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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156178
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】カフェイン低減液の調製方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 15/00 20060101AFI20221006BHJP
   A23F 5/22 20060101ALI20221006BHJP
   B01J 20/12 20060101ALI20221006BHJP
   B01D 15/02 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B01D15/00 M
A23F5/22
B01J20/12 A
B01D15/02 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059736
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000104814
【氏名又は名称】クニミネ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(72)【発明者】
【氏名】諸留 章二
【テーマコード(参考)】
4B027
4D017
4G066
【Fターム(参考)】
4B027FB21
4B027FC03
4B027FE06
4B027FQ11
4B027FQ19
4D017AA01
4D017CA05
4D017DA01
4D017DA07
4D017EA10
4G066AA63B
4G066AA64B
4G066BA09
4G066BA36
4G066CA27
4G066CA56
4G066DA07
4G066FA37
(57)【要約】
【課題】効率的にカフェインが除去されたカフェイン低減液をより短時間で得ることを可能にするカフェイン低減液の調製方法を提供する。
【解決手段】濾紙と、該濾紙上に形成されたベントナイトの脱水ケーキ膜とからなる複合濾過膜を用いて、カフェイン含有液中にベントナイトを分散してなる分散液を濾過処理することを含む、カフェイン低減液の調製方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾紙と、該濾紙上に形成されたベントナイトの脱水ケーキ膜とからなる複合濾過膜を用いて、カフェイン含有液中にベントナイトを分散してなる分散液を濾過処理することを含む、カフェイン低減液の調製方法。
【請求項2】
前記ベントナイト中のモンモリロナイトの含有量が70質量%以上であり、該ベントナイトの浸出陽イオン量の70%以上がCaイオンである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記脱水ケーキ膜に使用するベントナイトと、前記カフェイン含有液に分散させるベントナイトの総使用量が、該総使用量のベントナイトを該カフェイン含有液に添加し20℃で30秒間撹拌混合してからその分散液の全量を濾過処理することによってベントナイトを除去した場合に、該カフェイン含有液中のカフェイン濃度が10~50ppmになる量である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記濾過処理において前記複合濾過膜にかかる圧力を0.01~0.3MPaとする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記複合濾過膜におけるベントナイト量が、0.0020~0.010g/cmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記カフェイン低減液のカフェイン濃度が10ppm未満である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カフェイン低減液の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカロイドであるカフェインは、茶飲料、コーヒー飲料等に含まれ、またエナジードリンク等にも多く配合されている。他方、飲料中のカフェインの有害作用も社会的に問題視されるようになってきた。例えば、カフェインを過剰に摂取すると中枢神経系が過度に刺激され、興奮、不安、震え、不眠等を引き起こすことが知られている。また、妊婦がカフェインを摂り過ぎることにより、出生児が低体重となり、将来の健康リスクが高まる可能性が指摘されている。そのため、カフェイン含有飲料等からカフェインを高効率に除去する技術が求められている。
【0003】
飲料中のカフェイン濃度を低減するために、粘土をカフェイン吸着剤として用いてカフェインを吸着・除去する技術が知られている。例えば、特許文献1には、活性白土または酸性白土をカフェイン含有水溶液と接触させることにより、当該水溶液から選択的にカフェインを除去する方法が開示されている。
また、特許文献2には、スメクタイトを用いて、その交換性陽イオンを多価カチオンに交換することにより、カフェインの吸着効果を高める技術が開示されている。
