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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156221
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ロボット装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B25J19/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059805
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 真也
(72)【発明者】
【氏名】岡本 朋也
(72)【発明者】
【氏名】石川 智己
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707CS08
3C707CY13
3C707CY24
3C707HS19
3C707HS21
3C707HS27
3C707LV22
(57)【要約】
【課題】ロボット装置全体の大型化を抑制しつつ、少なくとも1つの人工筋肉を含むロボットアームの自由度を増加させる。
【解決手段】本開示のロボット装置は、流体の供給を受けて作動する少なくとも1つの人工筋肉を含むロボットアームと、流体の供給源と、ロボットアームが固定される台座と、台座を回動軸の周りに回動自在に支持するベース部と、ロボットアームまたは台座により支持され、供給源からの流体の圧力または流量を調整して人工筋肉に供給する流体調整部とを含み、流体調整部は、軸方向に移動可能なスプールを有すると共にスプールに作用する複数の軸方向の推力をバランスさせて供給源側からの流体の圧力を調整する圧力調整弁を含み、圧力調整弁のスプールが回動軸と平行に延在するようにロボットアームまたは台座により支持される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の供給を受けて作動する少なくとも1つの人工筋肉を含むロボットアームと、前記流体の供給源とを含むロボット装置であって、
前記ロボットアームが固定される台座と、
前記台座を回動軸の周りに回動自在に支持するベース部と、
前記ロボットアームまたは前記台座により支持され、前記供給源からの前記流体の圧力または流量を調整して前記人工筋肉に供給する流体調整部と、
を備え、
前記流体調整部は、軸方向に移動可能なスプールを有すると共に前記スプールに作用する複数の前記軸方向の推力をバランスさせて前記供給源側からの前記流体の圧力を調整する圧力調整弁を含み、前記圧力調整弁の前記スプールが前記回動軸と平行に延在するように前記ロボットアームまたは前記台座により支持されるロボット装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロボット装置において、前記流体調整部は、前記台座により支持されるロボット装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のロボット装置において、
前記圧力調整弁は、前記スプールを前記軸方向に移動させる推力を発生する電磁部を有するリニアソレノイドバルブであるロボット装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載のロボット装置において、
前記圧力調整弁は、入力ポート、出力ポートおよび信号圧入力ポートを有すると共に、少なくとも、前記信号圧入力ポートに供給される信号圧の作用により前記スプールに付与される力と、前記出力ポートにおける前記流体の圧力の作用により前記スプールに付与される力とをバランスさせて前記供給源側からの前記流体の圧力を調整して前記出力ポートから出力するコントロールバルブであり、
前記流体調整部は、前記コントロールバルブに加えて、前記回動軸の延在方向に沿って移動自在なスプールおよび前記スプールを前記延在方向に移動させる推力を発生する電磁部を有すると共に前記コントロールバルブの前記信号圧入力ポートに前記信号圧を供給するリニアソレノイドバルブを含むロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、少なくとも1つの人工筋肉を含むロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の弾性膨張収縮構造体(人工筋肉)と、それぞれ対応する一対の弾性膨張収縮構造体により回転駆動される複数の関節軸と、物体把持用のハンドと、複数の3ポート流量制御電磁弁(駆動装置)とを含む2自由度のロボットアームである弾性体アクチュエータ駆動機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。この弾性体アクチュエータ駆動機構の各弾性膨張収縮構造体は、ゴム材料で構成された中空の管状弾性体と、当該管状弾性体の外表面を覆う網目状の変形方向規制部材とを含む。管状弾性体の両端部は封止部材により気密封止され、管状弾性体の内部には、一端側の封止部材に設けられた管状の流体通過部材を介して空気等の圧縮性流体が供給される。管状弾性体は、内部に圧縮性流体が供給された際に主に半径方向に膨張しようとするが、変形方向規制部材の作用により管状弾性体の変形方向の運動が軸方向の運動に変換される。これにより、圧縮性流体の供給により管状弾性体を収縮させることで、弾性膨張収縮構造体を直動アクチュエータとして利用することができる。更に、第1および第2関節軸をそれぞれ対応した一対の弾性膨張収縮構造体の拮抗駆動により正逆に回転させることで、物体把持用のハンドを移動させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/081197号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような2自由度のロボットアームをベース部に対して回動可能にすることで、当該ロボットアームの自由度を増加させることができる。しかしながら、ベース部に対してロボットアームの全体を回動自在にした場合、人工筋肉に流体を供給するためのホース(配管)等が長くなったり、取り回しが複雑化したりして装置全体が大型化するおそれがある。