(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156177
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】コレット交換機構
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20221006BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/68 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059735
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 寛人
(72)【発明者】
【氏名】濱川 健史
(72)【発明者】
【氏名】河村 知範
【テーマコード(参考)】
5F047
5F131
【Fターム(参考)】
5F047FA01
5F047FA08
5F131AA04
5F131BA54
5F131CA46
5F131DA03
5F131DB22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コレットを用いてチップ部品をピックアップするピックアップツールのコレット交換を、簡単な構成で短時間で行うことが可能なコレット交換機構を提供する。
【解決手段】コレット交換機構1は、コレットを保持するアタッチメント2と、ピックアップツール3の下部に配置され、アタッチメントの上部を保持するアタッチメントホルダ31と、アタッチメントを複数収容することが可能で、ガイド41に沿ってアタッチメントをスライドさせることが可能なアタッチメント収納部4を備える。アタッチメントホルダは、アタッチメントを磁力で保持する機能を有する。アタッチメントは、アタッチメント収納部のガイドに対して、ガイドに沿った方向以外の動きが規制される形状を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレットを用いてチップ部品を吸着してピックアップするピッアップツールの、前記コレットを交換するコレット交換機構であって、
下面にコレットを保持するアタッチメントと、
前記ピックアップツールの下部に配置され、前記アタッチメントの上部を保持するアタッチメントホルダと、
前記アタッチメントをガイドに係止して収容するアタッチメント収納部を備え、
前記アタッチメントホルダは前記アタッチメントを磁力で保持する機能を有し、
前記アタッチメントは、前記ガイドに係止された状態において、前記アタッチメントホルダから脱着するコレット交換機構。
【請求項2】
コレットを用いてチップ部品を吸着してピックアップするピッアップツールの、前記コレットを交換するコレット交換機構であって、
下面にコレットを保持するアタッチメントと、
前記ピックアップツールの下部に配置され、前記アタッチメントの上部を保持するアタッチメントホルダと、
前記アタッチメントを収容することが可能で、ガイドに沿って前記アタッチメントをスライドさせることが可能なアタッチメント収納部を備え、
前記アタッチメントホルダは前記アタッチメントを磁力で保持する機能を有し、前記アタッチメント収納部の前記ガイドに対して、前記スライド方向とは異なる方向に移動させて前記アタッチメントを脱着するコレット交換機構。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコレット交換機構であって、
前記アタッチメントホルダが前記アタッチメントを保持する磁力が、チップ部品をピックアップする際に前記アタッチメントホルダが外れない強度を有する一方で、
前記ガイドが前記アタッチメントの上下方向の動きを規制する強度により、前記ピックアップツールを上昇させることで前記アタッチメントから前記アタッチメントを外すことが可能なコレット交換機構。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のコレット交換機構であって、
前記アタッチメント収納部に前記アタッチメントの位置ズレを抑制するスライド防止手段を設けたコレット交換機構。
【請求項5】
請求項4に記載のコレット交換機構であって、
前記ガイドに、前記アタッチメントの側面に接触する弾性体を設けて、前記スライド防止手段とするコレット交換機構。
【請求項6】
請求項4に記載のコレット交換機構であって、
前記スライド防止手段として磁石を用いるコレット交換機構。
【請求項7】
請求項4に記載のコレット交換機構であって、
