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特開2022-156143食品用品質改良剤およびその製造方法、ならびにそれを用いた食品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156143
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】食品用品質改良剤およびその製造方法、ならびにそれを用いた食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20221006BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20221006BHJP
   A23L 7/109 20160101ALI20221006BHJP
   A21D 13/80 20170101ALI20221006BHJP
   A21D 13/04 20170101ALI20221006BHJP
   A23L 29/206 20160101ALI20221006BHJP
【FI】
A23L5/00 A
A23L29/00
A23L7/109 F
A21D13/80
A21D13/04
A23L29/206
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059692
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】591021028
【氏名又は名称】奥野製薬工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182084
【弁理士】
【氏名又は名称】中道 佳博
(72)【発明者】
【氏名】舛田 賢人
(72)【発明者】
【氏名】黒瀧 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】松元 一頼
【テーマコード(参考)】
4B032
4B035
4B041
4B046
【Fターム(参考)】
4B032DB21
4B032DG20
4B032DK02
4B032DK12
4B032DK22
4B032DK45
4B032DK47
4B032DL20
4B032DP08
4B032DP23
4B032DP40
4B032DP71
4B035LC05
4B035LE04
4B035LG15
4B035LG36
4B035LP01
4B035LP21
4B035LP31
4B035LP43
4B035LP59
4B041LD01
4B041LH01
4B041LK22
4B041LP01
4B041LP03
4B041LP10
4B041LP13
4B041LP16
4B046LA04
4B046LB04
4B046LC01
4B046LC20
4B046LE01
4B046LG16
4B046LG20
4B046LG29
4B046LG32
4B046LP01
4B046LP10
4B046LP14
4B046LP41
4B046LP51
(57)【要約】
【課題】 麺類などの食品について食感の経時的な変化を抑制することができる食品用品質改良剤およびその製造方法、ならびにそれを用いた食品を提供すること。
【解決手段】 本発明の食品用品質改良剤は、そば殻およびグルテンの乾燥粉砕物を含み、乾燥粉砕物10gと蒸留水20gとの混合物を90℃で45分間加熱し、その後氷水でゲル温度が5℃となるまで氷冷した際の圧縮速度が20mm/分でありかつ球状治具を用いるレオメーターによる硬さが3N~20Nである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
そば殻およびグルテンを含む乾燥粉砕物から構成されており、
該乾燥粉砕物10gと蒸留水20gとの混合物を90℃で45分間加熱し、その後氷水で5℃となるまで氷冷して得たゲルのレオメーターによる硬さが3N~20Nである、食品用品質改良剤。
【請求項2】
前記乾燥粉砕物における前記そば殻(S)と前記グルテン(G)との質量比(S/G)が19/1~1/19である、請求項1に記載の食品用品質改良剤。
【請求項3】
前記乾燥粉砕物の平均粒子径が20μm~60μmである、請求項1または2に記載の食品用品質改良剤。
【請求項4】
麺類の品質を改良するために用いられる、請求項1から3のいずれかに記載の食品用品質改良剤。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の食品用品質改良剤の製法方法であって、
そば殻およびグルテンの乾燥配合物を、その平均粒子径が20μm~60μmとなるまで粉砕する工程を包含する、方法。
【請求項6】
前記粉砕工程がボールミル、ジェットミル、ピンミルまたはハンマーミルにより行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
食品素材と請求項1から4のいずれかに記載の食品用品質改良剤とを含む、食品。
【請求項8】
