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特開2022-156031安全運転支援装置、安全運転支援方法、プログラムおよび記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156031
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】安全運転支援装置、安全運転支援方法、プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20221006BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G08G1/16 F
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059524
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】小澤 富士典
(72)【発明者】
【氏名】飯澤 高志
(72)【発明者】
【氏名】住田 純
(72)【発明者】
【氏名】坪井 善美
(72)【発明者】
【氏名】青野 丈洋
(72)【発明者】
【氏名】石黒 留衣
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181FF10
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】走行環境の変化に連動した診断方法により運転操作の診断を行い、診断結果を運転者にフィードバックできる安全運転支援装置を提供する。
【解決手段】リスク検出部20は、撮像部10が撮像した移動体の外部画像に基づいて安全運転に関するリスクを検出し、報知部30は、外部画像または移動体の運転操作情報の少なくとも一方の情報に基づいて運転者に対して注意喚起を行う。報知部30では、リスクが検知された場合、リスクが検出されていない場合よりも運転者に対して注意喚起を発しやすくする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の外部を撮像した外部画像に基づいて安全運転に関するリスクを検出するリスク検出部と、
前記外部画像または運転者による前記移動体の運転操作情報の少なくとも一方の情報に基づいて、前記運転者に対して注意喚起を行う報知部と、
を備え、
前記報知部が、前記リスク検出部により前記リスクが検出された場合には、前記リスクが検出されていない場合よりも前記注意喚起を発しやすくすることを特徴とする安全運転支援装置。
【請求項2】
前記報知部が、
前記外部画像または運転者による前記移動体の運転操作情報の少なくとも一方の情報に基づいて、前記運転者の運転スコアを決定するスコア決定部と、
前記リスクの検出結果および前記運転スコアに基づいて前記運転者に対して前記注意喚起を行うか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、前記リスクが検出されていない場合には、前記運転スコアと第1の閾値とを比較して、前記運転者に対して前記注意喚起を行うか否かを判定し、
前記リスクが検出されている場合には、前記運転スコアと第2の閾値とを比較して、前記運転者に対して前記注意喚起を行うか否かを判定する請求項1に記載の安全運転支援装置。
【請求項3】
前記リスクは、前記移動体が走行する道路の単調傾向に起因する事故発生リスクである請求項2に記載の安全運転支援装置。
【請求項4】
前記リスクは、少なくとも信号や標識の見落としに起因する事故発生リスクである請求項2に記載の安全運転支援装置。
【請求項5】
前記スコア決定部は、前記運転者のハンドル操作量および前記移動体の速度変化に基づいて前記運転スコアを決定する請求項3に記載の安全運転支援装置。
【請求項6】
前記スコア決定部は、前記移動体から前記見落としの対象物までの距離と前記移動体の速度とに基づいて前記運転スコアを決定する請求項4に記載の安全運転支援装置。
【請求項7】
前記報知部は、前記判定部が前記運転者に対して前記注意喚起を行うと判定した場合には、前記移動体の室内の視覚刺激デバイスまたは聴覚刺激デバイスの少なくとも一方を用いて、前記運転者に対して前記注意喚起を行う請求項5または6に記載の安全運転支援装置。
【請求項8】
前記報知部は、前記注意喚起を行った地点の情報を保存し、前記移動体が前記地点を通過するときに、前記注意喚起を行う請求項7に記載の安全運転支援装置。
【請求項9】
リスク検出部と、スコア決定部と、判定部と、報知部と、を備える安全運転支援装置における安全運転支援方法であって、
前記リスク検出部が、移動体の外部を撮像した外部画像に基づいて安全運転に関するリスクを検出する第1の工程と、
前記スコア決定部が、前記外部画像または運転者による前記移動体の運転操作情報の少なくとも一方の情報に基づいて、前記運転者の運転スコアを決定する第2の工程と、
前記判定部が、前記第1の工程の検出結果および前記第2の工程において決定された前記運転スコアに基づいて前記運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する第3の工程と、
前記報知部が、前記第3の工程における判定結果に基づいて前記運転者に対して前記注意喚起を行う第4の工程と、
を備えている安全運転支援方法。
【請求項10】
リスク検出部と、スコア決定部と、判定部と、報知部と、を備える安全運転支援装置における安全運転支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記リスク検出部が、移動体の外部を撮像した外部画像に基づいて安全運転に関するリスクを検出する第1の工程と、
前記スコア決定部が、前記外部画像または運転者による前記移動体の運転操作情報の少なくとも一方の情報に基づいて、前記運転者の運転スコアを決定する第2の工程と、
前記判定部が、前記第1の工程の検出結果および前記第2の工程において決定された前記運転スコアに基づいて前記運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する第3の工程と、
前記報知部が、前記第3の工程における判定結果に基づいて前記運転者に対して前記注意喚起を行う第4の工程と、
を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項11】
リスク検出部と、スコア決定部と、判定部と、報知部と、を備える安全運転支援装置における安全運転支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な非一過性の記録媒体であって、