前記スライド防止手段として、前記ガイドの上面に溝を設けたコレット交換機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレットを用いてチップ部品をピックアップするピックアップツールの、コレットを交換するコレット交換機構に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ等のチップ部品をボンダーやマウンターのような実装装置に提供するのに際して、ダイシングテープに粘着された状態からピックアップして供給する形態がある。この供給形態では、ダイシングテープ上の複数のチップ部品から、一つ一つのチップ部品をピックアップしている。
【0003】
すなわち、
図17(a)に示すようにダイシングテープSに粘着した複数のチップ部品Cのうち、ピックアップ対象のチップ部品Cにニードル11とコレット21を位置合わせした状態から、
図17(b)のようにニードル11がダイシングテープS側からチップ部品Cを突き上げ、
図17(c)のようにチップ部品Cがコレット21に密着した状態でコレット21がチップ部品Cを吸着することで、
図17(d)のようにダイシングテープSに粘着していたチップ部品Cはコレット21を用いてピックアップされる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-130499号公報
【特許文献2】特開2018-206843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体チップ等のチップ部品の薄厚化が進んでおり、チップ部品のサイズに合わないコレットを用いると、チップ部品が破損したり、ピックアップミスが頻発してしまう。
【0006】
一方において、1基板に複数サイズのチップ部品を実装する事例も増えてきており、頻繁にコレットを交換する必要性が生じている。
【0007】
ところが、従来のコレット交換は手作業で行っていたため、コレット交換に要する時間および工数により生産性に悪影響を及ぼしていた。
【0008】
このような状況に対して、種々のコレット交換機構が提案されている(例えば特許文献2)。しかし、このような事例において複雑な構成や動作を必要とするものが多い。
【0009】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、コレットを用いてチップ部品をピックアップするピックアップツールの、コレット交換を簡単な構成で、短時間で行うことが可能なコレット交換機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
コレットを用いてチップ部品を吸着してピックアップするピッアップツールの、前記コレットを交換するコレット交換機構であって、
下面にコレットを保持するアタッチメントと、前記ピックアップツールの下部に配置され、前記アタッチメントの上部を保持するアタッチメントホルダと、前記アタッチメントをガイドに係止して収容するアタッチメント収納部を備え、
前記アタッチメントホルダは前記アタッチメントを磁力で保持する機能を有し、前記アタッチメントは、前記ガイドに係止された状態において、前記アタッチメントホルダから脱着するコレット交換機構である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、
コレットを用いてチップ部品を吸着してピックアップするピッアップツールの、前記コレットを交換するコレット交換機構であって、
下面にコレットを保持するアタッチメントと、
前記ピックアップツールの下部に配置され、前記アタッチメントの上部を保持するアタッチメントホルダと、前記アタッチメントを収容することが可能で、ガイドに沿って前記アタッチメントをスライドさせることが可能なアタッチメント収納部を備え、
前記アタッチメントホルダは前記アタッチメントを磁力で保持する機能を有し、前記アタッチメント収納部の前記ガイドに対して、前記スライド方向とは異なる方向に移動させて前記アタッチメントを脱着するコレット交換機構である。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のコレット交換機構であって、
前記アタッチメントホルダが前記アタッチメントを保持する磁力が、チップ部品をピックアップする際に前記アタッチメントホルダが外れない強度を有する一方で、
前記ガイドが前記アタッチメントの上下方向の動きを規制する強度により、前記ピックアップツールを上昇させることで前記アタッチメントから前記アタッチメントを外すことが可能なコレット交換機構である。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のコレット交換機構であって、
前記アタッチメント収納部に前記アタッチメントの位置ズレを抑制するスライド防止手段を設けたコレット交換機構である。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のコレット交換機構であって、
