(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156273
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】扁平容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B65D1/02 221
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059871
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 秀治
(72)【発明者】
【氏名】伊原 諒太朗
(72)【発明者】
【氏名】森岡 舜
(72)【発明者】
【氏名】橋本 慶吾
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA15
3E033BA16
3E033BB08
3E033CA20
3E033DA04
3E033EA01
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】容器本体が押圧されたときにおいて容器本体が歪に変形することを抑制するとともに、容器本体のスクイズ性が損なわれることを抑制することができる扁平容器を提供する。
【解決手段】容器本体1を備えた扁平容器100であって、容器本体は、口部3及び胴部2を有し、胴部は、パーティングラインPLを介して接続される第1及び第2面部を有し、第1及び第2面部21、22のうちの少なくとも一方には、パネル部23及びリブ24が形成され、パネル部は、リブによって区画される凹状部で構成され、パネル部の上縁は、上側に向かって凸状に湾曲しており、パネル部のうち、容器本体の周方向において最もパーティングラインに近接した部分は、当該部分を通り口部の中心軸に直交する断面において、パーティングラインを基準に15度以内の範囲に配置されている、扁平容器が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体を備えた扁平容器であって、
前記容器本体は、口部及び胴部を有し、
前記胴部は、パーティングラインを介して接続される第1及び第2面部を有し、
第1及び第2面部のうちの少なくとも一方には、パネル部及びリブが形成され、
前記パネル部は、前記リブによって区画される凹状部で構成され、
前記パネル部の上縁は、上側に向かって凸状に湾曲しており、
前記パネル部のうち、前記容器本体の周方向において最も前記パーティングラインに近接した部分は、当該部分を通り前記口部の中心軸に直交する断面において、前記パーティングラインを基準に15度以内の範囲に配置されている、扁平容器。
【請求項2】
請求項1に記載の扁平容器であって、
前記パネル部は、中央面部と、一対の側面部とを有し、
前記中央面部は、平坦面状に形成され、
前記一対の側面部は、曲面状に形成され、且つ、前記中央面部の両側にそれぞれ接続されている、扁平容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の扁平容器であって、
前記容器本体は、底面部を更に有し、
前記容器本体の高さ方向において、前記底面部から前記口部までの長さを第1長さとし、
前記容器本体の高さ方向において、前記パネル部の最下部から、前記パネル部の最上部までの距離を第2長さとしたとき、
第2長さは、第1長さの60%以上の長さである、扁平容器。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の扁平容器であって、
第1面部には、前記パネル部としての第1パネル部が形成され、
第2面部には、前記パネル部としての第2パネル部が形成され、
第1及び第2面部には、前記リブが形成され、
前記リブは、上リブ及び下リブを有し、
前記上リブは、前記下リブよりも上に形成され、
前記上リブ及び前記下リブは、前記容器本体の高さ方向において、互いに間隔をあけて設けられ、
第1パネル部及び第2パネル部は、前記パーティングラインにおいて互いに接続されている、扁平容器。
【請求項5】
請求項4に記載の扁平容器であって、
前記上リブは、複数の頂部及び複数の上裾状部を有し、
第1及び第2パネル部には、前記頂部と一対の前記上裾状部とが形成され、
各前記頂部は、各第1及び第2パネル部における前記上リブのうちの最上部に設けられ、
第1パネル部の前記上裾状部と第2パネルの前記上裾状部とは、互いに接続されており、
各前記上裾状部は、前記頂部から、第1パネル部の前記上裾状部と第2パネルの前記上裾状部との接続位置にかけて、下に傾斜するように形成されている、扁平容器。
【請求項6】
請求項5に記載の扁平容器であって、
前記頂部は、前記容器本体の横幅方向における中央部に配置され、
前記横幅方向は、前記中心軸に直交する方向であって、第1及び第2面部が対向する方向に直交する方向である、扁平容器。
【請求項7】
請求項4~請求項6の何れか1つに記載の扁平容器であって、
前記下リブは、複数の底部及び複数の下裾状部を有し、
第1及び第2パネル部には、前記底部と一対の前記下裾状部とが形成され、
各前記底部は、各第1及び第2パネル部における前記下リブのうちの最下部に設けられ、
第1パネル部の前記下裾状部と第2パネルの前記下裾状部とは、互いに接続されており、
