(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156111
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】固形粉末化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/897 20060101AFI20221006BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20221006BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20221006BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20221006BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A61K8/897
A61K8/891
A61K8/55
A61K8/42
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059642
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】592042750
【氏名又は名称】株式会社アルビオン
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鯉江 信慶
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勝行
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB152
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB222
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB362
4C083AB372
4C083AB432
4C083AC022
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC582
4C083AC642
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC812
4C083AC852
4C083AC862
4C083AC901
4C083AC902
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD332
4C083AD571
4C083AD572
4C083BB21
4C083CC11
4C083CC12
4C083CC14
4C083DD17
4C083DD21
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】固形粉末化粧料の塗布具へのトレが良好で、肌への化粧料の付着性が高く、また、化粧効果の持続性が高く、さらに、耐衝撃性に優れた固形粉末化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)~(E);(A)フッ素変性シリコーン油、(B)シリコーンワックス、(C)シリコーン油(成分(A)および成分(B)を除く)、(D)1分子内に親水基・親油基を有し、且つ、親油基が二鎖型である化合物、(E)粉体を含む化粧料基剤と溶媒とを混合した混合物から溶媒を除去して得られる、固形粉末化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(E);
(A)フッ素変性シリコーン油
(B)シリコーンワックス
(C)シリコーン油(成分(A)および成分(B)を除く)
(D)1分子内に親水基・親油基を有し、且つ、親油基が二鎖型である化合物
(E)粉体
を含む化粧料基剤と溶媒とを混合した混合物から溶媒を除去して得られる、固形粉末化粧料。
【請求項2】
前記成分(D)が、リン脂質、N-アシルアミノ酸またはその塩、およびベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の固形粉末化粧料。
【請求項3】
前記成分(B)が炭素数8~30のアルキル基で変性されたシリコーンワックスである、請求項1または2に記載の固形粉末化粧料。
【請求項4】
前記成分(A)の含有量が、成分(A)~(C)の合計量に対し10~60質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の固形粉末化粧料。
【請求項5】
前記成分(D)の含有量が0.05~5質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の固形粉末化粧料。
【請求項6】
前記成分(A)が、環状フッ素変性シリコーン油である、請求項1~6のいずれか1項に記載の固形粉末化粧料。
【請求項7】
前記成分(C)が、フェニル変性シリコーン油である、請求項1~6のいずれか1項に記載の固形粉末化粧料。
【請求項8】
前記成分(D)が、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルである、請求項1~7のいずれか1項に記載の固形粉末化粧料。
【請求項9】
前記溶媒が炭化水素油または水性溶媒である、請求項1~8のいずれか1項に記載の固形粉末化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料に粉体が配合された粉末化粧料は、ファンデーションや白粉、チーク、アイシャドウ、アイブロウなどのメイクアップ化粧料として広く用いられている。中でも、携帯性や感触の観点から固形状に成形された固形粉末化粧料が数多く上市されている。
【0003】
固形粉末化粧料の成型方法には、金皿等の容器に粉末状の組成物を充填した後、加圧する乾式成形法や、粉体と油剤を含む化粧料基剤に揮発性化合物等の溶媒を添加してスラリー状にして、金皿等の容器に充填した後、溶媒を除去して成型する湿式成型法がある。湿式成型法で得られる固形粉末化粧料は、スラリー状態とした化粧料基剤から溶剤を除去する際に、粉体がより高密度となるよう秩序良く配置されるため、なめらかな使用感を有する。しかしながら、湿式成型法に用いられる溶媒を除去する際に、表面にひびが生じたり、収縮によって容器と粉末化粧料との間に隙間が生じ、耐衝撃性に劣る場合があった。
【0004】
このような耐衝撃性を改善することを目的として種々の手段が提案されている。特許文献1では、フッ素処理タルク、疎水化処理されたシリカ、疎水化処理された微粒子酸化チタン、抱水性油剤を含有する化粧料基剤を湿式成型して得られる固形粉末化粧料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように湿式成型して得られる固形粉末化粧料において、耐衝撃性の向上についてはこれまでも種々検討されてきている。しかしながら、耐衝撃性を向上させようとすると、通常は化粧料が硬くなるため、使用者が指や塗布具などで固形粉末化粧料を取ろうとすると化粧料がトレにくくなり(化粧料のトレが悪くなり)、指や塗布具などに化粧料が適量付着しにくいという現象がみられる。
【0007】
また、固形粉末化粧料は、化粧料を肌に塗布した後に、肌に粉体が付着することで、化粧膜が形成され、粉体による化粧効果が発現する。したがって、固形粉末化粧料において、肌に化粧料が付着すること(優れた付着性)は、化粧効果を発現させるために非常に重要である。さらに付着した化粧料により形成された化粧膜が長時間にわたり維持することができるという性能は、基本的性能であるため、その性能向上は使用者により常に求められるところである。
【0008】
しかしながら、湿式成型により得られる固形粉末化粧料においては、耐衝撃性の向上と、使用感(特に固形粉末化粧料のトレ、固形粉末化粧料の付着性と、化粧効果の持続性)との両立という点において十分なものではなかった。
【0009】
よって、本発明の目的は、固形粉末化粧料の塗布具へのトレが良好で、化粧料の肌への付着性が高く、また、化粧効果の持続性が高く、さらに、耐衝撃性に優れた固形粉末化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、次の成分(A)~(E);
(A)フッ素変性シリコーン油
(B)シリコーンワックス
(C)シリコーン油(成分(A)および成分(B)を除く)
(D)1分子内に親水基・親油基を持ち、且つ、親油基が二鎖型である化合物
(E)粉体
を含む化粧料基剤と溶媒とを混合した混合物から溶媒を除去して得られる、固形粉末化粧料である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の固形粉末化粧料によれば、固形粉末化粧料の塗布具へのトレが良好で、肌への化粧料の付着性が高く、また、化粧効果の持続性が高く、さらに、耐衝撃性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度45~55%RHの条件で行う。
【0013】
本発明の第一実施形態は、次の成分(A)~(E);
(A)フッ素変性シリコーン油
(B)シリコーンワックス
(C)シリコーン油(成分(A)および成分(B)を除く)
(D)1分子内に親水基・親油基を持ち、且つ、親油基が二鎖型である化合物
(E)粉体
