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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156261
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】オイルコントロールリング
(51)【国際特許分類】
   F16J 9/06 20060101AFI20221006BHJP
   F02F 5/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F16J9/06 A
F02F5/00 301A
F02F5/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059855
(22)【出願日】2021-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000215785
【氏名又は名称】TPR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】彦根 顕
(72)【発明者】
【氏名】大黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】鮎澤 紀昭
(72)【発明者】
【氏名】山岡 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】梅田 直喜
【テーマコード(参考)】
3J044
【Fターム(参考)】
3J044AA12
3J044CB06
3J044CB24
3J044CB30
3J044CB37
3J044DA09
3J044DA17
(57)【要約】
【課題】オイルコントロールリングにおいて、オイルリングのシリンダ側のランド空間にエンジンオイルが滞留しデポジットが堆積することを抑制する。
【解決手段】オイルコントロールリング1は、摺動方向に配置された一対のランド部20、21をウェブ部22で連結したオイルリング10と、オイルリング10を径方向の外周側に向けて付勢するコイルエキスパンダ11と、を備える。オイルリング10のウェブ部22には、複数の窓孔30が形成されている。オイルリング10の軸方向Zの窓孔最大開口部の軸方向における断面において、オイルリング10の摺動方向の幅H1と、ウェブ部22の外周面の燃焼室側における窓孔30を除いた非窓孔部50の長さL1が、0.15>L1/H1≧0の条件を満たす。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルコントロールリングであって、
摺動方向に配置された一対のランド部をウェブ部で連結したオイルリングと、
前記オイルリングの径方向の内周側に配置され、前記オイルリングを径方向の外周側に向けて付勢するコイルエキスパンダと、を備え、
前記オイルリングのウェブ部には、円周方向に沿って複数の窓孔が形成され、当該窓孔は、ウェブ部を径方向に貫通し、
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、燃焼室側のランド部の径方向の外周側に位置し、ウェブ部の径方向の外周面とランド部の摺動面とを繋げる燃焼室側のランド部の内側面と、クランク室側のランド部の径方向の外周側に位置し、ウェブ部の径方向の外周面とランド部の摺動面とを繋げるクランク室側のランド部の内側面は、径方向の外周側に向かって拡径し、
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、オイルリングの摺動方向の幅H1と、前記ウェブ部の外周面の燃焼室側における窓孔を除いた非窓孔部の長さL1が、次の条件を満たす、
0.15>L1/H1≧0
オイルコントロールリング。
【請求項2】
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、前記燃焼室側のランド部の摺動面におけるクランク室側の端部をAとし、前記ウェブ部の外周面の燃焼室側における非窓孔部の窓孔側の端部をBとし、前記ウェブ部の外周面の燃焼室側における非窓孔部のランド部の内側面側の端部をCとした時に、点Aと点Bの間の距離AB、点Aと点Cの間の距離AC、及び点Bと点Cの間の距離BCは、次の条件を満たす、
1.0≦(距離AC+距離BC)/(距離AB)≦1.5
請求項1に記載のオイルコントロールリング。
【請求項3】
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、点A、点B及び点Cで形成した三角形の面積は、前記オイルリングの径方向の外周側において一対のランド部とウェブ部で形成される空間面積の11%以下0%以上である、請求項2に記載のオイルコントロールリング。
【請求項4】
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、前記クランク室側のランド部の摺動面における燃焼室側の端部をA’とした時に、(距離AC+距離BC)/(距離AB)と、前記非窓孔部の長さL1(mm)と、前記ランド部の点Aと点A’の間の距離L4(mm)は、次の条件を満たす、
0.6(mm2)>L1×((距離AC+距離BC)/(距離AB))×L4
請求項2又は3に記載のオイルコントロールリング。
【請求項5】
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、ウェブ部の摺動方向の幅L2と前記非窓孔部の長さL1は、次の条件を満たす、
0.27≧L1/L2
請求項1~4のいずれか一項に記載のオイルコントロールリング。
【請求項6】
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、ウェブ部の摺動方向の幅L2と窓孔の摺動方向の幅L3は、次の条件を満たす、
L3/L2≧0.46
請求項1~5のいずれか一項に記載のオイルコントロールリング。
【請求項7】
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、前記燃焼室側のランド部の摺動面におけるクランク室側の端部と、前記ウェブ部の外周面の燃焼室側における非窓孔部の窓孔側の端部とを通る仮想直線が、前記オイルリングの径方向に対しなす角度は33deg以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載のオイルコントロールリング。
【請求項8】
前記非窓孔部は、平坦面又は曲面である、請求項1~7のいずれか一項に記載のオイルコントロールリング。
【請求項9】
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、前記非窓孔部が存在せず、前記燃焼室側のランド部の内側面が前記窓孔の燃焼室側の開口端部に直接接続されている、請求項1、6又は7のいずれか一項に記載のオイルコントロールリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルコントロールリングに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関のピストンには、ピストンリングの一つとしてオイルコントロールリングが装着される。オイルコントロールリングは、オイルリングと、オイルリングを径方向の外周側に向けて付勢するエキスパンダとを備えている(特許文献1参照)。
