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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156138
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】飛行体
(51)【国際特許分類】
   B64F 3/00 20060101AFI20221006BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20221006BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B64F3/00
B64C39/02
B64C27/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059684
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000220675
【氏名又は名称】東京都下水道サービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陰山 晃治
(72)【発明者】
【氏名】小野 郁宏
(72)【発明者】
【氏名】益池 孝治
(72)【発明者】
【氏名】元吉 浩之
(57)【要約】      (修正有)
【課題】飛行体の安定化を図る。
【解決手段】機体に浮力発生部5を備える飛行体であって、前記飛行体は可動接続部12,16を備え、該可動接続部12,16から線状材料14を介して外部と接続するとともに、前記線状材料14に張力が加わった際に、前記可動接続部12,16により張力の方向が前記飛行体の重心方向に変更されることを特徴とする飛行体。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に浮力発生部を備える飛行体であって、
前記飛行体は可動接続部を備え、該可動接続部から線状材料を介して外部と接続するとともに、前記線状材料に張力が加わった際に、前記可動接続部により張力の方向が前記飛行体の重心方向に変更されることを特徴とする飛行体。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行体であって、
前記浮力発生部は、前記機体の所定位置から同心円状に複数備えられていることを特徴とする飛行体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の飛行体であって、
前記可動接続部は、前記線状材料に張力が加わった際に前記飛行体へ回転モーメントがかからない位置まで前記線状材料を移動することを特徴とする飛行体。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の飛行体であって、
飛行体の重心を曲率中心とする位置で水平方向に固定された水平円弧状レールと、水平円弧状レール上を自由に移動可能な線状材料結合部と、によって可動接続部が構成されることを特徴とする飛行体。
【請求項5】
請求項4に記載の飛行体であって、
前記水平円弧状レールは、水平方向に固定された飛行体の長さおよび幅より直径が小さいことを特徴とする飛行体。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の飛行体であって、
飛行体の重心を曲率中心とする位置で水平方向に延びる回転軸によって飛行体と可動接続された水平円弧状レールと、水平円弧状レール上を自由に移動可能な線状材料結合部とによって、可動接続部が構成されることを特徴とする飛行体。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の飛行体であって、
飛行体の重心に設けられた鉛直方向に延びる回転軸によって飛行体と可動接続された剛性体によって、可動接続部が構成されることを特徴とする飛行体。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の飛行体であって、
飛行体の重心に設けられた鉛直方向に延びる回転軸によって飛行体と可動接続され飛行体の重心を曲率中心とする鉛直方向の鉛直円弧状レールと、鉛直円弧状レール上を自由に移動可能な線状材料結合部と、から構成されることを特徴とする飛行体。
【請求項9】
請求項8に記載の飛行体であって、
前記鉛直円弧状レールは、前記機体より上部に形成されていることを特徴とする飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルや紐などの線状材料で外部と接続され、その線状材料によって移動可能範囲に制限が加わる飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
