(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156277
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】インバータ制御方法、およびインバータ制御装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20221006BHJP
H02P 27/08 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H02M7/48 F
H02P27/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059876
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】大貫 泰道
【テーマコード(参考)】
5H505
5H770
【Fターム(参考)】
5H505DD03
5H505EE49
5H505GG04
5H505HB01
5H505JJ29
5H505KK06
5H505LL22
5H505LL24
5H505LL41
5H770AA07
5H770BA01
5H770DA03
5H770DA41
5H770EA02
5H770EA21
5H770HA03W
5H770HA04Z
5H770HA07Z
(57)【要約】
【課題】パルス信号のデューティに変動が生じないインバータ制御方法、およびインバータ制御装置を提供することを目的の一つとする。
【解決手段】モータを駆動するための変調波信号とキャリア信号とを比較して得られたパルス信号が出力されない休止区間を有する2相変調方式の3相インバータ制御方法であって、パルス信号生成部は、前記モータの電気角が3相それぞれの前記休止区間内であるとき、第1のキャリア信号から第2のキャリア信号に切り替える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動するための変調波信号とキャリア信号とを比較して得られたパルス信号が出力されない休止区間を有する2相変調方式の3相インバータ制御方法であって、
パルス信号生成部は、前記モータの電気角が3相それぞれの前記休止区間内であるとき、第1の前記キャリア信号から第2の前記キャリア信号に切り替える、
インバータ制御方法。
【請求項2】
3相交流電力を生成するための変調波信号とキャリア信号とを比較して得られたパルス信号が出力されない休止区間を有する2相変調方式の3相インバータ制御方法であって、
パルス信号生成部は、前記3相交流電力の電気角が3相それぞれの前記休止区間内であるとき、第1の前記キャリア信号から第2の前記キャリア信号に切り替える、
インバータ制御方法。
【請求項3】
前記休止区間内は、所定の角度である、
請求項1または請求項2に記載のインバータ制御方法。
【請求項4】
前記休止区間内は、前記休止区間の中間点である、
請求項1または請求項2に記載のインバータ制御方法。
【請求項5】
前記第1のキャリア信号と前記第2のキャリア信号は、正負反転した三角波信号である、
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載のインバータ制御方法。
【請求項6】
前記休止区間は、前記電気角が120度の範囲である、
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載のインバータ制御方法。
【請求項7】
前記休止区間は、前記電気角が60度の範囲である、
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載のインバータ制御方法。
【請求項8】
モータを駆動するための変調波信号とキャリア信号とを比較して得られたパルス信号が出力されない休止区間を有する2相変調方式の3相インバータ制御装置であって、
前記モータの電気角を検出するモータ角度検出部と、
検出された前記モータの電気角が3相それぞれの前記休止区間内であるとき、第1の前記キャリア信号から第2の前記キャリア信号に切り替えるパルス信号生成部と、
を備えるインバータ制御装置。
【請求項9】
3相交流電力を生成するための変調波信号とキャリア信号とを比較して得られたパルス信号が出力されない休止区間を有する2相変調方式の3相インバータ制御装置であって、
前記3相交流電力の電気角を検出する電気角度検出部と、
検出された前記3相交流電力の電気角が3相それぞれの前記休止区間内であるとき、第1の前記キャリア信号から第2の前記キャリア信号に切り替えるパルス信号生成部と、
を備えるインバータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ制御方法、およびインバータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3相電動機の可変速駆動等の際に用いられる3相電圧形インバータのPWM(パルス幅変調)制御法として、従来から3アーム変調方式が多用されてきた(例えば特許文献1参照)。
