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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156028
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】美容施術用ケープ
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/00 20060101AFI20221006BHJP
   A45D 44/08 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A41D13/00 102
A45D44/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059519
(22)【出願日】2021-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 美容室orsaでの使用
(71)【出願人】
【識別番号】521135810
【氏名又は名称】小川 信也
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 信也
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA04
3B011AB05
3B011AC00
(57)【要約】
【課題】被施術者のイメージ通りの髪形を実現することができる美容施術用ケープを提供する。
【解決手段】
図2の美容施術用ケープ1は、美容施術の際に、被施術者Mの頭部15及び顔部16を露出させつつ少なくとも上半身を覆うように被せられ、前記被施術者Mの少なくとも襟元領域2を含む所定領域を視認可能とする部位17に配置される透明部材3と、前記美容施術用ケープ1のうち前記所定領域を視認可能とする部位以外の周囲部位を構成する布部材4とを有し、前記透明部材3と前記布部材4との接続部5は、当該透明部材3の端部と当該布部材4の端部とをそれぞれ前記被施術者M側へ折り込み、それら折り込んだ部分を縫合して構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
美容施術の際に、被施術者の頭部及び顔部を露出させつつ少なくとも上半身を覆うように被せられる美容施術用ケープであって、
前記被施術者の少なくとも襟元領域を含む所定領域を視認可能とする部位に配置される透明部材と、
前記美容施術用ケープのうち前記所定領域を視認可能とする部位以外の周囲部位を構成する布部材と、
を有し、
前記透明部材と前記布部材との接続部は、
当該透明部材の端部と当該布部材の端部とをそれぞれ前記被施術者側へ折り込み、それら折り込んだ部分を縫合して構成されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項2】
請求項1記載の美容施術用ケープにおいて、
前記接続部は、横断面視において、
L字状の前記透明部材の略水平部分と逆L字状の前記布部材の略水平部分とが互いに重ね合わされた状態で、それら略水平部分どうしを縫合して構成されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項3】
布部材と前記布部材に接続された透明部材とにより構成され、美容施術の際に被施術者の頭部及び顔部を露出させつつ少なくとも上半身を覆うように被せられる美容施術用ケープであって、
前記被施術者の少なくとも襟元領域を含む所定領域のうち、当該被施術者から見て前側でかつ左右方向一方側の部分領域を前記透明部材によりケープ外から視認可能とし、当該被施術者から見て前側でかつ左右方向他方側の部分領域を前記布部材によりケープ外から視認不能とするように構成した
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項4】
請求項3記載の美容施術用ケープにおいて、
前記被施術者の少なくとも襟元領域を含む所定領域のうち、当該被施術者から見て後側でかつ左右方向一方側の部分領域を前記布部材によりケープ外から視認不能とし、当該被施術者から見て後側でかつ左右方向他方側の部分領域を前記透明部材によりケープ外から視認可能とするように構成した
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の美容施術用ケープにおいて、
