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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015622
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】皮膚の老化防止用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20220114BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20220114BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20220114BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220114BHJP
   A23L 33/16 20160101ALI20220114BHJP
【FI】
A61K8/25
A61Q19/08
A61K33/00
A61P17/00
A23L33/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118576
(22)【出願日】2020-07-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社APAコーポレーションは、京急第2ビルで令和1年9月29日に開催されたAPAコーポレーション販社会議において、本願発明に係る皮膚の老化防止用組成物を公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】512031080
【氏名又は名称】株式会社APAコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100197701
【弁理士】
【氏名又は名称】長野 正
(72)【発明者】
【氏名】岡田 憲己
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4B018MD05
4B018ME10
4C083AB171
4C083AB172
4C083CC03
4C083DD27
4C083EE12
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA06
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA89
(57)【要約】
【課題】従来よりも、皮膚のシワや、皮膚のハリ等を改善することが可能な、皮膚の老化防止用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】皮膚の老化防止用組成物は、珪素を含有している。皮膚の老化防止用組成物の総質量に基づく珪素の含有量は、0.005質量%以上100質量%未満である。また、皮膚の老化防止用組成物の総質量に基づく珪素の含有量は、0.05質量%以上100質量%未満であってもよい。皮膚の老化防止用組成物は医薬品又は飲食品に含有されてもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
珪素を含有しており、
前記珪素の含有量が、0.005質量%以上100質量%未満である、
皮膚の老化防止用組成物。
【請求項2】
前記珪素の含有量が、0.05質量%以上100質量%未満である、
請求項1に記載の皮膚の老化防止用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の老化防止用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現代における美容意識の高まりに伴い、皮膚のシワや、皮膚のハリ等を改善する老化防止化粧料が、種々提案されている。
このような老化防止化粧料として、例えば特許文献1に、ハイビスカス抽出物が開示されている。ハイビスカス抽出物は、線維芽細胞の増殖を活性化させ、皮膚のシワや、皮膚のハリ等を改善する可能性があると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-295928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単に線維芽細胞の増殖を活性化させるのみでは、皮膚のシワや、皮膚のハリ等を十分に改善することができない虞がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、従来よりも、皮膚のシワや、皮膚のハリ等を改善することが可能な、皮膚の老化防止用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の皮膚の老化防止用組成物は、
珪素を含有しており、
前記珪素の含有量が、0.005質量%以上100質量%未満である。
【0007】
