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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156051
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 15/00 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
F04C15/00 K
F04C15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059551
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】小林 喜幸
(72)【発明者】
【氏名】片岡 慈裕
(72)【発明者】
【氏名】永井 友三
【テーマコード(参考)】
3H044
【Fターム(参考)】
3H044CC01
3H044CC12
3H044CC14
3H044DD01
3H044DD09
3H044DD23
3H044DD24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ハウジングとカバーとの合わせ面における腐食を抑制できる構造を有する電動ポンプを提供する
【解決手段】軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なロータを有するモータと、ロータに連結されたポンプ機構と、モータの径方向外側に位置する回路基板と、軸方向に延びる筒状のモータ収容部と、軸方向に延びる筒状のポンプ収容部と、モータ収容部およびポンプ収容部の径方向外側に位置する基板収容部と、を含むハウジングと、基板収容部に設けられた径方向外側に開口する基板収容凹部を塞ぐ基板カバーと、基板収容部と基板カバーとの間に設けられたシール材と、を備える。基板収容部は、径方向外側の端部に設けられ、基板カバーが取り付けられた取付面と、取付面の周縁に設けられ、中心軸から離れる方向に延びる周縁壁と、を有する。シール材は、取付面と基板カバーとの間に配置され、シール材の一部は、周縁壁と基板カバーとの隙間に配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なロータを有するモータと、
前記ロータに連結されたポンプ機構と、
前記モータの径方向外側に位置する回路基板と、
前記軸方向に延びる筒状のモータ収容部と、前記軸方向に延びる筒状のポンプ収容部と、前記モータ収容部および前記ポンプ収容部の径方向外側に位置する基板収容部と、を含むハウジングと、
前記基板収容部に設けられた径方向外側に開口する基板収容凹部を塞ぐ基板カバーと、
前記基板収容部と前記基板カバーとの間に設けられたシール材と、を備え、
前記基板収容部は、前記径方向外側の端部に設けられ、前記基板カバーが取り付けられた取付面と、前記取付面の周縁に設けられ、前記中心軸から離れる方向に延びる周縁壁と、を有し、
前記シール材は、前記取付面と前記基板カバーとの間に配置され、
前記シール材の一部は、前記周縁壁と前記基板カバーとの隙間に配置されている、電動ポンプ。
【請求項2】
前記シール材は、前記隙間の全体に配置されている、請求項1に記載の電動ポンプ。
【請求項3】
前記シール材は、液状のシール材料で構成される、請求項1または請求項2に記載の電動ポンプ。
【請求項4】
前記基板カバーは、前記取付面に取り付けられる枠状の取付部分を有し、
前記取付部分は、前記取付面に対向する第1面と、前記第1面と反対を向く第2面とを含み、
前記中心軸から離れる方向において、前記周縁壁の端面と前記取付部分の前記第2面とは面一である、請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【請求項5】
前記基板カバーは、前記取付面に取り付けられる枠状の取付部分を有し、
前記取付部分は、前記取付面に対向する第1面と、前記第1面と反対を向く第2面とを含み、
前記中心軸から離れる方向において、前記取付部分の前記第2面は、前記周縁壁の端面よりも突出している、請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
