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  • 特開-自動二輪車のバッテリ取付構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156038
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】自動二輪車のバッテリ取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/04 20060101AFI20221006BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20221006BHJP
   H01M 50/202 20210101ALI20221006BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20221006BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20221006BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20221006BHJP
   H01M 50/597 20210101ALI20221006BHJP
【FI】
B60R16/04 T
H01M50/249
H01M50/202 501S
H01M50/298
H01M50/244 A
H01M50/588
H01M50/597
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059531
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】藤原 崇雄
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AA22
5H040AS05
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040CC20
5H040DD04
5H040FF01
5H040JJ03
5H040NN01
5H043AA04
5H043AA20
5H043BA11
5H043CA04
5H043HA06D
5H043JA26D
5H043LA02D
(57)【要約】
【課題】正極側端子および負極側端子に対するハーネスの逆接続を防ぐことができる自動二輪車のバッテリ取付構造を提供する。
【解決手段】バッテリ(B)と、該バッテリ(B)の正極側端子(52)に接続される正極側ハーネス(70)と、前記バッテリ(B)の負極側端子(62)に接続される負極側ハーネス(71)とを備えた自動二輪車のバッテリ取付構造において、前記正極側ハーネス(70)と前記負極側ハーネス(71)との長さを異ならせる。前記正極側ハーネス(70)より前記負極側ハーネス(71)の方が短く設定されており、前記バッテリ(B)を所定位置に配設した際に、前記負極側ハーネス(71)が前記正極側端子(52)に届かないように構成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ(B)と、該バッテリ(B)の正極側端子(52)に接続される正極側ハーネス(70)と、前記バッテリ(B)の負極側端子(62)に接続される負極側ハーネス(71)とを備えた自動二輪車のバッテリ取付構造において、
前記正極側ハーネス(70)と前記負極側ハーネス(71)との長さを異ならせることを特徴とする自動二輪車のバッテリ取付構造。
【請求項2】
前記正極側ハーネス(70)より前記負極側ハーネス(71)の方が短く設定されており、
前記バッテリ(B)を所定位置に配設した際に、前記負極側ハーネス(71)が前記正極側端子(52)に届かないように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車のバッテリ取付構造。
【請求項3】
前記正極側ハーネス(70)および前記負極側ハーネス(71)を前記正極側端子(52)および負極側端子(62)に固定するための締結部材(53,63)を有し、
前記バッテリ(B)は、上方が開放されたバッテリケース(40)に収納されており、
前記バッテリ(B)を前記バッテリケース(40)から上方に引き出すことで、前記締結部材(53,63)を着脱する工具(T)が前記締結部材(53,63)にアクセス可能となることを特徴とする請求項1または2に記載の自動二輪車のバッテリ取付構造。
【請求項4】
