(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156092
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/18 20060101AFI20221006BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20221006BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20221006BHJP
H01M 50/251 20210101ALI20221006BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20221006BHJP
【FI】
H05K7/18 B
H05K7/20 H
H05K7/18 K
H01M50/244 A
H01M50/251
H01M50/204 401Z
H01M50/204 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059610
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勤
(72)【発明者】
【氏名】山本 和裕
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 信行
【テーマコード(参考)】
5E322
5H040
【Fターム(参考)】
5E322BA01
5E322BB03
5E322BC01
5E322EA10
5E322EA11
5H040AA32
5H040AS01
5H040AY08
5H040AY12
5H040CC33
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】保持部の内側に浸入した雨水等の液体を外側に排出する。
【解決手段】保持装置としての電力装置10は、物品であるバッテリ12を保持する。電力装置10は、バッテリ12を挿抜可能に保持する保持部としてのスロット20を有する筐体14を備える。この場合、スロット20は、底部34を有する有底状に形成されている。また、スロット20は、スロット20の内側と外側とを連通する連通路90を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保持する保持装置であって、
前記物品を挿抜可能に保持する保持部を有する筐体を備え、
前記保持部は、底部を有する有底状に形成され、前記保持部の内側と外側とを連通する連通路を有する、保持装置。
【請求項2】
請求項1記載の保持装置において、
前記保持部の前記底部の反対側には、前記物品を挿抜するための開口部が設けられ、
前記保持部の前記底部側の端部は、前記保持部の前記開口部側の端部よりも低い位置に配置される、保持装置。
【請求項3】
請求項2記載の保持装置において、
前記保持部は、前記内側と前記外側とを連通する他の連通路を有し、
前記連通路の上端は、前記他の連通路の下端よりも低い位置に配置される、保持装置。
【請求項4】
請求項3記載の保持装置において、
前記他の連通路よりも前記外側に配置される送風器をさらに備え、
前記他の連通路は、前記送風器から前記内側に送られる風、又は、前記内側から前記送風器に送られる風が通過するように設けられる、保持装置。
【請求項5】
請求項4記載の保持装置において、
前記他の連通路は、前記底部に設けられ、
前記送風器は、前記底部の前記外側に配置される、保持装置。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1項に記載の保持装置において、
前記保持部は、前記物品を検出する検出部を有し、
前記連通路は、前記検出部よりも低い位置に配置される、保持装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の保持装置において、
前記保持部は、前記底部から前記物品の挿抜方向に延出し、前記保持部に挿入された前記物品を囲繞する側方部を有する、保持装置。
【請求項8】
請求項7記載の保持装置において、
前記保持部は、前記底部側を構成する第1部材と、前記側方部側を構成する第2部材とを有する、保持装置。
【請求項9】
請求項8記載の保持装置において、
前記連通路は、
前記第1部材の前記底部の前記内側で凹設された第1連通路と、
前記第1連通路と連通して前記外側に開口するように設けられた第2連通路と、
を有する、保持装置。
【請求項10】
請求項9記載の保持装置において、
前記保持部は、前記側方部から前記底部に向かって下方に傾斜するように前記筐体に設けられ、
前記第2連通路は、前記底部の下端に設けられるか、又は、前記底部の前記第1連通路よりも上方の位置に設けられる、保持装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の保持装置において、
前記筐体は、前記内側から前記連通路を介して前記外側に排出された排出物を受ける受け部を有する、保持装置。
【請求項12】
請求項11記載の保持装置において、
前記筐体の内部に設けられ、前記保持部を固定する骨格を備え、
前記骨格は、前記排出物が移動する排出路を有し、
前記受け部は、前記骨格に配置されるか、又は、前記骨格と前記連通路とに掛け渡されるように配置される、保持装置。
【請求項13】
請求項12記載の保持装置において、
前記骨格は、
鉛直方向に延在するように配置される複数の鉛直骨格と、
複数の前記鉛直骨格を相互に繋ぐように設けられ、且つ、水平方向に延在するように配置される複数の水平骨格と、
を有し、
前記排出路は、前記鉛直骨格及び前記水平骨格に設けられる、保持装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の保持装置において、