前記リスク検出部が、移動体の外部を撮像した外部画像に基づいて安全運転に関するリスクを検出する第1の工程と、
前記スコア決定部が、前記外部画像または運転者による前記移動体の運転操作情報の少なくとも一方の情報に基づいて、前記運転者の運転スコアを決定する第2の工程と、
前記判定部が、前記第1の工程の検出結果および前記第2の工程において決定された前記運転スコアに基づいて前記運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する第3の工程と、
前記報知部が、前記第3の工程における判定結果に基づいて前記運転者に対して前記注意喚起を行う第4の工程と、
を前記コンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全運転支援装置、安全運転支援方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両走行時に運転者が行った操作が安全性の面で適切な操作であったか否かを診断するシステムが知られている。
このような診断システムでは、例えば、予め登録された事故多発地点を車両が走行する場合に、その地点における事故要因に基づいて、診断の判断基準を変更する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。例えば、特許文献1に記載の技術では、事故多発地点における事故の要因が、道路のカーブであった場合には、カーブへの進入速度、カーブ走行時の角速度を診断する閾値が、事故多発地点以外のカーブにおける閾値から変更され、運転操作の診断が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-237829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両走行時に運転者が行う急ハンドルや急ブレーキ等の操作の発生要因は、例えば、道幅やカーブの半径の大きさ等の道路固有の特性に基づく走行環境だけが発生要因になるのではなく、通行するたびに変化する走行環境、例えば、天候、時間、交通量、歩行者、駐車車両等が発生要因になることが多い。
そのため、上述した特許文献1に記載の技術においては、変化する走行環境に起因した運転操作に対して、閾値を変更せずに運転診断が行われるという課題が一例として挙げられる。
また、上述した特許文献1に記載の技術においては、事故発生の分析に基づく事故多発地点に関するデータベースが必要であり、実際に事故は起きてはいないものの、リスクが高い地点における運転に対して適切に運転支援を行うことが出来ないという課題が一例として挙げられる。
【0005】
本発明は、上述の一例として挙げられた課題に鑑みてなされたものであり、走行環境の変化に基づいた診断方法を用いることにより、運転操作の診断および注意喚起を行うことができる安全運転支援装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、移動体の外部を撮像した外部画像に基づいて安全運転に関するリスクを検出するリスク検出部と、前記外部画像または運転者による前記移動体の運転操作情報の少なくとも一方の情報に基づいて、前記運転者に対して注意喚起を行う報知部と、を備え、前記報知部が、前記リスク検出部により前記リスクが検出された場合には、前記リスクが検出されていない場合よりも前記注意喚起を発しやすくすることを特徴としている。
【0007】
また、請求項9に記載の発明は、リスク検出部と、スコア決定部と、判定部と、報知部と、を備える安全運転支援装置における安全運転支援方法であって、前記リスク検出部が、移動体の外部を撮像した外部画像に基づいて安全運転に関するリスクを検出する第1の工程と、前記スコア決定部が、前記外部画像または運転者による前記移動体の運転操作情報の少なくとも一方の情報に基づいて、前記運転者の運転スコアを決定する第2の工程と、前記判定部が、前記第1の工程の検出結果および前記第2の工程において決定された前記運転スコアに基づいて前記運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する第3の工程と、前記報知部が、前記第3の工程における判定結果に基づいて前記運転者に対して前記注意喚起を行う第4の工程と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項10に記載の発明は、リスク検出部と、スコア決定部と、判定部と、報知部と、を備える安全運転支援装置における安全運転支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記リスク検出部が、移動体の外部を撮像した外部画像に基づいて安全運転に関するリスクを検出する第1の工程と、前記スコア決定部が、前記外部画像または運転者による前記移動体の運転操作情報の少なくとも一方の情報に基づいて、前記運転者の運転スコアを決定する第2の工程と、前記判定部が、前記第1の工程の検出結果および前記第2の工程において決定された前記運転スコアに基づいて前記運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する第3の工程と、前記報知部が、前記第3の工程における判定結果に基づいて前記運転者に対して前記注意喚起を行う第4の工程と、を前記コンピュータに実行させることを特徴としている。
【0009】
また、請求項11に記載の発明は、リスク検出部と、スコア決定部と、判定部と、報知部と、を備える安全運転支援装置における安全運転支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な非一過性の記録媒体であって、前記リスク検出部が、移動体の外部を撮像した外部画像に基づいて安全運転に関するリスクを検出する第1の工程と、前記スコア決定部が、前記外部画像または運転者による前記移動体の運転操作情報の少なくとも一方の情報に基づいて、前記運転者の運転スコアを決定する第2の工程と、前記判定部が、前記第1の工程の検出結果および前記第2の工程において決定された前記運転スコアに基づいて前記運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する第3の工程と、前記報知部が、前記第3の工程における判定結果に基づいて前記運転者に対して前記注意喚起を行う第4の工程と、を前記コンピュータに実行させるプログラムを記録したことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る安全運転支援装置の構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る安全運転支援装置のスコア決定部が行う処理のフローを示した図である。
