(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156078
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】交通システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20221006BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20221006BHJP
B60Q 5/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 H
B60Q5/00 630B
B60Q5/00 660Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059593
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】彌本 一輝
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF14
5H181FF22
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】移動体に車両の接近情報を容易に報知することが可能な交通システムを提供する。
【解決手段】交通システムは、通信部を介して互いに通信可能な第1車両101と第2車両102とを有する。第1車両101は、第1車両101の周囲の外界状況を検出する移動体検出器1aと、移動体検出器1aにより検出された外界状況に基づいて移動体を認識する認識部と、第2車両102から認識部により認識された移動体までの距離が所定値以内となる接近リスクがあるか否かを判定する判定部と、判定部により接近リスクがあると判定されると、接近信号を出力する出力部と、を有する。第2車両102は、第2車両102の外部に対し警報を出力する警音器8と、出力部を介して出力された接近信号を、通信部を介して受信すると、警報を出力するように警音器8を制御する警報制御部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信部を介して互いに通信可能に構成された、第1車両と、前記第1車両から所定範囲内に位置する第2車両と、を有する交通システムであって、
前記第1車両は、
前記第1車両の周囲の外界状況を検出する検出部と、
前記検出部により検出された外界状況に基づいて移動体を認識する認識部と、
前記第2車両から前記認識部により認識された前記移動体までの距離が所定値以内となる接近リスクがあるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記接近リスクがあると判定されると、接近信号を出力する出力部と、を有し、
前記第2車両は、
前記第2車両の外部に対し警報を出力する警報部と、
前記出力部を介して出力された前記接近信号を、前記通信部を介して受信すると、警報を出力するように前記警報部を制御する警報制御部と、を有することを特徴とする交通システム。
【請求項2】
請求項1に記載の交通システムにおいて、
前記判定部は、前記認識部により認識された前記移動体のうち前記第2車両から死角となる領域に位置する前記移動体を対象として、前記接近リスクがあるか否かを判定することを特徴とする交通システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の交通システムにおいて、
前記判定部は、走行中の前記第2車両に前記移動体が接近中であるか否かを判定するとともに、接近中であると判定したときに、前記移動体が停止義務を負うか否かをさらに判定し、前記移動体が停止義務を負うと判定したにも拘わらず、前記移動体が停止義務を果たさないと判定されるとき、前記接近リスクがあると判定することを特徴とする交通システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の交通システムにおいて、
前記判定部は、走行中の前記第2車両に前記移動体が接近中であるか否かを判定するとともに、接近中であると判定したときに、前記第2車両の停止義務の有無を判定し、前記第2車両の停止義務がないときに、前記接近リスクがあると判定することを特徴とする交通システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の交通システムにおいて、
前記出力部は、前記第1車両と通信可能な複数の前記第2車両のうち、前記移動体に最も接近する第2車両に前記接近信号を出力することを特徴とする交通システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に対し警報を発する交通システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、狭帯通信エリア内に車両が進入すると、当該車両の情報を受信するとともに、既に存在している車両に対し、後方より車両が接近していることを通知するようにしたシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の装置は、通信機能を有する車両に対し、車両の接近状態を通知するものであり、通信機能を有しない車両等の移動体に対しては、接近状態を報知することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、通信部を介して互いに通信可能に構成された、第1車両と、第1車両から所定範囲内に位置する第2車両と、を有する交通システムであって、第1車両は、第1車両の周囲の外界状況を検出する検出部と、検出部により検出された外界状況に基づいて移動体を認識する認識部と、第2車両から認識部により認識された移動体までの距離が所定値以内となる接近リスクがあるか否かを判定する判定部と、判定部により接近リスクがあると判定されると、接近信号を出力する出力部と、を有し、第2車両は、第2車両の外部に対し警報を出力する警報部と、出力部を介して出力された接近信号を、通信部を介して受信すると、警報を出力するように警報部を制御する警報制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、移動体に車両の接近状態を容易に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る交通システムが想定する走行シーンの一例を示す図。
【
図2】本発明の実施形態に係る交通システムが適用される自動運転車両の車両制御システムの全体構成を概略的に示すブロック図。
【
図3】本発明の実施形態に係る交通システムを構成する第1車両および第2車両にそれぞれ設けられる車載装置の構成を示すブロック図。
【
図4A】検出車両としての第1車両のコントローラで実行される処理の一例を示すフローチャート。
【
図4B】報知車両としての第2車両のコントローラで実行される処理の一例を示すフローチャート。
【
図5】本発明の実施形態に係る交通システムが想定する走行シーンの第1の他の例を示す図。
【
図6】本発明の実施形態に係る交通システムが想定する走行シーンの第2の他の例を示す図。
【
図7】本発明の実施形態に係る交通システムが想定する走行シーンの第3の他の例を示す図。
【
図8】本発明の実施形態に係る交通システムが想定する走行シーンの第4の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図8を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る交通システムは、互いに通信可能な第1車両と第2車両とを含み、第1車両が検出した移動体の検出情報に基づいて、第2車両が警報を発生するように構成される。
【0009】
図1は、本実施形態に係る交通システムが想定する走行シーンの一例を示す図である。
図1では、第1道路RD1と第2道路RD2とが直交する十字路の交差点200が示される。交差点200には、第1道路RD1に面して第1道路RD1を走行する車両の交通を整理する第1信号機201Aが設置されるとともに、第2道路RD2に面して第2道路RD2を走行する車両の交通を整理する第2信号機201Bが設置される。
【0010】
第1信号機201Aおよび第2信号機201Bは、停止命令を示す赤色と、進行可能を示す青色と、安全な停止が困難なときの進行可能を示す黄色とに、所定の周期で順次切り換わるように構成される。すなわち、第1信号機201Aが青色および黄色のとき、第2信号機201Bは赤色であり、第1信号機201Aが赤色になると、第2信号機201Bが青色になるように構成される。なお、
図1では、第1信号機201Aが赤色で第2信号機201Bが青色である。
【0011】
互いに通信可能な第1車両101と第2車両102とは、それぞれ第1道路RD1上の交差点200の手前および第2道路RD2上の交差点200の手前に位置する。第1信号機201Aは赤色であるため、第1車両101は、交差点200の手前で停車しており、または、交差点200の手前で停車するように停車動作を開始する。これに対し、第2信号機201Bは青色であるため、第2車両102は、停車することなく交差点200を通過する。
【0012】
このような状況において、第1車両101に対向して第1道路RD1を走行中である他の車両103(対象車両と呼ぶ)が、第1信号機201Aが赤色であるにも拘わらず、誤って交差点200に進入する場合が考えられる。例えば対象車両103が手動運転車両であり、ドライバが、第1信号機201Aが赤色であることに気付かずに走行することがあり、この場合には、第2車両102と対象車両103とが急接近するおそれがある。特に、対象車両103が第2車両102から死角の領域に位置する場合には、第2車両102側から対象車両103を認識することができず、急接近の可能性が高い。このような場合に、第2車両102と対象車両103との急接近(接近リスクと呼ぶ)を回避することができるよう、本実施形態は以下のように交通システムを構成する。
【0013】
第1車両101と第2車両102とは、例えば自動運転車両により構成される。なお、第1車両101と第2車両102とを手動運転車両により構成することもできる。以下では、便宜上、第1車両101と第2車両102とが、機能的に同一の構成を有する自動運転車両であるとして、交通システムの構成を説明する。
【0014】
まず、自動運転車両の構成について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る交通システムが適用される自動運転車両(第1車両101および第2車両102)の車両制御システム100の全体構成を概略的に示すブロック図である。