前記保持部は、前記連通路に配置される濾過部材を有する、保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を保持する保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蓄電池を収容する収容装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、収容装置等の保持装置において、蓄電池等の物品を挿抜可能に保持する場合、物品を保持する保持部には、外部から雨水等の液体が入り込みやすい。特許文献1には、保持部の内側に浸入した液体を外側に排出する機構について検討されていないため、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、保持部の内側に浸入した雨水等の液体を外側に排出することができる保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、物品を保持する保持装置であって、前記物品を挿抜可能に保持する保持部を有する筐体を備え、前記保持部は、底部を有する有底状に形成され、前記保持部の内側と外側とを連通する連通路を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、保持部の内側に浸入した雨水等の液体を、連通路を介して外側に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る電力装置の外観斜視図である。
【
図3】
図2のスロット及びフレームの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る保持装置について好適な実施形態を例示し、添付の図面を参照しながら説明する。
【0010】
[1.本実施形態の全体構成]
図1は、本実施形態に係る電力装置10(保持装置)の外観斜視図である。
【0011】
電力装置10は、その内部に複数のバッテリ12(物品)を収容して保持し、複数のバッテリ12の充電を行う充電装置である。また、複数のバッテリ12のうち、少なくとも1つのバッテリ12は、電力装置10に対して着脱可能なモバイルバッテリである。すなわち、電力装置10は、残容量(SOC)が少なくなったモバイルバッテリを預け、充電が完了した別のモバイルバッテリを受け取るバッテリ交換機として利用可能である。なお、電力装置10は、複数のバッテリ12に蓄電されている電力を外部に出力する放電装置としても利用可能である。
【0012】
バッテリ12の上面12aにはハンドル12bが設けられている。ユーザは、ハンドル12bを把持して、スロット20(保持部)に対してバッテリ12の挿抜を行う。バッテリ12の側面は、略平面状に形成されている。
【0013】
電力装置10は、略直方体形状の筐体14を有する。筐体14の前面16には、8つの開口部18が形成されている。各開口部18は、筐体14内のスロット20に連通している。本実施形態では、
図1のように、上下方向に4つ(4行)、左右方向に2つ(2列)の合計で8つ(4行2列)のスロット20が電力装置10に設けられている。そのため、開口部18を介してスロット20にバッテリ12を挿抜することで、バッテリ12がスロット20にセット(保持)される。なお、本実施形態では、スロット20は少なくとも1つあればよい。
【0014】
筐体14の前面16において、複数の開口部18の近傍にはインジケータ22が設けられている。インジケータ22は、スロット20に収容されているバッテリ12の充電状態、スロット20の空き状況等を、点灯する色、点滅等により表示する。また、筐体14の前面16において、複数の開口部18の上方には、1つの操作パネル24が設けられている。操作パネル24は、ユーザにより操作される装置である。ユーザは、操作パネル24を操作することにより、例えば、バッテリ12の充電に対する料金の支払い等を行う。
【0015】
以下の説明では、次のように定義されたX軸、Y軸及びZ軸に基づいて、電力装置10の構成を説明する。電力装置10を正面から見たとき、すなわち、筐体14の前面16を見たときに、電力装置10の奥行方向をX軸方向(水平方向)とし、前面16側を正側とする。また、電力装置10の幅方向をY軸方向(水平方向)とし、筐体14の前面16と向かい合う位置から見たときの右側を正側とする。さらに、電力装置10の上下方向をZ軸方向(鉛直方向)とし、上側を正側とする。
【0016】
図2は、筐体14をY軸方向負側に見たときの模式的な断面図である。
図3は、筐体14の内部に配設されたスロット20及びフレーム26(骨格)の背面図である。
【0017】
筐体14の内部には、スロット20を固定するためのフレーム26が配設されている。フレーム26は、筐体14の底部からZ軸方向に立設する複数の支持柱28(鉛直骨格)と、複数の支持柱28を相互に繋ぐように設けられ、且つ、X軸方向又はY軸方向に延在する複数の梁30(水平骨格)とから構成される。複数の支持柱28は、Y軸方向に所定の間隔を空けて立設している。複数の支持柱28間には、Z軸方向に所定の間隔を空けて、複数のスロット20が取り付けられている。
【0018】
複数のスロット20は、開口部18からX軸方向負側(奥側)に向かって下方に傾斜するようにフレーム26に固定されている。すなわち、スロット20は、X軸方向正側の開口部18側(
図2及び
図4~
図6に示す開口部32)が上方となり、X軸方向負側(奥側)の底部34が下方となるように、筐体14の内部に配置されている。この場合、スロット20の開口部32側の下端は、筐体14に支持されている。また、スロット20の底部34の下端は、梁30に支持されている。
【0019】
また、複数のスロット20の各々の下方には、板状のトレイ36(受け部)が傾斜して配置されている。すなわち、複数のトレイ36は、複数のスロット20の各々の下方において、傾斜したスロット20に対応して、水平方向に対して傾斜した状態で、複数の支持柱28と複数の梁30とに支持されている。複数の支持柱28の上端には、水平方向に延びる天板38が取り付けられている。
【0020】
図4は、スロット20の斜視図である。
図5は、スロット20の断面図である。
図6は、スロット20の正面図である。
図7は、スロット20の底部34側の斜視図である。
図8は、底部34を構成する底板58(第1部材)の斜視図である。
図4及び
図6は、スロット20にバッテリ12が挿入されていない状態を示す。
図5は、後述する内扉40が開いた状態で、スロット20にバッテリ12が挿入されている場合を示している。ここで、
図3~
図8を用いて、スロット20の全体構成について説明する。