例えば、前記珪素の含有量が、0.05質量%以上100質量%未満であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来よりも、皮膚のシワや、皮膚のハリ等を改善することが可能な、皮膚の老化防止用組成物を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】珪素のエラスターゼ阻害活性を示すグラフである。
図2】(a)は、珪素がシワに及ぼす影響を示すグラフであり、(b)は、レプリカのシワの画像である。
図3】皮膚の水分蒸散に珪素が及ぼす影響を示すグラフである。
図4】ヒアルロン酸産生に珪素が及ぼす影響を示すグラフである。
図5】コラーゲン分解酵素1遺伝子(MMP1)の発現に珪素が及ぼす影響を示すグラフである。
図6】ヒアルロン酸産生酵素2遺伝子(HAS2)の発現に珪素が及ぼす影響を示すグラフである。
図7】ヒアルロン酸産生酵素3遺伝子(HAS3)の発現に珪素が及ぼす影響を示すグラフである。
図8】β-グルコセレブロシダーゼ遺伝子(GBA)の発現に珪素が及ぼす影響を示すグラフである。
図9】プロフィラグリン遺伝子(FLG)の発現に珪素が及ぼす影響を示すグラフである。
図10】トラングルタミナーゼ1遺伝子(TGM1)の発現に珪素が及ぼす影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る皮膚の老化防止用組成物について説明する。
【0011】
本発明の皮膚の老化防止用組成物は、珪素を含有している。
【0012】
珪素は、非晶質珪素であり、例えば、食物由来の珪素や、鉱物由来の珪素が挙げられる。
食物由来の珪素としては、穀類、野菜類、海藻類などに含まれる珪素が挙げられる。
穀類としては、例えば、麦、玄米、白米、トウモロコシである。
野菜類としては、例えば、ゴボウ、大根、人参である。
海藻類としては、例えば、昆布、ワカメである。
穀類、野菜類、海藻類などの食物は、粉砕された状態で、本発明の皮膚の老化防止用組成物に含有されていてもよい。
【0013】
鉱物由来の珪素としては、水晶から抽出した珪素が挙げられる。
【0014】
また、珪素は、市販の珪素であってもよく、例えば、株式会社APAコーポレーションから販売されている水溶性珪素「umo(登録商標)」に含まれている珪素が挙げられる。
【0015】
また、珪素は、単体の珪素であってもよいし、例えば二酸化珪素のように化合物中の珪素であってもよい。
【0016】
そして、本発明の皮膚の老化防止用組成物の総重量に基づく珪素の含有量は、0.005質量%以上100質量%未満である。
そして、本発明の皮膚の老化防止用組成物は、ヒトの皮膚に塗布又はヒトに飲用されると、皮膚や腸管から吸収されて、皮膚のシワやハリ等を改善すると考えられる。
【0017】
具体的には、本発明の皮膚の老化防止用組成物は、皮膚や腸管から吸収されると、以下の実施例で説明する通り、エラスターゼ活性率の低下作用、ヒアルロン酸の産出率の増加作用、及びコラーゲン分解の抑制作用などを生じさせると考えられる。
ここで、これらの作用は皮膚のシワやハリ等を改善する作用であるが、従来のハイビスカス抽出物が単に繊維芽細胞の増殖を活性化させる作用は、皮膚のシワやハリ等を改善する可能性を単に示唆するものであると考えられる。
その為、本発明の皮膚の老化防止用組成物は、従来のハイビスカス抽出物よりも、皮膚のシワや、皮膚のハリ等を改善することが可能であると考えられる。
なお、本発明の皮膚の老化防止用組成物は、ヒトの皮膚のシワやハリ等を改善するとともに、以下の実施例で説明する通り、大腸菌やレジオネラ菌を静菌させる。
【0018】
また、本発明の皮膚の老化防止用組成物の総質量に基づく珪素の含有量は、0.05質量%以上100質量%未満であることが好ましい。
これにより、本発明の皮膚の老化防止用組成物をヒトの皮膚に塗布又はヒトが飲用した際に、皮膚のシワやハリを一層改善することが可能になると考えられる。
なお、本発明の皮膚の老化防止用組成物の総質量に基づく珪素の含有量について、好ましいのは0.05質量%以上100質量%未満であるから、例えば0.1質量%、0.5質量%、1.0質量%、5.0質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、75質量%、80質量%、85質量%、90質量%、及び95質量%が含まれる。
【0019】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0020】
例えば、本発明の皮膚の老化防止用組成物は、必要に応じて、皮膚のシワやハリ等を改善する抗酸化作用を奏する成分を含んでいてもよい。
このような抗酸化作用を奏する成分としては、特に限定されないが、例えば、γ-オリザノール、アルファリポ酸、カテキン類、フラボノイド、コエンザイムQ10、ビタミンC、ビタミンE、アルファカロテン、ベータカロテン、エンゾジノール、ローヤルゼリー、尿酸、クエン酸等を挙げることができる。
本発明の皮膚の老化防止用組成物は、必要に応じて、これらの抗酸化作用を奏する成分の少なくとも1つ以上を含有してもよい。
【0021】
そして、本発明の皮膚の老化防止用組成物に、上記のγ-オリザノール、アルファリポ酸、カテキン類、フラボノイド、コエンザイムQ10、ビタミンC、ビタミンE、アルファカロテン、ベータカロテン、エンゾジノール、ローヤルゼリー、尿酸、クエン酸等を含有させる場合、それらの含有量は、特に限定されない。