を含む化粧料基剤と溶媒とを混合した混合物から溶媒を除去して得られる、固形粉末化粧料である。第一実施形態の固形粉末化粧料によれば、塗布具へのトレが良好で、肌への化粧料の付着性が高く、また、化粧効果の持続性が高く、さらに、耐衝撃性(溶剤除去後のひび割れや収縮の抑制)に優れる。
【0014】
本実施形態の化粧料が、上記効果を奏する詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように考えられる。なお、以下のメカニズムは、本発明の技術的範囲を何ら制限するものではない。
【0015】
湿式成型法においては、容器への充填時に溶媒を用いて粘度を下げたスラリー状の組成物が用いられる。最終的には当該溶媒は、吸収パッドなどへの吸収や、乾燥によって除去されるものである。本発明者らは、当該溶媒がスラリー状の組成物から除去されにくいと、最終的に得られる固形粉末化粧料の収縮やひび割れにつながることに着目した。成分(A)~(C)の油剤および成分(D)を用いると、溶媒と組成物との相溶性が低下し、溶媒抜けが向上するために、最終的に得られる固形粉末化粧料の耐衝撃性が向上するものと考えられる。特に成分(A)は、撥水撥油性のフッ素変性であることで、溶媒として通常用いられる炭化水素油や水との相溶性が低下し、溶媒抜けが顕著に向上するものと考えられる。ただし、成分(A)がその効果を発揮するためには、シリコーン油と組み合わせることが重要である(後述の比較例6参照)。これは、製剤内での成分(A)が均一に分散するためには成分(C)のシリコーン油が必要であるためと考えられる。さらに、溶媒抜けが良好であるので、耐衝撃性が向上し、製造時のプレス圧を高くするなど、製剤の硬度を高めることを特段要しない。ゆえに、得られる固形粉末化粧料が硬くならず、化粧料のトレが良好なものとなると考えられる。化粧料のトレに関しては、成分(B)、(D)も重要な役割を果たし、成分(B)、成分(D)を配合することで化粧料のトレが向上する。これは成分(B)、成分(D)が粉体同士の結着性を向上させることができ、製造時のプレス圧を高くせずとも強度が担保されるために、得られる固形粉末化粧料が硬くならず、化粧料のトレが良好なものとなると考えられる。
【0016】
さらに、成分(A)、(C)と相溶性の高い成分(B)を用いることで、粉体周りにワックスが均一に分散されるため、化粧効果の持続性が向上するものと考えられる。また、成分(D)は、上述のように粉体との密着性が高いだけではなく、成分(A)~(C)の油剤とも相溶性がよく、さらには肌への付着性が高いため、均一な化粧膜の形成・維持に重要な役割を果たすと考えられる。
【0017】
本明細書において、「固形粉末化粧料」とは、粉末(粉体)を主成分とする固形状の化粧料を指す。ここで、主成分とは、粉末(粉体)が50質量%以上であることを指す。本実施形態において、粉末(粉体)の含有量は、60質量%を超えることが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことがさらにより好ましい。なお、粉末(粉体)の含有量の上限は、100質量%であるが、化粧料に配合される他の成分を考慮すると、通常99.9質量%以下であり、99.5質量%以下であってもよく、99質量%以下であってもよい。
【0018】
以下、第一実施形態の化粧料に含有される各成分について説明する。
【0019】
(成分(A):フッ素変性シリコーン油)
フッ素変性シリコーン油は、有機基として分子中に少なくとも一つ以上のフルオロアルキル基を有するオルガノポリシロキサンである。フルオロアルキル基として具体的には、トリフルオロプロピル基、ノナフルオロヘキシル基、ヘプタデシルフルオロデシル基等のフッ素置換アルキル基が挙げられ、特にトリフルオロプロピル基が好ましい。フルオロアルキル基含有オルガノポリシロキサンは、直鎖状、分岐状、環状のいずれであっても良い。また、フッ素変性シリコーン油は、フッ素変性以外に他の置換基で変性されていてもよい。
【0020】
フッ素変性シリコーン油としては、例えば、下記式(1)で表される、側鎖にフルオロアルキル基を有する直鎖状フッ素変性シリコーン油が挙げられる。
【0021】
【0022】
式(1)において、Aはフルオロアルキル基を示し、mは整数であり、nは1以上の整数である。フルオロアルキル基としては、例えば、炭素数1~20の直鎖または分岐のアルキル基のいずれかの水素がフッ素原子で置換されたアルキル基であり、好ましくは炭素数1~10の直鎖のアルキル基のいずれかの水素がフッ素原子で置換されたアルキル基であり、より好ましくは炭素数1~4の直鎖のアルキル基のいずれかの水素がフッ素原子で置換されたアルキル基である。具体的には、フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、トリフルオロ-n-プロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、パーフルオロ-n-ブチル、トリフルオロ-n-ブチル、パーフルオロ-sec-ブチル、パーフルオロ-tert-ブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロネオペンチル、およびパーフルオロイソペンチルなどが挙げられる。
【0023】
直鎖状フッ素変性シリコーンの動粘度は、例えば、25℃で5~15,000mm2/sであり、50~5,000mm2/sである。
【0024】
直鎖状フッ素変性シリコーン油は市販品を用いてもよく、具体的には、直鎖状フッ素変性シリコーン油として、FL-5、FL-100-100CS、FL-100-450CS、FL-100-1,000CS、X-22-821、X-22-822(信越化学工業社製)、CFF-3400、CFF-3401、CFF-3402(NUSIL社製)、FS-1265(東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。
【0025】
フッ素変性シリコーン油としては、例えば、下記式(2)で表される、側鎖にフルオロアルキル基を有する環状フッ素変性シリコーン油が挙げられる。
【0026】
【0027】
式(2)において、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基又はフェニル基であり、好ましくは水素原子、または、アルキル基、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基であり、特に好ましくは水素原子またはメチル基である。式(2)において、Aはフルオロアルキル基である。フルオロアルキル基の例示および好ましい例示は、上記のとおりである。式(2)において、qは0~3の整数であり、rは1~6の整数であり、(q+r)は3~6の整数であり、好ましくは、q=0または1であり、r=4または5であり、より好ましくはq=0であり、r=4または5である。
【0028】
中でも、塗布具や指への化粧料のトレを考慮すると、成分(A)は環状フッ素変性シリコーン油であることが好ましく、下記式(2)で表されるトリフルオロプロピルシクロポリシロキサンであることがより好ましい。
【0029】
【0030】
(式中pは3~6の整数である)
具体的には、環状フッ素変性シリコーン油としては、INCI名(International Nomenclature Cosmetic Ingredient labeling names)でトリフルオロプロピルシクロテトラシロキサン、トリフルオロプロピルシクロペンタシロキサン等があり、市販品としては、トリフルオロプロピルシクロテトラシロキサン、トリフルオロプロピルシクロペンタシロキサンの混合物であるKF-5002(信越化学工業社製)が挙げられる。
【0031】
環状フッ素変性シリコーン油は、市販品を用いてもよく、具体的には、KF-5002(信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0032】
成分(A)は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0033】
成分(A)の含有量は、溶媒除去後のひび割れ、収縮抑制の観点から、成分(A)~(C)の全体量に対し10質量%以上であることが好ましく、収縮抑制の観点から15質量%以上であることがより好ましく、付着性の観点から25質量%以上であることがより好ましい。また、成分(A)の含有量は、付着性の観点から60質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。
【0034】
また、成分(A)の含有量は、本発明の効果を考慮すると、固形粉末化粧料中、0.1~10質量%であることが好ましく、0.5~8質量%であることがより好ましく、0.5~5質量%であることがさらにより好ましく、1.1質量%超4質量%以下であることが特に好ましい。
【0035】
(成分(B):シリコーンワックス)
シリコーンワックスとしては、例えば、アルキル変性シリコーンワックス、高級脂肪酸変性シリコーンワックス、高級アルコール変性シリコーンワックス等が挙げられる。シリコーンワックスは、一種単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。なお、フッ素変性のシリコーンワックスは成分(A)に含まれる。
【0036】