図2に示すように、車両制御システム100は、コントローラ10と、コントローラ10にそれぞれ通信可能に接続された外部センサ群1と、内部センサ群2と、入出力装置3と、測位ユニット4と、地図データベース5と、ナビゲーション装置6と、通信ユニット7と、走行用のアクチュエータACとを主に有する。なお、自動運転車両は、自動運転モードでの走行だけでなく、手動運転モードでの走行も可能である。
【0015】
外部センサ群1は、自車両の周辺情報である外部状況を検出する複数のセンサ(外部センサ)の総称である。例えば外部センサ群1には、自車両の全方位の照射光に対する散乱光を測定して自車両から周辺の障害物までの距離を測定するライダ、電磁波を照射し反射波を検出することで自車両の周辺の他車両や障害物等を検出するレーダ、自車両に搭載され、CCDやCMOS等の撮像素子を有して自車両の周辺(前方、後方および側方)を撮像するカメラなどが含まれる。
【0016】
内部センサ群2は、自車両の走行状態を検出する複数のセンサ(内部センサ)の総称である。例えば内部センサ群2には、自車両の車速を検出する車速センサ、自車両の前後方向の加速度および左右方向の加速度(横加速度)をそれぞれ検出する加速度センサ、走行駆動源の回転数を検出する回転数センサ、自車両の重心の鉛直軸回りの回転角速度を検出するヨーレートセンサなどが含まれる。手動運転モードでのドライバの運転操作、例えばアクセルペダルの操作、ブレーキペダルの操作、ステアリングホイールの操作等を検出するセンサも内部センサ群2に含まれる。
【0017】
入出力装置3は、ドライバから指令が入力されたり、ドライバに対し情報が出力されたりする装置の総称である。例えば入出力装置3には、操作部材の操作によりドライバが各種指令を入力する各種スイッチ、ドライバが音声で指令を入力するマイク、ドライバに表示画像を介して情報を提供するディスプレイ、ドライバに音声で情報を提供するスピーカなどが含まれる。
【0018】
測位ユニット(GNSSユニット)4は、測位衛星から送信された測位用の信号を受信する測位センサを有する。測位衛星は、GPS衛星や準天頂衛星などの人工衛星である。測位ユニット4は、測位センサが受信した測位情報を利用して、自車両の現在位置(緯度、経度、高度)を測定する。
【0019】
地図データベース5は、ナビゲーション装置6に用いられる一般的な地図情報を記憶する装置であり、例えばハードディスクや半導体素子により構成される。地図情報には、道路の位置情報、道路形状(曲率など)の情報、交差点や分岐点の位置情報が含まれる。なお、地図データベース5に記憶される地図情報は、コントローラ10の記憶部12に記憶される高精度な地図情報とは異なる。
【0020】
ナビゲーション装置6は、ドライバにより入力された目的地までの道路上の目標経路を探索するとともに、目標経路に沿った案内を行う装置である。目的地の入力および目標経路に沿った案内は、入出力装置3を介して行われる。目標経路は、測位ユニット4により測定された自車両の現在位置と、地図データベース5に記憶された地図情報とに基づいて演算される。外部センサ群1の検出値を用いて自車両の現在位置を測定することもでき、この現在位置と記憶部12に記憶された高精度な地図情報とに基づいて目標経路を演算するようにしてもよい。
【0021】
通信ユニット7は、インターネット網や携帯電話網等に代表される無線通信網を含むネットワークを介して図示しない各種サーバと通信し、地図情報、他車両の走行履歴情報および交通情報などを定期的に、あるいは任意のタイミングでサーバから取得する。他車両の走行履歴情報を取得するだけでなく、通信ユニット7を介して自車両の走行履歴情報をサーバに送信するようにしてもよい。ネットワークには、公衆無線通信網だけでなく、所定の管理地域ごとに設けられた閉鎖的な通信網、例えば無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等も含まれる。通信ユニット7を介して他車両と通信、すなわち車車間通信することもでき、これにより他車両が有する情報を取得する、および他車両に情報を提供することができる。
【0022】
アクチュエータACは、自車両の走行を制御するための走行用アクチュエータである。走行駆動源がエンジンである場合、アクチュエータACには、エンジンのスロットルバルブの開度(スロットル開度)を調整するスロットル用アクチュエータが含まれる。走行駆動源が走行モータである場合、走行モータがアクチュエータACに含まれる。自車両の制動装置を作動するブレーキ用アクチュエータと転舵装置を駆動する転舵用アクチュエータもアクチュエータACに含まれる。
【0023】
コントローラ10は、電子制御ユニット(ECU)により構成される。より具体的には、コントローラ10は、CPU(マイクロプロセッサ)等の演算部11と、ROM,RAM等の記憶部12と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。なお、エンジン制御用ECU、走行モータ制御用ECU、制動装置用ECU等、機能の異なる複数のECUを別々に設けることができるが、
図2では、便宜上、これらECUの集合としてコントローラ10が示される。
【0024】