【0021】
スロット20は、スロット本体42(側方部、第2部材)、スロットフランジ44、内扉40、逆挿し防止フランジ46、内扉ロック機構48、バッテリロック機構50、挿入完了検知スイッチ52(検出部)、及び、スロット20の底部34を構成するボトムカバーアッシ54を有している。
【0022】
スロット本体42は、4つの側面を形成するアルミニウム製の4枚の板材がそれぞれボルト56により締結されて形成されている。スロット本体42は、X軸方向の正側及び負側の両方に開口部を有し、スロット20に挿入されたバッテリ12を囲繞するように構成されている。この場合、X軸方向正側の開口部は、バッテリ12を挿抜し、且つ、開口部18に連通する開口部32として機能する。また、X軸方向負側の開口部は、底板58によって閉塞されている。なお、スロット本体42は、樹脂製であってもよい。また、スロット本体42は、押出成形や射出成形により4つの側面が一体に形成されてもよい。
【0023】
スロット本体42のX軸方向正側の開口部32には、スロットフランジ44が取り付けられている。スロットフランジ44は、X軸方向に連通する矩形の挿入孔60が開口するガイド部62を有している。ガイド部62は、矩形状に形成され、内部に挿入孔60を有している。挿入孔60は、X軸方向負側から正側に向かって徐々に開口面積が大きくなるように形成されている。これにより、ユーザが、バッテリ12をX軸方向正側から挿入孔60に挿入するときに、バッテリ12を挿入孔60に挿入し易くできる。
【0024】
スロットフランジ44のX軸方向負側には、ブラシシール64が取り付けられている。ブラシシール64は、樹脂製のフレーム64a、及び、フレーム64aに植毛された樹脂製のブラシ64bを有している。フレーム64a及びブラシ64bは、可撓性を有する。ブラシシール64は、ブラシ64bの先端がガイド部62の内周側に位置し、さらに、ブラシ64bの先端が逆挿し防止フランジ46よりも内周側に位置する。ブラシシール64は、ブラシ64bの先端が、スロット20に挿入されたバッテリ12の側面に当接する。これにより、ガイド部62の側板とバッテリ12との間の開口部は、ブラシ64bにより塞がれることとなる。
【0025】
スロット本体42のX軸方向正側の開口部32には、内扉40が設けられている。スロット20にバッテリ12が挿入されていないときには、内扉40は、閉じてスロット本体42のX軸方向正側の開口部32を閉塞する。スロット20にバッテリ12が挿入されるときには、内扉40はスロット本体42の内側に開いて、バッテリ12はスロット本体42に収容される。
【0026】
具体的に、内扉40は、スロット本体42に取り付けられたY軸方向に延びる回動軸66を中心に回動可能に設けられている。回動軸66は、スロット20に収容されたバッテリ12よりもZ軸方向正側に配置されている。内扉40は、回動軸66に設けられたねじりバネ68によって、
図5中、回動軸66を中心に時計方向に回動するように付勢されている。
【0027】
これにより、スロット20にバッテリ12が挿入されていない状態では、内扉40はねじりバネ68の付勢力により閉じて、スロット本体42のX軸方向正側の開口部32を閉塞する。内扉40は、スロット20にバッテリ12が挿入されると、バッテリ12によりスロット本体42の内部に向かって押されて、ねじりバネ68の付勢力に抗って、開く方向に回動する。内扉40は、回動軸66を中心に回動することにより開閉するものに限らず、Y軸方向又はZ軸方向に平行移動することにより開閉するものであってもよい。
【0028】
内扉40の回動軸66に支持されている側(内扉40の基端側)とは反対側(内扉40の先端側)には、ローラ70が設けられている。ローラ70は、回転軸70aを中心に回転可能に設けられている。
【0029】
内扉40が閉じている状態において、ローラ70のX軸方向正側の端面位置は、内扉40のX軸方向正側の端面位置よりもX軸方向正側に位置している。すなわち、ローラ70のスロット本体42の開口側の端面位置は、内扉40のスロット本体42の開口側の端面位置よりもスロット本体42の開口側に位置している。
【0030】
スロット本体42とスロットフランジ44との間には、逆挿し防止フランジ46が設けられている。逆挿し防止フランジ46は、バッテリ12がスロット20に対して正しい向きに挿されないときにバッテリ12と干渉することで、スロット本体42内にバッテリ12が挿入されないようにする。
【0031】
スロットフランジ44の挿入孔60には、内扉ロック機構48が設けられている。内扉ロック機構48は、スロットフランジ44のY軸方向正側及び負側にそれぞれ1つ設けられている。内扉ロック機構48は、スロット20にバッテリ12が挿入されないときにはロック状態となり、閉じている内扉40が開かないように内扉40の回動を規制する。また、内扉ロック機構48は、バッテリ12がスロット20に挿入されるときにアンロック状態となり、内扉40の回動の規制を解除する。これにより、バッテリ12をスロット20に挿入した際、内扉40は、バッテリ12に押されて、スロット本体42の内側に回動する。
【0032】
なお、スロット20にバッテリ12が挿入されていない状態では、挿入孔60の内側には、内扉ロック機構48及びブラシシール64以外の部材は突出していない。また、スロット20にバッテリ12が挿入されている状態では、挿入孔60の内側には、バッテリロック機構50以外の部材は突出していない。これにより、ユーザが挿入孔60内に手等を挿入した場合であっても、ユーザを負傷させることを抑制できる。
【0033】
スロット本体42のX軸方向正側の開口部32のZ軸方向正側には、バッテリロック機構50が設けられている。バッテリロック機構50は、スロット20に挿入された状態のバッテリ12のZ軸方向正側への移動を規制する。
【0034】
スロット本体42を構成するZ軸方向負側の下側板42aの内面には、X軸方向に延びる複数本のスライダ42bが形成されている。スライダ42bは、下側板42aの表面からZ軸方向正側に突出して形成されている。スライダ42bのX軸方向正側の端部には、その角が面取りされた面取り部42cを有している。面取り部42cにより、スロット本体42内にバッテリ12が挿入されるときに、バッテリ12とスライダ42bのX軸方向正側の端部との引っ掛かりを抑制することができる。なお、下側板42aの内面におけるX軸方向正側の端部付近には、内扉40が開閉するときに、ローラ70が通過する傾斜したテーパ面である不図示のローラ逃げ溝が形成されている。