図3】第1の実施形態に係る安全運転支援装置の報知部が行う処理のフローを示した図である。
図4】第1の実施形態に係る安全運転支援装置の判定部が行う処理のフローを示した図である。
図5】第2の実施形態に係る安全運転支援装置の構成を示す図である。
図6】第2の実施形態に係る安全運転支援装置のスコア決定部が行う処理を示した図である。
図7】第2の実施形態に係る安全運転支援装置の報知部が行う処理のフローを示した図である。
図8】第2の実施形態に係る安全運転支援装置の判定部が行う処理のフローを示した図である。
図9】第2の実施形態に係る安全運転支援装置の乗員に対して注意喚起が行われる位置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の1またはそれ以上の実施形態に係る安全運転支援装置について説明する。
本発明の1またはそれ以上の実施形態に係る安全運転支援装置は、リスク検出部と、報知部と、を含んで構成されている。
リスク検出部は移動体の外部を撮像した外部画像に基づいて安全運転に関するリスクを検出する。ここで、リスクには、例えば、道路の単調傾向に起因する事故発生リスクまたは、標識等の見落としに起因する事故発生リスクを含む。
報知部は、外部画像または運転者による移動体の運転操作情報の少なくとも一方の情報に基づいて、運転者に対して注意喚起を行う。
そして、報知部は、リスク検出部によりリスクが検出された場合には、リスクが検出されていない場合よりも注意喚起を発しやすくする。
すなわち、リスク検出部が、車両の外部画像から、例えば、道路の単調傾向に起因する事故発生リスクまたは、標識等の見落としに起因する事故発生リスク等の運転者が認知しにくい安全運転に関するリスクを検出した場合には、リスクが検出されていない場合より、注意喚起が発しやすくなるように報知部は処理方法を変更する。
そのため、安全運転に対する関するリスクが検出された場合には、そのようなリスクが検出されていない場合に比べ、早く運転者に対して注意喚起が行われるため、安全な運転を支援することができる。
また、実際の走行中の外部画像からリスクを検出し、そのリスクに対して適切なタイミングで注意喚起が行われるため、安全な運転を支援することができる。
【0012】
<第1の実施例>
図1から図4を用いて、本実施形態に係る安全運転支援装置1について説明する。
【0013】
<安全運転支援装置1の構成>
図1に示すように、安全運転支援装置1は、撮像部10と、リスク検出部20と、報知部30と、を含んで構成されている。
【0014】
撮像部10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を内蔵したカメラで構成されている。
撮像部10は、車両の外部の進行方向を連続的に撮像した画像を取得する。
なお、この画像には、いわゆるパノラマ画像等の水平方向に180°や360°等、進行方向以外の画像が含まれてもよい。
また、撮像部10において取得する画像は、車両外部の進行方向の画像が取得できればよいため、所謂、車両の前方や後方に設置されているドライブレコーダが撮像している画像であってもよい。
【0015】
リスク検出部20は、撮像部10において撮像された画像から、安全運転に関するリスクを検出する。
リスク検出部20は、撮像部10において撮像された画像から、例えば、視覚的に変化の少ない風景や景色等が検出された場合、つまり、単調傾向にある場合には、この道路の単調傾向に起因する事故発生のリスクがあることを、報知部30に出力する。
つまり、視覚的に変化の少ない風景や景色の中を長時間運転すると、眠気を催し、最悪の場合、居眠り運転となるため、リスク検出部20は、道路の単調傾向を検出した場合には、安全運転に関するリスクがあると判断する。
【0016】
報知部30は、リスク検出部20におけるリスク検出結果と、外部画像から検出した車両操作情報に基づいて、運転者に対して注意喚起を行う。
なお、報知部30の詳細については、後述する。
【0017】
<報知部30の構成>
図1に示すように、報知部30は、スコア決定部31と、判定部32と、制御部33と、視覚刺激デバイス34と、聴覚刺激デバイス35と、を含んで構成されている。
【0018】
スコア決定部31は、撮像部10において撮像した外部画像から車両の走行速度、ハンドル操作量を検出し、その検出結果に基づいて、道路の単調傾向に起因する事故が発生してしまう危険度合いを示す数値である運転スコアαを決定する。
ここで、スコア決定部31は、図示しない車両のCPU(Central Processing Unit)や車速パルス等から、走行速度やハンドル操作量等の情報を取得し、運転スコアαを決定してもよい。
なお、スコア決定部31における運転スコアαの決定方法の詳細は、後述する。
【0019】
判定部32は、スコア決定部31において決定された運転スコアαと、リスク検出部20のリスク検出結果に基づいて、運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する。
また、判定部32は運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定するとき、リスク検出部20のリスク検出結果により、判定するための閾値を変更する。
つまり、リスク検出部20において安全運転に関するリスクが検出されたときには、リスクが検出されていないときより、注意喚起が発しやすくなうように、判定するための閾値が変更される。
なお、判定部32において実行される判定処理の詳細については、後述する。
【0020】
制御部33は、判定部32の判定結果に基づいて、注意喚起発出の制御を行う。
制御部33は、判定部32が運転者に対して注意喚起を行うと判定した場合には、後述する視覚刺激デバイス34および聴覚刺激デバイス35を制御し、運転者に対して注意喚起を行う。
さらに、制御部33は、例えば車両に備えられたナビゲーション装置等から車両の現在地情報を取得し、運転者に対して注意喚起を行った地点の情報を記憶する。
そして、制御部33は、車両が注意喚起を行った地点を通過するときには、視覚刺激デバイス34および聴覚刺激デバイス35を制御し、運転者に対して注意喚起を行う。
【0021】
視覚刺激デバイス34は、運転者の視覚に刺激を与え、運転者に注意喚起や覚醒を促すために車両に備えられたデバイスの一つであり、車室内の光源(室内灯やメータ、HUD(Head-Up Display)、モニタ等の光源)等を含む。
例えば、制御部33の制御により、室内灯を点灯させ、輝度、色度等を変更する。また、HUDやモニタには、警告文や注意マーク等を表示する。
【0022】
聴覚刺激デバイス35は、運転者の聴覚に刺激を与え、運転者に注意喚起や覚醒を促すために車両に備えられたデバイスであり、音響装置等を含む。