前記バッテリケース(40)は、前記バッテリ(B)を上方に引き出して傾斜させた際に前記バッテリ(B)の底部を支持するバッテリ支持部(81)を具備することを特徴とする請求項3に記載の自動二輪車のバッテリ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車のバッテリ取付構造に係り、特に、ねじ等の締結部材でバッテリ端子にハーネスを固定するようにした自動二輪車のバッテリ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車体の所定位置にバッテリを収納するようにした自動二輪車のバッテリ取付構造が知られている。
【0003】
特許文献1には、バッテリホルダを有する自動二輪車において、バッテリをバッテリホルダに収めてロック機構で固定するようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6373923号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のように、所定のバッテリホルダに専用の着脱式バッテリが収まることで端子同士が接合する構成においては、正極と負極を逆接続する可能性は低い。しかし、バッテリの正極側端子および負極側端子に正極側ハーネスおよび負極側ハーネスをねじ等で固定する従来の構成においては、依然として組立時にハーネスを逆接続する可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、正極側端子および負極側端子に対するハーネスの逆接続を防ぐことができる自動二輪車のバッテリ取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、バッテリ(B)と、該バッテリ(B)の正極側端子(52)に接続される正極側ハーネス(70)と、前記バッテリ(B)の負極側端子(62)に接続される負極側ハーネス(71)とを備えた自動二輪車のバッテリ取付構造において、前記正極側ハーネス(70)と前記負極側ハーネス(71)との長さを異ならせる点に第1の特徴がある。
【0008】
また、前記正極側ハーネス(70)より前記負極側ハーネス(71)の方が短く設定されており、前記バッテリ(B)を所定位置に配設した際に、前記負極側ハーネス(71)が前記正極側端子(52)に届かないように構成されている点に第2の特徴がある。
【0009】
また、前記正極側ハーネス(70)および前記負極側ハーネス(71)を前記正極側端子(52)および負極側端子(62)に固定するための締結部材(53,63)を有し、前記バッテリ(B)は、上方が開放されたバッテリケース(40)に収納されており、前記バッテリ(B)を前記バッテリケース(40)から上方に引き出すことで、前記締結部材(53,63)を着脱する工具(T)が前記締結部材(53,63)にアクセス可能となる点に第3の特徴がある。
【0010】
さらに、前記バッテリケース(40)は、前記バッテリ(B)を上方に引き出して傾斜させた際に前記バッテリ(B)の底部を支持するバッテリ支持部(81)を具備する点に第4の特徴がある。
【発明の効果】
【0011】
第1の特徴によれば、バッテリ(B)と、該バッテリ(B)の正極側端子(52)に接続される正極側ハーネス(70)と、前記バッテリ(B)の負極側端子(62)に接続される負極側ハーネス(71)とを備えた自動二輪車のバッテリ取付構造において、前記正極側ハーネス(70)と前記負極側ハーネス(71)との長さを異ならせるので、ハーネスをバッテリ端子に取り付ける際に、正極および負極の逆接続を防止することが可能となる。
【0012】
第2の特徴によれば、前記正極側ハーネス(70)より前記負極側ハーネス(71)の方が短く設定されており、前記バッテリ(B)を所定位置に配設した際に、前記負極側ハーネス(71)が前記正極側端子(52)に届かないように構成されているので、効果的かつ確実に逆接続を防止することができる。
【0013】
第3の特徴によれば、前記正極側ハーネス(70)および前記負極側ハーネス(71)を前記正極側端子(52)および負極側端子(62)に固定するための締結部材(53,63)を有し、前記バッテリ(B)は、上方が開放されたバッテリケース(40)に収納されており、前記バッテリ(B)を前記バッテリケース(40)から上方に引き出すことで、前記締結部材(53,63)を着脱する工具(T)が前記締結部材(53,63)にアクセス可能となるので、バッテリを上方に引き出す準備動作を経ないと工具によって締結部材にアクセスできないため、誤って締結部材を取り外したりすることを防止できる。
【0014】
