(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156098
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及び、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221006BHJP
G16Y 10/70 20200101ALI20221006BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16Y10/70
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059625
(22)【出願日】2021-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】507009009
【氏名又は名称】株式会社博報堂DYホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】道本 龍
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】放送枠の販売を支援可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の一側面に係るシステム10では、テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための少なくとも一つの放送枠に関する処理が実行される。具体的には、上記少なくとも一つの放送枠での、視聴者属性毎の訴求効果を判別可能な情報が取得される。上記少なくとも一つの放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求対象の視聴者属性であるターゲット属性の情報が取得される。複数の販売対象者のそれぞれのターゲット属性と視聴者属性毎の訴求効果とに基づき複数の販売対象者の中から放送枠の販売先が選択される、あるいは、複数の販売対象者のそれぞれに対する販売条件が設定される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための少なくとも一つの放送枠での、前記映像の放送による視聴者属性毎の訴求効果を判別可能な効果情報を取得するように構成される第一取得部と、
前記少なくとも一つの放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求対象の視聴者属性であるターゲット属性の情報を取得するように構成される第二取得部と、
前記複数の販売対象者のそれぞれの前記ターゲット属性と、前記効果情報とに基づき、前記複数の販売対象者の中から前記放送枠の販売先を選択するように構成される選択部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記選択部は、前記複数の販売対象者のそれぞれの前記ターゲット属性と、前記効果情報とに基づき、前記放送枠において前記複数の販売対象者のそれぞれに対応する前記映像を放送した場合の訴求効果を判別し、前記複数の販売対象者のそれぞれの前記訴求効果に基づき、前記複数の販売対象者の中から前記放送枠の販売先を選択する請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記少なくとも一つの放送枠は、複数の放送枠であり、
前記第一取得部は、前記効果情報として、前記複数の放送枠のそれぞれに関する前記視聴者属性毎の訴求効果を判別可能な情報を取得し、
前記選択部は、前記複数の販売対象者のそれぞれの前記ターゲット属性と、前記効果情報から判別される前記複数の放送枠のそれぞれに関する前記視聴者属性毎の訴求効果とに基づき、前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を前記複数の販売対象者の中から選択する請求項1記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記選択部は、前記複数の放送枠のそれぞれに関して、対応する放送枠において前記複数の販売対象者のそれぞれに対応する前記映像を放送した場合の訴求効果を判別し、前記複数の放送枠のそれぞれに関する前記複数の販売対象者のそれぞれの前記訴求効果に基づき、前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を前記複数の販売対象者の中から選択する請求項3記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記選択部は、前記複数の販売対象者の少なくとも一部に対して販売対象者毎に二以上の放送枠を割り当てるように、更には前記二以上の放送枠の放送時間帯のばらつきが基準以上となるように、前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を選択する請求項3又は請求項4記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記放送枠の販売条件を、前記視聴者属性毎の訴求効果に基づき、前記ターゲット属性毎に設定する設定部と、
前記販売先に提示する販売条件として、前記設定部が前記販売先の前記ターゲット属性に対して設定した前記販売条件を示す情報を出力する出力部と、
を更に備える請求項1~請求項5のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記販売条件は、販売価格を含む請求項6記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記複数の放送枠のそれぞれの販売価格を、対応する放送枠の前記視聴者属性毎の訴求効果に基づき、前記ターゲット属性毎に設定する設定部
を更に備え、
前記選択部は、前記設定部により設定された前記販売価格を加味して、前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を選択する請求項3~請求項5のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項9】
テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための少なくとも一つの放送枠での、前記映像の放送による視聴者属性毎の訴求効果を判別可能な効果情報を取得するように構成される第一取得部と、
前記少なくとも一つの放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求対象の視聴者属性であるターゲット属性の情報を取得するように構成される第二取得部と、
前記複数の販売対象者のそれぞれの前記ターゲット属性と、前記効果情報から判別される前記視聴者属性毎の訴求効果とに基づき、前記複数の販売対象者のそれぞれに対する前記放送枠の販売条件を設定するように構成される設定部と、
を備える情報処理システム。
【請求項10】
前記第一取得部は、前記効果情報として、前記少なくとも一つの放送枠での、前記映像の放送による視聴者属性毎の視聴量を表す情報を取得する請求項1~請求項9のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記第一取得部は、前記視聴者属性毎の視聴量として、対応する放送枠での視聴者属性毎の視聴率を表す情報を取得する請求項1~請求項10のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記少なくとも一つの放送枠は、少なくとも一つのスポットCM放送枠を含む請求項1~請求項11のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項13】
テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための複数の放送枠での、前記映像の放送による訴求効果であって、訴求目的の種類毎の訴求効果を判別可能な第一情報を取得するように構成される第一取得部と、
前記複数の放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的を判別可能な第二情報を取得するように構成される第二取得部と、
前記第二情報から判別される前記複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的と、前記第一情報から判別される前記複数の放送枠での前記訴求目的の種類毎の訴求効果とに基づき、前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を前記複数の販売対象者の中から選択するように構成される選択部と、
を備える情報処理システム。
【請求項14】
テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための複数の放送枠での、前記映像の放送による訴求効果であって、訴求目的の種類毎の訴求効果を判別可能な第一情報を取得するように構成される第一取得部と、
前記複数の放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的を判別可能な第二情報を取得するように構成される第二取得部と、
前記第二情報から判別される前記複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的と、前記第一情報から判別される前記複数の放送枠での前記訴求目的の種類毎の訴求効果とに基づき、前記複数の販売対象者のそれぞれに対する前記放送枠の販売条件を設定するように構成される設定部と、