【0022】
また、本発明の皮膚の老化防止用組成物は、必要に応じて、賦形剤、pH調整剤、清涼化剤、懸濁化剤、コーティング剤、着色剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤等を含有してもよい。
【0023】
また、本発明の皮膚の老化防止用組成物は、医薬品又は飲食品に含まれていてもよい。
【0024】
医薬品に含まれる場合は、特に限定されないが、例えば、薬学的に許容される担体とともに、錠剤、カプセル剤、液剤、粉末剤、ペースト状剤、ゲル状剤等の形態で人体に投与される。
【0025】
飲食品は、飲料品又は食料品を意味し、特に限定されないが、例えば、果汁飲料、清涼飲料、コーヒー、野菜ジュース、茶、コーヒー、シロップ、食酢、味噌、果物、野菜、穀物、肉、乳製品、菓子、麺、ゼリー、栄養補助食品、機能性食品、健康食品等が挙げられる。
【0026】
次に、本発明の皮膚の老化防止用組成物について、実施例により説明する。
なお、以下の実施例では、本発明の皮膚の老化防止用組成物に含有される珪素として、株式会社APAコーポレーションから販売されている水溶性珪素「umo(登録商標)」に含まれている珪素を使用した。
【0027】
[珪素のエラスターゼ阻害活性]
(実施例1)
まず、水溶性珪素「umo」に超純水(CAS No.7732-18-5,Wako,Japan)を添加して混合し、水溶性珪素「umo」の濃度が3質量%である被験物質を用時調製した。
次に、50μLの当該被験物質が入った96ウェルプレートに、50μLの1.25μg/mLエラスターゼ酵素(CAS No.39445-21-1,Sigma-Aldrich,USA)溶液及び100μLのN-Succinyl-Ala-Ala-Ala-p-Nitroanilide(CAS No.52299-14-6,Sigma-Aldrich,USA)溶液を添加し、270rpmで30秒間振とうして、その後37℃で15分間培養した。
その後、この96ウェルプレートを270rpmで10秒間振とうし、ウェル内の色素を均一に分散させて、マイクロプレートリーダーにより415nmの吸光度(OD415)を測定した。
なお、この吸光度(OD415)を用いた、珪素のエラスターゼ阻害活性の算出方法は、後述する。
【0028】
(実施例2)
水溶性珪素「umo」の濃度が30質量%である被験物質を用時調製したこと以外は、実施例1と同様にして、吸光度(OD415)を測定した。
【0029】
(実施例3)
水溶性珪素「umo」に超純水を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、吸光度(OD415)を測定した。なお、この実施例での被験物質は、濃度が100%である水溶性珪素「umo」である。
【0030】
(比較例1)
水溶性珪素「umo」を使用せず、超純水をそのまま用いたこと以外は、実施例1と同様にして、吸光度(OD415)を測定した。なお、この比較例は対照実験であり、対照として超純水が用いられた。
【0031】
そして、実施例1~3及び比較例1で測定された吸光度(OD415)を用いて、実施例1~3の各々の珪素のエラスターゼ活性率を、次式で算出した。
エラスターゼ活性率(%)=(S-SB)×100/(C-CB)
ここで、Sは実施例1~3で測定された被験物質の吸光度、SBは実施例1~3における被験物質のブランクの吸光度、Cは比較例1で測定された対照の吸光度、CBは比較例1における対照のブランクの吸光度である。なお、ブランクでは、エラスターゼ酵素の代わりに0.05M Tris-HCl bufferを用いた。
【0032】
[珪素がシワに及ぼす影響]
(実施例4)
皮膚のレプリカに水溶性珪素「umo」を塗布した後における、皮膚のレプリカのシワの面積を測定した。
【0033】
(比較例2)
皮膚のレプリカに水溶性珪素「umo」を塗布する前における、皮膚のレプリカのシワの面積を測定した。
【0034】
[皮膚の水分蒸散に珪素が及ぼす影響]
(実施例5)
まず、ヒトの皮膚の水分蒸散量を測定した。
次に、ヒトの皮膚に水溶性珪素「umo」を塗布し、30分後、1時間後及び2時間後における皮膚の水分蒸散量を測定した。
【0035】
(比較例3)
まず、ヒトの皮膚の水分蒸散量を測定した。
次に、ヒトの皮膚に水溶性珪素「umo」を塗布することなく、30分後、1時間後及び2時間後における皮膚の水分蒸散量を測定した。
【0036】
[ヒアルロン酸産生に珪素が及ぼす影響]
(実施例6)
水溶性珪素「umo」を蒸留水に添加して混合し、水溶性珪素「umo」の濃度が0.01質量%である水溶液を作製した。そして、この水溶液を、線維芽細胞を含む培地に添加し、ヒアルロン酸の産生率を測定した。この測定は、3回行った。
【0037】
(実施例7)
水溶性珪素「umo」の濃度が0.1質量%である水溶液を作製したこと以外は、実施例6と同様にして、ヒアルロン酸の産生率を測定した。
【0038】
(実施例8)
水溶性珪素「umo」の濃度が1質量%である水溶液を作製したこと以外は、実施例6と同様にして、ヒアルロン酸の産生率を測定した。
【0039】
(比較例4)