また、特許文献3には、茶抽出液またはコーヒー抽出液と白土とを接触させる工程を2回以上含んでなる、カフェインが低減された茶抽出液又はコーヒー抽出液の製造方法が開示されている。
また、特許文献4には、特定粒径の活性白土若しくは酸性白土と、特定分子量のポリエチレン粉末とを含むフィルタマトリックスを有するフィルターを用いて、カフェイン含有流動体からカフェインを効率的に除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-142405号公報
【特許文献2】国際公開第2019/049782号
【特許文献3】特開2017-018013号公報
【特許文献4】特開2013-123662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1~3に記載されるように、カフェイン含有水溶液に粘土を添加し、撹拌してカフェインとカフェイン吸着剤とを接触させる場合、その後に濾過処理や遠心分離処理による固液分離が必要となる。しかし、濾過処理は時間を要し作業効率に劣り、また、遠心分離には特殊な装置が必要になる。特許文献4に記載されるように、白土を樹脂や繊維に練りこんでフィルター化することで濾過性は向上する。しかし、濾過したときに白土と液中カフェインとの接触効率は十分とは言えず、カフェインの除去効率の向上には制約がある。接触効率を高めるためにフィルターを分厚くすることも考えられるが、その場合は濾過時間が長くなり作業効率に劣るものとなる。
【0006】
本発明は、効率的にカフェインが除去されたカフェイン低減液をより短時間で得ることを可能にするカフェイン低減液の調製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた。その結果、ベントナイトの水分散液を濾紙で濾過して当該濾紙上にベントナイトの脱水ケーキを形成し、そこに、カフェイン含有液にベントナイトを混合して分散させた液を流し込んで濾過することにより、カフェイン含有液のカフェイン濃度を、より短時間で、効率的に低減できることを見出した。すなわち、濾過膜を構成するベントナイトの脱水ケーキを少量として素早い濾過性を担保しながらカフェインとベントナイトとの確実な接触を実現し、かつ、そこに流し込むカフェイン含有液にもベントナイトを混合しておくことにより、全体としてより少ないベントナイトの使用量で、短時間に、高効率にカフェインを除去できることを見出すに至った。
本発明はこれらの知見に基づき完成されるに至ったものである。
【0008】
本発明の上記課題は、下記の手段により解決された。
(1)
濾紙と、該濾紙上に形成されたベントナイトの脱水ケーキ膜とからなる複合濾過膜を用いて、カフェイン含有液中にベントナイトを分散してなる分散液を濾過処理することを含む、カフェイン低減液の調製方法。
(2)
前記ベントナイト中のモンモリロナイトの含有量が70質量%以上であり、該ベントナイトの浸出陽イオン量の70%以上がCaイオンである、前記(1)記載の方法。
(3)
前記脱水ケーキ膜に使用するベントナイトと、前記カフェイン含有液に分散させるベントナイトの総使用量が、該総使用量のベントナイトを該カフェイン含有液に添加し20℃で1時間撹拌混合してからその分散液の全量を濾過処理することによってベントナイトを除去した場合に、該カフェイン含有液中のカフェイン濃度が10~50ppmになる量である、前記(1)又は(2)記載のカフェイン低減液の調製方法。
(4)
前記濾過処理において前記複合濾過膜にかかる圧力を0.01~0.3MPaとする、前記(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
(5)
前記複合濾過膜におけるベントナイト量が、0.0020~0.010g/cmである、前記(1)~(4)のいずれかに記載のカフェイン低減液の調製方法。
(6)
前記カフェイン低減液のカフェイン濃度が10ppm未満である、前記(1)~(5)のいずれかに記載のカフェイン低減液の調製方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のカフェイン低減液の調製方法によれば、カフェインが高効率に除去されたカフェイン低減液をより短時間で得ることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のカフェイン低減液の調製方法(以下、本発明の調製方法とも称す。)は、濾紙と、該濾紙上に形成されたベントナイトの脱水ケーキ膜とからなる複合濾過膜を用いて、カフェイン含有液中にベントナイトを分散してなる分散液を濾過することを含む。
【0011】
本発明の調製方法に用いるベントナイトは、シリカとアルミナとを主成分とする層状ケイ酸塩鉱物の1種であるモンモリロナイトを主成分とする粘土である。本発明において「ベントナイト」という場合、通常よりも広義の意味で用いている。すなわち、天然由来のベントナイトであっても良いし、天然由来のベントナイトを精製した精製ベントナイト(好ましくは、精製モンモリロナイト)であってもよく、合成モンモリロナイトであってもよい。市販の精製品としては、例えば、クニピアF(商品名、クニミネ工業株式会社製)が挙げられる。