を備える情報処理システム。
【請求項15】
前記第一取得部は、前記訴求目的の種類毎の訴求効果として、前記訴求目的の商品の種類毎の訴求効果を判別可能な前記第一情報を取得するように構成される請求項13又は請求項14記載の情報処理システム。
【請求項16】
請求項1~請求項5及び請求項13のいずれか一項記載の情報処理システムにおける前記第一取得部、前記第二取得部、及び前記選択部として、コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項9又は請求項14記載の情報処理システムにおける前記第一取得部、前記第二取得部、及び前記設定部として、コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項18】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための少なくとも一つの放送枠での、前記映像の放送による視聴者属性毎の訴求効果を判別可能な効果情報を取得することと、
前記少なくとも一つの放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求対象の視聴者属性であるターゲット属性の情報を取得することと、
前記複数の販売対象者のそれぞれの前記ターゲット属性と、前記効果情報から判別される前記視聴者属性毎の訴求効果とに基づき、前記複数の販売対象者の中から前記放送枠の販売先を選択することと、
を含む情報処理方法。
【請求項19】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための少なくとも一つの放送枠での、前記映像の放送による視聴者属性毎の訴求効果を判別可能な効果情報を取得することと、
前記少なくとも一つの放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求対象の視聴者属性であるターゲット属性の情報を取得することと、
前記複数の販売対象者のそれぞれの前記ターゲット属性と、前記効果情報から判別される視聴者属性毎の訴求効果とに基づき、前記複数の販売対象者のそれぞれに対する前記放送枠の販売条件を設定することと、
を含む情報処理方法。
【請求項20】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための複数の放送枠での、前記映像の放送による訴求効果であって、訴求目的の種類毎の訴求効果を判別可能な第一情報を取得することと、
前記複数の放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的を判別可能な第二情報を取得することと、
前記第二情報から判別される前記複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的と、前記第一情報から判別される前記複数の放送枠での前記訴求目的の種類毎の訴求効果とに基づき、前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を前記複数の販売対象者の中から選択することと、
を含む情報処理方法。
【請求項21】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための複数の放送枠での、前記映像の放送による訴求効果であって、訴求目的の種類毎の訴求効果を判別可能な第一情報を取得することと、
前記複数の放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的を判別可能な第二情報を取得することと、
前記第二情報から判別される前記複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的と、前記第一情報から判別される前記複数の放送枠での前記訴求目的の種類毎の訴求効果とに基づき、前記複数の販売対象者のそれぞれに対する前記放送枠の販売条件を設定することと、
を備える情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン(TV)放送されるコマーシャル(CM)には、番組スポンサーを広告主とするコマーシャルの他、番組スポンサーに関係なく放送局によって定められた放送枠内に、例えば番組と番組との間の時間帯に、放送されるスポットCMが含まれる。
【0003】
スポットCMは、一般に広告代理業者を通じて広告主に販売される。広告代理業者は、広告主からの依頼に基づき、放送局からスポットCM用の放送枠を買い付け、依頼元の広告主に放送枠を販売する。
【0004】
この他、インタネット放送における広告枠の販売を、インタネット上に公開するウェブページを用いて行う技術が既に知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
広告の販売手法としては、広告代理業者が放送局から一つ又は複数の放送枠を買い付けた後、買い付けた放送枠の購入を、顧客に提案して、顧客に放送枠を販売する手法が知られている。このような販売手法には、販売担当者の営業力が求められる。
【0007】
そこで、本開示の一側面によれば、放送枠の販売を支援可能な技術を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面に係る情報処理システムは、第一取得部と、第二取得部と、選択部とを備える。第一取得部は、テレビジョン放送における少なくとも一つの放送枠であって、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための少なくとも一つの放送枠における映像の放送による視聴者属性毎の訴求効果を判別可能な効果情報を取得するように構成される。
【0009】
第二取得部は、上記少なくとも一つの放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求対象の視聴者属性であるターゲット属性の情報を取得するように構成される。選択部は、複数の販売対象者のそれぞれのターゲット属性と、効果情報とに基づき、複数の販売対象者の中から放送枠の販売先を選択するように構成される。
【0010】
情報処理システムによる情報処理によって販売先が選択されることによっては、販売元による放送枠の販売を支援することができる。本開示の一側面によれば、選択された販売先の情報が出力され得る。
【0011】
本開示の一側面によれば、選択部は、複数の販売対象者のそれぞれのターゲット属性と、効果情報とに基づき、放送枠において複数の販売対象者のそれぞれに対応する映像を放送した場合の訴求効果を判別し、複数の販売対象者のそれぞれの訴求効果に基づき、複数の販売対象者の中から放送枠の販売先を選択するように構成されてもよい。
【0012】
本開示の一側面によれば、少なくとも一つの放送枠は、複数の放送枠であってもよい。第一取得部は、効果情報として、複数の放送枠のそれぞれに関する視聴者属性毎の訴求効果を判別可能な情報を取得してもよい。選択部は、複数の販売対象者のそれぞれのターゲット属性と、効果情報から判別される複数の放送枠のそれぞれに関する視聴者属性毎の訴求効果とに基づき、複数の放送枠のそれぞれの販売先を複数の販売対象者の中から選択し得る。
【0013】
本開示の一側面によれば、選択部は、複数の放送枠のそれぞれに関し、対応する放送枠において複数の販売対象者のそれぞれに対応する映像を放送した場合の訴求効果を判別し、複数の放送枠のそれぞれに関する複数の販売対象者のそれぞれの訴求効果に基づき、複数の放送枠のそれぞれの販売先を複数の販売対象者の中から選択してもよい。
【0014】
本開示の一側面によれば、選択部は、複数の販売対象者の少なくとも一部に対して販売対象者毎に二以上の放送枠を割り当てるように、更には二以上の放送枠の放送時間帯のばらつきが基準以上となるように、複数の放送枠のそれぞれの販売先を選択してもよい。
【0015】
本開示の一側面によれば、情報処理システムは、放送枠の販売条件を、視聴者属性毎の訴求効果に基づき、ターゲット属性毎に設定する設定部を備えてもよい。情報処理システムは、販売先に提示する販売条件として、設定部が販売先のターゲット属性に対して設定した販売条件を示す情報を出力する出力部を備えてもよい。販売条件は、販売価格を含んでいてもよい。
【0016】
本開示の一側面によれば、情報処理システムは、複数の放送枠のそれぞれの販売価格を、対応する放送枠の視聴者属性毎の訴求効果に基づき、ターゲット属性毎に設定する設定部を備えてもよい。選択部は、設定部により設定された販売価格を加味して、複数の放送枠のそれぞれの販売先を選択するように構成されてもよい。
【0017】
本開示の一側面によれば、情報処理システムは、上記選択部に代えて、複数の販売対象者のそれぞれのターゲット属性と、効果情報から判別される視聴者属性毎の訴求効果とに基づき、複数の販売対象者のそれぞれに対する放送枠の販売条件を設定するように構成される設定部を備えていてもよい。
【0018】
本開示の一側面によれば、第一取得部は、効果情報として、少なくとも一つの放送枠での、映像の放送による視聴者属性毎の視聴量を表す情報を取得するように構成されてもよい。
【0019】
本開示の一側面によれば、第一取得部は、視聴者属性毎の視聴量として、対応する放送枠における視聴者属性毎の視聴率を表す情報を取得してもよい。本開示の一側面によれば、少なくとも一つの放送枠は、少なくとも一つのスポットCM放送枠を含んでもよい。
【0020】