蒸留水を、水溶性珪素「umo」が添加されることなく、線維芽細胞を含む培地に添加したこと以外は、実施例6と同様にして、ヒアルロン酸の産生率を測定した。なお、この測定値を対照とした。
【0040】
[コラーゲン分解酵素1遺伝子(MMP1)の発現に珪素が及ぼす影響]
(実施例9)
まず、水溶性珪素「umo」を精製水に添加して混合し、水溶性珪素「umo」の濃度が1質量%である被験物質を用時調製した。
次に、35mmディッシュに5.0×10cells/2mLのNB1RGB細胞(RIKEN BRC,Japan)を播種し、COインキュベータ(CO濃度5%、37℃)内で24時間培養した。その後、培地を除去し、上記用時調製した被験物質を含有する培地を加え、COインキュベータ内で24時間培養した。
【0041】
そして、PureLink(登録商標)RNA Mini Kit(Cat No.12183018A,Invitrogen,USA)を用いて、以下で述べるRNA抽出・精製を行った。
具体的には、24時間培養後の培地を除去し、35mmディッシュを、37℃に加温した2mLのPBSで2回洗浄した。そして、さらに600μLの2M Dithiothreitol(CAS No.27565-41-9,Invitrogen,USA)含有Lysis Bufferを添加して細胞を溶解させて、ライセートを回収した。
そして、そのライセート中に存在する細胞を、Homogenizer(Cat No.12183-026,Invitrogen,USA)により破砕した。
そして、その細胞破砕液に、600μLの70%エタノール(CAS No.64-17-5,Japan alcohol,Japan)溶液を加え、シリカメンブレン付きカラムに移した。そして、12000×g及び室温で、1秒間遠心した。そして、ろ液を廃棄した。
そして、シリカメンブレンに、700μLのグアニジンイソチオシアネート含有Wash Buffer I及び500μLのエタノール含有Wash Buffer IIを添加し、洗浄した。
そして、12000×g及び室温で、15秒間遠心した後、乾燥させた。
そして、RNase-Free Waterを30μL添加し、室温で1分間静置し、12000×g及び室温において15秒間遠心した。この操作を2回行い、シリカメンブレンからRNAを溶出させた。
そして、そのRNAの一部を、UV透過性96ウェルプレート (Cat No.8404,Thermo Scientific,USA)に分取し、Tris-EDTA Buffer (TE (pH8.0),Cat No.310-90023,NIPPON GENE,Japan) により25倍希釈し、マイクロプレートリーダー (SPARK(登録商標)10M TECAN,Switzerland) を用いて230nm、260nm及び280nmの吸光度(OD230,OD260及びOD280)を測定した。
そして、被験物質のRNA濃度を次式により計算し、TE Bufferにより希釈し、RNAの濃度を10μg/mLに調製した。
RNA濃度(μg/mL) =A×K×0.3×10(希釈倍率)
ここで、Aは被験物質のOD260であり、K=40(RNAの吸光係数)であり、l=0.3(光路長(cm))である。
【0042】
次に、SuperScriptTM IV VILOTM Master Mix with ezDNase (Cat NO.11766050,Invitrogen,USA) により、RNAの逆転写を行った。
具体的には、8連チューブ (AB1182, Thermo Scientific,USA) に、1ウェルあたり1μLの10×ezDNase Buffer、1μLのezDNaseenzyme、6μLのNuclease-free Water及び2μLの10μg/mL RNAを加え、それを37℃で2分間培養した。
そして、2分後、8連チューブに、1ウェルあたり4μLのSuperScriptTM IV VILOTM Master Mix及び6μL Nuclease-free Waterを添加し、リアルタイムPCR (QuantStudio(登録商標)3, Applied Biosystems,USA) を用いて、25℃で10分間、50℃で10分間、及び85℃で5分間加熱し、cDNAを合成した。
そして、PCRプレート (Cat No.8010560,Thermo Scientific,USA)に、1ウェルあたり10μL TaqMan(登録商標)Fast AdvancedMaster Mix(Cat No.4444557,Applied Biosystems,USA)、1μLのTaqman Gene Expressior、7μLのUltraPureTM Distilled Water(Invitrogen,Cat No.10977-15,USA)及び2μLのcDNAを加え、プレートシール(Cat No.4360954,Thermo Scientific,USA)で密封した。
そして、プレート遠心機で溶液をスピンダウンし、起泡を除去した。