シリコーンワックスとしては、本発明の効果(特には化粧効果の持続性の向上)が一層奏されることから、炭素数8~30のアルキル基で変性されたシリコーンワックス(以下、アルキル変性シリコーンワックスとも称する)が好ましい。
【0037】
アルキル変性シリコーンワックスは、ジメチルシリコーンがアルキル基で変性されたものを指す。アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素数は、8~30であることが好ましく、12~30であることがより好ましく、16~24であることがさらにより好ましい。
【0038】
また、アルキル基の置換位置は任意であり、置換の形態は、片末端型、両末端型、ランダム型等のいずれでもよい。さらには、異種のアルキル基で変性されたシリコーンワックスの混合物を用いてもよい。また、アルキル変性シリコーンワックスはアルキル変性以外に他の置換基で変性されていてもよい。
【0039】
アルキル変性シリコーンワックスとしては、特に限定されるものではないが、アルキルメチコンワックス、アルキルジメチコンワックス、シルセスキオキサンレジンワックスなどが挙げられる。具体的には、アルキル変性シリコーンワックスとしては、ステアリルジメチコン、アルキル(C26-28)ジメチコン、アルキル(C30-45)メチコン、ステアロキシジメチコン、ベヘノキシジメチコン、セチルジメチコン、アルキル(C30-45)ジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサンなどが挙げられる。中でも、化粧料の肌への付着性や化粧効果の持続性の観点から、シリコーンワックスとしては、ステアリルジメチコン、アルキル(C26-28)ジメチコン、ステアロキシジメチコン、ベヘノキシジメチコン、セチルジメチコン、アルキル(C30-45)メチコンであることが好ましく、ステアリルジメチコン、アルキル(C26-28)ジメチコン、ステアロキシジメチコン、ベヘノキシジメチコン、セチルジメチコンであることがより好ましく、ステアリルジメチコン、セチルジメチコン、ステアロキシジメチコン、ベヘノキシジメチコンであることがさらにより好ましく、ステアリルジメチコン、セチルジメチコン、ステアロキシジメチコンであることが特に好ましい。
【0040】
アルキル変性シリコーンワックスは、成分(A)、(C)の相溶性を向上させる観点から、融点が25~50℃であることが好ましい。
【0041】
アルキル変性シリコーンワックスは、市販品を用いてもよく、具体的には、ステアリルジメチコンとして、DC2503 Cosmetic Wax(融点32℃)(東レ・ダウコーニング社製)、セチルジメチコンとして、ABIL(登録商標) Wax 9800(融点40℃)、ABIL(登録商標) Wax 9801(融点40℃)、ABIL(登録商標) Wax 9840(融点40℃)(EVONIK社製)、アルキル(C26-28)ジメチコンとして、BELSIL(登録商標)CDM 3526 VP(融点35℃)(以上、旭化成ワッカーシリコーン社製)、ステアロキシジメチコンとして、ABIL(登録商標) Wax 2434(融点25℃)(EVONIK社製)、ベヘノキシジメチコンとしてABIL(登録商標) Wax 2440(融点40℃)(EVONIK社製)、セチルジメチコンとして、SF1632(融点30℃)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などが挙げられる。
【0042】
成分(B)の含有量は、肌への付着性、化粧効果の持続性を考慮すると、固形粉末化粧料中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらにより好ましい。また、塗布具等への化粧料のトレを考慮すると、2質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることがより好ましい。
【0043】
(成分(C):シリコーン油)
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、オレイル変性ジメチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性ジメチルポリシロキサン、アルキル変性ジメチルポリシロキサン、フェニル変性シリコーン油等が挙げられる。シリコーン油は、1種単独で用いても、2種以上併用してもよい。
【0044】
中でも耐衝撃性の観点から、成分(C)として、フェニル変性シリコーン油であることが好ましい。フェニル変性シリコーン油としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリフェニルジメチルビニルジシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、フェニルトリメチコンなどが挙げられる。フェニル変性シリコーン油は、1種単独で用いても、2種以上併用してもよい。
【0045】
この中でも、耐衝撃性の観点から、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルトリメチコンを少なくとも用いることが好ましく、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコンがより好ましく、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンが最も好ましい。
【0046】
成分(C)の含有量は、耐衝撃性の観点から、固形粉末化粧料中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらにより好ましい。また、成分(C)の含有量は、化粧効果の観点から、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらにより好ましい。
【0047】
(成分(D):1分子内に親水基・親油基を有し、且つ、親油基が二鎖型である化合物)
成分(D)は、1分子内に親水基・親油基を有し、且つ、親油基が二鎖型である化合物である。親水基・親油基を有することで、成分(E)の表面処理の有無に関わらず、粉体と相互作用が可能となり、粉体同士の結合力を向上すると考えられる。また、親油基が二鎖型であるために、一鎖型に比べ、粉体同士の結合力をより高めることが可能であると同時に、親油鎖が一定方向に配向することで、機能が向上すると考えられる。
【0048】
成分(D)としては、リン脂質、N-アシルアミノ酸またはその塩、およびベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル、二本鎖ビスカルボン酸塩型両親媒性化合物(市販品としては、例えば、ジェミサーフα142(2つのラウリル基を有するジカルボン酸)、中京油脂社製)、ビスピリジモニウム四級アンモニウム塩型両親媒性化合物(市販品としては、例えば、ハイジェニアS-100(3,3’-(ブタン-1,4-ジオキシジメチレン)-N,N-ジデシルジピリジニウム=ジブロミド)、タマ化学工業社製)などが挙げられる。
【0049】
中でも、耐衝撃性の向上、化粧効果の持続性の観点から、成分(D)としては、リン脂質、N-アシルアミノ酸またはその塩、およびベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0050】
リン脂質は一般に、グリセリンを骨格とするグリセロリン脂質とスフィンゴシンを骨格とするスフィンゴリン脂質の2種に分類されうる。成分(D)としてのリン脂質はグリセロリン脂質及びスフィンゴリン脂質を包含する。当該グリセロリン脂質としては、例えばホスファチジルコリン(レシチンともいう)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロールなどが挙げられるがこれらに限定されない。当該スフィンゴリン脂質としては、例えばスフィンゴミエリンなどが挙げられるがこれらに限定されない。本発明においてリン脂質としてこれら化合物の1つ又は複数が用いられてもよい。本発明において前記リン脂質として、卵黄リン脂質、大豆リン脂質、または、それらの精製物および/もしくはそれらの水素添加物又は水酸化物が用いられてもよい。また、本発明においては、該リン脂質の脂肪酸の一つが外れたリゾリン脂質を含めてもよい。市販品としては、レシノールS-10E、レシノールS-10EX(日光ケミカルズ株式会社製)、ベイシスLS-60HR及びベイシスLP-20(株式会社日清オイリオグループ社製)等が挙げられる。
【0051】
N-アシルアミノ酸は、アミノ酸中のアミノ基の少なくとも一つが、アシル基によりアシル化されたものである。本明細書において、N-アシルアミノ酸またはその塩を、N-アシルアミノ酸(塩)と記載する場合もある。
【0052】
アシル基は炭素数6~30の飽和または不飽和の直鎖、分岐または環状のアシル基であることが好ましく、炭素数8~20の飽和または不飽和の直鎖または分岐のアシル基であることがより好ましく、炭素数12~18の飽和直鎖のアシル基であることがさらにより好ましい。なお、ここでいう炭素数は、複数のアシル基が存在する場合には、一のアシル基中に存在する炭素数を指す。アシル基としては、例えば、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、イソステアロイル基、オレオイル基などを挙げることができる。
【0053】
