(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156319
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】最小化方法、プログラムおよび最小化装置
(51)【国際特許分類】
G06F 16/11 20190101AFI20221006BHJP
【FI】
G06F16/11
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059935
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新谷 秀和
(57)【要約】 (修正有)
【課題】データ収集設定ファイルに基づき、ファイルのサイズが最も小さくなるように、車両の収集データのデータ長を最小化する方法、プログラムおよび最小化装置を提供する。
【解決手段】ファイルのサイズを最小化するための最小化方法であって、ファイルは、複数の座標の夫々について、絶対値と、前回座標に対する相対値との何れかでデータを選択的に格納可能であり、複数の座標のデータのデータ長の中で最も大きいデータ長以上の絶対値長と、絶対値長以下の複数の相対値長とを用意する用意段階と、複数の相対値長の夫々の相対値長について、複数の座標のデータの中で、相対値長以下のデータ長を有するデータを相対値長の相対値としてファイルに格納し、且つ、相対値長よりも大きいデータ長を有するデータを絶対値長の絶対値としてファイルに格納すると仮定した場合に、複数の相対値長の中でサイズが最小となる相対値長を特定する特定段階と、を備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイルのサイズを最小化するための最小化方法であって、
前記ファイルは、複数の座標のそれぞれについて、絶対値と、前回座標に対する相対値との何れかで選択的にデータを格納可能であり、
前記複数の座標の前記データのデータ長の中で最も大きいデータ長以上の絶対値長と、前記絶対値長以下の複数の相対値長とを用意する用意段階と、
前記複数の相対値長のそれぞれの相対値長について、前記複数の座標の前記データの中で、前記相対値長以下のデータ長を有するデータを前記相対値長の相対値として前記ファイルに格納し、且つ、前記相対値長よりも大きいデータ長を有するデータを前記絶対値長の絶対値として前記ファイルに格納すると仮定した場合に、前記複数の相対値長の中で前記サイズが最小となる相対値長を特定する特定段階と
を備える、最小化方法。
【請求項2】
前記用意段階は、前記絶対値長以下の複数の相対値長として、1ビットから1ビットずつ用意する、
請求項1に記載の最小化方法。
【請求項3】
前記特定段階は、前記複数の相対値長のそれぞれの相対値長について、前記相対値長の相対値として前記ファイルに格納するデータの数と、前記絶対値長および前記相対値長の差分との積を算出し、前記サイズが最小となる相対値長として、前記積の絶対値が最大となる相対値長を特定する、
請求項1または2に記載の最小化方法。
【請求項4】
前記特定段階は、前記複数の相対値長のそれぞれの相対値長のうち、前記複数の座標の前記データのデータ長の中で最も大きいデータ長よりも大きい相対値長については前記積を算出しない、
請求項3に記載の最小化方法。
【請求項5】
前記ファイルは、前記複数の座標のそれぞれについて、絶対値と、前回座標に対する相対値であって正負の符号が付いていない符号無し相対値と、前回座標に対する相対値であって正負の符号が付いている符号付き相対値との何れかで選択的に前記データを格納可能であり、
前記特定段階は、
前記符号無し相対値および前記符号付き相対値のそれぞれについて、前記サイズが最小となる相対値長を特定し、
前記符号無し相対値の場合について特定した相対値長による前記サイズ、および、前記符号付き相対値の場合について特定した相対値長による前記サイズを比較し、前記サイズがより小さい相対値長を特定する、
請求項1から4の何れか一項に記載の最小化方法。
【請求項6】
前記特定段階は、前記符号無し相対値の場合において、前回座標に対する相対値が負の値である場合は、前記絶対値長の絶対値として前記ファイルに格納すると仮定する、
請求項5に記載の最小化方法。
【請求項7】
前記特定段階は、前記絶対値長が1ビットである場合には、前記サイズが最小となる相対値長を特定せず、前記複数の座標の前記データを1ビットの絶対値として前記ファイルに格納すると決定する、