所定対象に取り付けられる電動ポンプが知られている。例えば、特許文献1には、自動車の自動変速機に搭載される電動オイルポンプが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6385762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動ポンプでは、モータ、ポンプおよび回路基板を収容するハウジングの開口をカバーで塞いでいる。しかしながら、電動ポンプが取り付けられる所定対象が、自動車の屋外で使用される対象であると、使用時に水がかかることによって、カバーとハウジングとの合わせ面に水が浸入することで合わせ面が腐食する恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、ハウジングとカバーとの合わせ面における腐食を抑制できる構造を有する電動ポンプを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動ポンプの一つの態様は、軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なロータを有するモータと、前記ロータに連結されたポンプ機構と、前記モータの径方向外側に位置する回路基板と、前記軸方向に延びる筒状のモータ収容部と、前記軸方向に延びる筒状のポンプ収容部と、前記モータ収容部および前記ポンプ収容部の径方向外側に位置する基板収容部と、を含むハウジングと、前記基板収容部に設けられた径方向外側に開口する基板収容凹部を塞ぐ基板カバーと、前記基板収容部と前記基板カバーとの間に設けられたシール材と、を備え、前記基板収容部は、前記径方向外側の端部に設けられ、前記基板カバーが取り付けられた取付面と、前記取付面の周縁に設けられ、前記中心軸から離れる方向に延びる周縁壁と、を有し、前記シール材は、前記取付面と前記基板カバーとの間に配置され、前記シール材の一部は、前記周縁壁と前記基板カバーとの隙間に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動ポンプにおいて、ハウジングとカバーとの合わせ面の腐食を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の電動ポンプの一部を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態の電動ポンプの内部構成を示す分解斜視図である。
図3図3は、第1実施形態の電動ポンプの要部を示す断面図である。
図4図4は、第2実施形態の電動ポンプの要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1および図2に示す本実施形態の電動ポンプ100は、車両に搭載される機器Mに取り付けられる電動ポンプである。つまり、機器Mは、電動ポンプ100が取り付けられる所定対象に相当する。機器Mは、特に限定されず、自動変速機であってもよいし、車両の車軸を駆動する駆動装置であってもよい。電動ポンプ100は、例えば、機器Mに対してオイルを供給する電動オイルポンプである。
【0010】
本実施形態において電動ポンプ100は、機器Mに対して鉛直方向と直交する方向に取り付けられる。機器Mに対して電動ポンプ100が取り付けられる方向は、電動ポンプ100の後述するモータ20の中心軸Jが延びる方向と直交する。図1図2、および図3に示す中心軸Jは、鉛直方向と直交する方向に延びる仮想線である。
【0011】
各図において、鉛直方向は、Z軸と平行な方向である。鉛直方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)は、上側である。鉛直方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)は、下側である。各図において、機器Mに対して電動ポンプ100が取り付けられる方向は、Z軸と直交するY軸と平行な方向である。以下の説明においては、Y軸と平行な方向を「取付方向」と呼ぶ。取付方向のうちY軸の矢印が向く側(+Y側)を「取付方向一方側」と呼ぶ。取付方向のうちY軸の矢印が向く側と逆側(-Y側)を「取付方向他方側」と呼ぶ。
【0012】
各図において、中心軸Jが延びる方向は、Z軸およびY軸の両方と直交するX軸と平行な方向である。以下の説明においては、中心軸Jが延びる方向、つまりX軸と平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。軸方向のうちX軸の矢印が向く側(+X側)を「フロント側」と呼ぶ。軸方向のうちX軸の矢印が向く側と逆側(-X側)を「リア側」と呼ぶ。
【0013】
図1に示すように、電動ポンプ100は、ハウジング10と、モータ20と、ポンプ機構30と、回路基板40と、バスバーアッシー50と、基板カバー14と、シール材70と、を備える。ハウジング10は、モータ20、ポンプ機構30、回路基板40、およびバスバーアッシー50を内部に収容している。
【0014】
ハウジング10は、ハウジング本体11と、モータカバー12と、ポンプカバー13と、を有する。ハウジング本体11とモータカバー12とポンプカバー13とは、互いに別部材である。モータカバー12は、ハウジング本体11のリア側(-X側)に取り付けられている。ポンプカバー13は、ハウジング本体11のフロント側(+X側)に取り付けられている。
【0015】
図2に示すように、ハウジング本体11は、モータ収容部15と、ポンプ収容部16と、基板収容部17と、取付部18と、を有する。本実施形態において、モータ収容部15とポンプ収容部16と基板収容部17と取付部18とは、互いに同一の単一部材の一部である。本実施形態のハウジング10は、モータ収容部15と、ポンプ収容部16と、基板収容部17と、を含む。ハウジング10は、ダイカストなどの金型鋳造によって成形されている。