本開示の一側面によれば、テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための複数の放送枠での、映像の放送による訴求効果であって、訴求目的の種類毎の訴求効果を判別可能な第一情報を取得するように構成される第一取得部と、複数の放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的を判別可能な第二情報を取得するように構成される第二取得部と、第二情報から判別される複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的と、第一情報から判別される複数の放送枠での訴求目的の種類毎の訴求効果とに基づき、複数の放送枠のそれぞれの販売先を複数の販売対象者の中から選択するように構成される選択部と、を備える情報処理システムが提供されてもよい。
【0021】
本開示の一側面によれば、テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための複数の放送枠での、映像の放送による訴求効果であって、訴求目的の種類毎の訴求効果を判別可能な第一情報を取得するように構成される第一取得部と、複数の放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的を判別可能な第二情報を取得するように構成される第二取得部と、第二情報から判別される複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的と、第一情報から判別される複数の放送枠での訴求目的の種類毎の訴求効果とに基づき、複数の販売対象者のそれぞれに対する放送枠の販売条件を設定するように構成される設定部と、を備える情報処理システムが提供されてもよい。
【0022】
本開示の一側面によれば、第一取得部は、訴求目的の種類毎の訴求効果として、訴求目的の商品の種類毎の訴求効果を判別可能な第一情報を取得するように構成されてもよい。
【0023】
本開示の一側面によれば、上述した情報処理システムにおける少なくとも一部の機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。本開示の一側面によれば、上述した情報処理システムにおける第一取得部、第二取得部、及び選択部として、コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。
【0024】
本開示の一側面によれば、上述した情報処理システムにおける第一取得部、第二取得部、及び設定部として、コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。
【0025】
本開示の一側面によれば、上述した情報処理システムが実行する手順を含む情報処理方法が提供されてもよい。本開示の一側面によれば、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための少なくとも一つの放送枠での、映像の放送による視聴者属性毎の訴求効果を判別可能な効果情報を取得することと、少なくとも一つの放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求対象の視聴者属性であるターゲット属性の情報を取得することと、複数の販売対象者のそれぞれのターゲット属性と、効果情報から判別される視聴者属性毎の訴求効果とに基づき、複数の販売対象者の中から放送枠の販売先を選択することと、を含む情報処理方法が提供されてもよい。
【0026】
本開示の一側面によれば、情報処理方法は、上記選択することに代えて、又は、上記選択することに加えて、放送枠の販売条件を、複数の販売対象者のそれぞれに対して設定することを含んでいてもよい。設定することは、複数の販売対象者のそれぞれのターゲット属性と、効果情報から判別される視聴者属性毎の訴求効果とに基づき、複数の販売対象者のそれぞれに対する放送枠の販売条件を設定することを含んでいてもよい。
【0027】
本開示の一側面によれば、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための複数の放送枠での、映像の放送による訴求効果であって、訴求目的の種類毎の訴求効果を判別可能な第一情報を取得することと、複数の放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的を判別可能な第二情報を取得することと、第二情報から判別される複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的と、第一情報から判別される複数の放送枠での訴求目的の種類毎の訴求効果とに基づき、複数の放送枠のそれぞれの販売先を複数の販売対象者の中から選択することと、を含む情報処理方法が提供されてもよい。
【0028】
本開示の一側面によれば、情報処理方法は、上記選択することに代えて、又は、上記選択することに加えて、複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的と、第一情報から判別される複数の放送枠での訴求目的の種類毎の訴求効果とに基づき、複数の販売対象者のそれぞれに対する放送枠の販売条件を設定することを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本開示の例示的実施形態に係る情報処理システムの利用例に関する説明図である。
【
図2】情報処理システムの構成を表すブロック図である。
【
図5】プロセッサが実行する第一の販売支援処理を表すフローチャートである。
【
図6】プロセッサが実行する第二の販売支援処理を表すフローチャートである。
【
図7】第二実施形態において用いられる効果説明データの構成を表す図である。
【
図8】第三実施形態においてプロセッサが実行する探索処理を表すフローチャートである。
【
図9】第四実施形態における効果分析データの構成を表す図である。
【
図10】第四実施形態においてプロセッサが実行する第三の販売支援処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[第一実施形態]
図1に示すように、本実施形態の情報処理システム10は、テレビジョン放送における複数の放送枠BFを一以上のテレビジョン放送局から買い付け、買い付けた複数の放送枠BFを、顧客に販売する企業向けのシステムとして構成される。
【0031】
放送枠BFの買い付けは、対応する放送枠BFにて映像を放送する権利を購入することに対応する。放送枠BFは、放送チャネル及び放送日時で定まる。本実施形態で取り扱われる放送枠BFは、例えばコマーシャル(CM)や通信販売番組(以下通販番組という)などの、消費者に対応する視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための放送枠である。この放送枠BFの例には、スポットCM放送枠、及び、通販番組枠が含まれる。
【0032】
以下では、説明を簡単にするために、放送枠BFがスポットCM放送枠であるとの前提を置く。しかしながら、本開示の技術は、スポットCM放送枠を取り扱うものに限定されない。例えば、以下に説明される放送枠BFは通販番組枠であると理解されてもよい。
【0033】
情報処理システム10は、放送枠BFの販売を支援するための情報を、ユーザに提供するように構成される。
図2に示すように、情報処理システム10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、入力デバイス15と、表示デバイス17と、通信デバイス19と、を備える。
【0034】
プロセッサ11は、ストレージ13に格納されたコンピュータプログラムに従う処理を実行する。メモリ12は、プロセッサ11による処理実行時に作業用メモリとして使用される。ストレージ13は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブなどの補助記憶装置であり、コンピュータプログラムの他、プロセッサ11が実行する処理に供される各種データを記憶する。
【0035】
入力デバイス15は、ユーザからの操作を受け付けて、その操作信号を入力する操作デバイスを含む。操作デバイスの例には、キーボード及びマウスが含まれる。入力デバイス15は更に、ユーザからUSBメモリなどの記録メディアを通じて提供されるデータを受け付けるための構成を含むと理解されてもよい。
【0036】
表示デバイス17は、ユーザ向けの情報を表示するように構成される。表示デバイス17の例には、液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイが含まれる。通信デバイス19は、広域ネットワークに接続された外部装置と通信可能に構成される。
【0037】
外部装置の例には、テレビジョン放送における視聴率の情報を含む視聴分析データDAを提供するサーバ装置30が含まれる。サーバ装置30は、例えばピープルメータを用いて視聴調査を行う企業から提供される視聴分析データDAを記憶するサーバ装置であり得る。
【0038】
視聴分析データDAは、例えば
図3に示すように、放送チャンネル毎の視聴率時系列データを有する。視聴率時系列データは、放送日時毎に、対応する放送チャネル及び放送日時に放送された映像の視聴分布の情報を、放送日時の情報と関連付けて有する。視聴分布の情報は、視聴者属性毎の視聴率の情報である。このように、視聴率時系列データは、視聴者属性毎の視聴率の時系列データを有する。
【0039】
視聴者属性は、例えば男性30代、女性20代などの、性別及び年齢層の組合せで定義される視聴者の属性(デモグラフィック属性)であり得る。M1層,M2層,M3層,F1層,F2層,F3層,C層,T層などの区分けで消費者属性を定義する手法が特に広告業界では周知である。視聴者属性は、この消費者属性に従う属性であり得る。
【0040】