上記合成モンモリロナイトは常法により合成することができる。例えば、原料を所望の組成比となるように混合して出発ゲルを調製し、このゲルを水熱処理に付してモンモリロナイトを合成することができる。水熱合成法はモレー型反応容器やオートクレーブを用いて行うことができる。また、合成時の原料組成を、常法により適宜に調節することにより、得られる合成モンモリロナイトの陽イオン交換容量(Cation Exchange Capacity、CEC)を所望のレベルへと調整することができる。
【0012】
前記ベントナイト中の前記モンモリロナイトの含有量は、カフェインを効率的に吸着する観点から、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、92質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。また、前記ベントナイトの全てがモンモリロナイトであってもよい。
前記ベントナイトがモンモリロナイト以外の成分を含有する場合、当該モンモリロナイトを除いた残部としては、例えば、石英、クリストバライト、沸石、長石、方解石等の随伴鉱物等が挙げられる。
【0013】
モンモリロナイトは、厚みが約1nmの薄い板状結晶が積み重なった層状構造を形成しており、結晶同士の間である層間には、一般的にアルカリ金属やアルカリ土類金属などの陽イオンが存在する。本発明に用いるベントナイトにおいて、モンモリロナイトの結晶層間に存在する陽イオンに特に限定はない。例えば、Na(ナトリウム)型、Li(リチウム)型、K(カリウム)型、NH(アンモニウム)型、Ca(カルシウム)型、Mg(マグネシウム)型、Ba(バリウム)型、Al(アルミニウム)型、Fe(鉄)型、Cu(銅)型、及びZn(亜鉛)型の各ベントナイトから選ばれる1種又は2種以上のベントナイトを用いることができる。中でも、効率的に濾過を行う観点から、前記ベントナイトは水分散性の低いベントナイトであることが好ましく、Ca型、Al型、Mg型、Fe型、K型であることがより好ましく、濾液(飲料)の味を考慮するとCa型であることがさらに好ましい。
なお、本発明に用いるベントナイトは、食品衛生法等の観点から、重金属が50ppm以下、砒素が2ppm以下であることが好ましい。
【0014】
本発明において「X型ベントナイト」(Xは陽イオンの種類)という場合、ベントナイトの浸出陽イオン量(すなわち浸出陽イオンの総量、単位:meq/100g、以下同様)に占めるXイオンの量(単位:meq/100g)が70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、さらに好ましくは95%以上)であるベントナイトを意味する。例えば、Ca型ベントナイトという場合には、ベントナイトの浸出陽イオン量に占めるCa2+の量(単位:meq/100g)が70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、さらに好ましくは95%以上)であるベントナイトを意味する。本明細書において、ベントナイトの浸出陽イオン量は、ベントナイト(モンモリロナイト)の層間陽イオンをベントナイト0.5gに対して、例えば100mLの1M酢酸アンモニウム水溶液を用いて4時間以上かけて浸出させ、得られた溶液中の各種陽イオンの濃度を、ICP発光分析や原子吸光分析等により測定し、算出することができる。
【0015】
本発明において、ベントナイトの陽イオン交換容量は80meq以上/100gであることが好ましく、90meq以上/100gであることがより好ましく、100meq以上/100gであることがさらに好ましい。また、本発明に用いるベントナイトの陽イオン交換容量は、通常120meq以下/100gである。ベントナイトの陽イオン交換容量は、Schollenberger法(粘土ハンドブック第三版,日本粘土学会編,2009年5月,453~454頁)に準じた方法で測定することができる。より具体的には、日本ベントナイト工業会標準試験方法JBAS-106-77に記載の方法で測定することができる。
【0016】
本発明の調製方法では、ベントナイトを、カフェイン含有液を濾過する濾過膜の構成層として用い、かつ、カフェイン含有液中に添加してカフェイン吸着性分散物としても用いる。このように、カフェイン吸着剤たるベントナイトを異なる2種の方法でカフェイン含有液に作用させることにより、短時間で、高効率のカフェイン除去を実現するものである。カフェイン含有液を濾過する濾過膜の構成層として用いるベントナイトと、カフェイン含有液中に添加してカフェイン吸着性分散物として用いるベントナイトは、同じであっても異なってもよく、同じであることが好ましい。