各前記下裾状部は、第1パネル部の前記下裾状部と第2パネルの前記下裾状部との接続位置から、前記底部にかけて、下に傾斜するように形成されている、扁平容器。
【請求項8】
請求項7に記載の扁平容器であって、
前記底部は、前記容器本体の横幅方向における中央部に配置され、
前記横幅方向は、前記中心軸に直交する方向であって、第1及び第2面部が対向する方向に直交する方向である、扁平容器。
【請求項9】
請求項4~請求項8の何れか1つに記載の扁平容器であって、
前記容器本体の高さ方向において、前記上リブの最上部と前記上リブの最下部との間の距離は、前記下リブの最上部と前記下リブの最下部との間の距離の2倍以上である、扁平容器。
【請求項10】
容器本体を備えた扁平容器であって、
前記容器本体は、口部及び胴部を有し、
前記胴部は、互いに対向する一対の長手面部と、互いに対向する一対の短手面部と、複数の角部とを有し、
各前記長手面部と各前記短手面部とは、前記角部を介して接続されており、
各前記短手面部には、パーティングラインが形成され、
前記一対の長手面部のうちの少なくとも一方及び前記一対の短手面部には、パネル部及びリブが形成され、
前記パネル部は、前記リブによって区画される凹状部で構成され、
前記パネル部の上縁は、上側に向かって凸状に湾曲しており、
前記パネル部のうち、前記容器本体の周方向において最も各前記パーティングラインに近接した部分は、前記一対の短手面部にそれぞれ配置されている、扁平容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器には容器本体を押圧して容器を変形させることで、容器の内容物を口部から流出させるように構成されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の容器は、扁平容器である。具体的には、容器本体の高さ方向に直交する容器本体の断面において、長手方向の軸上の部分が、口部の中心軸からの距離が最も長くなっており、長手方向に直交する短手方向の軸上の部分が、口部の中心軸からの距離が最も短くなっている。このような扁平容器は、短手方向の軸に平行に押圧されると、容器が変形しやすいという性質がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器本体の形状によっては、容器本体が押圧されて容器本体が変形したときや、口部が例えばシール等で封止された後に容器の内圧が低下して容器本体が変形したときに、容器本体の任意の箇所が不規則に屈曲し、容器本体が歪に凹んでしまう場合がある。したがって、容器にリブ構造を形成することで容器形状を保持しやすくする手段が考えられる。その一方で、容器にリブ構造を形成すると、容器本体を変形させるにあたって、必要となる押圧力(荷重)が大きくなってしまう。すなわち、容器本体のスクイズ性が損なわれてしまう。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、容器本体が押圧されたときにおいて容器本体が歪に変形することを抑制するとともに、容器本体のスクイズ性が損なわれることを抑制することができる、扁平容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、容器本体を備えた扁平容器であって、前記容器本体は、口部及び胴部を有し、前記胴部は、パーティングラインを介して接続される第1及び第2面部を有し、第1及び第2面部のうちの少なくとも一方には、パネル部及びリブが形成され、前記パネル部は、前記リブによって区画される凹状部で構成され、前記パネル部の上縁は、上側に向かって凸状に湾曲しており、前記パネル部のうち、前記容器本体の周方向において最も前記パーティングラインに近接した部分は、当該部分を通り前記口部の中心軸に直交する断面において、前記パーティングラインを基準に15度以内の範囲に配置されている、扁平容器が提供される。
【0007】
本発明に係る扁平容器によれば、リブによって区画される凹状部で構成されるパネル部を備えているため、パネル部が押圧されたときや内圧が低下したときにパネル部が変形するのに対し、容器本体のうちパネル部以外の部分の変形がリブによって抑制される。つまり、本発明に係る扁平容器によれば、押圧時や内圧低下時においてパネル部が集中的に変形するため、容器本体の任意の箇所が不規則に屈曲することを回避することができ、容器本体が歪に凹んでしまうことを抑制することができる。
また、本発明に係る扁平容器によれば、上述したパネル部は、容器本体の周方向において最もパーティングラインに近接した部分が、当該部分を通り口部の中心軸に直交する断面において、パーティングラインを基準に15度以内の範囲に配置されている。すなわち、容器本体が押圧されたときに集中的に変形する部分(パネル部)の領域が、容器本体の周方向において拡大されており、パネル部を変形させるにあたって必要となる押圧力(荷重)を抑制することができる。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記パネル部は、中央面部と、一対の側面部とを有し、前記中央面部は、平坦面状に形成され、前記一対の側面部は、曲面状に形成され、且つ、前記中央面部の両側にそれぞれ接続されている、扁平容器が提供される。
好ましくは、前記容器本体は、底面部を更に有し、前記容器本体の高さ方向において、前記底面部から前記口部までの長さを第1長さとし、前記容器本体の高さ方向において、前記パネル部の最下部から、前記パネル部の最上部までの距離を第2長さとしたとき、第2長さは、第1長さの60%以上の長さである、扁平容器が提供される。