そして、リアルタイムPCRシステムによりReal-Time qPCRを行い、被験物質における各遺伝子の蛍光シグナルが任意の閾値に達する時のサイクル数であるThreshold Cycle(Ct) 値を算出した。そして、内部標準遺伝子によりCt値を補正し、ΔCt値とした。そして、後述する対照のΔCt値の平均によりΔCt値を補正し、これをΔΔCt値とした。ΔΔCtによって1サイクルあたりの検出の差で2倍量の差となると仮定し、2-ΔΔCtに代入して対照の遺伝子発現量を1とした場合の被験物質の遺伝子(MMP1)発現量を求めた。被験物質の遺伝子(MMP1)発現量を、対応のあるt検定で有意差検定を行った。検定はいずれも両側で有意水準を5%未満とした(P<0.05、P<0.01、P<0.001)。
【0043】
(実施例10)
水溶性珪素「umo」の濃度が3質量%である被験物質を用時調製したこと以外は、実施例9と同様にして、MMP1の発現量を測定した。
【0044】
(比較例5)
水溶性珪素「umo」が添加されなかったこと以外は、実施例9と同様にして、ΔCt値を測定した。なお、この測定値を対照とした。つまり、この比較例は対照実験であり、対照には精製水が用いられた。
【0045】
[ヒアルロン酸産生酵素2遺伝子(HAS2)の発現に珪素が及ぼす影響]
(実施例11)
実施例9と同一の操作を行い、HAS2の発現量を測定した。
【0046】
(実施例12)
水溶性珪素「umo」の濃度が3質量%である水溶液を用時調製したこと以外は、実施例11と同様にして、HAS2の発現量を測定した。
【0047】
(実施例13)
水溶性珪素「umo」の濃度が10質量%である水溶液を用時調製したこと以外は、実施例11と同様にして、HAS2の発現量を測定した。
【0048】
(比較例6)
水溶性珪素「umo」が添加されなかったこと以外は、実施例11と同様にして、ΔCt値を測定した。なお、この測定値を対照とした。つまり、この比較例は対照実験であり、対照に精製水が用いられた。
【0049】
[ヒアルロン酸産生酵素3遺伝子(HAS3)の発現に珪素が及ぼす影響]
(実施例14)
まず、水溶性珪素「umo」を精製水に添加して混合し、水溶性珪素「umo」の濃度が1質量%である被験物質を用時調製した。
次に、35mmディッシュに1.5×10cells/2mLのHaCaT細胞を播種し、COインキュベータ(CO濃度5%、37℃)内で24時間培養した。その後、培地を除去し、上記用時調製した被験物質を含有する培地を加え、COインキュベータ内で24時間培養した。
【0050】
そして、PureLink(登録商標)RNA Mini Kit(Cat No.12183018A,Invitrogen,USA)を用いて、RNA抽出・精製を行った。
具体的には、24時間培養後の培地を除去し、35mmディッシュを、37℃に加温した2mLのPBSで3回洗浄した。そして、さらに600μLの2M Dithiothreitol(CAS No.27565-41-9,Invitrogen,USA)含有Lysis Bufferを添加して細胞を溶解させて、ライセートを回収した。
そして、そのライセート中に存在する細胞を、Homogenizer(Cat No.12183-026,Invitrogen,USA)により破砕した。
そして、その細胞破砕液に、600μLの70%エタノール(CAS No.64-17-5,Japan alcohol,Japan)溶液を加え、シリカメンブレン付きカラムに移した。そして、12000×g及び室温で、15秒間遠心した。そして、ろ液を廃棄した。
そして、シリカメンブレンに700μLのグアニジンイソチオシアネート含有Wash Buffer I及び500μLのエタノール含有Wash Buffer IIを添加し、洗浄した。
そして、12000×g及び室温で、15秒間遠心した後、乾燥させた。
そして、RNase-Free Waterを30μL添加し、室温で1分間静置した後、12000×g及び室温で、15秒間遠心した。この操作を2回行い、シリカメンブレンからRNAを溶出させた。
そして、そのRNAの一部を、UV透過性96ウェルプレート (Cat No.8404,Thermo Scientific,USA)に分取し、Tris-EDTA Buffer (TE (pH8.0),Cat No.310-90023,NIPPON GENE,Japan) で10倍希釈し、マイクロプレートリーダー (SPARK(登録商標)10M TECAN,Switzerland) で230nm、260nm及び280nmの吸光度(OD230,OD260及びOD280)を測定した。
OD260を用いて被験物質のRNA濃度を次式により計算し、TE Bufferにより希釈し、RNA濃度を10μg/mLに調製した。
RNA濃度(μg/mL) =A×K×0.3×10(希釈倍率)
ここで、Aは被験物質のOD260であり、K=40(RNAの吸光係数)であり、l=0.3(光路長(cm))である。
【0051】
次に、SuperScriptTM IV VILOTM Master Mix with ezDNase (Cat NO.11766050,Invitrogen,USA) により、RNAの逆転写を行った。
具体的には、8連チューブ (AB1182, Thermo Scientific,USA) に、1ウェルあたり1μLの10×ezDNase Buffer、1μLのezDNaseenzyme、6μLのNuclease-free Water及び2μLの10μg/mL RNAを加えた。そして、37℃で2分間培養した。