情報処理システム10は、サーバ装置30から視聴分析データDAを逐次取得し、ストレージ13に保存するように動作する。情報処理システム10は更に、放送枠BFの販売支援のために、分析対象データDSの入力を、入力デバイス15を通じてユーザから受けて、分析対象データDSをストレージ13に記憶する。
【0041】
図4に示すように、分析対象データDSは、買付データDS1と、販売先候補データDS2と、条件データDS3と、を備える。買付データDS1は、買い付けられた複数の放送枠BFのそれぞれに関して、放送枠BFを説明する放送枠データDS11を有する。各放送枠データDS11は、放送チャネル及び放送日時の情報を有する。放送枠BFは、放送チャネル及び放送日時の組合せで定義される。
【0042】
販売先候補データDS2は、販売先候補毎に、その候補である顧客の識別情報に関連付けて、顧客がスポットCMにより訴求しようとする訴求対象の視聴者の属性であるターゲット属性の情報を記述する。販売先候補データDS2は、販売先候補毎に、対応する顧客がスポットCMにより広告する商品又は役務の属性情報を有していてもよい。以下では、商品又は役務の属性のことを、商品/役務属性と表現する。一人の顧客が、複数の商品ブランドを有する場合には、商品ブランド毎に放送枠BFを販売することが考えられる。従って、一人の顧客が有する複数の商品ブランドのそれぞれが、個別の販売先候補として定義されてもよい。
【0043】
条件データDS3は、制約条件データDS31と、販売条件データDS32と、を有する。制約条件データDS31は、複数の放送枠BFに対して販売先候補を割り当てることによって販売先を選択する際の、割当に関する制約条件を定義するデータである。
【0044】
例えば、広告主は、月曜日だけ、又は、朝だけといった特定の曜日又は時間帯だけのCM放送を希望することは少なく、分散した日時でのCM放送を望んでいることが多い。更には、各広告主には、最低出稿量が決まっていることも多い。制約条件データDS31は、このような販売先候補のニーズに沿った放送枠BFの割当を実現するための割当に関する制約条件を定義する目的で用意される。制約条件データDS31は、販売先候補毎に、最低出稿量、希望放送曜日・時間帯、及び、放送枠の分散度などの情報を有することができる。
【0045】
販売条件データDS32は、販売先に提示する販売条件としての販売価格の算出ルールを定義するデータである。本実施形態によれば、販売価格は、販売先候補のターゲット属性と、放送枠BFの視聴分布と、の関係によって決定される。販売条件データDS32は、このような関係に応じた販売価格を設定するために用いられる。
【0046】
一例によれば、販売価格は、販売する放送枠BFにおける販売先のターゲット属性と同一の視聴者属性の推定視聴率EAに、価格係数Kを掛けた値Z=K*EAに決定され得る。この例によれば、販売条件データDS32は、価格係数Kの情報を有する。
【0047】
推定視聴率EAは、販売対象の放送枠BFと同じ曜日及び時刻の過去の放送枠における過去所定期間の平均視聴率であり得る。例えば、ある放送枠BFの推定視聴率EAは、同一曜日及び時刻における前4週の平均視聴率であり得る。平均視聴率は、サーバ装置30から提供される視聴分析データDAから判別可能である。
【0048】
続いて、プロセッサ11が実行する第一の販売支援処理を、
図5を用いて説明する。第一の販売支援処理は、ユーザから入力デバイス15を通じて第一の販売支援処理の実行指示が入力されたときに、プロセッサ11により実行される。
【0049】
第一の販売支援処理を開始すると、プロセッサ11は、実行指示と共に指定された分析対象データDSを、ストレージ13から読み出す(S110)。その後、プロセッサ11は、上記読み出した分析対象データDSが有する買付データDS1を参照して、買い付けられた各放送枠BFの視聴者属性別の視聴率X[n](n=1,2,…,N)を判別する(S120)。X[n]は、視聴者属性n(=1,2,…,N)の視聴率を意味する。
【0050】
S120で判別される視聴率X[n]は、具体的には上述した推定視聴率EAである。視聴率X[n]の判別のために、プロセッサ11は、最新の視聴分析データDAを、通信デバイス19を通じてサーバ装置30から取得することができる。プロセッサ11は、買い付けられた放送枠BFの夫々に関して、同一曜日及び時刻の放送枠の過去所定期間の視聴者属性別の視聴率に基づいて、視聴者属性別の視聴率X[n]を判別することができる。
【0051】
更に、プロセッサ11は、読み出した分析対象データDSが有する販売先候補データDS2を参照して、各販売先候補のターゲット属性を判別する(S130)。更に、プロセッサ11は、買い付けられた各放送枠BFについて、販売先候補毎の効果予測値Y[m](m=1,2,…,M)を算出する(S140)。
【0052】
効果予測値Y[m]は、販売先候補m(=1,2,…,M)が、対応する放送枠BFでターゲット属性に対応する消費者向けのコマーシャルを放送した場合の訴求効果の予測値に対応する。
【0053】
一例によれば、ある放送枠BFに対する販売先候補mの効果予測値Y[m]は、販売先候補mのターゲット属性に一致する視聴者属性nの当該放送枠BFにおける視聴率X[n]に訴求効果係数Cをかけた値Y[m]=C・X[n]として算出される。
【0054】
ここでは、読者の理解のために、訴求効果係数C=1、すなわち、効果予測値Y[m]が、販売先候補mのターゲット属性に一致する視聴者属性nの視聴率X[n]である例を、最初に説明する。訴求効果係数Cが値1以外の例については後述する。
【0055】
S140では、上述したように放送枠BF及び販売先候補の組合せ毎の効果予測値Y[m](m=1,2,…,M)が算出される。続くS150において、プロセッサ11は、この効果予測値Y[m](m=1,2,…,M)を用いて、買い付けられた複数の放送枠BFに対する販売先候補の割当パターンとして適切なものを探索する。
【0056】
ここでいう割当パターンは、各放送枠BFに複数の販売先候補のいずれか一人を割り当てたときの、上記買い付けられた複数の放送枠BFの全体に関する、各放送枠BFと割り当てられた販売先候補との組合せの一群のことを意味する。
【0057】
具体的に、プロセッサ11は、制約条件データDS31が示す制約条件を満足する範囲で訴求効果が基準以上の割当パターンを探索する(S150)。探索される割当パターンは、一つに限られない。
【0058】
第一例によれば、プロセッサ11は、放送枠BF毎に、この放送枠BFに対して割り当てる販売先候補を、この放送枠BFにおいて効果予測値Y[m]が第一の基準値以上の販売先候補に絞り込む。プロセッサ11は、各放送枠BFに対して絞り込まれた販売先候補のみを選択肢として、複数の放送枠BFの全体について制約条件を満足する割当パターンを探索する。
【0059】
第二例によれば、プロセッサ11は、上記絞り込まれた販売先候補のみを選択肢として、制約条件を満足する範囲内で、効果予測値Y[m]の合計が第二の基準値以上となる割当パターンを探索する。ここでの合計は、対応する割当パターンで仮に各放送枠BFに販売先候補を割り当てた場合の、割り当てられた販売先候補に関する各放送枠BFの効果予測値Y[m]の、複数の放送枠BFの全体における合計を意味する。
【0060】
第三例によれば、プロセッサ11は、上記絞り込まれた販売先候補のみを選択肢として、制約条件を満足する範囲内で、効果予測値Y[m]の上記合計が最大の割当パターンを探索する。この場合、探索される割当パターンは、一つのみである。
【0061】
制約条件については、上述した通りである。補足すると、分散度に関する制約条件が記述された販売先候補に対しては、この販売先候補に二つ以上の放送枠BFを割り当てる場合、二つ以上の放送枠の放送時間帯のばらつきが、指定された分散度以上となるように、割当パターンを探索する。
【0062】
例えば、分散度として、朝、昼、夜の各時間帯に対する割当率の最低値が指定される場合、対応する販売先候補に割り当てられる「二つ以上の放送枠BF」の全体に対する時間帯毎の放送枠BFの割合が、指定された最低値以上となるように、割当パターンを探索する。
【0063】
同様に、分散度として、各曜日に対する割当率の最低値が指定される場合、対応する販売先候補に割り当てられる「二つ以上の放送枠BF」に対する各曜日の割合が、対応する曜日について指定された最低値以上となるように、割当パターンを探索する。分散度が曜日及び時間帯の組合せで指定されることもあり得る。
【0064】
S150において割当パターンを探索し終えると、プロセッサ11は、探索により発見された割当パターンに従って、各放送枠BFの販売先を、販売先候補から一つ以上選択する(S160)。
【0065】
割当パターンが、上記第一例及び第二例に従って探索される場合、探索される割当パターンは、通常複数である。従って、複数の割当パターンの全体では、各放送枠BFに対して、複数の販売先候補が割り当てられることになる。
【0066】
この場合、プロセッサ11は、各放送枠BFに対して、上記割り当てられた複数の販売先候補のすべて又は一部を、順位付けしつつ販売先に選択することができる。順位付けは、ユーザに販売先の優先度を提案するために行われ得る。順位付けによって、ユーザは、例えば、第一位の販売先が購入しない場合には、第二位の販売先に購入を提案することができる。順位付けは、効果予測値Y[m]又は放送枠BFの販売価格に基づいて行われ得る。例えば、効果予測値Y[m]又は販売価格の一番高い販売先が第一位の販売先に設定され得る。
【0067】
割当パターンが、第三例に従って探索される場合、プロセッサ11は、各放送枠BFに対して割り当てられた一つの販売先候補を、販売先に選択することができる。
【0068】
