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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156145
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】軒樋用閉塞具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/064 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
E04D13/064 503E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059694
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(71)【出願人】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(72)【発明者】
【氏名】上野 毅
(72)【発明者】
【氏名】宮田 知典
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 誉士
(72)【発明者】
【氏名】田所 丈季
(72)【発明者】
【氏名】枝 圭祐
(57)【要約】
【課題】軒樋構成部材に形成された排水用開口のうちの利用されない排水用開口を、容易且つ適切に閉塞可能な閉塞具を、ワンパーツ化して提供する。
【解決手段】軒樋構成部材8に形成された排水用開口8aのうち利用されない前記排水用開口8aを塞ぐために用いられる閉塞具1である。前記排水用開口8aに下方から挿入されて挿入終了位置で前記排水用開口8aをその開口中心Oを巡るいずれの箇所においても隙間を形成させないように塞いた状態で前記軒樋構成部材8側に係合される栓状部2と、前記栓状部2を取り囲む周回シール部3と、前記栓状部2と前記周回シール部3との間を塞ぐベース部4とを備えてなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軒樋構成部材に形成された排水用開口のうち利用されない前記排水用開口を塞ぐために用いられる閉塞具であって、
前記排水用開口に下方から挿入されて挿入終了位置で前記排水用開口をその開口中心を巡るいずれの箇所においても隙間を形成させないように塞いた状態で前記軒樋構成部材側に係合される栓状部を備えてなる、軒樋用閉塞具。
【請求項2】
前記栓状部は、筒上端を開放させ、かつ、筒下端を閉塞させた短寸の筒状をなすと共に、
前記筒下端側で開放された周回溝によって筒側部を中空にさせてこの筒側部を弾性変形可能にさせており、
前記筒側部の外面部に係合突起を形成させてなる、請求項1に記載の軒樋用閉塞具。
【請求項3】
前記栓状部を取り囲む周回シール部と、
前記栓状部と前記周回シール部との間を塞ぐベース部とを備えてなる、請求項1又は請求項2に記載の軒樋用閉塞具。
【請求項4】
前記周回シール部を、前記ベース部と一体をなす基部と、この基部より外方で且つ上方に位置される先端部と、両者の間にあって前記先端部に近づくに連れて前記周回シール部の外径を漸増させるように傾斜した中間部とを備えた弾性変形可能なスカート状に構成させてなる、請求項3に記載の軒樋用閉塞具。
【請求項5】
前記ベース部に、前記軒樋構成部材における前記排水用開口に隣接した箇所に形成された縦樋などの縦向き排水部材との接続に用いる小孔に下方から挿入されてこの小孔を塞ぐ軸部を備えてなる、請求項3又は請求項4に記載の軒樋用閉塞具。
【請求項6】
前記軸部に、前記小孔を塞いだ状態で前記軒樋構成部材側に係合される係止突起を備えさせてなる、請求項5に記載の軒樋用閉塞具。
【請求項7】
前記栓状部を挟んだ両側にそれぞれ前記軸部を備えさせてなる、請求項5又は請求項6に記載の軒樋用閉塞具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軒樋構成部材に形成された排水用開口のうち利用されない前記排水用開口を塞ぐために用いられる閉塞具の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の軒樋を構成する軒樋構成部材には、排水用開口が、軒樋構成部材の樋部の底板部に、位置を異ならせて、二箇所、あるいは、複数箇所、形成される場合がある。この排水用開口には、縦樋などの縦向き排水部材が接続されるが、これらの排水用開口の全てに縦向き排水部材が接続されない場合、利用されない排水用開口が生じる。この場合、かかる利用されない排水用開口を塞ぐ必要が生じる。