【0016】
本実施形態においてモータ収容部15は、軸方向に延びる円筒状である。図1に示すように、モータ収容部15は、リア側(-X側)に開口する凹部からなるモータ収容凹部11aを有する。モータ収容凹部11aのリア側の開口は、モータカバー12によって塞がれている。
【0017】
ポンプ収容部16は、モータ収容部15のフロント側(+X側)に繋がっている。ポンプ収容部16は、フロント側に開口する凹部からなるポンプ収容凹部11bを有する。ポンプ収容凹部11bのフロント側の開口は、ポンプカバー13によって塞がれている。
【0018】
ハウジング10のフロント側には、コネクタ部8が設けられる。コネクタ部8は、基板収容部17の径方向外側面に設けられる。コネクタ部8は、基板収容部17から、フロント側に突出する。コネクタ部8は回路基板40に接続され、例えば、外部電源が接続される。これにより、回路基板40は、コネクタ部8から供給された電力をステータ23に電力を供給する。
【0019】
図2に示すように、取付部18は、モータ収容部15およびポンプ収容部16の取付方向一方側(+Y側)に位置する。取付部18は、軸方向に延びている。取付部18は、モータ収容部15およびモータカバー12よりもリア側(-X側)に突出している。取付部18は、ポンプ収容部16およびポンプカバー13よりもフロント側(+X側)に突出している。
【0020】
取付部18は、取付部18を取付方向に貫通する貫通孔18a,18b,18cを有する。貫通孔18aは、取付部18のうちモータ収容部15およびモータカバー12よりもリア側(-X側)に突出する部分に設けられている。貫通孔18bおよび貫通孔18cは、取付部18のうちポンプ収容部16およびポンプカバー13よりもフロント側(+X側)に突出する部分に設けられている。貫通孔18bと貫通孔18cとは、鉛直方向に間隔を空けて並んで配置されている。各貫通孔18a,18b,18cには、機器Mに設けられた図示しないネジ穴に締め込まれるボルトBが、取付方向他方側(-Y側)から通される。本実施形態において取付部18は、3つのボルトBによって機器Mに取り付けられる。これにより、電動ポンプ100が機器Mに取り付けられる。電動ポンプ100は、機器Mに片持ち支持された状態で取り付けられる。
【0021】
取付部18の取付方向一方側(+Y側)の面は、機器Mに取り付けられる機器取付面19である。つまり、ハウジング10は、所定対象としての機器Mに取り付けられる機器取付面19を有する。機器取付面19は、ハウジング10の取付方向一方側の面である。機器取付面19は、径方向外側を向く面である。機器取付面19は、取付方向と直交している。本実施形態において機器取付面19は、鉛直方向および軸方向の両方と平行である。図3および図4に示すように、本実施形態において機器取付面19は、軸方向に延びている。図4に示すように、機器取付面19は、機器Mと接触する。より詳細には、機器取付面19は、機器Mの被取付面Maと接触する。被取付面Maは、取付方向他方側(-Y側)を向く面である。被取付面Maには、ボルトBが締め込まれる図示しないネジ穴が設けられている。
【0022】
図1に示すように、ハウジング本体11は、モータ収容凹部11aの内部とポンプ収容凹部11bの内部とを軸方向に繋ぐ第1貫通孔11dを有する。第1貫通孔11d内には、第1貫通孔11dの内周面と後述するシャフト21の外周面との間をシールするオイルシール24が保持されている。ハウジング本体11は、モータ収容凹部11aの内部と基板収容凹部11cの内部とを径方向に繋ぐ第2貫通孔11eを有する。
【0023】
モータ20は、モータ収容凹部11a内に収容されている。モータ20は、シャフト21を有するロータ22と、ステータ23と、第1ベアリング27および第2ベアリング28と、を有する。ロータ22は、軸方向に延びる中心軸Jを中心として回転可能である。シャフト21は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。シャフト21は、第1ベアリング27および第2ベアリング28によって中心軸J回りに回転可能に支持されている。本実施形態において第1ベアリング27および第2ベアリング28は、転がり軸受である。第1ベアリング27は、モータカバー12に保持されている。第2ベアリング28は、第1貫通孔11d内に保持されている。シャフト21のフロント側(+X側)の端部は、第1貫通孔11dを介してポンプ収容凹部11b内に突出し、ポンプ機構30に連結されている。ステータ23は、ロータ22の径方向外側に位置する。ステータ23は、モータ収容凹部11aの内周面に固定されている。ステータ23は、コイル23cを有する。
【0024】