図14は、一般的な3相PWM電圧形インバータの基本回路を示す回路図である。
図14のように3アーム変調方式では、1搬送波周期内で3アーム(スイッチング素子Q901とQ902の組み合わせと、スイッチング素子Q903とQ904の組み合わせと、スイッチング素子Q905とQ906の組み合わせ)のそれぞれが上アームと下アームの1回ずつ、合計2回スイッチングすることにより所望の出力電圧を得ている。
【0003】
このような3相PWM電圧形インバータでは、スイッチングに伴うアースに対する電位変動が主路とアース間やトランスなどに存在する浮遊容量を充放電させることにより、アース線を経路として伝播されるコモンモードノイズ(同相雑音)が発生する。このようなコモンモードノイズを低減する技術としては、非特許文献1に記載の手法が提案されている。
図15は、非特許文献1に記載の技術の3相PWM電圧形インバータにおける搬送波と電圧基準信号を示す図である。波形図g901はU相の出力電圧eU波形であり、波形図g902はV相の出力電圧eV波形であり、波形図g903はW相の出力電圧eW波形であり、グラフg904は電気角の時間変化のグラフである。波形図g901~波形図g903、グラフg904において横軸は時刻である。波形図g901~波形図g903において縦軸は電圧である。グラフg904において縦軸は電気角(deg)である。
図16は、非特許文献1に記載の技術の3相PWM電圧形インバータにおけるPWM信号と電圧基準信号を示す図である。波形図g921はU相のH側のPWM出力信号UHの波形であり、波形図g922はV相のH側PWM出力信号VHの波形であり、波形図g923はW相のH側のPWM出力信号WHの波形である。波形図g921~波形図g923において横軸は時刻である。波形図g921~波形図g923において縦軸は電圧である。
図15において、三角波g911、g913およびg915は、キャリア信号(搬送波)である。
図15と
図16において、波形g912、g914およびg916は各相の電圧基準信号の波形である。
図16において、波形g931、g932およびg933は各相のPWM信号の波形である。
【0004】
非特許文献1に記載の技術では、
図15と
図16のように、変調を行う2つの相のうち片方のキャリア信号をCからC’に(またはC’からCに)、PWM信号出力期間に反転させる。なお、キャリア信号Cとキャリア信号C’とは、正負反転した三角波信号である。また、PWM信号が出力されていない区間(例えばUでは電気角210~330度の時刻t902~t903)は、休止区間である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】佐藤 伸二、加藤 史樹、他、“コモンモードノイズを低減する電圧形3相インバータのPWM制御”、電気学会研究会資料.MD/モータドライブ研究会[編]、2021年1-14号、p67-72、2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術では、キャリア信号の切り替え点(例えばW相では
図11の時刻t902)において,PWMデューティに変動が起きる。PWMデューティの変動により電圧パルス幅の一時的な延長あるいは短縮が発生するため,従来技術では、インバータの出力電力に乱れが生じ、電力の過大・過小が発生する。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、パルス信号のデューティに変動が生じないインバータ制御方法、およびインバータ制御装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るインバータ制御方法、およびインバータ制御装置は、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係るインバータ制御方法は、モータを駆動するための変調波信号とキャリア信号とを比較して得られたパルス信号が出力されない休止区間を有する2相変調方式の3相インバータ制御方法であって、パルス信号生成部は、前記モータの電気角が3相それぞれの前記休止区間内であるとき、第1の前記キャリア信号から第2の前記キャリア信号に切り替える、インバータ制御方法である。
【0010】
(2):この発明の一態様に係るインバータ制御方法は、3相交流電力を生成するための変調波信号とキャリア信号とを比較して得られたパルス信号が出力されない休止区間を有する2相変調方式の3相インバータ制御方法であって、パルス信号生成部は、前記3相交流電力の電気角が3相それぞれの前記休止区間内であるとき、第1の前記キャリア信号から第2の前記キャリア信号に切り替える、インバータ制御方法である。
【0011】
(3):上記(1)または(2)の態様において、前記休止区間内は、所定の角度である。
【0012】
(4):上記(1)または(2)の態様において、前記休止区間内は、前記休止区間の中間点である。
【0013】
(5):上記(1)から(4)のうちのいずれか1つの態様において、前記第1のキャリア信号と前記第2のキャリア信号は、正負反転した三角波信号である。
【0014】