本発明の調製方法において、脱水ケーキ膜に使用するベントナイトとカフェイン含有液に分散させるベントナイトの総使用量は、当該総使用量のベントナイトをカフェイン含有液に添加し20℃で30秒間撹拌混合してからその分散液の全量(添加したベントナイトも含む)を濾過処理することによってベントナイトを除去した場合に、カフェイン含有液中のカフェイン濃度が好ましくは10~50ppm、より好ましくは20~40ppmとなる量である。上記濾過処理は加圧して行うことが好ましく、加圧濾過の圧力は、後述する複合濾過膜を用いた加圧処理の圧力を好ましく適用することができる。なお、当該カフェイン濃度は、カフェイン含有液に総使用量のベントナイトを添加して1時間撹拌混合した後にその上澄み部分(添加したベントナイトを含まない)をシリンジフィルター(0.45μm、ADVANTEC社製)を用いて濾過した場合の濾液のカフェイン濃度と実質的な差異はない。つまり、「ベントナイトをカフェイン含有液に添加し20℃で30秒間撹拌混合してからその分散液の全量を濾過処理することによってベントナイトを除去する」との条件は、分散液状態におけるカフェインとベントナイトとの接触によるカフェインとベントナイトとの吸着と脱離が平衡に達した状態(例えば接触開始から1時間後)から上澄み部分を分取した場合と同じカフェイン除去効率を達成する条件である。本発明において「ppm」は、液量及びカフェイン量が質量ベースで決定されるものである。また、上記撹拌混合の方法は限定されず、連続的な撹拌でもよく、間欠的な撹拌でもよい。
また、脱水ケーキ膜に使用するベントナイトと、カフェイン含有液に分散させるベントナイトの総使用量は、カフェイン含有液量100に対して質量比で0.1~10とすること(すなわち、カフェイン含有液100質量部に対してベントナイトの総使用量を0.1~10質量部とすること)が好ましく、0.5~5とすることもでき、1~3とすることもできる。
ベントナイトの脱水ケーキ膜ないし吸着性分散物としての使用形態に関し、その詳細は後述する。
【0017】
前記カフェイン含有液は特に限定されず、液中にカフェインを含有するものを広く用いることができる。例えばコーヒー、カカオ、グァラナ、コーラ、紅茶、烏龍茶、緑茶、プーアル茶、マテ茶等のカフェイン含有植物の抽出液や、その濃縮液または希釈液が挙げられる。また、合成カフェインや精製カフェイン等のカフェインを配合した各種飲料が挙げられる。中でも本発明の調製方法は、コーヒー、紅茶、烏龍茶、マテ茶等の飲料に対して好適に用いることができる。
【0018】
前記カフェイン含有液のカフェイン濃度(ppm)は特に制限されず、ベントナイトの使用量低減と濾過時間短縮の観点を考慮すると、5000ppm以下であることが好ましく、3000ppm以下であることがより好ましく、2000ppm以下であることがさらに好ましい。前記カフェイン含有液のカフェイン濃度は、通常は10ppm以上であり、50ppm以上であってもよく、100ppm以上であってもよく、200ppm以上であってもよく、400ppm以上であってもよい。
また、本発明の調製方法において、使用するカフェイン含有液の液量は、複合濾過膜のサイズ等に応じて適宜設定することができる。
なお、液中のカフェイン濃度は常法に従って測定することができ、例えば、下記実施例に記載の方法により決定することができる。
【0019】
本発明において複合濾過膜は、飲料等の濾過に用いられる通常の濾紙と、この濾紙上に形成された、ベントナイトの脱水ケーキ膜(以下、単に「脱水ケーキ膜」とも称す。)とからなる積層構造の濾膜である。複合濾過膜を構成する濾紙は、濾過処理時に脱水ケーキ膜を保持できればよく、通常1枚で十分であるが、必要により2枚以上を重ねて使用してもよい。
【0020】
脱水ケーキ膜は、濾紙上に均一の膜状に形成された脱水ケーキであり、ベントナイトの水分散液を濾紙で濾過(通常は加圧濾過)することにより、当該濾紙上に形成することができる。脱水ケーキ膜の厚みは、カフェイン含有液の濾過処理により脱水ケーキ膜が崩壊することを防ぐ観点から、0.03mm以上であることが好ましく、0.06mm以上であることがより好ましく、0.1mm以上であることがさらに好ましい。また、濾過時間を短縮する観点から、当該厚みは0.3mm以下であることが好ましく、0.25mm以下であることがより好ましく、0.2mm以下であることがさらに好ましい。
また、複合濾過膜におけるベントナイト量(脱水ケーキ膜と濾紙との接触面の単位面積当たりの量)は、0.0020~0.010g/cmであることが好ましく、0.0030~0.0090g/cmであることがより好ましく、0.0040~0.0090g/cmであることがさらに好ましい。
また、前記脱水ケーキ膜の嵩密度は、濾過時間短縮の観点から、0.0036~0.0182g/cmであることが好ましく、0.0055~0.0164g/cmであることがより好ましく、0.0073~0.0164g/cmであることがさらに好ましい。本明細書において嵩密度とは、[固体比重測定方法]JIS Z 8807:2012に準拠して測定される値を意味する。
【0021】
脱水ケーキ膜中の水の含有量は、脱水ケーキ膜の収縮及び亀裂発生をより生じにくくする観点から、30~60質量%であることが好ましく、35~55質量%であることがより好ましく、40~50質量%であることがさらに好ましい。
【0022】
前記脱水ケーキ膜に使用するベントナイト量は、前記カフェイン含有液に分散させるベントナイト量100に対して、質量比で2~50であることが好ましく、3~30であることがより好ましく、4~23であることがさらに好ましく、5~15であることがさらに好ましい。
【0023】
本発明の調製方法では、カフェイン含有液にベントナイトを添加、攪拌してベントナイトの分散液を得て、この分散液を、複合濾過膜を用いて濾過することを含む。この濾過処理は加圧して行うことが好ましい。したがって、加圧濾過器内に複合濾過膜を設置して、上記分散液を加圧濾過することが好ましい。