前記透明部材と前記布部材との接続部は、
当該透明部材の端部と当該布部材の端部とをそれぞれ前記被施術者側へ折り込み、それら折り込んだ部分を縫合して構成されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項6】
請求項2~請求項5のいずれか1項記載の美容施術用ケープにおいて、
前記所定領域は、
前記被施術者の前記襟元領域の下方に続く胸領域と、
前記胸領域の下方に続く臍上領域と、をさらに含み、
前記透明部材は、
前記胸領域に対応する第1部位と、
前記臍上領域に対応する第2部位と、を含む部位に配置されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項7】
請求項6記載の美容施術用ケープにおいて、
前記所定領域は、前記襟元領域の外周側に続く前記被施術者の肩領域をさらに含み、
前記透明部材は、
前記第1部位と、前記第2部位と、前記肩領域に対応する第3部位と、を含む部位に配置されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項8】
請求項7記載の美容施術用ケープにおいて、
前記透明部材は、
前記施術者の鎖骨が視認可能となるように配置されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項9】
請求項7又は請求項8記載の美容施術用ケープにおいて、
前記所定領域は、前記肩領域の下方に続く前記被施術者の上腕領域をさらに含み、
前記透明部材は、
前記第1部位と、前記第2部位と、前記第3部位と、前記上腕領域に対応する第4部位と、を含む部位に配置されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項10】
請求項9記載の美容施術用ケープにおいて、
前記所定領域は、前記肩領域の背中側に続く前記被施術者の上背領域をさらに含み、
前記透明部材は、
前記第1部位と、前記第2部位と、前記第3部位と、前記第4部位と、前記上背領域に対応する第5部位と、を含む部位に配置されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項11】
請求項2~請求項10のいずれか1項記載の美容施術用ケープにおいて、
前記被施術者の首回りに当接する外縁部位は前記布部材により構成されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項12】
請求項2~請求項11のいずれか1項記載の美容施術用ケープにおいて、
前記透明部材は、熱可塑性ポリウレタンにより構成されており、
前記布部材は、ポリエステルにより構成されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容施術用ケープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美容院等において被施術者が着用するカットクロスであって、透明樹脂からなる窓部を具備するカットクロスが知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術のカットクロスでは、施術者が座ったときの膝部に相当する箇所に窓部が設けられ、該窓部を通してカットクロスの内側に配置した雑誌や携帯電話を施術中に楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3185522号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のカットクロスでは、被施術者の上半身に相当する部位は不透明あるいは半透明の従来の合成樹脂で構成されていた。このようなカットクロスでは被施術者の髪の毛が長い場合、施術者が髪の毛の長さと体や洋服のシルエットとのバランスとを視覚的に確認しながらカットすることは困難であった。そのため施術者がカットしすぎてしまう等のミスが生じ、カットクロスを外した後に、例えば被施術者が思ったより髪の毛が短くイメージ通りになっていない、等の不都合が生じる場合があった。
【0005】