また、人工筋肉への流体を調整する流体調整部をロボットアームと一体に回動させた場合、人工筋肉への流体を精度よく調整し得なくなり、ロボットアームの制御性が悪化してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、ロボット装置全体の大型化を抑制しつつ、少なくとも1つの人工筋肉を含むロボットアームの自由度を増加させると共に当該ロボットアームの制御性を良好に確保することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のロボット装置は、流体の供給を受けて作動する少なくとも1つの人工筋肉を含むロボットアームと、前記流体の供給源とを含むロボット装置であって、前記ロボットアームが固定される台座と、前記台座を回動軸の周りに回動自在に支持するベース部と、前記ロボットアームまたは前記台座により支持され、前記供給源からの前記流体の圧力または流量を調整して前記人工筋肉に供給する流体調整部とを含み、前記流体調整部が、軸方向に移動可能なスプールを有すると共に前記スプールに作用する複数の前記軸方向の推力をバランスさせて前記供給源側からの前記流体の圧力を調整する圧力調整弁を含み、前記圧力調整弁の前記スプールが前記回動軸と平行に延在するように前記ロボットアームまたは前記台座により支持されるものである。
【0007】
本開示のロボット装置は、少なくとも1つの人工筋肉を含むロボットアームが台座に固定されると共に、台座がベース部により回動軸の周りに回動自在に支持される。更に、ロボットアームおよび台座の一方は、供給源からの流体の圧力または流量を調整して人工筋肉に供給する流体調整部を支持している。これにより、人工筋肉を含むロボットアーム(および台座)がベース部に対して回動する際、流体調整部もロボットアームと一体に回動軸の周りに回動する。従って、ベース部に流体調整部が配置され、流体調整部が回動軸の周りに回動しない場合に比べて、流体調整部と人工筋肉とを結ぶ流体通路(配管)を短くしたり、取り回しを容易にしたりすることができる。更に、流体調整部は、軸方向に移動可能なスプールに作用する複数の軸方向の推力をバランスさせて供給源側からの流体の圧力を調整する圧力調整弁を含み、当該圧力調整弁のスプールが回動軸と平行に延在するようにロボットアームまたは台座により支持される。これにより、ロボットアーム(台座)がベース部に対して回動軸の周りに回動する際に、スプールに作用する軸方向の推力への遠心力の影響を無くすことができるので、人工筋肉に供給される流体の圧力を圧力調整弁により精度よく調整することが可能となる。この結果、ロボット装置全体の大型化を抑制しつつ、少なくとも1つの人工筋肉を含むロボットアームの自由度を増加させると共に、当該ロボットアームの制御性を良好に確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示のロボット装置を示す概略構成図である。
図2】本開示のロボット装置を示す拡大図である。
図3】本開示のロボット装置の液体供給装置を示す概略構成図である。
図4】本開示のロボット装置における他の液体供給装置を示す概略構成図である。
図5】本開示のロボット装置における更に他の液体供給装置を示す概略構成図である。
図6図5の液体供給装置の流体調整部を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
図1は、本開示のロボット装置1を示す概略構成図であり、図2は、ロボット装置1を示す拡大図である。これらの図面に示すロボット装置1は、ロボットアーム(ロボット本体)2と、液体供給装置10(流体供給装置)とを含む。ロボットアーム2は、複数のアーム3と、アーム3ごとに2つずつ設けられる人工筋肉としての複数の液圧アクチュエータMと、先端側のアーム3の手先部に取り付けられるハンド部(ロボットハンド)4とを含む多関節アームである。また、液体供給装置10は、各液圧アクチュエータMに作動油(液体)を供給してロボットアーム2を油圧により駆動するものである。
【0011】
ロボットアーム2の各液圧アクチュエータMは、図2に示すように、作動油の圧力によって膨張するチューブTと、当該チューブTを覆う編組スリーブSとを含む。チューブTは、高い耐油性をもった例えばゴム材等の弾性材により円筒状に形成されており、当該チューブTの両端部は、封止部材Cにより封止されている。チューブTの基端側(液体供給装置10側、図2中下端側)の封止部材Cには、作動油の出入口IOが形成されている。編組スリーブSは、所定方向に配向された複数のコードを互いに交差するように編み込むことにより円筒状に形成されており、軸方向および径方向に収縮可能である。編組スリーブSを形成するコードとしては、繊維コード、高強度繊維、極細のフィラメントによって構成される金属製コード等を採用することができる。かかる液圧アクチュエータMのチューブT内に上記出入口IOから作動油を供給してチューブT内の作動油の圧力を高めることで、チューブTは、編組スリーブSの作用により径方向に膨張すると共に軸方向に収縮する。
【0012】
図1および図2に示すように、複数のアーム(リンク)3は、対応する関節(ピン結合部)を介して互いに回動自在に連結され、各アーム3の両側には、液圧アクチュエータMが1つずつ対応するアーム3と平行に配列される。本実施形態において、各アーム3は、中空に形成されており、各アーム3の内部には、液体供給管としての複数のホースH(図2における破線参照)が配置されている。各ホースHは、対応する液圧アクチュエータMの基端側の封止部材Cに形成された出入口IOに接続される。
【0013】
また、図2に示すように、最基端側(最も液体供給装置10側)のアーム3は、支持部材(リンク)5により関節(ピン結合部)を介して回動自在に支持され、当該支持部材5は、最基端側のアーム3に対応した各液圧アクチュエータMの基端側の封止部材Cを回動自在に支持する。更に、最基端側のアーム3の先端部には、連結部材6が固定されており、当該連結部材6は、最基端側のアーム3に対応した各液圧アクチュエータMの先端側の封止部材Cを回動自在に支持する。これにより、最基端側のアーム3に対応した一対の液圧アクチュエータMのチューブT内の油圧を互いに異ならせることで、支持部材5に対するアーム3および連結部材6の回動角度を変化させると共に、当該一対の液圧アクチュエータMから当該アーム3および連結部材6に力を伝達することが可能となる。
