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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156048
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】印章照合システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20221006BHJP
【FI】
G06T7/00 590
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059546
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋平
【テーマコード(参考)】
5B043
【Fターム(参考)】
5B043BA09
5B043DA02
5B043DA05
5B043EA02
5B043GA05
(57)【要約】
【課題】押印による承認をより容易に行うことができる印章照合システムを提供する。
【解決手段】印章照合システム10は、画像データを取り込む画像入力装置20と、処理装置30とを備える。処理装置30は、画像入力装置20で取り込んだ画像データから印影を判別して抽出する印影抽出部32と、印影画像データ及び所有者情報を互いに関連付けて記憶する記憶部33と、印影抽出部32で抽出した印影を、記憶部33に記憶されている印影画像データと照合する印影照合部34と、印影照合部34が印影の同一性を判別したときに、記憶部33から印影画像データの所有者情報を読み出す読出部35とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを取り込む画像入力装置と、処理装置とを備える印章照合システムであって、
前記処理装置は、
前記画像入力装置で取り込んだ画像データから印影を判別して抽出する印影抽出部と、
印影画像データ及び所有者情報を互いに関連付けて記憶する記憶部と、
前記印影抽出部で抽出した印影を、前記記憶部に記憶されている前記印影画像データと照合する印影照合部と、
前記印影照合部が印影の同一性を判別したときに、前記記憶部から前記印影画像データの所有者情報を読み出す読出部と
を備える、印章照合システム。
【請求項2】
前記処理装置は、署名付加部を更に備え、
前記署名付加部は、前記印影照合部が印影の同一性を判別したときに、前記画像入力装置で取り込んだ画像データに、前記読出部で読み出した所有者情報に基づき電子署名を付加する、請求項1に記載の印章照合システム。
【請求項3】
前記処理装置は、画像処理部を更に備え、
前記画像処理部は、前記印影照合部が印影の同一性を判別したときに、前記画像入力装置で読み取った画像データに対して、印影を強調する画像処理を行う、請求項1又は請求項2に記載の印章照合システム。
【請求項4】
前記処理装置は、
当該処理装置にログインするユーザーを認証するユーザー認証部と、
前記ユーザー認証部で認証したユーザーを、前記記憶部に記憶されている所有者情報と照合するユーザー照合部と
を更に備え、
前記印影照合部は、前記ユーザー照合部がユーザーの同一性を判別したとき、前記印影抽出部で抽出した印影を、前記ユーザー照合部で照合した所有者情報に関連付けられている印影画像データと照合する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印章照合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印章照合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正式文書の承認の際には、関係者により承認印が押印され、回覧されるワークフローが利用されてきた。近年、リモートワークの広がりにより、押印のための出勤を抑制すべく、急速に印章の使用を廃止する動きが生じている。
【0003】
しかしながら、印章の使用を廃止すると、例えば電子署名といった別の承認ツールが必要となり、その承認ツールの操作を学ぶことが大変であるという問題がある。また、電子署名は直接目視で確認しづらく、ユーザーにとって、新しい承認ツールを用いて承認された文書を正式文書として信頼して良いのかという不安が生じるという問題がある。そこで、視認性に優れる印章を併用したいという要望がある。
【0004】
一方、銀行等では、安全性の強化のため、印影を利用して顧客を認証するシステムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のシステムでは、印影を暗号化して印影暗号データを作成し、印影暗号データをICカードに記憶している。そして、顧客が手続きを行う際に、顧客の端末処理装置のカードリーダーでICカード内の印影暗号データを読み取り、銀行等のホスト処理装置で印影暗号データを受け取ることで、顧客の認証を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-97621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のシステムは、印影を使用するものの、印影を暗号化した印影暗号データを顧客の端末処理装置から銀行等のホスト処理装置に送り、銀行等のホスト処理装置で印影暗号データを解析して、予め記録してある印影データと照合している。