インフラ施設の点検に用いられる飛行体が実用化されつつある。飛行体が落下した場合に人が回収のためその場まで行くことが困難なインフラ施設、たとえば下水管の場合、飛行体に接続された線状材料を地上から牽引することで落下した飛行体を引っ張り上げて回収することが可能となる。
【0003】
飛行体が吸気部を有する場合、線状材料が吸気部に吸い込まれることを防止するためある程度の張力を線状材料に持たせることが有用である。張力を持たせることにより、線状材料の繰り出し長に基づいて飛行体の飛行位置を概ね推定することもできる。線状材料の張力が加わる延長線に対して飛行体の重心がずれていると、張力によって飛行体に回転モーメントが加わり、操縦が難しくなって飛行安定性が低下する課題が生じる。
【0004】
この課題に関連し、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1では、同心円上に平面配置された複数の揚力発生部の中心において、揚力発生部とアーム部との接点部より上部で地上へ垂れ下がるケーブルが接続されている。この構造を取ることで、ケーブル張力による飛行体の回転モーメントの発生を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-142551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は揚力発生部とアーム部との接点部より上部でケーブルが固定して接続されているため、地上からマンホールを経由して地下の下水管内を飛行する飛行体に線状材料を接続する場合には使えない。また、飛行体が下水管の管軸方向など水平方向へ飛行する場合には線状材料が横方向へ引っ張られることになり、ケーブルが固定して接続されているため線状材料が機体に引っかからざるを得ず、鉛直方向の回転モーメントが加わって飛行体が前傾し、操縦が困難となり安定飛行に支障が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のことから本発明においては、「機体に浮力発生部を備える飛行体であって、
前記飛行体は可動接続部を備え、該可動接続部から線状材料を介して外部と接続するとともに、前記線状材料に張力が加わった際に、前記可動接続部により張力の方向が前記飛行体の重心方向に変更されることを特徴とする飛行体。」としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、線状材料に張力が与えられた状態で飛行体を操縦する場合、水平方向あるいは鉛直方向のどの位置から線状材料が伸びていても接続部が可動であるため線状材料の張力は飛行体の重心方向へ自動的に向き、飛行体の向きを変えようとする回転モーメントが最小化される。その結果として飛行体が回転せず、操縦が容易となり安定飛行を実現できる。線状材料結合部がレールあるいは剛性体を経由して飛行体と接続されているため、飛行体の真横や上から線状材料に張力を与えても飛行体に引っかかる問題が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例1に係る飛行体の上面図および側面図。
図2】本発明の実施例2に係る飛行体の上面図および側面図。
図3】本発明の実施例3に係る飛行体の上面図および側面図。
図4】本発明の実施例4に係る飛行体の上面図および側面図。
図5】本発明の実施例5に係る飛行体の上面図および側面図。
図6】本発明の実施例5の変形例に係る飛行体の上面図および側面図。
図7】本発明の実施例6に係る飛行体の上面図および側面図。
図8】本発明の実施例7に係る飛行体の上面図および側面図。
図9】本発明の実施例8に係る飛行体の上面図および側面図。
図10】下水管点検時の飛行体とマンホールとの位置関係を示した上面図。
図11】下水管点検時の飛行体とマンホールとの位置関係を示した側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお本発明の飛行体としては下水管点検用の飛行体が挙げられるが、農業用水トンネルなど作業者が容易に内部へ入れないインフラの点検用飛行体、電力や信号を電線で受給する飛行体、荷物をロープで牽引する飛行体点検用の飛行体であっても良い。
【0011】
本発明の実施例の説明の前に、本発明に係る飛行体の利用場面例とここでの課題について、図10図11を用いてより具体的に明らかにしておく。図10図11は、下水管点検時の飛行体とマンホールとの位置関係を示した上面図、並びに側面図である。ここでは、一例として下水管内に飛行体を飛行させて、内部の点検映像を撮影する場合のイメージを上面図、側面図として示したものである。
【0012】