請求項1から6の何れか一項に記載の最小化方法。
【請求項8】
前記特定段階は、前回座標に対する相対値が0であるデータは、前記データの値を前記ファイルに格納しないと仮定する、
請求項1から7の何れか一項に記載の最小化方法。
【請求項9】
前記特定段階は、前記データが未取得の状態である、異常値である、又は、制限中の状態である場合は、前記データの値を前記ファイルに格納しないと仮定する、
請求項1から8の何れか一項に記載の最小化方法。
【請求項10】
前記ファイルは、前記複数の座標のそれぞれについて、種類が異なる複数の前記データを、絶対値と、前回座標に対する相対値との何れかで選択的に格納可能であり、
前記種類ごとに独立して、前記用意段階と、前記特定段階とを備える、
請求項1から9の何れか一項に記載の最小化方法。
【請求項11】
コンピュータに、ファイルのサイズを最小化させるためのプログラムであって、
前記ファイルは、複数の座標のそれぞれについて、絶対値と、前回座標に対する相対値との何れかでデータを選択的に格納可能であり、
前記複数の座標の前記データのデータ長の中で最も大きいデータ長以上の絶対値長と、前記絶対値長以下の複数の相対値長とを用意する用意手順と、
前記複数の相対値長のそれぞれの相対値長について、前記複数の座標の前記データの中で、前記相対値長以下のデータ長を有するデータを前記相対値長の相対値として前記ファイルに格納し、且つ、前記相対値長よりも大きいデータ長を有するデータを前記絶対値長の絶対値として前記ファイルに格納すると仮定した場合に、前記複数の相対値長の中で前記サイズが最小となる相対値長を特定する特定手順と
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
ファイルのサイズを最小化するための最小化装置であって、
前記ファイルは、複数の座標のそれぞれについて、絶対値と、前回座標に対する相対値との何れかでデータを選択的に格納可能であり、
前記複数の座標の前記データのデータ長の中で最も大きいデータ長以上の絶対値長と、前記絶対値長以下の複数の相対値長とを用意する用意部と、
前記複数の相対値長のそれぞれの相対値長について、前記複数の座標の前記データの中で、前記相対値長以下のデータ長を有するデータを前記相対値長の相対値として前記ファイルに格納し、且つ、前記相対値長よりも大きいデータ長を有するデータを前記絶対値長の絶対値として前記ファイルに格納すると仮定した場合に、前記複数の相対値長の中で前記サイズが最小となる相対値長を特定する特定部と
を備える、最小化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最小化方法、プログラムおよび最小化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「車載ネットワークの通信負荷が上昇した場合」に「優先度が低い制御装置から順に車載ネットワークを介したデータの送信が抑制される」(段落0010)と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2018-90007号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、ファイルのサイズを最小化するための最小化方法を提供する。ファイルは、複数の座標のそれぞれについて、絶対値と、前回座標に対する相対値との何れかでデータを選択的に格納可能であってもよい。最小化方法は、複数の座標のデータのデータ長の中で最も大きいデータ長以上の絶対値長と、絶対値長以下の複数の相対値長とを用意する用意段階を備えてもよい。最小化方法は、複数の相対値長のそれぞれの相対値長について、複数の座標のデータの中で、相対値長以下のデータ長を有するデータを相対値長の相対値としてファイルに格納し、且つ、相対値長よりも大きいデータ長を有するデータを絶対値長の絶対値としてファイルに格納すると仮定した場合に、複数の相対値長の中でサイズが最小となる相対値長を特定する特定段階を備えてもよい。
【0004】
用意段階は、絶対値長以下の複数の相対値長として、1ビットから1ビットずつ用意してもよい。
【0005】
特定段階は、複数の相対値長のそれぞれの相対値長について、相対値長の相対値としてファイルに格納するデータの数と、絶対値長および相対値長の差分との積を算出し、サイズが最小となる相対値長として、積の絶対値が最大となる相対値長を特定してもよい。
【0006】