ポンプ機構30は、ポンプ収容凹部11b内に収容されている。ポンプ機構30は、インナーロータ31と、アウターロータ32と、を有する。インナーロータ31は、シャフト21のうちポンプ収容凹部11b内に突出した部分に連結されている。これにより、ポンプ機構30は、ロータ22に連結されている。アウターロータ32は、インナーロータ31を囲む環状である。インナーロータ31とアウターロータ32とは、互いに噛み合っている。シャフト21によってインナーロータ31が回転させられることで、アウターロータ32も回転する。
【0025】
バスバーアッシー50は、モータ収容凹部11a内においてステータ23のリア側(-X側)に位置する。バスバーアッシー50は、バスバー51と、バスバーホルダ52と、を含む。バスバーホルダ52は、ステータ23のリア側に位置する。バスバー51は、バスバーホルダ52に保持されている。バスバー51の一部は、図示されない領域において、ステータ23のコイル23cに電気的に接続されている。バスバー51の一部は、第2貫通孔11eを通って、回路基板40まで延びており、回路基板40に電気的に接続されている。これにより、ステータ23は、バスバーを介して、回路基板40に電気的に接続されている。
【0026】
基板収容部17は、モータ収容部15およびポンプ収容部16の下側(径方向外側)に位置する。基板収容部17は、軸方向に延びている。基板収容部17のフロント側(+X側)の端部は、ポンプ収容部16およびポンプカバー13よりもフロント側に突出している。基板収容部17は、下側に開口する凹部からなる基板収容凹部11cと、取付面4と、周縁壁5と、を有する。基板収容凹部11cの内部には、回路基板40が収容されている。
【0027】
取付面4は、基板収容部17の下側の端部に設けられ、基板カバー14が取り付けられる面である。取付面4は、鉛直方向に見て、基板収容凹部11cの周囲を囲むように連続する環状である。上述のようにハウジング10はダイカストで成形されるが、取付面4は基板カバー14との密着性を向上させるべく、例えば、切削加工によって平坦化されている。
【0028】
回路基板40は、モータ20の径方向外側に位置する。本実施形態において回路基板40は、モータ20の下側に位置する。回路基板40は、基板収容部17と基板カバー14との鉛直方向の間に位置する。回路基板40は、板面が径方向を向く板状である。回路基板40の板面は、上側を向く上板面40aと、下側を向く下板面40bと、を含む。
【0029】
上板面40aおよび下板面40bは、取付面4と交差する方向に沿って配置されている。本実施形態において上板面40aおよび下板面40bは、取付面4と直交する取付方向に沿って配置されている。より詳細には、上板面40aおよび下板面40bは、取付方向および軸方向に広がっている。上板面40aと下板面40bとは、鉛直方向と直交する。図示は省略するが、上板面40aおよび下板面40bには、配線パターンが設けられている。
【0030】
回路基板40は、軸方向に延びる矩形板状である。本実施形態において回路基板40は、鉛直方向に見て、軸方向に沿った長辺と取付方向に沿った短辺とを有する角丸の長方形状である。回路基板40は、基板収容部17内に複数のネジ69で固定されている。
【0031】
図1および図2に示すように、回路基板40は、インバータ部41、マイコン42、トランジスタ43および電子部品49を含む。インバータ部41、マイコン42、トランジスタ43は、回路基板40の下板面40bに実装されている。インバータ部41は、複数の電界効果トランジスタ41aを含む。インバータ部41は、回路基板40に接続されたバスバー51を介して、ステータ23と電気的に接続される。マイコン42は、インバータ部41と電気的に接続される。マイコン42は、インバータ部41への通電を制御する。トランジスタ43は、例えば、逆接防止用の回路を構成するための電界効果トランジスタである。
【0032】
電子部品49は、回路基板40の上板面40aに実装されている。本実施形態において、電子部品49は、複数設けられている。本実施形態の電子部品49は、例えば、電解コンデンサを含む。
【0033】
周縁壁5は、取付面4の周縁に設けられ、中心軸Jから離れる方向(下側)に延びる。周縁壁5は、鉛直方向に見て、ハウジング本体11(基板収容部17)の下側の端部に合わせた外形形状を有する。
【0034】
基板カバー14は、ハウジング10の径方向外側に固定される。図2に示すように、基板カバー14は、基板収容部17に設けられた径方向外側に開口する基板収容凹部11cを塞ぐように基板収容部17の取付面4に固定される。
【0035】
基板カバー14は、例えば、金属板をプレス加工して構成される。基板カバー14は取付部分61を有する。取付部分61は、基板カバー14の外周縁部に周方向に連続して設けられる枠状の部位である。取付部分61は、取付面4に対向する上面(第1面)61aと、上面61aと反対を向く下面(第2面)61bと、上面61aおよび下面61bを鉛直方向に貫通する複数の貫通孔61cと、上面61aおよび下面61bに直交する側面61dと、を含む。
【0036】