そのため、正式文書の承認に利用する場合には、新しい承認ツールを構築する必要があり、その承認ツールの操作を学ぶことが大変であるという問題が解決できない。また、印影データを暗号化したデータで認証するため承認印は目視できず、信頼性への不安が生じるという問題も解決できない。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、押印による承認をより容易に行うことができる印章照合システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、印章照合システムは、画像データを取り込む画像入力装置と、処理装置とを備える。処理装置は、画像入力装置で取り込んだ画像データから印影を判別して抽出する印影抽出部と、印影画像データ及び所有者情報を互いに関連付けて記憶する記憶部と、印影抽出部で抽出した印影を、記憶部に記憶されている印影画像データと照合する印影照合部と、印影照合部が印影の同一性を判別したときに、記憶部から印影画像データの所有者情報を読み出す読出部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の印章照合システムによれば、押印による承認をより容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る印章照合システムを示す機能ブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る印章照合システムの印影を照合するフローを示すフローチャートである。
図3】本発明の実施形態に係る印章照合システムの印影を照合する他のフローを示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係る印章照合システムの電子署名を付加するフローを示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る印章照合システムの画像処理を行うフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
図1を参照して、印章照合システム10を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る印章照合システム10を示す機能ブロック図である。
【0013】
印章照合システム10は、文書などの印刷物を画像データとして取り込む画像入力装置20と、取り込んだ画像データに対して特定の処理を行う処理装置30と、画像データを印刷物として出力する画像出力装置40とを備える。画像入力装置20は、例えば、スキャナー、カメラである。また、画像出力装置40は、例えば、プリンターである。
【0014】
処理装置30は、画像取得部31、印影抽出部32、記憶部33、印影照合部34、読出部35、署名付加部36、画像処理部37、ユーザー認証部38、及びユーザー照合部39を備えている。
【0015】
画像取得部31は、画像入力装置20で取り込んだ画像データを、処理装置30に取り込む。処理装置30に取り込まれた画像データは、記憶部33に記憶される。
【0016】
印影抽出部32は、画像取得部31によって取り込まれた画像データから、印影を判別して印影を抽出する。抽出された印影は、印影照合部34に送られる。
【0017】
記憶部33は、印影画像データ及び所有者情報を互いに関連付けて記憶する。印影画像データは、ユーザーが自身の使用する印影の画像を処理装置30に取り込んで登録することで記憶部33に記憶される。同様に、所有者情報も、印影画像データを登録する際に、印影画像データと関連付けて登録することで記憶部33に記憶される。また、処理装置30へログインする際にユーザー認証を行う場合は、記憶部33は、ユーザー情報を記憶する。
【0018】
所有者情報は、所有者名、電子署名用鍵などである。これらの情報から必要な情報を所有者情報として登録する。例えば、画像入力装置20で取り込まれた画像に電子署名を付加する場合には、電子署名用鍵を所有者情報として登録する。
【0019】
電子署名用鍵は、暗号化して登録しておくこともできる。電子署名用鍵が暗号化されている場合は、例えば、処理装置30にログインする際に使用するユーザー認証、すなわち、ユーザーID及びパスワード、又は、ICカード情報を用いて復号することもできる。このように、電子署名用鍵を暗号化することで、二要素認証を行うことができる。ここで、ICカード情報は、ユーザーが保有するICカードに記録されている情報を示す。
【0020】
ユーザー情報は、ユーザーID、パスワード、ICカード情報などである。これらの情報から必要な情報をユーザー情報として登録する。例えば、印章照合システム10を使用する際にパスワードでユーザー認証を行う場合には、ユーザーID及びパスワードをユーザー情報として登録する。一方、印章照合システム10を使用する際に、ICカードに予め記録されている情報を読み取ってユーザー認証を行う場合には、ユーザーID及びパスワードに代えて、ICカード情報をユーザー情報として登録する。
【0021】
記憶部33は、処理装置30の内部に設けられてもよいし、ネットワークを介して処理装置30に接続されるサーバーに設けられてもよい。
【0022】