【0003】
オイルリングは、径方向に厚さがあり摺動方向の上下に配置されたランド部と、ランド部よりも径方向の厚さが小さく、上下のランド部を連結するウェブ部を有している。ウェブ部の円周方向に沿って、径方向に貫通する複数の窓孔が形成されている。
【0004】
そして、ピストンに装着されたオイルコントロールリングの使用時に、エンジンオイルは、オイルリングのシリンダ側(オイルリングの径方向の外周側)の上下のランド部に掻きとられ、当該上下のランド部とウェブ部とシリンダとの間の空間(ランド空間)に入り込み、その後ウェブ部に形成された窓孔を通じてピストン側(オイルリングの径方向の内周側)に排出されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5773500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のエンジンオイルの流れにおいて、掻きとられたエンジンオイルが、オイルリングのシリンダ側のランド空間に滞留することがある。劣化したエンジンオイルがランド空間に滞留すると、カーボンスラッジ等の不溶解物質が、オイルリングのランド空間にデポジットとして堆積することになる。デポジットが多く堆積すると窓孔が閉塞し、エンジンオイルの排出効果が低下して、エンジンオイルの一部が適切な場所から排出されず、オイルリング性能(オイル掻き性能)が低下し、またエンジンオイルの掻き残しが増加する。さらには、掻き残されたエンジンオイルが燃焼・気化により、排出ガスに混じって大気中に放出される。症状が悪化すると、オイルコントロールリングがピストンに固着しシリンダへ追従できなくなる。
【0007】
上述のようにオイルリングのシリンダ側のランド空間にデポジットが堆積することは好ましくない。しかし、従来よりオイルリングのランド空間においてエンジンオイルが滞留する原因は十分に解明されておらず、デポジットを減らす技術は知られていなかった。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、オイルリングのシリンダ側の上下ランド部とウェブ部との間のランド空間にエンジンオイルが滞留しデポジットが堆積することを抑制することができるオイルコントロールリングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るオイルコントロールリングは、摺動方向に配置された一対のランド部をウェブ部で連結したオイルリングと、オイルリングの径方向の内周側に配置され、オイルリングを径方向の外周側に向けて付勢するコイルエキスパンダと、を備え、オイルリングのウェブ部には、円周方向に沿って複数の窓孔が形成され、当該窓孔は、ウェブ部を径方向に貫通し、オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、燃焼室側のランド部の径方向の外周側に位置し、ウェブ部の径方向の外周面とランド部の摺動面とを繋げる燃焼室側のランド部の内側面と、クランク室側のランド部の径方向の外周側に位置し、ウェブ部の径方向の外周面とランド部の摺動面とを繋げるクランク室側のランド部の内側面は、径方向の外周側に向かって拡径し、オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、オイルリングの摺動方向の幅H1と、前記ウェブ部の外周面の燃焼室側における窓孔を除いた非窓孔部の長さL1が、次の条件を満たす。
0.15>L1/H1≧0
【0010】
本態様によれば、オイルリングの幅H1と非窓孔部の長さL1が、0.15>L1/H1の条件を満たすことで、オイルリングのシリンダ側のランド空間にエンジンオイルが滞留しデポジットが堆積することを抑制することができる。
【0011】
上記態様において、オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、燃焼室側のランド部の摺動面におけるクランク室側の端部をAとし、ウェブ部の外周面の燃焼室側における非窓孔部の窓孔側の端部をBとし、ウェブ部の外周面の燃焼室側における非窓孔部のランド部の内側面側の端部をCとした時に、点Aと点Bの間の距離AB、点Aと点Cの間の距離AC、及び点Bと点Cの間の距離BCは、次の条件を満たしていてもよい。
1.0≦(距離AC+距離BC)/(距離AB)≦1.5
【0012】
上記態様において、オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、点A、点B及び点Cで形成した三角形の面積は、オイルリングの径方向の外周側において一対のランド部とウェブ部で形成される空間面積の11%以下0%以上であるようにしてもよい。
【0013】
上記態様において、オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、クランク室側のランド部の摺動面における燃焼室側の端部をA’とした時に、(距離AC+距離BC)/(距離AB)と、非窓孔部の長さL1(mm)と、ランド部の点Aと点A’の間の距離L4(mm)は、次の条件を満たしてもよい。
0.6(mm2)>L1×((距離AC+距離BC)/(距離AB))×L4
【0014】
上記態様において、オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、ウェブ部の摺動方向の幅L2と非窓孔部の長さL1は、次の条件を満たしてもよい。
0.27≧L1/L2
【0015】
上記態様において、オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、ウェブ部の摺動方向の幅L2と窓孔の摺動方向の幅L3は、次の条件を満たしてもよい。
L3/L2≧0.46
【0016】
上記態様において、オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、燃焼室側のランド部の摺動面におけるクランク室側の端部と、ウェブ部の外周面の燃焼室側における非窓孔部の窓孔側の端部とを通る仮想直線が、オイルリングの径方向に対しなす角度は33deg以下であってもよい。
【0017】
非窓孔部は、平坦面又は曲面であってもよい。
【0018】
上記態様において、オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、非窓孔部が存在せず、燃焼室側のランド部の内側面が窓孔の燃焼室側の開口端部に直接接続されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、オイルコントロールリングにおいて、オイルリングのシリンダ側のランド空間にオイルが滞留しデポジットが堆積することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施の形態に係るオイルコントロールリングの一例を示す斜視図である。
図2】オイルコントロールリングの外周面の一部を示す部分拡大図である。
図3】オイルコントロールリングの軸方向の窓孔最大開口部における軸方向の断面図である。
図4】内燃機関に使用時のオイルコントロールリングの軸方向の窓孔最大開口部における軸方向の断面図である。