例えば、制御部33の制御により、警告音、注意メッセージ、音楽、環境音等の音を出力する。
なお、注意メッセージは、リスク検出部20によって検出されたリスクに関する情報であっても良いし、運転者に休憩を促すような案内であっても良い。
【0023】
<スコア決定部31の処理>
図2を用いて、スコア決定部31において決定される、運転スコアαの決定方法の一例について説明する。
【0024】
車両の走行状態を示すイグニッションがオンになっているか否かを判定する(ステップS100)。
イグニッションがオンされていないと判定した場合(ステップS100の「NO」)には、待機モードに移行させる。
一方で、イグニッションがオンされていると判定した場合(ステップS100の「YES」)には、運転スコアαを初期化(運転スコアα=0)する(ステップS110)。
【0025】
次に、外部画像または車両速度等に基づいて、車両が停車中であるか否かを判定する(ステップS120)。
車両が停車中であると判定した場合(ステップS120の「YES」)には、処理をステップS160に移行させ、運転スコアαを初期化(運転スコアα=0)する。
一方で、車両が停車中ではないと判定した場合(ステップS120の「NO」)には、処理をステップS130に移行させる。
【0026】
次に、走行中の車両の速度に変化があったか否かを判定する(ステップS130)。
車両の速度に変化があったか否かの判定は、一定間隔毎に取得した車速(例えば、5秒間隔ごとに取得した車速)の変化量、変化率等に基づいて判定する。
車両の速度に変化があったと判定された場合(ステップS130の「YES」)には、処理をステップS160に移行させ、運転スコアαを初期化(運転スコアα=0)する。
一方で、車両の速度に変化がなかったと判定された場合(ステップS130の「NO」)には、処理をステップS140に移行させる。
【0027】
次に、ハンドルが所定角度以上操作されたか否かを判定する(ステップS140)。
ハンドルが所定角度以上操作されたと判定された場合(ステップS140の「YES」)には、処理をステップS160に移行させ、運転スコアαを初期化(運転スコアα=0)する。
一方で、ハンドルが所定角度以上操作されていないと判定された場合(ステップS130の「NO」)には、その時点の運転スコアαの値に1を足して、運転スコアαの値を更新する(ステップS150)。
なお、上述した、車両の停車確認(ステップS120)、車両の速度変化確認(ステップS130)、ハンドル操作量確認(ステップS140)の処理順番は一例であり、変更しても良い。
【0028】
そして、ステップS150またはステップS160の処理が終了すると、イグニッションがオン状態にあるか否かを判定する(ステップS170)。
イグニッションがオンされていると判定した場合(ステップS170の「YES」)には、処理をステップS120に移行させ、処理を継続する。
一方で、イグニッションがオンされていないと判定した場合(ステップS170の「NO」)には、処理を終了する。
【0029】
以上、説明したように運転スコアαは、道路の単調傾向に起因する事故が発生する危険度合いを示す値であり、高速道路のような単調な道路を長時間運転すると、運転スコアαの値が大きくなる。
【0030】
<判定部32の処理>
図3を用いて、判定部32において実行される判定処理の一例について説明する。
【0031】
イグニッションがオンになっているか否かを判定する(ステップS200)。
イグニッションがオンされていないと判定した場合(ステップS200の「NO」)には、待機モードに移行させる。
一方で、イグニッションがオンされていると判定した場合(ステップS200の「YES」)には、上述したスコア決定部31において決定された運転スコアαの値を取得する(ステップS210)。
【0032】
次に、運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する判定処理Aを実行する(ステップS220)。
以下に、図4を用いて、判定処理Aの処理の一例について説明する。
【0033】
判定部32は、リスク検出部20において、道路の単調傾向に起因する事故の発生リスクが検出されているか否かを判定する(ステップS300)。
リスクが検出されていない場合(ステップS300の「NO」)には、処理をステップS310に移行させる。
一方で、リスクが検出されている場合(ステップS300の「YES」)には、処理をステップS320に移行させる。
【0034】
リスク検出部20において、事故の発生リスクが検出されていない場合(ステップS300の「NO」)には、ステップS210において取得した運転スコアαの値と第1の閾値とを比較する(ステップS310)。
運転スコアαの値が第1の閾値より大きいと判定された場合(ステップS310の「YES」)には、処理をステップS330に移行させる。
一方で、運転スコアαの値が第1の閾値より小さいと判定された場合(ステップS310の「NO」)には、判定処理Aを終了する。
【0035】
また、リスク検出部20において、事故の発生リスクが検出されている場合(ステップS300の「YES」)には、ステップS210において取得した運転スコアαの値と第2の閾値とを比較する(ステップS320)。
運転スコアαの値が第2の閾値より大きいと判定された場合(ステップS320の「YES」)には、処理をステップS330に移行させる。
一方で、運転スコアαの値が第2の閾値より小さいと判定された場合(ステップS310の「NO」)には、判定処理Aを終了する。
【0036】
次に、運転スコアαの値が第1の閾値より大きいと判定された場合(ステップS310の「YES」)および、運転スコアαの値が第2の閾値より大きいと判定された場合(ステップS320の「YES」)には、運転者に対して注意喚起を行う旨の情報を制御部33に出力し(ステップS330)、判定処理Aを終了する。
そして、注意喚起を行う旨の情報が入力された制御部33は、視覚刺激デバイス34または聴覚刺激デバイス35の少なくとも一方を制御し、運転者に対して注意喚起を行う。
ここで、視覚刺激デバイス34および聴覚刺激デバイス35が運転者に与える刺激の量は、運転スコアαの値に基づいて変更してもよい。また、運転者に対して注意喚起を行うための音声メッセージの内容や表示内容等も運転スコアαの値に基づいて変更してもよい。
【0037】
ここで、第1の閾値の値は、例えば、ハンドル操作および速度変化が少ない状態で運転を継続しているときに、これ以上運転を継続すると、運転者の覚醒レベルが下がり、事故が発生してしまう可能性がある運転時間により決定される。