塩としてはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどとの塩があげられ、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、トリエタノールアミンであることが好ましく、ナトリウム、マグネシウムであることがより好ましく、ナトリウムであることがさらにより好ましい。
【0054】
成分(D)として用いられうるN-アシルアミノ酸(塩)としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ジラウロイルグルタミン酸リシン、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムなどが挙げられる。
【0055】
ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、下記構造を有する化合物である。
【0056】
【0057】
ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、リン酸エステルに窒素含有アルコールが付加したリン脂質様化合物である。かような構造を有するために、肌への親和性が非常に高い一方、比較的分子量が小さいために、粉体と相互作用して粉体表面に結合しやすくなり、粉体が肌に均一に付着することを助ける役割を担うと考えられる。ゆえに、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルを固形粉末化粧料に配合することで、粉体が肌に付着しやすい(化粧膜を形成しやすい)。また、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、親油性、親水性のバランスがよく、撥水・撥油性に優れるため、化粧持ちの向上といった効果を付与することができる。
【0058】
成分(D)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0059】
成分(D)の含有量は、固形粉末化粧料中、肌への付着性を考慮すると、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることがさらにより好ましい。また、成分(D)の含有量は、耐衝撃性を考慮すると、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、2.5質量%以下であることが特に好ましい。本発明の好適な実施形態は、固形粉末化粧料中、0.05~5質量%である。
【0060】
なお、成分(D)を成分(E)粉体の表面処理剤として用いてもよい。この場合、成分(E)の含有量に成分(D)の含有量は含めない。
【0061】
成分(D)の成分(E)への表面処理の方法は従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶媒(例えば、イソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール、イソパラフィン(例えば、IPソルベント(出光興産社製))に成分(D)と処理を施される粉体を添加し、ボールミル等で撹拌処理した後、必要に応じて乾燥し、水洗、濾過を繰返し、夾雑物を除去した後、乾燥、粉砕することにより、目的の表面処理粉体を得ることができる。また、成分(D)と表面処理剤である他の化合物とを同時に表面処理してもよい。
【0062】
(成分(E):粉体)
粉体は、メーキャップ効果などの化粧効果を付与するために配合される。
【0063】
粉体としては、球状、板状、紡錘状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級などの粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されない。粉体としては、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、有色顔料類、複合粉体類、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末などが挙げられる。
【0064】
無機粉体類としては、カーボンブラック、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、雲母(マイカ)、合成雲母、セリサイト、合成セリサイト、タルク、(フッ化/水酸化/酸化)/(Mg/Kケイ素)(タルク・ケイフッ化カリウム焼成物)、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化ホウ素、シリカ、ガラス末などが挙げられる。
【0065】
光輝性粉体類としては、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン(酸化チタン被覆雲母)、酸化鉄処理雲母、酸化鉄処理雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、二酸化珪素・酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、アルミニウムパウダーなどが挙げられる。
【0066】
有機粉体類としては、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸粉体、ナイロン、ポリメチルシルセスキオキサン、架橋型オルガノポリシロキサン重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチルなどのポリメタクリル酸エステルおよびメタクリル酸メチルクロスポリマーなどの架橋型ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチルとポリイソプレンの複合体、ポリアクリル酸エステル、アクリロニトリル-メタクリル酸共重合体パウダー、ポリテトラフルオロエチレン、(HDI/PPG/ポリカプロラクトン)クロスポリマーなどが挙げられる。架橋型オルガノポリシロキサン重合体としては、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーなどの部分架橋型メチルポリシロキサン、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマーなどの部分架橋型メチルフェニルポリシロキサン、ジメチコンコポリオールクロスポリマーなどの部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、部分架橋型アルキル変性シリコーン、(ラウリルジメチコン・PEG)クロスポリマーなどの部分架橋型アルキル・ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、例えば、INCI名称で、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン/メチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー等が挙げられる。
【0067】
有色顔料類としては、赤色酸化鉄(ベンガラ)、水酸化鉄、チタン酸鉄等の無機赤色顔料、γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄色酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒色酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をアルミニウムなどでレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、およびこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体などが挙げられる。タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号などが挙げられる。
【0068】
複合粉体類としては、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆チタン・マイカ、酸化亜鉛被覆チタン・マイカ、硫酸バリウム被覆チタン・マイカ、有機顔料処理チタン・マイカ、二酸化珪素・酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素などが挙げられる。
【0069】
粉体は表面処理粉体であってもよい。表面処理としては、フッ素化合物処理、シリカ処理、アルミナ処理、水酸化アルミニウム処理、シリコーン処理(メチコン処理、ハイドロゲンジメチコン処理など)、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、シラン処理、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アクリル樹脂処理、金属酸化物処理などが挙げられる。これらの表面処理は、単独であっても2種以上を併用してもよい。
【0070】
表面処理剤の処理量は未処理粉体に対して0.1~30質量%が好ましく、より好ましくは0.5~20質量%であり、さらに好ましくは1~10質量%である。
【0071】