前記食品素材が製麺材料である、請求項7に記載の食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用品質改良剤およびその製造方法、ならびにそれを用いた食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパートの食品売り場などでは、多くの調理食品が陳列かつ販売されており、消費者の購買意欲を掻き立てるものとなっている。その中でも、うどん、蕎麦、中華麺などを用いた調理麺については、本来の歯応え(硬さ)や歯切れを維持することが難しいと言われている。特に蕎麦については、歯応えが、茹で上げ直後から経時的に低下するため、これを防止または低減するための技術改良が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1では、即席麺類などの麺類に小麦グルテンより分画されたグルテニン主成分分画物を添加することにより生麺に近い食感を得ることが提案されている。特許文献2では、喫食時の硬さ、粘弾性、歯応え、歯切れ、滑らかさなどの食感を良好にするために、茹で麺に乳性蛋白濃縮物、キサンタンガムおよび親水性乳化剤を添加することが提案されている。特許文献3では、うどん、中華麺、そばなどの小麦粉製品の製造の際に、小麦粉に卵白、血しょう、およびタンパク質素材の1つまたはそれ以上の成分を添加して、当該小麦粉製品の粘弾性、コシ等を改善させることが提案されている。
【0004】
しかし、上記技術では、未だ調理麺の食感の経時的な変化を改善するには至っておらず、さらなる技術改良が所望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6―153832号公報
【特許文献2】特開平6-141803号公報
【特許文献3】特開昭58-134959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、調理麺などの食品について食感の経時的な変化を抑制することができる食品用品質改良剤およびその製造方法、ならびにそれを用いた食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、そば殻およびグルテンを含む乾燥粉砕物から構成されており、
該乾燥粉砕物10gと蒸留水20gとの混合物を90℃で45分間加熱し、その後氷水でゲル温度が5℃となるまで氷冷して得たゲルのレオメーターによる硬さが3N~20Nである、食品用品質改良剤である。
【0008】
1つの実施形態では、上記乾燥粉砕物における上記そば殻(S)と上記グルテン(G)との質量比(S/G)は19/1~1/19である。
【0009】
1つの実施形態では、上記乾燥粉砕物の平均粒子径は20μm~60μmである。
【0010】
1つの実施形態では、本発明の食品用品質改良剤は、麺類の品質を改良するために用いられる。
【0011】
本発明はまた、上記食品用品質改良剤の製法方法であって、
そば殻およびグルテンの乾燥配合物を、その平均粒子径が20μm~60μmとなるまで粉砕する工程を包含する、方法である。
【0012】
1つの実施形態では、上記粉砕工程はボールミル、ジェットミル、ピンミルまたはハンマーミルにより行われる。
【0013】
本発明はまた、食品素材と上記食品用品質改良剤とを含む、食品である。
【0014】
1つの実施形態では、上記食品素材は製麺材料である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、経時的な食感の低下を抑制することができる。これにより、より長時間に亘って食品を陳列することができ、製造後所定時間経過後の食品の廃棄ロスを低減できる。また、より長時間の運送が可能となり、食品の製造拠点の集約にも期待できる。本発明の食品用品質改良剤はまた、適度な硬さと歯切れ良さを有する食品、例えば調理麺の製造において有用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(食品用品質改良剤)
本発明の食品用品質改良剤は乾燥粉砕物から構成されている。
【0017】
ここで、本明細書中に用いられ得る用語「乾燥粉砕物」とは、それ自体が乾燥したものであり、物理的または機械的手段により所定の大きさにまで粉砕されてなる粒子群を指して言う。乾燥粉砕物は、全体質量を基準として、例えば多くても15質量%まで、好ましくは多くても8質量%までの水分含有量を有する。
【0018】
このような乾燥粉砕物は、そば殻およびグルテン、必要に応じて他の添加剤を含有する。
【0019】
そば殻は、収穫したソバのうち、蕎麦の実を取り巻く部分である。そば殻は、有効成分として、例えばルチン、ケルセチンなどのポリフェノールやカテキン-カテキン重合体を含む。本発明において、そば殻は蕎麦の実を取り除いた後の残渣であってもよく、蕎麦の実を含んだ状態のもの(すなわち、蕎麦の実を取り除く前の段階のもの)であってもよく、あるいはこれらを組み合わせたものであってもよい。本発明の食品用品質改良剤において、そば殻は好ましくはそれ自体が乾燥体の状態で含有されている。
【0020】
グルテンは、小麦、ライ麦などの穀物の胚乳から生成されるグルテニンおよびグリアジンを含み、麩質とも呼ばれる。グルテニンおよびグリアジンは水を含んだ状態で網目状に結合することができ、このような状態のものを一般に生グルテンと呼ぶ。