【0014】
また、最基端側のアーム3に固定された連結部材6は、当該アーム3に連結される先端側のアーム3に対応した各液圧アクチュエータMの基端側の封止部材Cを回動自在に支持する。更に、最基端側のアーム3以外のアーム3の先端部にも、連結部材6が固定されており、各連結部材6は、対応する一対の液圧アクチュエータMの先端側の封止部材Cを回動自在に支持する。最基端側のアーム3以外のアーム3に対応した一対の液圧アクチュエータMのチューブT内の油圧を互いに異ならせることで、基端側の連結部材6に対する当該アーム3および先端側の連結部材6の回動角度を変化させると共に、当該一対の液圧アクチュエータMから当該アーム3および先端側の連結部材6に力を伝達することが可能となる。なお、各アーム3に対応した一対の液圧アクチュエータMは、所定量だけ軸方向に収縮した状態を初期状態として拮抗駆動される。
【0015】
液体供給装置10は、図3に示すように、液体貯留部(流体貯留部)を含む台座としてのタンク11と、当該タンク11を上下方向に延びる回動軸RA(図2における一点鎖線参照)の周りに回動自在に支持するベース部12と、タンク11の内部に配置される流体供給源としてのポンプ14と、それぞれタンク11の内部に配置される流体調整部としての第1油圧制御装置15および第2油圧制御装置16とを含む。タンク11は、例えば上端および下端が閉鎖された筒体であり、内部に作動油を貯留可能なものである。本実施形態において、ロボットアーム2の支持部材5は、図2に示すように、タンク11の上壁部11uに図示しないボルト等を介して固定される。すなわち、ロボットアーム2は、液体供給装置10のタンク11(上壁部11u)により支持される。
【0016】
ベース部12は、ロボットアーム2およびタンク11の下方に位置するようにロボット装置1の設置箇所に固定されるか、あるいは図示しない無人搬送車(AGV)等の搬送台車に搭載(固定)される。また、ベース部12は、第1油圧制御装置(他の油圧制御装置)15から作動油の供給を受けてタンク11を上記回動軸RAの周りに回動させる揺動モータ(回動ユニット)13を支持している。揺動モータ13は、液体のエネルギを回転運動に変換するものであり、ベーン(ピストン)の両側に供給された液体の圧力差に応じて当該ベーンを軸心の周りに揺動(回転)させる。これにより、第1油圧制御装置15からの油圧により揺動モータ13を作動させることで、ロボットアーム2およびタンク11を当該回動軸RAの周りに一体に回動させることが可能となる。
【0017】
ポンプ14は、タンク11内に配置されるポンプ部140と、タンク11内の作動油を吸引して吐出するようにポンプ部140を駆動する駆動部としての電動モータ141および減速ギヤ機構142とを含む。ポンプ14のポンプ部140は、減速ギヤ機構142を介して電動モータ141に連結されるロータ、複数の外歯を有すると共に当該ロータと一体に回転する外歯ギヤ(ドライブギヤ)、および外歯ギヤの外歯に噛合する当該外歯の総数よりも1つ多い複数の内歯を有すると共に当該外歯ギヤに対して偏心して配置される内歯ギヤ(ドリブンギヤ)とを含むギヤポンプ機構である(何れも、図示省略)。ポンプ部140は、図3に示すように、タンク11内の作動油の液位が予め定められた最低液位(ロボットアーム2の作動時における最低液位)であるときに、作動油の液面よりも下方に位置するようにタンク11内に固定される。更に、ポンプ部140は、タンク11内の作動油の液面(最低液位)よりも下側で下向きに開口する吸入口14iを含む。
【0018】
また、本実施形態において、ポンプ14の減速ギヤ機構142は、タンク11内の作動油の液位が予め定められた最高液位であるときに少なくとも一部が作動油に浸漬するように当該タンク11内に配置される。更に、電動モータ141は、タンク11内の作動油の液位が最高液位であるときに作動油の液面(最高液位)よりも上方に位置するようにタンク11内に配置される。これにより、電動モータ141の回転時における撹拌抵抗をより低減化することが可能となる。なお、ポンプ14のポンプ部140は、ベーンやインペラを含むものであってもよい。また、ポンプ14から減速ギヤ機構142が省略されてもよい。更に、電動モータ141および減速ギヤ機構142が液没可能に構成されている場合、両者は、タンク11内の作動油の液面(最低液位)よりも下方に配置されてもよい。これにより、ポンプ14の放熱をより促進させると共にポンプ14の騒音を作動油およびタンク11の壁部とにより遮断することができる。
【0019】
第1油圧制御装置15は、図3に示すように、タンク11内の作動油の液位が上記最低液位であるときに、作動油の液面よりも下方に位置するようにタンク11内に固定され、配管を介してポンプ14のポンプ部140の吐出口に接続される。図示するように、第1油圧制御装置15は、元圧生成バルブRVと、信号圧を生成する図示しない信号圧生成バルブ(図示省略)と、元圧生成バルブRVからの油圧を調圧して上記揺動モータ13への油圧を生成するソレノイドバルブSL0とを含む。
【0020】
元圧生成バルブRVは、信号圧生成バルブからの信号圧に応じてポンプ部140から吐出される作動油を調圧して元圧を生成する。元圧生成バルブRVの信号圧生成バルブとしては、例えばロボットアーム2への要求に応じて図示しない制御装置により通電制御されるリニアソレノイドバルブが用いられる。また、本実施形態において、ソレノイドバルブSL0は、電磁部に印加される電流に応じて元圧生成バルブRVからの油圧(元圧)を調圧するリニアソレノイドバルブである。更に、第1油圧制御装置15は、タンク11内の作動油の液面(最低液位)よりも下側で開口するドレン管L1を含む。元圧生成バルブRVやソレノイドバルブSL0による油圧の調整に伴って生じるドレン油は、当該ドレン管L1からタンク11の内部に排出される。
【0021】