図5】オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部における軸方向の断面においてオイルリングの各種寸法を示す説明図である。
図6】非窓孔部が存在せず、燃焼室側のランド部の内側面が窓孔の燃焼室側の開口端部に直接接続されている場合のオイルコントロールリングの軸方向の窓孔最大開口部における軸方向の断面図である。
図7】湾曲部の端部がある場合の点A、B、Cを示す説明図である。
図8】窓孔がウェブ部とランド部に渡る場合のオイルコントロールリングの軸方向の窓孔最大開口部における軸方向の断面図である。
図9】実施例及び比較例、ベースの例の各種寸法とエンジンオイル排出能力を示す表である。
図10】実施例及び比較例、ベースの例におけるL1/H1とエンジンオイル排出能力との間の相関を示すグラフである。
図11】実施例及び比較例、ベースの例におけるAB比とエンジンオイル排出能力との間の相関を示すグラフである。
図12】実施例及び比較例、ベースの例における三角形面積S1/ランド空間面積S2とエンジンオイル排出能力と間の相関を示すグラフである。
図13】実施例及び比較例、ベースの例におけるL1/L2とエンジンオイル排出能力と間の相関を示すグラフである。
図14】実施例及び比較例、ベースの例におけるL3/L2とエンジンオイル排出能力と間の相関を示すグラフである。
図15】実施例及び比較例、ベースの例におけるL1×AB比×L4とエンジンオイル排出能力と間の相関を示すグラフである。
図16】解析における実施例1とベースの例におけるエンジンオイルの流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係るオイルコントロールリング1の一例を示す斜視図である。図2は、オイルコントロールリング1の外周面の一部を示す部分拡大図であり、図3は、オイルコントロールリング1の軸方向Zの窓孔最大開口部の軸方向Zにおける断面図(以下、「軸方向断面」ともいう。)である。なお、本明細書においてオイルコントロールリング1の軸方向Zは、摺動方向ともいう。図1乃至図3におけるオイルコントロールリング1の上側は、内燃機関における燃焼室側となり、下側は、内燃機関におけるクランク室側となる。オイルコントロールリング1の径方向Rの外周側とは、オイルコントロールリング1の径方向Rの中心Oから離れる側(外周方向R2側)であり、オイルコントロールリング1の径方向Rの内周側とは、オイルコントロールリング1の径方向Rの中心Oに向かう側(内周方向R1側)である。
【0022】
図1に示すようにオイルコントロールリング1は、略円環状のオイルリング10と、オイルリング10の径方向Rの内周側に配置された、略円環状のコイルエキスパンダ11とを有している。なお、オイルコントロールリング1の形状は、円、楕円等であり、特に限定されない。
【0023】
図1乃至図3に示すようにオイルリング10は、摺動方向Zに配置された略環状の一対のランド部20、21と、一対のランド部20、21の間に配置され、各ランド部20、21を互いに接続する略環状のウェブ部22を有している。
【0024】
ウェブ部22には、ウェブ部22を径方向Rに貫通する窓孔30が形成されている。窓孔30は、オイルリング10の円周方向Qに沿って複数形成されている。窓孔30は、例えば等間隔に配置されている。
【0025】
図3に示すようにオイルリング10の軸方向Zの窓孔30の最大開口部の軸方向断面において、オイルリング10は、略I字状の断面形状を有している。なお、図3の断面は、図2に示す窓孔30の軸方向Zに最大の開口幅を有する部分(本実施の形態において窓孔30の周方向の中央部分U)で切断した図1のN―N断面である。
【0026】
図3に示すようにランド部20、21は、径方向Rに厚さがあり、ウェブ部22に対し径方向Rの外周側(外周方向R2)に突出している。燃焼室側(上側)のランド部20の径方向Rの外周面には、例えば内側面40と、外周摺動面41と、面取り面42が形成されている。同様に、クランク室側(下側)のランド部21の径方向Rの外周面には、例えば内側面43と、外周摺動面44と、面取り面45が形成されている。
【0027】
ランド部20、21の内側面40、43は、オイルリング10の摺動方向Zの中心を通り径方向Rに向かう中心線F側に面している。一対のランド部20、21の内側面40、43は、径方向Rの外周方向R2に向かって拡径している。上側のランド部20の内側面40の先端部は、外周摺動面41に接続されている。外周摺動面41は、例えば同径の平坦な面であり、摺動方向Zに延びる。上側のランド部20の内側面40は、外周摺動面41の下側の端部Aに接続されている。外周摺動面41は、オイルコントロールリング1の使用時に例えば内燃機関のシリンダの内周面に接触し摺動する。下側のランド部21の内側面43の先端部は、外周摺動面44に接続されている。外周摺動面44は、例えば同径の平坦な面であり、摺動方向Zに延びる。下側のランド部21の内側面43は、外周摺動面44の上側の端部A’に接続されている。外周摺動面44は、オイルコントロールリング1の使用時に例えば内燃機関のシリンダの内周面に接触し摺動する。
【0028】
上側のランド部20の面取り面42は、当該ランド部20の上側に面している。当該面取り面42は、径方向Rの内周方向R1に向かって縮径している。当該面取り面42は、外周摺動面41の上端部からランド部20(オイルリング10)の上面46に接続されている。
【0029】
下側のランド部21の面取り面45は、当該ランド部21の下側に面し、径方向Rの内周方向R1に向かって縮径している。当該面取り面45は、外周摺動面44の下端部からランド部21(オイルリング10)の下面47に接続されている。
【0030】
ウェブ部22は、ランド部20、21よりも径方向Rの厚さが小さい。窓孔30は、ウェブ部22における摺動方向Zの中央に配置されている。ウェブ部22の径方向Rの外周面には、窓孔30と、燃焼室側(上側)の非窓孔部50と、クランク室側(下側)の非窓孔部51が形成されている。上側の非窓孔部50は、窓孔30を除いた、ウェブ部22の外周面の窓孔30の上側の部分であり、例えば下側の端部Bが、窓孔30の上側の開口端部に接続され、上側の端部Cがランド部20の内側面40の端部(根元部)に接続されている。非窓孔部50は、例えば平坦面であり、同径で摺動方向Zに延びる。なお、この非窓孔部50は存在しなくてもよく(長さが零であってもよく)、この場合、窓孔30の開口端部Bとランド部20の内側面40が直接接続されることになる。
【0031】
下側の非窓孔部51は、窓孔30を除いた、ウェブ部22の外周面の窓孔30の下側の部分であり、例えば上側の端部B’が、窓孔30の下側の開口端部に接続され、下側の端部C’がランド部21の内側面43の端部(根元部)に接続されている。非窓孔部51は、例えば平坦面であり、同径で摺動方向Zに延びる。なお、この非窓孔部51は存在しなくてもよく(長さが零であってもよく)、この場合、窓孔30の開口端部B’とランド部21の内側面43が直接接続されることになる。
【0032】
以上のように、オイルリング10の径方向Rの外周面は、窓孔30から上面46向けて、燃焼室側の非窓孔部50、内側面40、外周摺動面41、及び面取り面42をこの順に備えている。また、オイルリング10の径方向Rの外周面には、窓孔30から下面47に向けて、クランク室側の非窓孔部51、内側面43、外周摺動面44、及び面取り面45をこの順に備えている。また、オイルリング10の軸方向断面において、オイルリング10の径方向Rの外周面には、一対のランド部20、21の内側面40、43とウェブ部22の外周面によって囲まれる略台形のランド空間Pが形成される。このランド空間Pは、オイルリング10の周方向Qに沿って1周に亘り形成されている。