(6):上記(1)から(5)のうちのいずれか1つの態様において、前記休止区間は、前記電気角が120度の範囲である。
【0015】
(7):上記(1)から(5)のうちのいずれか1つの態様において、前記休止区間は、前記電気角が60度の範囲である。
【0016】
(8):この発明の一態様に係るインバータ制御装置は、モータを駆動するための変調波信号とキャリア信号とを比較して得られたパルス信号が出力されない休止区間を有する2相変調方式の3相インバータ制御装置であって、前記モータの電気角を検出するモータ角度検出部と、検出された前記モータの電気角が3相それぞれの前記休止区間内であるとき、第1の前記キャリア信号から第2の前記キャリア信号に切り替えるパルス信号生成部と、を備えるインバータ制御装置である。
【0017】
(9):この発明の一態様に係るインバータ制御装置は、3相交流電力を生成するための変調波信号とキャリア信号とを比較して得られたパルス信号が出力されない休止区間を有する2相変調方式の3相インバータ制御装置であって、前記3相交流電力の電気角を検出する電気角度検出部と、検出された前記3相交流電力の電気角が3相それぞれの前記休止区間内であるとき、第1の前記キャリア信号から第2の前記キャリア信号に切り替えるパルス信号生成部と、を備えるインバータ制御装置である。
【発明の効果】
【0018】
(1)~(9)によれば、モータの電気角が休止区間内であるときキャリア信号を切り替えることにより、パルス信号のデューティに変動が生じないようにすることができる。また、(1)~(9)によれば、コモンモードのノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係るインバータ制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係るPWM信号生成部の構成例を示す回路図である。
【
図3】実施形態に係る各相のキャリア信号の切り替えタイミングと2相電圧基準信号と電気角の関係を示す図である。
【
図4】実施形態に係る各相の2相電圧基準信号とハイレベル側の出力信号の関係を示す図である。
【
図5】実施形態に係るPWM信号生成部の制御手順例のフローチャートである。
【
図6】第1実施例におけるPWM信号生成部の制御手順例のフローチャートである。
【
図7】第2実施例におけるPWM信号生成部の制御手順例のフローチャートである。
【
図8】PWM出力の休止区間が60度の2相変調方式の3相インバータの動作例を示す図である。
【
図9】3相インバータ回路と3相モータと電圧e0を示す図である。
【
図10】従来の正弦波PWM、従来の120度休止型のPWMかつキャリア切り替え無し、本実施形態の第1実施例のインバータ制御装置、非特許文献1に記載の手法によるPWMにおけるコモンモードの電圧e0の周波数成分を示す図である。
【
図11】従来の正弦波PWM、従来の120度休止型のPWMかつキャリア切り替え無し、本実施形態の第1実施例のインバータ制御装置、非特許文献1に記載の手法のPWMにおける変調率とe0に重畳するキャリア信号周波数成分の関係を示す図である。
【
図12】従来の正弦波PWM、従来の60度休止型のPWM、本実施形態の第3実施例のインバータ制御装置におけるコモンモードの電圧e0の周波数成分を示す図である。
【
図13】従来の正弦波PWM、従来の60度休止型のPWM、本実施形態の第3実施例のインバータ制御装置における変調率とe0に重畳するキャリア信号周波数成分の関係を示す図である。
【
図14】一般的な3相PWM電圧形インバータの基本回路を示す回路図である。
【
図15】非特許文献1に記載の3相PWM電圧形インバータにおける搬送波と電圧基準信号を示す図である。
【
図16】非特許文献1に記載の3相PWM電圧形インバータにおけるPWM信号と電圧基準信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明のインバータ制御方法、およびインバータ制御装置の実施形態について説明する。なお、各実施形態のインバータ制御装置は、PWM出力に休止がある2相変調方式の3相インバータである(非特許文献1参照)。
【0021】
図1は、本実施形態に係るインバータ制御装置の構成例を示すブロック図である。
図1のように、インバータ制御装置1は、電源電圧検出部11と、モータ角度検出部13と、モータ電流検出部15と、3相電圧基準信号演算部17と、2相変調電圧基準信号演算部19と、キャリア信号生成部21と、記憶部23と、PWM信号生成部25(パルス信号生成部)とを備える。
【0022】
インバータ制御装置1は、3相インバータInvを介して、3相(U、V、W)のモータMを駆動する。
【0023】
電源電圧検出部11は、インバータ制御装置1の電源電圧値を検出し、検出した電源電圧値Edを3相電圧基準信号演算部17に出力する。
【0024】
モータ角度検出部13は、モータMの電気角の角度(deg)を検出し、検出したモータMの電気角を3相電圧基準信号演算部17と2相変調電圧基準信号演算部19とキャリア信号生成部21とPWM信号生成部25とに出力する。