例えば、ハンドル操作および速度変化が少ない状態での運転が1時間継続した場合に事故の危険性が高まる場合には、そのような運転を1時間継続したときの運転スコアαの値から第1の閾値を決定する。
また、リスク検出部20において道路の単調傾向に起因する事故の発生リスクが検出されているときには、1時間より短い時間で運転者の覚醒レベルが下がる可能性があるため、第2の閾値の値は、第1の閾値の値より小さい値に設定されている。
これにより、道路の単調傾向に起因する事故の発生リスクが検出されている場合には、より早く運転者に対して注意喚起が行われる。
【0038】
そして、図3に示すように、判定処理A(ステップS220)が終了すると、イグニッションがオンになっているか否かを判定する(ステップS230)。
イグニッションがオンされていると判定した場合(ステップS230の「YES」)には、処理をステップS210に戻し、処理を継続する。
一方で、イグニッションがオンされていないと判定した場合(ステップS230の「NO」)には、処理を終了する。
【0039】
以上、説明したように、本実施例に係る安全運転支援装置1は、リスク検出部20が、撮像部10において撮像した移動体の外部画像に基づいて、道路の単調傾向に起因する事故発生リスクを検出する。そして、報知部30は、ハンドル操作量、移動体の走行速度から決定された運転スコアに基づいて注意喚起を行う。報知部30では、事故発生リスクが検出された場合、検出されていない場合よりも運転者に対して注意喚起が発しやすくなる。
つまり、リスク検出部20が、車両の外部画像から、運転者が気づきにくい安全運転に関するリスクを検出した場合には、リスクが検出されていない場合より、注意喚起が発しやすくなるように報知部30の処理方法を変更する。
そのため、安全運転に関するリスクが検出された場合には、リスクが検出されていない場合に比べ、早く運転者に対して注意喚起が行われるため、安全な運転を支援することができる。
また、実際の走行中の外部画像からリスクを検出し、そのリスクに対して適切に注意喚起が行われるため、安全な運転を支援することができる。
【0040】
本実施例に係る安全運転支援装置1は、報知部30が、外部画像または運転者による移動体の運転操作情報の少なくとも一方の情報に基づいて、運転者の運転スコアαを決定するスコア決定部31と、リスクの検出結果および運転スコアαに基づいて運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する判定部32とを備え、判定部32は、リスクが検出されていない場合には、運転スコアαと第1の閾値とを比較して、運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定し、リスクが検出されている場合には、運転スコアαと第2の閾値とを比較して、運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定している。
すなわち、スコア決定部31は、道路の単調傾向に起因する事故が発生する危険度合いを示す運転スコアαを決定し、判定部32は、リスク検出部20の検出結果と運転スコアαとに基づいて、運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する。判定部32は、リスク検出部20においてリスクが検出された場合には、運転者に対して注意喚起を行うか否かの判定基準となる閾値を、より注意喚起が行われやすくなる閾値(第2の閾値)に変更し判定する。
そのため、リスク検出部20においてリスクが検出された場合には、リスクが検出されていない場合に比べ、運転者に対して早く注意喚起を行うことができるため、安全な運転を支援することができる。
【0041】
本実施例に係る安全運転支援装置1におけるリスク検出部20は、撮像部10により撮像した外部画像に基づいて、移動体が走行する道路の単調傾向に起因する事故発生リスクを検出する。
すなわち、変化の少ない風景が続く単調な道路を長時間運転していると、眠気を催し、催眠状態になる危険性があるため、リスク検出部20は外部画像から道路の単調傾向を検出する。
そのため、リスク検出部20において道路の単調傾向に起因する事故の発生リスクが検出された場合には、リスクが検出されていない場合に比べ、運転者に対して早く注意喚起を行うことができるため、安全な運転を支援することができる。
また、実際の走行中の外部画像からリスクを検出し、そのリスクに対して適切に注意喚起が行われるため、事故の発生を抑制することができる。
また、リスク検出部20においてリスクが検出されていない場合にも、運転スコアαに基づいて、注意喚起が行われるため、安全な運転を支援することができる。
【0042】
本実施例に係る安全運転支援装置1におけるスコア決定部31は、運転者のハンドル操作量および移動体の速度変化に基づいて運転スコアαを決定する。
すなわち、リスク検出部20において道路の単調傾向が検出された場合には、現在の運転者のハンドル操作、走行速度変化等の運転操作情報から決定された運転スコアαに基づいて、報知部30が運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定するため、道路の単調傾向に起因する事故の発生を抑制することができる。
また、実際の運転操作情報から決定した運転スコアαに基づいて、適切に注意喚起が行われるため、安全な運転を支援することができる。
【0043】
本実施例に係る安全運転支援装置1における報知部30は、判定部32が運転者に対して注意喚起を行うと判定した場合には、移動体の室内の視覚刺激デバイス34または聴覚刺激デバイス35の少なくとも一方を用いて、注意喚起を行う。
つまり、運転者の視覚、聴覚を介して注意喚起を行うため、運転者に対して危険状態を直ちに伝えることができる。
また、視覚、聴覚を介して注意喚起を行うことにより、運転者の覚醒レベルを上げることができるため、道路の単調性に起因する事故の発生を抑制することができる。
【0044】
本実施例に係る安全運転支援装置1における報知部30は、注意喚起を行った地点の情報を保存し、移動体がその地点を通過するときに、注意喚起を行う。
すなわち、一度注意喚起が行われた地点を走行するときには、現在のリスク検出結果および運転スコアの状況に関係なく、注意喚起が行われる。
そのため、運転者に対して、安全運転に対する意識付けができるため、事故の発生を抑制することができる。
【0045】
本実施例に係る安全運転支援装置1の安全運転支援方法は、移動体の外部を撮像した外部画像に基づいて安全運転に関するリスクを検出する第1の工程と、外部画像または運転操作情報の少なくとも一方の情報に基づいて、運転スコアを決定する第2の工程と、第1の工程の検出結果および第2の工程で決定された運転スコアに基づいて運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する第3の工程と、第3の工程の結果に基づいて運転者に注意喚起する第4の工程を備えている。