【0035】
スロット本体42を構成するZ軸方向正側の上側板42dの内面には、内扉待避部42eが形成されている。内扉待避部42eは、Z軸方向正側に凹状に窪んで形成されている。バッテリ12がスロット20内に挿入された状態で、内扉40が内扉待避部42e内に退避する。内扉待避部42e内に待避している内扉40のローラ70は、バッテリ12の側面に当接する。これにより、スロット20に挿抜されるバッテリ12と内扉40との間の摩擦を小さくすることができる。
【0036】
スロット20の底板58のZ軸方向負側寄りの箇所には、挿入完了検知スイッチ52が設けられている。スロット20にバッテリ12が挿入された場合、バッテリ12の底面12cが挿入完了検知スイッチ52を押圧し、挿入完了検知スイッチ52はオフからオンに切り替わる。
【0037】
スロット本体42のX軸方向負側の開口部には、ボトムカバーアッシ54が取り付けられている。ボトムカバーアッシ54は、スロット本体42内に空気を送るファン72(送風器)、及び、バッテリ12のコネクタ74に嵌合するコネクタ76eを有するコネクタユニット76等を有している。
【0038】
ボトムカバーアッシ54は、ファン72、コネクタユニット76及び電子基板78を有している。ファン72、コネクタユニット76及び電子基板78は、底板58に組付けられている。底板58は、スロット本体42のX軸方向負側の開口部にボルト80によって固定されている。ファン72、コネクタユニット76及び電子基板78は、底板58の外縁の内側に収まるように配置されている。これにより、ボトムカバーアッシ54の組み立てを容易に行うことができる。また、ボトムカバーアッシ54がスロット本体42に組み付けられた後に、ボトムカバーアッシ54の各部材と他の部材との干渉を抑制することができる。
【0039】
上述のように、ファン72、コネクタユニット76及び電子基板78等の電気機器及び電子機器は、底板58に組み付けられることでボトムカバーアッシ54を構成する。そのため、ファン72、コネクタユニット76及び電子基板78等の電気機器及び電子機器が故障した際には、底板58と共にボトムカバーアッシ54全体を取り換えることができるため、故障機器の交換作業の時間短縮を図ることができる。また、ボトムカバーアッシ54に比べて、耐久性が高いスロット本体42を再利用することができるため、バッテリ交換機の維持費を抑制することができる。
【0040】
底板58において、挿入完了検知スイッチ52の設置箇所よりもY軸方向正側には、空気導入孔58a(他の連通路)が形成されている。ファン72は、底板58の外面における空気導入孔58aに対応する位置に取り付けられる。ファン72が駆動することにより、空気導入孔58aを介してスロット本体42内に空気が送られる。ファン72のY軸方向負側には、電子基板78が配置されている。電子基板78とファン72との間にはケーブル81が配線され、電子基板78とコネクタユニット76のモータ76fと間にはケーブル82が配線され、電子基板78からファン72及びモータ76fに電気が供給される。
【0041】
スロット本体42の上側板42dには、スロット本体42の内部と外部とを連通する2本の排気スリット42fが形成されている。排気スリット42fは、X軸方向に延びて形成されている。ファン72によりX軸方向負側からスロット本体42内に導入された空気は、バッテリ12の側面とスロット本体42との間を通過して、排気スリット42fから排気される。これにより、バッテリ12の冷却効率を向上させることができる。また、排気スリット42fからの粉塵の侵入を抑制できる。
【0042】
この場合、スロット本体42の上側板42dに設けられた2本の排気スリット42fの開口面積の合計は、バッテリ12の外周とスロットフランジ44のガイド部62の内周との間の開口面積の合計よりも大きい。これにより、ファン72によりZ軸方向負側からスロット本体42内に導入された空気の大部分は、バッテリ12の側面とスロット本体42との間を通過して、排気スリット42fから排気される。
【0043】
コネクタユニット76は、ベース76a、嵌合検知スイッチ76b、退避検知スイッチ76c、コネクタホルダ76d、コネクタ76e及びモータ76fを有している。
【0044】
ベース76aは、本体部76g、本体部76gのX軸方向正側の端部からY軸方向両側に延びるフランジ部76h、本体部76gのY軸方向負側の端部からZ軸方向負側に延びるスイッチ取付面76iを有している。
【0045】
ベース76aは、フランジ部76hにおいてボルト84によって底板58に固定されている。スイッチ取付面76iには、嵌合検知スイッチ76b及び退避検知スイッチ76cが取り付けられている。嵌合検知スイッチ76b及び退避検知スイッチ76cは、X軸方向に離間して配置され、X軸方向正側に嵌合検知スイッチ76bが配置され、X軸方向負側に退避検知スイッチ76cが配置されている。
【0046】
ベース76aの本体部76gのZ軸方向正側の面には、コネクタホルダ76dが取り付けられている。コネクタホルダ76dは、コネクタ取付部76j、ラック76k及びスイッチ作動子76lを有している。コネクタホルダ76dは、ベース76aに対してX軸方向に相対移動する。
【0047】
コネクタ取付部76jには、コネクタ76eが支持されている。コネクタ76eがバッテリ12のコネクタ74と嵌合することで、コネクタ76eからバッテリ12に電力が供給されて、バッテリ12は充電される。
【0048】
ラック76kは、コネクタ取付部76jのZ軸方向負側に配置されている。
【0049】
スイッチ作動子76lは、ベース76aのスイッチ取付面76iに沿ってZ軸方向に延びて形成されている。
【0050】
ベース76aの本体部76gのZ軸方向負側の面には、モータ76fが取り付けられている。モータ76fは、駆動軸がZ軸方向正側を向くように配置されており、駆動軸の一部がコネクタホルダ76d内に配置されている。モータ76fが駆動することにより、コネクタ76eはコネクタホルダ76dと共にX軸方向に移動する。挿入完了検知スイッチ52がオンとなったときに、コネクタ76eがX軸方向正側に移動するようにモータ76fが制御される。挿入完了検知スイッチ52がオフであるときには、コネクタ76eがX軸方向負側に移動するようにモータ76fが制御される。