記憶部12には、高精度の詳細な道路地図情報が記憶される。道路地図情報には、道路の位置情報、道路形状(曲率など)の情報、道路の勾配の情報、交差点や分岐点の位置情報、車線数の情報、車線の幅員および車線毎の位置情報(車線の中央位置や車線位置の境界線の情報)、地図上の目印としてのランドマーク(信号機、標識、建物等)の情報、路面の凹凸などの路面プロファイルの情報が含まれる。記憶部12に記憶される地図情報には、通信ユニット7を介して取得した自車両の外部から取得した地図情報と、外部センサ群1の検出値あるいは外部センサ群1と内部センサ群2との検出値を用いて自車両自体で作成される地図情報とが含まれる。
【0025】
演算部11は、機能的構成として、自車位置認識部13と、外界認識部14と、行動計画生成部15と、走行制御部16とを有する。
【0026】
自車位置認識部13は、測位ユニット4で得られた自車両の位置情報および地図データベース5の地図情報に基づいて、地図上の自車両の位置(自車位置)を認識する。記憶部12に記憶された地図情報と、外部センサ群1が検出した自車両の周辺情報とを用いて自車位置を認識してもよく、これにより自車位置を高精度に認識することができる。なお、道路上や道路脇の外部に設置されたセンサで自車位置を測定可能であるとき、そのセンサと通信ユニット7を介して通信することにより、自車位置を認識することもできる。
【0027】
外界認識部14は、ライダ、レーダ、カメラ等の外部センサ群1からの信号に基づいて自車両の周囲の外部状況を認識する。例えば自車両の周辺を走行する周辺車両(前方車両や後方車両)の位置や速度や加速度、自車両の周囲に停車または駐車している周辺車両の位置、および他の物体の位置や状態などを認識する。他の物体には、標識、信号機、道路の区画線や停止線等の標示、建物、ガードレール、電柱、看板、歩行者、自転車等が含まれる。他の物体の状態には、信号機の色(赤、青、黄)、歩行者や自転車の移動速度や向きなどが含まれる。
【0028】
行動計画生成部15は、例えばナビゲーション装置6で演算された目標経路と、記憶部12に記憶された地図情報と、自車位置認識部13で認識された自車位置と、外界認識部14で認識された外部状況とに基づいて、現時点から所定時間先までの自車両の走行軌道(目標軌道)を生成する。目標経路上に目標軌道の候補となる複数の軌道が存在するときには、行動計画生成部15は、その中から法令を順守し、かつ効率よく安全に走行する等の基準を満たす最適な軌道を選択し、選択した軌道を目標軌道とする。そして、行動計画生成部15は、生成した目標軌道に応じた行動計画を生成する。行動計画生成部15は、先行車両を追い越すための追い越し走行、走行車線を変更する車線変更走行、先行車両に追従する追従走行、走行車線を逸脱しないように車線を維持するレーンキープ走行、減速走行または加速走行等に対応した種々の行動計画を生成する。行動計画生成部15は、目標軌道を生成する際に、まず走行態様を決定し、走行態様に基づいて目標軌道を生成する。
【0029】
走行制御部16は、自動運転モードにおいて、行動計画生成部15で生成された目標軌道に沿って自車両が走行するように各アクチュエータACを制御する。より具体的には、走行制御部16は、自動運転モードにおいて道路勾配などにより定まる走行抵抗を考慮して、行動計画生成部15で算出された単位時間毎の目標加速度を得るための要求駆動力を算出する。そして、例えば内部センサ群2により検出された実加速度が目標加速度となるようにアクチュエータACをフィードバック制御する。すなわち、自車両が目標車速および目標加速度で走行するようにアクチュエータACを制御する。なお、手動運転モードでは、走行制御部16は、内部センサ群2により取得されたドライバからの走行指令(ステアリング操作等)に応じて各アクチュエータACを制御する。
【0030】
本実施形態に係る交通システムは、車両制御システム100の一部である車載装置により構成される。第1車両101および第2車両102の車載装置の構成は、互いに同一である。
図3は、第1車両101および第2車両102にそれぞれ設けられる車載装置50の構成を示すブロック図である。
【0031】
図3に示すように、車載装置50は、コントローラ10と、移動体検出器1aと、通信ユニット7と、警音器8とを有する。
【0032】
移動体検出器1aは、自車両の周囲の移動体を検出する検出器であり、例えばレーダ、ライダ、カメラのいずれか1つ、あるいはこれら複数の機器を複合的に用いて構成される。移動体検出器1aは、
図1の外部センサ群1の一部を構成する。移動体検出器1aにより検出される移動体は、
図1の対象車両103や自転車、歩行者などである。
【0033】
通信ユニット7は、互いに所定距離内に位置する自車両と他車両との間で車車間通信が可能となるように構成される。これにより
図1の第1車両101と第2車両102とが車車間通信可能となる。なお、対象車両103は、移動体検出器1aおよび車車間通信が可能な通信ユニット7のいずれも有していない。警音器(警笛)8は、周囲に注意を喚起するため、自車両の外部に対し警報音を発生するように構成される。
【0034】
コントローラ10は、演算部11(
図2)が担う機能的構成として、移動体認識部171と、接近判定部172と、出力部173と、警報制御部174とを有する。移動体認識部171と接近判定部172と出力部173とは、例えば
図2の外界認識部14により構成され、警報制御部174は、例えば走行制御部16により構成される。
【0035】
本実施形態では、