好ましくは、第1面部には、前記パネル部としての第1パネル部が形成され、第2面部には、前記パネル部としての第2パネル部が形成され、第1及び第2面部には、前記リブが形成され、前記リブは、上リブ及び下リブを有し、前記上リブは、前記下リブよりも上に形成され、前記上リブ及び前記下リブは、前記容器本体の高さ方向において、互いに間隔をあけて設けられ、第1パネル部及び第2パネル部は、前記パーティングラインにおいて互いに接続されている、扁平容器が提供される。
好ましくは、前記上リブは、複数の頂部及び複数の上裾状部を有し、第1及び第2パネル部には、前記頂部と一対の前記上裾状部とが形成され、各前記頂部は、各第1及び第2パネル部における前記上リブのうちの最上部に設けられ、第1パネル部の前記上裾状部と第2パネルの前記上裾状部とは、互いに接続されており、各前記上裾状部は、前記頂部から、第1パネル部の前記上裾状部と第2パネルの前記上裾状部との接続位置にかけて、下に傾斜するように形成されている、扁平容器が提供される。
好ましくは、前記頂部は、前記容器本体の横幅方向における中央部に配置され、前記横幅方向は、前記中心軸に直交する方向であって、第1及び第2面部が対向する方向に直交する方向である、扁平容器が提供される。
好ましくは、前記下リブは、複数の底部及び複数の下裾状部を有し、第1及び第2パネル部には、前記底部と一対の前記下裾状部とが形成され、各前記底部は、各第1及び第2パネル部における前記下リブのうちの最下部に設けられ、第1パネル部の前記下裾状部と第2パネルの前記下裾状部とは、互いに接続されており、各前記下裾状部は、第1パネル部の前記下裾状部と第2パネルの前記下裾状部との接続位置から、前記底部にかけて、下に傾斜するように形成されている、扁平容器が提供される。
好ましくは、前記底部は、前記容器本体の横幅方向における中央部に配置され、前記横幅方向は、前記中心軸に直交する方向であって、第1及び第2面部が対向する方向に直交する方向である、扁平容器が提供される。
好ましくは、前記容器本体の高さ方向において、前記上リブの最上部と前記上リブの最下部との間の距離は、前記下リブの最上部と前記下リブの最下部との間の距離の2倍以上である、扁平容器が提供される。
本発明の実施形態の別の観点によれば、容器本体を備えた扁平容器であって、前記容器本体は、口部及び胴部を有し、前記胴部は、互いに対向する一対の長手面部と、互いに対向する一対の短手面部と、複数の角部とを有し、各前記長手面部と各前記短手面部とは、前記角部を介して接続されており、各前記短手面部には、パーティングラインが形成され、前記一対の長手面部のうちの少なくとも一方及び前記一対の短手面部には、パネル部及びリブが形成され、前記パネル部は、前記リブによって区画される凹状部で構成され、前記パネル部の上縁は、上側に向かって凸状に湾曲しており、前記パネル部のうち、前記容器本体の周方向において最も各前記パーティングラインに近接した部分は、前記一対の短手面部にそれぞれ配置されている、扁平容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1Aは、第1実施形態に係る扁平容器100の正面図である。
図1Bは、
図1Aに示す扁平容器100の右側面図である。
【
図5】
図5は、
図1Aの破線A-Aにおける扁平容器100の断面図である。
【
図6】
図6Aは、第1実施形態の変形例1に係る扁平容器100の斜視図である。
図6Bは、
図6Aに示す扁平容器100を高さ方向に直交する面で切断した状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7Aは、第1実施形態の変形例2に係る扁平容器100の正面図である。
図7Bは、
図7Aに示す扁平容器100の斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7Aに示す破線A-Aにおける扁平容器100の断面図である。
【
図9】
図9Aは、第2実施形態に係る扁平容器100の正面図である。
図9Bは、
図9Aに示す扁平容器100の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.第1実施形態
1-1.構成説明
図1A及び
図1Bに示すように、扁平容器100は、容器本体1を備え、容器本体1は、内容物を収容可能に構成されており、図示省略のキャップが取り付け可能である。
図2A及び
図2Bに示すように、容器本体1は、扁平形状を有する胴部2と、円柱形状を有する口部3と、底面部4とを備えている。容器本体1は、押圧されて変形したときに元の形状に復元するように構成されている。容器本体1を構成する樹脂は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物等で構成することができる。容器本体1は、樹脂単層で構成されていてもよいし、複数層で構成されていてもよい。
【0011】
1-1-1.胴部2
胴部2は、筒状部材であり、上部に口部3が接続され、下部に底面部4が接続されている。説明の便宜上、胴部2の高さ方向(
図5に示す口部3の中心軸zに平行な方向)に直交する断面において、胴部2のうち一対のパーティングラインPLを通る軸を長手方向軸xと規定し、長手方向軸xに直交する軸を短手方向軸yと規定する(
図3B及び