前記ガイドに、前記アタッチメントの側面に接触する弾性体を設けて、前記スライド防止手段とするコレット交換機構である。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のコレット交換機構であって、
前記スライド防止手段として磁石を用いるコレット交換機構である。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載のコレット交換機構であって、
前記スライド防止手段として、前記ガイドの上面に溝を設けるコレット交換機構である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、コレットを用いてチップ部品をピックアップするピックアップツールの、コレット交換を簡単な構成で、短時間で行うことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係るコレット交換機構の概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るアタッチメントについて説明する4面図であり(a)上面図であり、(b)正面図であり、(c)側面図であり、(d)下面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るアタッチメント収納部の配置例について説明する図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るコレット交換機構の動作を説明するもので、アタッチメントとガイドの高さを調整する状態を説明する側面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るコレット交換機構で、アタッチメント収納部にアタッチメントを収納する動作を説明する上面図で、(a)ガイドとアタッチメントの幅方向位置合わせを行う状態を示し、(b)ガイドに沿ってアタッチメントをスライドさせている状態を示し、(c)アタッチメントを所定の収納位置に配置した状態を示す。
【
図6】本発明の実施形態に係るコレット交換機構の動作で、アタッチメント収納部に配置したアタッチメントをピックアップツールから外す過程を説明する正面図で、(a)アタッチメントをガイドに沿ってスライド可能な状態を示し、(b)アタッチメントが上方向への移動が規制された状態を示し、(c)アタッチメントの上方向への移動が規制された状態でピックアップツールを更に上昇させている状態を示し、(d)ピックアップツールからアタッチメントが外れた状態を示す。
【
図7】アタッチメントとガイドの寸法の大小関係を説明するための正面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るコレット交換機構で、アタッチメント取り出し動作を開始する状態を示す上面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るコレット交換機構で、アタッチメント収納部のアタッチメントをスライド可能な状態にする動作を説明する正面図で、(a)アタッチメントの上にピックアップツールが配置された状態を示し、(b)アタッチメントを保持するようピックアップツールを下降させている状態を示し、(c)ピックアップツールがアタッチメントを保持した状態を示し、(d)アタッチメントがガイドに触れずにスライド可能となるようピックアップツールの高さ位置を調整した状態を示す。
【
図10】本発明の実施形態に係るコレット交換機構で、アタッチメント収納部からアタッチメントを取り出す動作を説明する上面図で、(a)収納位置のアタッチメントがスライド動作可能な高さになっている状態を示し、(b)アタッチメントを取り出し方向にスライドさせている状態を示し、(c)アタッチメント収納部からアタッチメントを取り出した状態を示す。
【
図11】本発明の実施形態におけるコレット交換機構で、アタッチメント収納部にアタッチメントのズレ移動を抑制するスライド防止手段を設けるもので、弾性体を利用する例を示す上面図である。
【
図12】スライド防止手段として弾性体を利用した例の動作を説明する正面図で、(a)アタッチメントがピックアップツールに保持されている状態を示し、(b)アタッチメントがピックアップツールから外れた状態を示す。
【
図13】本発明の実施形態におけるコレット交換機構で、アタッチメント収納部にアタッチメントのズレ移動を抑制するスライド防止手段を設けるもので、磁石を利用する例を示す上面図である。
【