【0033】
オイルリング10の径方向Rの内周側(内周方向R1側)の内周面には、コイルエキスパンダ11がはめ込み可能な円弧状の凹み面60が形成されている。
【0034】
コイルエキスパンダ11は、らせん状のスプリングを略環状にしたものであり、オイルリング10の凹み面60にはめ込まれ、オイルリング10を外周方向R2に付勢している。
【0035】
そして、内燃機関においてオイルコントロールリング1を使用する際には、図4に示すようにオイルコントロールリング1が、ピストン80の外周面81のリング溝82にはめ込まれ、オイルリング10の外周摺動面41、44がシリンダ83の内側面84に当接するように配置される。ピストン80がシリンダ83内を往復運動する際、エンジンオイルがクランク室側のランド部21により掻き落とされ、掻き落としきれないエンジンオイルがランド空間Pに流入し、更に、エンジンオイルが燃焼室側のランド部20により掻き落とされ、掻き落としきれないエンジンオイルはランド空間Pに流入し、窓孔30を通ってオイルコントロールリング1の背面に排出され、クランク室側に戻される。
【0036】
ここで、オイルリング10の各種寸法について説明する。図5は、オイルリング10の軸方向Zの窓孔最大開口部における軸方向の断面であり、オイルリング10の各種寸法を示す説明図である。
【0037】
オイルリング10の摺動方向Zの幅H1と、ウェブ部22の外周面における窓孔30を除いた非窓孔部50の長さL1が、次の条件を満たす。
0.15>L1/H1≧0
【0038】
L1/H1は、0.10以下が好ましく、0.08以下がさらに好ましい。
【0039】
なお、非窓孔部50が存在しなくてもよく(長さL1が零)、かかる場合、図6に示すようにランド部20の内側面40が窓孔30の開口端部Bに直接接続されている。
【0040】
次に、図5に示すオイルリング10の軸方向Zの窓孔最大開口部における軸方向断面において、上側のランド部20の外周摺動面41における下側の端部をAとし、ウェブ部22の外周面の上側における非窓孔部50の窓孔30側の端部をBとし、ウェブ部22の外周面の上側における非窓孔部50のランド部20の内側面40側の端部をCとする。この時、点Aと点Bの間の距離AB、点Aと点Cの間の距離AC、及び点Bと点Cの間の距離BCは、次の条件を満たす。
1.0≦(距離AC+距離BC)/(距離AB)≦1.5
【0041】
詳細には、図7(a)に示すようにランド部20の内側面40のシリンダ側の端部が湾曲形状になっていることがある。この場合、外周摺動面(ランド部20の外周面で最もシリンダ側にある部分)41のクランク室側の端点、すなわちランド部20の内側面40の湾曲が終了し外周摺動面41と接続される端点がAとなる。なお、ランド部20の内側面40のシリンダ側の端部は、凹んでいたり、段部になっていてもよい。図7(b)に示すようにウェブ部22の窓孔30の孔内面90の端部(開口端部)が湾曲形状になっていることがある。この場合、ウェブ部22の窓孔30の孔内面90の湾曲が終了する端点であって非窓孔部50との接続点がBとなる。図7(c)に示すようにランド部20の内側面40の根元側の端部が湾曲形状になっていることがある。この場合、ランド部20の内側面40の湾曲が終了する端点であって非窓孔部50との接続点がCとなる。なお、ランド部20の内側面40の根元側の端部は、凹んでいたり、段部になっていてもよい。
【0042】
なお、(距離AC+距離BC)/(距離AB)は、「AB比」ともいう。また、距離ACは、内側面40が曲線や折れ線の場合や内側面40に凹凸や段部がある場合も含むため、点Aと点Cを直線で結んだ線分の長さとする。また、距離BCは、非窓孔部50が曲線や折れ線の場合や非窓孔部50に凹凸や段部がある場合も含むため、点Bと点Cを直線で結んだ線分の長さとする。
【0043】
AB比は、1.35以下が好ましく、1.25以下がさらに好ましい。
【0044】
図5に示すオイルリング10の軸方向断面において、AB比と、非窓孔部50の長さL1(mm)と、ランド部20、21の点Aと点A’の間の距離(ランド間距離)L4(mm)は、次の条件を満たす。
0.6(mm2)>L1×AB比×L4
【0045】
L1×AB比×L4は、0.4以下が好ましく、0.3以下0以上がさらに好ましい。
【0046】
オイルリング10の軸方向断面において、点A、点B及び点Cで形成した三角形の面積S1は、オイルリング10の径方向Rの外周面において一対のランド部20、21とウェブ部22で形成されるランド空間Pの面積(ランド空間面積)S2の11%以下0%以上である。ランド空間面積S2は、上側のランド部20の点A及び点Cと、下側のランド部21のA’点、C’点の4点を結んだ略台形の面積である。
【0047】
三角形の面積S1は、ランド空間面積S2の10%以下が好ましく、5%以下0%以上がさらに好ましい。
【0048】
オイルリング10の軸方向断面において、ウェブ部22の幅L2と非窓孔部50の長さL1は、次の条件を満たす。
0.27≧L1/L2
【0049】
L1/L2は、0.20以下がより好ましく、0.10以下0以上がより好ましい。
【0050】
オイルリング10の軸方向断面において、ウェブ部22の幅L2と窓孔30の幅L3は、次の条件を満たす。
L3/L2≧0.46
【0051】
L3/L2は、0.50以上がより好ましく、0.60以上1.0以下がより好ましい。
【0052】
オイルリング10の軸方向断面において、燃焼室側のランド部20の内側面40における径方向Rの外周側の先端部Aと窓孔30の燃焼室側の開口端部Bとを通る仮想直線Eが、オイルリング10の径方向R2(窓孔30の上側の開口端部Bを通る径方向の延長線)に対しなす角度(径方向AB角度)αは33deg以下である。
【0053】
角度αは、27deg以下10deg以上がより好ましい。
【0054】
なお、以上は、オイルリング10の径方向Rの外周面の上側(燃焼室側)の寸法が満たす条件であったが、下側(クランク室側)の寸法も同様の条件を満たしてもよい。すなわち、下側の非窓孔部51の長さL'1は、0.15>L'1/H1≧0の条件を満たしてもよい。非窓孔部51は存在しなくてもよく(長さL'1が零)、かかる場合、図6に示すようにランド部21の内側面43が窓孔30の開口端部B’に直接接続される。
【0055】
下側のランド部21の外周摺動面44における上側の端部A’、ウェブ部22の外周面の下側における非窓孔部51の窓孔30側の端部B’、ウェブ部22の外周面の下側における非窓孔部51のランド部21の内側面43側の端部C’について、点A’と点B’の間の距離A’B’、点A’と点C’の間の距離A’C’、及び点B’と点C’の間の距離B’C’は、1.0≦(距離A’C’+距離B’C’)/(距離A’B’)≦1.5の条件を満たしていてもよい。さらに、0.6(mm2)>L'1×A’B’比×L4の条件を満たしていていてもよい。
【0056】
図5のオイルリング10の軸方向断面において、点A’、点B’及び点C’で形成した三角形の面積S’1は、オイルリング10の径方向Rの外周面のランド部20、21及びウェブ部22に形成されるランド空間面積S2の11%以下0%以上であってもよい。