図1に示すように、第1車両101が対象車両103を検出し、第2車両102が警報を出力する。このような状況において、第1車両101を検出車両、第2車両102を報知車両と呼ぶことがある。すなわち、交差点200で停車中の第1車両101を検出車両、走行中の第2車両102を報知車両と呼ぶ。移動体認識部171と接近判定部172と出力部173とは、検出車両(第1車両101)が担う機能であり、警報制御部174は、報知車両(第2車両102)が担う機能である。
【0036】
移動体認識部171は、移動体検出器1aからの信号に基づいて自車両の周囲の移動体を認識する。例えば第1車両101の移動体認識部171は、移動体検出器1aからの信号に基づいて対象車両103を認識する。
【0037】
接近判定部172は、移動体認識部171により認識された移動体(対象車両103)と、走行中の他の車両(第2車両102)との間で接近リスクがあるか否か、すなわち走行中の他の車両から移動体までの距離が所定距離内となるおそれがあるか否かを判定する。所定距離は、例えば0である(第1基準値)。この場合には他の車両と移動体との衝突の可能性があるか否かの判定となる。所定距離は、0より大きい値、例えば衝突を回避するために他の車両の急ブレーキや急ハンドルが必要となる値であってもよい(第2基準値)。所定距離は、急ブレーキや急ハンドルが必要とはならないが、他の車両と移動体とが所定程度接近するような値であってもよい。例えば、他の車両の警音器から発せられた警報音を移動体のドライバが認識可能な値であってもよい(第3基準値)。以下では、便宜上、所定距離が第1基準値または第2基準値に定められたものとして説明する。
【0038】
第1車両101の接近判定部172は、接近リスクの有無の判定にあたり、まず、移動体検出器1aからの信号に基づき、または車車間通信により、第1車両101に対する第2車両102の相対位置を認識するとともに、移動体検出器1aからの信号に基づき、第2車両102に接近する対象車両103を認識する。具体的には、車車間通信により取得した第2車両102の現在位置と車速とから第2車両102が交差点200に進入してから交差点200を通過するまでの時間を算出し、さらに移動体検出器1aからの信号に基づいて対象車両103の車速を算出する。そして、第2車両102が交差点200に進入してから通過するまでの時間内に、対象車両103が交差点200に進入すると予測されると、接近リスクがあると判定する。
【0039】
第1車両101だけでなく第2車両102も移動体検出器1aを有する。このため、第2車両102自体が移動体(対象車両103)を認識できるときには、第1車両101が対象車両103を認識する必要はない。したがって、第1車両101の接近判定部172は、移動体検出器1aからの信号に基づいて、対象車両103が第2車両102にとって死角となる領域に位置するか否かを判定し、第2車両102から死角となる領域に位置する対象車両103について、接近リスクの有無を判定するようにしてもよい。例えば交差点200の角に建物が存在することにより、第2車両102の移動体検出器1aにより対象車両103を検出できない状況であるとき、第1車両101の接近判定部172が、接近リスクの有無を判定するようにしてもよい。これにより移動体認識部171により認識された全ての移動体に対し接触の有無を判定する必要がなく、コントローラ10の処理負荷を低減できる。
【0040】
接近判定部172は、走行中の第2車両102に対象車両103が接近中であるか否かを判定するとともに、接近中であると判定したときに、対象車両103が停止義務を負うか否かをさらに判定するようにしてもよい。例えば
図1に示すように、対象車両103が走行する第1道路RD1に面して設置された第1信号機201Aが赤色であるか否かを、第1車両101の車載カメラの画像などから判定するようにしてもよい。そして、第1信号機201Aが赤色で、対象車両103が停止義務を負うにも拘わらず、対象車両103が停止義務を果たさないと判定されるとき、接近リスクがあると判定するようにしてもよい。この場合、対象車両103が赤信号の交差点200に接近したにも拘わらず減速しないあるいは減速が不十分であることを、移動体検出器1aからの信号に基づいて認識したとき、対象車両103が信号無視して交差点200に進入するおそれがあると判定し、この場合に、接近リスクがあると判定するようにしてもよい。
【0041】
換言すると、接近判定部172は、走行中の第2車両102に対象車両103が接近中であるか否かを判定するとともに、接近中であると判定したときに、第2車両102の停止義務の有無、すなわち第2信号機201Bが青色であるか否かを判定するようにしてもよい。そして、第2車両102の停止義務がないとき(第2信号機201Bが青色であるとき)に、第2車両102と対象車両103との接近リスクがあると判定するようにしてもよい。
【0042】
出力部173は、接近判定部172により第2車両102と対象車両103との接近リスクがあると判定されると、所定のタイミングで接近信号を出力する。例えば通信ユニット7を介して第2車両102の位置を把握し、交差点200から第2車両102までの距離が所定距離内になったときに、接近信号を出力する。出力部173から出力された接近信号は、通信ユニット7を介して第2車両102のコントローラ10に送信される。
【0043】