そして、2分後、8連チューブに、1ウェルあたり4μLのSuperScriptTM IV VILOTM Master Mix及び6μL Nuclease-free Waterを添加し、リアルタイムPCR (QuantStudio(登録商標)3, Applied Biosystems,USA) で、25℃で10分間、50℃で10分間、及び85℃で5分間加熱し、cDNAを合成した。
そして、PCRプレート (Cat No.8010560,Thermo Scientific,USA)に、1ウェルあたり10μL TaqMan(登録商標)Fast AdvancedMaster Mix(Cat No.4444557,Applied Biosystems,USA)、1μLのTaqman Gene Expressior、7μLのUltraPureTM Distilled Water(Invitrogen,Cat No.10977-15,USA)及び2μLのcDNAを加え、プレートシール(Cat No.4360954,Thermo Scientific,USA)で密封した。
そして、プレート遠心機で溶液をスピンダウンし、起泡を除去した。
そして、リアルタイムPCRシステムでReal-Time qPCRを行って、被験物質における各遺伝子の蛍光シグナルが任意の閾値に達する時のサイクル数であるThreshold Cycle(Ct) 値を算出した。そして、内部標準遺伝子によりCt値を補正して、これをΔCt値とした。後述する対照のΔCt値の平均によりΔCt値を補正し、これをΔΔCt値とした。そして、ΔΔCtによって1サイクルあたりの検出の差で2倍量の差となると仮定して、2-ΔΔCtに代入し、対照の遺伝子発現量を1とした場合の被験物質の遺伝子(HAS3)発現量を求めた。被験物質の遺伝子(HAS3)発現量を、対応のあるt検定で有意差検定を行った。検定はいずれも両側で有意水準を5%未満とした(P<0.05、P<0.01、P<0.001)。
【0052】
(実施例15)
水溶性珪素「umo」の濃度が3質量%である被験物質を用時調製したこと以外は、実施例14と同様にして、HAS3の発現量を測定した。
【0053】
(実施例16)
水溶性珪素「umo」の濃度が10質量%である被験物質を用時調製したこと以外は、実施例14と同様にして、HAS3の発現量を測定した。
【0054】
(比較例7)
水溶性珪素「umo」が添加されなかったこと以外は、実施例14と同様にして、ΔCt値を測定した。なお、この測定値を対照とした。つまり、この比較例は対照実験であり、対照として精製水が用いられた。
【0055】
[β-グルコセレブロシダーゼ遺伝子(GBA)の発現に珪素が及ぼす影響]
(実施例17)
実施例14と同様の操作を行い、GBAの発現量を測定した。
【0056】
(実施例18)
水溶性珪素「umo」の濃度が3質量%である被験物質を用時調製したこと以外は、実施例17と同様にして、GBAの発現量を測定した。
【0057】
(実施例19)
水溶性珪素「umo」の濃度が10質量%である被験物質を用時調製したこと以外は、実施例17と同様にして、GBAの発現量を測定した。
【0058】
(比較例8)
水溶性珪素「umo」が添加されなかったこと以外は、実施例17と同様にして、ΔCt値を測定した。なお、この測定値を対照とした。つまり、この比較例は対照実験であり、対照に精製水が用いられた。
【0059】
[プロフィラグリン遺伝子(FLG)の発現に珪素が及ぼす影響]
(実施例20)
実施例14と同様の操作を行い、FLGの発現量を測定した。
【0060】
(実施例21)
水溶性珪素「umo」の濃度が3質量%である被験物質を用時調製したこと以外は、実施例20と同様にして、FLGの発現量を測定した。
【0061】
(比較例9)
水溶性珪素「umo」が添加されなかったこと以外は、実施例20と同様にして、ΔCt値を測定した。なお、この測定値を対照とした。つまり、この比較例は対照実験であり、対照に精製水が用いられた。
【0062】
[トラングルタミナーゼ1遺伝子(TGM1)の発現に珪素が及ぼす影響]
(実施例22)
実施例14と同様の操作を行い、TGM1の発現量を測定した。
【0063】
(比較例10)
水溶性珪素「umo」が添加されなかったこと以外は、実施例22と同様にして、ΔCt値を測定した。なお、この測定値を対照とした。つまり、この比較例は対照実験であり、対照に精製水が用いられた。
【0064】
[珪素の静菌作用]
(実施例23)
水溶性珪素「umo」を蒸留水に添加して混合し、水溶性珪素「umo」の濃度が1質量%の水溶液を作製した。そして、この水溶液に、6.0×10個の大腸菌を接種し、60分後に大腸菌の数を確認した。
【0065】
(比較例11)
蒸留水に、6.0×10個の大腸菌を接種し、60分後に大腸菌の数を確認した。
【0066】
(実施例24)
水溶性珪素「umo」にpH調整剤を添加し、水溶性珪素「umo」のpHを3.5とした。そして、この水溶性珪素「umo」に5.6×10個の大腸菌を接種し、60分後に大腸菌の数を確認した。
【0067】
(比較例12)
蒸留水に、5.6×10個の大腸菌を接種し、60分後に大腸菌の数を確認した。
【0068】
(実施例25)