印影照合部34は、印影抽出部32で抽出した印影を受け取るとともに、記憶部33に記憶されている印影画像データを記憶部33から読み出す。そして、印影と印影画像データとを照合し、同一の印影か否かを判断する。
【0023】
ユーザー認証を行う場合には、印影照合部34は、ユーザー照合部39が、ユーザー認証部38で認証したユーザーと、記憶部33に記憶されている所有者情報とが一致すると判断したときに、当該所有者情報と関連付けられている印影画像データを記憶部33から読み出して、印影と照合する。
【0024】
読出部35は、印影照合部34が、印影抽出部32で抽出した印影と、記憶部33に記憶される印影画像データとが同一であると判別したときに、当該印影画像データと関連付けられている所有者情報を記憶部33から読み出す。
【0025】
署名付加部36は、印影照合部34が、印影抽出部32で抽出した印影と、記憶部33に記憶される印影画像データとが同一であると判別したときに、画像取得部31によって取り込まれた画像データに、読出部35で読み出した所有者情報に基づいて電子署名を付加する。
【0026】
画像処理部37は、印影照合部34が、印影抽出部32で抽出した印影と、記憶部33に記憶される印影画像データとが同一であると判別したときに、画像取得部31によって取り込まれた画像データに対して、印影を強調する画像処理を行う。
【0027】
ユーザー認証部38は、処理装置30にログインするユーザーを認証する。例えば、記憶部33にユーザー情報としてユーザーIDとパスワードを登録しておき、処理装置30にログインする際にパスワードによるユーザー認証を行う。別の方法としては、各ユーザーにICカードを保有させておき、記憶部33にはユーザー情報としてユーザーが保有するICカード情報を登録しておき、処理装置30にログインする際に、ユーザーが処理装置30に読み取らせたICカード情報によってユーザー認証を行う。
【0028】
ユーザー照合部39は、記憶部33に記憶されている所有者情報を読み出して、ユーザー認証部38で認証されたユーザーが、所有者情報に登録されているユーザーであるかを照合する。そして、所有者情報に登録されているユーザーか否かを判断する。また、ユーザー照合部39は、ユーザーが所有者情報に登録されていない場合には、印影照合部34、読出部35、署名付加部36、及び画像処理部37が機能しないようにする。
【0029】
印章照合システム10は、画像入力装置20及び画像出力装置40を、処理装置30として機能するコンピューターに、ネットワークを介して接続して構成することができる。また、画像入力装置20及び画像出力装置40を備えた多機能周辺機器(MFP)を用いることもできる。いずれの場合でも、自宅、コンビニ、シェアオフィスなどに設置されている機器を用いて構成されればよい。自宅、コンビニ、シェアオフィスなどに設置されている機器は、テレワークで利用できる。
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る印章照合システム10を用いて、書類に押印された印章の印影を照合し、電子署名を付加したり、印影の画像を処理したりするフローを、フローチャートを用いて説明する。
【0031】
図2及び図3は、本発明の実施形態に係る印章照合システム10の印影を照合するフローを示すフローチャートである。図2はユーザー認証がない場合のフローを示し、図3はユーザー認証がある場合のフローを示す。
【0032】
まず、図2を参照して、ユーザー認証がない場合のフローについて説明する。最初に、ユーザーは、画像出力装置40を利用して押印する必要のある書類を印刷し、印刷した書類に必要事項の記入及び押印を行う。尚、記入事項のない場合は押印のみを行う。
【0033】
ユーザーは、押印された書類を、画像入力装置20で取り込む(ステップS10)。画像入力装置20で取り込まれた書類の画像データは、画像取得部31によって取得されて処理装置30の記憶部33に記憶される(ステップS12)。
【0034】
ユーザーは、処理装置30を操作して、印影の照合を指示する(ステップS14)。ユーザーからの指示を受けて、印影抽出部32は、画像データから印影であると認識できる部分を判別し、印影を抽出する(ステップS16)。抽出された印影は、印影照合部34へ送られる。
【0035】
印影照合部34は、予め登録されている印影画像データを記憶部33から読み出し、印影抽出部32から送られてきた印影と照合し、印影抽出部32から送られてきた印影が登録されている印影画像データと一致するか判断する(ステップS18)。
【0036】
印影抽出部32から送られてきた印影が登録されている印影画像データと一致する場合(ステップS18のYes)、一致した印影画像データに関連付けられている所有者情報が読出部35によって読み出される(ステップS20)。この結果、図2に示すフローが終了する。一方、印影抽出部32から送られてきた印影が登録されている印影画像データと一致しない場合には(ステップS18のNo)、印影が一致しないことが処理装置30によってユーザーに通知されて(ステップS22)、図2に示すフローが終了する。
【0037】
次に、図3を参照して、処理装置30を使用するユーザーを認証する場合のフローについて説明する。
【0038】
最初は、ユーザー認証を行わない場合と同様に、ユーザーは、押印された書類を、画像入力装置20で取り込む(ステップS30)。画像入力装置20で取り込まれた書類の画像データは、画像取得部31によって取得されて処理装置30の記憶部33に記憶される(ステップS32)。