第2車両102の警報制御部174は、第1車両101からの接近信号を受信すると、その直後に警報を出力するように警音器8を制御する。これにより、交差点200に接近中の対象車両103のドライバに対し警告することができる。その結果、ドライバは第1信号機201Aが赤色であることに気付いて交差点200の手前で減速して停車するようになり、第2車両102と対象車両103との接触や、第2車両102の急ブレーキなどを回避することができる。
【0044】
図4Aは、検出車両としての第1車両101のコントローラ10で実行される処理、すなわち移動体認識部171と接近判定部172と出力部173とにおける処理の一例を示すフローチャートである。
図4Bは、報知車両としての第2車両102のコントローラ10で実行される処理、すなわち警報制御部174で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図4A,
図4Bの処理は、それぞれ例えば電源スイッチのオンにより開始され、所定周期で繰り返される。
【0045】
図4Aに示すように、まず、ステップS1で、自車両(第1車両101)の移動体検出器1aからの信号を読み込むととともに、通信ユニット7を介して自車両の周囲の他車両(第2車両102)からの信号を読み込む。次いで、ステップS2で、移動体検出器1aからの信号に基づいて自車両の周囲に移動体(車両や人)が検出されたか否かを判定する。例えば第1車両101の周囲に対象車両103が位置するか否かを判定する。ステップS2で肯定されるとステップS3に進み、否定されるとステップS3~ステップS5をパスして処理を終了する。
【0046】
ステップS3では、通信ユニット7を介した車車間通信により自車両の周囲の他車両の位置および移動方向を把握し、移動体(対象車両103)の進行方向とは異なる方向から移動体に接近する方向へ移動する所定の他車両(第2車両102)が存在するか否かを判定する。これは接近リスクの対象となる他車両が存在するか否かの判定である。ステップS3で肯定されるとステップS4に進み、否定されるとステップS4、ステップS5をパスして処理を終了する。
【0047】
ステップS4では、ステップS2で検出された移動体(対象車両103)とステップS3で検出された所定の他車両(第2車両102)との接近リスクの有無を判定する。この場合、まず、ステップS2で検出された移動体(対象車両103)に、停止義務があるか否かを判定する。この判定は、例えば自車両(第1車両101)のカメラ画像に基づいて行う。すなわち、移動体の前方の信号機が赤色である場合や、移動体の前方に一時停止の標識がある場合には、停止義務があると判定する。
【0048】
次いで、移動体(対象車両103)が停止義務に違反するおそれがあるか否かを予測(判定)する。例えば、移動体検出器1aからの信号に基づいて移動体の車速を検出し、停止義務地点(停止線)よりも手前の所定地点で、車速が所定値以上である場合に、停止義務に違反するおそれがあると判定する。すなわち、移動体が停止義務地点で停止する場合には、それよりも手前で徐々に減速すると考えられるため、移動体が減速しない場合には、停止義務に違反するおそれがあると判定する。
【0049】
さらに、車車間通信により得られた所定の他車両(第2車両102)の現在位置と車速とに基づいて、その他車両が交差点200に進入してから交差点200を通過するまでの時間(通過時間)を算出するとともに、移動体の車速に基づいて、通過時間内に移動体が交差点200に進入するか否かを算出する。交差点200の所定距離手前を起点として通過時間を算出してもよい。通過時間内に移動動体が交差点200に進入すると判定すると、接近リスクがあると判定する。ステップS4で肯定されるとステップS5に進み、否定されると処理を終了する。
【0050】
ステップS5では、ステップS3で検出された所定の他車両、すなわち、移動体との接近リスクがあると判定された他車両(第2車両102)に、車車間通信を介して接近信号を送信し、処理を終了する。
【0051】
図4Bに示すように、ステップS11では、所定の他車両(第2車両102)が、車車間通信を介して接近信号を受信したか否かを判定する。ステップS11で肯定されるとステップS12に進み、否定されると処理を終了する。ステップS12では、警音器8に制御信号を出力し、警音器8を作動する。これにより所定の他車両から周囲に警報音が発せられ、移動体のドライバに対し注意を喚起することができる。
【0052】
本実施形態の動作をまとめると以下のようになる。
図1に示すように、交差点200の第1信号機201Aが赤色であるとき、交差点200の最前部に停車している第1車両101は、移動体検出器1aからの信号により、対向車線(第1道路RD1)を走行する対象車両103の接近を認識する(ステップS2)。このとき、第1車両101は、移動体検出器1aからの信号により、または車車間通信により、第2道路RD2を走行して交差点200に接近する第2車両102も認識する(ステップS3)。
【0053】
このとき、対象車両103が停止義務に違反して交差点200を直進すると、対象車両103と第2車両102とが急接近するおそれがある。このような接近リスクがあるとき、第1車両101は第2車両102に車車間通信を介して接近信号を送信する(ステップS5)。第2車両102は、接近信号を受信すると、警音器を作動する(ステップS12)。これにより、対象車両103のドライバに、前方が赤信号であること、および、第2道路RD2から第2車両102が接近していることを気付かせることができる。その結果、対象車両103が第2車両102に急接近することを、回避することができる。