【0051】
コネクタホルダ76dが最もX軸方向正側に位置する状態で、スイッチ作動子76lは、嵌合検知スイッチ76bに当接し、嵌合検知スイッチ76bはオフからオンに切り替わる。コネクタホルダ76dが最もX軸方向負側に位置する状態で、スイッチ作動子76lは、退避検知スイッチ76cに当接し、退避検知スイッチ76cはオフからオンに切り替わる。
【0052】
[2.本実施形態の特徴的な構成]
以上のように構成される電力装置10の特徴的な機能について説明する。特徴的な機能とは、スロット20の内側から外側に雨水等の液体を排出するための機構に関する。
【0053】
スロット20は、スロット本体42に底板58が連結されることによって、底部34を有する有底状に形成されている。この場合、スロット20の底板58側には、スロット20の内側と外側とを連通させ、雨水等の液体をスロット20外(筐体14の内部)に排出するための連通路90が設けられている。
【0054】
具体的に、スロット20において、底部34(底板58)の反対側には、バッテリ12を挿抜するための開口部32が設けられている。前述のように、スロット20は、スロット本体42から底板58に向かって下方に傾斜するように筐体14内に設けられている。そのため、スロット20の底部34側の下端部(底板58の下端部)は、スロット20の開口部32側の下端部よりも低い位置に配置される。
【0055】
そして、連通路90は、底板58の下端部に設けられた第1連通路90a及び第2連通路90bを有する。すなわち、底板58のX軸方向正側の内面(内側)において、挿入完了検知スイッチ52の設置箇所及び空気導入孔58aの形成箇所よりも下方の箇所は、X軸方向負側に凹んでいる。この凹んだ箇所はY軸方向に直線状に延びている。この凹んだ箇所がスロット20の内側に凹設された第1連通路90aを構成する。また、底板58の内側において、Z軸方向負側及びY軸方向負側の箇所(隅部)には、第1連通路90aと連通し、スロット20の外側に開口する開口部が形成されている。この開口部は、Z軸方向負側及びX軸方向負側に開口しており、第2連通路90bを構成する。
【0056】
そして、連通路90、より詳しくは、第1連通路90aには、濾過部材92が配置されている。濾過部材92は、第1連通路90aの凹部に嵌り込み、且つ、第1連通路90aに対して着脱可能に配置されている。この場合、底板58の内側に設けられた2つのリブ93によって、凹部からはみ出した濾過部材92の一部を上方から押さえてもよい。なお、濾過部材92は、スポンジフィルタのようなスポンジ状の多孔質部材であればよい。
【0057】
このように、連通路90(濾過部材92)の上端は、空気導入孔58aの下端、及び、挿入完了検知スイッチ52よりも低い位置に配置されている。これにより、
図5及び
図9Bで矢印付きの破線で図示するように、スロット20の開口部32から雨水等の液体が浸入し、スロット本体42の内側(下側板42aの内面)を通過して底板58側に流れた場合、液体は、濾過部材92を通過して、第2連通路90bからスロット20の外側に排出される。この場合、濾過部材92を設けたことで、液体の流れは、排出口である第2連通路90bに向かう途中で分散又は減速される。これにより、液体がスロット20から勢いよく排出されることを回避することができる。
【0058】
また、スロット20には、開口部32を介して砂塵、落ち葉、紙等の固形物のゴミが侵入する。この場合、砂塵等の比重の大きいゴミは、第2連通路90bの手前の濾過部材92の内部に留まる。また、落ち葉又は紙等の比重の小さいゴミは、濾過部材92の上部に留まる。これにより、ゴミによって第2連通路90bが閉塞されることを防止すると共に、ゴミがスロット20の内側から筐体14の内部に排出されることを抑制することができる。また、スポンジフィルタは、内部に複雑な流通経路を有するので、濾過部材92自体の目詰まりを好適に防ぐことができる。
【0059】
図9Aは、比較例であり、第1連通路90a、第2連通路90b及び濾過部材92を設けない場合を図示している。この場合、スロット20の不図示の排出口がゴミで詰まり、
図9A中、一点鎖線で示す高さまでゴミが溜まると、矢印の破線で示すように、空気導入孔58a(
図6及び
図8参照)を通って液体がスロット20の外側に排出される。これにより、ファン72が被水すると共に、回転するファン72によって液体がスロット20の内側及び外側に飛散する。
【0060】
これに対して、本実施形態では、
図9Bのように、空気導入孔58a及び挿入完了検知スイッチ52よりも低い位置に第1連通路90a、第2連通路90b及び濾過部材92が設けられている。これにより、液体は、矢印の破線で示すように、空気導入孔58aを通ることなく、第1連通路90a(濾過部材92)及び第2連通路90bを通って、筐体14の内部に排出される。従って、本実施形態では、第2連通路90bでの目詰まりの防止、ファン72への液体の浸入防止、及び、ファン72へのゴミの流入防止を実現することができる。
【0061】
しかも、第2連通路90bに連通する第1連通路90aに濾過部材92を着脱可能に嵌め込む構造であるため、濾過部材92の取り付け及び取り外しの作業が容易である。また、メンテナンス時には、濾過部材92を取り外してゴミを除去すればよいので、清掃作業が容易になる。
【0062】
また、筐体14の内部において、複数のスロット20の各々の下方にはトレイ36が配置されている。トレイ36は、スロット20の内側から第2連通路90bを介してスロット20の外側に排出された雨水等の液体(排出物)を受ける受け部として機能する。
【0063】
トレイ36は、X軸方向負側に向かって下方に傾斜しており、トレイ36のX軸方向負側の端部は、水平骨格である梁30に連結されている。梁30は、Y軸方向に沿って延在する軒樋状に形成されており、トレイ36から流れる液体を受けて流す排出路として機能する。この場合、各梁30は、鉛直骨格としての支持柱28に向かって下方に傾斜していることが望ましい。
【0064】
各支持柱28は、Z軸方向に沿って延在する縦樋状に形成されており、各梁30から流れ込む液体を下方に流す排出路として機能する。筐体14の底部には、排出孔94(