【0024】
本発明の調製方法において、カフェイン含有液中にベントナイトを分散してなる分散液を得るに当たり、カフェイン含有液へのベントナイトの添加量は、カフェイン含有液量100に対して質量比で0.5~4.0であることが好ましく、0.8~3.5であることがより好ましく、1.0~3.0であることがさらに好ましい。
また、カフェイン含有液にカフェイン吸着剤を添加した後の撹拌条件は、撹拌温度が好ましくは20~90℃である。撹拌速度については特に制限はなく、カフェイン含有液の全体にベントナイトが行き亘るように混合できればよい。この撹拌は連続的に行ってもよく、間欠的に行ってもよく、連続的に行うことが好ましい。この撹拌は、スターラーを用いて行うことができる。また、撹拌棒(スプーン等を含む)などを用いて機械的に、あるいは手作業で行ってもよい。撹拌時間は、好ましくは10秒~1分、より好ましくは20秒~1分、さらに好ましくは30秒~1分である。
【0025】
本発明の調製方法では、ベントナイトを分散してなるカフェイン含有液を複合濾過膜により濾過し、濾液をカフェイン低減液として得るものである。本発明において「複合濾過膜を用いて、カフェイン含有液中にベントナイトを分散してなる分散液を濾過処理する」とは、次の3形態を包含する意味である。
(a)カフェイン含有液中にベントナイトを分散してなる分散液のすべて濾過処理に付す形態、
(b)カフェイン含有液中にベントナイトを分散してなる分散液において、ベントナイトを沈殿させて、液のみを濾過処理に付す形態、
(c)カフェイン含有液中にベントナイトを分散してなる分散液において、沈殿したベントナイト以外の分散液を濾過処理に付す形態(ベントナイトの一部と液とを濾過処理に付す形態。)。
上記の複合濾過膜を用いた濾過処理は、加圧して行うことが好ましい。加圧濾過の圧力は、濾過時間をより短縮する観点から、0.01MPa以上であることが好ましく、0.03MPa以上であることがより好ましく、0.05MPa以上であることがさらに好ましい。また、安全性の観点、カフェイン含有液中のカフェインと、カフェイン吸着剤たるベントナイトとの接触時間を十分に確保する観点から、当該圧力は0.3MPa以下であることが好ましく、0.2MPaであることがより好ましく、0.1MPa以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、加圧濾過の「圧力」を示す数値は大気圧を差し引いた値である。すなわち、加圧濾過の圧力が0.1MPaという場合、当該圧力は大気圧0.1MPaに加えて、さらに加圧濾過機による圧力0.1MPaを加えていることを意味する。
【0026】
本発明に用いる複合濾過膜は、加圧濾過器の形状に合わせて適宜設定することができ、円形、角形などの濾紙を使用することができる。濾紙の大きさも加圧濾過器に応じて設定することができる。
【0027】
本発明の調製方法において、濾過時間(分散液が全て通過するのにかかる時間)は、10分以下とすることができ、7分以下とすることもでき、5分以下とすることもできる。
【0028】
本発明において、加圧濾過に用いる機器に特に制限はない。一例として、OFI Testing Equipment社のフィルタープレス(型番:140-31、Bench-Mount Filter Press with Hose and Regulator)、Fann社のFilter press API(LPLT)、などが挙げられるが、目的とするスケールに応じて適宜に市販品を選択し、またカスタマイズした装置を製造することができる。
【0029】
本発明の調製方法によって得られるカフェイン低減液は、カフェイン濃度が20ppm未満であることが好ましく、15ppm未満であることがより好ましく、10ppm未満であることがさらに好ましい。
【実施例0030】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
<複合濾過膜の作製方法>
下記表1~7に記載の分量の脱水ケーキに用いるカフェイン吸着剤(表中において、「カフェイン吸着剤(脱水ケーキ、g)」と記載)を、50mlの蒸留水に分散させた。加圧濾過器(フィルタープレス、型番:140-31、OFI Testing Equipment社製)に、濾紙(商品名:円形硬質ろ紙 No. 4A、ADVANTEC社製)を設置し、上記蒸留水に分散させたカフェイン吸着剤を投入して密閉し、0.02MPaの圧力で、通水液が出なくなるまで通水させて、濾紙上にカフェイン吸着剤(ベントナイト又は白土)からなる脱水ケーキ膜を形成した。こうして、濾紙と脱水ケーキ膜とからなる複合濾過膜を作製した。
なお、本実施例で用いた加圧濾過器は直径80mm、高さ88mmである。また、濾紙の直径は90mmの円形であり、液が接触する部分(通水部)の直径は76mmである。下記表1~7において、「通水部上の吸着剤量(g/cm2)」とは、当該直径76mmの通水部の単位面積当たりのカフェイン吸着剤量(複合濾過膜におけるベントナイト量)を表す。
【0032】
<試験例1>
[実施例1―1]