【0046】
本実施例に係る安全運転支援装置1の安全運転支援方法をコンピュータに実行させるプログラムは、移動体の外部を撮像した外部画像に基づいて安全運転に関するリスクを検出する第1の工程と、外部画像または運転者による移動体の運転操作情報の少なくとも一方の情報に基づいて、運転者の運転スコアを決定する第2の工程と、第1の工程の検出結果および第2の工程において決定された運転スコアに基づいて運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する第3の工程と、第3の工程における判定結果に基づいて運転者に対して注意喚起を行う第4の工程とを備えている。
【0047】
本実施例に係る安全運転支援装置1の安全運転支援方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な非一過性の記録媒体は、移動体の外部を撮像した外部画像に基づいて安全運転に関するリスクを検出する第1の工程と、外部画像または運転者による移動体の運転操作情報の少なくとも一方の情報に基づいて、運転者の運転スコアを決定する第2の工程と、判定部が、第1の工程の検出結果および第2の工程において決定された運転スコアに基づいて運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する第3の工程と、第3の工程における判定結果に基づいて運転者に対して注意喚起を行う第4の工程と、をコンピュータに実行させるプログラムが記録されている。
【0048】
<第2の実施例>
図5から図9を用いて、本実施形態に係る安全運転支援装置1aについて説明する。
なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同一の機能を有することから、その詳細な説明は省略する。
【0049】
<安全運転支援装置1aの構成>
図5に示すように、安全運転支援装置1aは、撮像部10と、リスク検出部20aと、報知部30aと、を含んで構成されている。
【0050】
リスク検出部20aは、運転者が見落とすと事故の発生につながることが考えられる「注意対象物」を検出する。
例えば、信号、一時停止等の標識、踏切、横断歩道、歩行者、自転車等を「注意対象物」として検出する。
さらに、検出した「注意対象物」の中から、風景の中に埋もれて(若しくは視線を誘引する要素が風景内に存在して)、運転者が見落としやすい状況にある標識や、樹木や停車車両等により運転者が気づきにくい信号等の「見落とし対象物」を検出する。
なお、リスク検出部20aの検出結果は、後述する、報知部30aに出力する。
【0051】
報知部30aは、リスク検出部20aにおけるリスク検出結果と、外部画像から検出した車両操作情報に基づいて、運転者に対して注意喚起を行う。
【0052】
報知部30aは、スコア決定部31aと、判定部32aと、制御部33と、視覚刺激デバイス34と、聴覚刺激デバイス35と、を含んで構成されている。
【0053】
スコア決定部31aは、撮像部10において撮像した画像から、「注意対象物」と車両との距離および走行速度を検出し、その検出結果に基づいて、運転スコアβを決定する。
ここで、「注意対象物」と車両との距離の情報は、例えば車両に備えられたナビゲーション装置等から取得するようにしてもよい。また、走行速度は車両のCPUや車速パルス等から情報を取得するようにしてもよい。
なお、スコア決定部31aにおける運転スコアβの決定方法の詳細は、後述する。
【0054】
判定部32aは、スコア決定部31aにおいて決定された運転スコアβと、リスク検出部20aのリスク検出結果に基づいて、運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する。
なお、判定部32aにおいて実行される判定処理の詳細については、後述する。
【0055】
<スコア決定部31aの処理>
図6を用いて、スコア決定部31aにおいて決定される運転スコアβの決定方法の一例を説明する。
図6に示すように、運転スコアβは、車両から「注意対象物」までの距離と、走行速度とによって決定される。
「注意対象物」までの距離が近いほど、運転スコアβの値が大きくなり、また、走行速度が速いほど、運転スコアβの値が大きくなる。言い換えると、運転スコアβの値が大きいほど、信号や標識等の見落としに起因する事故が発生する可能性が高い状態にあることを示している。
なお、スコア決定部31aで決定された運転スコアβの値は、後述する判定部32aに出力される。
【0056】
<判定部32aの処理>
図7を用いて、判定部32aにおいて実行される判定処理の一例について説明する。
【0057】
イグニッションがオンになっているか否かを判定する(ステップS400)。
イグニッションがオンされていないと判定した場合(ステップS400の「NO」)には、待機モードに移行させる。
一方で、イグニッションがオンされていると判定した場合(ステップS400の「YES」)には、処理をステップS410に移行する。
【0058】
次に、リスク検出部20aにおいて、「注意対象物」が検出されているか否かを判定する(ステップS410)。
「注意対象物」が検出されていない場合(ステップS410の「NO」)には、処理をステップS440に移行する。
一方で、「注意対象物」が検出されている場合(ステップS410の「YES」)には、上述したスコア決定部31aにおいて決定された運転スコアβを取得する(ステップS420)。
【0059】
そして、運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する判定処理B(ステップS430)を実行する。
以下に、図8を用いて、判定処理B(ステップS430)の詳細について説明する。
【0060】
リスク検出部20aにおいて、「見落とし対象物」が検出されているか否かを判定する(ステップS500)。
リスク検出部20aにおいて、「見落とし対象物」が検出されていない場合(ステップS500の「NO」)には、処理をステップS510に移行する。
一方で、リスク検出部20aにおいて、「見落とし対象物」が検出されている場合(ステップS500の「YES」)には、処理をステップS520に移行する。
【0061】
リスク検出部20aにおいて、「見落とし対象物」が検出されていない場合(ステップS500の「NO」)には、ステップS420において取得した運転スコアβの値と第3の閾値とを比較する(ステップS510)。
運転スコアβの値が第3の閾値より大きいと判定された場合(ステップS510の「YES」)には、処理をステップS530に移行させる。