図14】本発明の実施形態におけるコレット交換機構で、アタッチメント収納部にアタッチメントのズレ移動を抑制するスライド防止手段を設けるもので、ガイドの上面に溝を設ける例を説明する側面図で、(a)アタッチメントの高さ調整を行なった状態を示し、(b)アタッチメントがガイドに沿ってスライドする状態を示し、(c)アタッチメントが収納位置に配置されている状態を示す。
【
図15】ガイドに溝を設けた例の、アタッチメントとガイドの寸法の大小関係を説明するための側面図である。
【
図16】本発明の実施形態におけるコレット交換機構のアタッチメントおよびガイドの形状を変えた変形例を示す正面図である。、
【
図17】チップ部品をピックアップする動作を説明するもので、(a)初期状態を示し、(b)チップ部品を突き上げている途中の状態を示し、(c)チップ部品をコレットの高さまで突き上げた状態を示し、(d)チップ部品をコレットが吸着保持した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、図を用いて説明する。
図1は本発明の実施形態に係るコレット交換機構の概略図である。
【0020】
コレット交換機構1は、チップ部品をピックアップするピックアップツール3のコレットを交換するもので、アタッチメント2、アタッチメント収納部4によって構成され、ピックアップツール3はピックアップヘッド30の下側にアタッチメント2を保持するためのアタッチメントホルダ31を有している。
【0021】
本実施形態のアタッチメント2は、
図2に4面図で示したような構成になっている。すなわち、下広幅部201と上広幅部202を有するアタッチメント本体20と、コレット21と、ほぞ22によって構成されている。この構成により、アタッチメント2の交換によってコレット21が交換される。
【0022】
ここで、コレット21はピックアップするチップ部品Cに密着させるため弾力性を有するゴム等の素材からなり、チップ部品を吸引するための開口部を中心部に設けており、この開口部から(図示していない)減圧流路がアタッチメント本体20を貫通して設けてあり、ピックアップツール30の減圧流路に連通している。ほぞ22は、アタッチメントホルダ31に設けたほぞ穴に挿入されて固定される。さらに、少なくとも、アタッチメント本体20とほぞ22の何れか一方は磁性体からなり、アタッチメントホルダ31に磁石を設けることにより、アタッチメント2はアタッチメントホルダ31にはめ込むことで磁力によって保持される。また、ほぞ22によりアタッチメント2の回転方向のズレが抑制される。
【0023】
ピックアップツール3は図示しない駆動部によって上下方向に移動可能であり、20μm以内の精度で位置制御可能である。また、上下方向(Z方向)を軸に回転方向に角度制御機能を有していてもよい。前述のとおり、ピックアップホルダ31は、磁力によりアタッチメント2を吸着するものであり、磁力を発生するために電磁石を用いてもよいが、永久磁石であれば配線不要であり構成が簡略化できるので望ましい。
【0024】
アタッチメント収納部4は、複数のアタッチメント2を収納するもので、間隔を開けて平行に配置されたガイド41によって形成される収納スペース40(40A、40B、40C、・・)にアタッチメント2の上広幅部202が引っかかることで収納状態となる。すなわち、収納スペース40の幅は、アタッチメント本体20の胴部よりは広く、上広幅部202(および下広幅部201)よりは狭い。
【0025】
ピックアップツール3が上下方向に移動可能なのに対し、アタッチメント収納部4は水平面内(XY面内)で移動する。水平方向に移動させるため、専用の駆動部を用いても良いが、
図3に示すようにダイシングされたウェハWを保持するウェハテーブル5に付設しても面内方向に移動および位置調整が可能である。
【0026】
以下、本発明のコレット交換機構の動作について説明する。まず、
図1のようなピックアップツール3が保持するアタッチメント2を保持する状態から、アタッチメント2を収納スペース40Aに収納する動作について説明する。
【0027】
ところで、ピックアップツール3の駆動部およびアタッチメント収納部4の駆動部は、図示していない制御部と接続されており、一連の動作は制御部からの信号によって進行している。
【0028】
図4は、アタッチメント2の高さ位置を調整する様子を示した側面図であり、ガイド41にアタッチメント2の高さを合わせるように、ピックアップツール3の高さが設定される。すなわち、この状態において、ガイド41に対して、下広幅部201は低く、上広幅部202は高く配置されている。
【0029】
アタッチメント2の高さを調整したところでアタッチメント2を収納スペース40Aに収納する様子を示した上面図が
図5である。
図5(a)は、アタッチメント収納部4の位置調整を行なって、アタッチメント2を収納スペース40Aに挿入可能な状態に位置合わせを行なう状態である。この位置合わせが出来たら、アタッチメント収納部4を移動させて、ガイド41をアタッチメント2に沿ってスライドさせて(