特定段階は、複数の相対値長のそれぞれの相対値長のうち、複数の座標のデータのデータ長の中で最も大きいデータ長よりも大きい相対値長については積を算出しなくてもよい。
【0007】
ファイルは、複数の座標のそれぞれについて、絶対値と、前回座標に対する相対値であって正負の符号が付いていない符号無し相対値と、前回座標に対する相対値であって正負の符号が付いている符号付き相対値との何れかで選択的にデータを格納可能であってもよい。特定段階は、符号無し相対値および符号付き相対値のそれぞれについて、サイズが最小となる相対値長を特定してもよい。特定段階は、符号無し相対値の場合について特定した相対値長によるサイズ、および、符号付き相対値の場合について特定した相対値長によるサイズを比較し、サイズがより小さい相対値長を特定してもよい。
【0008】
特定段階は、符号無し相対値の場合において、前回座標に対する相対値が負の値である場合は、絶対値長の絶対値としてファイルに格納すると仮定してもよい。
【0009】
特定段階は、絶対値長が1ビットである場合には、サイズが最小となる相対値長を特定せず、複数の座標のデータを1ビットの絶対値としてファイルに格納すると決定してもよい。
【0010】
特定段階は、前回座標に対する相対値が0であるデータは、データの値をファイルに格納しないと仮定してもよい。
【0011】
特定段階は、データが未取得の状態である、異常値である、又は、制限中の状態である場合は、データの値をファイルに格納しないと仮定してもよい。
【0012】
ファイルは、複数の座標のそれぞれについて、種類が異なる複数のデータを、絶対値と、前回座標に対する相対値との何れかで選択的に格納可能であってもよい。最小化方法は、種類ごとに独立して、用意段階と、特定段階とを備えてもよい。
【0013】
本発明の第2の態様においては、コンピュータに、ファイルのサイズを最小化させるためのプログラムを提供する。ファイルは、複数の座標のそれぞれについて、絶対値と、前回座標に対する相対値との何れかでデータを選択的に格納可能であってもよい。プログラムは、複数の座標のデータのデータ長の中で最も大きいデータ長以上の絶対値長と、絶対値長以下の複数の相対値長とを用意する用意手順をコンピュータに実行させてもよい。プログラムは、複数の相対値長のそれぞれの相対値長について、複数の座標のデータの中で、相対値長以下のデータ長を有するデータを相対値長の相対値としてファイルに格納し、且つ、相対値長よりも大きいデータ長を有するデータを絶対値長の絶対値としてファイルに格納すると仮定した場合に、複数の相対値長の中でサイズが最小となる相対値長を特定する特定手順をコンピュータに実行させてもよい。
【0014】
本発明の第3の態様においては、ファイルのサイズを最小化するための最小化装置を提供する。ファイルは、複数の座標のそれぞれについて、絶対値と、前回座標に対する相対値との何れかでデータを選択的に格納可能であってもよい。最小化装置は、複数の座標のデータのデータ長の中で最も大きいデータ長以上の絶対値長と、絶対値長以下の複数の相対値長とを用意する用意部を備えてもよい。最小化装置は、複数の相対値長のそれぞれの相対値長について、複数の座標のデータの中で、相対値長以下のデータ長を有するデータを相対値長の相対値としてファイルに格納し、且つ、相対値長よりも大きいデータ長を有するデータを絶対値長の絶対値としてファイルに格納すると仮定した場合に、複数の相対値長の中でサイズが最小となる相対値長を特定する特定部を備えてもよい。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態によるシステム10の概略図である。
【
図2】一実施形態による制御装置100のブロック図である。
【
図3】一実施形態による最小化方法の第1計算例を説明するためのテーブルである。
【
図4】
図3の第1計算例によって特定される最適な相対値長を説明するためのテーブルである。
【
図5】一実施形態による最小化方法の第2計算例を説明するためのテーブルである。
【
図6】
図5の第2計算例によって特定される最適な相対値長を説明するためのテーブルである。
【
図7】本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されうるコンピュータ1200の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して、重複する説明を省く場合がある。
【0018】