第4の特徴によれば、前記バッテリケース(40)は、前記バッテリ(B)を上方に引き出して傾斜させた際に前記バッテリ(B)の底部を支持するバッテリ支持部(81)を具備するので、締結部材の着脱時にバッテリを傾斜した状態で安定的に保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るバッテリ取付構造を適用した自動二輪車の右側面図である。
図2】リヤフェンダ基部およびバッテリケースの斜視図である。
図3】バッテリの収納凹部を上方から見た斜視図である。
図4】バッテリケースの収納凹部からバッテリを上方に引き出した状態を示す斜視図である。
図5】工具で締結部材にアクセスした状態を示す斜視図である。
図6】バッテリの負極側端子から負極側ハーネスを取り外した状態を示す斜視図である。
図7】バッテリを上方に引き出した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るバッテリ取付構造を適用した自動二輪車1の右側面図である。自動二輪車1は、シート12と操向ハンドル9との間に、跨ぎ部34を備える鞍乗型車両である。操向ハンドル9の左右端部には、運転者が把持するハンドルグリップ8が取り付けられている。
【0017】
車体フレーム10を構成するメインフレーム11の前端部には、ステアリングステム4を回動自在に軸支するヘッドパイプ2が固定されている。ヘッドパイプ2から車体後方下方に延びる車幅方向中央のメインフレーム11の後端下部には、スイングアーム20を揺動自在に軸支するスイングアームピボット24が設けられている。メインフレーム11の後方上部には、車体後方上方に延びる上側リヤフレーム13および下側リヤフレーム32がそれぞれ左右一対で取り付けられている。スイングアーム20は、車体前方寄りの位置でリヤクッション33によって上側リヤフレーム13に吊り下げられている。
【0018】
操向ハンドル9は、ステアリングステム4の上端部に固定されている。一方、ステアリングステム4の下端部には、左右一対のフロントフォーク27を支持するボトムブリッジ29が固定されている。フロントフォーク27の下端部には前輪WFが回転自在に軸支されており、フロントフォーク27の上下方向略中央には、前輪WFの上方後方を覆うフロントフェンダ28が取り付けられている。
【0019】
メインフレーム11の下部には、4サイクルエンジンと有段変速機とを一体に構成したパワーユニットPが支持されている。パワーユニットPの回転動力は、車幅方向左側のドライブチェーン22を介して後輪WRに伝達される。パワーユニットPの燃焼ガスは、パワーユニットPの下方を通る排気管25を介して、車幅方向右側のマフラ21から排出される。
【0020】
メインフレーム11の上方および車幅方向左右を覆うサイドカバー26は、車体前方のボトムブリッジ29からパワーユニットPの前方側まで延出している。サイドカバー26の前方上部には、左右一対のヘッドライト31を支持するフロントカバー3が取り付けられており、操向ハンドル9の前後は、ハンドルカバー5によって覆われている。操向ハンドル9には左右一対のバックミラー7が固定されており、ハンドルカバー5の上部には小型のバイザー6が取り付けられている。
【0021】
サイドカバー26の後端部には、シート12の下方でリヤフレーム13,32を覆う左右一対のシートカバー14が連結されている。シートカバー14の後部には、テールライト15を支持する左右一対のリヤサイドカバー35が配設されている。リヤサイドカバー35の下部には、左右のリヤサイドカバー35を連結する下面部およびこの下面部から車体後方に延びる延出部を有する車体カバーとしてのリヤエンドカバー17が取り付けられている。リヤエンドカバー17には、左右一対の後側フラッシャライト16、車幅方向中央のライセンスライト18、ライセンスプレートホルダとしても機能するリヤフェンダ19が取り付けられている。
【0022】
図2は、リヤフェンダ基部39およびバッテリケース40の斜視図である。また、図3はバッテリBの収納凹部41を上方から見た斜視図である。合成樹脂等からなるリヤフェンダ基部39およびバッテリケース40は、シート12の下方でシートカバー14の内側に配設されている。
【0023】
バッテリケース40には、バッテリBを収納する収納凹部41が形成されている。バッテリBは、正極側端子52および負極側端子62が後方側に位置すると共に車幅方向に並ぶようにして収納凹部41に収納される。収納凹部41には、正極側端子52および負極側端子62に接続される正極側ハーネス70および負極側ハーネス71も収納される。正極側端子52には、ゴムカバー50が被せられる。
【0024】