一方で、運転スコアβの値が第3の閾値より小さいと判定された場合(ステップS510の「NO」)には、判定処理Bを終了する。
【0062】
また、リスク検出部20aにおいて、「見落とし対象物」が検出されている場合(ステップS500の「YES」)には、ステップS420において取得した運転スコアβの値と第4の閾値とを比較する(ステップS520)。
運転スコアβの値が第4の閾値より大きいと判定された場合(ステップS520の「YES」)には、処理をステップS530に移行させる。
一方で、運転スコアβの値が第4の閾値より小さいと判定された場合(ステップS520の「NO」)には、判定処理Bを終了する。
【0063】
なお、「見落とし対象物」が検出されている場合には、より早く運転者に対して注意喚起を行うために、第4の閾値の値が第3の閾値の値より小さい値に設定されている。
【0064】
次に、運転スコアβの値が第3の閾値より大きいと判定された場合(ステップS510の「YES」)および、運転スコアβの値が第4の閾値より大きいと判定された場合(ステップS520の「YES」)には、運転者に対して注意喚起を行う旨の情報を制御部33に出力(ステップS530)し、判定処理Bを終了する。
そして、注意喚起を行う旨の情報が入力された制御部33は、視覚刺激デバイス34または聴覚刺激デバイス35の少なくとも一方を制御し、運転者に対して注意喚起を行う。
ここで、視覚刺激デバイス34および聴覚刺激デバイス35が運転者に与える刺激の量は、運転スコアβの値に基づいて変更してもよい。また、運転者に対して注意喚起を行うための音声メッセージの内容や表示内容等も運転スコアβの値に基づいて変更してもよい。
【0065】
そして、図7に示すように、判定処理B(ステップS430)が終了すると、イグニッションがオンになっているか否かを判定する(ステップS440)。
イグニッションがオンされていると判定した場合(ステップS440の「YES」)には、処理をステップS410に戻し、処理を継続する。
一方、イグニッションがオンされていないと判定した場合(ステップS440の「NO」)には、処理を終了する。
【0066】
ここで、第3の閾値の値は、例えば、車両の走行速度および停止距離により決定する。
例えば、時速30kmで走行中の車両の停止距離は約15mであるため、運転者に対しては、「注意対象物」と車両との距離が、15mになる前に注意喚起することが必要であり、さらに、急ブレーキ等が発生しないように余裕をもって注意喚起を行う必要がある。
具体的には、図6に示したように、「注意対象物」と車両との距離が60mの位置において注意喚起を行うように設定するときには、第3の閾値を6に決定する。
また、リスク検出部20aにおいて「見落とし対象物」が検出されているときには、運転者が標識等を見落としている可能性があるため、第4の閾値の値は、第3の閾値の値より小さい値に設定される。例えば、第4の閾値の値が3の場合には、「注意対象物」と車両との距離が90mの位置において注意喚起が行われる。
これにより、運転者の見落としに起因する事故の発生リスクが検出されている場合には、より手前おいて、早く運転者に対して注意喚起が行われる。
【0067】
図9を用いて、上述した判定部32aの処理が実行されたときに、乗員に対して注意喚起が行われる注意喚起位置について説明する。
走行中の車両100に搭載された安全運転支援装置1aのリスク検出部21aは、「注意対象物」である標識110を進行方向前方に検出する。
図9(a)では、標識110は風景や樹木等に埋もれて見落としやすい状態にないため、リスク検出部21aは、標識110を「見落とし対象物」として検出しない。
一方で、図9(b)では、標識110が樹木120により運転者が見落としやすい状況であるため、リスク検出部21aは、標識110を「見落とし対象物」として検出する。
判定部32aが、運転者に注意喚起を行うと判定する位置(注意喚起位置A、B)は、第3の閾値および第4の閾値と運転スコアβとにより決定する。
つまり、「見落とし対象物」を検出していない場合には、運転スコアβが第3の閾値より大きいときに、運転者に対して注意喚起が行われ、「見落とし対象物」を検出している場合には、運転スコアβが第4の閾値より大きいときに、運転者に対して注意喚起が行われる。
以下に、第3の閾値の値が6、第4の閾値の値が3に設定され、車両100が時速30kmで走行している場合を例示し、説明する。
図6に示すように、車両100の速度が時速30kmの場合には、車両100と「注意対象物」までの距離が60m以下において、運転スコアβが第3の閾値=6より大きい値となり、車両100と「注意対象物」までの距離が90m以下において、運転スコアβが第4の閾値=3より大きい値となる。
つまり、「見落とし対象物」を検出していない場合には、標識110に対して60m手前の位置(注意喚起位置A)で注意喚起が行われ、「見落とし対象物」を検出している場合には、標識110に対して90m手前(注意喚起位置B)で注意喚起が行われる。
上述したように、判定部32aでは、第4の閾値の値が第3の閾値の値より小さい値に設定されているため、「見落とし対象物」が検出されている場合には、「注意対象物」に対して、より手前の位置において運転者に対して注意喚起が行われる。
【0068】
以上、説明したように、本実施例に係る安全運転支援装置1aは、リスク検出部20aが、撮像部10において撮像した移動体の外部画像に基づいて、標識等の見落としに起因する事故の発生リスクを検出する。そして、報知部30aは、「注意対象物」と車両との距離および車両の走行速度から決定された運転スコアβに基づいて注意喚起を行う。報知部30aは、事故発生リスクが検出された場合には、検出されていない場合よりも運転者に対して注意喚起を発しやすくなる。
つまり、リスク検出部20aが、車両の外部画像から、運転者が気づきにくい安全運転に関するリスクを検出した場合には、リスクが検出されていない場合より、注意喚起が発しやすくなるように報知部30aの処理方法を変更する。
そのため、標識等の見落としに起因する事故の発生リスクが検出された場合には、リスクが検出されていない場合に比べ、早く運転者に対して注意喚起が行われるため、安全な運転を支援することができる。
また、実際の走行中の外部画像からリスクを検出し、そのリスクに対して適切に注意喚起が行われるため、安全な運転を支援することができる。
【0069】