【0021】
グルテンは、例えば、小麦粉から小麦澱粉を製造する際の副産物としても知られている。例えば、小麦粉に水を加えて練り、得られた混練物を水洗することによって、水中に小麦澱粉が懸濁する。他方、水に懸濁せずに、残留した固形の塊が生グルテンである。生グルテンは、この懸濁液から分離回収することによって得ることができる。
【0022】
本発明において、グルテンには、例えば生グルテンの冷凍物あるいは生グルテンを乾燥粉末化してグルテン粉末として流通しているものが包含される。
【0023】
さらに、グルテンは改質グルテンと呼ばれるものであってもよい。
【0024】
改質グルテンは、生グルテンに処理を施すことにより、生グルテンとは異なる性質が付与された、好ましくは粉末または顆粒状の加工グルテンである。改質グルテンの例としては、油脂改質グルテン、還元糖改質グルテンおよびそれらの組合せが挙げられる。
【0025】
油脂改質グルテンは、生グルテンと、不飽和脂肪酸を例えば50重量%以上の割合で含有する油脂とを混練し、乾燥かつ粉砕することにより得られるものである。油脂改質グルテンを構成し得る油脂は、限定されるものではないが、例えば、牛脂、豚脂、魚油などの動物油脂;ヤシ油、パーム油、大豆油、菜種油、米油、サフラワー油、コーン油、紅花油、ピーナッツ油、綿実油、中鎖トリグリセライドなどの植物油脂、ならびにそれらの組合せが挙げられる。油脂改質グルテンは、例えば、特開2008-136481号公報に記載の方法にしたがって当業者が容易に製造することができる。
【0026】
還元糖改質グルテンは、生グルテンと還元糖とを混練し、乾燥かつ粉砕することにより得られるものである。還元糖改質グルテンを構成し得る還元糖は、限定されるものではないが、例えば、フルクトース、キシロース、グルコース、マルトース、ショ糖、ラクトース、キシロオリゴ糖、イソマルツロース、ラクトスクロース、ラムノース、N-アセチルグルコサミン、L-アラビノース、D-リボース、L-フコース、およびL-ソルボース、ならびにそれらの組合せが挙げられる。還元糖改質グルテンは、例えば、特開2012-044985号公報に記載の方法にしたがって当業者が容易に製造することができる。
【0027】
さらに、本発明において、グルテンは上記生グルテンと改質グルテンとの混合物であってもよい。生グルテンと改質グルテンとの混合比は特に限定されず、当業者によって適切な混合割合が選択され得る。
【0028】
乾燥粉砕物におけるそば殻(S)とグルテン(G)との質量比(S/G)は必ずしも限定されないが、絶乾状態において好ましくは19/1~1/19、より好ましくは7/3~1/9、さらにより好ましくは7/3~3/7である。乾燥粉砕物に、そば殻とグルテンとがこのような質量比で含有されていることにより、得られる製剤は食品用品質改良剤として特に優れた効果を奏する。例えば、製麺材料と一緒に添加することにより、適度な硬さとともに歯切れのよい、調理麺を製造することができる。
【0029】
乾燥粉砕物に含有され得る他の添加剤としては、必ずしも限定されないが、例えば、増粘多糖類、澱粉、加工デンプン、糖類、未改質のたん白、未改質のたん白分解物、油脂、乳化剤、ソルビトール、水、賦形剤などの食品添加剤の製造上許容され得るものが挙げられる。乾燥粉砕物に含有され得る他の添加剤の含有量は、特に限定されず、適切な含有量が当業者によって選択され得る。
【0030】
本発明において、上記乾燥粉砕物は、食品用品質改良剤としての品質を略一定に保持するために、その平均粒子径が所定の範囲内に整えられていることが好ましい。乾燥粉砕物の平均粒子径は、好ましくは20μm~60μm、より好ましくは30μm~58μmである。乾燥粉砕物の平均粒子径が20μmを下回ると、個々の粒子が小さすぎて、後述の食品素材と混合して得られる食品の品質があまり変化せず生産性に劣る場合がある。乾燥粉砕物の平均粒子径が60μmを上回ると、得られる食品の食感自体が大きく損なわれる場合がある。
【0031】
本発明において、上記乾燥粉砕物はまた、ゲル化した際に所定の硬さを有するものである。具体的には、乾燥粉砕物10gと蒸留水20gとの混合物を90℃で45分間加熱し、その後氷水でゲル温度が5℃となるまで氷冷して得たゲルのレオメーターによる硬さは3N~20N、好ましくは10N~15Nである。このゲルの硬さが3Nを下回ると、そのような乾燥粉砕物を食品素材と合わせて得られる食品は、実質的な食感の変化が感じられない、もしくは歯切れが悪くなる等の支障を来す。このゲルの硬さが20Nを上回ると、そのような乾燥粉砕物を食品素材と合わせて得られる食品は、食感が悪化する等の支障を来す。
【0032】
本発明の食品用品質改良剤は、後述するような食品素材と混合して種々の食品が製造される。本発明の食品用品質改良剤は、例えば麺類の品質を改良するために用いることができる。本発明の食品用品質改良剤を用いて得られた麺類は適度な硬さを有し、歯切れが向上するという食感の向上を得ることができる。
【0033】
(食品用品質改良剤の製造方法)
本発明の食品用品質改良剤は、例えばそば殻およびグルテンの乾燥配合物を所定の大きさにまで粉砕することにより製造される。
【0034】