図1は、一実施形態によるシステム10の概略図である。システム10は、無線の通信ネットワーク50を介して相互に通信する車両20およびサーバ30を備える。通信ネットワーク50は、移動体通信網や、インターネット等のIPネットワーク、P2Pネットワーク、VPNを含む専用回線や、仮想ネットワーク等を含んでもよい。システム10において、車両20は、サーバ30から受信したデータ収集設定ファイルに基づき、車両20内のデータのデータ長を最適化して、複数座標形式のアップロードファイルに格納してサーバ30に送信する。以降の説明において、アップロードファイルを単にファイルと称する場合がある。
【0019】
車両20は、制御装置100を有する。制御装置100は、例えば1又は複数のテレマティクス制御ユニット(TCU、Telematics Control Unit)を有してもよく、データ収集システムを実装する。制御装置100は、サーバ30との間で、通信ネットワーク50を介してデータを送受信可能である。なお、制御装置100は、最小化装置の一例である。
【0020】
制御装置100は、上述のファイルのサイズを最小化するための装置である。ファイルは、複数の座標のそれぞれについて、絶対値と、前回座標に対する相対値との何れかで選択的にデータを格納可能である。ファイルに格納するデータは、時系列のデータであり、同じ時間間隔の定期的なデータであってもよく、異なる時間間隔の離散的なデータであってもよい。ただし、ファイルの最初の座標には、必ず絶対値でデータが格納される必要があり、それ以降の座標については、相対値および絶対値の何れかでデータが格納され、または、データの値を格納せずにデータに関する情報のみが格納される。
【0021】
このようなファイルは、各座標のデータについて、相対値で格納するか絶対値で格納するかを選ぶことができ、また、相対値および絶対値の何れでも格納しないことを選ぶことができるファイルフォーマットである、とも定義できる。また、ファイルは、各座標のデータについて、相対値および絶対値の何れでも格納しない場合に、データの値を格納することなく、データに関する情報、例えば前回座標から変化していないことを示す値や、データが異常であることを示す値や、データが未取得の状態であることを示す値や、データが制限中の状態であることを示す値などを、データ表現領域に格納できるファイルフォーマットであってもよい。当該データ表現領域は、ファイル内で各座標のデータごとに設けられてもよい。データ表現領域には、各座標のデータが相対値および絶対値の何れでファイルに格納されているかが示されてもよい。
【0022】
すなわち、制御装置100は、上記のファイルを生成する際に、座標ごとのデータ表現領域で、当該座標のデータが相対値および絶対値の何れであるか、あるいは、当該座標のデータの値が、前回座標から変化していないのか、異常であるか、未取得の状態であるか、または制限中の状態であるか、を定義してもよい。
【0023】
本実施形態における制御装置100は、車両20の車載ネットワークを介して車両20内のデータを収集する。制御装置100は、データ収集設定ファイルをサーバ30から受信し、データ収集設定ファイルに基づき、ファイルのサイズが最も小さくなるように、収集したデータのデータ長を最適化する。制御装置100は、データ長を最適化したデータを複数座標形式のファイルに格納し、これにより、当該ファイルのサイズを最小化する。そして、制御装置100は、当該ファイルをサーバ30に送信する。
【0024】
制御装置100はまた、割り当てられたコンピュータプログラムを実行することで、コンピュータプログラムに応じた処理を実行可能である。制御装置100が実行可能な処理の一例として、例えば、車両20が備える駆動源(例えば、エンジン及びモータジェネレータの少なくとも一方)を制御する処理や、車両20が備えるブレーキ装置を制御する処理、車両20が備える操舵装置を制御する処理や、車両20のドアロックを制御する処理や、車両20の搭乗者の状態を監視する処理や、車両20が備えるセンサの検出結果を監視する処理等があげられる。
【0025】
サーバ30は、車両20の制御装置100との間で、通信ネットワーク50を介してデータを送受信可能な任意の機器である。サーバ30は、データ収集設定ファイルを車両20の制御装置100に送信する。サーバ30は、必要に応じて、車両20の制御装置100から送信されるファイルに格納されたデータに基づいて、予め定められた動作、例えば車両20の走行を制御する動作や、車両20のユーザ(例えば、搭乗者)に情報提供する動作等を行なってもよい。
【0026】