【0025】
モータ電流検出部15は、モータMの各相の電流値(IPH_U、IPH_V、IPH_W)を検出し、検出した各相の電流値を3相電圧基準信号演算部17に出力する。
【0026】
3相電圧基準信号演算部17は、モータ角度検出部13が検出したモータMの角度と、外部装置からのトルク指令値と、モータMの各相の電流値から、周知の手法によって各相の3相電圧基準信号(VU3、VV3、VW3)を演算する。なお、3相電圧基準信号VU3はU相の信号であり、3相電圧基準信号VV3はV相の信号であり、3相電圧基準信号VW3はW相の信号である。3相電圧基準信号演算部17は、算出した各相の3相電圧基準信号を2相変調電圧基準信号演算部19に出力する。
【0027】
2相変調電圧基準信号演算部19は、モータ角度検出部13が検出したモータMの角度を用いて、各相の3相電圧基準信号から周知の手法によって2相電圧基準信号(VU2、VV2、VW2)(変調波信号)を演算する。なお、2相電圧基準信号VU2はU相の信号であり、2相電圧基準信号VV2はV相の信号であり、2相電圧基準信号VW2はW相の信号である。2相変調電圧基準信号演算部19は、算出した2相電圧基準信号をPWM信号生成部25に出力する。なお、2相変調電圧基準信号は、後述するように、全区間において常にどこかの一相がローレベルに固定されており全区間で常に二相だけが変調されている信号である。なお、変調波信号は、キャリア信号との比較に用いられ、例えば、モータを駆動するための変調波信号であり、または3相交流電力を生成するための変調波信号である。
【0028】
キャリア信号生成部21は、記憶部23が記憶する情報とモータ角度検出部13が検出したモータMの角度を用いて、キャリア信号(例えば三角波信号)C(第1のキャリア信号または第2のキャリア信号)とC’(第2のキャリア信号または第1のキャリア信号)を生成する。なお、キャリア信号CとC’とは、正負が反転した信号である。キャリア信号生成部21は、生成したキャリア信号CとC’をPWM信号生成部25に出力する。なお、インバータ制御装置1は、このキャリア信号を変更することで、PWMのスイッチング周波数を決定する。なお、「第1のキャリア信号から第2のキャリア信号に切り替える」とは、「キャリア信号Cからキャリア信号C’に切り替える」と「キャリア信号C’からキャリア信号Cに切り替える」に相当する。
【0029】
記憶部23は、例えばキャリア信号を切り替えるタイミングである所定のモータ角度を相毎に記憶する。なお、キャリア信号を切り替えるタイミングは、各相の休止区間である。
【0030】
PWM信号生成部25は、キャリア信号CとC’と、2相電圧基準信号(VU2、VV2、VW2)都に基づいて、モータMを駆動するための各相のPWM出力信号(UH、UL、VH、VL、WH、WL)を生成する。なお、PWM出力信号UHはU相のハイレベル信号であり、PWM出力信号ULはU相のローレベル信号である。PWM出力信号VHはV相のハイレベルの信号であり、PWM信号VLはV相のローレベル信号である。PWM信号WHはW相のハイレベル信号であり、PWM出力信号WLはW相のローレベル信号である。なお、PWM信号生成部25は、スイッチングが休止している120度の区間にキャリア信号CとC’とを360度毎に切替える。なお、スイッチングが休止している120度の区間とは、PWM信号を出力していない休止区間である。
【0031】
上述のように、インバータ制御装置1は、電源電圧検出部11と、モータ角度検出部13と、モータ電流検出部15と、3相電圧基準信号演算部17と、2相変調電圧基準信号演算部19と、キャリア信号生成部21と、PWM信号生成部25を備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。また、ソフトウェアは、予め組み込まれていてもよく、またはフラッシュメモリなどの記憶装置によって供給されてもよく、あるいはインターネット等を介して供給されてもよく、クラウド上にあってもよい。
【0032】
次に、PWM信号生成部25の構成例を説明する。
図2は、本実施形態に係るPWM信号生成部の構成例を示す回路図である。
図2のように、PWM信号生成部25は、例えば、キャリア信号切替判定部27と、スイッチSW1と、スイッチSW2と、スイッチSW3と、コンパレータ29と、コンパレータ31と、コンパレータ33と、バッファ35と、インバータ37と、バッファ39と、インバータ41と、バッファ43と、インバータ45と、を備える。なお、
図2に示した回路構成は一例であり、これに限らない。
【0033】
キャリア信号切替判定部27には、モータ角度検出部13が検出したモータ角度(deg)が入力される。キャリア信号切替判定部27は、モータ角度と記憶部23が記憶するU相用の所定のモータ角度とが一致するときキャリア信号を切り替えるU相切替信号を生成し、生成したU相切替信号をスイッチSW1の制御端子に出力する。キャリア信号切替判定部27は、モータ角度と記憶部23が記憶するV相用の所定のモータ角度とが一致するときキャリア信号を切り替えるV相切替信号を生成し、生成したV相切替信号をスイッチSW2の制御端子に出力する。キャリア信号切替判定部27は、モータ角度と記憶部23が記憶するW相用の所定のモータ角度とが一致するときキャリア信号を切り替えるW相切替信号を生成し、生成したW相切替信号をスイッチSW3の制御端子に出力する。なお、所定のモータ角度は、90度等の角度であってもよく、90~210度のように範囲であってもよい。