図5(b))、アタッチメント2が収納スペース40Aの所定位置に到達したらアタッチメント収納部4の移動を止める(
図5(c))。
【0030】
図5(c)の状態からアタッチメント2をピックアップツール3(のアタッチメントホルダ31)から外す様子を示した正面図が
図6である。
図6(a)の状態は、
図5(c)に示したスライド移動を停止した直後であり、ガイドレール41に対して下広幅部201は低く、上広幅部202は高い位置にある。この状態から、ピックアップツール3を上昇させていくと、
図6(b)のように下広幅部201の幅が収納スペース40Aの幅より大であるので、下広幅部201がガイド41に引っかかる。この状態において、ガイド41によるアタッチメント2の上昇を阻止する強度が、アタッチメントホルダ31がアタッチメント2を磁力で保持する力を上回れば、
図6(c)のように、ピックアップツール3の上昇に伴い、アタッチメントホルダ31はアタッチメント2から外れていく。最終的に、アタッチメントホルダ31がアタッチメント2から外れると、
図6(d)のように上広幅部202がガイド41に引っかかる状態となり、収納スペース40Aの所定位置に配置された状態となる。
【0031】
ところで、アタッチメント2とガイド41の寸法を示したのが
図7であるが、先に説明したとおり上広幅部202の幅2Wは収納スペース幅40Wよりも大である必要があるが、アタッチメント2の胴幅20Wは収納スペース幅40Wよりも小さくなければならない。しかし、その差が小さすぎるとスライド移動に支障をきたすが広すぎても幅方向に偏りが生じると上広幅部202が外れることもあって好ましくない。具体的に、タッチメント2の胴幅20Wは収納スペース幅40Wの差は100μm以上200μm以下程度が望ましい。これは、ピックアップツールおよびアタッチメント収納部のような精密機器の用いられる駆動機構の位置精度が20μm以下であることからも適切な範囲と言える。同様に、アタッチメント2の胴厚20T(=下城幅部201と上広幅部の間隔)とガイド41の厚41Tの差も100μm以上200μm以下程度にするのが望ましい。
【0032】
図8から
図10では、収納スペース40Cにあるアタッチメント2をピックアップツール3が(ピックアップ動作に)使用可能な状態にするまでの様子を説明する。
【0033】
まず、
図8は収納部40Cに収納されているアタッチメント2の上方で、水平方向に、ピックアップツール30を位置合わせしている状態を示す上面図である。
【0034】
このアタッチメント2の上部にピックアップツールが配置された以後の状態を示す正面図が
図9である。
図9(a)では、水平方向の位置合わせをしてから、ピックアップツール3を下降させてアタッチメント2に接近させた状態を示している。この後、更にピックアップツール3を下降することで、
図9(b)の状態を経て
図9(c)のようにアタッチメント2を保持した状態となる。ただし、
図9(c)の状態ではアタッチメント2の下広幅部201がガイド41に接触しているためスライド動作に不適である。そこで、
図9(d)のように、ガイド41に、下広幅部201が接触せず、かつ上広幅部202も接触しないように高さ調整を行なう。
【0035】
図9(d)の正面図の状態で、ガイド41に対するアタッチメント2のスライド動作が可能であり、アタッチメント2の高さを維持してスライド移動する様子を示したの上面図が
図10である。
【0036】
図10(a)はスライド動作開始の状態を示し、アタッチメント収納部4を水平方向に移動することで、アタッチメント2は(アタッチメント収納部4に対する相対移動により)ガイド41に沿って収納スペース40Cから外側に向かって移動して(
図10(b))、
図10(c)のように収納部40Cから取り出された状態になる。
図10(c)の状態において、アタッチメント2は上下移動可能であり、コレット21を用いてチップ部品をピックアップすることが可能となる。
【0037】
ところで、本実施形態のコレット21で、
図17に示すようにチップ部品Cをピックアップして他へ移載するのに際して、アタッチメントホルダ31からアタッチメント2が外れることは許されない。したがって、アタッチメントホルダ31が磁力でアタッチメント2を保持する力は、
図6に示したようにガイド41に引っかかった状態から外れる程度に弱くする必要があるが、アタッチメントホルダ31がアタッチメント2を保持する力はピックアップおよび移載作業において外れることがない強さが必要ふぇある。なお、コレット21がチップ部品Cを吸着保持した状態では、減圧による吸引力により、アタッチメントホルダ31がアタッチメント2を保持する力は、磁力のみに加えて若干増す。
【0038】