そば殻およびグルテンの乾燥配合物は、例えば、それぞれ乾燥したそば殻とグルテンとを混合して得られたものであり、この段階では、そば殻およびグルテンのいずれもが未粉砕のものであることが好ましい。そば殻とグルテンとは、予め略均一になるまで撹拌されていてもよく、あるいはそば殻とグルテンとを単に配合したのみのものであってもよい。あるいは、この乾燥配合物は、後述する粉砕装置にそば殻とグルテンとを一緒に投入(例えば同時に投入)したものであってもよい。
【0035】
乾燥配合物の粉砕は、例えば粉砕装置を用いて行われる。本発明の方法において使用され得る粉砕装置の例としては、ボールミル、ジェットミル、ピンミルおよびハンマーミルが挙げられる。粉砕効率が良好であるという点からボールミルを用いることが好ましい。
【0036】
このような粉砕は、乾燥配合物(すなわち、そば殻およびグルテン)が、好ましくは20μm~60μm、より好ましくは30μm~58μmの平均粒子径を有する乾燥粉砕物となるまで行われる。粉砕により得られる乾燥粉砕物の平均粒子径が20μmを下回ると、個々の粒子が小さすぎて、後述の食品素材と混合して得られる食品の品質があまり変化せず生産性に劣る場合がある。粉砕により得られる乾燥粉砕物の平均粒子径が60μmを上回ると、得られる食品の食感自体が大きく損なわれる場合がある。粉砕時間は、粉砕する乾燥配合物の量、他の添加物の有無、種類および量等によって変動するために、必ずしも限定されないが、好ましくは1時間~60時間、より好ましくは4時間~8時間である。粉砕時間が1時間を下回ると、乾燥配合物を粉砕して得られる乾燥粉砕物の粒径が整わず、比較的広い粒度分布の粉砕粒子で構成されるため、品質改良剤として使用する際の効果のバラツキを生じ易くなることがある。粉砕時間が60時間を上回ると、乾燥配合物を粉砕して得られる乾燥粉砕物の粒径が整い、比較的狭い粒度分布の粉砕粒子で構成されるものの、長時間の粉砕によって生産効率が低下し、かつ食品素材と合せて得られる食品の食感(例えば歯切れ)が低下してゴム様の食感を呈することがある。
【0037】
なお、本発明においては、粉砕の効率を高めるために、上記乾燥配合物の粉砕を構成成分の一旦凍結した後に行ってもよい。例えば、上記そば殻および/またはグルテンを液体窒素などの冷媒中で予め凍結させ、その凍結状態を保持したまま上記粉砕装置に投入して粉砕を行うことができる。
【0038】
このようにして乾燥粉砕物で構成される本発明の食品用品質改良を得ることができる。
【0039】
(食品用品質改良剤を用いた食品)
本発明の食品用品質改良剤は、例えば、デンプンや寒天などの多糖類成分、および/またはゼラチンのようなタンパク質成分を豊富に含む任意の食品素材と合わせて使用される。特に本発明の食品用品質改良剤は、麺類の品質を効果的に改良し得る点で有用である。
【0040】
本発明の食品用品質改良剤を適用可能な麺類の例としては、蕎麦(例えば、十割蕎麦、二八蕎麦、更科蕎麦、田舎蕎麦、藪蕎麦を包含する)、うどん、ひやむぎ、素麺、中華そば、中華麺、スパゲティ、スパゲティーニ、フェデリーニ、カッペリーニ、タリアテッレ、ブカティーニ、春雨、冷麺、葛切り、粟麺、ビーフン、フォー、米線、しらたき、低カロリー麺(こんにゃく麺)、黒豆麺、ひえめん、海藻麺、餃子の皮、シュウマイの皮、春巻きの皮、ワンタンなどが挙げられる。本発明の食品用品質改良剤を適用可能な麺類以外の食品の例としては、ハンバーグ、中華饅頭、ミートボール、つくね、ソーセージ、ハム、ベーコン、チキンナゲット、鶏唐揚げ、とんかつ(ピックル液)、卵焼き、だし巻き卵、厚焼き卵、薄焼き卵、炒り卵、オムレツ、スクランブルエッグ、かに玉、茶碗蒸し、ピザ、中華饅頭、饅頭、どら焼、パン、スポンジケーキ、ホットケーキ、クッキー、マフィン、ブッセ、シュー皮が挙げられる。良好な硬さと歯切れの向上とを両立できるとの理由から、本発明の食品用品質改良剤は、蕎麦の製造のために使用することが好ましい。さらに、こうした麺類は調理後すぐに食するものだけでなく、例えば、調理麺、生タイプ即席めん(LL麺)、冷凍麺、即席麺等の製麺の際にも適用可能である。
【0041】
本発明の食品用品質改良剤は、例えば麺類の製造のために使用される場合、製麺材料(例えば、小麦粉、蕎麦粉、うどん粉などの麺粉)と一緒に所定量が混合され、当業者に公知の方法を用いて製麺される。
【0042】
このようにして得られた食品(例えば麺類)は、食味を損なうことなく、適度な硬さを有し、良好な歯切れ良さを当該食品に提供することができる。
【実施例0043】
以下、実施例により本発明を詳述する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
(実施例1:乾燥粉砕物(E1)の作製)
そば殻と乾燥グルテン(活性グルテン(グリコ栄養食品株式会社製A-グルG))とを質量比で1/1となるように混合し、振動ボールミル(中央化工機株式会社製MB-3)で5時間粉砕することにより乾燥粉砕物(E1)を得た。また、乾燥粉砕物(E1)の平均粒子径を粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製SALD-2100)により測定した。
【0045】