図2参照)が形成されている。各支持柱28を下方に流れた液体は、排出孔94から筐体14の下方に排出される。
【0065】
これにより、スロット20から排出された雨水等の液体を筐体14の外方に効率よく排出することができる。この場合、各梁30が各支持柱28に向かって下方に傾斜するように配置されていれば、スロット20から排出された液体を、各梁30から各支持柱28に容易に流すことができる。
【0066】
[3.本実施形態の変形例]
図10及び
図11は、
図1~
図8及び
図9Bの変形例である。この変形例では、底板58の内側における挿入完了検知スイッチ52の設置位置と第1連通路90aとの間に第2連通路90bが形成されている。従って、第2連通路90bは、底板58の内側における第1連通路90aの上方の位置でX軸方向に開口している。また、この変形例では、第1連通路90aに濾過部材92(
図5、
図8及び
図9B参照)は設けられていない。なお、この変形例でも、第2連通路90bは、空気導入孔58a及び挿入完了検知スイッチ52よりも低い位置に設けられている。
【0067】
これにより、スロット20の内側において、第2連通路90bよりも低い箇所、すなわち、
図10中、第1連通路90aを含む網掛け部分は、砂塵、落ち葉、紙等の固形物のゴミが溜まるゴミ溜りとして機能する。これにより、ゴミがスロット20の外側に排出されることを好適に抑制することができる。また、スロット20の底板58は、外部から開口部32を介して目視しやすい。そのため、ユーザは、第1連通路90aにゴミが溜まっているかどうかを容易に確認することができる。これにより、電力装置10の機能を維持するための定期的な清掃作業等のメンテナンスが容易となる。なお、変形例において、雨水等の液体は、スロット20の内側において、第2連通路90bの高さにまで溜まったときに、第2連通路90bを介してスロット20の外側に排出される。
【0068】
また、本実施形態では、ファン72から空気導入孔58aを介してスロット20の内側に空気を送り込む場合について説明した。本実施形態では、スロット20の内側から空気導入孔58aを介してファン72に送られる風を、該ファン72がスロット20の外側に排出することも可能である。
【0069】
また、本実施形態では、スロット20を構成する第1部材が底板58であり、第2部材がスロット本体42である場合について説明した。本実施形態では、底板58を含むスロット20の底部34側の部分を1つの部材(第1部材)で構成し、スロット本体42を含むスロット20の側方部を1つの部材(第2部材)で構成することも可能である。
【0070】
さらに、本実施形態では、トレイ36がフレーム26に配置される場合について説明した。本実施形態では、連通路90とフレーム26とを掛け渡すようにトレイ36を配置することも可能である。要は、連通路90から排出された雨水等の液体を筐体14外に排出可能な構成であればよい。そのため、本実施形態では、トレイ36を省略し、連通路90から排出された液体をフレーム26が直接受けるように構成することも可能である。
【0071】
さらにまた、本実施形態では、スロット20にバッテリ12を保持する場合について説明した。本実施形態では、スロット20に代えて、トレイ36がバッテリ12を保持するように該トレイ36を構成してもよい。
【0072】
また、本実施形態では、挿入完了検知スイッチ52が接触式の物理スイッチである場合について説明した。本実施形態では、非接触の検知手段で挿入完了検知スイッチ52を構成し、スロット20へのバッテリ12の挿入を非接触で検知することも可能である。
【0073】
なお、電力装置10は、複数のモバイルバッテリから負荷等に電力を供給するか、又は、複数のモバイルバッテリを充電する各種の電源システムに適用可能である。そのため、電力装置10は、住宅、事業所、公共施設等に設置することも可能である。
【0074】
また、電力装置10は、人が搭乗可能、又は、人が搭乗不能な車両、航空機、飛行体及び船舶等の各種の移動体の電源システムにも適用可能である。この場合、車両の電源システムとしては、電動車両の電源システムや、ハイブリッド車両のような駆動モータが搭載される車両の電源システムに適用可能である。すなわち、電力装置10は、一輪車、二輪車、四輪車等の各種の車両の電源システムに適用可能である。
【0075】
さらに、電力装置10は、各種の汎用機器、具体的には、(1)各種の充電器、(2)各種の放電器、(3)汎用作業機、芝刈機、耕うん機及び送風機等の各種の作業機、(4)投光機及び照明機器等の電動機を有しない電気機器、(5)家屋や建物に設置された各種の機器、の電源システムにも適用可能である。この場合、(1)~(5)については、人が搭乗しない汎用機器であってもよい。また、(3)については、人が搭乗しない作業機であってもよいし、あるいは、人が搭乗する作業機であってもよい。さらに、上記(5)の例としては、(A)時計やラジオカセットレイコーダ等の音響機器のように直流電力で動作する機器、(B)扇風機、ジューサ、ミキサ、白熱電灯等のように交流電力で動作する機器、(C)テレビ、ラジオ、ステレオ、パーソナルコンピュータ等のように交流電力から変換された直流電力で動作する機器、(D)洗濯機、冷蔵庫、エアコンディショナ、電子レンジ、蛍光灯を含むインバータ方式の機器等のように、交流電力から直流電力に一旦変換された後、該直流電力からさらに変換された交流電力で動作する機器、がある。
【0076】
[4.本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る電力装置10は、バッテリ12(物品)を保持する保持装置であって、バッテリ12を挿抜可能に保持するスロット20(保持部)を有する筐体14を備える。この場合、スロット20は、底部34を有する有底状に形成され、スロット20の内側と外側とを連通する連通路90を有する。
【0077】
この構成によれば、スロット20の内側に浸入した雨水等の液体を、連通路90を介して外側に排出することができる。
【0078】
ここで、スロット20の底部34の反対側には、バッテリ12を挿抜するための開口部32が設けられている。この場合、スロット20の底部34側の下端部は、スロット20の開口部32側の端部よりも低い位置に配置される。