S160での処理を超えると、プロセッサ11は、各放送枠BFに対して選択した販売先の識別情報を含む販売先情報を出力する(S170)。具体的に、プロセッサ11は、表示デバイス17に販売先情報を表示することができる。プロセッサ11は、販売先情報をストレージ13に保存することができる(S170)。プロセッサ11は、その後、第一の販売支援処理を終了する。
【0069】
S170において、プロセッサ11は、各放送枠BFの販売価格を、販売先のターゲット属性に基づき設定して(S171)、その販売価格を示す販売条件情報を販売先への提示のために、販売先情報と共に出力することができる(S173)。
【0070】
プロセッサ11は、放送枠BFに対する販売先として販売先候補mが選択されている場合には、販売先候補mのターゲット属性に一致する視聴者属性nの、その放送枠BFにおける視聴率X[n]に、価格係数Kを乗算した値Z=K・X[n]を販売価格Zに設定することができる。
【0071】
S171において、プロセッサ11は、この設定に関する処理を、放送枠BF及び販売先の組合せ毎に実行することができる。S173において、プロセッサ11は、上記設定した販売価格Zを、対応する放送枠BFに関する販売先の情報に関連付けて出力することができる。
【0072】
販売価格Zは、S150において、割当パターンを探索する際に用いられてもよい。各広告主には、コマーシャルの出稿予算の上限が決まっていることも多い。従って、制約条件データDS31は、販売先候補毎に、出稿予算の上限値の情報を、制約条件として有することが考えられる。
【0073】
この場合、S150において、プロセッサ11は、販売条件データDS32に従って、各放送枠BFに対してターゲット属性毎の販売価格を設定し、放送枠BF及びターゲット属性の組合せ毎の販売価格の情報に基づき、各販売先候補について、その販売先候補に割り当てる放送枠BFの販売価格の合計が出稿予算の上限値を超えない制約条件の中で、割当パターンを探索することができる。
【0074】
第一の販売支援処理によれば、情報処理システム10は、スポットCMに対応する放送枠BFに関し、視聴者属性別の視聴率を考慮しながら、全体の訴求効果が高くなるように、買い付けた複数の放送枠BFのそれぞれに対して販売先を割り当てることができる。従って、販売先に対応する複数の顧客に対して有意義な放送枠BFを提供することができ、放送枠BFの販売に関して顧客満足度を高めることができる。
【0075】
この他、プロセッサ11は、入力デバイス15を通じてユーザから第二の販売支援処理の実行指示が入力されたときに、
図6に示す第二の販売支援処理を実行する。第二の販売支援処理において、プロセッサ11は、まずS110-S130の処理と同様の処理を実行する(S210-S210)。すなわち、プロセッサ11は、ユーザから指定された分析対象データDSをストレージ13から読み出し(S210)、各放送枠BFの視聴者属性別の視聴率X[n]を判別する(S220)。更に、プロセッサ11は、各販売先候補のターゲット属性を判別する(S230)。
【0076】
その後、プロセッサ11は、各放送枠BFに対し、ターゲット属性毎の販売価格Zを設定する(S240)。販売価格Zは、上述したようにターゲット属性に一致する視聴者属性nの視聴率X[n]に基づいて設定され得る。
【0077】
更に、プロセッサ11は、各放送枠BFに関して、販売先候補毎の効果予測値Y[m]を、S140での処理と同様に算出する(S245)。その後、プロセッサ11は、買い付けられた複数の放送枠BFの中から一つの放送枠を指定する操作を、入力デバイス15を通じてユーザから受け付ける(S250)。
【0078】
プロセッサ11は、指定する操作がなされた場合(S260でYes)、S270の処理を実行し、指定する操作の代わりに、終了操作がなされた場合(S265でYes)、第二の販売支援処理を終了する。
【0079】
このようにして、プロセッサ11は、終了操作がなされるまで、放送枠BFを指定する操作がなされる度、S270の処理を実行する。S270において、プロセッサ11は、指定された放送枠BFの販売条件に関する情報として、販売先候補毎の販売価格の情報を出力する。
【0080】
具体的には、プロセッサ11は、販売先候補データDS2に登録された販売先候補毎に、この販売先候補のターゲット属性に対してS240で設定された販売価格、及び、この販売先候補についてS245で算出された効果予測値Y[m]を記述した情報を、販売先候補に対応する顧客の識別情報と共に表示デバイス17に表示する。
【0081】
以上に説明される情報処理システム10によれば、ユーザは、第二の販売支援処理によって得られる情報に基づき、例えば、放送枠BFの販売による利益及び購入者側のCM放送による利益の両者を考慮しながら、放送枠BFの販売先を決定することができる。更に言えば、ユーザは、訴求効果の説明と共に放送枠BFの購入を顧客に提案することができる。従って、この情報処理システム10は、ユーザの放送枠BFの販売行為の支援に役立つ。
【0082】
続いて、第一実施形態の変形例を、第二実施形態、第三実施形態、及び第四実施形態として説明する。変形例の情報処理システム10の構成及び動作は、一部を除いて、上記第一実施形態と同様である。従って、以下では、変形例の情報処理システム10の上記第一実施形態と同様の構成及び動作に関する説明を省略する。変形例の情報処理システム10において、第一実施形態と同一符号が付された部位及び同一ステップ番号が付された処理は、追加の説明がない限り、第一実施形態の対応する部位及び処理と同様であると理解されてよい。
【0083】
[第二実施形態]
第二実施形態の情報処理システム10では、S140における効果予測値Y[m]の算出に、訴求効果係数Cとして、販売先候補が販売する商品又は役務の属性である商品/役務属性を考慮した値が用いられる。
【0084】
第二実施形態では、ストレージ13に、
図7に示す効果説明データベースDEが格納される。効果説明データベースDEは、商品/役務属性毎に、効果説明データDE1を有する。効果説明データDE1は、対応する一つの商品/役務属性に関し、訴求効果係数Cとして、視聴者属性及び時間帯の組合せ毎の訴求効果係数C[n,t]を定義する。
【0085】
訴求効果係数C[n,t]は、時間帯tにおいてコマーシャルを放送したときの視聴者属性nに対する訴求効果の大きさを表す。ここでいう時間帯tには曜日の概念が含まれていると理解されてもよい。
【0086】
一例によれば、訴求効果係数C[n,t]は、この視聴者属性nに属する一人の視聴者が時間帯tに放送されたコマーシャルを見たときのコンバージョン率として定められ得る。ここでいうコンバージョン率は、視聴者がコマーシャルに反応して広告主が目標としている行動を起こす確率に対応する。
【0087】
コンバージョン率は、例えば、過去における、対応する商品/役務属性に属する商品又は役務に関するCM放送後の、関連するウェブサイト又はコールセンタに対する消費者のアクセス増加量から推定され得る。関連するウェブサイト又はコールセンタには、商品又は役務を紹介するウェブサイト、商品又は役務を販売するウェブサイト又はコールセンタが含まれる。
【0088】
第二実施形態の販売先候補データDS2は、販売先候補毎に、ターゲット属性と併せて、対応する顧客がスポットCMにより広告する商品又は役務の属性を示す情報を有する。
【0089】
プロセッサ11は、S130において、販売先候補毎のターゲット属性及び商品/役務属性を判別する。プロセッサ11は、S140で、各放送枠BFについて販売先候補毎の効果予測値Y[m]を算出する際、対応する販売先候補mの商品/役務属性の効果説明データDE1を参照し、販売先候補mの商品/役務属性と、販売先候補mのターゲット属性と、放送枠BFに対応する放送時間帯と、の組合せに一致する訴求効果係数C[n,t]を特定する。
【0090】
プロセッサ11は、特定した訴求効果係数C[n,t]を用いて、式Y[m]=C[n,t]・X[n]に従って、販売先候補mが対応する放送枠BFでコマーシャルを放送したときの効果予測値Y[m]を算出する。
【0091】
第二実施形態によれば、顧客がコマーシャルによって訴求しようとする商品又は役務の属性及び放送時間帯を加味して、販売先候補毎の訴求効果に関する効果予測値Y[m]を算出し、これを放送枠BFの割当パターンの探索に用いるので、訴求効果の高い放送枠BFの割当を実現することができる。これは、広告主にとっては訴求効果の高いコマーシャルを放送することに役立ち、放送枠BFの販売主にとっては、顧客満足度の向上に役立つ。
【0092】
[第三実施形態]
続いて、第三実施形態を、
図8を用いて説明する。第三実施形態の情報処理システム10は、第一実施形態において実行される
図5に示す第一の販売支援処理におけるS150の処理に変更を加えた例である。
図8は、第三実施形態において、プロセッサ11がS150で実行する処理のフローチャートを表す。
【0093】
S150において、プロセッサ11はまず、S240での処理と同様に、各放送枠BFのターゲット属性毎の販売価格Zを設定する(S310)。その後、プロセッサ11は、各放送枠BFに関して、販売先候補毎の価格対効果予測値Yc[m](m=1,2,…,M)を算出する(S320)。価格対効果予測値Yc[m]は、販売先候補m(=1,2,…,M)が、対応する放送枠BFでターゲット属性に対応する消費者向けのコマーシャルを放送した場合の放送枠BFの購入費用に対する訴求効果の予測値に対応する。
【0094】
S320において、価格対効果予測値Yc[m]は、例えば、次式Yc[m]=Y[m]/Zで算出される。この式に含まれるZは、販売先候補mに対する放送枠BFの販売価格である。すなわち、Zは、販売先候補mのターゲット属性に関してS310で設定された販売価格Zである。Y[m]は、上述の第一実施形態又は第二実施形態の効果予測値Y[m]である。第二実施形態の効果予測値Y[m]と販売価格との関係は、一定ではないので、S320では、第二実施形態の効果予測値Y[m]を用いて価格対効果予測値Yc[m]を算出すると特に有意義である。