表面処理の方法は従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶媒に表面処理剤と処理を施される粉体粒子を添加し、ボールミル等で撹拌処理した後、必要に応じて乾燥し、水洗、濾過を繰返し、夾雑物を除去した後、乾燥、粉砕することにより、目的の表面処理粉体を得ることができる。また、表面処理剤である数種類の化合物を同時に表面処理することもでき、何れか一つの化合物で予め表面処理をしてから、更に他の化合物を表面処理することもできる。
【0072】
成分(E)は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0073】
成分(E)の含有量は化粧料に対して50質量%以上であるが、60質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよい。なお、表面処理粉体の場合、表面処理剤の量も含めて、粉体の量とする。
【0074】
(その他の成分)
上記成分の他、通常化粧料に使用される、成分(A)~(C)以外の油剤、アルコール、防腐剤、酸化防止剤、美容成分、抗菌剤、香料、キレート剤(EDTAなど)、紫外線吸収剤、皮膜形成剤、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で適宜含有することができる。本発明の効果を考慮すると、成分(A)~(C)以外の油剤の配合量は極力少ないほうが好ましく、具体的には油剤全体に対して成分(A)~(C)以外の油剤は、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらにより好ましい。
【0075】
また、本願の固形粉末化粧料においては、水の含有量は3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、実質的に含有しないほうが好ましい。ここで、実質的に含有しないとは不純物程度の含有は許容するものであり、例えば、0.1質量%以下であることを指す。
【0076】
本実施形態の固形粉末化粧料は、成分(A)~(E)を含む化粧料基剤と溶媒とを混合した混合物から溶媒を除去して得られる。
【0077】
化粧料基剤は、前記成分を、通常の粉末化粧料を製造する装置を使用し、攪拌混合して、調製される。より具体的には、化粧料基剤は、まず、成分(A)~(C)、または場合により成分(D)を含む油性成分を混合し、必要に応じて、加熱溶解する。一方、成分(E)を含む粉体および場合により、成分(D)で表面処理された粉末を均一に混合する。この混合物に油性成分を加えて均一に分散させ、粉砕することにより、化粧料基剤が調製される。
【0078】
次いで、化粧料基剤と溶媒とを混合した混合物を準備する。当該混合物は、通常スラリー状態となっている。以下、成分(A)~(E)を含む化粧料基剤と溶媒とを混合した混合物を単に混合物とも称する。
【0079】
用いられる溶媒としては、非揮発性、揮発性のいずれも用いることができるが、常圧における沸点が260℃以下の溶媒が好ましい。溶媒としては、具体的には、水、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどの低沸点アルコール、および水と低沸点アルコールとの混合溶媒などの水性溶媒;イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質流動イソパラフィン等の(低沸点)炭化水素油などの油性溶媒が挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて混合物として用いることができる。
【0080】
本発明の効果が一層発揮されやすいことから、溶媒としては炭化水素油または水性溶媒であることが好ましく、イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質流動イソパラフィン(水添ポリイソブテン)等の低沸点炭化水素油であることがより好ましい。
【0081】
溶媒の混合量は、成型前の混合物を容器又は中皿に充填するために、流動性を付与する程度に任意に選択されるが、化粧料基剤100質量部に対して溶媒10~200質量部を用いることが好ましい。この範囲であれば、溶媒の除去が良好である。
【0082】
また、本明細書における流動性とは、粉体を主成分とする化粧料基剤を、溶媒と混合した混合物を、内口径2.47cm、胴径4.05cm、全高7.4cmの容器(第一硝子株式会社製「薬ビンPS-6K」)に30g入れ、付属の蓋で栓をした後、25℃、1気圧の環境下で90°傾け、1分間静置すると混合物の一部が蓋の内側に付着する状態のことを意味する。
【0083】
次いで、上記で得られた混合物を容器に充填する。容器としては、例えば金皿、樹脂皿等が挙げられる。充填後に圧縮成形することが好ましい。
【0084】
次いで、溶媒を除去する。除去する方法は特に限定されないが、好ましくは圧縮成型時及び/又は圧縮成型後に、紙や布等を1層又は2層以上、容器に充填した粉末化粧料に接するように配置し、前記溶剤を吸い取らせる等の方法で除去する。吸い取らせるときに適度に加圧してもよい。また、化粧料基剤と溶媒との混合物を容器または中皿に充填する際、表面を平滑にするために、パッド等を用いて弱くプレスすることが好ましいが、そのプレス時に、多孔質プレスヘッドや吸収体を用いて、揮発性溶剤を吸収させることもできる。さらに、乾燥により溶媒を除去することも可能であり、そのための条件は、溶媒の沸点や比熱に応じて適宜設定されるが、例えば、軽質流動イソパラフィンの場合、50~80℃にて5~20時間程度である。
【0085】
本実施形態の固形粉末化粧料は、ファンデーション、フェイスパウダー、おしろい(白粉)、コンシーラー、アイカラー(アイシャドウ)、アイライナー、アイブロウ、マスカラ、チーク、口紅、日焼け止め化粧料、化粧用下地などのメイクアップ化粧料;ボディパウダーなどのスキンケア化粧料などに適用可能であり、好ましくは、化粧料が、本願効果の発揮が一層期待される、ファンデーション、フェイスパウダー、おしろい、アイカラー、化粧用下地、日焼け止め化粧料、チークなどのメイクアップ化粧料であり、より好ましくは使用面積の多い、ファンデーションまたはフェイスパウダー、おしろいである。またその使用法は、手や指で使用する方法、パフやスポンジ等に含浸させて使用する方法などが挙げられる。
【0086】
なお、化粧料基剤の各成分の配合量と、得られる固形粉末化粧料における各成分の配合量は同一となる。
【実施例0087】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
【0088】
(実施例1~14、16、比較例1~7、11)
下記表1に示す処方の固形粉末化粧料(ファンデーション)を調製した。
【0089】
(製造方法)
(1)成分(A)、(B)、(C)、(D)を70℃で混合溶解する。
(2)粉体成分(成分(E))に(1)を加えて均一分散させ、粉砕後、化粧料基剤を得る。
(3)(2)の化粧料基剤100質量部と溶媒(軽質流動イソパラフィンまたは水)40質量部を均一混合し、スラリーを調整する。
(4)(3)を金皿に充填し、真空吸引しながら圧縮成型する。
(5)成型品を70℃の乾燥機内で10時間乾燥し、化粧料を得る。
【0090】
(実施例15、比較例8~10)
下記表1に示す処方の固形粉末化粧料(ファンデーション)を調製した。
【0091】
(製造方法)
(1)成分(A)、(B)、(C)を70℃で混合溶解する。
(2)成分(D)および(E)を均一混合した後に、(1)を加えて均一分散させ、粉砕後、化粧料基剤を得る。
(3)(2)の化粧料基剤100質量部と溶媒(軽質流動イソパラフィン)40質量部を均一混合し、スラリーを調整する。
(4)(3)を金皿に充填し、真空吸引しながら圧縮成型する。
(5)成型品を70℃の乾燥機内で10時間乾燥し、化粧料を得る。
【0092】
(評価方法1;耐衝撃性)
実施例および比較例のパウダーファンデーション各5枚について、乾燥後の外観について、以下の評価基準により判定し、評価の最も多いものを判定として評価した。
【0093】
(ひび割れ抑制)
(評価基準) :(判定)
ヒビが全く見られない :◎
金皿径に対し1/10未満のヒビがみられる :〇
金皿径に対し1/10以上1/3未満のヒビが観察される:△
金皿径に対し1/3以上のヒビが観察される :×
(収縮抑制)
(評価基準) :(判定)
収縮が全く見られない :◎
0.5mm未満の収縮 :〇
0.5mm以上1mm未満の収縮:△
1mm以上の収縮 :×。
【0094】
(評価方法2:塗布具への付着量の適量性(トレ))
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には容器に充填した各試料を塗布具(パフ)でとり、付着する試料の付着量が実使用において適切な量であるかについて評価した。
【0095】
(評価基準)
(評点):(評価)
4 :塗布具への付着量が適切である。
3 :塗布具への付着量がわずかに多い、もしくはわずかに不足している。
2 :塗布具への付着量が多い、もしくは付着量が不足している。
1 :塗布具への付着量が多過ぎる、もしくは全くつかない。
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
3.5点以上 : ◎
2.5点以上3.5点未満: ○
2.5点未満 : ×。
【0096】
(評価方法3:肌への付着力の高さ(肌への付着性))