【0054】
なお、
図1では、検出車両としての第1車両101の移動体認識部171が、第1車両101の前方から交差点200に接近する対象車両103を認識する例を示したが、移動体認識部171は、他の位置の対象車両103を認識することもできる。
図5は、その一例を示す図である。
図5では、第1車両101が対象車両103の後方を走行する例を示す。この場合も、移動体認識部171は、接近リスクの有無の判定の対象となる対象車両103、すなわち第1車両101と同方向に走行する第1車両101を認識する。したがって、対象車両103が赤信号で停車せずに、第2車両102との接近リスクがあると判定されると、第2車両102から警報音が発せられる。
【0055】
図1では、交差点200に向けて1台の第2車両102が走行する例を示したが、複数台の第2車両102が、交差点200に向けて走行する場合もある。
図6は、その一例を示す図である。
図6では、第2道路RD2を走行する、第1車両101と車車間通信が可能な2台の第2車両102が示される。なお、
図6には、第1車両101との車車間通信が不能な、または車車間通信を行わない、他の車両104も示される。このように複数の第2車両102が存在する場合、第1車両101の出力部173は、車車間通信により得られたそれぞれの第2車両102の位置に基づいて、それぞれの第2車両102から対象車両103までの距離を算出し、対象車両103に最も接近する第2車両102に対し、接近信号を出力する。これにより、対象車両103の近くで警報音が発生するため、対象車両103のドライバは、警報音を気付きやすい。
【0056】
第2車両102が警報音を発生する報知車両として機能するのは、第2車両102から交差点200までの間に他の車両が存在しないときである。例えば
図7に示す例では、第1車両101と車車間通信が可能な、第2道路RD2を走行中の2台の第2車両102が存在する。しかし、いずれの第2車両102の前方にも、第2車両102と交差点200との間に他の車両104が存在する。この場合には、車車間通信を介して第1車両101から第2車両102に接近信号が送信されることはなく、このため第2車両102から警報音は発せられない。これにより、第2車両102の前方を走行する他の車両104のドライバに対し、警報音の発生によって不快感を与えること、および警報音の発生によって混乱を生じさせることを防止することができる。
【0057】
但し、第2車両102から交差点200までの間に他の車両104が存在する場合であっても、
図7に示すように、第1車両101自体が交差点200の最前部で停車しているとき、第1車両101の警音器8から警報音を発生させるようにしてもよい。すなわち、第1車両101の接近判定部172が、移動体検出器1aからの信号に基づいて、第2車両102の前方かつ交差点200の手前に他の車両104が存在するか否かを判定するとともに、自車両が交差点200の最前部に位置するか否かを判定し、他の車両104が存在すると判定し、かつ、自車両が交差点200の最前部に位置すると判定すると、自車両(第1車両101)の警報制御部174が警音器8を作動するようにしてもよい。これにより、対象車両103のドライバに対し警告することができる。
【0058】
なお、上記実施形態では、第2車両102に対する接近リスクの対象である移動体が、車両(対象車両103)である例を説明したが、移動体は車両以外であってもよい。
図8は、移動体が歩行者105である場合の一例を示す図である。
図8では、第1車両101が停車しており、その前方を歩行者105が飛び出す例が示される。このとき、検出車両としての第1車両101の移動体認識部171は、移動体検出器1aからの信号に基づいて歩行者105を認識するとともに、接近判定部172が、歩行者105と第2車両102との接近リスクがあるか否かを判定する。そして、接近リスクがあると判定すると、第1車両101の出力部173は、車車間通信を介して第2車両102に接近信号を送信する。これにより、第2車両102の警報制御部174が警音器8を作動し、歩行者105に向けて警報音を発することができる。
【0059】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態に係る交通システムは、通信部としての通信ユニット7を介して互いに通信可能な第1車両101と、第1車両101から所定範囲内に位置する第2車両102、すなわち第1車両101が交差点200で停車中のとき、交差点200から所定距離内に位置する第2車両102と、を有する(
図1)。第1車両101は、第1車両101の周囲の外界状況を検出する移動体検出器1aと、移動体検出器1aにより検出された外界状況に基づいて移動体(対象車両103、歩行者105)を認識する移動体認識部171と、第2車両102から移動体認識部171により認識された移動体までの距離が所定値以内となる接近リスクがあるか否かを判定する接近判定部172と、接近判定部172により接近リスクがあると判定されると、接近信号を出力する出力部173と、を有する(
図3)。第2車両102は、第2車両102の外部に対し警報音を発生する警音器8と、第1車両101の出力部173を介して出力された接近信号を、通信ユニット7を介して受信すると、警報音を発生するように警音器8を制御する警報制御部174と、を有する(