【0057】
さらに、オイルリング10の軸方向断面において、ウェブ部22の幅L2と非窓孔部51の長さL’1は、0.27≧L’1/L2を満たしてもよい。
【0058】
オイルリング10の軸方向断面において、下側のランド部21の外周摺動面44における上側の端部A’と、ウェブ部22の外周面の下側における非窓孔部51の窓孔30側の端部B’とを通る仮想直線E’が、オイルリング10の径方向R2(窓孔30の下側の開口端部B'を通る径方向の延長線)に対しなす角度(径方向A’B’角度)α’は33deg以下であってもよい。なお、クランク室側の寸法は、以上の条件を満たしてなくてもよい。
【0059】
本実施の形態によれば、オイルリング10の幅H1と、ウェブ部22の外周面の燃焼室側における窓孔30を除いた非窓孔部50の長さL1が、0.15>L1/H1≧0の条件を満たす。かかる場合、非窓孔部50の長さL1が相対的に短くなった結果、エンジンオイルが、オイルリング10の外周面のランド空間Pから窓孔30にスムーズに排出され、ランド空間Pに滞留することが抑制される。これにより、オイルリング10のシリンダ側のランド空間Pにデポジットが堆積することを抑制することができる。これは、非窓孔部50の長さL1が相対的に短くなった結果、ランド空間Pにおいて、外周摺動面41で掻き落されたエンジンオイルの旋回流が減少し、ランド空間Pのエンジンオイルがランド部20の内側面40に沿って窓孔30に素早く排出されることが一因である。
【0060】
特に、非窓孔部50が実質的に存在せず、非窓孔部50の長さL1が零の場合、ランド空間Pのエンジンオイルが窓孔30から極めて素早く排出され、さらにデポジットの堆積を抑制することができる。
【0061】
本実施の形態によれば、AB比が、1.0≦AB比≦1.5の条件を満たす。かかる場合、ランド部20の外周摺動面41におけるクランク室側の端部Aからウェブ部22の外周面の燃焼室側における非窓孔部50の窓孔30側の端部Bまで至る距離が相対的に短くなった結果、エンジンオイルがランド空間Pから窓孔30に素早く排出され、ランド空間Pに滞留することが抑制される。これにより、オイルリング10のシリンダ側のランド空間Pにデポジットが堆積することを抑制することができる。これは、ランド部20の外周摺動面41の端部Aから非窓孔部50の窓孔30側の端部Bまでの距離が相対的に短くなった結果、ランド空間Pにおいて、外周摺動面41で掻き落されたエンジンオイルの旋回流が減少し、ランド空間Pのエンジンオイルが窓孔30に効率的に排出されることが一因である。
【0062】
AB比と、非窓孔部50の長さL1と、ランド部20、21の点Aと点A’の間の距離(ランド間距離)L4は、0.6(mm2)>L1×AB比×L4の条件を満たす。かかる場合、非窓孔部50の長さL1が相対的に短くなり、ランド部20の外周摺動面41の端部Aから非窓孔部50の窓孔30側の端部Bまで至る距離が相対的に短くなり、さらにランド間距離L4が短くなった結果、ランド空間Pのエンジンオイルが窓孔30に素早く排出され、ランド空間Pに滞留することが抑制される。これにより、オイルリング10の外周面のランド空間Pにデポジットが堆積することを抑制することができる。
【0063】
オイルリング10の軸方向Zの窓孔最大開口部における軸方向断面において、点A、点B及び点Cを結ぶ三角形の面積S1は、ランド空間面積S2の11%以下0%以上である。かかる場合、三角形の面積S1が相対的に減少した結果、エンジンオイルがランド空間Pから窓孔30に素早く排出され、ランド空間Pに滞留することが抑制される。これにより、オイルリング10の外周面のランド空間Pにデポジットが堆積することを抑制することができる。これは、三角形の面積S1が相対的に減少した結果、ランド部20の内側面40とウェブ部22の非窓孔部50で形成される淀み領域が減り、ランド空間Pのエンジンオイルが窓孔30に効率的に排出されることが一因である。
【0064】
オイルリング10の軸方向Zの窓孔最大開口部における軸方向断面において、ウェブ部22の幅L2と非窓孔部50の長さL1は、0.27≧L1/L2の条件を満たす。かかる場合、非窓孔部50の長さL1が相対的に短くなった結果、エンジンオイルがランド空間Pから窓孔30に素早く排出され、ランド空間Pに滞留することが抑制される。これにより、オイルリング10の外周面のランド空間Pにデポジットが堆積することを抑制することができる。これは、非窓孔部50の長さL1が相対的に短くなった結果、エンジンオイルがランド部20の内側面40に沿って窓孔30に排出されやすくなったことが一因である。
【0065】
オイルリング10の軸方向Zの窓孔最大開口部における軸方向断面において、ウェブ部22の摺動方向Zの幅L2と窓孔30の摺動方向Zの幅L3は、L3/L2>0.46の条件を満たす。かかる場合、窓孔30の幅L3が相対的に長くなった結果、エンジンオイルがランド空間Pから窓孔30に素早く排出され、ランド空間Pに滞留することが抑制される。これにより、オイルリング10の外周面のランド空間Pにデポジットが堆積することを抑制することができる。これは、窓孔30の幅L3が相対的に長くなった結果、エンジンオイルが窓孔30に排出されやすくなったことが一因である。
【0066】
オイルリング10の軸方向Zの窓孔最大開口部における軸方向断面において、ランド部20の内側面40における径方向Rの外周側の先端部Aと窓孔30の燃焼室側の開口端部Bとを通る仮想直線Eが、オイルリング10の径方向R2に対しなす角度αは33deg以下である。この場合、ランド部20の内側面40の立ち上がり角度が小さくなり、エンジンオイルが窓孔30に素早く排出される。この結果、オイルリング10の側面のランド空間Pにデポジットが堆積することを抑制することができる。
【0067】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0068】
例えば以上の実施の形態において、図8に示すように窓孔30がウェブ部22のみならず、ウェブ部22とランド部20、ランド部21に渡るものであってもよい。なお、この例では、非窓孔部50、51は存在しない。窓孔30は、径方向Rの外周側に向かって孔径が大きくなるものであってよいし、径方向Rの外周側に向かって孔径が小さくなるものであってもよい。窓孔30は、オイルリング10の摺動方向Zの中心になくてもよく、燃焼室側、或いはクランク室側に中心がずれていてもよい。また、内側面40、43の形状は、特に限定されることなく、オイルリング10の窓孔30における軸方向Zの断面において、例えば内側面40、43は、上に凸に湾曲する湾曲線、下に凹むように湾曲する湾曲線、上下に波状に湾曲する湾曲線等の曲線であったり、複数の直線からなる折れ線等であってもよい。さらに内側面40、43は、一部に凹凸や段部を有するものであってもよい。ランド部20、21の内側面40、43の粗さRaは1.5μm(JIS2001)以下であってもよい。外周摺動面41、44の形状は、特に限定されることなく、オイルリング10の窓孔30における軸方向Zの断面において、外周摺動面41、44は、径方向Rの外周側に凸の湾曲形状の面であってもよいし、一部に凹凸や段部を有するものであってもよい。面取り面42、45は存在しなくてもよい。非窓孔部50、51は、平坦面に限られず、曲面であってもよい。ランド部20、21の内側面40、43の形状は、上下(燃焼室側、クランク室側)で対称でなくてもよい。