水溶性珪素「umo」にpH調整剤を添加し、水溶性珪素「umo」のpHを3.5とした。そして、この水溶性珪素「umo」に3.0×10個のレジオネラ菌を接種し、60分後にレジオネラ菌の数を確認した。
【0069】
(比較例13)
蒸留水に、3.0×10個のレジオネラ菌を接種し、60分後にレジオネラ菌の数を確認した。
【0070】
得られた結果について、以下で説明する。
【0071】
表1及び図1は、実施例1~3及び比較例1の実験結果を示し、珪素のエラスターゼ活性率の測定結果を示す。
具体的には、表1及び図1は、対照のエラスターゼ活性率を100%とした場合の被験物質のエラスターゼ活性率の平均及び標準偏差を示す。
【0072】
【表1】
【0073】
表1及び図1に示す通り、水溶性珪素「umo(ウモ)」の濃度が3質量%となる被験物質を用いた場合(実施例1に対応)、エラスターゼ活性率の平均値は57.8%であった。また、水溶性珪素「umo」の濃度が30質量%となる被験物質を用いた場合(実施例2に対応)、エラスターゼ活性率の平均値は46.0%であった。さらに、水溶性珪素「umo」に超純水を添加せず、濃度が100%である水溶性珪素「umo」を用いた場合(実施例3に対応)、エラスターゼ活性率の平均値は41.3%であった。
この結果から、珪素がエラスターゼの活性を阻害することが確認された。
【0074】
表2及び図2は、実施例4及び比較例2の実験結果を示し、水溶性珪素「umo」を皮膚のレプリカに塗布した場合の、皮膚のシワの面積の変化を示す。
【0075】
【表2】
※原液にて試験
【0076】
表2及び図2に示す通り、水溶性珪素「umo」を塗布した後の方が、水溶性珪素「umo」を塗布する前と比較して、皮膚におけるシワの面積が減少した。
【0077】
表3及び図3は、実施例5及び比較例3の実験結果を示し、ヒトの皮膚に水溶性珪素「umo」を塗布した場合の、皮膚の水分蒸散量の変化を示す。
【0078】
【表3】
※原液にて試験
【0079】
表3及び図3に示す通り、皮膚に水溶性珪素「umo」を塗布した場合の方が、皮膚に水溶性珪素「umo」を塗布しなかった場合と比較して、全ての時間において皮膚からの水分蒸散量が減少した。
【0080】
表4及び図4は、実施例6~8及び比較例4の実験結果を示し、水溶性珪素「umo」が線維芽細胞を含む培地に添加された場合の、ヒアルロン酸の産生率の変化を示す。
具体的には、表4及び図4は、比較例4で測定された対照のヒアルロン酸の産生率を100%とした場合の、珪素のエラスターゼ活性率の平均及び標準偏差を示す。
【0081】
【表4】
【0082】
表4及び図4に示す通り、水溶性珪素「umo」の濃度が0.01質量%である水溶液を培地に添加した場合(実施例6に対応)、ヒアルロン酸の産生率の平均値は、124.3%であった。また、水溶性珪素「umo」の濃度が0.1質量%の水溶液を培地に添加した場合(実施例7に対応)、ヒアルロン酸の産生率の平均値は、113.6%であった。さらに、水溶性珪素「umo」の濃度が1質量%の水溶液を培地に添加した場合(実施例8に対応)、ヒアルロン酸の産生率の平均値は、107.0%であった。
この結果から、珪素がヒアルロン酸の産生率を増加させることが確認された。
【0083】
表5及び図5は、実施例9及び10並びに比較例5の実験結果を示し、コラーゲン分解酵素1遺伝子(MMP1)の発現量の変化を示す。
具体的には、表5及び図5は、比較例5で測定された対照のコラーゲン分解酵素1遺伝子(MMP1)の発現量を1.00±0.04とした場合の、実施例9及び10で測定されたMMP1の発現量の平均及び標準偏差を示す。
【0084】
【表5】
【0085】
表5及び図5に示す通り、水溶性珪素「umo」の濃度が0.01質量%となる場合(実施例9に対応)、コラーゲン分解酵素1遺伝子(MMP1)の発現量の平均値は、0.92±0.04であった。また、水溶性珪素「umo」の濃度が0.03質量%となる場合(実施例10に対応)、コラーゲン分解酵素1遺伝子(MMP1)の発現量の平均値は、0.89±0.04であった。この結果から、珪素がコラーゲン分解酵素1遺伝子(MMP1)の発現量を減少させることが確認された。
【0086】
表6及び図6は、実施例11~13及び比較例6の実験結果を示し、ヒアルロン酸産生酵素2遺伝子(HAS2)の発現量の変化を示す。
具体的には、表6及び図6は、比較例6で測定された対照のヒアルロン酸産生酵素2遺伝子(HAS2)の発現量を1.00±0.03とした場合の、実施例11~13で測定されたHAS2の平均及び標準偏差を示す。
【0087】
【表6】
【0088】
表6及び図6に示す通り、水溶性珪素「umo」の濃度が0.01質量%となる場合(実施例11に対応)、ヒアルロン酸産生酵素2遺伝子(HAS2)の発現量の平均値は、1.12±0.06であった。また、水溶性珪素「umo」の濃度が0.03質量%となる場合(実施例12に対応)、ヒアルロン酸産生酵素2遺伝子(HAS2)の発現量の平均値は、1.11±0.02であった。さらに、水溶性珪素「umo」の濃度が0.1質量%となる場合(実施例13に対応)、ヒアルロン酸産生酵素2遺伝子(HAS2)の発現量の平均値は、1.33±0.06であった。
この結果から、珪素がヒアルロン酸産生酵素2遺伝子(HAS2)の発現量を増加させることが確認された。
【0089】
