして、回転制御部8eは、前記加工位置情報が前記第1候補情報から選択されていると判定する場合に、処理を工程S204へ移行させ、そうでない場合に、処理を工程S203へ移行させる。
【0106】
<工程S203>
工程S203において、回転制御部8eは、プリント装置4を経由して搬送されるシート9が回転装置6xに到達するタイミングで前記シート回転制御を実行する。これにより、回転装置6xは、シート9の向きを変更した上で、シート9を後搬送路303へ向けて搬送する。
【0107】
回転制御部8eは、前記シート回転制御を実行した後、処理を工程S204へ移行させる。
【0108】
なお、前記加工位置情報が前記第1候補情報から選択されていると判定される場合、工程S203の処理はスキップされ、回転装置6xは、シート9を回転させることなくそのまま後搬送路303へ向けて搬送する。
【0109】
<工程S204>
工程S204において、加工制御部8dは、後処理装置5へ搬送されたシート9の枚数が前記ジョブに含まれる情報が表す加工枚数に達したか否かを判定する。
【0110】
本実施形態において、孔開け装置51は、常に1枚のシート9に前記孔開け加工を施す。そのため、前記孔開け加工に対応する前記加工枚数は1枚である。
【0111】
一方、前記ステープル加工または前記折り加工に対応する前記加工枚数は、ホスト装置7において、予め定められた許容枚数の範囲内で設定される。
【0112】
加工制御部8dは、後処理装置5へ搬送されたシート9の枚数が前記加工枚数に達したと判定する場合に処理を工程S205へ移行させ、そうでない場合に処理を工程S207へ移行させる。
【0113】
<工程S205>
工程S205において、加工制御部8dは、シート9に対する加工処理を前記加工装置に実行させる加工制御を実行する。
【0114】
以下の説明において、シート9の送出元のシート収容部100に対応する前記シート向き情報および前記シートサイズ情報を、それぞれ対象向き情報および対象サイズ情報と称する。
【0115】
前記ジョブがシート9に対する前記孔開け加工および前記ステープル加工の一方または両方を指示する情報を含む場合に、加工制御部8dは、孔開け装置51およびステープル装置52の一方または両方を制御する。その際、加工制御部8dは、前記対象向き情報および回転装置6xの制御結果に応じて定まる回転装置6xを経由した後のシート9の向きを特定する。
【0116】
さらに、加工制御部8dは、特定したシート9の向きと前記対象サイズ情報および前記加工位置情報とに応じて孔開け装置51およびステープル装置52の一方または両方を制御する。これにより、前記孔開け加工および前記ステープル加工の一方または両方が、シート9における前記加工位置情報に対応する部分に施される。
【0117】
一方、前記ジョブがシート9に対する前記折り加工を指示する情報を含む場合に、加工制御部8dは、前記シートサイズ情報、前記シート向き情報および前記折り数情報に基づいてシート折り装置53を制御する。
【0118】
加工制御部8dは、前記加工制御を実行した後、処理を工程S206へ移行させる。
【0119】
<工程S206>
工程S206において、搬送制御部8bは、加工されたシート9を3つの排出トレイ501~503のいずれかへ排出する処理を搬送装置3に実行させる。その後、搬送制御部8bは処理を工程S207へ移行させる。
【0120】
<工程S207>
工程S207において、加工制御部8dは、前記ジョブが終了したか否かを判定する。そして、加工制御部8dは、前記ジョブが終了したと判定した場合に前記後処理制御を終了させ、そうでない場合に処理を工程S202へ移行させる。
【0121】
以上に示されるように、主制御部8aは、前記シートサイズ情報、前記シート向き情報および前記加工位置情報を取得する(工程S201)。工程S201の処理を実行する主制御部8aは情報取得部の一例である。
【0122】
さらに、回転制御部8eは、前記シート向き情報および前記加工位置情報に応じて回転装置6xを制御する(工程S203)。
【0123】
さらに、加工制御部8dは、前記シート向き情報および回転装置6xの制御結果に応じて定まる回転装置6xを経由した後のシート9の向きと前記シートサイズ情報および前記加工位置情報とに応じて前記加工装置を制御する(工程S205)。
【0124】
本実施形態によれば、シート9における加工位置に応じてシート収容部100内のシート9の向きを変更する手間が軽減される。
【0125】
[応用例]
以下、シート処理装置10の応用例について説明する。
【0126】
本応用例における主制御部8aは、
図6の工程S101において、加工対象となるシート9の枚数を表すシート枚数情報をさらに取得する。
【0127】
さらに、主制御部8aは、
図6の工程S103において、前記第1候補情報に対応する第1処理時間情報と前記第2候補情報に対応する第2処理時間情報とを導出する。
【0128】
前記第1処理時間情報は、前記加工位置情報が前記第2候補情報から選択された場合に前記シート枚数情報に対応する枚数のシート9の加工に要する時間を表す。
【0129】
一方、前記第2処理時間情報は、前記シート収容部100内のシート9の向きが変更された上で前記第2候補情報に相当する位置を表す前記加工位置情報が選択された場合に、前記シート枚数情報に対応する枚数のシート9の加工に要する時間を表す。
【0130】
そして、主制御部8aは、
図6の工程S104において、前記第1処理時間情報および前記第2処理時間情報を、前記第2候補情報に対応付けてホスト装置7へ送信する。
【0131】
前記第1処理時間情報および前記第2処理時間情報は、ユーザーによる前記加工位置情報の設定の判断材料となる。
【0132】
例えば、ユーザーは、前記第1処理時間情報と前記第2処理時間情報とを比較し、それらの時間差が比較的小さい場合に、前記第2候補情報から前記加工位置情報を選択する、という判断が可能となる。一方、ユーザーは、前記時間差が大きい場合に、シート収容部100内のシート9の向きを変更した上で、前記第1候補情報から前記加工位置情報を選択する、という判断も可能となる。
【符号の説明】
【0133】
1 :画像形成装置
2 :画像読取装置
3 :搬送装置
4 :プリント装置
5 :後処理装置
6 :中継ユニット
6x :回転装置
10 :シート処理装置
51 :孔開け装置(加工装置)
52 :ステープル装置(加工装置)
53 :シート折り装置
61 :レジストローラー対
61a :駆動ローラー
61b :従動ローラー
62 :ローラー移動機構
63 :ターンテーブル
63a :開口
64 :テーブル駆動機構
67 :シート検出部
81 :CPU
82 :RAM
83 :二次記憶装置
84 :信号インターフェイス
85 :通信装置
100 :シート収容部