【0034】
スイッチSW1~スイッチSW3それぞれの第1入力端子には、キャリア信号Cが供給される。スイッチSW1~スイッチSW3それぞれの第2入力端子には、キャリア信号C’が供給される。スイッチSW1は、U相切替信号に応じてキャリア信号CとC’を切り替え、切り替えたキャリア信号C_Uをコンパレータ29の負側入力に出力する。スイッチSW2は、V相切替信号に応じてキャリア信号CとC’を切り替え、切り替えたキャリア信号C_Vをコンパレータ31の負側入力に出力する。スイッチSW3は、W相切替信号に応じてキャリア信号CとC’を切り替え、切り替えたキャリア信号C_Wをコンパレータ33の負側入力に出力する。
【0035】
コンパレータ29の正側入力には、2相電圧基準信号VU2が入力される。コンパレータ29は、2相電圧基準信号VU2とキャリア信号C_Uとを比較し、キャリア信号C_Uより2相電圧基準信号VU2が大きければハイレベルの信号を出力する。バッファ35は、コンパレータ29の出力がハイレベルのときハイレベルのPWM出力信号UHとして出力する。インバータ37は、コンパレータ29の出力がハイレベルのとき信号を反転してローレベルのPWM出力信号ULとして出力する。
【0036】
コンパレータ31の正側入力には、2相電圧基準信号VV2が入力される。コンパレータ31は、2相電圧基準信号VV2とキャリア信号C_Vとを比較し、キャリア信号C_Vより2相電圧基準信号VV2が大きければハイレベルの信号を出力する。バッファ39は、コンパレータ31の出力がハイレベルのときハイレベルのPWM出力信号VHとして出力する。インバータ41は、コンパレータ31の出力がハイレベルのとき信号を反転してローレベルのPWM出力信号VLとして出力する。
【0037】
コンパレータ33の正側入力には、2相電圧基準信号VW2が入力される。コンパレータ33は、2相電圧基準信号VW2とキャリア信号C_Wとを比較し、キャリア信号C_Wより2相電圧基準信号VW2が大きければハイレベルの信号を出力する。バッファ43は、コンパレータ33の出力がハイレベルのときハイレベルのPWM出力信号WHとして出力する。インバータ45は、コンパレータ33の出力がハイレベルのとき信号を反転してローレベルのPWM出力信号WLとして出力する。
【0038】
次に、各相のキャリア信号の切り替えタイミングと2相電圧基準信号との関係を説明する。
図3は、本実施形態に係る各相のキャリア信号の切り替えタイミングと2相電圧基準信号と電気角の関係を示す図である。グラフg11は、U相のキャリア信号C_U(g21)と2相電圧基準信号VU2(g22)の波形例である。グラフg12は、V相のキャリア信号C_V(g23)と2相電圧基準信号VV2(g24)の波形例である。グラフg13は、W相のキャリア信号C_W(g25)と2相電圧基準信号VW2(g26)の波形例である。グラフg14は、電気角の変化である。グラフg11~g14において横軸は時刻である。グラフg11~g13において縦軸は電圧である。グラフg14において縦軸は電気角(deg)である。
【0039】
グラフg11のように、U相では、キャリア信号が例えば電気角270度の時刻t5(g31)とt11(g32)のタイミングで切り替わる。この結果、キャリア信号C_U(g21)は、電気角270度の時刻t5までがキャリア信号C’であり、電気角270~360~270度の時刻t5~t11までの期間がキャリア信号Cであり、電気角270度の時刻t11以降がキャリア信号C’である。
【0040】
グラフg12のように、V相では、キャリア信号が例えば電気角150度の時刻t3(g33)とt9(g34)のタイミングで切り替わる。この結果、キャリア信号C_V(g23)は、電気角150度の時刻t3までがキャリア信号Cであり、電気角150~360~150度の時刻t3~t9までの期間がキャリア信号C’であり、電気角150度の時刻t9以降がキャリア信号Cである。
【0041】
グラフg13のように、W相では、キャリア信号が例えば電気角30度の時刻t1(g35)とt7(g36)のタイミングで切り替わる。この結果、キャリア信号C_W(g25)は、電気角30度の時刻t1までがキャリア信号C’であり、電気角30~360~30度の時刻t1~t7までの期間がキャリア信号Cであり、電気角30度の時刻t7以降がキャリア信号C’である。
【0042】
次に、各相の2相電圧基準信号とハイレベル側の出力信号の関係を説明する。
図4は、本実施形態に係る各相の2相電圧基準信号とハイレベル側の出力信号の関係を示す図である。グラフg41は、U相の2相電圧基準信号VU2(g22)とハイレベル側のPWM出力信号UH(g51)の波形例である。グラフg42は、V相の2相電圧基準信号VV2(g24)とハイレベル側のPWM出力信号VH(g52)の波形例である。グラフg43は、W相の2相電圧基準信号VW2(g26)とハイレベル側の出力信号WH(g53)の波形例である。グラフg41~g43において横軸は時刻であり、縦軸は電圧である。