【0095】
続くS330において、プロセッサ11は、S320で算出された放送枠BF及び販売先候補の組み合わせ毎の価格対効果予測値Yc[m](m=1,2,…,M)を用いて、買い付けられた複数の放送枠BFに対する販売先候補の割当パターンとして適切なものを制約条件データDS31が示す制約条件を満足する範囲内で探索する。
【0096】
具体的に、プロセッサ11は、S150の処理の第一例と同様の処理を、効果予測値Y[m]に代えて、価格対効果予測値Yc[m]を用いて実行することができる。
【0097】
すなわち、プロセッサ11は、放送枠BF毎に、この放送枠BFに対して割り当てる販売先候補を、この放送枠BFにおいて価格対効果予測値Yc[m]が第一の基準値以上の販売先候補に絞り込むことができる。プロセッサ11は、各放送枠BFに対して絞り込まれた販売先候補のみを選択肢として、複数の放送枠BFの全体について制約条件を満足する割当パターンを探索することができる。第一の基準値は、例えば、販売実績を考慮して定められ得る。第一の基準値は、販売先候補毎に、対応する販売先候補のスポットCM放送枠の購入実績を考慮して個別に設定されてもよい。
【0098】
別例として、プロセッサ11は、上記絞り込まれた販売先候補のみを選択肢として、制約条件を満足する範囲内で、価格効果予測値Yc[m]の平均が第二の基準値以上又は最大となる割当パターンを探索することができる。ここでの平均は、対応する割当パターンで仮に各放送枠BFに販売先候補を割り当てた場合の、割り当てられた販売先候補に関する各放送枠BFの効果予測値Y[m]の、複数の放送枠BFの全体における平均を意味する。
【0099】
別例として、プロセッサ11は、上記絞り込まれた販売先候補のみを選択肢として、制約条件を満足する範囲内で、販売価格の合計が第二の基準値以上又は最大となる割当パターンを探索することができる。販売価格の合計は、対応する割当パターンで仮に各放送枠BFに販売先候補を割り当てた場合の、割り当てられた販売先候補に対する各放送枠BFの販売価格Zの、複数の放送枠BFの全体における合計を意味する。
【0100】
第三実施形態によれば、価格対効果を考慮した放送枠BFの割当を実現可能である。従って、放送枠BFの販売主にとっては、顧客満足度の向上に役立つ。
【0101】
[第四実施形態]
続いて、第四実施形態を、
図9及び
図10を用いて説明する。第四実施形態の情報処理システム10は、第一実施形態の情報処理システム10を、通販番組枠に対応する放送枠BFの割当に適合させたものである。
【0102】
本実施形態では、サーバ装置30が、第一実施形態の視聴分析データDAに代えて、
図9に示す効果分析データDFを情報処理システム10に提供するように構成される。効果分析データDFは、放送チャンネル毎の効果詳細データを有する。
【0103】
効果詳細データは、放送日時毎に、対応する放送枠で放送された通販番組の販売実績データを有する。放送日時は、例えば1週間を、曜日及び時間帯で区切って定義される。販売実績データは、商品属性毎に、複数週間に及ぶ過去の販売実績に基づいた放送日時毎の販売実績値を記述する。
【0104】
販売実績値は、例えば、健康飲料、パーソナルコンピュータなどの商品属性毎に、対応する商品群の販売量の大きさを、特定尺度で表した値である。販売実績値は、複数週間における同一曜日及び同一時間帯での過去の販売実績の平均であり得る。商品属性は、JICFS(JAN Item Code File Service)で定義される商品分類であり得る。
【0105】
標準的な販売数及び販売額は、商品属性によって異なる。そのため、販売実績値は、販売数又は販売額の大きさを規格化した値であり得る。例えば、対応する商品属性の標準的な販売数又は販売額からの増加率又は減少率で、販売量の大きさは表され得る。販売実績値は、売買が成立した取引以外の実績値を含み得る。例えば、販売実績値は、番組で紹介した商品の問い合わせ件数に関する実績値であってもよい。すなわち、販売実績値は、視聴者の反応に関する実績値であってもよい。
【0106】
本実施形態において、情報処理システム10は、サーバ装置30から効果分析データDFを逐次取得し、ストレージ13に保存するように動作する。情報処理システム10は更に、買付データDS1と、販売先候補データDS2と、条件データDS3と、を含む分析対象データDSの入力を、入力デバイス15を通じてユーザから受けて、分析対象データDSをストレージ13に記憶する。
【0107】
本実施形態の販売先候補データDS2は、販売先候補毎に、その候補である顧客の識別情報に関連付けて、顧客の訴求目的の商品、換言すれば通販番組で販売しようとする商品の属性を、ターゲット属性の情報として記述するように構成される。
【0108】
本実施形態によれば、プロセッサ11は、
図5に示す第一の販売支援処理に代えて、
図10に示す第三の販売支援処理を実行するように構成される。第三の販売支援処理は、ユーザから入力デバイス15を通じて第三の販売支援処理の実行指示が入力されたときに、プロセッサ11により実行される。
【0109】
第三の販売支援処理を開始すると、プロセッサ11は、実行指示と共に指定された分析対象データDSを、ストレージ13から読み出する(S410)。その後、プロセッサ11は、上記読み出した分析対象データDSが有する買付データDS1と、予めストレージ13に記憶した効果分析データDFとを参照して、買い付けられた各放送枠BFの商品属性別の販売実績値P[j](j=1,2,…,J)を判別する(S420)。P[j]は、商品属性j(=1,2,…,J)の販売実績値を意味する。
【0110】
更に、プロセッサ11は、読み出した分析対象データDSが有する販売先候補データDS2を参照して、各販売先候補のターゲット属性、すなわち各販売先候補の訴求目的に対応する商品の属性を判別する(S430)。更に、プロセッサ11は、買い付けられた各放送枠BFについて、販売先候補毎の効果予測値W[m](m=1,2,…,M)を算出する(S440)。
【0111】
ここで算出される効果予測値W[m]は、販売先候補m(=1,2,…,M)が、対応する放送枠BFでターゲット属性に対応する商品属性の商品を販売した場合の訴求効果の予測値に対応する。
【0112】
一例によれば、ある放送枠BFに対する販売先候補mの効果予測値W[m]は、販売先候補mのターゲット属性に一致する商品属性jの当該放送枠BFにおける販売実績値P[j]に、商品属性jに対応する訴求効果係数C[j]をかけた値W[m]=C[j]・P[j]として算出される。
【0113】
訴求効果係数C[j]は、全商品属性に関してC[j]=1であり得る。あるいは、訴求効果係数C[j]は、対応する商品属性jを有する商品の放送枠BFを通じた販売によって販売先に期待される利益が効果予測値W[m]として算出されるように調整された商品属性j毎に異なる係数であり得る。訴求効果係数C[i]は、条件データDS3に予め記述され得る。
【0114】
続くS450において、プロセッサ11は、効果予測値W[m](m=1,2,…,M)を用いて、買い付けられた複数の放送枠BFに対する販売先候補の割当パターンとして適切なものを探索する。S450での処理は、効果予測値Y[m]に代えて、効果予測値W[m]を用いて、第一実施形態におけるS150での処理と同様の手法を用いて実行可能である。
【0115】
S450において割当パターンを探索し終えると、プロセッサ11は、S160での処理と同様に、探索により発見された割当パターンに従って、各放送枠BFの販売先を、販売先候補から一つ以上選択する(S460)。
【0116】
S460での処理を超えると、プロセッサ11は、S170での処理と同様に、各放送枠BFに対して選択した販売先の識別情報を含む販売先情報を出力する(S470)。プロセッサ11は、表示デバイス17に販売先情報を表示することができる。プロセッサ11は、販売先情報をストレージ13に保存することができる(S470)。プロセッサ11は、その後、第三の販売支援処理を終了する。
【0117】
S470において、プロセッサ11は、各放送枠BFの販売価格を、販売先のターゲット属性に基づき設定し(S471)、その販売価格を示す販売条件情報を販売先への提示のために、販売先情報と共に出力することができる(S473)。
【0118】
プロセッサ11は、放送枠BFに対する販売先として販売先候補mが選択されている場合、販売先候補mのターゲット属性に一致する商品属性jの、その放送枠BFにおける販売実績値P[j]に、価格係数K[j]を乗算した値Z=K[j]・P[j]を販売価格Zに設定することができる。商品属性毎の価格係数K[i]は、条件データDS3に予め記述され得る。
【0119】
S471において、プロセッサ11は、上記販売価格Zの設定に関する処理を、放送枠BF及び販売先の組合せ毎に実行することができる。S473において、プロセッサ11は、上記設定した販売価格Zを、対応する放送枠BFに関する販売先の情報に関連付けて出力することができる。
【0120】
以上に説明した第三の販売支援処理によれば、通販番組枠に対応する放送枠BFに関し、過去の販売実績を考慮しながら、全体の訴求効果が高くなるように、買い付けた複数の放送枠BFのそれぞれに対して販売先を割り当てることができる。従って、販売先に対応する複数の顧客に対して有意義な放送枠BFを提供することができ、放送枠BFの販売に関して顧客満足度を高めることができる。
【0121】
付言すれば、プロセッサ11は更に、第一実施形態における第二の販売支援処理(
図6参照)と同様の処理を、効果分析データDFと、各販売先候補のターゲット属性に対応する商品属性とに基づいて実行してもよい。