図4B参照)。なお、中心軸zは、長手方向軸xと短手方向軸yとの交差点を通る。
図3B等に示す中心Oは、長手方向軸xと短手方向軸yとの交差点に対応する。なお、本第1実施形態や他の形態では、図中において、パーティングラインPLを破線で示している。このパーティングラインPLは、口部3や底面部4にも形成されているが、説明の便宜上、これらの部位のパーティングラインは示していない。
【0012】
図1A~
図2Bに示すように、胴部2は、パーティングラインPLを介して接続される第1及び第2面部21,22を備えている。第1及び第2面部21,22は、互いに対向するように設けられている。第1実施形態では、第1及び第2面部21,22の形状は、同じ形状である。換言すると、容器本体1は、長手方向軸x-中心軸zによって形成される面を境にして、対称な形状を有する。第1及び第2面部21,22のそれぞれには、パネル部23と、リブ24と、上壁面部25と、下壁面部26とが形成されている。なお、第1面部21に形成されるパネル部23が第1パネル部の一例であり、第2面部22に形成されるパネル部23が第2パネル部の一例である。
【0013】
<パネル部23>
パネル部23は、リブ24で区画される凹状部で構成されている。そして、上壁面部25とパネル部23とを接続するリブ24の位置には、
図3Aに示すように、凹むような段差が形成されている。同様に、下壁面部26とパネル部23とを接続するリブ24の位置には、凹むような段差が形成されている。
【0014】
パネル部23の上縁の形状及び下縁の形状は、リブ24の形状に対応している。具体的には、パネル部23の上縁は、上側に向かって凸状に湾曲するように形成されている。また、パネル部23の下縁は、下側に向かって凸状に湾曲するように形成されている。
【0015】
図1A~
図2Bに示すように、パネル部23は、中央面部23Aと、一対の側面部23Bとを備えている。中央面部23Aは、平坦面状に形成されており、中央面部23Aの一方の側縁には一方の側面部23Bが接続され、中央面部23Aの他方の側縁には他方の側面部23Bが接続されている。
図3B及び
図4Bにおいて、中央面部23Aの範囲は、胴部2の周方向における角度α2として示されている。容器本体1が平坦な中央面部23Aを備えることで、扁平容器100の内圧が低下することで形状変形するとき(減圧変形するとき)、中央面部23Aが変形を効果的に吸収する役割を果し、パネル部23が綺麗に変形する。
【0016】
なお、後述する頂部24A1の位置において、角度α2は、0度である。また、中央面部23Aの側縁の最上部Ar1(
図2A参照)の位置において、角度α2は、約54度であり、中央面部23Aの側縁の最下部Ar2の位置において、角度α2は、約48度である。なお、側縁は、上述したように、中央面部23Aと側面部23Bとが接続される部分に対応する。更に、角度α2は、
図2Aに示す部分Ar3の位置において最大であり、約72度である。つまり、第1実施形態において、角度α2は、最上部Ar1から最下部Ar2までの高さ位置の範囲において、約48度~約72度の範囲内である。
なお、角度α2の範囲はこれに限定されるものではない。ここで、最上部Ar1から最下部Ar2までの高さ位置の範囲において、角度α1を、下限値~上限値の範囲内で規定するものとする。このとき、角度α2の下限値は、例えば、30,35,40,45,50,55度とすることができる。また、角度α2の上限値は、例えば、70,75,80,85,90,95,100,105,110,115,120度とすることができる。
【0017】
また、第1実施形態において、中央面部23Aの面積は、パネル部23の面積に対して約40%を示している。中央面部23Aの面積は、これに限定されるものではなく、例えば、30,32,34,36,38,40,42,44,46,48,50%であり、また、中央面部23Aの面積は、ここで例示した数値の何れか2つの値の間の範囲内によって規定されてもよい。
【0018】
更に、第1実施形態では、中央面部23Aと側面部23Bとの接続部分(上述の角)の形状は、
図1Aに示すように、直線状ではなく、中心軸z側からパーティングラインPL側に向かう方向に凸状に湾曲するように形成されている。このため、扁平容器100がリブ24を設けたことで得られる作用・効果が更に効果的に高まる。
【0019】
図5に示すように、中央面部23Aは、傾斜するように設けられている。すなわち、中央面部23Aは、中心軸zに平行な方向に対して、角度βをなしている。第1実施形態において、角度βは、2度である。なお、角度βは、これに限定されるものではなく、例えば、0,0.5,1.0,1.5,2.0,2.5,3.0,3.5,4.0,4.5,5.0,5.5,6.0,6.5,7.0,7.5,8.0,8.5,9.0,9.5,10.0であり、また、角度βは、ここで例示した角度の何れか2つの角度の間によって規定される角度範囲であってもよい。また、中央面部23Aは、中心軸zに対して逆テーパーをなしていてもよい。つまり、角度βは、マイナスの角度又は角度範囲であってもよい。
【0020】
図2Aに示すように、側面部23Bは、曲面状に形成されている。換言すると、側面部23Bは、胴部2の周方向において湾曲するように形成されている。第1面部21の側面部23Bと第2面部22の側面部23Bとは、パーティングラインPLを介して接続されている。つまり、第1実施形態では、第1面部21のパネル部23と第2面部22のパネル部23とが、パーティングラインPLを介して滑らかに(連続的に)接続されている。