【0043】
図4のように、インバータ制御装置1は、全区間において常にどこかの一相がローレベルに固定されており全区間で常に二相だけを変調している120度休止型の2相変調方式の3相インバータである。
【0044】
グラフg41のように、ハイレベル側のPWM出力信号UH(g51)の出力区間が電気角210度の時刻t4までであり、電気角210~330度の時刻t4~t6、t10~t12の区間が休止区間である。グラフg42のように、V相のキャリア信号は、ハイレベル側の出力信号UV(g52)の出力区間が電気角90度の時刻t2までであり、電気角90~210度の時刻t2~t4、t8~t10の区間が休止区間である。グラフg43のように、W相のキャリア信号は、ハイレベル側の出力信号UW(g53)の出力区間が電気角90~330度の時刻t2~t6、t8~t12の区間であり、電気角330~360~90度の時刻t2までとt6~t8の区間が休止区間である。
図3のグラフg11~g13のように、U,V,W相それぞれのキャリア信号は、この休止区間に切り替わる。
【0045】
このように本実施形態では、スイッチングが休止する120度の区間(休止区間)にキャリア信号を360度毎に切替えるようにした。この結果、本実施形態によれば、スイッチング動作中に切り替えが発生しないので、グラフg41~g43のようにPWMデューティに変動が生じない。
【0046】
これに対して、従来技術では、
図15のグラフg901~g903のように、スイッチング中にキャリア信号を切替えている。このため、従来技術では、
図16のグラフg931~g933のようにPWMデューティに変動が生じる課題がある。本実施形態によれば、この課題を解決でき、PWMデューティに変動が生じないようにできる。
【0047】
次に、インバータ制御装置1の制御手順例を説明する。
図5は、本実施形態に係るPWM信号生成部の制御手順例のフローチャートである。
【0048】
PWM信号生成部25は、モータ角度検出部13が検出したモータ角度を取得する(ステップS1)。
【0049】
PWM信号生成部25は、記憶部23が記憶する所定のモータ角度と取得した電気角と、を相毎に比較する(ステップS2)。
【0050】
PWM信号生成部25は、相毎に、電気角が、休止区間内かつ所定のモータ角度であるとき、キャリア信号を切り替える(ステップS3)。
【0051】
PWM信号生成部25は、相毎に、2相電圧基準信号VU2とキャリア信号とを比較し、キャリア信号より2相電圧基準信号が大きければハイレベルの信号を出力し、キャリア信号より2相電圧基準信号が小さければローレベルの信号を出力(ステップS4)。PWM信号生成部25は、以下、ステップS1~S4の処理を繰り返す。
【0052】
(第1実施例)
第1実施例のインバータ制御装置1は、PWM出力の休止区間が120度の2相変調方式の3相インバータである。第1実施例のPWM信号生成部25がキャリア信号を切り替えるタイミングは、休止区間内であればよい。例えば
図3において、PWM信号生成部25は、電気角210~330度の休止区間内にU相用のキャリア信号を360度毎に切り替え、電気角90~210度の休止区間内にV相用のキャリア信号を360度毎に切り替え、電気角330~360~90度の休止区間内にW相用のキャリア信号を360度毎に切り替える。
【0053】
図6は、第1実施例におけるPWM信号生成部の制御手順例のフローチャートである。第1実施例において、PWM信号生成部25は、相毎に、電気角が、休止区間内であるとき、キャリア信号を切り替える(ステップS101)。
【0054】
(第2実施例)
第2実施例のインバータ制御装置1は、PWM出力の休止区間が120度の2相変調方式の3相インバータである。第2実施例のPWM信号生成部25がキャリア信号を切り替えるタイミングは、休止区間の中間点であればよい。例えば
図3において、PWM信号生成部25は、電気角210~330度の休止区間の中間点の電気角270度のときにU相用のキャリア信号を360度毎に切り替える。PWM信号生成部25は、電気角90~210度の休止区間の中間点の電気角150度のときにV相用のキャリア信号を360度毎に切り替える。PWM信号生成部25は、電気角330~360~90度の休止区間の中間の電気角30度のときにW相用のキャリア信号を360度毎に切り替える。
【0055】
図7は、第2実施例におけるPWM信号生成部の制御手順例のフローチャートである。第2実施例において、PWM信号生成部25は、相毎に、電気角が、休止区間の中間点であるとき、キャリア信号を切り替える(ステップS101)。
【0056】
(第3実施例)
第3実施例のインバータ制御装置1は、PWM出力の休止区間が60度の2相変調方式の3相インバータである。