次に、この乾燥粉砕物(E1)10gと蒸留水20gとを混合して33(w/w)%のゲルを調製し、これをケーシングチューブに充填した。このケーシングチューブを90℃のウォーターバス中で45分間加熱し、氷水中で5℃となるまで冷却した。このような操作を経たゲルをケーシングチューブから取り出して、レオメーター(株式会社島津製作所製テクスチャーアナライザーEZ-SX)により、20mm/分の圧縮速度にて圧縮治具として球形治具を用いて、当該ゲルの硬さを測定した。結果を表1に示す。
【0046】
(比較例1:乾燥混合物(C1)の作製)
振動ボールで粉砕することなく、そば殻と乾燥グルテン(活性グルテン(グリコ栄養食品株式会社製A-グルG))とを質量比が1/1となるように混合して、乾燥混合物(C1)を得た。また、乾燥混合物(C1)の平均粒子径を、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0047】
この乾燥混合物(C1)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゲルを調製し、上記レオメーターによる当該ゲルの硬さを測定した。結果を表1に示す。
【0048】
(比較例2:乾燥粉砕混合物(C2)の作製)
そば殻を振動ボールミル(中央化工機株式会社製MB-3)で5時間粉砕することにより、そば殻粉砕物を得た。他方、乾燥グルテン(活性グルテン(グリコ栄養食品株式会社製A-グルG))を振動ボールミルで5時間粉砕することにより、グルテン粉砕物を得た。その後、そば殻粉砕物とグルテン粉砕物との質量比が1/1なるように混合して乾燥粉砕混合物(C2)を得た。また、乾燥粉砕混合物(C2)の平均粒子径を、実施例1と同様にして測定した。
【0049】
この乾燥粉砕混合物(C2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゲルを調製し、上記レオメーターによる当該ゲルの硬さを測定した。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示すように、実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)は、レオメーターによるゲルの硬さが、比較例1および2で得られたもの((C1)および(C2))よりも明らかに上昇していたことがわかる。
【0052】
(実施例2:そばゲル(SE1)の作製)
そば粉14.7質量部と、蒸留水15質量部と、実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)0.3質量部とを混合して、そばゲル(SE1)を得た。
【0053】
次いで、このそばゲル(SE1)をケーシングチューブに充填した。このケーシングチューブを90℃のウォーターバス中で45分間加熱し、氷水中で5℃となるまで冷却した。このような操作を経たそばゲルをケーシングチューブから取り出して、レオメーター(株式会社島津製作所製テクスチャーアナライザーEZ-SX)により、20mm/分の圧縮速度にて圧縮治具として球形治具を用いて、当該そばゲルの硬さを測定した。結果を表2に示す。
【0054】
(比較例3:そばゲル(SC1)の作製)
実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)の代わりに、そば殻0.15質量部および乾燥グルテン(活性グルテン(グリコ栄養食品株式会社製A-グルG))0.15質量部を用いたこと以外は実施例2と同様にして、そばゲル(SC1)を得た。
【0055】
次いで、実施例2のそばゲル(SE1)の代わりに、このそばゲル(SC1)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、上記レオメーターによるそばゲルの硬さを測定した。結果を表2に示す。
【0056】
(比較例4:そばゲル(SC2)の作製)
実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)の代わりに、比較例2で作製したそば殻粉砕物0.15質量部とグルテン粉砕物0.15質量部とを用いたこと以外は実施例2と同様にして、そばゲル(SC2)を得た。
【0057】
次いで、実施例2のそばゲル(SE1)の代わりに、このそばゲル(SC2)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、上記レオメーターによるそばゲルの硬さを測定した。結果を表2に示す。
【0058】
(比較例5:そばゲル(SC3)の作製)
実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)を含有させることなく、かつそば粉の添加量を15質量部に変更したこと以外は実施例2と同様にして、そばゲル(SC3)を得た。
【0059】
次いで、実施例2のそばゲル(SE1)の代わりに、このそばゲル(SC3)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、上記レオメーターによるそばゲルの硬さを測定した。結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