山形産Na型モンモリロナイト(商品名:クニピア-F、クニミネ工業社製)(ベントナイトを精製したものであり、モンモリロナイト含有量が99質量%以上)を、Ca型にイオン交換し(浸出陽イオン量の95%以上がCaイオン)、カフェイン吸着剤として用いた。カフェイン吸着剤の総使用量を3.75g(カフェイン含有液量100に対して質量比で2.5)とし、そのうち0.1gを用いて上記<複合濾過膜の作製方法>により、濾紙上に脱水ケーキ膜を形成して複合濾過膜を作製した。複合濾過膜は加圧濾過器内に設置された状態のまま維持した。
カフェイン粉末(商品名:カフェイン、和光純薬工業株式会社製)を、カフェイン濃度が1941ppm(10mmol/l)となるように蒸留水150mlに溶解させ、カフェイン含有液(水溶液)を調製した。該カフェイン含有液に上記カフェイン吸着剤3.65gを添加し、ガラス棒を用いて20℃で30秒間攪拌して分散液を得た。その後、分散液のすべてを速やかに加圧濾過器内の複合濾過膜上に流し込み、圧力を0.1MPaとして加圧濾過を行った。こうしてカフェイン低減液(濾液)を得た。
上記分散液を複合濾過膜上に流し込む際に、脱水ケーキが崩壊するか否かを目視により観察した。また、分散液の全量が通過するのに要する時間を測定した。
【0033】
<カフェイン水溶液の濃度測定方法>
濾液のカフェイン濃度は、分光光度計(U-3900、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて測定した。カフェインの275nm付近の極大吸収から、予め検量線を作成し、ランベルト・ベールの法則から濾液のカフェイン濃度を計算した。結果を下記表1に示す。
【0034】
[実施例1-2]
脱水ケーキ膜に使用するカフェイン吸着剤の使用量を0.2gとし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を3.55gとした以外は、実施例1-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0035】
[実施例1-3]
脱水ケーキ膜に使用するカフェイン吸着剤の使用量を0.4gとし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を3.35gとした以外は、実施例1-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0036】
[実施例1-4]
脱水ケーキ膜に使用するカフェイン吸着剤の使用量を0.6gとし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を3.15gとした以外は、実施例1-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0037】
[比較例1-1]
脱水ケーキ膜に使用するカフェイン吸着剤の使用量を0g(脱水ケーキ膜を形成しない)とし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を3.75gとした以外は、実施例1-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0038】
[実施例2-1]
カフェイン吸着剤の総添加量を4.5g(カフェイン含有液量100に対して質量比で3)とし、そのうち脱水ケーキ膜へ使用するカフェイン吸着剤の量を0.3gとし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を4.2gとした以外は、実施例1-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0039】
[実施例2-2]
脱水ケーキ膜に使用するカフェイン吸着剤の適用量を0.45gとし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を4.05gとした以外は、実施例2-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0040】
[比較例2-1]
脱水ケーキ膜に使用するカフェイン吸着剤の適用量を0g(脱水ケーキ膜を形成しない)とし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を4.5gとした以外は、実施例2-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0041】
[比較例2-2]
脱水ケーキ膜に使用するカフェイン吸着剤の適用量を4.5g(使用する全てのカフェイン吸着剤を脱水ケーキ膜の形成に使用し)とし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を0g(カフェイン含有液にカフェイン吸着剤を添加しない)とし、圧力を0.3MPaとして加圧濾過を行った以外は、実施例2-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0042】
[実施例3-1]