図8は、PWM出力の休止区間が60度の2相変調方式の3相インバータの動作例を示す図である。なお、2相変調で上下方式の例である。キャリア状態と休止区間g101のように、U相は、角度-60~60度の区間がキャリア信号C’であり、120~240度の区間がキャリア信号Cであり、60~120度の区間と240~300度の区間が休止区間である。60~120度の休止区間中のモータMへの出力は、PWM出力信号UHがオン状態であり、PWM出力信号ULがオフ状態である。240~300度の休止区間中のモータMへの出力は、PWM出力信号UHがオフ状態であり、PWM出力信号ULがオン状態である。このように、休止区間中の出力状態は、キャリア信号の反転に伴って切り替わる。
【0057】
また、V相は、角度60~180度の区間がキャリア信号C’であり、240~360度の区間がキャリア信号Cであり、180~240度の区間が休止区間である。W相は、角度0~120度の区間がキャリア信号Cであり、180~300度の区間がキャリア信号C’であり、120~180度の区間が休止区間である。
【0058】
グラフg102は2相変調で上下方式の場合の相入力電圧波形である。波形g111はU相の波形であり、波形g112はV相の波形であり、波形g113はW相の波形である(参考文献1および特許文献1参照)。
【0059】
参考文献1;東芝デバイス&ストレージ株式会社、“インバータ回路(DC/AC変換) アプリケーションノート”、[online]、2018 、東芝デバイス&ストレージ株式会社、[令和3年3月16日検索]、<URL:https://toshiba.semicon-storage.com/info/docget.jsp?did=61545>
【0060】
このような休止区間が60度の場合であっても、インバータ制御装置1を適用することが可能である。この場合、PWM信号生成部25は、各相の休止区間にキャリア信号を切り替える。キャリア信号の切り替えタイミングは、第1実施例のように休止区間内であればよく、第2実施例のように休止区間の中間であってもよい。
【0061】
(評価結果)
次に、第1実施例のインバータ制御装置1におけるコモンモードのノイズを評価した結果例を説明する。
図9は、3相インバータ回路と3相モータと電圧e0を示す図である。なお、3相インバータ回路と3相モータの構成は、
図14と同様である。以下の説明で用いる電圧e0は、
図9のように、モータMの3相巻線のY結線の中点線とアースとの電圧である。
【0062】
図10は、従来の正弦波PWM、従来の120度休止型のPWMかつキャリア切り替え無し、本実施形態の第1実施例のインバータ制御装置、非特許文献1に記載の手法によるPWMにおけるコモンモードの電圧e0の周波数成分を示す図である。グラフg201は、従来の正弦波PWMのコモンモードの電圧e0の周波数成分である。グラフg202は、従来の120度休止型かつキャリア切り替え無しのPWMのコモンモードの電圧e0の周波数成分である。グラフg203は、第1実施例のインバータ制御装置におけるコモンモードの電圧e0の周波数成分である。グラフg204は、非特許文献1に記載の手法によるPWMにおけるコモンモードの電圧e0の周波数成分である。グラフg201~g204において、横軸は周波数、縦軸は正規化した信号レベルe0/(Ed/2))である。
【0063】
図10のように、従来の正弦波PWMによる駆動方式では、キャリア周波数(fc)の周波数成分が0.6程度である。これに対して、第1実施例によれば、キャリア周波数(fc)の周波数の信号レベルe0/(Ed/2))が、非特許文献1に記載の手法と同等であり、ほぼ0である。
【0064】
また、
図11は、従来の正弦波PWM、従来の120度休止型のPWMかつキャリア切り替え無し、本実施形態の第1実施例のインバータ制御装置、非特許文献1に記載の手法のPWMにおける変調率とe0に重畳するキャリア信号周波数成分の関係を示す図である。横軸は変調率であり、縦軸はe0/(Ed/2))である。また、黒丸印は、従来の正弦波PWMの変調率とe0に重畳するキャリア信号周波数成分の関係を示す。白抜き四角印は、従来の120度休止型のPWMかつキャリア切り替え無しの変調率とe0に重畳するキャリア信号周波数成分の関係を示す。バツ印は、第1実施例のインバータ制御装置における変調率とe0に重畳するキャリア信号周波数成分の関係を示す。三角印は、非特許文献1に記載の技術によるPWMにおける変調率とe0に重畳するキャリア信号周波数成分の関係を示す。
図10のように、従来の正弦波PWM、従来の120度休止型のPWMでは変調率の変化に伴ってキャリア周波数成分が変化するが、第1実施例によれば非特許文献1に記載の手法と同等であり、変調率が変化してもキャリア周波数成分が0.1以下でほとんど変化せず、PWMデューティに変動が生じない。
なお、第2実施例であっても、第1実施形態と同様に、非特許文献1に記載の従来技術のようにコモンモードのノイズを低減することができる。
【0065】
次に、第3実施例のインバータ制御装置1におけるコモンモードのノイズを評価した結果例を説明する。