本実施形態において、基板カバー14は、取付部分61の各貫通孔61cに挿入されたネジ68によって取付面4に固定される。取付面4は、鉛直方向に見て、基板収容凹部11cの周囲を囲むように連続する環状である。なお、取付面4には、基板カバー14を固定するネジ68を締め込むための複数のネジ穴4aが設けられている。
【0037】
本実施形態において、基板カバー14は、鉛直方向に見て、周縁壁5の内周面5aよりも一回り小さい外形形状を有する。そのため、基板カバー14が取付面4に取り付けられた状態において、周縁壁5と基板カバー14との間の少なくとも一部には隙間Sが生じている。具体的に周縁壁5の内周面5aと基板カバー14における取付部分61の側面61dとの間に隙間Sが生じている。
【0038】
シール材70は、基板収容部17と基板カバー14との間に配置される。本実施形態のシール材70は、液状のシール材料で構成される。液状のシール材料として、例えば、液体ガスケットが用いられる。図2では、図を見易くするため、取付面4上に塗布された状態のシール材70を図示しているが、図1および図3に示すように基板カバー14を基板収容部17に取り付けた状態では、取付面4と基板カバー14の取付部分61との間でシール材70が押し潰される。よって、図1および図3に示すように、シール材70の一部は、周縁壁5と基板カバー14との隙間Sに配置されている。
【0039】
シール材70は、第1部位71と第2部位72とを含む。第1部位71は、基板カバー14における取付部分61の上面61aと取付面4上との間に配置される部位である。第2部位72は、周縁壁5の内周面5aと基板カバー14における取付部分61の側面61dとの隙間Sに配置される部位である。本実施形態において、シール材70は、第2部位72の端面72aのみが外部に露出した状態とされる。なお、本実施形態において、第2部位72の端面72aは取付部分61の下面61bと面一とされるが、第2部位72の端面72aは取付部分61の下面61bよりも突出していてもよい。
【0040】
図3に示すように、中心軸Jから離れるZ軸に沿う鉛直方向において、周縁壁5の端面5bと取付部分61の下面61bとは面一となっている。つまり、周縁壁5における鉛直方向の高さ(取付面4からの突出量)は、シール材70の第1部位71の厚さと取付部分61の厚さとを合わせた大きさと等しい。
【0041】
本実施形態において、シール材70の第2部位72は隙間Sの全体に配置されている。つまり、シール材70の第2部位72は、取付部分61の側面61dの全体に亘って配置されている。
【0042】
従来の電動ポンプは、取り付けられる機器の使用環境によって、機器から伝ってくる水や路面から跳ねた水が付着する場合があった。通常、ハウジングにおけるカバーとの合わせ面は、カバーとの密着性を向上させるため、切削加工によって平坦化されている。一方、切削加工が施された合わせ面は水が付着することで錆びやすく、経時的に腐食するおそれがあった。そのため、従来の電動ポンプでは、ハウジングに付着した水がハウジングを覆うカバーとハウジングとの合わせ面に侵入することで合わせ面を腐食させる恐れがあった。
【0043】
本実施形態の電動ポンプ100によれば、シール材70の一部である第2部位72が周縁壁5と基板カバー14との隙間Sに配置される。そのため、本実施形態によれば、周縁壁5が設けられない構成に比べて、外面に露出するシール材70の端面72aから基板カバー14およびハウジング10の合わせ面(取付面4)までの距離が延びる。本実施形態の場合、シール材70は隙間Sの全体に配置されるため、シール材70の端面72aから取付面4までの距離がより長くなる。
これにより、電動ポンプ100に水が付着した場合でも、基板カバー14およびハウジング10の取付面4まで水が到達し難くなるので、取付面4の腐食を抑制することができる。また、取付面4の腐食が抑制されることで、基板カバー14がハウジング10に安定した状態で固定されるので、ハウジング10内への水分の侵入に起因する故障などの不具合の発生を抑制できる。
【0044】
本実施形態では、シール材70が液状のシール材料で構成されるので、シール材料を塗布した取付面4に基板カバー14を取り付けることで、シール材料を押し潰すことで、周縁壁5と基板カバー14との隙間Sにシール材70を簡便且つ安定的に配置することができる。よって、電動ポンプ100の組み立て性を向上させることができる。
【0045】
本実施形態では、周縁壁5の端面5bと取付部分61の下面61bとを面一とすることで、取付部分61の側面61dの全体を覆うようにシール材70が配置されるため、シール材70によるシール性を向上させることができる。
また、端面5bおよび下面61bが面一とされることで隙間Sを大きく確保できるので、基板カバー14の取り付け時に押し出されたシール材70を隙間Sに積極的に収容させることができる。これにより、隙間Sからシール材70がはみ出し難くなるので、基板カバー14と取付面4との間に配置するシール材70の厚みの管理が容易となる。よって、電動ポンプ100の組み立て性を向上させることができる。