【0039】
次に、ユーザーは、処理装置30にログインを行う(ステップS34)。処理装置30へのログインは、例えば、ユーザーIDとパスワードを入力するパスワード認証、又は、ICカード情報を処理装置30に読み取らせるICカード認証により行われる。
【0040】
処理装置30へのログインが行われると、ユーザー認証部38は、記憶部33からユーザー情報を読み出して、ユーザーによって入力された情報(ユーザーID及びパスワード、又は、ICカード情報)がユーザー情報に登録されている情報であるかを確認する(ステップS36)。
【0041】
ユーザー情報に登録されているユーザーであることが確認できると処理装置30が使用できるようになる。ユーザー情報に登録されていないユーザーの場合には、ユーザー登録がされていないことが処理装置30によってユーザーに通知されて(ステップS48)、図3に示すフローが終了する。
【0042】
ユーザーは、処理装置30が使用できる状態になると、処理装置30を操作して、印影の照合を指示する(ステップS38)。ユーザーからの指示を受けると、まず、ユーザー照合部39が、予め登録されている所有者情報を記憶部33から読み出し、ユーザー情報と所有者情報とを照合して、ユーザー情報が登録されている所有者情報と一致するか判断する(ステップS40)。
【0043】
所有者情報に登録されているユーザー情報であることが確認された場合(ステップS40のYes)、ユーザー照合部39は、所有者情報と関連付けられている印影画像データを印影照合部34へ送る。その一方で、印影抽出部32が、画像データから印影であると認識できる部分を判別し、印影を抽出する(ステップS42)。抽出された印影は、印影照合部34へ送られる。有者情報に登録されていないユーザーの場合には(ステップS40のNo)、所有者情報が登録されていないことが処理装置30によってユーザーに通知されて(ステップS48)、図3に示すフローが終了する。
【0044】
印影照合部34は、印影抽出部32から送られてきた印影を、ユーザー照合部39から送られてきた印影画像データと照合し、印影抽出部32から送られてきた印影が登録されている印影画像データと一致するか判断する(ステップS44)。
【0045】
印影抽出部32から送られてきた印影が登録されている印影画像データと一致する場合(ステップS44のYes)、一致した印影画像データに関連付けられている所有者情報が読出部35によって読み出される(ステップS46)。この結果、図3に示すフローが終了する。一方、印影抽出部32から送られてきた印影が登録されている印影画像データと一致しない場合には(ステップS44のNo)、印影が一致しないことが処理装置30によってユーザーに通知されて(ステップS48)、図3に示すフローが終了する。
【0046】
次に、印影抽出部32で抽出された印影が登録されている印影画像データと一致した後、電子署名を付加したり、印影の画像を処理したりするフローを、フローチャートを用いて説明する。
【0047】
図4は、本発明の実施形態に係る印章照合システム10の電子署名を付加するフローを示すフローチャートである。図5は、本発明の実施形態に係る印章照合システム10の画像処理を行うフローを示すフローチャートである。尚、これらのフローは、両方のフローが順次行われてもよいし、いずれか一方のフローのみが行われてもよい。
【0048】
電子署名を付加する場合、読出部35は、読み出した所有者情報を署名付加部36に送る。署名付加部36は、印影抽出部32で印影の抽出を行った元となる画像データを記憶部33から読み出す(ステップ50)。そして、所有者情報に含まれている電子署名用鍵に基づいて、画像データに電子署名を付加する(ステップ52)。電子署名が付加された画像データは、改めて記憶部33に記憶される(ステップ54)。この結果、図4に示すフローが終了する。
【0049】
画像処理を行う場合、画像処理部37は、印影抽出部32で印影の抽出を行った元となる画像データを記憶部33から読み出す(ステップ60)。そして、印影抽出部32で抽出された印影がより鮮明になるように画像処理を行う(ステップ62)。画像処理が行われた画像データは、改めて記憶部33に記憶される(ステップ64)。この結果、図4に示すフローが終了する。
【0050】
本実施形態の印章照合システム10は、既存のワークフローシステムと連携することができる。例えば、上記のようにして印章照合システム10が書類の画像データに押印された印影を予め登録されているものであると確認したときに、自動でワークフローが進む仕組みとすることができる。このとき、ワークフローと平行して、書類の画像データは保存しておき、後日改めて、書類の原本と照合することもできる。
【0051】
以下、ワークフローに従って複数人が書類を承認し回付する場合について説明する。
【0052】
複数人が関与するワークフローに印章照合システム10を利用する場合、印章照合システム10は各人の周囲にある機器にて構成されるが、記憶部33はサーバー上に設けられ、関与する複数人がそれぞれ使用する印章照合システム10からアクセスできる状況に置かれる。
【0053】