第2油圧制御装置16は、図2および図3に示すように、タンク11内、すなわち上壁部11uの内面に取り付けられ(固定され)、タンク11内で上下方向に延在する配管L0を介して第1油圧制御装置15の元圧生成バルブRVの出力ポートに接続される。また、第2油圧制御装置16は、ロボットアーム2における液圧アクチュエータMの数と同数(複数)のソレノイドバルブSLmを含む。各ソレノイドバルブSLmは、本実施形態において、電磁部に印加される電流に応じて元圧生成バルブRVからの油圧(元圧)を調圧して対応する液圧アクチュエータMへの油圧を生成するリニアソレノイドバルブである。また、各ソレノイドバルブSLmの出力ポートには、第2油圧制御装置16のバルブボディに形成された油路等を介して対応するホースHが接続される。更に、第2油圧制御装置16は、タンク11内の作動油の液面側に延びると共に当該液面(最低液位)よりも下側で開口するドレン管L2を含む。各ソレノイドバルブSLmによる油圧の調整に伴って生じるドレン油も、当該ドレン管L2からタンク11の内部に排出される。
【0022】
また、ポンプ14の電動モータ141には、電力を供給するためのケーブルKpが接続され、当該ケーブルKpは、タンク11内の作動油の液面(最高液位)よりも上側で開口するように当該タンク11に形成されたケーブル孔11hから外部に引き出される。更に、第1油圧制御装置15の信号圧生成バルブおよびソレノイドバルブSL0にも、電力を供給するためのケーブルK1が接続され、当該ケーブルK1は、ポンプ14のケーブルKpと同様に、タンク11に形成されたケーブル孔11hから外部に引き出される。また、第2油圧制御装置16の各ソレノイドバルブSLmにも、電力を供給するためのケーブルK2が接続され、当該ケーブルK2は、上記ケーブルKp,K1と同様に、タンク11に形成されたケーブル孔11hから外部に引き出される。更に、各ケーブルKp,K1,K2は、図示しない制御装置を介して家庭用電源やバッテリ等に接続される。なお、本実施形態ではタンク11の壁部とケーブルKp,K1,K2との隙間を封止するシール部材が、ケーブル孔11hに設けられる。ただし、液体供給装置10が設置箇所に固定される場合には、当該シール部材が省略されてもよい。
【0023】
上述のように、ロボット装置1において、人工筋肉としての液圧アクチュエータMを複数含むロボットアーム2は、作動油(液体)を貯留するタンク11により支持される。また、タンク11の内部には、作動油を吸引して吐出するポンプ14のポンプ部140と、ポンプ部140からの作動油を調圧(調整)して各液圧アクチュエータMに供給する第2油圧制御装置16とが配置される。これにより、タンク11を収容する筐体が不要となり、タンク11とポンプ14および第2油圧制御装置16とを繋ぐ配管を省略することができるので、液体供給装置10を小型化してロボット装置1の全体をコンパクト化することが可能となる。更に、ポンプ14のポンプ部140をタンク11(作動油)内に配置することで、タンク11内の作動油によりポンプ14等の放熱を促進させたり、タンク11や作動液により騒音を遮断したりすることができる。この結果、ロボット装置1のコンパクト化を図りつつ、発熱や騒音を低減化することが可能となる。
【0024】
また、ロボット装置1では、ロボットアーム2が台座としてのタンク11に固定されると共に、当該タンク11がベース部12により回動軸RAの周りに回動自在に支持される。更に、タンク11は、流体供給源としてのポンプ14からの作動油の圧力を調整して複数の液圧アクチュエータ(人工筋肉)Mに供給する流体調整部としての第2油圧制御装置16を支持している。これにより、複数の液圧アクチュエータMを含むロボットアーム2(およびダンク11)がベース部12に対して回動する際、複数のソレノイドバルブSLmを含む第2油圧制御装置16もロボットアーム2と一体に回動軸RAの周りに回動する。従って、ベース部12に第2油圧制御装置16が配置され、当該第2油圧制御装置16が回動軸RAの周りに回動しない場合に比べて、第2油圧制御装置16と各液圧アクチュエータMとを結ぶ流体通路を形成するホースH(配管)等の長さを短くしたり、取り回しを容易にしたりすることができる。この結果、ロボット装置1全体の大型化を抑制しつつ、複数の液圧アクチュエータMを含むロボットアーム2の自由度を増加させることが可能となる。
【0025】
更に、ロボット装置1において、第2油圧制御装置16は、液体貯留部およびポンプ14の上方に位置するようにタンク11の上壁部11uにより支持される。これにより、複数のソレノイドバルブSLmおよびコントロールバルブPCVから漏れ出た作動油をバルブボディからドレン管L2を介して直接タンク11内に排出させることが可能となるので、第2油圧制御装置16(バルブボディ)からの液漏れを抑制するための構造や、漏れ出た作動油をタンク11内に導くための構造を簡素化することができる。この結果、液体供給装置10(ロボット装置1)の構造の大型化や複雑化を抑制すると共にコストダウンを図ることが可能となる。
【0026】
また、上記実施形態において、ポンプ14の駆動部としての電動モータ141および減速ギヤ機構142は、ポンプ部140よりも上側に位置するようにタンク11内に配置される。このように、電動モータ141を含むポンプ14の駆動部をタンク11内に配置することで、タンク11によりポンプ14の動作音を良好に遮断することが可能となる。
【0027】
ただし、図4に示す液体供給装置10Bのように、ポンプ14Bの駆動部としての電動モータ141および減速ギヤ機構142は、タンク11Bの外部に配置されてもよい。これにより、タンク11Bの小型化を図りつつ、当該タンク11B内に貯留可能な作動油の量を充分に確保することができる。また、かかる液体供給装置10Bは、電動モータ141に対するタンク11B内の液揺れの影響を無くすことが可能であり、特に無人搬送車に搭載されるロボット装置1に適用されると好ましい。更に、ロボット装置1において、ポンプ14の全体(ポンプ部140および駆動部)がタンク11,11Bの外に配置されてもよい。
【0028】
また、上記実施形態において、ロボットアーム2は、タンク11の上壁部11uにより支持され、第2油圧制御装置16は、当該上壁部11uの内面に取り付けられる。これにより、第2油圧制御装置16から各液圧アクチュエータMに作動油を供給するためのホース(液体供給管)Hをより短縮化すると共に各ホースHの取り回しを極めて容易にすることが可能となる。ただし、第2油圧制御装置16は、ロボットアーム2を支持するタンク11の壁部の内面に取り付けられればよく、例えばロボットアーム2がタンク11の側壁部により支持される場合には、当該側壁部の内面に取り付けられてもよい。