【0122】
すなわち、プロセッサ11は、S220では、各放送枠BFの商品属性別の販売実績値P[j]を判別し、S230では、各販売先候補のターゲット属性(すなわち、販売先候補の訴求目的に対応する商品の属性)を判別することができる。
【0123】
プロセッサ11は更に、S240では、ターゲット属性毎の販売価格Zを設定することができる。S245では、各放送枠BFに関して販売先候補毎の効果予測値W[m]を算出することができる。また、S270では、指定された放送枠BFについて、販売先候補毎の販売価格Z及び効果予測値W[m]の情報を、指定された放送枠BFの販売条件に関する情報として出力することができる。
【0124】
[その他]
本開示の例示的実施形態は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、割当パターンの探索に用いられる制約条件は、上述した例に限定されず、顧客側のニーズにおいて様々に設定され得る。例えば、制約条件には、スポットCM放送枠の前後に放送される番組のジャンルに関する条件が含まれてもよい。割当パターンの探索に用いられる訴求効果の指標、放送枠BFの販売価格の決定方法もまた、上記の例に限定されない。
【0125】
例えば、第一実施形態において、割当パターンの探索のために用いられる視聴者属性別の視聴率X[n]は、過去所定期間の平均視聴率に対応する推定視聴率EAである。効果予測値Y[m]は、この推定視聴率EAに基づいて算出される。但し、所定規則で算出される推定視聴率EAは、季節や暦、イベント等の環境変化を考慮しないものである。
【0126】
従って、推定視聴率EAに対しては、予想される達成率Rをかけて、更に精度の高い推定視聴率(R・EA)が、視聴者属性別の視聴率X[n]として算出されてもよい。あるいは、効果予測値Y[m]を算出する際に、視聴率X[n]に対して達成率Rが乗算されてもよい。ここでいう達成率Rは、実際に観測される視聴率の推定視聴率EAに対する割合を意味する。
【0127】
割当パターンの探索に際しては、割当対象の複数の放送枠BFのそれぞれについて、予想される達成率Rを判別し、予想される達成率Rが100%以上となる優良放送枠が、複数の販売先候補に適切に配分されるように、割当パターンは探索されてもよい。
【0128】
この場合、制約条件データDS31には、各販売先候補に対する優良放送枠の割当数又は割当率などの割当規則を記述することができ、プロセッサ11は、割当規則に従って、優良放送枠を各販売先候補に割り当てるように、割当パターンを探索し得る。
【0129】
この他、販売先候補に対する放送枠BFの販売条件は、単位視聴率当たりの販売価格として定められてもよい。すなわち、販売価格Zは、実際の放送時に観測された視聴率に、単位視聴率当たりの販売価格をかけて算出されてもよい。換言すれば、販売条件は、販売価格Zそれ自体ではなく、販売価格Zの算出ルール(例えば算出式)を定めるものであってもよい。
【0130】
また、延べ視聴率に対応する上述の視聴率X[n]に代えて、別の尺度で視聴量を表現した視聴者属性別の視聴量が、効果予測値Y[m]の算出に用いられてもよい。延べ視聴率では、一人の視聴者が複数回コマーシャルを視聴した場合でも、複数の視聴者が1回コマーシャルを視聴した場合でも、区別なく視聴率が計算される。
【0131】
しかしながら、視聴者属性別の視聴量は、対応する視聴者属性を有する視聴者へのリーチ数であってもよい。すなわち、視聴者属性別の視聴量は、コマーシャルを1回以上見た、対応する視聴者属性を有する視聴者の人数であってもよい。
【0132】
視聴者属性別の視聴量は、回数別のリーチ数であってもよい。回数別のリーチ数は、例えば、コマーシャルをN1回以上見た視聴者の人数、コマーシャルをN2回以上見た視聴者の人数のように、対応する回数以上コマーシャルを見た視聴者の人数である。
【0133】
この他、視聴者属性別の視聴量は、視聴者属性別の含有率であってもよい。ここでいう含有率は、コマーシャルを見た視聴者集団の中での、対応する視聴者属性を有する視聴者の割合であり、視聴者属性別の視聴率を、全属性の視聴率で除算した値に対応する。
【0134】
視聴者属性別の視聴率X[n]に代えて、視聴者属性別の販売指標が用いられてもよい。販売指標の例には、売上、電話入電数、契約申し込み数、ウェブサイト検索数、ウェブサイト流入数、及びコンバージョン数などが含まれる。この他、視聴量又は訴求効果に関する複数の指標を用いて、販売先のニーズに適合した放送枠BFの割当が行われ得る。
【0135】
上述した第一実施形態から第四実施形態は組み合わせられてもよい。例えば、第一から第三実施形態の効果予測値Y[m]と第四実施形態の効果予測値W[m]との両者を用いて、割当パターンが探索されてもよい。この場合には、効果予測値Y[m],W[m]の尺度を揃えつつ、プロセッサ11は、複数の放送枠BFの全体における効果予測値の合計を、販売先候補毎に効果予測値Y[m]を用いるケース、及び、効果予測値W[m]を用いるケースのそれぞれについて求めることができ、それにより、例えば合計が最大となる、又は、基準以上となる割当パターンを探索することができる。
【0136】
訴求効果の高い放送枠BFに対しては高い販売価格を設定し得る。従って、複数の放送枠BFの全体での販売金額合計又は仕入れ価格からの差分に対応する利益合計を考慮しながら、割当パターンが探索されてもよい。割当パターンの探索に際し、効果予測値Y[m],W[m]として、対応する放送枠BFの販売先候補に対する販売価格に対応する値が用いられてもよい。
【0137】
効果予測値Y[m],W[m]や販売価格の算出に用いられるパラメータは、視聴率X[n]や販売実績値P[j]に限られないし、これらの算出に用いられるパラメータの種類は、販売先候補毎に異なっていてもよい。割当パターンの探索に際して、販売先候補毎にパラメータの種類を切り替えて、効果予測値の合計が最大となる又は基準以上となる割当パターンが探索されてもよい。
【0138】
上述の販売実績値P[j]に代えて、過去の実績から推定した値であって、仮に対応する放送枠BFで商品を紹介した場合の視聴者の反応に関する推定値が算出されて、効果予測値W[m]の算出に用いられてもよい。
【0139】
視聴者の反応には、上述の通り、放送枠BFで紹介した商品の問い合わせ件数が含まれる。例えば、この問い合わせ件数の推定値を、プロセッサ11は、機械学習技術を用いて算出してもよい。例えば、過去の実績からランダムフォレストなどの機械学習アルゴリズムを用いて、問い合わせ件数の推定値を算出するための推定モデルを構築し、上記推定値を算出してもよい。推定モデルは、例えば、放送日、曜日、時間帯、及び番組内容の少なくとも一部から、問い合わせ件数の推定値を求めるためのモデルとして構築され得る。機械学習アルゴリズムは、その他の視聴者の反応に関する推定値の算出や、訴求効果の推定値の算出に使用され得る。
【0140】
この他、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。上記実施形態の構成の少なくとも一部は、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0141】
10…情報処理システム、11…プロセッサ、12…メモリ、13…ストレージ、15…入力デバイス、17…表示デバイス、19…通信デバイス、30…サーバ装置、BF…放送枠、DS1…買付データ、DS11…放送枠データ、DS2…販売先候補データ、DS3…条件データ、DS31…制約条件データ、DS32…販売条件データ、DA…視聴分析データ、DE…効果説明データベース、DE1…効果説明データ、DF…効果分析データ、DS…分析対象データ。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための複数の放送枠のそれぞれでの、前記映像の放送による視聴者属性毎の訴求効果を判別可能な効果情報を取得するように構成される第一取得部と、
前記複数の放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求対象の視聴者属性であるターゲット属性の情報を取得するように構成される第二取得部と、
前記複数の販売対象者のそれぞれの前記ターゲット属性と、前記効果情報から判別される前記複数の放送枠のそれぞれでの前記視聴者属性毎の訴求効果とに基づき、前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を前記複数の販売対象者の中から選択するように構成される選択部と、
を備え、
前記選択部は、前記複数の放送枠のそれぞれに関して、対応する放送枠の販売価格又は販売価格の算出式を、販売条件として、対応する販売対象者のターゲット属性に基づき、前記販売対象者毎に設定し、前記販売条件を加味して前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を選択し、前記複数の放送枠のそれぞれに関して、対応する放送枠の前記販売先に提示する販売条件として、対応する前記販売対象者に対して設定された前記販売条件を示す情報を出力する情報処理システム。
【請求項2】