カフェイン吸着剤の総添加量を3.0g(カフェイン含有液量100に対して質量比で2)とし、そのうち脱水ケーキ膜へ使用するカフェイン吸着剤の量を0.6gとし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を2.4gとした以外は、実施例1-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0043】
[比較例3-1]
脱水ケーキ膜に使用するカフェイン吸着剤の適用量を0g(脱水ケーキ膜を形成しない)とし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を3.0gとした以外は、実施例3-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0044】
[実施例4-1]
カフェイン含有液のカフェイン濃度を971ppm(5mmol/l)とし、カフェイン吸着剤の総添加量を3.0g(カフェイン含有液量100に対して質量比で2)とし、そのうち脱水ケーキ膜へ使用するカフェイン吸着剤の量を0.2gとし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を2.8gとした以外は、実施例1-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0045】
[実施例4-2]
脱水ケーキ膜に使用するカフェイン吸着剤の適用量を0.5gとし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を2.5gとした以外は、実施例4-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0046】
[比較例4-1]
脱水ケーキ膜に使用するカフェイン吸着剤の適用量を0g(脱水ケーキ膜を形成しない)とし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を3.0gとした以外は、実施例4-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0047】
[実施例5-1]
カフェイン含有液のカフェイン濃度を486ppm(2.5mmol/l)とし、カフェイン吸着剤の総添加量を1.5g(カフェイン含有液量100に対して質量比で1)とし、そのうち脱水ケーキ膜へ使用するカフェイン吸着剤の量を0.3gとし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を1.2gとした以外は、実施例1-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0048】
[実施例5-2]
脱水ケーキ膜に使用するカフェイン吸着剤の適用量を0.5gとし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を1.0gとした以外は、実施例5-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0049】
[比較例5-1]
脱水ケーキ膜に使用するカフェイン吸着剤の適用量を0g(脱水ケーキ膜を形成しない)とし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を1.5gとした以外は、実施例5-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
表1~5から明らかなように、脱水ケーキ膜を形成せずに分散液を濾紙で濾過した比較例1-1、2-1、3-1、4-1、及び5-1に比べて、濾紙上に脱水ケーキ膜を形成した複合濾過膜を用いて分散液を濾過した各実施例では、いずれも濾液中のカフェイン濃度を大幅に低減することができた。
また、脱水ケーキ膜に用いるカフェイン吸着剤量が増えるにつれて濾液中のカフェイン濃度は低減する傾向にあるが、カフェイン吸着剤の全てを脱水ケーキに使用し、カフェイン含有液に対してカフェイン吸着剤を添加しなかった比較例2-2では、長時間かけて濾過しているにもかかわらず、カフェインの除去効率に著しく劣る結果となった。つまり、カフェイン吸着剤(ベントナイト)を、脱水ケーキ膜の形成とカフェイン含有液中への添加の2通りの使用形態を組み合わせることにより、短時間で、高効率のカフェイン除去が実現できることがわかる。
【0056】
<試験例2>
[比較例6-1]
使用するカフェイン吸着剤を酸性白土(水澤化学工業社製、ミズカエース)とし、カフェイン吸着剤の総添加量を9.0g(カフェイン含有液量100に対して質量比で6)とし、脱水ケーキ膜に使用するカフェイン吸着剤の適用量を0g(脱水ケーキ膜を形成しない)とし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を9.0gとした以外は、実施例1-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0057】
[比較例6-2]
使用するカフェイン吸着剤を酸性白土(水澤化学工業社製、ミズカエース)とし、カフェイン吸着剤の総添加量を9.0g(カフェイン含有液量100に対して質量比で6)とし、脱水ケーキ膜に使用するカフェイン吸着剤の適用量を0.5gとし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を8.5gとした以外は、実施例1-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0058】