本発明の目的は、少なくとも被施術者の襟元領域をリアルタイムで見ながら髪のカットを行うことができ、施術者又は被施術者のイメージ通りの髪形を実現することができる美容施術用ケープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明の美容施術用ケープは、美容施術の際に、被施術者の頭部及び顔部を露出させつつ少なくとも上半身を覆うように被せられ、前記被施術者の少なくとも襟元領域を含む所定領域を視認可能とする部位に配置される透明部材と、前記美容施術用ケープのうち前記所定領域を視認可能とする部位以外の周囲部位を構成する布部材と、を有し、前記透明部材と前記布部材との接続部は、当該透明部材の端部と当該布部材の端部とをそれぞれ前記被施術者側へ折り込み、それら折り込んだ部分を縫合して構成されていることを特徴としている。
【0007】
従来の美容施術用ケープは、首と頭だけしか露出していないため、髪がカットされるとき、施術者と被施術者(客)は、髪の毛と被施術者の体のラインや洋服のシルエットとの全体バランスをリアルタイムでイメージすることができなかった。そのため、施術が終了しケープを脱いだ後で、当初抱いていたイメージと違っている(特に、思ったより短く切りすぎて失敗した等の長さイメージの誤解が多い)等の不都合が生じていた。
これに対し、本願発明では、所定の部位に透明部材が設けられることによって、施術者は、施術中に、少なくとも被施術者の襟元領域をリアルタイムで見ながら髪のカットを行うことができる。したがって、上記のような違和感のない、施術者又は被施術者のイメージ通りの髪形を実現することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の美容施術用ケープによれば、施術者は、少なくとも被施術者の襟元領域をリアルタイムで見ながら髪のカットを行うことができ、施術者又は被施術者のイメージ通りの髪形を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】被施術者の各所定領域の詳細を表す正面図および背面図である。
図2】本発明の一実施形態による美容施術用ケープを被施術者が装着した状態を表す正面図および背面図である。
図3図2の美容施術用ケープの詳細を表す斜視図である。
図4】胸領域及び臍上領域を視認可能とした変形例における、美容施術用ケープを被施術者が装着した状態を表す正面図である。
図5】さらに肩領域も視認可能とした変形例における、美容施術用ケープを被施術者が装着した状態を表す正面図である。
図6】さらに上腕領域及び上背領域を視認可能とした変形例における、美容施術用ケープを被施術者が装着した状態を表す正面図および背面図である。
図7】左側・右側半分の片方だけ透明部材とした変形例における、美容施術用ケープを被施術者が装着した状態を表す正面図および背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。本実施形態は、美容施術時に被施術者が装着する美容施術用ケープにおいて、被施術者の上半身の所定領域を視認可能とする部位に透明部材を設けることを特徴とする。
【0011】
まず最初に、上述した各所定領域についてわかりやすく説明するために、図1に被施術者Mの上半身における各所定領域の詳細を示す。図1(a)の正面図において被施術者Mの襟元領域2、胸領域7、臍上領域8.肩領域9、上腕領域10を示す。胸領域7は襟元領域2の下方に続き、臍上領域8は胸領域7の下方に続き、肩領域9は襟元領域2の外周側に続き、上腕領域10は肩領域9の下方に続く領域である。図1(b)の背面図において被施術者Mの肩領域9、上腕領域10、上背領域11、後側から見た襟元領域14を示す。上背領域11は肩領域9の背中側に続く領域である。また、後側から見た襟元領域14は、図1(a)における襟元領域2を被施術者Mの背面から見た時の領域を示す。
【0012】
図2(a)に本発明の一実施形態に係る美容施術用ケープを被施術者Mが装着した状態を表す正面図、図2(b)にその背面図を示す。
【0013】
図2(a)及び図2(b)において、被施術者Mに被せられた美容施術用ケープ1は、被施術者Mの頭部15及び顔部16を露出させつつ、少なくとも上半身を覆っている。図2(a)において、美容施術用ケープ1の透明部材3は、図1(a)に示した襟元領域2を視認可能とする部位17に配置されている。すなわち、本実施形態では襟元領域2が上記所定領域である。美容施術用ケープ1の透明部材3以外の周囲部位は布部材4により構成されている。この図では透明部材3は被施術者Mの正面の側にのみ配置されており、背面の側は全面が布部材4で構成されている。本実施形態の美容施術用ケープ1において、透明部材3は被施術者Mの鎖骨Cが視認可能となるように配置されている。