図2は、一実施形態による制御装置100のブロック図である。制御装置100は、通信部101と、制御部103と、格納部105とを備える。
【0027】
通信部101は、サーバ30との間で、通信ネットワーク50を介してデータを送受信する。通信部101は、サーバ30から、データ収集設定ファイルを受信し、制御部103に出力する。通信部101は更に、車両20の車載ネットワーク、例えばCAN(Controller Area Network)バスや、データバスなどを介して車両20内の各構成要素からデータを受信し、制御部103に出力する。通信部101は更に、制御部103から入力されるファイルをサーバ30に送信する。
【0028】
制御部103は、通信部101からデータ収集設定ファイルを入力された場合、データ収集設定ファイルに含まれる情報、例えばファイルに格納するべき絶対値の絶対値長を示す情報や、TCUのCANIDのような個別のアドレスを示す情報などを取得する。制御部103は、通信部101を介して、車両20内の各構成要素からデータを収集する。
【0029】
制御部103は、複数座標形式のファイルのサイズが最小となるように、ファイル単位で、すなわちファイル毎に、ファイルに格納する各データの相対値長を最適化する。
【0030】
具体的には、制御部103は、複数の座標のデータのデータ長の中で最も大きいデータ長以上の絶対値長と、絶対値長以下の複数の相対値長とを用意する。制御部103は、当該複数の相対値長のそれぞれの相対値長について、複数の座標のデータの中で、当該相対値長以下のデータ長を有するデータを当該相対値長の相対値としてファイルに格納し、且つ、当該相対値長よりも大きいデータ長を有するデータを上記の絶対値長の絶対値としてファイルに格納すると仮定する。ただし、制御部103は、任意の座標のデータについて、予め定められた条件を満たす場合に、データの値を格納せずにデータに関する情報のみをファイルに格納すると仮定してもよい。例えば、任意の座標のデータの前回座標に対する相対値が0である場合、すなわち前回座標の値から変化していない場合に、当該座標については、当該データの値をファイルに格納せず、その代わりに、前回座標から変化していないことを示す値をデータ表現領域に格納すると仮定してもよい。また例えば、任意の座標のデータが異常である場合に、当該座標については、当該データの値をファイルに格納せず、その代わりに、データが異常であることを示す値をデータ表現領域に格納すると仮定してもよい。
【0031】
制御部103は、上記のように用意した絶対値長以下の全ての相対値長について、上記のように絶対値および相対値の何れかでデータをファイルに格納する、あるいはデータの値を用いずにデータに関する情報のみをファイルに格納すると仮定した場合に、複数の相対値長の中でサイズが最小となる相対値長を特定する。このように、制御部103は、ファイル毎に、ファイルに格納する各データの相対値長を最適化する。
【0032】
制御部103は、各ファイルの複数の座標のそれぞれについて、このように特定した相対値長以下のデータ長を有するデータを当該相対値長の相対値としてファイルに格納し、且つ、当該相対値長よりも大きいデータ長を有するデータを上記の絶対値長の絶対値としてファイルに格納することにより、ファイルのサイズを最小化する。ただし、上述の通り、制御部103は、予め定められた条件を満たすデータについては、データの値に代えてデータに関する情報のみをファイルに格納してもよい。当該ファイルのファイルフォーマットは、当該情報を格納するためのデータ表現領域のサイズを、固定値、例えば4ビットとすることが好ましい。これにより、制御部103は、当該条件を満たすデータのデータ長に依らずに、上述の最適化処理を実行することができる。なお、以降の実施形態において、絶対値および相対値の何れかでデータをファイルに格納すると説明する場合、予め定められた条件を満たすデータについては、データの値に代えてデータに関する情報のみをファイルに格納してもよく、重複する説明を省略する場合がある。
【0033】
制御部103は、通信部101を介して、ファイルをサーバ30に送信する。制御部103は、当該ファイルに、上述のTCUの個別のアドレスを示す情報を付加してもよい。制御部103は、当該ファイルを、格納部105に一時的に格納し、複数のファイルを格納部105から読み出してサーバ30に送信してもよい。なお、制御部103は、用意部および特定部の一例である。
【0034】
図3は、一実施形態による最小化方法の第1計算例を説明するためのテーブルである。本実施形態における制御装置100は、一例として、