【0021】
<リブ24>
図1A~
図2Aに示すように、リブ24は、パネル部23を区画するように形成されている。つまり、リブ24は、パネル部23と、上壁面部25及び下壁面部26とを区画するように形成されている。容器本体1にリブ24が形成されていることで、パネル部23が押圧されるとパネル部23が集中的に変形し、容器本体1の任意の箇所が不規則に屈曲することを回避することができ、容器本体1が歪に凹んでしまうことを抑制することが可能となる。第1実施形態では、
図2Aに示すように、リブ24は、上リブ24Aと、下リブ24Bとを備えている。パネル部23は、上リブ24Aと下リブ24Bとの間に形成されている。
図3Bにおいて、上リブ24Aの範囲は、胴部2の周方向における角度α1として示されている。
【0022】
上リブ24Aは、下リブ24Bよりも上に形成されており、上側に向かって凸状に湾曲するように形成されている。上リブ24A及び下リブ24Bは、互いに独立しており、容器本体1の高さ方向において、互いに間隔をあけて設けられている。
図2Aに示すように、第1及び第2面部21,22のそれぞれの上リブ24Aは、頂部24A1と、一対の上裾状部24A2とを備えている。
【0023】
各頂部24A1は、各上リブ24Aのうちの最上部に設けられている。各頂部24A1は、容器本体1の横幅方向における中央部に配置されている。ここで、横幅方向は、長手方向軸xに平行な方向である。換言すると、横幅方向は、中心軸zに直交する方向であって、第1及び第2面部21,22が対向する方向(短手方向軸yに平行な方向)に直交する方向である。なお、横幅方向の定義は、後述する底部24B1についても同様である。
【0024】
上裾状部24A2は、頂部24A1から、パーティングラインPLにかけて下に傾斜するように形成されている。ここで、第1面部21のパネル部23の上裾状部24A2と、第2面部22のパネル部23の上裾状部24A2とは、互いに接続されている。このため、換言すると、上裾状部24A2は、頂部24A1から、これらの上裾状部24A2の接続位置にかけて、下に傾斜するように形成されている。
【0025】
下リブ24Bは、下側に向かって凸状に湾曲するように形成されている。第1及び第2面部21,22のそれぞれの下リブ24Bは、底部24B1と、一対の下裾状部24B2とを備えている。
【0026】
各底部24B1は、各下リブ24Bのうちの最下部に設けられている。各底部24B1は、容器本体1の横幅方向における中央部に配置されている。
【0027】
下裾状部24B2は、パーティングラインPLから底部24B1にかけて下に傾斜するように形成されている。ここで、第1面部21のパネル部23の下裾状部24B2と、第2面部22のパネル部23の下裾状部24B2とは、互いに接続されている。このため、換言すると、下裾状部24B2は、これらの下裾状部24B2の接続位置から、底部24B1にかけて、下に傾斜するように形成されている。
【0028】
<上壁面部25及び下壁面部26>
図1A~
図2Aに示すように、上壁面部25の上縁部は、口部3に接続され、上壁面部25の下縁部は、上リブ24Aに接続されている。上壁面部25は、上リブ24A側から口部3側にかけて先細るように形成されている。
下壁面部26の上縁部は、下リブ24Bに接続され、下壁面部26の下縁部は、底面部4に接続されている。下壁面部26は、下リブ24B側から底面部4側にかけて先細るように形成されている。
【0029】
上壁面部25の高さ幅は、下壁面部26の高さ幅よりも長くなっている。ここで、上壁面部25の高さ幅は、
図1Bに示す高さ幅Daに対応し、下壁面部26の高さ幅は、
図1Bに示す高さ幅Dbに対応している。高さ幅Daは、上壁面部25の最上部の位置(胴部2と口部3との接続位置)から、上壁面部25の最下部の位置までの長さである。高さ幅Dbは、下壁面部26の最上部の位置から、下壁面部26の最下部の位置(胴部2と底面部4との接続位置)までの長さである。そして、上壁面部25の最上部における長手方向軸xの径は、下壁面部26の最下部における長手方向軸xの径よりも、小さくなっている。短手方向軸yも同様である。つまり、上壁面部25の最上部における短手方向軸yの径は、下壁面部26の最下部における短手方向軸yの径よりも、小さくなっている。このように、上壁面部25は、高さ幅が下壁面部26よりも長く、且つ、下壁面部26よりも先細りとなっている。
【0030】
<上リブ及び下リブの高さ方向の寸法>
図1Aに示すように、容器本体1の高さ方向(中心軸z方向)において、上リブ24Aの最上部と上リブ24Aの最下部との間の距離DAは、下リブ24Bの最上部と下リブ24Bの最下部との間の距離DBの2倍以上である。なお、上リブ24Aの最上部は、頂部24A1に対応し、上リブ24Aの最下部は、上リブ24AのうちパーティングラインPLの部分に対応する。また、下リブ24Bの最上部は、下リブ24BのうちパーティングラインPLの部分に対応し、下リブ24Bの最下部は、底部24B1に対応する。
第1実施形態では、上述したように、上壁面部25は、高さ幅が下壁面部26よりも長く、且つ、下壁面部26よりも先細りとなっている。このため、距離DAが距離DBの2倍以上であると、容器本体1の表面に形成されるパネル部23の領域が上下のバランス良く拡大されることになり、容器本体1が歪に凹んでしまうことを抑制する効果と、パネル部23を変形させるにあたって必要となる押圧力(荷重)を抑制する効果とを両立しやすくなる。