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対基準にて5段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には、各試料を肌上にウレタン製化粧塗布用マットを用いて1回伸び広げた際に、化粧料の肌への付着力の高さ(化粧膜の形成性の高さ)を評価した。
【0097】
(絶対基準)
(評点):(評価結果)
5 :非常に感じる
4 :感じる
3 :やや感じる
2 :ほとんど感じない
1 :全く感じない
<判定基準>
(評点平均値) :(判定)
(評点の平均点) :(判定)
4.5点以上 : ◎
3.5点以上4.5点未満: ○
2点以上3.5点未満 : △
2点未満 : ×。
【0098】
(評価方法4:化粧持ち(化粧効果の持続性))
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対基準にて5段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には各試料を肌に適量塗布し、塗布後8時間後にその化粧持ち(=化粧効果の持続性)が充分であるかどうかを評価した。
【0099】
(絶対基準)
(評点):(評価)
5 :化粧持ちが良く、化粧効果が長く持続して感じられる。
4 :化粧持ちが良く、化粧効果も十分感じられるが、僅かに不十分である。
3 :化粧持ちがやや悪く、化粧効果の持続性がやや不十分であるが許容範囲内である。
2 :化粧持ちが悪く、化粧効果の持続性が不十分であり、許容範囲外である。
1 :化粧持ちが非常に悪く、化粧効果の持続性が不十分である。
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
4.5点以上 : ◎
3.5点以上4.5点未満: ○
2点以上3.5点未満 : △
2点未満 : ×
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
以上の結果より、実施例の固形粉末化粧料(ファンデーション)は、耐衝撃性、化粧料のトレ、肌への付着性、化粧効果の持続性が良好であった。一方、成分(A)を配合しない比較例1は、耐衝撃性に著しく劣るものであった。成分(B)を配合しない比較例2、または成分(B)を他のワックスに変更した比較例3~5は化粧料効果の持続性が著しく劣るものであった。また、成分(C)を配合しない比較例6は、耐衝撃性に著しく劣るものであった。成分(D)を配合しない比較例7は、肌への付着性および化粧効果の持続性に著しく劣るものであった。成分(D)の代わりに、他の表面処理剤で処理した粉体を配合した比較例8~10,または成分(D)の代わりにラウロイルリシンを配合した比較例11は、化粧持ち、または耐衝撃性に著しく劣るものであった。
【0105】
・実施例17:固形粉末化粧料(ファンデーション)
(成分) (含有量)
1.環状フッ素変性シリコーン油(成分A)(*1) 1.5%
2.ステアリルジメチコン(成分B)(*3) 0.4%
3.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(成分C)(*5) 2.5%
4.ジフェニルジメチコン(成分C)(*6) 0.5%
6.ジメチコン(成分C)(*7) 0.5%
6.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分D)(*8) 1.0%
7.水素添加大豆リン脂質(成分D)(*9) 0.1%
8.ジラウロイルグルタミン酸リシン(1%)処理マイカ(成分D)(成分E)
10.0%
9.トリメチルシロキシケイ酸(*11) 0.1%
10.シリカ(成分E)(*12) 3.0%
11.シリカ(成分E)(*13) 2.0%
12.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー(成分E)(*14) 3.0%
13.合成金雲母鉄(成分E)(*15) 7.0%
14.窒化ホウ素(成分E)(*16) 10.0%
15.マイカ(成分E)(平均粒子径19μm) 残量
16.アモジメチコン3%処理マイカ(成分E)(*17) 5.0%
17.タルク(成分E)(*18) 25.0%
18.ポリエチレンテレフタレート(成分E)(*19) 1.0%
19.ベンガラ(成分E)(*20) 0.3%
20.黄酸化鉄(成分E)(*21) 2.0%
21.黒酸化鉄(成分E)(*22) 0.2%
22.酸化チタン、水酸化Al(成分E)(*23) 5.0%
23.トリイソステアリン酸イソプロピルチタン2%処理酸化チタン(*24)(成分E) 10.0%
24.ハイドロゲンジメチコン処理酸化亜鉛(成分E)(*25) 5.0%
25.クロルフェネシン 0.05%
26.エチルヘキシルグリセリン(*26) 0.1%
27.香料 0.1%
(*11)SR1000(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
(*12)シリカマイクロビードP-1505(日揮触媒化成社製)
(*13)ゴッドボールD11-796C(鈴木油脂工業社製)
(*14)KSP-100(信越化学工業社製)
(*15)PDM-FE(TS)(トピー工業社製)
(*16)CCS102-JA BORON NITRIDE POWDER(油化産業社製)
(*17)マイカY-2300WA3(ヤマグチマイカ社製)
(*18)タルク粉 EX-15(ヤマグチマイカ社製)
(*19)スノーリーフP(オーケン社製)
(*20)R-516P(チタン工業社製)
(*21)BL-100P(チタン工業社製)
(*22)YP1200P(チタン工業社製)
(*23)TIPAQUE CR-50(石原産業社製)
(*24)ITT-2 TiO2 CR-50(大東化成工業社製)
(*25)XZ-300F-LP(堺化学社製)
(*26)アデカノールGE-RF(アデカ社製)
(製造方法)
A. 成分1~9を70℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
B. 成分10~24を混合して、混合物を得た。
C. Bで得られた混合物にA、成分25~27を加え、混合物を得た。
D. Cで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
E. Dで得られた粉末状の化粧料を揮発性溶剤(水添ポリイソブテン)と混合し、スラリーを得た。
F. Eで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記揮発性溶剤を除去することで固形粉末状化粧料を得た。
【0106】
実施例17は、成分(A)~(C)の合計量に対する成分(A)の含有量:27%、成分(D)の含有量:1.2%である。実施例18の固形粉末化粧料(ファンデーション)は、溶剤除去後のひび割れ・収縮が起こらず、良好な充填成型性を示す。また、パフへのトレ量が良好であるとともに、肌への付着性や化粧効果の持続性も良好であった。
【0107】
・実施例18:固形粉末化粧料(ファンデーション)
(成分) (含有量)
1.環状フッ素変性シリコーン油(成分A)(*1) 2.0%
2.フッ素変性シリコーン(成分A)(*2) 0.5%
3.ステアロキシジメチコン(成分B)(*27) 0.2%
4.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(成分C)(*5) 2.0%
5.ジフェニルジメチコン(成分C)(*6) 1.0%
6.ジメチコン(成分C)(*28) 0.1%
7.スクアラン 0.01%
8.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(*29) 0.01%
9.セスキイソステアリン酸ソルビタン(*30) 0.1%
10.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分D)(*8) 0.5%
11.シリカ(成分E)(*31) 1.0%
12.シリカ(成分E)(*32) 0.5%
13.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー(成分E)(*33) 0.5%
14.(HDI/PPG/ポリカプロラクトン)クロスポリマー(98%)/シリカ(2%)(成分E)(*34) 0.5%
15.合成金雲母(成分E)(*35) 5.0%
16.窒化ホウ素(成分E)(*36) 2.0%
17.ジメチコン3%処理ベンガラ・酸化チタン被覆マイカ(成分E)(*37)
0.1%
18.マイカ(成分E) 残量
19.タルク(成分E)(*18) 10.0%
20.タルク(成分E)(*38) 30.0%
21.ラウリン酸亜鉛処理タルク(成分E)(*39) 5.0%
22.ジメチコン処理タルク(成分E)(*40) 5.0%
23.硫酸バリウム(成分E)(*41) 1.0%
24.ミリスチン酸亜鉛(成分E)(*42) 0.1%
25.ベンガラ(成分E)(*20) 0.3%
26.黄酸化鉄(成分E)(*21) 2.0%
27.黒酸化鉄(成分E)(*22) 0.2%
28.メチコン・水酸化Al・含水シリカ処理酸化チタン(成分E)(*43)
1.0%
29.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理酸化チタン(成分E)(*44) 10.0%