図12は、従来の正弦波PWM、従来の60度休止型のPWM、本実施形態の第3実施例のインバータ制御装置におけるコモンモードの電圧e0の周波数成分を示す図である。グラフg201は、従来の正弦波PWMのコモンモードの電圧e0の周波数成分である。グラフg302は、従来の60度休止型のPWMのコモンモードの電圧e0の周波数成分である。グラフg303は、第3実施例のインバータ制御装置におけるコモンモードの電圧e0の周波数成分である。グラフg201、g302~g303において、横軸は周波数、縦軸は正規化した信号レベルe0/(Ed/2))である。
【0066】
図12のように、従来の正弦波PWMによる駆動方式では、キャリア周波数(fc)の周波数成分が0.6程度である。これに対して、第3実施例によれば、キャリア周波数(fc)の周波数成分がほぼ0である。
【0067】
また、
図13は、従来の正弦波PWM、従来の60度休止型のPWM、本実施形態の第3実施例のインバータ制御装置における変調率とe0に重畳するキャリア信号周波数成分の関係を示す図である。横軸は変調率であり、縦軸はe0/(Ed/2))である。また、黒丸印は、従来の正弦波PWMの変調率とe0に重畳するキャリア信号周波数成分の関係を示す。白抜き四角印は、従来の60度休止型のPWMの変調率とe0に重畳するキャリア信号周波数成分の関係を示す。バツ印は、第3実施例のインバータ制御装置における変調率とe0に重畳するキャリア信号周波数成分の関係を示す。
図13のように、従来の正弦波PWM、従来の60度休止型のPWMでは変調率の変化に伴ってキャリア周波数成分が変化するが、第3実施例によれば変調率が変化してもキャリア周波数成分が0.1以下でほとんど変化せず、PWMデューティに変動が生じない。
【0068】
以上のように、本実施形態の各実施例によれば、非特許文献1に記載の技術のようにPWM出力区間中にキャリア信号を切り替える手法と同等にコモンモードノイズを低減することができる。さらに、本実施形態によれば、PWMデューティに変動が生じないようにできる。
【0069】
なお、上述した実施形態、各実施例では、モータMを駆動する信号がPWM信号の例を説明したが、これに限らない。モータMを駆動する信号は、パルス信号であれば他の信号であってもよい。また、上述した実施形態、各実施例では、キャリア信号が三角波信号の例を説明したが、これに限らない。キャリア信号は、例えば正弦波等の他の信号であってもよい。
また、上述した実施形態、各実施例では、インバータに接続される負荷がモータである例を説明したが、これに限らない。例えば、3相交流電力で動作する各種の電気機器への電力供給や、系統電力への逆潮流用途として利用することもできる。
【0070】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0071】
(付記)
(I)一態様に係るインバータ制御装置は、モータを駆動するための変調波信号とキャリア信号とを比較して得られたパルス信号が出力されない休止区間を有する2相変調方式の3相インバータ制御装置であって、前記モータの電気角を検出するモータ角度検出部と、検出された前記モータの電気角が3相それぞれの前記休止区間内であるとき、第1の前記キャリア信号から第2の前記キャリア信号に切り替えるパルス信号生成部と、を備える。
(II)一態様に係るインバータ制御装置は、3相交流電力を生成するための変調波信号とキャリア信号とを比較して得られたパルス信号が出力されない休止区間を有する2相変調方式の3相インバータ制御装置であって、前記3相交流電力の電気角を検出する電気角度検出部と、検出された前記3相交流電力の電気角が3相それぞれの前記休止区間内であるとき、第1の前記キャリア信号から第2の前記キャリア信号に切り替えるパルス信号生成部と、を備える。
(III)上記(I)または(II)の態様において、前記休止区間内は、所定の角度である。
(IV)上記(I)または(II)の態様において、前記休止区間内は、前記休止区間の中間点である。
(V)上記(I)~(IV)のうちのいずれか1つの態様において、前記第1のキャリア信号と前記第2のキャリア信号は、正負反転した三角波信号である。
(VI)上記(I)~(V)のうちのいずれか1つの態様において、前記休止区間は、前記電気角が120度の範囲である。
(VII)上記(I)~(V)のうちのいずれか1つの態様において、前記休止区間は、前記電気角が120度の範囲である。
(VIII)上記(I)~(VII)のうちのいずれか1つの態様において、前記パルス信号生成部は、前記モータの電気角が前記休止区間内であるとき、第1の前記キャリア信号から第2の前記キャリア信号に切り替える切替信号を相毎に生成するキャリア信号切替判定部と、前記第1のキャリア信号と前記第2のキャリア信号が入力され、前記切替信号によって前記第1のキャリア信号と前記第2のキャリア信号を切り替えて出力する相毎のスイッチと、前記変調波信号と前記キャリア信号とを比較する相毎のコンパレータと、を備える。
【符号の説明】
【0072】
1…インバータ制御装置、
11…電源電圧検出部、
13…モータ角度検出部、
15…モータ電流検出部、
17…3相電圧基準信号演算部、
19…2相変調電圧基準信号演算部、
21…キャリア信号生成部、
23…記憶部、
25…PWM信号生成部
27…キャリア信号切替判定部