図3に示す最小化方法の第1計算例を実行する。具体的には、制御装置100の制御部103は、ファイル単位で各データの相対値長(relLength[ビット])を最適化し、これにより、複数座標形式のファイルのサイズを最小化する。
【0035】
本実施形態では、ファイルは、複数の座標のそれぞれについて、絶対値と、前回座標に対する相対値であって正負の符号が付いていない符号無し相対値と、前回座標に対する相対値であって正負の符号が付いている符号付き相対値との何れかでデータを選択的に格納可能である。換言すると、制御装置100は、複数の座標のそれぞれについて、絶対値と、符号無し相対値と、符号付き相対値との何れかで、データをファイルに格納できる。
【0036】
図3に示すテーブルの1行目には、1列目に座標(coordinte):iを示し、2列目から6列目にはi=1からi=5までを示す。テーブルの2行目以降では、1列目に複数の項目を示し、2列目から6列目には1座標目から5座標目までの各項目の計算値を示す。
【0037】
2行目の項目は、10進数の絶対値(value(decimal)):xiを示し、3行目の項目は、2進数の絶対値(value(binary)):xiを示す。4行目の項目は、10進数の相対値(Δvalue(decimal)):xi-xi-1を示し、5行目の項目は、2進数の相対値(Δvalue(binary)):xi-xi-1を示す。
【0038】
6行目の項目は、符号付きの2進数表現による相対値長lを示す。相対値長lのうち、1ビットは正または負の符号を示す。そのため、符号無しの2進数表現による相対値長はl-1となる。
【0039】
7行目の項目は、例えばデータ収集設定ファイルの情報に含まれる、ファイルに格納するべき絶対値の絶対値長(absLength[ビット])を示す。8行目から10行目の項目は、符号無しの2進数表現による相対値長l-1の最大記録数、すなわち、当該相対値長l-1の相対値で格納されるデータの数(relUnsignedNl-1(l―1=1、2、…、absLength))を示す。より具体的には、8行目に相対値長が1ビットから3ビットまでの何れかであるデータの数(relUnsignedN1~3)を示し、9行目に相対値長が4ビットであるデータの数(relUnsignedN4)を示し、10行目に相対値長が5ビットから8ビットまでの何れかであるデータの数(relUnsignedN5~8)を示す。なお、ここでは単に説明を明確にする目的で、相対値長が異なるものの全座標の記録数が0であるもの、例えば相対値長が1ビットから3ビットまでのものは、1つの行にまとめて示しており、以降の説明においても同様とし、重複する説明を省略する。
【0040】
11行目から13行目の項目は、符号付きの2進数表現による相対値長lの最大記録数、すなわち、当該相対値長lの相対値で格納されるデータの数(relSignedNl(l=1、2、…、absLength))を示す。より具体的には、11行目に相対値長が1ビットから4ビットまでの何れかであるデータの数(relSignedN1~4)を示し、12行目に相対値長が5ビットであるデータの数(relSignedN5)を示し、13行目に相対値長が6ビットから8ビットまでの何れかであるデータの数(relSignedN6~8)を示す。
【0041】
本実施形態において、制御装置100の制御部103は、第1計算例のようにファイルの座標数Nが2以上の場合、以下のように当該ファイルの全てのデータの相対値長を最適化する。ただし、制御部103は、データ収集設定ファイルの情報に含まれる絶対値長が1ビットである場合には、ファイルのサイズが最小となる相対値長を特定せず、複数の座標のデータを1ビットの絶対値としてファイルに格納すると決定する。この場合、制御部103は、相対値長を0ビットで固定にしてもよい。なお、制御部103は、ファイルの座標数Nが1の場合は、当該ファイルにデータを相対値で格納できないので、当該最適化処理を行わなくてもよい。
【0042】
制御部103は、データ収集設定ファイルの情報に含まれる絶対値長が1ビットよりも大きい場合には、相対値長を以下のように最適化する。すなわち、制御部103は、テーブルの8行目に示す通り、絶対値長が8ビット(1バイト)の場合には、相対値長を以下のように最適化する。
【0043】
制御部103は、絶対値長以下の複数の相対値長として、1ビットから1ビットずつ用意する。