【0029】
更に、液体供給装置10,10Bは、タンク11を回動自在に支持するベース部12と、ベース部12により支持され、タンク11を回動させる回動ユニットとしての揺動モータ13と、タンク11内の作動油の液面(最低液位)よりも下側に位置するように当該タンク11内に配置されてポンプ部140からの作動油を調圧して揺動モータ13に供給する第1油圧制御装置15とを含む。これにより、ロボットアーム2をタンク11と一体に回動させることが可能となる。加えて、上記実施形態のように、タンク11内の作動油の液面(最低液位)よりも下側に配置される第1油圧制御装置15(元圧生成バルブRV)により元圧を生成して上方の第2油圧制御装置16に供給することで、効率よく元圧を生成すると共に、ポンプ14の負荷を低下させることができる。
【0030】
また、第1および第2油圧制御装置15,16は、タンク11内の作動油の液面(最低液位)よりも下側で開口するドレン管L1またはL2を含み、それぞれ作動油の調圧に伴って生じるドレン油(余剰の液体)をドレン管L1またはL2からタンク11の内部に排出する。これにより、ドレン管L1,L2から作動油が流出する際に気泡が発生しないようにして、ポンプ部140がエアを吸い込むのを抑制することが可能となる。ただし、第2油圧制御装置16のドレン管L2は、タンク11内の作動油の液面よりも上側で開口するものであってもよい。加えて、上記液体供給装置10,10Bでは、ポンプ部140の吸入口14iがタンク11内の作動油の液面(最低液位)よりも下側で下向きに開口する。これにより、ポンプ部140がエアを吸い込むのをより良好に抑制することが可能となる。
【0031】
更に、第1および第2油圧制御装置15,16は、それぞれタンク11の外部からケーブルK1またはK2を介して電力が供給されるソレノイドバルブSL0またはSLmを含み、ケーブルK1,K2は、タンク11内の作動油の液面(最高液位)よりも上側で開口するように当該タンク11に形成されたケーブル孔11hから外部に引き出される。加えて、ポンプ14の電動モータ141には、電力を供給するためのケーブルKpが接続され、当該ケーブルKpもタンク11のケーブル孔11hから外部に引き出される。これにより、ケーブルKp,K1,K2が挿通されるケーブル孔11hからの作動油の漏洩を良好に抑制することが可能となる。
【0032】
図5は、上記ロボット装置1に適用可能な他の液体供給装置10Cを示す概略構成図であり、図は、液体供給装置10Cの第2油圧制御装置16Cを示す系統図である。なお、液体供給装置10Cの構成要素のうち、上記液体供給装置10等と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0033】
図5に示すように、液体供給装置(流体供給装置)10Cも、液体貯留部(流体貯留部)を含むロボットアーム2の台座としてのタンク11と、当該タンク11を上下方向に延びる回動軸RAの周りに回動自在に支持すると共に回動ユニットとしての揺動モータ13を支持するベース部12と、タンク11の内部に配置される流体供給源としてのポンプ14と、それぞれタンク11の内部に配置される流体調整部としての第1油圧制御装置15および第2油圧制御装置16Cとを含む。
【0034】
液体供給装置10Cの第2油圧制御装置16Cも、タンク11内、すなわち上壁部11uの内面に取り付けられ(固定され)、タンク11内で上下方向に延在する配管L0を介して第1油圧制御装置15の元圧生成バルブRVの出力ポートに接続される。また、第2油圧制御装置16Cは、流体調整バルブ(圧力調整弁)として、ロボットアーム2における液圧アクチュエータMの数と同数(例えば6個)のソレノイドバルブSLmと、コントロールバルブPCVとを含む。
【0035】
複数のソレノイドバルブSLmは、液体供給装置1に含まれるものと共通の構成を有するリニアソレノイドバルブであり、それぞれ第2油圧制御装置16Cのバルブボディ(バルブ保持部材)B2内に収容(保持)されると共に図示しない制御装置により制御される。図6に示すように、ソレノイドバルブSLmは、当該制御装置により通電制御される電磁部50eと、バルブボディB2により保持されるスリーブ内に軸方向に移動可能に配置されるスプール50sと、スプール50sを電磁部50e側(出力ポート50o側から入力ポート50i側、図6中上側)に付勢するスプリング50spとを含む。更に、ソレノイドバルブSLmは、入力ポート50iと、出力ポート50oと、出力ポート50oに連通するフィードバックポート50fと、入力ポート50iおよび出力ポート50oと連通可能なドレンポート50dとを含む。
【0036】
各ソレノイドバルブSLmの入力ポート50iは、バルブボディB2に形成された油路を介して配管L0に連通する。複数のソレノイドバルブSLmのうち、1つのソレノイドバルブSLmの出力ポート50oからは、コントロールバルブPCVへの信号圧が出力される。また、残余の5つのソレノイドバルブSLmの出力ポート50oは、バルブボディB2に形成された油路やホースH等を介して対応する液圧アクチュエータM(チューブT)の作動油の出入口IOに連通する。更に、各ソレノイドバルブSLmのドレンポート50dは、バルブボディB2に形成された油路を介してドレン管L2に連通する。
【0037】
本実施形態において、ソレノイドバルブSLmは、電磁部50eに電流が供給される際に開弁する常閉弁であり、各電磁部50eは、印加される電流に応じて入力ポート50iと出力ポート50oと連通させるようにスプール50sを軸方向に移動させる。これにより、電磁部50e(コイル)への給電により発生する推力と、スプリング50spの付勢力と、出力ポート50oからフィードバックポート50fに供給された油圧によりスプール50sに作用する電磁部50e側への推力とをバランスさせることで、入力ポート50iに供給されたポンプ14側からの作動油を所望の圧力に精度よく調整して出力ポート50oからコントロールバルブPCVへの信号圧または液圧アクチュエータMへの駆動圧として流出させることが可能となる。
【0038】