図4は、バッテリケース40の収納凹部41からバッテリBを上方に引き出した状態を示す斜視図である。また、図5は工具Tで締結部材63にアクセスした状態を示す斜視図である。本実施形態では、正極側端子52および負極側端子62に正極側ハーネス70および負極側ハーネス71を接続したまま、バッテリBを上方に引き出せるように構成されている。バッテリBの上方への移動は、正極側ハーネス70および負極側ハーネス71の長さによってバッテリBの全高寸法の略半分に規制される。
【0025】
正極側ハーネス70は、その先端に取り付けられた端子金具51を締結部材としてのねじ53で固定することで正極側端子52に固定される。また、負極側ハーネス71は、その先端に取り付けられた端子金具61をねじ63で固定することで負極側端子62に固定される。
【0026】
プラスドライバである工具Tは、バッテリBが所定位置に収納されている場合は、バッテリケース40の後壁が干渉してねじ63にアクセスできず、バッテリBを上方に引き出した場合にのみ、ねじ63にアクセスできる。
【0027】
図6は、バッテリBの負極側端子62から負極側ハーネス71を取り外した状態を示す斜視図である。本実施形態では、正極側ハーネス70より負極側ハーネス71の方が短く設定されており、図示するようにバッテリBを上方に引き出した状態はもとよりバッテリBを所定位置に収納した状態でも、負極側ハーネス71が正極側端子52に届かないように構成されている。これにより、効果的かつ確実に逆接続を防ぐことが可能となる。収納凹部41の前方側には前壁80が形成されており、収納凹部41の後方側には、バッテリバンド取付部81が設けられている。
【0028】
図7は、バッテリBを上方に引き出した状態を示す断面図である。前記したように、バッテリBは、正極側ハーネス70および負極側ハーネス71を接続したまま、正極側ハーネス70および負極側ハーネス71が突っ張る位置まで、バッテリBの高さ寸法の半分程度を上方に引き出すことができる。このとき、バッテリBを前側に傾斜させると、バッテリBの底部をバッテリ支持部としてのバッテリバンド取付部81に乗せることができると共に、バッテリBの前面部を前壁80に立てかけることができる。これにより、バッテリBを安定させた状態で、締結部材53,63の着脱を行うことができる。
【0029】
上記したように、本発明に係るバッテリ取付構造によれば、バッテリBと、該バッテリBの正極側端子52に接続される正極側ハーネス70と、前記バッテリBの負極側端子62に接続される負極側ハーネス71とを備えた自動二輪車のバッテリ取付構造において、前記正極側ハーネス70と前記負極側ハーネス71との長さを異ならせるので、ハーネスをバッテリ端子に取り付ける際に、正極および負極の逆接続を防止することが可能となる。
【0030】
また、前記正極側ハーネス70より前記負極側ハーネス71の方が短く設定されており、前記バッテリBを所定位置に配設した際に、前記負極側ハーネス71が前記正極側端子52に届かないように構成されているので、効果的かつ確実に逆接続を防止することができる。
【0031】
また、前記正極側ハーネス70および前記負極側ハーネス71を前記正極側端子52および負極側端子62に固定するための締結部材53,63を有し、前記バッテリBは、上方が開放されたバッテリケース40に収納されており、前記バッテリBを前記バッテリケース40から上方に引き出すことで、前記締結部材53,63を着脱する工具Tが前記締結部材53,63にアクセス可能となるので、バッテリBを上方に引き出す準備動作を経ないと工具によって締結部材53,63にアクセスできないため、誤って締結部材を取り外したりすることを防止できる。
【0032】
さらに、前記バッテリケース(40)は、前記バッテリ(B)を上方に引き出して傾斜させた際に前記バッテリ(B)の底部を支持するバッテリ支持部(81)を具備するので、締結部材53,63の着脱時にバッテリBを傾斜した状態で安定的に保持することが可能となる。
【0033】
なお、自動二輪車の形態、バッテリケースの形状、バッテリの形状や大きさ、ハーネスの長さ設定等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。本発明に係るバッテリ取付構造は、自動二輪車に限られず、鞍乗型の三輪車や四輪車等に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…自動二輪車、40…バッテリケース、41…収納凹部、52…正極側端子、62…負極側端子、53,63…締結部材、70…正極側ハーネス、71…負極側ハーネス、81…バッテリバンド取付部(バッテリ支持部)、B…バッテリ、T…ドライバ(工具)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7