【0003】
特許文献1には、軒樋構成部材の樋部の底板部の外面に下方からカバー部材をネジ止めすることで、利用されない排水用開口を塞ぐ技術が開示されている。カバー部材は排水用開口を塞ぐ大きさを持ち、また、樋部の底板部の外面に接する上面にシール部材を備えている。カバー部材は、縦樋を軒樋構成部材に接続するために用いられる連結部材を軒樋構成部材にネジ止めするためのネジ孔を利用して軒樋構成部材にネジ止めされるようになっている。
【0004】
しかるに、この特許文献1のものは、カバー部材とシール部材の二部材からなると共に、排水用開口に対するシールはシール部材の一箇所のみでなされる構成であり、また、軒樋構成部材に対する取り付け時には二箇所でのネジ止めを要するものであった。
【0005】
なお、金属家具などに形成された連結孔を塞ぐ閉塞栓として、特許文献2に示されるものがある。この閉塞栓は、椀体の一面中央に連結孔に挿入係合される湾曲板を設けた構成となっているが、かかる連結孔を液密に塞ぐことはできないものであり、特許文献1の技術分野での利用を前提としたものでない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-190555号公報
【特許文献2】実開昭58-86953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、前記軒樋構成部材に形成された排水用開口のうちの利用されない排水用開口を、容易且つ適切に閉塞可能な閉塞具を、ワンパーツ化して提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、軒樋用閉塞具を、軒樋構成部材に形成された排水用開口のうち利用されない前記排水用開口を塞ぐために用いられる閉塞具であって、
前記排水用開口に下方から挿入されて挿入終了位置で前記排水用開口をその開口中心を巡るいずれの箇所においても隙間を形成させないように塞いた状態で前記軒樋構成部材側に係合される栓状部を備えてなる、ものとした。
【0009】
軒樋構成部材に形成された排水用開口のうち、利用されなかった排水用開口に栓状部を下方から挿入終了位置まで挿入すると、栓状部が軒樋構成部材側に係合されて、栓状部によって排水用開口を隙間なく塞いだ状態が維持される。
【0010】
前記栓状部は、筒上端を開放させ、かつ、筒下端を閉塞させた短寸の筒状をなすと共に、
前記筒下端側で開放された周回溝によって筒側部を中空にさせてこの筒側部を弾性変形可能にさせており、
前記筒側部の外面部に係合突起を形成させたものとすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0011】
また、前記軒樋用閉塞具を、前記栓状部を取り囲む周回シール部と、前記栓状部と前記周回シール部との間を塞ぐベース部とを備えてなる、ものとすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0012】
このようにした場合、栓状部は周回シール部によって取り囲まれていることから、排水用開口を栓状部によって隙間なく塞いだ状態においてさらに、栓状部の外側において周回シール部を軒樋構成部材における排水用開口を巡る面に下方から密着させることができ、これにより、内側の栓状部と外側の周回シール部との内外二箇所で排水用開口を水密にシールすることができる。
【0013】
また、前記周回シール部を、前記ベース部と一体をなす基部と、この基部より外方で且つ上方に位置される先端部と、両者の間にあって前記先端部に近づくに連れて前記周回シール部の外径を漸増させるように傾斜した中間部とを備えた弾性変形可能なスカート状に構成させることが、この発明の態様の一つとされる。
【0014】
前記ベース部に、前記軒樋構成部材における前記排水用開口に隣接した箇所に形成された縦樋などの縦向き排水部材との接続に用いる小孔に下方から挿入されてこの小孔を塞ぐ軸部を備えておくことが、この発明の態様の一つとされる。
【0015】
また、前記軸部に、前記小孔を塞いだ状態で前記軒樋構成部材側に係合される係止突起を備えさせておくことが、この発明の態様の一つとされる。
【0016】