【0014】
図2(a)には透明部材3と布部材4との接続部5の拡大図についても示している。接続部5は、透明部材3の端部と布部材4の端部とをそれぞれ前記被施術者M側へ折り込み、それらを折り込んだ部分を糸6により縫合して構成されている。さらに詳しく述べると、接続部5は、横断面視において、L字状の透明部材3の略水平部分18と逆L字状の前記布部材4の略水平部分19とが互いに重ね合わされた状態で、それら略水平部分18,19どうしを糸6で縫合して構成されている。なお、図2(a)に示すY方向は、被施術者Mの正面から見て被施術者Mのほうにまっすぐ向かう方向である。X方向及びZ方向はそれぞれY方向に直交する方向である。同様の方向が図3図7に適宜適用される。
【0015】
なお、図2(b)では、美容施術用ケープ1の布部材4は被施術者Mの背面でマジックテープ(登録商標)13等により止められるようになっている。
【0016】
図3に、本実施形態における美容施術用ケープ1の詳細を示す。図3は、美容施術用ケープ1を被施術者Mが被る際に、被施術者M側から見た図を示している。美容施術用ケープ1は透明部材3と布部材4とを備えている。また透明部材3と布部材4とは接続部5により接続されている。接続部5は透明部材3と布部材4との境界となる領域に配置され、縫合などにより両者を接続している。接続部5は美容施術用ケープ1の内側、すなわち被施術者M側に透明部材3と布部材4の端部が折り込まれて縫合されており、被施術者M側に糸6による縫合部分が配置されるようになっている。美容施術用ケープ1のデザインや寸法はこの図に限定されるものはない。この図では被施術者Mの腕を通す袖の部分が設けられているが、袖がないタイプであってもよい。
【0017】
なお、美容施術用ケープ1は、厳密には、被施術者Mが着用する前は平面的な「カットクロス」であり、客が着用して首まわりをマジックテープ(登録商標)13で止め立体的になった状態で「ケープ」となる。本実施形態の説明においては、説明上の便宜をはかるためにすべて「ケープ」と総称している。
【0018】
美容施術用ケープ1は図2(a)に示される被施術者Mの首20の回りに当接する外縁部位12を備えていてもよい。外縁部12は前記布部材4と同様の素材の布部材により構成されている。外縁部12は布部材4と異なる素材で構成されていてもかまわない。この図では外縁部12は被施術者Mの首20のうしろでマジックテープ(登録商標)13などでループ状に止めることができるようになっている。美容施術用ケープ1の透明部材3は、透明樹脂により構成されている。透明部材3は例えば熱可塑性ポリウレタンにより構成されている。美容施術用ケープ1の布部材4は、不透明もしくは半透明の樹脂により形成されている。布部材4は例えばポリエステルにより構成されている。
【0019】
<本実施形態の効果>
上記のように構成した本実施形態においては、以下の効果を奏する。
すなわち、従来のケープにおいては、被施術者Mの首20と頭15だけしか露出していないため、施術者(図示せず)により髪がカットされるとき被施術者Mは、髪の毛21と被施術者Mの体のラインや洋服22のシルエットとの全体バランスをリアルタイムでイメージすることができなかった。そのため、施術者がカットし過ぎてしまう等のミスが生じてしまう場合があり、施術が終了しケープを脱いだ後で、被施術者Mが当初抱いていたイメージと違っている(特に、思ったより短く切りすぎて失敗した等の長さイメージの誤解が多い)等の不都合が生じていた。
【0020】
そこで、本実施形態においては、美容施術用ケープ1に透明部材3が設けられることによって、施術者は、施術中に、少なくとも被施術者Mの襟元領域2をリアルタイムで見ながら髪のカットを行うことができる。したがって、前述したカットしすぎ等のミスを防止できるので、上記のような違和感のない、施術者又は被施術者Mのイメージ通りの髪形を実現することができる。
【0021】
また、透明部材3と布部材4は材質が大きく異なるため、耐久性の観点から、強固に縫合して接合する必要がある。そのため、単純に同一平面で接合するよりも、端部同士をいったんL字型に折り込んで、その折り込んだ水平部分を面に垂直に縫合することが好ましい。そこで、本実施形態では特に、透明部材3と布部材4との接続部5は、当該透明部材の端部と当該布部材の端部とをそれぞれ被施術者M側へ折り込み、それら折り込んだ部分を縫合して構成されている。こうすることで透明部材3と布部材4との接続部5から髪の毛が内側に入り込むのも(同一平面方式に比べて)確実に防止できる。なお、折り込み部分を美容施術用ケープ1の内側でなく外側に配置すると、外に突出したL字部分に対しカットした髪の毛がひっかかるなどの不都合が生じる場合がある。本実施形態では接続部5の構造を上記のような被施術者M側への折り込み構造とすることで、通常使用時や洗濯時の耐久性に優れ、髪の毛が入り込みにくい美容施術用ケープ1を提供することができる。