30.ハイドロゲンジメチコン処理酸化亜鉛(成分E)(*25) 5.0%
31.フェノキシエタノール 0.05%
32.ヒアルロン酸Na 0.02%
33.グリシン 0.02%
34.マツリカ花エキス、ブドウ葉エキス、セイヨウハッカ葉エキス、ビフィズス菌培養溶解質、サトザクラ花エキス、ポリクオタニウム-51、ノイバラ果実エキス、ハマナス花エキス、イザヨイバラエキス、酢酸トコフェロール、水溶性コラーゲン、ローヤルゼリーエキス、トウキ根エキス、センチフォリアバラ花エキス、ダマスクバラ花水、ローズマリー花エキス、アセロラ果実エキスの混合物(美容成分の混合物) 0.1%
35.香料 0.1%
(*27)ABIL Wax 2434(Evonik社製)
(*28)KF-96A(10cs)(信越化学工業社製)
(*29)コスモール168ARV(日清オイリオグループ社製)
(*30)コスモール182V(日清オイリオグループ社製)
(*31)シリカマイクロビードN-1505(日揮触媒化成社製)
(*32)サンスフェアNP-200(AGCエスアイテック社製)
(*33)KSP-102(信越化学工業社製)
(*34)CS-400(東色ピグメント社製)
(*35)PDM-10L(トピー工業社製)
(*36)SHP-6(水島合金鉄社製)
(*37)SA-RELIEF COLOR PINK(三好化成社製)
(*38)ハイフィラーK-5(松村産業社製)
(*39)タルク ZL-6(東色ピグメント社製)
(*40)SA-タルク JA-46R(三好化成社製)
(*41)板状硫酸バリウム・HL(堺化学社製)
(*42)パウダーベースM(日油社製)
(*43)微粒子酸化チタンSMT-500SAM
(*44)FHS-3 TiO2 MP-1133(大東化成工業社製)
(製造方法)
A. 成分1~10を70℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
B. 成分11~30、32、33を混合して、混合物を得た。
C. Bで得られた混合物にA、成分31、34、35を加え、混合物を得た。
D. Cで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
E. Dで得られた粉末状の化粧料を揮発性溶剤(水添ポリイソブテン)と混合し、スラリーを得た。
F. Eで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記揮発性溶剤を除去することで固形粉末状化粧料を得た。
【0108】
実施例18は、成分(A)~(C)の合計量に対する成分(A)の含有量:43%、成分(D)の含有量:0.5%である。実施例19の固形粉末化粧料(ファンデーション)は、溶剤除去後のひび割れ・収縮が起こらず、良好な充填成型性を示す。また、パフへのトレ量が良好であるとともに、肌への付着性や化粧効果の持続性も良好であった。
【0109】
・実施例19:固形粉末化粧料(ファンデーション)
(成分) (含有量)
1.環状フッ素変性シリコーン油(成分A)(*1) 1.5%
2.ステアリルジメチコン (成分B)(*3) 0.3%
3.ステアロキシジメチコン(成分B)(*27) 0.1%
4.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(成分C)(*5) 3.0%
5.エチルヘキサン酸セチル(*45) 0.2%
6.ミネラルオイル(*46) 0.01%
7.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 1.0%
8.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分D)(*8) 1.0%
9.シリカ(成分E)(*12) 5.0%
10.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー
(成分E)(*14) 5.0%
11.ポリメタクリル酸メチル(成分E)(*47) 5.0%
12.窒化ホウ素(成分E)(*48) 10.0%
13.ジメチコノール・アミノプロピルトリエトキシシラン処理マイカ
(成分E)(*49) 20.0%
14.マイカ(成分E) 残量
15.タルク(成分E)(*38) 15.0%
16.ベンガラ(成分E)(*20) 0.3%
17.黄酸化鉄(成分E)(*21) 2.0%
18.黒酸化鉄(成分E)(*22) 0.2%
19.ジメチコン1%処理、水酸化Al4%処理、酸化亜鉛0.4%被覆酸化チタン
(成分E)(*50) 0.1%
20.水酸化Al3%処理酸化チタン(成分E)(*51) 20.0%
21.メチルパラベン 0.15%
22.エチルパラベン 0.03%
23.プロピルパラベン 0.02%
24.クロルフェネシン 0.01%
25.エチルヘキシルグリセリン(*26) 0.01%
26.香料 0.1%
(*45)サラコス816T(日清オイリオグループ社製)
(*46)KLEAROL White Mineral Oil(SONNEBORN.LLC社製)
(*47)ケミスノー MR-5C(総研化学社製)
(*48)SHP-9(水島合金鉄社製)
(*49)SE-MA-23(三好化成社製)
(*50)MPY-100M(テイカ社製)
(*51)MP-1133(テイカ社製)
(製造方法)
A. 成分1~8を70℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
B. 成分9~23を混合して、混合物を得た。
C. Bで得られた混合物にA、成分24~26を加え、混合物を得た。
D. Cで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
E. Dで得られた粉末状の化粧料を揮発性溶剤(精製水)と混合し、スラリーを得た。
F. Eで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記揮発性溶剤を除去することで固形粉末状化粧料を得た。
【0110】
実施例19は、成分(A)~(C)の合計量に対する成分(A)の含有量:30%、成分(D)の含有量:1.0%である。実施例19の固形粉末化粧料(ファンデーション)は、溶剤除去後のひび割れ・収縮が起こらず、良好な充填成型性を示す。また、パフへのトレ量が良好であるとともに、肌への付着性や化粧効果の持続性も良好であった。
【0111】
・実施例20:固形粉末型化粧料(白粉)
(成分) (含有量)
1.環状フッ素変性シリコーン油(成分A)(*1) 1.5%
2.ステアリルジメチコン(成分B)(*3) 0.1%
3.アルキル(C26ー28)ジメチコン(成分B)(*4) 0.1%
4.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(成分C)(*5) 0.1%
5.ジフェニルジメチコン(成分C)(*6) 2.0%
6.ジメチコン(成分C)(*7) 0.1%
7.イソノナン酸イソトリデシル(*52) 0.2%
8.トリエチルヘキサノイン(*53) 0.5%
9.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分D)(*8) 2.0%
10.シリカ(成分E)(*54) 5.0%
11.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー
(成分E)(*33) 2.0%
12.ポリメチルシルセスキオキサン(成分E)(*55) 2.0%
13.ポリメタクリル酸メチル(成分E)(*56) 3.0%
14.合成金雲母(成分E)(*57) 2.0%
15.マイカ(成分E) 残量
16.トリエトキシカプリリルシラン2%処理タルク(成分E)(*58)
5.0%
17.(フッ化/水酸化/酸化)/(Mg/K/ケイ素)(成分E)(*59)
10.0%
18.ベンガラ(成分E)(*20) 0.04%
19.黄酸化鉄(成分E)(*21) 0.2%
20.黒酸化鉄(成分E)(*22) 0.04%
21.メチコン・水酸化Al・含水シリカ処理酸化チタン(成分E)(*43)
1.0%
22.トリエトキシカプリリルシラン2%処理酸化チタン(成分E)(*60)
10.0%
23.セラミド2 0.01%
24.セラミド3 0.01%
25.甘草フラボノイド、ローズマリー葉エキス、アンズ核油、カニナバラ果実エキス、アーモンド油、コーン油の混合物(美容成分の混合物) 0.1%
26.香料 0.1%
(*52)サラコス913(日清オイリオグループ社製)
(*53)Mtritol GTEH(BASFジャパン社製)
(*54)サンスフェアNP-30(AGCエスアイテック社製)
(*55)トスパール2000B*(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
(*56)マツモトマイクロスフェアー M101(松本油脂製薬社製)
(*57)SLM-15(トピー工業社製)
(*58)OTS-2 タルク JA-46R(大東化成工業社製)
(*59)ミクロマイカMK-200(片倉コープアグリ社製)
(*60)OTS-2 TiO2 MP-1133(大東化成工業社製)
(製造方法)
A. 成分1~9を70℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
B. 成分10~24を混合して、混合物を得た。
C. Bで得られた混合物にA、成分25、26を加え、混合物を得た。