前記選択部は、前記複数の放送枠のそれぞれに関して、対応する放送枠において前記複数の販売対象者のそれぞれに対応する前記映像を放送した場合の訴求効果を判別し、前記複数の放送枠のそれぞれに関する前記複数の販売対象者のそれぞれの前記訴求効果に基づき、前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を前記複数の販売対象者の中から選択する請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記選択部は、前記複数の放送枠のそれぞれを選択した前記販売先に販売する場合の前記複数の放送枠に関する前記販売価格の合計が所定条件を満足するように、前記複数の放送枠のそれぞれの前記販売先を選択する請求項1又は請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記選択部は、前記複数の販売対象者の少なくとも一部に関して、販売対象者毎の、対応する販売対象者への販売価格の合計が、前記対応する販売対象者から指定された予算上限に対応する金額を超えない範囲内で、前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を選択する請求項1~請求項3のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記選択部は、前記複数の販売対象者の少なくとも一部に対して販売対象者毎に二以上の放送枠を割り当てるように、更には前記二以上の放送枠の放送時間帯のばらつきが基準以上となるように、前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を選択する請求項1~請求項4のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記第一取得部は、前記効果情報として、前記複数の放送枠のそれぞれでの、前記映像の放送による視聴者属性毎の視聴量を表す情報を取得する請求項1~請求項5のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記第一取得部は、前記視聴者属性毎の視聴量として、対応する放送枠での視聴者属性毎の視聴率を表す情報を取得する請求項5又は請求項6記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記選択部は、放送時間帯毎に定められた視聴量から訴求効果への変換規則に基づき、前記視聴者属性毎の視聴量を、前記視聴者属性毎の訴求効果に変換し、当該変換により、前記視聴者属性毎の訴求効果を判別する請求項6又は請求項7記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記変換規則は、前記放送時間帯及び視聴者属性の組合せ毎に定められる請求項8記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記視聴者属性毎の訴求効果は、対応する視聴者属性の視聴量に訴求効果係数を掛けて算出され、
前記訴求効果係数は、対応する放送時間帯に放送された映像に視聴者が反応して、訴求目的に対応する行動を起こす確率に対応する請求項8又は請求項9記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記複数の放送枠は、少なくとも一つのスポットCM放送枠を含む請求項1~請求項10のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項12】
テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための複数の放送枠での、前記映像の放送による訴求効果であって、訴求目的の種類毎の訴求効果を判別可能な第一情報を取得するように構成される第一取得部と、
前記複数の放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的を判別可能な第二情報を取得するように構成される第二取得部と、
前記第二情報から判別される前記複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的と、前記第一情報から判別される前記複数の放送枠での前記訴求目的の種類毎の訴求効果とに基づき、前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を前記複数の販売対象者の中から選択するように構成される選択部と、
を備え、
前記選択部は、前記複数の放送枠のそれぞれに関して、対応する放送枠の販売価格又は販売価格の算出式を、販売条件として、対応する販売対象者の訴求目的に基づき、前記販売対象者毎に設定し、前記販売条件を加味して前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を選択し、前記複数の放送枠のそれぞれに関して、対応する放送枠の前記販売先に提示する販売条件として、対応する前記販売対象者に対して設定された前記販売条件を示す情報を出力する情報処理システム。
【請求項13】
前記選択部は、前記複数の放送枠のそれぞれを選択した前記販売先に販売する場合に前記複数の放送枠に関する前記販売価格の合計が所定条件を満足するように、前記複数の放送枠のそれぞれの前記販売先を選択する請求項12記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記選択部は、前記複数の販売対象者の少なくとも一部に関して、販売対象者毎の、対応する販売対象者への販売価格の合計が、前記対応する販売対象者から指定された予算上限に対応する金額を超えない範囲内で、前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を選択する請求項12又は請求項13記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記第一取得部は、前記訴求目的の種類毎の訴求効果として、前記訴求目的の商品の種類毎の訴求効果を判別可能な前記第一情報を取得するように構成される請求項12~請求項14のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項16】
請求項1~請求項15のいずれか一項記載の情報処理システムにおける前記第一取得部、前記第二取得部、及び前記選択部として、コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項17】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための複数の放送枠のそれぞれでの、前記映像の放送による視聴者属性毎の訴求効果を判別可能な効果情報を取得することと、
前記複数の放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求対象の視聴者属性であるターゲット属性の情報を取得することと、
前記複数の販売対象者のそれぞれの前記ターゲット属性と、前記効果情報から判別される前記複数の放送枠のそれぞれでの前記視聴者属性毎の訴求効果とに基づき、前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を前記複数の販売対象者の中から選択することと、
を含み、
前記選択することは、前記複数の放送枠のそれぞれに関して、対応する放送枠の販売価格又は販売価格の算出式を、販売条件として、対応する販売対象者のターゲット属性に基づき、前記販売対象者毎に設定し、前記販売条件を加味して前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を選択することを含み、
前記情報処理方法は更に、前記複数の放送枠のそれぞれに関して、対応する放送枠の前記販売先に提示する販売条件として、対応する前記販売対象者に対して設定された前記販売条件を示す情報を出力することを含む情報処理方法。
【請求項18】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
テレビジョン放送における、視聴者への訴求を目的とした映像を放送するための複数の放送枠での、前記映像の放送による訴求効果であって、訴求目的の種類毎の訴求効果を判別可能な第一情報を取得することと、
前記複数の放送枠の販売先候補である複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的を判別可能な第二情報を取得することと、
前記第二情報から判別される前記複数の販売対象者のそれぞれの訴求目的と、前記第一情報から判別される前記複数の放送枠での前記訴求目的の種類毎の訴求効果とに基づき、前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を前記複数の販売対象者の中から選択することと、
を含み、
前記選択することは、前記複数の放送枠のそれぞれに関して、対応する放送枠の販売価格又は販売価格の算出式を、販売条件として、対応する販売対象者の訴求目的に基づき、前記販売対象者毎に設定し、前記販売条件を加味して前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を選択することを含み、
前記情報処理方法は更に、前記複数の放送枠のそれぞれに関して、対応する放送枠の前記販売先に提示する販売条件として、対応する前記販売対象者に対して設定された前記販売条件を示す情報を出力することを含む情報処理方法。
【請求項19】
前記選択することは、前記複数の放送枠のそれぞれを選択した前記販売先に販売する場合に前記複数の放送枠に関する前記販売価格の合計が所定条件を満足するように、前記複数の放送枠のそれぞれの前記販売先を選択することを含む請求項17又は請求項18記載の情報処理方法。
【請求項20】
前記選択することは、前記複数の販売対象者の少なくとも一部に関して、販売対象者毎の、対応する販売対象者への販売価格の合計が、前記対応する販売対象者から指定された予算上限に対応する金額を超えない範囲内で、前記複数の放送枠のそれぞれの販売先を選択することを含む請求項17~請求項19のいずれか一項記載の情報処理方法。