また、複数の液圧アクチュエータM側に供給される油圧(信号圧または駆動圧)をソレノイドバルブSLmにフィードバックすることで、人工筋肉としての液圧アクチュエータMにより駆動されるロボットアーム2に当該液圧アクチュエータM以外からの外力が加えられたときに、当該外力による液圧アクチュエータMのチューブTの体積変化に応じた油圧の変動を吸収することができる。加えて、当該外力が無くなった後には、速やかに要求に応じた油圧(駆動圧)を液圧アクチュエータMに供給することが可能となる。
【0039】
コントロールバルブPCVは、対応するソレノイドバルブSLmからの信号圧に応じて配管L0からの作動油の圧力を調整して予め定められた液圧アクチュエータMのチューブTに供給するものである。コントロールバルブPCVは、バルブボディB2内に軸方向に移動可能に配置されるスプール60sおよび当該スプール60sを付勢するスプリング60spを含むスプールバルブである。また、コントロールバルブPCVは、図6に示すように、入力ポート60iと、出力ポート60oと、フィードバックポート60fと、信号圧入力ポート60cと、ドレンポート60dとを含む。
【0040】
入力ポート60iは、バルブボディB2に形成された油路を介して配管L0に連通する。出力ポート60oは、バルブボディB2に形成された油路やホースH等を介して対応する液圧アクチュエータM(チューブT)の作動油の出入口IOに連通する。フィードバックポート60fは、バルブボディB2に形成された油路を介して出力ポート60oに連通する。信号圧入力ポート60cは、バルブボディB2に形成された油路を介して上記1つのソレノイドバルブSLmの出力ポート50oに連通する。ドレンポート60dは、バルブボディB2に形成された油路を介してドレン管L2に連通する。
【0041】
かかるコントロールバルブPCVのスプール60sは、電磁部50eに印加される電流に応じた上記1つのソレノイドバルブSLmからの信号圧が作用することで、スプリング60spの付勢力に抗して軸方向に移動する。これにより、信号圧の作用によりスプール60sに付与される推力と、スプリング60spの付勢力と、出力ポート60oからフィードバックポート60fに供給された油圧(駆動圧)によりスプール60sに作用する推力とをバランスさせることで、入力ポート60iに供給されたポンプ14側からの作動油の一部を適宜ドレンポート60dを介してドレンして出力ポート60oから該当する液圧アクチュエータMのチューブTへと供給される作動油を所望の圧力に精度よく調整することができる。
【0042】
そして、第2油圧制御装置16C(バルブボディB2)は、図5に示すように、圧力調整弁である複数のソレノイドバルブSLmおよびコントロールバルブPCVのスプール50s,60sがロボットアーム2およびタンク11の回動軸RAと平行に延在するようにタンク11の上壁部11uにより支持される。すなわち、複数のソレノイドバルブSLmは、それぞれスプール50sの軸方向(図5中一点鎖線参照)がロボットアーム2およびタンク11の回動軸RAと平行をなすようにバルブボディB2(タンク11)により保持(支持)される。また、コントロールバルブPCVも、スプール60sの軸方向(図5中一点鎖線参照)がロボットアーム2およびタンク11の回動軸RAと平行をなすようにバルブボディB2(タンク11)により保持(支持)される。
【0043】
上述のように、液体供給装置10Cにおいても、ロボットアーム2(支持部材5)が固定される台座としてのタンク11は、ベース部12により回動軸RAの周りに回動自在に支持される。更に、タンク11は、流体供給源としてのポンプ14からの作動油の圧力を調整して複数の液圧アクチュエータ(人工筋肉)Mに供給する流体調整部としての第2油圧制御装置16Cを支持している。これにより、複数の液圧アクチュエータMを含むロボットアーム2(およびダンク11)がベース部12に対して回動する際、複数のソレノイドバルブSLmを含む第2油圧制御装置16Cもロボットアーム2と一体に回動軸RAの周りに回動する。従って、ベース部12に第2油圧制御装置16Cが配置され、当該第2油圧制御装置16Cが回動軸RAの周りに回動しない場合に比べて、第2油圧制御装置16Cと各液圧アクチュエータMとを結ぶ流体通路を形成するホースH(配管)等の長さを短くしたり、取り回しを容易にしたりすることができる。
【0044】
また、液体供給装置10Cの第2油圧制御装置16Cは、軸方向に移動可能なスプール50s,60sを有すると共にスプール50s,60sに作用する複数の軸方向の推力をバランスさせてポンプ14側からの作動油の圧力を調整する複数のリニアソレノイドバルブSLmおよびコントロールバルブPCVを含み、スプール50s,60sが回動軸RAと平行に延在するようにタンク11により支持される。これにより、ロボットアーム2(およびタンク11)がベース部12に対して回動軸RAの周りに回動する際に、スプール50s,60sに作用する軸方向の推力への遠心力の影響を無くすことができるので、各液圧アクチュエータ(人工筋肉)Mに供給される作動油の圧力を複数のソレノイドバルブSLmおよびコントロールバルブPCVにより精度よく調整することが可能となる。
【0045】
この結果、ロボット装置1では、装置全体の大型化を抑制しつつ、複数の液圧アクチュエータMを含むロボットアーム2の自由度を増加させると共に当該ロボットアーム2の制御性を良好に確保することができる。
【0046】
更に、液体供給装置10Cの第2油圧制御装置16C(バルブボディB2)は、台座としてのタンク11の上壁部11uにより支持される。これにより、ロボットアーム2(タンク11)がベース部12に対して回動軸RAの周りに回動する際に、当該ロボットアーム2の姿勢に拘わらず、スプール50s,60sに作用する軸方向の推力への遠心力の影響を無くすことが可能となる。
【0047】
また、第2油圧制御装置16Cをタンク11の上壁部11uの内面に取り付けることで、第2油圧制御装置16Cから各液圧アクチュエータMに作動油を供給するためのホース(液体供給管)Hをより短縮化すると共に各ホースHの取り回しを極めて容易にすることが可能となる。ただし、第2油圧制御装置16Cは、例えばロボットアーム2がタンク11の側壁部により支持される場合、当該側壁部の内面に取り付けられてもよい。
【0048】