また、前記栓状部を挟んだ両側にそれぞれ前記軸部を備えさせておくことが、この発明の態様の一つとされる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、前記軒樋構成部材に形成された排水用開口のうちの利用されない排水用開口に前記栓状部を挿入することで、かかる軒樋構成部材にワンタッチで閉塞具を取り付けて前記排水用開口を適切に閉塞することができ、また、かかる閉塞具を合理的にワンパーツ化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、この発明の一実施の形態にかかる閉塞具の斜視図であり、軒樋構成部材の樋部の底部の一部を一緒に表している。
図2図2は、前記閉塞具を図1の反対側から見て示した斜視図である。
図3図3は、前記閉塞具の平面図である。
図4図4は、前記閉塞具の底面図である。
図5図5は、前記閉塞具の正面図である。
図6図6は、前記閉塞具の左側面図である。
図7図7は、図5におけるA-A線位置での要部断面図である。
図8図8は、図6におけるB-B線位置での断面図である。
図9図9は、前記閉塞具の使用状態を示した要部破断側面図である。
図10図10は、前記閉塞具の使用状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1図10に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかる閉塞具1は、軒樋構成部材8に形成された排水用開口8aのうち利用されなかった前記排水用開口8aを塞ぐために用いられるものである。
【0020】
図9および図10中、符号8で示されるのはる軒樋構成部材、符号8bで示されるのはその樋部、符号8cで示されれるのは樋部8bの底板部である。
【0021】
図示の例では、排水用開口8aは、樋部8bの底板部8cを上下に貫通した丸穴状を呈している。
【0022】
排水用開口8aに隣接した箇所には、縦樋などの縦向き排水部材(図示は省略する。)を軒樋構成部材8に接続するために用いられる小孔8fが備えられている。図示の例では、小孔8fは、排水用開口8aの両側にそれぞれ備えられている。二箇所の小孔8fはそれぞれ、排水用開口8aの開口中心Oを通り、かつ、樋部8bの連続方向に沿った仮想の直線x(図1参照)上に位置するように備えられ、また、二箇所の小孔8fの一方と前記排水用開口8aの開口中心Oとの間の距離はこれらの他方と前記排水用開口8aの開口中心Oとの間の距離と実質的に等しくなっている。
【0023】
典型的には、縦向き排水部材は、縦向き排水部材の上端を前記排水用開口8aの直下に位置づける連結部材(図示は省略する。)を介して、その内部を軒樋構成部材8の樋部8bに連通させるようにして、軒樋構成部材8に組み合わされ接続される。連結部材は軒樋構成部材8の前記小孔8fに下方からネジ止めされるネジ(図示は省略する。)によって軒樋構成部材8の底板部8c下に取り付けられ、縦向き排水部材はその上端をこのように取り付けられる連結部材に支持されて前記のように軒樋構成部材8に組み合わされる。
【0024】
前記排水用開口8aは、軒樋構成部材8の前記樋部8bの底板部8cに、位置を異ならせて、二箇所、あるいは、複数箇所、形成される場合がある。これに対して、前記縦向き排水部材がこれらの排水用開口8aの全てに前記のように接続されない場合、利用されない排水用開口8aが生じる。この場合、かかる利用されない排水用開口8aを塞ぐ必要が生じる。この実施の形態にかかる閉塞具1は、かかる利用されない排水用開口8aを塞ぐために適した構成を備えたものとなっている。
【0025】
この実施の形態にかかる閉塞具1は、栓状部2と、周回シール部3と、ベース部4とを備えている。
【0026】
栓状部2は、前記排水用開口8aに下方から挿入されて挿入終了位置で前記排水用開口8aをその開口中心Oを巡るいずれの箇所においても隙間を形成させないように塞いた状態で前記軒樋側、つまり軒樋構成部材8側に係合されるようになっている。
【0027】
前記栓状部2は、筒上端2aを開放させ、かつ、筒下端2bを閉塞させた短寸の筒状をなしている。図示の例では、栓状部2は短寸の円筒状を呈している。
【0028】
また、前記栓状部2は、前記筒下端2b側で開放された周回溝2cによって筒側部2dを中空にさせてこの筒側部2dを弾性変形可能とした構成となっている。
【0029】