【0022】
また、本実施形態では特に、被施術者Mの鎖骨Cが透明部材3から視認可能となるように構成されている。これにより、頭部15と顔部16と髪の毛21と鎖骨Cとのバランスをリアルタイムで確認することができる。
【0023】
また、本実施形態では特に、被施術者Mの首回りに当接する外縁部位12が布部材4により構成されている。これにより、ケープ着用時、首がゴワゴワする等、皮膚への異物感・違和感をなくすことができる。なお、美容施術時にさらに首周りにタオルなどを巻くと、タオルの厚みで施術が行いにくくなる場合があるが、この美容施術用ケープ1を装着する際には、首回りに薄く細い帯状のコットンなど適宜の長さにしたものなどを巻いたりしてもよい。美容施術用ケープ1の首回りは、外縁部位12以外は透明部材3で構成されており強度や重みを持たせることもできるのでこのような薄いコットンなどを巻いてもコットンが単独で首から外れて落ちにくい。このようにして、美容施術用ケープ1の内側に髪の毛が入り込むことなく、被施術者Mの違和感も少なく、施術者も施術が行いやすいものとなる。
【0024】
また、本実施形態では特に、美容施術用ケープ1の透明部材3が熱可塑性ポリウレタンにより構成されている。これにより、透明部材3の表面がツルツルになりカットした髪の毛が滑って下に落ちやすくなる。またウェットティッシュ等でさっとひと拭きするだけで簡単に清掃や消毒が可能である。さらに、美容施術用ケープ1の布部材4がポリエステルにより構成されることで洗濯が行いやすくなる効果もある。
【0025】
なお、本実施形態において、透明部材3の厚みは例えば0.3mmである。透明部材3の厚みが厚すぎると施術者が美容施術用ケープ1を装着した時の通気性が低下して被施術者Mが暑さを感じたり、量産時に布部材4との縫合が困難となる場合があるためである。逆に透明部材3の厚みが薄すぎると、美容施術用ケープ1の通常使用時もしくは洗濯時の耐久性が低下する場合があるためである。
【0026】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0027】
(1)胸領域及び臍上領域を視認可能とする場合
図4に美容施術用ケープ1が被施術者Mの胸領域7および臍上領域8を視認可能とする変形例を示す。図4に示すように、この変形例では、美容施術用ケープ1の透明部材3は、図1(a)に示した襟元領域2と、胸領域7と、臍上領域8とを視認可能とする部位17に配置されている。すなわち本変形例においては、襟元領域2と、胸領域7と、臍上領域8とが上記所定領域である。美容施術用ケープ1の透明部材3は、図1(a)に示した胸領域7に対応する第1部位23と、図1(a)に示した臍上領域8に対応する第2部位24とを含む部位17に配置されている。また、部位17はさらに、図1(a)に示した襟元領域2に対応する部位29を含む。
【0028】
<本変形例の効果>
前述したように、髪の毛21と洋服22等との視覚的な全体バランスを取りたい、という意味では透明部材3を配置する領域は広ければ広いほどよい。しかしながら、あまり広すぎると被施術者M(客)にして見れば自分の姿があまりにも露になりリラックスできない。特に、臍下まで見えてしまうと、男性の施術者に対し、自分の腹部が出っ張ったところを見せたくないという羞恥心が働き、施術中、常に腹部に力を入れておかねばならずリラックスできない。このような状況は夏の薄着のとき、体のラインがよく見えるタイトな服を着用したときに特に顕著に起こる可能性がある。
そこで本変形例では、少なくとも臍下は布部材4で隠れるようにすることで、上記弊害を回避し、リラックスして施術が受けられるようにすることができる。
【0029】
(2)さらに肩領域も視認可能とする場合