図3)。
【0060】
この構成により、車車間通信を行う通信機能を有しない対象車両103や歩行者105等の移動体に向けて、第2車両102が警報音を発生することで、車両(第2車両102)の接近状態を移動体に容易に報知することができる。このため、例えば赤信号を気付かずに走行している対象車両103のドライバに、信号状態を報知することができ、簡易な構成で、安全運転を推進するような交通システムを提供できる。
【0061】
(2)接近判定部172は、移動体認識部171により認識された移動体のうち第2車両102から死角となる領域に位置する移動体を対象として、接近リスクがあるか否かを判定する(
図1)。そもそも第2車両102が、自己が有する移動体検出器1aに基づいて移動体を認識できれば、車車間通信を介して第1車両101から移動体の接近情報を取得する必要がない。このため、第2車両102から死角となる領域に移動体が位置するときに、その移動体についての接近情報を第1車両101から取得することで、第1車両101からの情報取得を抑制することができる。
【0062】
(3)接近判定部172は、走行中の第2車両102に移動体が接近中であるか否かを判定するとともに、接近中であると判定したときに、移動体が停止義務を負うか否か(例えば移動体の前方が赤信号であるか否か)をさらに判定する(
図1)。そして、移動体が停止義務を負うと判定したにも拘わらず、移動体が停止義務を果たさないと判定されるとき、接近リスクがあると判定する。これにより、接近リスクの有無を良好に判定することができ、第2車両102からの不要な警報音の発生を防止することができる。
【0063】
(4)接近判定部172は、走行中の第2車両102に移動体が接近中であるか否かを判定するとともに、接近中であると判定したときに、第2車両102の停止義務の有無を判定するようにしてもよい。例えば第2車両102の走行する第2道路RD2が青信号であるか否かを判定するようにしてもよい(
図1)。そして、第2車両102の停止義務がないときに、接近リスクがあると判定するようにしてもよい。これによっても、接近リスクの有無を良好に判定することができる。
【0064】
(5)出力部173は、第1車両101と通信可能な複数の第2車両102があるとき、そのうち、移動体に最も接近する第2車両102に接近信号を出力する(
図6)。これにより、対象車両103のドライバは、警報音に気付きやすい。
【0065】
上記実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、カメラ、レーダ、ライダ等の移動体検出器1aにより第1車両101の周囲の外界状況を検出するようにしたが、検出部の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、移動体検出器1aからの信号により移動体認識部171が移動体を認識するようにしたが、認識部が他の移動体を認識するようにしてもよく、認識部の構成は上述したものに限らない。
【0066】
上記実施形態では、第1車両101の出力部173から接近信号が出力されると、第2車両102(
図7に示すように場合によっては第1車両101)の警報制御部174が警音器8に制御信号を出力して警報音を発生するようにしたが、警報部の構成はこれに限らない。例えば第2車両に設けられた前照灯などの灯体を作動して警報を発生するようにしてもよい。すなわち、移動体に第2車両の接近を気付かせることができるのであれば、警報部の構成は上述したものに限らず、警報部を制御する警報制御部の構成も上述したものに限らない。
【0067】
上記実施形態では、信号機201の色に基づいて対象車両103に停止義務があるか否かを判定し、これに基づいて移動体と第2車両との接近リスクがあるか否かを判定するようにしたが、他の構成により接近リスクの有無を判定するようにしてもよい。例えば一時停止の標識があるか否かにより停止義務があるか否かを判定し、これに基づいて接近リスクの有無を判定するようにしてもよい。すなわち、第2車両102から移動体までの距離が所定値以内となる接近リスクがあるか否かを判定するのであれば、判定部の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、距離の所定値として第1基準値または第2基準値を用いたが、第3基準値を用いてもよい。すなわち、移動体が第2車両と衝突するおそれはないにしろ、移動体が停止義務に反するおそれがあることを報知するために、警報を発するようにしてもよい。
【0068】
上記実施形態では、第1車両101および第2車両102の両方を自動運転車両として交通システムを構成したが、第1車両および第2車両の一方または両方が、運転支援機能を有するまたは有しない手動運転車両であってもよい。すなわち、本発明は手動運転車両を前提とした交通システムに対しても同様に適用することができる。
【0069】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0070】
1a 移動体検出器、7 通信ユニット、8 警音器、10 コントローラ、101 第1車両、102 第2車両、103 対象車両、105 歩行者、171 移動体認識部、172 接近判定部、173 出力部、174 警報制御部