これらの図に示すように、管渠(下水管)102に設けられたマンホール101a、101bは、その壁面に接続して足掛け金物が入口から下水管102の管底まで並んでいることが一般的である。ここでの点検作業は、作業員が地上にいて飛行体10をマンホール101aから管渠内に導入し、マンホール101bの方向に管渠内飛行させることで行う。このとき、万一飛行体10が管渠内に落下した場合にも地上へ飛行体10を引き上げることができるよう、飛行体10には回収紐14を接続して地上から延長することが望ましい。この回収紐14の繰り出し長を地上で確認することで飛行体10の飛行位置を推測するためには、回収紐14が弛まないようある程度の張力をかける必要がある。また、回収紐14が壁面に対して平行とならない位置を飛行体10が飛行する場合、回収紐14は真後ろではなく斜め後ろから飛行体1に対して張力を与えることになる。
【0013】
飛行体10を安定飛行させるためには、飛行体10の進行方向に対して前後、左右、上下の3方向を適正に制御する必要がある。これに対し、飛行体10に回収紐14を接続しているということは、その張力により上記3方向の少なくともいずれかの安定性を乱すことになることを意味している。
【0014】
本発明においては、以下の示す図1から図9で示したいずれかの構造を取ることにより、斜め後ろから加わる張力があっても飛行体10の安定飛行を実現することを可能とするものである。なお以下の図1から図9は、左側に上面図、右側に側面図を示している。
【実施例0015】
図1は、本発明の実施例1に係る飛行体の上面図および側面図である。ここで飛行体10は少なくとも4組の回転部5(揚力発生部)が、機体6上にある中心位置(重心位置)から同心円上に平面配置されて構成されている。
【0016】
各回転部5は飛行のための揚力を発生する機能を有し、飛行体10の機体6には、機体6が形成する平面と同一平面上に、水平円弧状レール12が備えられる。水平円弧状レール12は、直線部分12aと円弧状部分12bを含んでおり、直線部分12aの中央が同心円上に平面配置された4組の回転部5(揚力発生部)の同心円の中心位置、従って重心位置となるように水平に固定されている。
【0017】
水平円弧状レール12の円弧部分12bには、円弧形状のレール上を自由に移動できる線状材料結合部16が備えられ、線状材料結合部16には線状材料14が結合される。水平円弧状レール12は線状材料14に張力が加わっても形状が大きく変形しない樹脂や金属製であることが望ましい。線状材料結合部16はレール上を自由に移動できるようフックやカラビナであっても良いし、プーリーであっても良い。プーリーの場合には、軸の部分にベアリングを内蔵することが望ましい。
【0018】
この水平円弧状レール12と線状材料結合部16が揃って可動接続部としての機能を果たす。図1の構成の場合、可動接続部は水平円弧状レール12の円弧部分12bと線状材料結合部16により構成される1個所であり、このことは自由度が1であることを意味している。図1の場合に、この構成は飛行体1の制御すべき左右、前後、上下の3方向のうち、左右回り方向の安定性に貢献し、従って飛行体操作者の制御すべき方向は前後、上下の2方向でよいことになり、これが自由度1の意味するところである。
【0019】
自由度1とできることについてさらに詳細に説明する。図1の上面図では左下から張力が加わっている様子を示している。水平円弧状レール12の曲率中心が飛行体の重心と合致しているため、線状材料結合部16は水平円弧状レール12上を左側へ自動的に移動し、張力が加わる延長線上に飛行体の重心が来ることになる。その結果として機体10に右旋回や左旋回など水平方向の回転モーメントが加わらない。飛行体は一般的にピッチ、ラダー、ロール、スロットルをプロポのレバーで操作する。水平方向の回転モーメントが加わる場合にはラダーの操作が常に必要となり操縦が困難となるが、水平方向の回転モーメントが加わらない場合にはラダーの操作が容易となる。その結果、飛行安定性の向上に寄与することが可能となる。
【0020】
なお実施例1において、回転部における羽根は機体6の下部に接地された例を示しているが、これは機体上部に設置されたものであってもよい。これは以降の実施例でも同じである。
【実施例0021】
図2は、本発明の実施例2に係る飛行体の上面図および側面図である。図1の上面図および側面図に比べ、図2では水平円弧状レール12のサイズが飛行体10の機体6の長さおよび幅より小さい。使用目的が下水管点検の場合にはマンホールから飛行体10を内部へ導入する必要があるが、この図2で示す実施例の形状とすることで、小さい飛行体10を用いる制約を緩和できる。一般的には飛行体10が大きいほどペイロードが大きいため、点検用のカメラや照明、バッテリーの選択肢が増える。また、飛行可能時間も一般的に長くなるメリットがある。
【0022】
なお、水平円弧状レール12のサイズが飛行体10の機体6の長さおよび幅より小さい構成とするときには、水平円弧状レール12の一部が飛行体10の一部と干渉することが想定されるため、図2では側面図に示すように、機体6の中心部から高さ方向に柱12cを立て、柱12cに水平円弧状レール12を固定設置した形状としている。図2では、水平円弧状レール12が機体10と干渉して線状材料結合部16が自由に動けなくなることを回避するために柱12cを採用したが、何らかの手法により図2の側面図で示す形状のように水平円弧状レール12の円弧部分周辺に空間を確保することが望ましい。