【0031】
<容器本体1の高さ方向の寸法>
図5に示すように、容器本体1の高さ方向(中心軸z方向)において、底面部4から口部3までの長さを第1長さL1とし、容器本体1の高さ方向において、パネル部23の最下部から、パネル部23の最上部までの距離を第2長さL2とする。このとき、第2長さL2は、第1長さL1の60%以上の長さである。なお、第1実施形態では、第2長さL2は、第1長さL1の約70%である。このような寸法を満たすことで、パネル部23の領域が胴部2の表面において効果的に拡がることになる。つまり、容器本体1が押圧されたときに集中的に変形する部分(パネル部23)の領域が、容器本体において拡大され、パネル部23を変形させるにあたって必要となる押圧力(荷重)を効果的に抑制することができる。
【0032】
1-1-2.口部3及び底面部4
図1Aに示すように、口部3は円柱状部材である。口部3には、例えば、打栓式のキャップやスクリュータイプのキャップと係合可能に構成される。口部3の形状は、係合するキャップの種類に応じて、不図示の溝等の係合部が形成される。
図2Bに示すように、底面部4は、容器本体1のうちの最下部に配置されており、底面部4には、容器本体1を直立した状態で載置するための面が形成されている。
【0033】
1-2.第1実施形態の作用・効果
<容器変形に関する効果について>
実施形態で説明した容器は、ブロー成形で製造される。ここで、容器の肉厚はある程度制御され得るが、完全に肉厚が均一な容器を製造することは困難である。このように、容器の肉厚が均一でないことに起因して、容器が変形した際に、容器が意図しない場所(例えば、パーティングラインやパーティングラインの近傍部)で屈曲する可能性がある。なお、円柱状の容器であれば、容器は屈曲しにくいが、実施形態のように容器が扁平していると、このような屈曲現象がより発生しやすくなる。
【0034】
(1)ここで、容器が変形して屈曲する状況としては、例えば、容器がユーザー等によってスクイズ(押圧)されることで容器に力が加わるような状況がある。すなわち、ユーザー等によって容器がスクイズされることで、容器本体の任意の箇所が不規則に屈曲し、容器本体が歪に凹んでしまう場合がある。このように容器本体が凹むと、内容物の流出量のコントロールをし難くなる。加えて、容器本体1が元の形状に戻りにくくなって再度、容器本体を押圧し難くなると共に美観が損なわれ、更には、直立した状態で容器本体を載置できなくなる等の不具合を招く可能性がある。
(2)また、容器が変形して屈曲する状況としては、容器の内圧低下に伴う状況がある。具体的には、高温の内容物が封入されて口部がアルミシール等で密閉された後、内容物の温度が例えば常温等まで低下すると、容器の内圧が低下し、容器全体に力が加わる状況である。このように、容器に内圧が加わった状況においても、容器本体の任意の箇所が不規則に屈曲し、容器本体が歪に凹んでしまう場合がある。このような場合、製品の美観が損なわれるだけでなく、製品の自立性が損なわれ、例えば、製品を製品陳列棚に置いたときに、製品が倒れてしまうといった不具合を招く可能性がある。
【0035】
第1実施形態に係る扁平容器100は、上リブ24A及び下リブ24Bによって区画される凹状部で構成されるパネル部23を備えているため、パネル部23が押圧されるとパネル部23が集中的に変形するのに対し、容器本体1のうちパネル部23以外の部分(上壁面部25及び下壁面部26)の変形がリブ24によって抑制される。つまり、第1実施形態に係る扁平容器100は、パネル部23が押圧されるとパネル部23が集中的に変形するため、上述の(1)や(2)のような状況下においても、容器本体1の任意の箇所が不規則に屈曲することを回避することができ、容器本体1が歪に凹んでしまうことを抑制することができる。その結果、(1)や(2)に係る、上述した不具合が生じることを回避することができる。
【0036】
また、第1実施形態に係る扁平容器100では、平坦面をなす中央面部23Aを備えているため、容器本体1の内圧が低下したときに中央面部23Aが優先的に凹み、容器本体1の変形が任意の箇所に不規則に発生することを回避することができる。換言すると、第1実施形態に係る扁平容器100では、内圧が低下することで形状変形するとき(減圧変形するとき)、中央面部23Aが変形を効果的に吸収する役割を果し、パネル部23が綺麗に変形する。このため、製品の自立性が損なわれることを効果的に抑制することができる。これにより、第1実施形態に係る扁平容器100は、更に容器本体1が歪に凹んでしまうことを抑制することができる。なお、中央面部23Aと側面部23Bとの接続部分の形状は、直線状ではなく、中心軸z側からパーティングラインPL側に向かう方向に凸状に湾曲しているため、更に効果的に、容器本体1が歪に凹んでしまうことを抑制することができる。
【0037】
<スクイズ性に関する効果について>
第1実施形態に係る扁平容器100は、リブ24(上リブ24A及び下リブ24B)を備えていても、容器本体1のスクイズ性が損なわれることを回避することができる。具体的には、第1実施形態において、第1面部21のパネル部23と第2面部22のパネル部23とは、パーティングラインPLを介して接続されている。換言すると、パネル部23のうち、容器本体1の周方向において最もパーティングラインPLに近接した部分は、パネル部23のうちパーティングラインPL上の位置に一致する。このため、容器本体1が押圧されたときに集中的に変形する部分(パネル部23)の領域が、容器本体1の周方向において拡大されており、第1実施形態に係る扁平容器100は、パネル部23を変形させるにあたって必要となる押圧力(荷重)を抑制することができる。