図5に美容施術用ケープ1が被施術者Mの肩領域9をさらに視認可能とする変形例を示す。図5に示すように、この変形例では、美容施術用ケープ1の透明部材3は、図1(a)に示した襟元領域2と、胸領域7と、臍上領域8と、肩領域9を視認可能とする部位17に配置されている。すなわち本変形例においては、襟元領域2と、胸領域7と、臍上領域8と、肩領域9とが上記所定領域である。美容施術用ケープ1の透明部材3は、図1(a)に示した胸領域7に対応する上記第1部位23と、図1(a)に示した臍上領域8に対応する上記第2部位24と、図1(a)に示した肩領域9に対応する第3部位25とを含む部位17に配置されている。また、部位17はさらに、図1(a)に示した襟元領域2に対応する部位29を含む。
【0030】
<本変形例の効果>
本変形例では、美容施術用ケープ1の透明部材3が被施術者Mの肩領域9を視認可能とする第3部位25を含む位置に配置されることで、髪の毛と肩の線とのバランスをリアルタイムで確認することができる。
【0031】
(3)さらに上腕領域及び上背領域を視認可能とする場合
図6(a)及び図6(b)に被施術者Mが装着した美容施術用ケープ1が被施術者Mの上腕領域10及び上背領域11を視認可能とする変形例を示す。図6(a)及び図6(b)に示すように、本変形例では、美容施術用ケープ1の透明部材3は、図1(a)に示した襟元領域2と、胸領域7と、臍上領域8と、肩領域9と、上腕領域10と、上背領域11を視認可能とする部位17に配置されている。すなわち本変形例においては、襟元領域2と、胸領域7と、臍上領域8と、肩領域9と、上腕領域10と、上背領域11が上記所定領域である。美容施術用ケープ1の透明部材3は、図1(a)に示した胸領域7に対応する第1部位23と、図1(a)に示した臍上領域8に対応する第2部位24と、図1(a)に示した肩領域9に対応する第3部位25と、図1(a)に示した上腕領域10に対応する第4部位26と、図1(b)に示した上背領域11に対応する第5部位27と、を含む部位17に配置されている。また、部位17はさらに、図1(a)に示した襟元領域2に対応する部位29を含む。
【0032】
<本変形例の効果>
本変形例では、美容施術用ケープ1の透明部材3が被施術者Mの上腕領域10を視認可能とする第4部位26を含む位置に配置されることで、髪の毛21と上腕28とのバランスをリアルタイムで確認することができる。
【0033】
また、本変形例では、美容施術用ケープ1の透明部材3が被施術者Mの上背領域11を視認可能とする第5部位27を含む位置に配置されることで、髪の毛21と背中側(首20の後ろ)とのバランスをリアルタイムで確認することができる。
【0034】
(4)左側・右側半分の片方だけ透明部材とする場合
図7(a)に本変形例に係る美容施術用ケープを被施術者Mが装着した状態を表す正面図、図7(b)にその背面図を示す。図7(a)及び図7(b)において、被施術者Mに被せられた美容施術用ケープ1は、布部材4と、布部材4に接続された透明部材3とにより構成され、被施術者Mの頭部15及び顔部16を露出させつつ、少なくとも上半身を覆っている。
【0035】
本変形例の美容施術用ケープ1は、被施術者Mの少なくとも襟元領域2を含む所定領域のうち、被施術者Mから見て前側でかつ左右方向一方側の部分領域を透明部材3によりケープ1外から視認可能とし、被施術者Mから見て前側でかつ左右方向他方側の部分領域を布部材4によりケープ1外から視認不能とするように構成している。図7(a)では、被施術者Mの正面図において美容施術用ケープ1の透明部材3は、図1(a)に示した被施術者Mの襟元領域2を含む所定領域のうち右側の半分(被施術者Mの左上半身前面に相当)の部分領域30に配置され、該所定領域の左側の半分は布部材4が配置されている。
【0036】
また、この変形例の美容施術用ケープ1は、前記被施術者Mの少なくとも襟元領域2を含む所定領域のうち、被施術者Mから見て後側でかつ左右方向一方側の部分領域を前記布部材によりケープ外から視認不能とし、被施術者Mから見て後側でかつ左右方向他方側の部分領域を透明部材3によりケープ外から視認可能とするように構成している。図7(b)では、被施術者Mの背面図において美容施術用ケープ1の透明部材3は、図1(b)に示した後側から見た襟元領域14を含む所定領域のうち右側の半分(被施術者Mの右上半身背面に相当)の部分領域30に透明部材3が配置され、該所定領域の左側の半分は布部材4が配置されている。
【0037】
図7(a)には透明部材3と布部材4との接続部5の拡大図についても示している。接続部5は、透明部材3の端部と布部材4の端部とをそれぞれ前記被施術者M側へ折り込み、それらを折り込んだ部分を糸6により縫合して構成されている。接続部5については前述の実施形態の構造と同様のため説明を省略する。
【0038】
<本変形例の効果>