【0079】
これにより、スロット20の内側に浸入した液体は、スロット20の開口部32側から底部34側に流れ、連通路90を介してスロット20の外側に排出される。この結果、スロット20の内側に浸入した液体を容易に且つ効率よくスロット20の外側に排出することができる。
【0080】
スロット20は、スロット20の内側と外側とを連通する空気導入孔58a(他の連通路)を有する。この場合、連通路90の上端は、空気導入孔58aの下端よりも低い位置に配置される。
【0081】
これにより、空気導入孔58aを介して液体が排出されることを回避することができる。
【0082】
また、電力装置10は、空気導入孔58aよりもスロット20の外側に配置されるファン72(送風器)をさらに備える。この場合、空気導入孔58aは、ファン72からスロット20の内側に送られる風、又は、スロット20の内側からファン72に送られる風が通過するように設けられる。
【0083】
これにより、空気導入孔58aを介して液体が排出されることでファン72が被水することや、回転するファン72によって液体が飛散することを防止することができる。
【0084】
この場合、空気導入孔58aは、スロット20の底部34に設けられ、ファン72は、スロット20の底部34の外側に配置される。
【0085】
これにより、液体が空気導入孔58aを介して排出されることを回避しつつ、スロット20の適切な位置に空気導入孔58a及びファン72を設けることができる。
【0086】
また、スロット20は、バッテリ12を検出する挿入完了検知スイッチ52(検出部)を有する。この場合、連通路90は、挿入完了検知スイッチ52よりも低い位置に配置される。
【0087】
これにより、挿入完了検知スイッチ52が被水することを防止することができる。
【0088】
この場合、スロット20は、該スロット20の底部34からバッテリ12の挿抜方向に延出し、スロット20に挿入されたバッテリ12を囲繞するスロット本体42(側方部)を有する。
【0089】
これにより、挿入されたバッテリ12を保持しつつ、スロット本体42の内側を通ってスロット20の底部34に液体を流すことができる。
【0090】
また、スロット20は、該スロット20の底部34側を構成する第1部材と、スロット本体42側を構成する第2部材とを有する。
【0091】
これにより、スロット20を容易に構成することができる。
【0092】
連通路90は、第1部材におけるスロット20の底部34の内側で凹設された第1連通路90aと、第1連通路90aと連通してスロット20の外側に開口するように設けられた第2連通路90bとを有する。
【0093】
これにより、第1連通路90a側で砂塵、落ち葉、紙等の固形物のゴミを溜めつつ、雨水等の液体のみを第2連通路90bからスロット20の外側に排出することができる。
【0094】
スロット20は、スロット本体42から底部34に向かって下方に傾斜するように筐体14に設けられている。この場合、第2連通路90bは、スロット20の底部34の下端に設けられるか、又は、スロット20の底部34の第1連通路90aよりも上方の位置に設けられる。
【0095】
これにより、スロット本体42から底部34に向かって雨水等の液体を流しつつ、第1連通路90a側で砂塵、落ち葉、紙等の固形物のゴミを確実に溜め、液体のみを第2連通路90bからスロット20の外側に排出することができる。
【0096】
筐体14は、スロット20の内側から連通路90を介して外側に排出された液体(排出物)を受けるトレイ36(受け部)を有する。
【0097】
これにより、連通路90から排出された液体が筐体14の内部で飛散することを回避することができる。
【0098】
電力装置10は、筐体14の内部に設けられ、スロット20を固定するフレーム26(骨格)を備える。この場合、フレーム26は、液体が移動する排出路を有する。トレイ36は、フレーム26に配置されるか、又は、フレーム26と連通路90とに掛け渡されるように配置される。
【0099】
これにより、連通路90から排出された液体をフレーム26の排出路を介して筐体14の外方に排出することが可能となる。
【0100】
この場合、フレーム26は、Z軸方向(鉛直方向)に延在するように配置される複数の支持柱28(鉛直骨格)と、複数の支持柱28を相互に繋ぐように設けられ、且つ、Y軸方向(水平方向)に延在するように配置される複数の梁30(水平骨格)とを有する。排出路は、支持柱28及び梁30に設けられる。
【0101】
これにより、フレーム26でスロット20を支持しつつ、連通路90から排出された液体を、排出路を介して筐体14の外方に確実に排出することが可能となる。
【0102】
スロット20は、連通路90に配置される濾過部材92を有する。
【0103】
スロット20には、開口部32から砂塵、落ち葉、紙等の固形物のゴミが侵入する。濾過部材92を設けることで、砂塵等の比重の大きいゴミは、濾過部材92の内部に留まる。また、落ち葉又は紙等の比重の小さいゴミは、濾過部材92の上部に留まる。これにより、ゴミによって連通路90が閉塞されることを防止すると共に、ゴミがスロット20の内側から外側に排出されることを抑制することができる。
【0104】
上記の各効果について、以下により詳しく説明する。
【0105】
電力装置10では、スロット20に対してバッテリ12が挿抜可能な構成である。そのため、スロット20内には、開口部32を介して、雨水等の液体や、砂塵、落ち葉、紙等の固形物が容易に入り込む。この場合、スロット20に形成された排出口や排出溝を固形物が塞ぐと、スロット20内に液体が溜まり、金属製の部材の電食が促進される可能性がある。また、スロット20に流入する液体が、空気導入孔58aを介してファン72に流れ込むと、ファン72の回転によって液体が飛散する。これにより、筐体14の内部が被水し、筐体14内の電気回路が短絡する可能性がある。この結果、ファン72の故障やスロット20内の各種の移動機構が故障する可能性がある。
【0106】
また、排出口は、スロット20の底部34にある場合が多いので、目視での確認が容易ではなく、且つ、清掃がしにくい。また、排出口を清掃する際には、堆積した固形物を筐体14の内部に排出しないように注意する必要がある。この場合、固形物がスロット20から筐体14の内部に排出され、筐体14の内部に堆積すると、筐体14の内部の排水経路が塞がれ、スロット20から筐体14の内部に排出された液体が排水経路から漏れて、筐体14の内部の電気回路が短絡する可能性がある。