また、前記筒側部2dの外面部には係合突起5が形成されている。図示の例では、係合突起5は、筒側部2dに、栓状部2の筒軸ax(図1参照)を巡る向きにおいて、隣り合う係合突起5との間に間隔を開けて、複数、図示の例では6つ、形成されている。図7に示されるように、各係合突起5は、栓状部2の上下方向の略中程に頂部5aを位置させると共に、頂部5aを挟んだ筒下端2b側に係合面5bを持ち、頂部5aと筒上端2aとの間を頂部5aに近づくに連れて係合突起5の突出量を漸増させるように傾斜した傾斜面5cとしている。各係合突起5の頂部5aをそれぞれ通る仮想の円(図示は省略する。)の直径は前記排水用開口8aの直径よりやや大きく、また、係合突起5の係合面5bよりも下方においては栓状部2の外径は前記排水用開口8aの直径と実質的に同一か、やや大きくなっている。
【0030】
また、図示の例では、栓状部2の筒下端2bを閉塞する円形板状部6の中心には、その下面6aにおいて円形の凹み6bが形成されており、その上面6cにはこの凹み6bの寸法分上面6cから張り出した円形の膨出部6dが形成されている。
【0031】
周回シール部3は、前記栓状部2を取り囲むように形成されている。図示の例では、周回シール部3は、長さと幅とを持つと共に、長さ方向に沿った一対の長さ側外縁部4bの左右の端末4c間にそれぞれ、弧状をなす幅側外縁部4dを形成させるように構成された後述のベース部4のこれらからなる外縁部4aを縁取るように形成されている。
【0032】
図7に示されるように、前記周回シール部3は、後述のベース部4と一体をなす基部3aと、この基部3aより外方で且つ上方に位置される先端部3bと、両者の間にあって前記先端部に近づくに連れて前記周回シール部3の外径を漸増させるように傾斜した中間部3cとを備えた弾性変形可能なスカート状に構成されている。
【0033】
周回シール部3は、その連続方向のいずれの位置においても、縦断面形状を実質的に同一とする形態となっている。
【0034】
また、周回シール部3の先端部3bと前記栓状部2の係合突起5の頂部5aとの間の上下方向の距離y(図7参照)は、軒樋構成部材8の樋部8bの底板部8cの厚さよりやや小さくなっている。
【0035】
ベース部4は、前記栓状部2と前記周回シール部3との間を塞いでいる。
【0036】
図示の例では、ベース部4は、栓状部2の外径よりも大きい間隔を開けて配される一対の長さ側外縁部4bと、この一対の長さ側外縁部4bの一方側の端末4c間を結ぶ幅側外縁部4dと、この一対の長さ側外縁部4bの他方側の端末4c間を結ぶ幅側外縁部4dとからなる外縁部4aを備えている。幅側外縁部4dは、栓状部2側を湾曲内側とした弧状を呈している。
【0037】
また、ベース部4は、栓状部2の筒下端2bに一体的に連接された内縁部4eを備えている。図示の例では、ベース部4は、栓状部2の円形板状部6と実質的に同じ厚さを有し、また、ベース部4の下面4fは円形板状部6の下面6aと実質的に同じレベルに位置し、ベース部4の上面4gは円形板状部6の上面6cと実質的に同じレベルに位置されている。ベース部4は、無垢の板状となっており、このベース部4によって栓状部2と周回シール部3との間は水密に塞がれている。
【0038】
軒樋構成部材8に形成された排水用開口8aのうち、利用されなかった排水用開口8aに栓状部2を下方から挿入終了位置まで挿入すると、栓状部2が軒樋構成部材8側に係合されて、栓状部2によって排水用開口8aを隙間なく塞いだ状態が維持される。
【0039】
図示の例では、排水用開口8aに栓状部2を下方から挿入すると、係合突起5の傾斜面5cが排水用開口8aの開口縁に摺接し、栓状部2の筒側部2dがその筒軸ax側に向けて弾性変形する。これにより、挿入終了位置までの排水用開口8aへの栓状部2の挿入が許容される。排水用開口8aを巡る軒樋構成部材8の底板部8cの上面8dが係合突起5の係合面5b下に位置される位置まで排水用開口8aに栓状部2が挿入されると、筒側部2dが弾性復帰し排水用開口8aを巡る軒樋構成部材8の底板部8cの上面8dに係合突起5が係合される。係合突起5の係合面5bよりも下方においては栓状部2の外径は排水用開口8aの直径と実質的に同一か、やや大きくなっていることから、栓状部2が排水用開口8aに挿入終了位置まで挿入されると、栓状部2によって排水用開口8aは隙間なく塞がれる(圧入状態)。
【0040】
なお、図示は省略するが、栓状部2の筒側部2dの外面部に、前記係合突起5に代えて栓状部2の筒軸axを巡る周回状をなす係合突起を設けるようにしても良い。
【0041】
また、栓状部2は周回シール部3によって取り囲まれていることから、排水用開口8aを栓状部2によって隙間なく塞いだ状態においてさらに、栓状部2の外側において周回シール部3を軒樋構成部材8における排水用開口8aを巡る下面8eに下方から密着させることができ、これにより、内側の栓状部2と外側の周回シール部3との内外二箇所で排水用開口8aを水密にシールすることができる。