表2に示すように、実施例2で得られたそばゲル(SE1)(実施例1の乾燥粉砕物(E1)を含有するゲル)は、レオメーターによるゲルの硬さが、比較例3~5で得られたもの((SC1)、(SC2)および(SC3))よりも明らかに上昇していたことがわかる。
【0062】
(実施例3:茹でそば(BE1)の作製)
表3に示すように、そば粉30質量部と、小麦粉50質量部と、加工でんぷん15質量部と、乾燥グルテン(活性グルテン(グリコ栄養食品株式会社製A-グルG))5質量部と、実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)0.4質量部とをそれぞれ計量して、1つのポリエチレン製袋に入れて予備混合を行った。その後内容物を、万能撹拌機を用いて低速で撹拌しながら、練り水33質量部を添加し、その後8分間混合を継続して生地を得た。次いで、製麺機を用いて、当該生地を圧延し、約1.5mmの厚みを有する麺帯を得た。この麺帯を1.5mmの麺幅となるように切り刃を入れて切り出してそばを作製した。
【0063】
その後、このそばを茹でかごに入れ、熱湯内で90秒間茹でた後にこれを取り出し、直ちに30秒間を冷水で、さらに30秒間を氷水で冷却し、その後水分を十分に切って茹でそば(BE1)を得た。
【0064】
この茹でそば(BE1)を、パネリスト10名が作製当日、作製1日経過日後、および作製2日経過後にそれぞれ食し、茹でそばの硬さおよび歯切れについて、茹で直後の8割蕎麦の硬さおよび歯切れに基づく以下の5段階の基準からそれぞれ評価し、評価点数の合計の平均値(小数点以下は切り捨て)を算出した。結果を表4および5に示す。
【0065】
(比較例6:茹でそば(BC1)の作製)
表3に示すように、乾燥グルテンの含有量を8.2質量部に変更し、実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)の代わりに、そば殻0.2質量部を用いたこと以外は実施例3と同様にして、茹でそば(BC1)を得た。この茹でそば(BC1)について、実施例3と同様にしてパネリスト10名による茹でそばの硬さおよび歯切れについての評価を行った。結果を表4および5に示す。
【0066】
(比較例7:茹でそば(BC2)の作製)
表3に示すように、実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)の代わりに、比較例2で作製したそば殻粉砕物0.2質量部とグルテン粉砕物0.2質量部とを用いたこと以外は実施例3と同様にして、茹でそば(BC2)を得た。この茹でそば(BC2)について、実施例3と同様にしてパネリスト10名による茹でそばの硬さおよび歯切れについての評価を行った。結果を表4および5に示す。
【0067】
(比較例8:茹でそば(BC3)の作製)
表3に示すように、実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)を含有させなかったこと以外は実施例3と同様にして、茹でそば(BC3)を得た。この茹でそば(BC3)について、実施例3と同様にしてパネリスト10名による茹でそばの硬さおよび歯切れについての評価を行った。結果を表4および5に示す。
【0068】
【表3】
【0069】
(茹でそばの硬さの評価基準)
5点:極めて良い(茹で直後の8割蕎麦の硬さと同等またはそれ以上の硬さ)
4点:良い(茹で直後の8割蕎麦の硬さよりは僅かに劣るが良好)
3点:普通(茹で直後の8割蕎麦の硬さはないが、十分に喫食可能)
2点:悪い(茹で直後の8割蕎麦の硬さはなく、むしろ食感が悪い)
1点:極めて悪い(茹で直後の8割蕎麦の硬さはなく、著しく食感が劣る)
【0070】
(茹でそばの歯切れの評価基準)
5点:極めて良い(茹で直後の8割蕎麦の歯切れと同等またはそれ以上の歯切れ)
4点:良い(茹で直後の8割蕎麦の歯切れよりは僅かに劣るが良好)
3点:普通(茹で直後の8割蕎麦の歯切れはないが、十分に喫食可能)
2点:悪い(茹で直後の8割蕎麦の歯切れはなく、むしろ食感が悪い)
1点:極めて悪い(茹で直後の8割蕎麦の歯切れはなく、著しく食感が劣る)
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】
表4および5に示すように、実施例3で作製された茹でそば(BE1)(実施例1の乾燥粉砕物(E1)を含有する茹でそば)は、作製当日の硬さおよび歯切れのいずれにおいても、比較例6~8で得られたもの((BC1)、(BC2)および(BC3))よりも明らかに向上していた。また、実施例3および比較例6~8の茹でそばはいずれも、作製後日数が経過すると、硬さおよび歯切れの両方が低下するが、実施例3で作製された茹でそば(BE1)は、比較例6~8で得られたもの((BC1)、(BC2)および(BC3))と比較して1日経過後および2日経過後の硬さおよび歯切れは良好であり、茹でそばの良好な品質が延長される傾向にあったことがわかる。
【0074】
(実施例4:乾燥粉砕物(E4)とそれを用いた茹でそば(BE4)の作製)
そば殻と乾燥グルテンとを質量比で9/1となるように混合したこと以外は実施例1と同様にして乾燥粉砕物(E4)を得た。また、乾燥粉砕物(E4)の平均粒子径および当該乾燥粉砕物(E4)を用いたゲルの硬さを実施例1と同様にして測定した。