【実施例0069】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0070】
コンピュータによる数値流体力学(CFD)解析を用いて、各種寸法のオイルコントロールリングのエンジンオイル流れを解析し、窓孔におけるエンジンオイルの排出能力を算出した。本解析は、市販のソフトウェアを用い、気液二相のVOF(Volume of Fluid)解析を行った。下記実施例1乃至5、比較例1乃至3、基準(ベース)の例の各種寸法とエンジンオイル排出能力は、図9の表にまとめて示す。エンジンオイル排出能力とは、従来のオイルコントロールリングの判断基準となるベース例の窓孔のエンジンオイル排出量に対する、各実施例及び比較例における窓孔のエンジンオイル排出量の比である。
【0071】
(実施例1)
実施例1のオイルコントロールリングの主な寸法は次のとおりである。
L1/H1:0.02
AB比:1.04
三角形の面積S1/ランド空間面積S2:2.2%
L1/L2:0.07
L3/L2:1.00
L1×AB比×L4:0.01(mm2
径方向AB角度α:20.0deg
【0072】
実施例1のオイルコントロールリングでは、L1/H1が0.02であり、0.15>L1/H1の条件を満たしている。AB比が1.04であり、1.0≦AB比≦1.5の条件を満たしている。三角形の面積S1/ランド空間面積S2が2.2%であり、11%以下である。L1/L2は0.07であり、0.27≧L1/L2の条件を満たしている。L3/L2は、1.00であり、L3/L2≧0.46の条件を満たしている。また、L1×AB比×L4は0.01であり、0.6(mm2)>L1×AB比×L4の条件を満たしている。径方向AB角度αは20.0degであり、角度αが33deg以下の条件を満たしている。
【0073】
エンジンオイル排出能力は、1.9であり、デポジット抑制の基準となるベースの例を大きく上回った。
【0074】
(実施例2)
実施例2のオイルコントロールリングの主な寸法は次のとおりである。
L1/H1:0.08
AB比:1.23
三角形の面積S1/ランド空間面積S2:7.9%
L1/L2:0.20
L3/L2:0.61
L1×AB比×L4:0.24(mm2
径方向AB角度α:23.2deg
【0075】
実施例2のオイルコントロールリングでは、L1/H1が0.08であり、0.15>L1/H1の条件を満たしている。AB比が1.23であり、1.0≦AB比≦1.5の条件を満たしている。三角形の面積S1/ランド空間面積S2が7.9%あり、11%以下である。L1/L2は0.20であり、0.27≧L1/L2の条件を満たしている。L3/L2は、0.61であり、L3/L2≧0.46の条件を満たしている。また、L1×AB比×L4は0.24であり、0.6(mm2)≦L1×AB比×L4の条件を満たしている。径方向AB角度αは23.2degであり、角度αが33deg以下の条件を満たしている。
【0076】
エンジンオイル排出能力は、1.4であり、デポジット抑制の基準となるベースの例を大きく上回った。
【0077】
(実施例3)
実施例3のオイルコントロールリングの主な寸法は次のとおりである。
L1/H1:0.12
AB比:1.47
三角形の面積S1/ランド空間面積S2:10.5%
L1/L2:0.25
L3/L2:0.51
L1×AB比×L4:0.48(mm2
径方向AB角度α:31.6deg
【0078】
実施例3のオイルコントロールリングでは、L1/H1が0.12であり、0.15>L1/H1の条件を満たしている。AB比が1.47であり、1.0≦AB比≦1.5の条件を満たしている。三角形の面積S1/ランド空間面積S2が10.5%であり、11%以下である。L1/L2は0.25であり、0.27≧L1/L2の条件を満たしている。L3/L2は、0.51であり、L3/L2≧0.46の条件を満たしている。また、L1×AB比×L4は0.48であり、0.6(mm2)>L1×AB比×L4の条件を満たしている。径方向AB角度αは31.6degであり、角度αが33deg以下の条件を満たしている。
【0079】
エンジンオイル排出能力は、1.2であり、デポジット抑制の基準となるベースの例を上回った。
【0080】
(実施例4)
実施例4のオイルコントロールリングの主な寸法は次のとおりである。
L1/H1:0.12
AB比:1.25
三角形の面積S1/ランド空間面積S2:10.6%
L1/L2:0.27
L3/L2:0.46
L1×AB比×L4:0.40(mm2
径方向AB角度α:26.9deg
【0081】
実施例4のオイルコントロールリングでは、L1/H1が0.12であり、0.15>L1/H1の条件を満たしている。AB比が1.25であり、1.0≦AB比≦1.5の条件を満たしている。三角形の面積S1/ランド空間面積S2が10.6%であり、11%以下である。L1/L2は0.27であり、0.27≧L1/L2の条件を満たしている。L3/L2は、0.46であり、L3/L2≧0.46の条件を満たしている。また、L1×AB比×L4は0.40であり、0.6(mm2)>L1×AB比×L4の条件を満たしている。径方向AB角度αは26.9degであり、角度αが33deg以下の条件を満たしている。
【0082】
エンジンオイル排出能力は、1.1であり、デポジット抑制の基準となるベースの例を上回った。
【0083】
(実施例5)
実施例5のオイルコントロールリングの主な寸法は次のとおりである。
L1/H1:0.13
AB比:1.35
三角形の面積S1/ランド空間面積S2:10.2%
L1/L2:0.23
L3/L2:0.55
L1×AB比×L4:0.46(mm2
径方向AB角度α:23.1deg
【0084】
実施例5のオイルコントロールリングでは、L1/H1が0.13であり、0.15>L1/H1の条件を満たしている。AB比が1.35であり、1.0≦AB比≦1.5の条件を満たしている。三角形の面積S1/ランド空間面積S2が10.2%であり、11%以下である。L1/L2は0.23であり、0.27≧L1/L2の条件を満たしている。L3/L2は、0.55であり、L3/L2≧0.46の条件を満たしている。また、L1×AB比×L4は0.46であり、0.6(mm2)>L1×AB比×L4の条件を満たしている。径方向AB角度αは23.1degであり、角度αが33deg以下の条件を満たしている。
【0085】
エンジンオイル排出能力は、1.1であり、デポジット抑制の基準となるベース例を上回った。
【0086】
(ベース例)
ベース例は、従来のオイルコントロールリングであり、エンジンオイル排出能力の判断の基準となる。
ベース例のオイルコントロールリングの主な寸法は次のとおりである。
L1/H1:0.18
AB比:1.49
三角形の面積S1/ランド空間面積S2:14.3%
L1/L2:0.32
L3/L2:0.36
L1×AB比×L4:0.71(mm2
径方向AB角度α:27.8deg
【0087】
ベース例のオイルコントロールリングでは、L1/H1が0.18であり、0.15>L1/H1の条件を満たさない。AB比は、1.49であり、1.0≦AB比≦1.5の条件を満たしている。三角形の面積S1/ランド空間面積S2が14.3%であり、11%を超えている。L1/L2は0.32であり、0.27≧L1/L2の条件を満たしていない。L3/L2は、0.36であり、L3/L2≧0.46の条件を満たしていない。また、L1×AB比×L4は0.71であり、0.6(mm2)>L1×AB比×L4の条件を満たしていない。径方向AB角度αは27.8degであり、角度αが33deg以下の条件を満たしている。