【0042】
図示の例では、周回シール部3はスカート状をなし、かつ、周回シール部3の先端部3bと前記栓状部2の係合突起5の係合面5bとの間の上下方向の距離y(図7参照)は、軒樋構成部材8の樋部8bの底板部8cの厚さよりやや小さくなっていることから、前記のように栓状部2を排水用開口8aに挿入・係合させると、周回シール部3は下方に向けて弾性変形した状態で、軒樋構成部材8における排水用開口8aを巡る下面8eにその先端部3b側を全周に亘って密着させる(図8参照)。
【0043】
また、この実施の形態にあっては、前記ベース部4に、前記軒樋構成部材8における前記排水用開口8aに隣接した箇所に形成された縦向き排水部材との接続に用いる小孔8fに下方から挿入されてこの小孔8fを塞ぐ軸部7を備えさせている。
【0044】
図示の例では、前記排水用開口8aの両側にそれぞれ小孔8fが備えられていることから、前記栓状部2を挟んだ両側にそれぞれ前記軸部7を備えさせている。
【0045】
軸部7は、上端7bを、栓状部2の筒上端2aよりもやや上方に位置させる長さを備え、ベース部4に対し直交する向きにベース部4の上面から突き出している。軸部7の上端7b側は、下方に向かうにつれて外径を太くする裁頭円錐状をなしている。この裁頭円錐状となった前記小孔8fに対する挿入案内部分7cから下方では、軸部7の外径は前記小孔8fの孔径と実質的に等しくなっている。図8に示されるように、図示の例では、ベース部4の下面4f側から軸部7の上端7b側に続く肉抜き部によって軸部7は中空となっており、軸部7は前記小孔8fに弾性変形状態で圧入されるようになっている。
【0046】
二箇所の軸部7はそれぞれ、栓状部2とベース部4における幅側外縁部4dとの間となる位置に備えられている。また、二箇所の軸部7間の距離は軒樋構成部材8側に形成された二箇所の小孔8f間の距離と一致している。これにより、二箇所の軸部7がそれぞれ対応する小孔8fに挿入されるようにして軒樋構成部材8の底板部8cの下面8eに近づく向きに閉塞具1を移動操作すると、前記排水用開口8aに栓状部2が導入されるようになっている。
【0047】
これにより、この実施の形態にかかる閉塞具1によれば、軒樋構成部材8の排水用開口8aに隣接した箇所に形成される縦向き排水部材との接続に用いられる小孔8fも、前記排水用開口8a同様に周回シール部3の内側において前記軸部7で塞ぐことができる。
【0048】
また、図示の例では、軸部7の根本と挿入案内部分7cとの間には、軸部7の直径方向両側にそれぞれ、軸部7によって前記小孔8fを塞いだ状態において前記軒樋構成部材8側に係合される係止突起7aが形成されている。係止突起7aは、軸部7の栓状部2に向けられた側に一つ設けられると共に、この栓状部2に向けられた側の係止突起7a’との間に略90度の間隔を開けた位置にそれぞれ一つづつ設けられて、計三つ備えられている。すなわち、図示の例では、小孔8fへの軸部7の前記挿入は、係止突起7aの弾性変形によって許容され、この挿入終了位置での係止突起7aの弾性復帰によって挿入先側において小孔8fの孔縁に係止突起7aが引っかかるようになっている。栓状部2に向けられた側の係止突起7a’と軸部7の根本との距離は、その余の係止突起7aと軸部7の根本との距離よりも大きく、軒樋構成部材8の樋部8bの底板部8cがやや厚いときや、図10に示されるように軒樋構成部材8の底板部8cの上面8dにリブ状部8gがあるなどして小孔8fの穴縁部における栓状部2側の厚みがその他の箇所よりもやや厚いときには、栓状部2に向けられた側の係止突起7a’が小孔8fの孔縁に引っかかるようになっている。なお、かかる係止突起7aは軸部7の機能をより高めるために備えられるものであり、省略することも可能である。
【0049】
以上に説明した閉塞具1における弾性変形特性を備えるべき箇所へのこの特性の付与は、かかる閉塞具1を合成樹脂の成形品とすることで容易に確保させることができる。
【0050】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0051】
1 閉塞具
2 栓状部
3 周回シール部
4 ベース部
8 軒樋構成部材
8a 排水用開口
O 開口中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10