本実施例に係る安全運転支援装置1aは、報知部30aが、外部画像または運転者による移動体の運転操作情報の少なくとも一方の情報に基づいて、運転スコアβを決定するスコア決定部31aと、リスクの検出結果および運転スコアβに基づいて運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する判定部32aとを備え、判定部32aは、リスクが検出されていない場合には、運転スコアβと第3の閾値とを比較して、運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定し、リスクが検出されている場合には、運転スコアβと第4の閾値とを比較して、運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定している。
すなわち、スコア決定部31aは、信号や標識等の見落としに起因する事故が発生する危険度合いを示す運転スコアβを決定し、判定部32aは、リスク検出部20aの検出結果と運転スコアβとに基づいて、運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定する。判定部32aは、リスク検出部20aにおいてリスクが検出された場合には、運転者に対して注意喚起を行うか否かの判定基準となる閾値を、より注意喚起が行われやすくなる閾値(第4の閾値)に変更し判定する。
そのため、リスク検出部20aにおいてリスクが検出されている場合には、リスクが検出されていない場合に比べ、運転者に対して早く注意喚起を行うことができるため、安全な運転を支援することができる。
また、リスク検出部20aにおいてリスクが検出されていない場合にも、運転スコアβに基づいて、注意喚起が行われるため、安全な運転を支援することができる。
【0070】
本実施例に係る安全運転支援装置1aにおけるリスク検出部20aは、外部画像に基づいて、信号や標識の見落としに起因する事故発生リスクを検出する。
すなわち、リスク検出部20aは、風景の中に埋もれた標識や、道路脇の樹木、天候、明るさ等により運転者が認識しづらい信号等を見落とすことによる事故の発生リスクを検出する。
そのため、リスク検出部20aにおいて、運転者が見落としそうな「注意対象物」が検出された場合には、検出されていない場合に比べ、運転者に対して早く注意喚起を行うことができるため、事故の発生を抑制することができる。
また、実際の走行中の外部画像からリスクを検出し、そのリスクに対して適切に注意喚起が行われるため、事故の発生を抑制することができる。
【0071】
本実施例に係る安全運転支援装置1aにおけるスコア決定部31aは、「注意対象物」までの距離と移動体の速度とに基づいて運転スコアβを決定する。
すなわち、リスク検出部20aにおけるリスク検出結果と、「注意対象物」までの距離および移動体の速度から決定された運転スコアβとに基づいて、運転者に対して注意喚起が行われるため、安全な運転を支援することができる。
【0072】
<その他の実施例>
上述した判定部32、32aでは、安全運転に関するリスクが検出されている場合には、閾値を変更し運転者に対して注意喚起を行うか否かを判定していたが、閾値を変えずに、スコア決定部31、31aのスコア決定方法を変更し、判定してもよい。
例えば、道路の単調傾向のリスクが検出された場合には、上述したスコア決定部31の処理のステップS150において増加させるスコアの値を大きくし、運転スコアαの値が早く大きくなるようにスコア決定方法を変更する。
つまり、道路の単調傾向のリスクが検出された場合には、運転スコアαの値が早く大きくなるため、閾値を変更しなくても、運転者に対して早く注意喚起を行うことができる。
また、例えば、運転者の見落としに起因する事故発生リスクが検出された場合とリスクが検出されない場合とにおいて、運転スコアβを異なる方法で決定してもよい。
例えば、運転者の見落としに起因する事故発生リスクが検出されていない場合には、図6に示した運転スコア決定方法により運転スコアβを決定し、運転者の見落としに起因する事故発生リスクが検出されている場合には、図6の決定方法で決定される運転スコアβの値より大きくなるように設定された決定方法を用いて運転スコアβを決定する。
これにより、運転者の見落としに起因する事故発生リスクが検出されている場合には、運転スコアβの値が大きな値に決定されるため、閾値を変更しなくても、運転者に対して早く注意喚起を行うことができる。
【0073】
また、上述した運転スコアαは加算していく方式をとったが、所定の値を初期値として減算していくようにしても良い。またその際は、第1の閾値の値は、第2の閾値の値より小さな値に設定する。
また、運転スコアの初期化タイミングは、イグニッションOFFからONになった場合に限定されない。例えば、運転者が交代した場合は運転スコアを初期化するようにしてもよいし、イグニッションが一旦OFFとなり、その後、イグニッションがONになった場合に、その遷移間隔が短ければ、イグニッションOFF時の運転スコアを保持するようにしてもよい。また、一日単位やワントリップ単位などで、運転スコアαを保持するようにしても良い。
【0074】
また、上述した安全運転支援装置1,1aでは、視覚刺激デバイス34および聴覚刺激デバイス35を用いて、運転者に対して注意喚起を行っているが、さらに振動(触覚)やにおい(臭覚)を発生するデバイスを用いて注意喚起を行ってもよい。
すなわち、人間の触覚や、臭覚を刺激するため、さらに運転者の覚醒を促すことができる。
【0075】
また、安全運転支援装置1の安全運転支援方法および安全運転支援装置1aの安全運転支援方法の双方の安全運転支援方法を備えて、安全運転支援装置を構成してもよい。
つまり、リスク検出部、スコア決定部、判定部において、安全運転支援装置1の安全運転支援方法および安全運転支援装置1aの安全運転支援方法の双方を並列処理するようにしてもよい。
【0076】
また、安全運転に関するリスクの検出結果と、例えば、現在の時刻、天候、外部の明るさ等の走行環境とから、判定部32,32aの判定処理で設定される閾値を決定するようにしてもよい。
つまり、判定部32,32aが、さらに走行環境を考慮した判定処理方法により、注意喚起するかを判定するため、安全な運転を支援することができる。
また、スコア決定部31、31aにおいて決定される運転スコアα、βの値が、例えば、雨の日は晴れの日より大きくなるように重みづけされ、決定されてもよい。
つまり、判定部32,32aが、さらに走行環境を考慮した運転スコアに基づいて、注意喚起を行うかを判定するため、安全な運転を支援することができる。
【0077】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1;安全運転支援装置
1a;安全運転支援装置
10;撮像部
20;リスク検出部
30;報知部
30a;報知部
31;スコア決定部
31a;スコア決定部
32;判定部
32a;判定部
33;制御部
34;視覚刺激デバイス
35;聴覚刺激デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9