【0075】
次いで、そば粉30質量部と、小麦粉70質量部と、乾燥粉砕物(E4)2質量部とをそれぞれ計量して1つのポリエチレン製袋に入れて予備混合を行った。その後内容物を、万能撹拌機を用いて低速で撹拌しながら、練り水30質量部を添加し、その後8分間混合を継続して生地を得た。次いで、製麺機を用いて、当該生地を圧延し、約1.5mmの厚みを有する麺帯を得た。この麺帯を1.5mmの麺幅となるように切り刃を入れて切り出してそばを作製した。
【0076】
その後、このそばを茹でかごに入れ、熱湯内で90秒間茹でた後にこれを取り出し、直ちに30秒間を冷水で、さらに30秒間を氷水で冷却し、その後水分を十分に切って茹でそば(BE4)を得た。
【0077】
この茹でそば(BE4)を、パネリスト10名が作製当日および作製1日経過日後にそれぞれ食し、茹でそばの硬さおよび歯切れのそれぞれについて以下の基準にしがたって協議により決定した。
【0078】
(茹でそばの硬さおよび歯切れの評価基準)
〇:未粉砕品よりも向上していた
△:未粉砕品と同等であった
×:未粉砕品よりも低下していた
【0079】
なお、上記評価基準における「未粉砕品」とは、対比する乾燥粉砕物と同質量比で構成されるそば殻およびグルテンを、粉砕することなく単に混合して乾燥混合物を得、当該乾燥粉砕物の代わりにこれを用いて作製した茹でそばをいう。例えば、乾燥粉砕物(E4)を用いる茹でそばの未粉砕品は、そば殻とグルテンとを9/1の質量比で含む粉砕していない(未粉砕の)乾燥混合物を用いた茹でそばを表す。(未粉砕の)乾燥混合物を用いたゲルの硬さも実施例1と同様にして測定した。
【0080】
結果を表6に示す。
【0081】
(実施例5~8:乾燥粉砕物(E5)~(E8)とそれらを用いた茹でそば(BE5)~(BE8)の作製)
そば殻と乾燥グルテンとを表7に示す質量比で混合したこと以外は実施例1と同様にして乾燥粉砕物(E5)~(E8)を得た。また、乾燥粉砕物(E5)~(E8)の平均粒子径および当該乾燥粉砕物(E5)~(E8)を用いたゲルの硬さを実施例1と同様にして測定した。
【0082】
次いで、上記乾燥粉砕物(E4)の代わりに、乾燥粉砕物(E5)~(E8)のそれぞれを用いたこと以外は実施例4と同様にして茹でそば(BE5)~(BE8)を得、当該茹でそば(BE5)~(BE8)の硬さおよび歯切れについて、実施例4と同様にして評価した。結果を表6に示す。
【0083】
(比較例9および10:乾燥体(C9)~(C10)とそれらを用いた茹でそば(BC9)~(BC10)の作製)
そば殻と乾燥グルテンとを表7に示す質量比で添加(すなわち、そば殻またはグルテンのいずれかを添加)したこと以外は実施例1と同様にして乾燥体(C9)および(C10)を得た。また、乾燥体(C9)および(C10)の平均粒子径および当該乾燥体(C9)および(C10)を用いたゲルの硬さを実施例1と同様にして測定した。
【0084】
次いで、上記乾燥粉砕物(E4)の代わりに、乾燥体(C9)または(C10)のいずれかを用いたこと以外は実施例4と同様にして茹でそば(BC9)~(BC10)を得、当該茹でそば(BC9)~(BC10)の硬さおよび歯切れについて、実施例4と同様にして評価した。結果を表6に示す。
【0085】
【表6】
【0086】
表6に示すように、そば殻とグルテンとを併用した乾燥粉砕物(E4)~(E8)は、未粉砕品のために使用した乾燥混合物よりもゲルの硬さを向上させていた。さらに、乾燥粉砕物(E4)~(E8)は、そば殻またはグルテンのいずれかを含有しない乾燥体(C9)および(C10)と比較して、茹でそばの硬さと歯切れの両方が、各未粉砕品の茹でそばのものと同等またはそれ以上の性質を有していた。また、こうした茹でそばの硬さと歯切れは、作成1日経過後においても効果的に保持されていたことがわかる。
【0087】
(実施例9:茹でそば(BE9)の作製)
そば粉30質量部と、小麦粉70質量部と、実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)2質量部とをそれぞれ計量して1つのポリエチレン製袋に入れて予備混合を行った。その後内容物を、万能撹拌機を用いて低速で撹拌しながら、練り水30質量部を添加し、その後8分間混合を継続して生地を得た。次いで、製麺機を用いて、当該生地を圧延し、約1.5mmの厚みを有する麺帯を得た。この麺帯を1.5mmの麺幅となるように切り刃を入れて切り出してそばを作製した。
【0088】
その後、このそばを茹でかごに入れ、熱湯内で2分間茹でた後にこれを取り出して茹でそば(BE9)を得た。
【0089】
この茹でそば(BE9)について、レオメーター(株式会社島津製作所製テクスチャーアナライザーEZ-SX)により、10mm/分の圧縮速度にて圧縮治具としてピアノ線を用いて、当該茹でそばの硬さを測定した。結果を表7に示す。
【0090】
(比較例11:茹でそば(BC11)の作製)
実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)の代わりに、そば殻1質量部および乾燥グルテン(活性グルテン(グリコ栄養食品株式会社製A-グルG))1質量部を用いたこと以外は実施例9と同様にして、茹でそば(BC11)を得た。