【0023】
水平円弧状レール12の円弧部分12bにはレール上を自由に移動できる線状材料結合部16が備えられ、線状材料結合部16には線状材料14が結合される。水平円弧状レール12は線状材料14に張力が加わっても形状が大きく変形しない樹脂や金属製であることが望ましい。線状材料結合部16はレール上を自由に移動できるようフックやカラビナであっても良いし、プーリーであっても良い。プーリーの場合には、軸の部分にベアリングを内蔵することが望ましい。
【0024】
この水平円弧状レール12と線状材料結合部16が揃って可動接続部としての機能を果たす。この場合も図1と同様に自由度1を確保することができ、左右回り方向の安定性に貢献する。
【0025】
図2の上面図では左下から張力が加わっている様子を示している。水平円弧状レール12の曲率中心は飛行体の重心となっているため、線状材料結合部16は水平円弧状レール12上を左側へ自動的に移動し、張力が加わる延長線上に飛行体の重心が来ることになる。その結果として機体10に右旋回や左旋回など水平方向の回転モーメントが加わらない。飛行体は一般的にピッチ、ラダー、ロール、スロットルをプロポのレバーで操作する。水平方向の回転モーメントが加わる場合にはラダーの操作が常に必要となり操縦が困難となるが、水平方向の回転モーメントが加わらない場合にはラダーの操作が容易となる。その結果、飛行安定性の向上に寄与することが可能となる。
【実施例0026】
図3は、本発明の実施例3に係る飛行体の上面図および側面図である。図3の基本構成は図1と同じであるが、唯一図1で示した上面図および側面図と異なり、水平円弧状レール12がバケツの取っ手のように水平方向に延びる水平方向回転軸18で機体6と可動接続されている点において相違している。
【0027】
水平円弧状レール12の円弧部分12bにはレール上を自由に移動できる線状材料結合部16が備えられ、線状材料結合部16には線状材料14が結合される。水平円弧状レール12は線状材料14に張力が加わっても形状が大きく変形しない樹脂や金属製であることが望ましい。線状材料結合部16はレール上を自由に移動できるようフックやカラビナであっても良いし、プーリーであっても良い。プーリーの場合には、軸の部分にベアリングを内蔵することが望ましい。
【0028】
この構成において、水平方向回転軸18は第1の可動接続部としての機能を果たしており、またその他に図1と同様に、水平円弧状レール12及び線状材料結合部16が揃って第2の可動接続部としての機能を果たしている。このことは自由度が2であることを意味している。図3の場合に、この構成は飛行体10の制御すべき左右、前後、上下の3方向のうち、左右回り方向の安定性と前後方向の安定性に貢献し、従って飛行体操作者の制御すべき方向は上下の1方向でよいことになり、これが自由度2の意味するところである。
【0029】
自由度2とできることについてさらに詳細に説明する。図3の側面図では左上から張力が加わっている様子を示している。この実施例の形態を取ることにより、線状材料14の張力が真横のみではなく斜め上から加わっても機体6には鉛直方向の回転モーメントが加わらない。鉛直方向の回転モーメントが加わる場合にはプロポのピッチの操作も常に必要となり操縦が困難となるが、鉛直方向の回転モーメントがかからない場合にはピッチの操作が容易となる。水平方向の回転モーメントも加わらないため、ラダーの操作も容易となる。その結果、さらなる飛行安定性の向上に寄与することが可能となる。
【実施例0030】
図4は、本発明の実施例4に係る飛行体の上面図および側面図である。この構成は、実施例2と実施例3の特徴を併せ持つものであり、自由度が2とされた図3の上面図および側面図の構成に比べ、水平円弧状レール12のサイズが機体10の長さおよび幅より小さいものとされている。
【0031】
使用目的が下水管点検の場合にはマンホールから飛行体10を内部へ導入する必要があるが、この図4で示す実施例4の形状とすることで、小さい飛行体10を用いる制約を緩和できる。一般的には飛行体10が大きいほどペイロードが大きいため、点検用のカメラや照明、バッテリーの選択肢が増える。また、飛行可能時間も一般的に長くなるメリットがある。
【0032】
水平円弧状レール12がバケツの取っ手のように水平方向に延びる水平方向回転軸18で機体6と可動接続されている。水平円弧状レール12の円弧部分12bにはレール上を自由に移動できる線状材料結合部16が備えられ、線状材料結合部16には線状材料14が結合される。水平円弧状レール12は線状材料14に張力が加わっても形状が大きく変形しない樹脂や金属製であることが望ましい。線状材料結合部16はレール上を自由に移動できるようフックやカラビナであっても良いし、プーリーであっても良い。プーリーの場合には、軸の部分にベアリングを内蔵することが望ましい。
【0033】