ここまで、アタッチメント2をアタッチメント収納部4に収納する動作および、アタッチメント収納部4にあるアタッチメント2をピックアップツール3が取り出す動作について説明したが、これらの動作でアタッチメント収納部4の移動を伴なう。また、
図3のようにアタッチメント収納部4がウェハテーブル5に設けられている場合には、チップ部品をピックアップする際の動作による振動が伝わることがある。このように、アタッチメント収納部4の移動や振動があると、収納スペース40の所定位置に収納されている筈のアタッチメント2がガイドに沿って(スライド方向に)ズレ動き、端部から脱着する可能性もある。
【0039】
そこで、このようなズレを防ぐスライド防止手段を設けるのが望ましい。以下、スライド防止機構の例を説明する。
【0040】
図11は、第1の例として弾性体を用いる例を示す上面図であり、アタッチメント2が所定位置に相当する箇所のガイド41に収納スペース40側に突出した弾性体401を設けている。ここで、弾性体401は柔軟性を有するものが好ましく、ピックアップツール3に保持された状態のアタッチメント2がスライドして行く際は
図12(a)の正面図のように縮む。また、ピックアップツール3が外れた状態では、
図12(b)の正面図のように弾性体401は弾力を発揮してアタッチメント2を反対側のガイド41に押し付けて、ズレ動くことを抑制できる。
【0041】
図13は、スライド防止手段の第2の例を示す上面であり、収納スペース40に磁石402を設けたものであり、アタッチメント本体20を磁性体にすることにより、磁石402により位置固定ができる。
【0042】
図14は、スライド防止手段の第3の例を示す測面図であり、ガイド41の上面にアタッチメント2の上広幅部202が嵌る溝を設けたことに特徴がある。すなわち、
図14(a)のように、ガイド41は、ガイド厚肉部411と底面は共通なガイド薄肉部410を設けた形状を有している。このガイド41に沿って、
図14(b)のように、高さ位置を調整された状態でアタッチメント2をスライドさせてから、ピックアップツール3から外れた状態が
図14(c)になる。
図14(c)の状態を拡大した側面図が
図15であり、この状態においてガイド薄肉部410とガイド厚肉部411の段差41dがアタッチメント20の上広幅部202に対する障壁となり、アタッチメント2がガイド41から外れることを防げる。
【0043】
以上3つの例を示したが、スライド防止手段はこれに限定されるものではない、また、複数のスライド防止手段を組み合わせても良い。
【0044】
ところで、ここまでの説明において、アタッチメント本体20に下広幅部201と上広幅部202を有するアタッチメント2の例で説明したが、アタッチメント2の形状はこれに限定されるものではなく、収納スペース40に配置された状態で上下方向に引っかかるようにガイド41の形状を組み合わせることにより、種々の形状とすることが可能である。例えば、
図16に正面図を示す例のように、アタッチメント本体20に上下の広幅部を設けず、ガイド41に下広幅部411と上広幅部412を設ける形状であってもよい。
【0045】
また、ガイド41は必ずしも平行に対向させて設ける必要はなく、その場合は、アタッチメント2をガイド41に沿ってスライドさせなくてもよい。例えば、収納スペース40の形状が奥に行く程狭くなるような形状のガイド40であってもよい。すなわち、アタッチメント収納部4の収納スペース40およびガイド41の形状に応じて、アタッチメント2がガイド41に係止されるようなアタッチメント本体20の形状を求め、ガイド41に係止された状態でアタッチメント2がアタッチメントホルダ31から脱着するように動作すればよい。
【0046】
以上の説明のとおり、本発明ではアタッチメント2の交換が容易に行える。このため、複数のアタッチメント2毎に異なったコレット21を設けることにより、コレットの交換を容易に行うことができる。
なお、ここまでの実施形態の説明において、ピックアップツール3は上下方向(および上下方向を軸とする回転方向)に移動可能と記したが、ピックアップツール3が水平方向(XY面内)に移動する機能を備えていて、アタッチメント収納部4が停止した状態で、ピックアップツール3を移動させて収納、取り出しの動作を行なってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 コレット交換機構
2 アタッチメント
3 ピックアップツール
4 アタッチメント収納部
5 ウェハテーブル
20 アタッチメント本体
21 コレット
22 ほぞ
30 ピックアップヘッド
31 アタッチメントホルダ
40 収納スペース
41 ガイド
201 下広幅部
202 上広幅部
401 弾性体
402 磁石
410 ガイド薄肉部
411 ガイド厚肉部
C チップ部品
S ダイシングテープ
W ウェハ