更に、第2油圧制御装置16Cは、ロボットアーム2のアーム3や支持部材5、連結部材6等により支持されてもよい。更に、複数のソレノイドバルブSLmやコントロールバルブPCVが対応する液圧アクチュエータMの近傍に位置するようにロボットアーム2のアーム3や支持部材5、連結部材6等により支持されてもよい。
【0049】
なお、液体供給装置10-10Cにおいて、ソレノイドバルブSLm,SL0の少なくとも何れか1つは、常開弁であってもよい。この場合、当該常開弁は、電磁部からの推力および当該電磁部からの推力と同方向に作用するようにフィードバックポートに供給された液圧による推力を、スプリングの付勢力とバランスさせるものであってもよい。更に、ソレノイドバルブSLm,SL0の少なくとも何れか1つは、専用のフィードバックポートをもたず、スプールを収容するスリーブの内側で出力圧(駆動圧)をフィードバック圧としてスプールに作用させるように構成されたものであってもよい(例えば、特開2020-41687号公報参照)。同様に、コントロールバルブPCVも、出力圧(駆動圧)をスプールの内部でフィードバック圧として当該スプールに作用させるように構成されたものであってもよい。更に、液体供給装置10Cにおいて、コントロールバルブPCVが省略されてもよく、すべての液圧アクチュエータMに対して各々に対応したソレノイドバルブSLmから油圧(駆動圧)が供給されてもよい。
【0050】
また、液体供給装置10-10Cは、流体調整バルブ(流体調整部)として、例えば圧力センサにより検出される液圧(流体圧)が要求に応じた圧力になるように液圧アクチュエータMへの液体(流体)の流量を制御する流量制御弁を含むものであってもよい。更に、液体供給装置10-10Cは、水等の作動油以外の液体や空気等の気体を液圧アクチュエータMに供給するものであってもよい。また、液体供給装置10-10Cは、ポンプ14により発生させられた油圧を蓄えるアキュムレータ(蓄圧器)を含むものであってもよい。
【0051】
更に、ロボット装置1は、関節を1つだけ含むものであってもよく、人工筋肉としての液圧アクチュエータMを1つまたは2つだけ含むものであってもよい。また、ロボット装置1は、少なくとも1つの液圧アクチュエータMとハンド部4とを有するロボットアーム2を含むものに限られず、少なくとも1つの液圧アクチュエータMと、例えばドリルビット等の工具や例えばスイッチ等を押圧する押圧部材といったハンド部4以外の要素が手先に取り付けられたロボットアームとを含むものであってもよい。更に、ロボット装置1は、歩行ロボットや、ウェアラブルロボット等であってもよい。
【0052】
また、ロボット装置1のロボットアーム2は、アーム3を駆動するアクチュエータとして揺動モータ(例えば、ハンド部4の根元(手首部)を回転させる揺動モータ)を含むものであってもよい。すなわち、ロボット装置1のロボット本体は、人工筋肉としての液圧アクチュエータMと揺動モータとの少なくとも何れか1つを含むものであってもよい。更に、ロボット装置1のロボットアーム2は、アーム3を駆動するアクチュエータとして油圧シリンダ等の液圧シリンダを含むものであってもよい。また、関節を介して連結された2つのアーム3等のすべてに必ずしも対をなす複数の液圧アクチュエータ(人工筋肉)Mが設けられる必要はなく、何れか1組の2つのアーム3等に、1つまたは複数の液圧アクチュエータと、当該液圧アクチュエータと拮抗するように配置されるスプリングやゴム材等の弾性体とが連結されてもよい。加えて、ロボット装置1において、タンク11,11Bがロボットアーム2といったロボット本体により支持されてもよい。この場合、第2油圧制御装置16,16Cは、ロボットアーム2により支持されるタンク11,11Bの壁部の内面に取り付けられるとよい。これにより、液体供給管としてのホースHを短縮化すると共に各ホースHの取り回しを容易にすることが可能となる。
【0053】
更に、上記実施形態において、人工筋肉としての液圧アクチュエータMは、内部に作動油が供給されると共に当該内部の油圧の上昇に応じて径方向に膨張しながら軸方向に収縮するチューブTと、当該チューブTを覆う編組スリーブSとを含むマッキベン型の人工筋肉であるが、ロボット装置1における液圧アクチュエータMの構成は、これに限られるものではない。すなわち、液圧アクチュエータMは、流体が供給された際に径方向に膨張しながら軸方向に収縮するチューブを含むものであればよく、例えば弾性体により形成された内側筒状部材と、弾性体により形成されると共に内側筒状部材の外側に同軸に配置され外側筒状部材と、内側筒状部材と外側筒状部材との間に配置された繊維層とを含む軸方向繊維強化型の液圧アクチュエータ(例えば、特開2011-137516号参照)であってもよい。
【0054】
以上説明したように、本開示のロボット装置は、流体の供給を受けて作動する少なくとも1つの人工筋肉(M)を含むロボットアーム(2)と、前記流体の供給源(14)とを含むロボット装置(1)であって、前記ロボットアーム(2)が固定される台座(11)と、前記台座(11)を回動軸(RA)の周りに回動自在に支持するベース部(12)と、前記ロボットアーム(2)または前記台座(11)により支持され、前記供給源(14)からの前記流体の圧力または流量を調整して前記人工筋肉(M)に供給する流体調整部(16,16C,SLm,PCV)とを含み、前記流体調整部(16C)が、軸方向に移動可能なスプール(50s,60s)を有すると共に前記スプール(50s,60s)に作用する複数の前記軸方向の推力をバランスさせて前記供給源(14)側からの前記流体の圧力を調整する圧力調整弁(SLm,PCV)を含み、前記圧力調整弁(SLm,PCV)の前記スプール(50s,60s)が前記回動軸(RA)と平行に延在するように前記ロボットアーム(2)または前記台座(11)により支持されるものである。
【0055】