【0088】
(比較例1)
比較例1のオイルコントロールリングの主な寸法は次のとおりである。
L1/H1:0.16
AB比:1.60
三角形の面積S1/ランド空間面積S2:11.5%
L1/L2:0.26
L3/L2:0.49
L1×AB比×L4:0.76(mm2
径方向AB角度α:30.5deg
【0089】
比較例1のオイルコントロールリングでは、L1/H1が0.16であり、0.15>L1/H1の条件を満たさない。AB比が1.60であり、1.0≦AB比≦1.5の条件を満たしていない。三角形の面積S1/ランド空間面積S2が11.5%であり、11%を超えている。また、L1×AB比×L4は0.76であり、0.6>L1×AB比×L4の条件を満たしていない。
【0090】
エンジンオイル排出能力は、1.0であり、デポジット抑制の基準となるベース例と同等である。
【0091】
(比較例2)
比較例2のオイルコントロールリングの主な寸法は次のとおりである。
L1/H1:0.15
AB比:1.41
三角形の面積S1/ランド空間面積S2:11.9%
L1/L2:0.30
L3/L2:0.40
L1×AB比×L4:0.62(mm2
径方向AB角度α:33.6deg
【0092】
比較例2のオイルコントロールリングでは、L1/H1が0.15であり、0.15>L1/H1の条件を満たさない。三角形の面積S1/ランド空間面積S2が11.9%であり、11%を超えている。L1/L2は0.30であり、0.27≧L1/L2の条件を満たしていない。L3/L2は、0.40であり、L3/L2≧0.46の条件を満たしていない。また、L1×AB比×L4は0.62であり、0.6(mm2)>L1×AB比×L4の条件を満たしていない。径方向AB角度αは33.6degであり、角度αが33deg以下の条件を満たしていない。
【0093】
エンジンオイル排出能力は、1.00であり、デポジット抑制の基準となるベース例を同等であった。
【0094】
(比較例3)
比較例3のオイルコントロールリングの主な寸法は次のとおりである。
L1/H1:0.17
AB比:1.38
三角形の面積S1/ランド空間面積S2:12.7%
L1/L2:0.29
L3/L2:0.42
L1×AB比×L4:0.70(mm2
径方向AB角度α:27.3deg
【0095】
比較例3のオイルコントロールリングでは、L1/H1が0.17であり、0.15>L1/H1の条件を満たさない。三角形の面積S1/ランド空間面積S2が12.7%であり、11%を超えている。L1/L2は0.29であり、0.27≧L1/L2の条件を満たしていない。L3/L2は、0.42であり、L3/L2≧0.46の条件を満たしていない。また、L1×AB比×L4は0.70であり、0.6(mm2)>L1×AB比×L4の条件を満たしていない。
【0096】
エンジンオイル排出能力は、0.9であり、デポジット抑制の基準となるベース例を下回った。
【0097】
上記解析の結果から各種寸法とエンジンオイル排出能力の相関を示すグラフを作成した。図10には、L1/H1とエンジンオイル排出能力との間の相関を示すグラフを示し、図11には、AB比とエンジンオイル排出能力との間の相関を示すグラフを示し、図12には、三角形面積S1/ランド空間面積S2とエンジンオイル排出能力と間の相関を示すグラフを示す。図13には、L1/L2とエンジンオイル排出能力と間の相関を示すグラフを示し、図14には、L3/L2とエンジンオイル排出能力と間の相関を示すグラフを示す。図15には、L1×AB比×L4とエンジンオイル排出能力と間の相関を示すグラフを示す。
【0098】
図10に示すように、L1/H1とエンジンオイル排出能力の相関係数R2が0.93程度であり、オイルコントロールリングが、0.15>L1/H1≧0の条件を満たすことで、エンジンオイル排出能力が高まり、エンジンオイルの滞留を抑制できることが確認できる。
【0099】
図11に示すように、AB比とエンジンオイル排出能力の相関係数R2が0.65程度であり、1.0≦AB比≦1.5の条件を満たすことで、エンジンオイル排出能力が高まり、エンジンオイルの滞留を抑制できることが確認できた。
【0100】
図12に示すように、三角形面積S1/ランド空間面積S2とエンジンオイル排出能力の相関係数R2が、0.93程度であり、三角形の面積S1はランド空間面積S2の11%以下であることで、エンジンオイル排出能力が増加し、エンジンオイルの滞留を抑制できることが確認できた。
【0101】
図13に示すように、L1/L2とエンジンオイル排出能力の相関係数R2が0.91であり、0.27≧L1/L2の条件を満たすことで、エンジンオイル排出能力が増加し、エンジンオイルの滞留を抑制できることが確認できた。
【0102】
図14に示すように、L3/L2とエンジンオイル排出能力の相関係数R2が0.93程度であり、L3/L2≧0.46の条件を満たすことで、エンジンオイル排出能力が増加し、エンジンオイルの滞留を抑制できることが確認できた。
【0103】
図15に示すように、L1(mm)×AB比×L4(mm)とエンジンオイル排出能力の相関係数R2が0.85程度であり、0.6(mm2)>L1×AB比×L4の条件を満たすことで、エンジンオイル排出能力が増加し、エンジンオイルの滞留を抑制できることが確認できた。
【0104】
図16には、上記解析によって算出された、実施例1とベースの例における、ピストン下降工程のクランク角度毎のエンジンオイルの流れを示す。実施例1では、エンジンオイルが滞留することなく、窓孔に流れることが確認でき、ベースの例では、実施例1に比べてエンジンオイルが滞留していることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、オイルコントロールリングにおいて、オイルリングのシリンダ側のランド空間にエンジンオイルが滞留しデポジットが堆積することを抑制する際に有用である。
【符号の説明】
【0106】
1 オイルコントロールリング
10 オイルリング
11 コイルエキスパンダ
20、21 ランド部
22 ウェブ部
30 窓孔
40、43 内側面
41、44 外周摺動面
50、51 非窓孔部
L1、L'1 非窓孔部の長さ
H1 オイルリングの摺動方向の幅
F 中心線
R 径方向
Q 周方向
Z 軸方向(摺動方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2022-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルコントロールリングであって、
摺動方向に配置された一対のランド部をウェブ部で連結したオイルリングと、
前記オイルリングの径方向の内周側に配置され、前記オイルリングを径方向の外周側に向けて付勢するコイルエキスパンダと、を備え、
前記オイルリングのウェブ部には、円周方向に沿って複数の窓孔が形成され、当該窓孔は、ウェブ部を径方向に貫通し、
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、燃焼室側のランド部の径方向の外周側に位置し、ウェブ部の径方向の外周面とランド部の摺動面とを繋げる燃焼室側のランド部の内側面と、クランク室側のランド部の径方向の外周側に位置し、ウェブ部の径方向の外周面とランド部の摺動面とを繋げるクランク室側のランド部の内側面は、径方向の外周側に向かって拡径し、