【0107】
そこで、スロット20の排出口に金網を設け、スロット20から筐体14の内部への固形物の侵入をなるべく少なくする等の工夫をすることが考えられる。しかしながら、金網の設置当初は、固形物が金網をすり抜けて筐体14の内部に排出される可能性がある。
【0108】
一方、固形物が金網に引っ掛かると、目詰まりを容易に起こすことになる。このような目詰まりを防止するため、スロット20の内部に異なる高さ位置の排水溝を複数設け、スロット20内の液体の水位がファン72の高さに到達する前に、各排水溝を段階的に詰まらせる等の工夫を行うことが考えられる。しかしながら、固形物が詰まった金網の清掃や、金網周辺に溜まった固形物(堆積物)の除去に手間がかかる。
【0109】
このような排出口の閉塞を防止するため、従来は、排出口の数を増やすか、又は、排出口の開口面積を大きくする対策が採られていた。しかしながら、排出口の数を増やすと、排出口が固形物で閉塞されるまでの期間が延びるだけであり、根本的な解決にはならない。また、排出口の開口面積を大きくすると、固形物が排出口を介して下流側の筐体14の内部に容易に排出されるので、排出された固形物が筐体14の内部でゴミとして溜まる。この結果、筐体14の内部から外方への雨水等の液体の排出性能が悪化する。
【0110】
そこで、本実施形態では、スロット20内の連通路90、具体的には、第2連通路90bの手前の第1連通路90aに、排水性を有するスポンジフィルタのような立体的な網目構造の濾過部材92を配置している。この場合、濾過部材92がスポンジフィルタのような柔軟性を持つ材質の部材であれば、スロット20内の隙間(第1連通路90a)の凹凸に容易に嵌め込むことができると共に、着脱が容易となる。
【0111】
また、雨水等の液体は、排水口としての第2連通路90bに向かう途中で濾過部材92を通過する。これにより、液体の流れは分散又は減速される。この結果、液体の流れに伴って第2連通路90b側に移動する固形物のうち、砂塵等の比重の大きいゴミは、第2連通路90bの手前の濾過部材92内に留まる。また、落ち葉や紙等の比重の小さいゴミは、濾過部材92の上部に留まる。この結果、第2連通路90bの閉塞を防止することができると共に、スロット20から筐体14の内部への固形物の排出を抑制することができる。
【0112】
このように、排水性の良好なスポンジフィルタを濾過部材92として、排水口としての第2連通路90bの手前の第1連通路90aに配置することにより、立体的なフィルタを容易に構成することができる。この結果、排水口の閉塞を長期にわたり防止することが可能となる。また、濾過部材92は、着脱が容易であるため、メンテナンス作業が容易になる。すなわち、第1連通路90aに濾過部材92を装着する際には、スロット20内の凹部である第1連通路90aに濾過部材92を嵌め込むだけの作業で済むため、特別な工具を用いることは不要であり、取付作業が簡単である。また、メンテナンス作業の際には、第1連通路90aから濾過部材92をゆっくりと取り外すことで、堆積物である固形物を容易に除去することができる。従って、濾過部材92(スポンジフィルタ)を用いることで、立体的なフィルタが安価に実現されると共に、メンテナンス作業が容易になる。
【0113】
さらに、本実施形態では、スロット20の内部において、ユーザが開口部32を介して目視することができる位置、例えば、底板58における挿入完了検知スイッチ52及び空気導入孔58aの位置から、第2連通路90bまでの間に、第1連通路90aを設けて濾過部材92を嵌め込んでいる。これにより、第2連通路90bまでの液体の排出経路に濾過部材92が配置されることになる。
【0114】
この結果、排出口である第2連通路90bの手前で固形物のゴミが捕捉されるので、第2連通路90bの閉塞を防ぐことができる。また、濾過部材92を目視することで、第2連通路90bの閉塞の可能性を容易に予想することができる。すなわち、第1連通路90aから濾過部材92を取り外して清掃を行うタイミングを予測することが可能とある。しかも、前述のように、濾過部材92は着脱可能であるため、清掃が容易である。また、清掃時に大きなゴミが筐体14の内部に排出される不具合を低減することもできる。
【0115】
また、濾過部材92がスポンジフィルタのような網目構造のフィルタであれば、雨水等の液体の流れが濾過部材92によって閉塞されることを大幅に抑制することができる。さらに、排出口を増設したり、排出口の開口面積を大きくしたり、排出経路の形状を複雑化する場合と比べ、スロット20の機械的強度の低下を抑えることができると共に、コストを抑えることができる。
【0116】
また、
図10及び
図11の変形例のように、スロット20に対して略水平方向に第2連通路90bを設けた場合、スロット20内において、第2連通路90bよりも低い箇所(網掛け部分)は、砂塵等の固形物の溜り場所として機能する。これにより、筐体14の内部への固形物の排出を容易且つ確実に抑制することができる。
【0117】
すなわち、砂塵等の固形物が取り込まれると、雨水等の液体の排出経路を阻害する。これにより、排出経路から溢れた液体によって想定外の内部被水が懸念される。そこで、液体と固形物との比重差を利用し、液体のみスロット20から筐体14の内部に排出し、一方で、固形物をスロット20の第2連通路90bよりも下方の場所(網掛け部分)に溜めることで、筐体14の内部への固形物の侵入を容易に防止することが可能となる。
【0118】
また、固形物が溜まるスロット20の下方部分は、外部から開口部32を介して目視で確認することができる。これにより、スロット20の機能を維持するための定期的な清掃作業等のメンテナンス作業が容易となる。
【0119】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限らず、種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0120】
10…電力装置(保持装置) 12…バッテリ(物品)
14…筐体 20…スロット(保持部)
34…底部 90…連通路