この構成においても、実施例3と同様に、水平方向回転軸18は第1の可動接続部としての機能を果たしており、またその他に図3と同様に、水平円弧状レール12及び線状材料結合部16が揃って第2の可動接続部としての機能を果たしており、自由度が2であり、飛行体操作者の制御すべき方向は上下の1方向でよいことになる。
【0034】
この実施例の形態を取ることにより、線状材料14の張力が真横のみではなく斜め上から加わっても飛行体10には鉛直方向の回転モーメントが加わらない。鉛直方向の回転モーメントが加わる場合にはプロポのピッチの操作も常に必要となり操縦が困難となるが、鉛直方向の回転モーメントがかからない場合にはピッチの操作が容易となる。水平方向の回転モーメントも加わらないため、ラダーの操作も容易となる。その結果、さらなる飛行安定性の向上に寄与することが可能となる。
【実施例0035】
図5は、本発明の実施例5に係る飛行体の上面図および側面図である。飛行体1には鉛直方向回転軸20を介して剛性体22が接続され、鉛直方向に延びる鉛直方向回転軸20を軸として自由に回転することができる。剛性体22の一端には線状材料14が接続される。これら鉛直方向回転軸20と剛性体22が揃って可動接続部としての機能を果たし、左右回り方向の安定性に貢献可能な、自由度1を達成している。
【0036】
この構造を備えることにより、線状材料14に張力がかかると接続された剛性体22が自動的に回転し、張力の延長線上に飛行体の重心が来る。図5の上面図で示すように左下向きに張力が加わると剛性体22も左下に向き、機体10への回転モーメントは加わらない。飛行体は一般的にピッチ、ラダー、ロール、スロットルをプロポのレバーで操作する。水平方向の回転モーメントが加わる場合にはラダーの操作が常に必要となり操縦が困難となるが、水平方向の回転モーメントが加わらない場合にはラダーの操作が容易となる。この結果、飛行安定性の向上に寄与することが可能となる。
【実施例0037】
図6は、本発明の実施例5に係る飛行体の上面図および側面図の変形例を示す図である。飛行体10には鉛直方向回転軸20を介して剛性体22が接続され、鉛直方向に延びる鉛直方向回転軸20を軸として自由に回転することができる。剛性体22の一端には線状材料14が接続される。これら鉛直方向回転軸20と剛性体22が揃って可動接続部としての機能を果たす。なお剛性体22の形状は図6の側面図で示すように1本の棒ではなく鉛直方向にも鉛直方向部材22aを備え、鉛直方向部材22aの先端において線状材料14と接続される。
【0038】
この構造を備えることにより、線状材料14に張力がかかると接続された剛性体22が自動的に回転し、張力の延長線上に飛行体の重心が来る。図5の上面図で示すように左下向きに張力が加わると剛性体22も左下に向き、飛行体10への回転モーメントは加わらない。飛行体は一般的にピッチ、ラダー、ロール、スロットルをプロポのレバーで操作する。水平方向の回転モーメントが加わる場合にはラダーの操作が常に必要となり操縦が困難となるが、水平方向の回転モーメントが加わらない場合にはラダーの操作が容易となる。この結果、飛行安定性の向上に寄与することが可能となる。
【0039】
さらに図5で示した形態と異なり、張力が鉛直方向に及ぼす回転モーメントを緩和することが可能となる。鉛直方向の回転モーメントが加わる場合にはプロポのピッチの操作も常に必要となり操縦が困難となるが、鉛直方向の回転モーメントが緩和される場合にはピッチの操作が容易となる。その結果、さらなる飛行安定性の向上に寄与することが可能となる。
【0040】
要するに図6の構成によれば、可動接続部は鉛直方向回転軸20と剛性体22による1か所であるが、鉛直方向部材22aの先端において線状材料14と接続したことにより、飛行体10の制御すべき左右、前後、上下の3方向のうち、左右回り方向の安定性と前後方向の安定性に貢献し、従って飛行体操作者の制御すべき方向は上下の1方向でよいことになる。
【0041】
なお、剛性体22は図6で示すような単純な形状でなくても、実際に使用する際に線状材料14が引っ張られる方向の範囲内において線状材料14および剛性体22が飛行体10に接触しなければ形状はこれに限らない。
【実施例0042】
図7は、本発明の実施例6に係る飛行体の上面図および側面図である。上面図の構造は図5図6と同一であるが、側面図として剛性体22の形状が異なる。
【0043】
図5の例の場合、線状材料14へ水平方向に張力がかかると剛性体22が飛行体10の上側のみにあるため飛行体10への鉛直方向の回転モーメントが加わり、飛行体10が後傾する。鉛直方向の回転モーメントが加わる場合にはプロポのピッチの操作が常に必要となり操縦が困難となる。
【0044】
これに対し、図7のように飛行体10の下側からも剛性体22が鉛直接続軸20で自由に回転するよう接続され、上側の剛性体22と下側の剛性体22の間で線状材料14がつながっている場合には鉛直方向の回転モーメントが小さくなり、ピッチの操作が容易となる。その結果、飛行安定性の向上に寄与することが可能となる。