前述のように、髪の毛21と洋服22等との視覚的な全体バランスを取りたい、という意味では透明部材3を配置する領域は広ければ広いほどよい。しかしながら、施術者(美容師)側から見ると、(特に髪の毛21の色が黒である場合等の暗い場合で、洋服22の色も暗い場合等)透明部材3越しに洋服22の色と髪の毛21の色が混じってしまい、髪の毛21の先端位置が見えづらく、カットしにくい難点がある。髪の毛21の背景が従来通りの布部材であれば、例えば白い布部材が背景色となり、施術者側からは、黒又は茶色の髪の毛の位置がはっきりと見えやすい。
【0039】
そこで、本変形例においては、図7の例に示すように、例えば左半分のみを透明部材3、残りは布部材4とすることで、透明部材3側で被施術者M(客)が視覚的な全体バランスを把握できるようにしつつ、布部材4側で施術者(美容師)は髪の毛21の位置をしっかり把握しカットしやすくすることができる。すなわち、被施術者Mにとっての利便性と施術者にとっての利便性との両立を図ることができる。また、上記のように施術者(美容師)側の利便性向上を図る際、例えば前側で左半分の確認、後側で右半分の確認をすることができ、前後全体で左右両側の確認をすることができる。
【0040】
(5)その他
なお、以上において、美容施術用ケープ1は美容施術の際に着用するものである。美容施術の具体例としては、特に限定されるものではないが、本実施形態では、髪の毛のカットやセット、パーマやカラーリング等を含む美容院や理容室での施術を想定している。これらの施術においては髪の毛の長さ、色、スタイルと、被施術者Mの襟元を含む上半身のスタイルや、洋服の色や形などのデザインとを調整することが所望されるためである。
【0041】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0042】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0043】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 美容施術用ケープ
2 襟元領域
3 透明部材
4 布部材
5 接続部
6 糸
7 胸領域
8 臍上領域
9 肩領域
10 上腕領域
11 上背領域
12 外縁部
13 マジックテープ(登録商標)
14 後側から見た襟元領域
15 頭部
16 顔部
17 部位
18 透明部材の略水平部分
19 布部材の略水平部分
20 首
21 髪の毛
22 洋服
23 第1部位
24 第2部位
25 第3部位
26 第4部位
27 第5部位
28 上腕
29 襟元領域に対応する部位
30 部分領域
C 鎖骨
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布部材と前記布部材に接続された透明部材とにより構成され、美容施術の際に被施術者の頭部及び顔部を露出させつつ少なくとも上半身を覆うように被せられる美容施術用ケープであって、
前記被施術者の少なくとも襟元領域を含む所定領域のうち、当該被施術者から見て前側でかつ左右方向一方側の部分領域を前記透明部材によりケープ外から視認可能とし、当該被施術者から見て前側でかつ左右方向他方側の部分領域を前記布部材によりケープ外から視認不能とするように構成した
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項2】
請求項1記載の美容施術用ケープにおいて、
前記被施術者の少なくとも襟元領域を含む所定領域のうち、当該被施術者から見て後側でかつ左右方向一方側の部分領域を前記布部材によりケープ外から視認不能とし、当該被施術者から見て後側でかつ左右方向他方側の部分領域を前記透明部材によりケープ外から視認可能とするように構成した
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の美容施術用ケープにおいて、
前記透明部材と前記布部材との接続部は、
当該透明部材の端部と当該布部材の端部とをそれぞれ前記被施術者側へ折り込み、それら折り込んだ部分を縫合して構成されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項4】
美容施術の際に、被施術者の頭部及び顔部を露出させつつ少なくとも上半身を覆うように被せられる美容施術用ケープであって、
前記被施術者の少なくとも襟元領域を含む所定領域を視認可能とする部位に配置される透明部材と、