[比較例6-3]
脱水ケーキ膜に使用するカフェイン吸着剤の適用量を1.0gとし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を8.0gとした以外は、比較例6-2と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0059】
[比較例6-4]
脱水ケーキ膜に使用するカフェイン吸着剤の適用量を9.0g(使用する全てのカフェイン吸着剤を脱水ケーキに使用し)とし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を0gとし、圧力を0.2MPaとして加圧濾過を行った以外は、比較例6-2と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0060】
【表6】
【0061】
カフェイン吸着剤として、ベントナイトではなく酸性白土を用いた場合、脱水ケーキに0.5g及び1.0gを適用した比較例6-2及び比較例6-3では、カフェイン含有液を脱水ケーキ膜に投入した際に脱水ケーキが崩壊した。それゆえ、酸性白土の総使用量を9.0gと多量としても、カフェインの除去効率に劣る結果となった。比較例6-4のように、カフェイン吸着剤を多量に用いて脱水ケーキ膜を形成した場合は、カフェイン含有液を脱水ケーキ膜に投入しても脱水ケーキの崩壊は見られなかったが、長時間かけて濾過しているにもかかわらず、濾過によるカフェインの除去効率は著しく劣っていた。
【0062】
実施例4-2では、ベントナイトを0.5g使用して脱水ケーキ膜を形成しており、カフェイン含有液を投入しても脱水ケーキの崩壊は見られない。一方で、等量の酸性白土を用いて脱水ケーキ膜を形成した比較例6-2では、カフェイン含有液を投入することによって脱水ケーキが崩壊した。
これは、ベントナイトの特性として水の馴染みが良いことが効いているものと考えられる。
【0063】
<試験例3>
[実施例7―1]
カフェイン含有液を市販のドリップコーヒー(カフェイン濃度545.8ppm、70~80℃)150mlとし、カフェイン吸着剤の総添加量を3.75g(カフェイン含有液量100に対して質量比で2.5)とし、そのうち脱水ケーキへ使用するカフェイン吸着剤の量を0.4gとし、カフェイン含有液へのカフェイン吸着剤の添加量を3.35gとした以外は、実施例1-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。その後、下記<コーヒーのカフェイン濃度測定方法>によって濾液のカフェイン濃度を計算した。また、濾過前のコーヒーと濾過後のコーヒーについて、濾過による味の変化を試飲して確認した。
【0064】
<コーヒーのカフェイン濃度測定方法>
コーヒーのカフェイン濃度は、液体クロマトグラフィーを用いて、下記の条件により測定した。

-測定条件-
装置:HPLC L-2000シリーズ(日立ハイテクサイエンス社製)
カラム:Inertsil ODS-3(4.6×250mm 5μm)(ジーエルサイエンス社製)
ガードカラム:Inertsil ODS-3(4.0×10mm 5μm)(ジーエルサイエンス社製)
移動相:水:メタノール=1:1
波長:290nm
流速:0.5ml/min
カラム温度:35℃
注入量:2μL
【0065】
[実施例7―2]
カフェイン吸着剤として、山形産Na型モンモリロナイト(クニミネ工業製、クニピアF)をAl型にイオン交換したカフェイン吸着剤(浸出陽イオン量の95%以上がAlイオンである)を用いたこと以外は、実施例7-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0066】
[実施例7―3]
カフェイン吸着剤として、山形産Na型モンモリロナイト(クニミネ工業製、クニピアF)をMg型にイオン交換したカフェイン吸着剤(浸出陽イオン量の95%以上がMgイオンである)を用いたこと以外は、実施例7-1と同様にしてカフェイン低減液を得た。
【0067】
【表7】
【0068】
カフェイン吸着剤としてCa型にイオン交換したベントナイト(モンモリロナイト)を用いた実施例7-1では、濾過によるカフェインの高効率な除去を達成しながら、コーヒーの味の変化も確認されなかった。一方で、カフェイン吸着剤としてAl型にイオン交換したモンモリロナイトを用いた実施例7-2では、濾過により若干の酸味を感じる味になった。また、カフェイン吸着剤としてMg型にイオン交換したモンモリロナイトを用いた実施例7-3では、濾過による味の変化は見られないものの、実施例7-1や実施例7-2と比べて濾過時間がやや長くなることがわかった。
上記のような違いはあるものの、実施例7-1~7-3はいずれも、目的のカフェイン低減を効率的に達成できるものであった。
【0069】
以上のように、カフェイン吸着剤としてベントナイトを用いて、カフェイン含有液にベントナイトを分散してなる分散液を、濾紙上に形成されたベントナイトの脱水ケーキ膜を通過させることにより、得られる濾液中のカフェイン含有量を効率的に減少させることができる。