また、周縁壁5の端面5bと取付部分61の下面61bとの位置がずれる構成に比べて、外面に露出するシール材70の表面積が少なくなる。これにより、例えば、比較的強い勢いで水がかかった場合においても、シール材70の剥がれを抑制することができる。よって、シール材70が剥がれたことに起因して取付面4に水が浸入し易くなるといった不具合の発生が抑制されるので、結果的に、取付面4の腐食が抑制される。
【0046】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態の電動ポンプについて説明する。なお、第1実施形態と共通の構成については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。本実施形態と第1実施形態との違いは基板カバー14の取付部分61に対する周縁壁5の高さであり、それ以外の構成は共通である。以下では、取付部分61に対する周縁壁5の高さの違いを主に説明する。
【0047】
本実施形態の電動ポンプ200では、中心軸Jから離れるZ軸に沿う鉛直方向において、図4に示すように、取付部分61の下面61bは、周縁壁5の端面5bよりも突出している。つまり、周縁壁5における鉛直方向の高さ(取付面4からの突出量)は、シール材70の第1部位71の厚さと取付部分61の厚さとを合わせた大きさよりも小さい。
本実施形態において、シール材70の第2部位72は隙間Sの全体に配置されている。なお、本実施形態において、第2部位72の端面72aは周縁壁5の端面5bと面一とされるが、第2部位72の端面72aは周縁壁5の端面5bよりも突出していてもよい。
【0048】
本実施形態の電動ポンプ200においても、シール材70の一部である第2部位72が周縁壁5と基板カバー14との隙間Sに配置されるため、外面に露出するシール材70の端面72aから基板カバー14およびハウジング10の合わせ面(取付面4)までの距離が延びる。
これにより、電動ポンプ200に水が付着した場合でも取付面4まで水が到達し難くなるので、取付面4の腐食を抑制できる。よって、取付面4の腐食が抑制されることで、ハウジング10内への水分の侵入に起因する故障などの不具合の発生を抑制できる。
【0049】
また、本実施形態によれば、取付部分61の下面61bが周縁壁5の端面5bよりも突出するため、端面5bと下面61bとを面一とする場合に比べて、周縁壁5と基板カバー14との隙間Sの全体にシール材70を配置し易くなる。そのため、シール材70が周縁壁5の端面5bよりも窪んだ状態に配置され難くなる。よって、例えば、基板カバー14が鉛直方向上側を向くように、電動ポンプ200が機器Mに取り付けられた場合でも、シール材70の窪みに水が溜まるといった不具合の発生を抑制できる。
また、周縁壁5の高さを抑えることで周縁壁5の機械的強度の低下が抑制される。これにより、例えば、電動ポンプ200の組み立て時、基板カバー14が接触することで多少の外力が加えられた場合でも、周縁壁5に曲がりや欠け等の発生を抑制できる。
【0050】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。
例えば、上記実施形態において電動ポンプは機器に対して鉛直方向と直交する方向に取り付けられたが、機器に対する電動ポンプの取り付け方向は特に限定されない。
また、上記実施形態において、回路基板は、モータの径方向外側に位置し、板面が径方向を向き、かつ、板面が取付面と交差する方向に沿って配置されるならば、どのように配置されてもよい。回路基板の板面は、取付面と直交する方向に対して傾いていてもよい。回路基板の板面は、鉛直方向と直交しなくてもよい。回路基板における固定部の数および位置は、特に限定されない。固定部が複数設けられる場合、複数の固定部は、回路基板の板面と直交する方向に見て電解コンデンサの少なくとも一部を挟む一対の固定部を含まなくてもよい。
【0051】
本発明が適用される電動ポンプの用途は、特に限定されない。電動ポンプによって送られる流体の種類は、特に限定されず、水などであってもよい。電動ポンプが取り付けられる所定対象は、どのような対象であってもよい。電動ポンプは、車両以外の機器に搭載されてもよい。電動ポンプは、鉛直方向に対して、どのように配置されていてもよい。電動ポンプのモータにおける中心軸は、鉛直方向と直交せずに鉛直方向に対して傾いた方向に延びてもよいし、鉛直方向と平行に延びてもよい。なお、本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0052】
4…取付面、5…周縁壁、5b…周縁壁の端面、10…ハウジング、11c…基板収容凹部、14…基板カバー、15…モータ収容部、16…ポンプ収容部、17…基板収容部、18…取付部、20…モータ、22…ロータ、30…ポンプ機構、40…回路基板、61…取付部分、61a…上面(第1面)、61b…下面(第2面)、70…シール材、100,200…電動ポンプ、J…中心軸、S…隙間。
図1
図2
図3
図4