【0045】
要するに図7の構成によれば、可動接続部は鉛直方向回転軸20と剛性体22による1か所であるが、剛性体22が鉛直方向回転軸20と上下両端で接続され、剛性体22が線状材料14と接続したことにより、飛行体10の制御すべき左右、前後、上下の3方向のうち、左右回り方向の安定性と前後方向の安定性に貢献し、従って飛行体操作者の制御すべき方向は上下の1方向でよいことになる。また図6の形態と異なって鉛直接続軸20の上端および下端を支点として剛性体22は接続されているため、機械的な強度が高くなり耐久性が増す効果も得られる。
【0046】
なお、剛性体22は図7で示すような単純な形状でなくても、実際に使用する際に線状材料14が引っ張られる方向の範囲内において線状材料14および剛性体22が機体10に接触しなければ形状はこれに限らない。
【実施例0047】
図8は、本発明の実施例7に係る飛行体の上面図および側面図である。実施例8では、実施例7における上述した剛性体22に代用可能なものとして、鉛直円弧状レール24が飛行体10と鉛直方向回転軸20で自由に回転するよう接続される。鉛直円弧状レール24の一端には線状材料14が線状材料結合部16を経由して接続される。
【0048】
これら鉛直方向回転軸20、鉛直円弧状レール24、線状材料結合部16が揃って可動接続部としての機能を果たす。つまりこの構成によれば、鉛直方向回転軸20は第1の可動接続部としての機能を果たしており、またその他に、鉛直円弧状レール24及び線状材料結合部16が揃って第2の可動接続部としての機能を果たしている。このことは自由度が2であることを意味している。図8の場合に、この構成は飛行体10の制御すべき左右、前後、上下の3方向のうち、左右回り方向の安定性と前後方向の安定性に貢献し、従って飛行体操作者の制御すべき方向は上下の1方向でよいことになる。
【0049】
図8の構成によれば、線状材料14に張力がかかると、接続された鉛直円弧状レール24が張力の向きに回転し、張力の延長線上に飛行体の重心が自動的に移動する。図8の上面図で示すように左下向きに張力が加わると鉛直円弧状レール24も左下に向き、飛行体10への水平方向の回転モーメントは加わらない。飛行体は一般的にピッチ、ラダー、ロール、スロットルをプロポのレバーで操作する。水平方向の回転モーメントが加わる場合にはラダーの操作が常に必要となり操縦が困難となるが、水平方向の回転モーメントが加わらない場合にはラダーの操作が容易となる。その結果、飛行安定性の向上に寄与することが可能となる。
【0050】
さらに、図8の側面図で示すように左上向きに張力が加わると、鉛直円弧状レール24の曲率中心が飛行体の重心にあるため線状材料14の延長線上に飛行体の重心が来るよう線状材料結合部16が上に移動する。その結果として、鉛直方向の回転モーメントが機体10に加わらない。鉛直方向の回転モーメントが加わる場合にはプロポのピッチの操作が常に必要となり操縦が困難となるが、図8に示した構造を取ることで鉛直方向の回転モーメントも小さくなり、ピッチの操作が容易となる。その結果、飛行安定性の向上に寄与することが可能となる。
【実施例0051】
図9は、本発明の実施例8に係る飛行体の上面図および側面図である。上面図は図8と同一であるが、側面図で示すように鉛直円弧状レール24の形状が異なる。線状材料14が真横~真上までの範囲の方向から張力を受ける場合しか発生しない場合、鉛直円弧状レール24の下半分は不要となるため、下半分を除いた構造となっている。
【0052】
図9の構成は、図8と同じ効果を有している。つまりこの構成によれば、鉛直方向回転軸20は第1の可動接続部としての機能を果たしており、またその他に、鉛直円弧状レール24及び線状材料結合部16が揃って第2の可動接続部としての機能を果たしている。このことは自由度が2であることを意味している。図9の場合に、この構成は飛行体10の制御すべき左右、前後、上下の3方向のうち、左右回り方向の安定性と前後方向の安定性に貢献し、従って飛行体操作者の制御すべき方向は上下の1方向でよいことになる。
【0053】
さらにそのうえ、図8の構造の場合、飛行体10が着陸する場合には鉛直円弧状レール24が邪魔となって不安定となるが、図9の構造を取ることで飛行体の着陸時の安定性を向上できる。図9は一例として1/4の円弧から成る鉛直円弧状レール24を図示しているが、曲率半径の中心が飛行体の重心と一致する円弧から成る鉛直円弧状レール24であれば1/4以外の割合の円弧であっても良い。
【符号の説明】
【0054】
5:回転部
6:機体
10:飛行体
12:水平円弧状レール
12a:直線部分
12b:円弧状部分
14:線状材料
16:線状材料結合部
18:水平方向回転軸
20:鉛直方向回転軸
22:剛性体
24:鉛直円弧状レール
101:マンホール
102:管渠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11