前記美容施術用ケープのうち前記所定領域を視認可能とする部位以外の周囲部位を構成する布部材と、
を有し、
前記透明部材と前記布部材との接続部は、
当該透明部材の端部と当該布部材の端部とをそれぞれ前記被施術者側へ折り込み、それら折り込んだ部分を縫合して構成されており、
前記接続部は、横断面視において、
L字状の前記透明部材の略水平部分と逆L字状の前記布部材の略水平部分とが互いに重ね合わされた状態で、それら略水平部分どうしを縫合して構成されており、
前記所定領域は、
前記被施術者の前記襟元領域の下方に続く胸領域と、
前記胸領域の下方に続く臍上領域と、をさらに含み、
前記透明部材は、
前記胸領域に対応する第1部位と、
前記臍上領域に対応する第2部位と、を含む部位に配置されており、
前記所定領域は、前記襟元領域の外周側に続く前記被施術者の肩領域をさらに含み、
前記透明部材は、
前記第1部位と、前記第2部位と、前記肩領域に対応する第3部位と、を含む部位に配置されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項5】
請求項4記載の美容施術用ケープにおいて、
前記透明部材は、
前記施術者の鎖骨が視認可能となるように配置されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載の美容施術用ケープにおいて、
前記所定領域は、前記肩領域の下方に続く前記被施術者の上腕領域をさらに含み、
前記透明部材は、
前記第1部位と、前記第2部位と、前記第3部位と、前記上腕領域に対応する第4部位と、を含む部位に配置されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項7】
請求項6記載の美容施術用ケープにおいて、
前記所定領域は、前記肩領域の背中側に続く前記被施術者の上背領域をさらに含み、
前記透明部材は、
前記第1部位と、前記第2部位と、前記第3部位と、前記第4部位と、前記上背領域に対応する第5部位と、を含む部位に配置されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項記載の美容施術用ケープにおいて、
前記被施術者の首回りに当接する外縁部位は前記布部材により構成されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか1項記載の美容施術用ケープにおいて、
前記透明部材は、熱可塑性ポリウレタンにより構成されており、
前記布部材は、ポリエステルにより構成されている
ことを特徴とする美容施術用ケープ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明の美容施術用ケープは、布部材と前記布部材に接続された透明部材とにより構成され、美容施術の際に被施術者の頭部及び顔部を露出させつつ少なくとも上半身を覆うように被せられる美容施術用ケープであって、前記被施術者の少なくとも襟元領域を含む所定領域のうち、当該被施術者から見て前側でかつ左右方向一方側の部分領域を前記透明部材によりケープ外から視認可能とし、当該被施術者から見て前側でかつ左右方向他方側の部分領域を前記布部材によりケープ外から視認不能とするように構成したことを特徴とする。
また上記目的を達成するために、本願発明の美容施術用ケープは、美容施術の際に、被施術者の頭部及び顔部を露出させつつ少なくとも上半身を覆うように被せられ、前記被施術者の少なくとも襟元領域を含む所定領域を視認可能とする部位に配置される透明部材と、前記美容施術用ケープのうち前記所定領域を視認可能とする部位以外の周囲部位を構成する布部材と、を有し、前記透明部材と前記布部材との接続部は、当該透明部材の端部と当該布部材の端部とをそれぞれ前記被施術者側へ折り込み、それら折り込んだ部分を縫合して構成されており、前記接続部は、横断面視において、L字状の前記透明部材の略水平部分と逆L字状の前記布部材の略水平部分とが互いに重ね合わされた状態で、それら略水平部分どうしを縫合して構成されており、前記所定領域は、前記被施術者の前記襟元領域の下方に続く胸領域と、前記胸領域の下方に続く臍上領域と、をさらに含み、前記透明部材は、前記胸領域に対応する第1部位と、前記臍上領域に対応する第2部位と、を含む部位に配置されており、前記所定領域は、前記襟元領域の外周側に続く前記被施術者の肩領域をさらに含み、前記透明部材は、前記第1部位と、前記第2部位と、前記肩領域に対応する第3部位と、を含む部位に配置されていることを特徴としている。