複数人が関与するワークフローでは、各人が書類を画像出力装置40で印刷し、内容を確認して押印し、押印した書類を画像入力装置20で画像データとして取り込み、次の人へと回付する。各人が画像入力装置20で取り込んだ書類の画像データは、書類別に、取り込まれた順に整理されて、記憶部33に記憶される。
【0054】
ワークフローに関与する各人が押印した書類を画像データとして取り込むと、印影抽出部32は、記憶部33に記憶されている同一種類の書類の一つ前に取り込まれた画像データと比較して、新たに押された印影がどれかを認識して印影を抽出する。
【0055】
抽出された印影は、上記したように印影照合部34で照合され、登録されている印影であれば署名付加部36によって電子署名が付加される。ワークフローに従って複数人に順に回付される書類は、最後に押印した人の電子署名が付加された画像データが記憶部33に書類ごとに時系列に整理されて記憶されていく。これにより、記憶部33に記憶されている画像データを確認することで、どの順番で印章が押されたかを確認することができる。
【0056】
また、ワークフローに関与する各人が必要事項を記入した書類を画像データとして取り込むと、印影抽出部32は、記憶部33に記憶されている同一種類の書類の一つ前に取り込まれた画像データと比較して、新たに書き込まれた事項がどれかを認識する。新たに書き込まれた事項が認識されると、新たに書き込まれた事項があることが画像処理部37に伝えられる。情報が伝達されると、画像処理部37は、新たに書き込まれた事項の付近に、例えば、誰が記載した、いつ記載したなどの情報を、色分けしたラベルを使用して付加することもできる。これにより、記憶部33に記憶されている画像データを確認することで、ある書き込みがどの時点で誰によって記入されたのか確認することができる。
【0057】
本実施形態の印章照合システム10は、以下のようにして利用することもできる。
【0058】
例えば、電子署名の検証に失敗した場合には、検証に失敗した電子署名に関連する印影をモノクロで表示することもできる。一方、モノクロでスキャンしても電子署名が有効な場合には、印影を赤く表示することもできる。
【0059】
また、コンピューターの画面上で書類画像に印影画像を付加する場合に、印章照合システム10を操作し、画面上で付加した印影画像に対して印影照合を行い、印影が登録されている場合に電子署名を付加することもできる。これにより、印刷することなく、電子書類だけで押印作業を完結することができる。また、押印して取り込んだ画像データと、コンピューターの画面上で印影画像を付加した書類画像の画像データとの両方に印章照合システム10を適用できるようにすることで、同じワークフローの中でも、各人に印章を押印する方法を選択させることができる。
【0060】
以上のように、本実施形態の印章照合システム10では、書類に押印された印影を読み取って、押印した者を識別することができる。押印した者が印章照合システム10に予め登録されている者であれば、印章照合システム10で取り込んだ画像データを、そのまま承認された正式文書とすることができる。当該画像データには押印されているため、承認されたことを目視で確認することができる。また、承認する作業としては、書類を印刷して押印し、その書類を画像入力装置20によって画像データとして取り込むだけである。したがって、押印による承認をより容易に行うことができる。また、既存の仕組みを大きく変える必要もない。
【0061】
更に、押印した者が印章照合システム10に予め登録されている者であれば、印章照合システム10で取り込んだ画像データに電子署名を付加することもできる。したがって、電子文書を、承認された正式文書とすることができる。よって、電子署名を付加された電子書類は、そのままメールで提出したり、ワークフローシステムに回付したりすることもできる。このように、ネットワーク上では電子署名により本人確認ができるため、セキュリティーが向上する。
【0062】
一方、印章照合システム10に予め印影画像データを登録していないと印影を認証しないので、他人が印章照合システム10のユーザーに成りすまして、承認された文書を回付する危険性を低減できる。処理装置30にログインする際にユーザー認証を行う場合には、処理装置30にユーザー登録されているユーザーしか使用できないため、他人が印章照合システム10のユーザーに成りすまして、承認された文書を回付する危険性を更に低減できる。また、ユーザーは、特定の場所に設置されている印章照合システム10を利用できる者に限られ、地理的にユーザーが限定されることから、他人が印章照合システム10のユーザーに成りすまして、承認された文書を回付する危険性を低減できる。
【0063】
以上、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から、署名付加部、画像処理部、ユーザー認証部、ユーザー照合部などの幾つかの構成要素を削除してもよい。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、印章の照合を必要とする分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 印章照合システム
20 画像入力装置
30 処理装置
31 画像取得部
32 印影抽出部
33 記憶部
34 印影照合部
35 読出部
36 署名付加部
37 画像処理部
38 ユーザー認証部
39 ユーザー照合部
40 画像出力装置
図1
図2
図3
図4
図5