D. Cで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
E. Dで得られた粉末状の化粧料を揮発性溶剤(水添ポリイソブテン)と混合し、スラリーを得た。
F. Eで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記揮発性溶剤を除去することで固形粉末状化粧料を得た。
【0112】
実施例20は、成分(A)~(C)の合計量に対する成分(A)の含有量:38%、成分(D)の含有量:2.0%である。実施例20の固形粉末化粧料(白粉)は、溶剤除去後のひび割れ・収縮が起こらず、良好な充填成型性を示す。また、パフへのトレ量が良好であるとともに、肌への付着性や化粧効果の持続性も良好であった。
【0113】
・実施例21:固形粉末化粧料(チーク)
(成分) (含有量)
1.環状フッ素変性シリコーン油(成分A)(*1) 1.5%
2.ステアリルジメチコン(成分B)(*3) 1.0%
3.セチルジメチコン(成分B)(*61) 0.2%
4.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(成分C)(*5) 2.5%
5.ジフェニルジメチコン(成分C)(*6) 1.0%
6.ジメチコン(成分C)(*7) 0.5%
7.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(*62) 0.01%
8.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分D)(*8) 2.0%
9.水素添加大豆リン脂質(成分D)(*63) 0.1%
10.シリカ(成分E)(*64) 15.0%
11.シリカ(成分E)(*65) 5.0%
12.(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー(成分E)(*66) 10.0%
13.ポリメタクリル酸メチル(成分E)(*67) 10.0%
14.ナイロン-12(成分E)(*68) 20.0%
15.窒化ホウ素(成分E)(*69) 10.0%
16.ジメチコン2%処理タルク(成分E)(*70) 0.1%
17.マイカ(成分E) 残量
18.ポリエチレンテレフタレート(成分E)(*19) 2.0%
19.ベンガラ(成分E)(*20) 3.0%
20.赤色226号 5.0%
21.黄色4号 1.0%
22.マツリカ花エキス、ブドウ葉エキス、セイヨウハッカ葉エキス、ビフィズス菌培養溶解質、サトザクラ花エキス、ポリクオタニウム-51、ノイバラ果実エキス、ハマナス花エキス、イザヨイバラエキス、酢酸トコフェロール、水溶性コラーゲン、ローヤルゼリーエキス、トウキ根エキス、センチフォリアバラ花エキス、ダマスクバラ花水、ローズマリー花エキス、アセロラ果実エキスの混合物(美容成分の混合物) 0.1%
23.香料 0.1%
(*61)ABIL Wax 9800(Evonik社製)
(*62)Plandool-S(日本精化社製)
(*63)NIKKOL レシノール S-10E(日光ケミカルズ社製)
(*64)サンスフェアNP-100(AGCエスアイテック社製)
(*65)コスメシリカCQ4(富士シリシア化学社製)
(*66)KSP-300(信越化学工業社製)
(*67)ガンツパール GM-2800(アイカ工業社製)
(*68)ガンツパールGPA-550(アイカ工業社製)
(*69)SHP-3(水島合金鉄社製)
(*70)SXI-5(三好化成社製)
(製造方法)
A. 成分1~9を70℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
B. 成分10~21を混合して、混合物を得た。
C. Bで得られた混合物にA、成分22、23を加え、混合物を得た。
D. Cで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
E. Dで得られた粉末状の化粧料を揮発性溶剤(水添ポリイソブテン)と混合し、スラリーを得た。
F. Eで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記揮発性溶剤を除去することで固形粉末状化粧料を得た。
【0114】
実施例21は、成分(A)の成分(A)~(C)の合計量に対する含有量:22%、成分(D)の含有量:2.1%である。実施例21の固形粉末化粧料(チーク)は、溶剤除去後のひび割れ・収縮が起こらず、良好な充填成型性を示す。また、パフへのトレ量が良好であるとともに、肌への付着性や化粧効果の持続性も良好であった。
【0115】
・実施22:固形粉末化粧料(アイシャドウ)
(成分) (含有量)
1.環状フッ素変性シリコーン油(成分A)(*1) 3.0%
2.ステアリルジメチコン (成分B)(*3) 0.2%
3.ベヘノキシジメチコン(成分B)(*71) 0.1%
4.セチルジメチコン(成分B)(*72) 0.1%
5.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(成分C)(*5) 2.0%
6.ジフェニルジメチコン(成分C)(*6) 1.0%
7.ジメチコン(成分C)(*7) 0.5%
8.ジメチコン(成分C)(*73) 0.05%
9.ステアリン酸水添ヒマシ油(*74) 0.1%
10.セスキイソステアリン酸ソルビタン(*30) 0.3%
11.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分D)(*8) 2.5%
12.シリカ(成分E)(*31) 10.0%
13.シリカ(成分E)(*32) 10.0%
14.(HDI/PPG/ポリカプロラクトン)クロスポリマー(98%)/シリカ(2%)(成分E)(*34) 15.0%
15.合成金雲母(成分E)(*35) 10.0%
16.合成金雲母(成分E)(*75) 5.0%
17.合成金雲母(成分E)(*76) 5.0%
18.ジメチコン2%処理タルク(*70) 0.5%
19.マイカ(成分E)(平均粒子径μm) 残量
20.ベンガラ(成分E)(*20) 3.0%
21.酸化チタン、水酸化Al(成分E)(*23) 2.0%
22.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理酸化チタン(成分E)(*44) 3.0%
23.クロルフェネシン 0.05%
24.エチルヘキシルグリセリン(*26) 0.1%
25.赤色226号(成分E) 2.0%
26.酸化チタン被覆ホウケイ酸(Ca/Al)(成分E)(*77)4.0%
27.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン2%処理酸化チタン被覆ホウケイ酸(Ca/Al)(成分E)(*78) 0.5%
28.酸化チタン被覆合成金雲母(成分E)(*79) 2.0%
29.酸化チタン被覆合成金雲母(成分E)(*80) 1.0%
30.(PET/ポリメタクリル酸メチル)ラミネート(成分E)(*81)
3.0%
31.酸化チタン・シリカ被覆マイカ(成分E)(*82) 3.0%
32.酸化チタン・酸化鉄被覆マイカ(成分E)(*83) 1.0%
33.甘草フラボノイド、ローズマリー葉エキス、アンズ核油、カニナバラ果実エキス、アーモンド油、コーン油の混合物(美容成分の混合物) 0.1%
34.香料 0.1%
(*71)ABIL Wax 2440(Evonik社製)
(*72)ABIL Wax 9840(Evonik社製)
(*73)KF-96A(100cs)(信越化学工業社製)
(*74)キャストライドMS(ナショナル美松社製)
(*75)PDM-20L(トピー工業社製)
(*76)PDM-40L(トピー工業社製)
(*77)マイクログラスメタシャインMT1080RR(日本板硝子社製)
(*78)FHS-2 メタシャインMT1080RB(大東化成工業社製)
(*79)HELIOS R100S(トピー工業社製)
(*80)HERIOS R10R(トピー工業社製)
(*81)オーロラフレークレッド0.01(角八魚鱗箔社製)
(*82)TIMIRON SPLEMDID RED(メルク社製)
(*83)TIMICA RADIANT GOLD 222G(BASF社製)
(製造方法)
A. 成分1~11を70℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
B. 成分12~22、25~32を混合して、混合物を得た。
C. Bで得られた混合物にA、成分23、24、33、34を加え、混合物を得た。
D. Cで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
E. Dで得られた粉末状の化粧料を揮発性溶剤(水添ポリイソブテン)と混合し、スラリーを得た。
F. Eで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記揮発性溶剤を除去することで固形粉末状化粧料を得た。
【0116】
実施例22は、成分(A)~(C)の合計量に対する成分(A)の含有量:43%、成分(D)の含有量:3.0%である。実施例22の固形粉末化粧料(アイシャドウ)は、溶剤除去後のひび割れ・収縮が起こらず、良好な充填成型性を示す。また、パフへのトレ量が良好であるとともに、肌への付着性や化粧効果の持続性も良好であった。