表7及び図7は、実施例14~16及び比較例7の実験結果を示し、ヒアルロン酸産生酵素3遺伝子(HAS3)の発現量の変化を示す。
具体的には、表7及び図7は、比較例7で測定された対照のヒアルロン酸産生酵素3遺伝子(HAS3)の発現量を1.00±0.10とした場合の、実施例14~16で測定されたHAS3の平均及び標準偏差を示す。
【0090】
【表7】
【0091】
表7及び図7に示す通り、水溶性珪素「umo」の濃度が0.01質量%となる場合(実施例14に対応)、ヒアルロン酸産生酵素3遺伝子(HAS3)の発現量の平均値は、1.09±0.08であった。また、水溶性珪素「umo」の濃度が0.03質量%となる場合(実施例15に対応)、ヒアルロン酸産生酵素3遺伝子(HAS3)の発現量の平均値は、1.06±0.08であった。さらに、水溶性珪素「umo」の濃度が0.1質量%となる場合(実施例16に対応)、ヒアルロン酸産生酵素3遺伝子(HAS3)の発現量の平均値は、1.36±0.22であった。
この結果から、珪素がヒアルロン酸産生酵素3遺伝子(HAS3)の発現量を増加させることが確認された。
【0092】
表8及び図8は、実施例17~19及び比較例8の実験結果を示し、β-グルコセレブロシダーゼ遺伝子(GBA)の発現量の変化を示す。
具体的には、表8及び図8は、比較例8で測定された対照のGBAの発現量を1.00±0.06とした場合の、実施例17~19で測定されたGBAの平均及び標準偏差を示す。
【0093】
【表8】
【0094】
表8及び図8に示す通り、水溶性珪素「umo」の濃度が0.01質量%となる場合(実施例17に対応)、β-グルコセレブロシダーゼ遺伝子(GBA)の発現量の平均値は、1.09±0.13であった。また、水溶性珪素「umo」の濃度が0.03質量%の水溶液となる場合(実施例18に対応)、β-グルコセレブロシダーゼ遺伝子(GBA)の発現量の平均値は、1.17±0.04であった。さらに、水溶性珪素「umo」の濃度が0.1質量%となる場合(実施例19に対応)、β-グルコセレブロシダーゼ遺伝子(GBA)の発現量の平均値は、1.27±0.11であった。
この結果から、珪素がβ-グルコセレブロシダーゼ遺伝子(GBA)の発現量を増加させることが確認された。
【0095】
表9及び図9は、実施例20及び21並びに比較例9の実験結果を示し、プロフィラグリン遺伝子(FLG)の発現量の変化を示す。
具体的には、表9及び図9は、比較例9で測定された対照のFLGの発現量を1.00±0.04とした場合の、実施例20及び実施例21で測定されたFLGの平均及び標準偏差を示す。
【0096】
【表9】
【0097】
表9及び図9に示す通り、水溶性珪素「umo」の濃度が0.01質量%となる場合(実施例20に対応)、プロフィラグリン遺伝子(FLG)発現量の平均値は、1.20±0.05であった。また、水溶性珪素「umo」の濃度が0.03質量%となる場合(実施例21に対応)、プロフィラグリン遺伝子(FLG)発現量の平均値は、1.02±0.12であった。
この結果から、珪素がプロフィラグリン遺伝子(FLG)発現量を増加させることが確認された。
【0098】
表10及び図10は、実施例22及び比較例10の実験結果を示し、トランスグルタミナーゼ1遺伝子(TGM1)の発現量の変化を示す。
具体的には、表10及び図10は、比較例10で測定された対照のTGM1の発現量を1.00±0.10とした場合の、実施例22で測定されたTGM1の平均及び標準偏差を示す。
【0099】
【表10】
【0100】
表10及び図10に示す通り、水溶性珪素「umo」の濃度が0.1質量%となる場合(実施例22に対応)、トランスグルタミナーゼ1遺伝子(TGM1)発現量の平均値は、1.16±0.06であった。
この結果から、珪素がトランスグルタミナーゼ1遺伝子(TGM1)発現量を増加させることが確認された。
【0101】
表11は、珪素の静菌作用に関する測定結果を示す。
【0102】
【表11】
【0103】
表11に示す通り、水溶性珪素「umo」の濃度が1質量%の水溶液に、6.0×10個の大腸菌を接種した場合(実施例23に対応)、60分後における大腸菌数は6.7×10であった。
一方で、蒸留水に、6.0×10個の大腸菌を接種した場合(比較例11に対応)、60分後における大腸菌数は7.3×10であった。
【0104】
また、pHが3.5である酸性の水溶性珪素「umo」に、5.6×10個の大腸菌を接種した場合(実施例24に対応)、60分後における大腸菌数は2.5×10であった。
一方で、蒸留水に、5.6×10個の大腸菌を接種した場合(比較例12に対応)、60分後における大腸菌数は5.4×10であった。
【0105】
さらに、pHが3.5である酸性の水溶性珪素「umo」に、3.0×10個のレジオネラ菌を接種した場合(実施例25に対応)、60分後におけるレジオネラ菌数は100未満であった。
一方で、蒸留水に、3.0×10個のレジオネラ菌を接種した場合(比較例13に対応)、60分後におけるレジオネラ菌数は3.2×10であった。
【0106】
この結果から、大腸菌及びレジオネラ菌に対する珪素による静菌作用が確認された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10