【0091】
次いで、実施例9の茹でそば(BE9)の代わりに、この茹でそば(BC11)を用いたこと以外は実施例9と同様にして、上記レオメーターによる茹でそばの硬さを測定した。結果を表7に示す。
【0092】
(比較例12:茹でそば(BC12)の作製)
実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)の代わりに、比較例2で作製したそば殻粉砕物1質量部とグルテン粉砕物1質量部とを用いたこと以外は実施例9と同様にして、茹でそば(BC12)を得た。
【0093】
次いで、実施例9の茹でそば(BE9)の代わりに、この茹でそば(BC12)を用いたこと以外は実施例9と同様にして、上記レオメーターによる茹でそばゲルの硬さを測定した。結果を表7に示す。
【0094】
(比較例13:茹でそば(BC13)の作製)
実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)を含有させなかったこと以外は実施例9と同様にして、茹でそば(BE13)を得た。
【0095】
次いで、実施例9の茹でそば(BE9)の代わりに、この茹でそば(BC13)を用いたこと以外は実施例9と同様にして、上記レオメーターによる茹でそばの硬さを測定した。結果を表7に示す。
【0096】
【表7】
【0097】
表7に示すように、実施例9で得られた茹でそば(BE9)(実施例1の乾燥粉砕物(E1)を含有する茹でそば)は、レオメーターによるゲルの硬さが、比較例11~13で得られたもの((BC11)、(BC12)および(BC13))よりも明らかに上昇していたことがわかる。
【0098】
(実施例10:そば粉クッキー(CE10)の作製)
無塩バター150質量部と砂糖75質量部とを混合し、その後卵50質量部を少しずつ混ぜた。これに、実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)2質量部およびそば粉150質量部を予め合わせた混合物と、ベーキングパウダー5質量部とをふるいをかけながら添加し、その後低速で2分間混合を続けて生地を得た。この生地をラップに包み、4℃で30分間保管した。次いで、生地を厚さ5mmになるまで圧延し、5cm×5cmの正方形にカットし、予熱したオーブンで165℃にて25分間焼成し、その後室温になるまで放冷することによりそば粉クッキー(CE10)を得た。このそば粉クッキー(CE10)を、シリカゲルを含むチャック付きラミネート袋内に入れ、室温で保管した。
【0099】
このそば粉クッキー(CE10)について、レオメーター(株式会社島津製作所製テクスチャーアナライザーEZ-SX)により、20mm/分の圧縮速度にて圧縮治具として楔形治具(2cm)を用いて、当該そば粉クッキーの硬さを測定した。結果を表8に示す。
【0100】
(比較例14:そば粉クッキー(CC14)の作製)
実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)の代わりに、そば殻1質量部および乾燥グルテン(活性グルテン(グリコ栄養食品株式会社製A-グルG))1質量部を用いたこと以外は実施例10と同様にして、そば粉クッキー(CC14)を得た。
【0101】
次いで、実施例10のそば粉クッキー(CE10)の代わりに、このそば粉クッキー(CC14)を用いたこと以外は実施例10と同様にして、上記レオメーターによるそば粉クッキーの硬さを測定した。結果を表8に示す。
【0102】
(比較例15:そば粉クッキー(CC15)の作製)
実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)の代わりに、比較例2で作製したそば殻粉砕物1質量部とグルテン粉砕物1質量部とを用いたこと以外は実施例9と同様にして、そば粉クッキー(CC15)を得た。
【0103】
次いで、実施例10のそば粉クッキー(CE10)の代わりに、このそば粉クッキー(CC15)を用いたこと以外は実施例10と同様にして、上記レオメーターによるそば粉クッキーの硬さを測定した。結果を表8に示す。
【0104】
(比較例16:そば粉クッキー(CC16)の作製)
実施例1で得られた乾燥粉砕物(E1)を含有させなかったこと以外は実施例10と同様にして、そば粉クッキー(CC16)を得た。
【0105】
次いで、実施例10のそば粉クッキー(CE10)の代わりに、このそば粉クッキー(CC16)を用いたこと以外は実施例10と同様にして、上記レオメーターによるそば粉クッキーの硬さを測定した。結果を表8に示す。
【0106】
【表8】
【0107】
表8に示すように、実施例10で得られたそば粉クッキー(CE10)(実施例1の乾燥粉砕物(E1)を含有するそば粉クッキー)は、レオメーターによるゲルの硬さが、比較例14~16で得られたもの((CC14)、(CC15)および(CC16))よりも明らかに上昇していたことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、例えば、食品の製造、ならびに食品添加剤の製造の分野において有用である。