本開示のロボット装置は、少なくとも1つの人工筋肉を含むロボットアームが台座に固定されると共に、台座がベース部により回動軸の周りに回動自在に支持される。更に、ロボットアームおよび台座の一方は、供給源からの流体の圧力または流量を調整して人工筋肉に供給する流体調整部を支持している。これにより、人工筋肉を含むロボットアーム(および台座)がベース部に対して回動する際、流体調整部もロボットアームと一体に回動軸の周りに回動する。従って、ベース部に流体調整部が配置され、流体調整部が回動軸の周りに回動しない場合に比べて、流体調整部と人工筋肉とを結ぶ流体通路(配管)を短くしたり、取り回しを容易にしたりすることができる。更に、流体調整部は、軸方向に移動可能なスプールに作用する複数の軸方向の推力をバランスさせて供給源側からの流体の圧力を調整する圧力調整弁を含み、当該圧力調整弁のスプールが回動軸と平行に延在するようにロボットアームまたは台座により支持される。これにより、ロボットアーム(台座)がベース部に対して回動軸の周りに回動する際に、スプールに作用する軸方向の推力への遠心力の影響を無くすことができるので、人工筋肉に供給される流体の圧力を圧力調整弁により精度よく調整することが可能となる。この結果、ロボット装置全体の大型化を抑制しつつ、少なくとも1つの人工筋肉を含むロボットアームの自由度を増加させると共に、当該ロボットアームの制御性を良好に確保することが可能となる。
【0056】
また、前記流体調整部(16,16C)は、前記台座(11)により支持されてもよい。
【0057】
これにより、ロボットアーム(台座)がベース部に対して回動軸の周りに回動する際に、当該ロボットアームの姿勢に拘わらず、スプールに作用する軸方向の推力への遠心力の影響を無くすことが可能となる。
【0058】
また、前記圧力調整弁は、前記スプール(50s)を前記軸方向に移動させる推力を発生する電磁部(50e)を有するリニアソレノイドバルブ(SLm)であってもよい。
【0059】
更に、前記圧力調整弁は、入力ポート(60i)、出力ポート(60o)および信号圧入力ポート(60c)を有すると共に、少なくとも、前記信号圧入力ポート(60c)に供給される信号圧の作用により前記スプール(60s)に付与される力と、前記出力ポート(60o)における前記流体の圧力の作用により前記スプール(60s)に付与される力とをバランスさせて前記供給源(14)側からの前記流体の圧力を調整して前記出力ポート(60o)から出力するコントロールバルブ(PCV)であってもよく、前記流体調整部(16C)は、前記コントロールバルブ(PCV)に加えて、前記回動軸(RA)の延在方向に沿って移動自在なスプール(50s)および前記スプール(50s)を前記延在方向に移動させる推力を発生する電磁部(50e)を有すると共に前記コントロールバルブ(PCV)の前記信号圧入力ポート(60c)に前記信号圧を供給するリニアソレノイドバルブ(SLm)を含むものであってもよい。
【0060】
また、前記ロボット本体(2)は、前記タンク(11,11B)の上壁部(11u)により支持されてもよく、前記液体調整ユニット(16)は、前記上壁部(11u)の内面に取り付けられてもよい。
【0061】
更に、前記液体調整ユニット(15,16)は、前記タンク(11,11B)内の液面よりも下側で開口するドレン管(L1,L2)を含むと共に、前記圧力または前記流量の調整に伴って生じる余剰の前記液体を前記ドレン管(L1,L2)から前記タンク(11,11B)の内部に排出するものであってもよい。これにより、ドレン管から液体が流出する際に気泡が発生しないようにして、ポンプ部がエアを吸い込むのを抑制することが可能となる。
【0062】
また、前記ポンプ部(140)は、前記タンク(11,11B)内の液面よりも下側で開口する吸入口(14i)を含むものであってもよい。これにより、ポンプ部がエアを吸い込むのをより良好に抑制することが可能となる。
【0063】
更に、前記ポンプ(14)の前記駆動部は、電動モータ(141)を含み、前記ポンプ部(140)よりも上側に位置するように前記タンク(11)内に配置されてもよい。このように、電動モータを含む駆動部をタンク内に配置することで、タンクによりポンプの動作音を良好に遮断することが可能となる。
【0064】
また、前記液体調整ユニット(15,16)は、前記タンク(11,11B)の外部からケーブル(K1,K2)を介して電力が供給される少なくとも1つの電磁弁(SL0,SLm)を含むものであってもよく、前記ケーブル(K1,K2)は、前記タンク(11,11B)内の液面よりも上側で開口するように前記タンク(11,11B)に形成された孔(11h)から外部に引き出されてもよい。これにより、ケーブルが挿通される孔からの液体の漏洩を良好に抑制することが可能となる。
【0065】
更に、前記ロボット本体(2)は、複数の前記液圧アクチュエータ(M)と、それぞれ前記液体調整ユニット(16)および対応する前記液圧アクチュエータ(M)の前記タンク(11,11B)側の端部(C,IO)に接続された複数の液体供給管(H)とを含むものであってもよい。
【0066】
また、前記液体供給装置(10,10B)は、前記タンク(11,11B)を回動自在に支持するベース部(12)と、前記ベース部(12)により支持され、前記液体の供給を受けて前記タンク(11,11B)を回動させる回動ユニット(13)と、前記タンク(11,11B)内の液面よりも下側に位置するように前記タンク(11,11B)内に配置され、前記ポンプ部(140)からの前記液体の圧力または流量を調整して前記回動ユニット(13)に供給する他の液体調整ユニット(15)とを含むものであってもよい。これにより、ロボット本体および液体供給装置(タンク)を一体に回動させることが可能となる。
【0067】
更に、前記液圧アクチュエータ(M)は、前記液体が供給された際に径方向に膨張し、かつ軸方向に収縮するチューブ(T)を含むものであってもよい。
【0068】
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示の発明は、少なくとも1つの人工筋肉を含むロボット装置の製造産業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 ロボット装置、2 ロボットアーム、11 タンク(台座)、12 ベース部、14 ポンプ(供給源)、16,16C 第2油圧制御装置、50e 電磁部、50s,60s スプール、60i 入力ポート、60o 出力ポート、60c 信号圧入力ポート、M 流体アクチュエータ(人工筋肉)、PCV コントロールバルブ、RA 回動軸、SLm ソレノイドバルブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6