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、オイルリングの摺動方向の幅H1と、前記ウェブ部の外周面の燃焼室側における窓孔を除いた非窓孔部の長さL1が、次の条件を満たし、
0.15>L1/H1≧0
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、前記燃焼室側のランド部の摺動面におけるクランク室側の端部をAとし、前記ウェブ部の外周面の燃焼室側における非窓孔部の窓孔側の端部をBとし、前記ウェブ部の外周面の燃焼室側における非窓孔部のランド部の内側面側の端部をCとした時に、点Aと点Bの間の距離AB、点Aと点Cの間の距離AC、及び点Bと点Cの間の距離BCは、次の条件を満たす、
1.0≦(距離AC+距離BC)/(距離AB)≦1.5
オイルコントロールリング。
【請求項2】
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、点A、点B及び点Cで形成した三角形の面積は、前記オイルリングの径方向の外周側において一対のランド部とウェブ部で形成される空間面積の11%以下0%以上である、請求項1に記載のオイルコントロールリング。
【請求項3】
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、前記クランク室側のランド部の摺動面における燃焼室側の端部をA’とした時に、(距離AC+距離BC)/(距離AB)と、前記非窓孔部の長さL1(mm)と、前記ランド部の点Aと点A’の間の距離L4(mm)は、次の条件を満たす、
0.6(mm2)>L1×((距離AC+距離BC)/(距離AB))×L4
請求項1又は2に記載のオイルコントロールリング。
【請求項4】
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、ウェブ部の摺動方向の幅L2と前記非窓孔部の長さL1は、次の条件を満たす、
0.27≧L1/L2
請求項1~3のいずれか一項に記載のオイルコントロールリング。
【請求項5】
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、ウェブ部の摺動方向の幅L2と窓孔の摺動方向の幅L3は、次の条件を満たす、
L3/L2≧0.46
請求項1~4のいずれか一項に記載のオイルコントロールリング。
【請求項6】
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、前記燃焼室側のランド部の摺動面におけるクランク室側の端部と、前記ウェブ部の外周面の燃焼室側における非窓孔部の窓孔側の端部とを通る仮想直線が、前記オイルリングの径方向に対しなす角度は33deg以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のオイルコントロールリング。
【請求項7】
前記非窓孔部は、平坦面又は曲面である、請求項1~6のいずれか一項に記載のオイルコントロールリング。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルコントロールリングであって、
摺動方向に配置された一対のランド部をウェブ部で連結したオイルリングと、
前記オイルリングの径方向の内周側に配置され、前記オイルリングを径方向の外周側に向けて付勢するコイルエキスパンダと、を備え、
前記オイルリングのウェブ部には、円周方向に沿って複数の窓孔が形成され、当該窓孔は、ウェブ部を径方向に貫通し、
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、燃焼室側のランド部の径方向の外周側に位置し、ウェブ部の径方向の外周面とランド部の摺動面とを繋げる燃焼室側のランド部の内側面と、クランク室側のランド部の径方向の外周側に位置し、ウェブ部の径方向の外周面とランド部の摺動面とを繋げるクランク室側のランド部の内側面は、径方向の外周側に向かって拡径し、
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、オイルリングの摺動方向の幅H1と、前記ウェブ部の外周面の燃焼室側における窓孔を除いた非窓孔部の長さL1が、次の条件を満たし、
0.15>L1/H1
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、前記燃焼室側のランド部の摺動面におけるクランク室側の端部をAとし、前記ウェブ部の外周面の燃焼室側における非窓孔部の窓孔側の端部をBとし、前記ウェブ部の外周面の燃焼室側における非窓孔部のランド部の内側面側の端部をCとした時に、点Aと点Bの間の距離AB、点Aと点Cの間の距離AC、及び点Bと点Cの間の距離BCは、次の条件を満たし、
1.0(距離AC+距離BC)/(距離AB)≦1.5
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、点A、点B及び点Cで形成した三角形の面積は、前記オイルリングの径方向の外周側において一対のランド部とウェブ部で形成される空間面積の11%以下0%を超えるものであり、
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、前記燃焼室側のランド部の摺動面におけるクランク室側の端部と、前記ウェブ部の外周面の燃焼室側における非窓孔部の窓孔側の端部とを通る仮想直線が、前記オイルリングの径方向に対しなす角度は33deg以下である、オイルコントロールリング。
【請求項2】
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、前記クランク室側のランド部の摺動面における燃焼室側の端部をA’とした時に、(距離AC+距離BC)/(距離AB)と、前記非窓孔部の長さL1(mm)と、前記ランド部の点Aと点A’の間の距離L4(mm)は、次の条件を満たす、
0.6(mm2)>L1×((距離AC+距離BC)/(距離AB))×L4
請求項1に記載のオイルコントロールリング。
【請求項3】
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、ウェブ部の摺動方向の幅L2と前記非窓孔部の長さL1は、次の条件を満たす、
0.27≧L1/L2
請求項1又は2に記載のオイルコントロールリング。
【請求項4】
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、ウェブ部の摺動方向の幅L2と窓孔の摺動方向の幅L3は、次の条件を満たす、
L3/L2≧0.46
請求項1~3のいずれか一項に記載のオイルコントロールリング。
【請求項5】
前記非窓孔部は、平坦面又は曲面である、請求項1~4のいずれか一項に記載のオイルコントロールリング。
【請求項6】
前記オイルリングの軸方向の窓孔最大開口部の軸方向における断面において、前記仮想直線が、前記オイルリングの径方向に対しなす角度は20deg以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載のオイルコントロールリング。