【0038】
1-3.変形例
1-3-1.変形例1
変形例1に係る扁平容器100は、
図6A及び
図6Bに示すように、各パネル部23が、第1実施形態で説明した中央面部23A(
図1A参照)を備えておらず、各パネル部23が周方向の全域にかけて湾曲面するように形成されている。このような扁平容器100であっても、中央面部23Aに係る作用・効果を除いて、第1実施形態に準ずる作用・効果を得ることができる。つまり、変形例1に係る扁平容器100は、容器本体1が歪に凹んでしまうことを抑制することができ、且つ、パネル部23を変形させるにあたって必要となる押圧力(荷重)を抑制することができる。なお、第1実施形態に係る扁平容器100は、本変形例1の扁平容器100と比較すると、内圧が低下することで形状変形するとき(減圧変形するとき)の作用・効果が優れている。
【0039】
1-3-2.変形例2
変形例2に係る扁平容器100は、
図7A及び
図7Bに示すように、上リブ24Aの最上部と上リブ24Aの最下部との間の距離DAが、下リブ24Bの最上部と下リブ24Bの最下部との間の距離DBよりも短くなっている。そして、本変形例2では、第2長さL2は、第1長さL1の約60%であり、第1実施形態における割合よりは小さい。なお、
図8に示すように、中央面部23Aが内側に凹んでいる。このような扁平容器100では、高さ方向においてパネル部23の占める領域が狭くなる分、リブ24で区画される減圧変形面が狭くなり、パネル部23を変形させるにあたって必要となる押圧力(荷重)がやや高くなる。変形例2においても、パネル部23が胴部2の周方向においては拡大されているため、第1実施形態に準じた作用・効果を得ることができる。なお、第1実施形態に係る扁平容器100は、本変形例2の扁平容器100と比較すると、スクイズ性に関する作用・効果が優れている。
【0040】
2.第2実施形態
2-1.構成説明
第2実施形態は第1実施形態と相違する部分を主に説明し、同様の部分については説明を省略する。
第1実施形態に係る扁平容器100のリブ24は、上リブ24A及び下リブ24Bという独立した対をなすリブを備えているが、第2実施形態に係る扁平容器100は、上リブ24A及び下リブ24Bを備えていない。
図9A及び
図9Bに示すように、第2実施形態に係る扁平容器100のリブ24は、閉じた帯形状をなすように第1及び第2面部21,22にそれぞれ形成されている。
また、第1実施形態において、第1面部21のパネル部23と第2面部22のパネル部23とは、パーティングラインPLを介して接続されているが、第2実施形態において、第1面部21のパネル部23と第2面部22のパネル部23とは、互いに独立している。対応して、第1面部21のリブ24と第2面部22のリブ24についても、互いに独立して形成されている。
また、第2実施形態に係る扁平容器100は、互いに独立している上壁面部25及び下壁面部26を備えておらず、1つの壁面部27を備えている。
【0041】
第2実施形態においても、パネル部23は、周方向に拡大するように延びている。パネル部23が周方向に拡大している構成を説明するにあたり、(1)部分pt、(2)部分ptを通る断面、(3)リブ24の位置を規定する破線Rについて説明する。
【0042】
(1)
図9Bに示すように、部分ptは、パネル部23のうち、容器本体1の周方向において最もパーティングラインPLに近接した部分である。なお、リブ24のうち部分ptよりも上側の部分は、上リブとみなすことができ、リブ24のうち部分ptよりも下側の部分は、下リブとしてみなすことができる。つまり、第2実施形態は、上リブと下リブは、独立しておらず、互いに接続された形態であるとみなすことができる。
(2)部分ptを通り中心軸zに直交する断面は、
図9Aに示す破線A-Aの断面に対応している。つまり、この断面は、
図10に示す断面に対応している。
(3)
図10に示す破線Rは、リブ24のうち最もパーティングラインPLから離れている部分と、中心Oとを通る直線である。つまり、リブ24は、破線RとパーティングラインPLとの間の角度範囲内に形成されている。
【0043】
第2実施形態では、部分ptは、部分ptを通り中心軸zに直交する断面において、パーティングラインPLを基準に15度以内の範囲に配置されている。換言すると、第2実施形態では、破線Rが長手方向軸xとなす角度θは、15度以内である。
図10に示す形態例では、破線Rが長手方向軸xとなす角度θは、13度である。なお、第1実施形態及びその変形例は、図示は省略するが、ここでいう角度θは、0度であり、第1実施形態及びその変形例もまた、上述した角度の関係(パーティングラインPLを基準に15度以内)を満している。
【0044】
2-2.第2実施形態の作用・効果
第2実施形態に係る扁平容器100も、第1実施形態と同様の作用・効果を有する。
第2実施形態に係る扁平容器100は、リブ24によって区画される凹状部で構成されるパネル部23を備えているため、パネル部23が押圧されるとパネル部23が変形するのに対し、容器本体1のうちパネル部23以外の部分(壁面部27)の変形がリブ24によって抑制される。つまり、第2実施形態に係る扁平容器100は、パネル部23が押圧されるとパネル部23が集中的に変形するため、容器本体1の任意の箇所が不規則に屈曲することを回避することができ、容器本体1が歪に凹んでしまうことを抑制することができる。
また、第2実施形態に係る扁平容器100は、リブ24を備えていても、容器本体1のスクイズ性が損なわれることを回避することができる。具体的には、部分ptは、部分ptを通り中心軸zに直交する断面において、パーティングラインPLを基準に15度以内の範囲に配置されている。このため、容器本体1が押圧されたときに集中的に変形する部分(パネル部23)の領域が、容器本体1の周方向において拡大されており、第2実施形態に係る扁平容器100は、パネル部23を変形させるにあたって必要となる押圧力(荷重)を抑制することができる。
【0045】
3.その他の実施形態
3-1.形態1
第2実施形態では、部分ptの角度に関連してリブ24の形状を規定したが、これに限定されるものではない。例えば、
図10に示すように、容器本体1の胴部2が、互いに対向する一対の長手面部Sr1と、互いに対向する一対の短手面部Sr2と、複数の角部Ctとを有する場合において、リブ24が、長手面部Sr1ではなく、短手面部Sr2に形成されているものとして、リブ24の形状を規定することもできる。
【0046】
ここで、長手面部Sr1の曲率半径は、短手面部Sr2の曲率半径よりも大きい。また、胴部2の周方向の曲率半径は、リブ24の形成部分を除いて、角部Ctにおいて最小となっている。長手面部Sr1には、パネル部23の一部と、リブ24の一部とが形成されている。そして、長手面部Sr1と短手面部Sr2とは、角部Ctを介して接続されている。短手面部Sr2には、パーティングラインPLと、パネル部23の他部(パネル部23の残りの部分)と、リブ24の他部(リブ24の残りの部分)とが形成されている。そして、パネル部23のうち、容器本体1の周方向において最もパーティングラインPLに近接した部分ptは、短手面部Sr2に配置されている。このような形態であっても、第2実施形態に準じた作用・効果を得ることができる。
【0047】
3-2.形態2
第1及び第2実施形態や変形例では、第1及び第2面部21,22の両方に、それぞれ、パネル部23及びリブ24が形成された形態を説明したが、これに限定されるものではない。第1及び第2面部21,22のうちの少なくとも一方に、パネル部23及びリブ24が形成されている形態であっても、第1及び第2実施形態や変形例に準じた作用・効果を得ることができる。
【0048】
3-3.形態3
第1及び第2実施形態や変形例では、第1面部21のパネル部23及びリブ24と、第2面部22のパネル部23及びリブ24とは、同じ形状であったが、これに限定されるものではない。第1面部21のパネル部23及びリブ24と、第2面部22のパネル部23及びリブ24とは、同じ形状でなくても、第1及び第2実施形態や変形例に準じた作用・効果を得ることができる。
【0049】
4.比較例
以下では、第1実施形態及びその変形例1、2や第2実施形態のような作用・効果を得ることができない容器について説明する。
【0050】
4-1.比較例1
図11A及び
図11Bに示す比較例1に係る扁平容器100は、
図10に示す第2実施形態の扁平容器100に類似する構成を備えている。比較例1に係る扁平容器100において、
図12に示すように、部分ptは、部分ptを通り中心軸zに直交する断面において、パーティングラインPLを基準に約30度の位置に配置されている。つまり、比較例1は、第2実施形態と比較して、パネル部23の周方向の拡大量が小さくなっている。このような容器では、パネル部23を変形させるにあたって必要となる押圧力(荷重)がその分高くなってしまう上に、スクイズ時において容器本体1が屈曲してしまいやすい。
【0051】
4-2.比較例2
図13A及び
図13Bに示す比較例2に係る扁平容器100は、比較例1よりも更にパネル部23の領域が高さ方向にも周方向にも狭くなっている。比較例2についても、比較例1と同様に、パネル部23を変形させるにあたって必要となる押圧力(荷重)がその分高くなってしまう上に、スクイズ時において容器本体1が屈曲してしまいやすい。
【0052】
4-2.比較例3
図14A及び
図14Bに示す比較例3に係る扁平容器100は、上リブに対応するようなリブ24を備えている。なお、比較例3に係る扁平容器100は、下リブを備えていない。比較例3に係る扁平容器100は、パネル部23を変形させるにあたって必要となる押圧力(荷重)を抑制することができているが、扁平容器100が減圧変形しているときに凹みが形成され、パネル部23の全体が綺麗に押圧変形しない。つまり、比較例3に係る扁平容器100は、容器本体1が歪に凹んでしまう。
【符号の説明】
【0053】
100 :扁平容器
1 :容器本体
2 :胴部
3 :口部
4 :底面部
21 :第1面部
22 :第2面部
23 :パネル部
23A :中央面部
23B :側面部
24 :リブ
24A :上リブ
24A1 :頂部
24A2 :上裾状部
24B :下リブ
24B1 :底部
24B2 :下裾状部
25 :上壁面部
26 :下壁面部
27 :壁面部
pt :部分
O :中心
PL :パーティングライン
Sr1 :長手面部
Sr2 :短手面部
Ct :角部
x :長手方向軸
y :短手方向軸
z :中心軸