図3に示す計算例1では、制御部103は、1ビットから絶対値長と同じ8ビットまで、2ビット、3ビット、…、8ビットのようにカウントアップして、複数の相対値長を用意する。
【0044】
ここで、
図3のテーブルに示したように、今回座標をiと定義し、今回座標の絶対値をx
iと定義する。また、今回座標と前回座標との差、すなわち相対値x
i-x
i-1について、符号無しの2進数表現による相対値長をl-1と定義し、符号付きの2進数表現による相対値長をlと定義する。
【0045】
制御部103は、符号無しの2進数表現による相対値長l-1の最大記録数relUnsignedNl-1(l-1=1、2、…、8)と、符号付きの2進数表現による相対値長lの最大記録数relSignedNl(l=1、2、…、8)とを、それぞれの初期値を0として、2≦i≦Nの範囲で以下のルール1~5に従ってカウントする。
【0046】
1.lが絶対値長よりも大きい場合はカウントしない。
【0047】
2.今回座標の絶対値xiおよび前回座標の絶対値xi-1が、取得できていない状態や、異常な状態の場合は、カウントしない。なお、一例として、座標ごとに絶対値が取得できていない状態や異常な状態であることは、上述のデータ表現領域で示されてもよい。
【0048】
3.相対値xi-xi-1が0、すなわち前回座標の絶対値xi-1に対して今回座標の絶対値xiが変化ない場合は、カウントしない。なお、一例として、座標ごとに前回座標から変化していない状態であることは、上述のデータ表現領域で示されてもよい。
【0049】
4.相対値xi-xi-1が0よりも大きい場合、符号無しの最大記録数relUnsignedNl=relUnsignedNl-1+1とし、符号付きの最大記録数relSignedNl=relSignedNl-1+1としてカウントする。
【0050】
5.相対値xi-xi-1が0未満の場合、符号付きの最大記録数relSignedNl=relSignedNl-1+1としてカウントする。
【0051】
上記のルール2に関連して、制御部103は、データが未取得の状態である、異常値である、又は、制限中の状態である場合は、当該データの値をファイルに格納しないと仮定する。
【0052】
上記のルール3に関連して、制御部103は、前回座標に対する相対値が0であるデータは、当該データの値をファイルに格納しないと仮定する。
【0053】
制御部103は、任意の座標において、データの値をファイルに格納しないと仮定する場合に、当該座標の次回座標では、当該座標の前回座標の値まで遡り、当該前回座標が絶対値の場合には当該次回座標のデータを相対値でファイルに格納すると仮定してもよく、そうでなければ絶対値でファイルに格納すると仮定してもよい。これに代えて、制御部103は、任意の座標において、データの値をファイルに格納しないと仮定する場合に、当該座標の次回座標では、当該次回座標以前の任意の座標で絶対値が格納されることが仮定されていれば、当該絶対値に対する相対値でファイルに格納すると仮定してもよい。
【0054】
上記のルール5に関連して、制御部103は、符号無し相対値の場合において、前回座標に対する相対値が負の値である場合は、当該座標のデータを絶対値長の絶対値でファイルに格納すると仮定する。
【0055】
制御部103は、符号無し相対値および符号付き相対値のそれぞれについて、ファイルのサイズが最小となる相対値長を特定する。より具体的には、制御部103は、相対値で格納することで削減されるデータサイズを算出する。すなわち、制御部103は、複数の相対値長のそれぞれの相対値長について、相対値長の相対値としてファイルに格納するデータの数と、絶対値長および相対値長の差分との積を算出し、ファイルのサイズが最小となる相対値長として、積の絶対値が最大となる相対値長を特定する。
【0056】
すなわち、制御部103は、以下の数式1となる符号無し2進数表現による最小相対値長uを算出し、且つ、以下の数式2となる符号付き2進数表現による最小相対値長sを算出する。最小相対値長uとは、符号無し相対値の場合においてファイルのサイズを最小にする相対値長である。同様に、最小相対値長sとは、符号付き相対値の場合においてファイルのサイズを最小にする相対値長である。
【数1】
【数2】
【0057】
制御部103は、
図3のテーブルの8行目から10行目に示すデータに基づき、符号無し2進数表現による相対値長u=1~8のそれぞれについて、上記の[F1]における中カッコ内の計算をする。すなわち、制御部103は、u=1の場合に(1-8)×0=0、u=2の場合に(2-8)×0=0、u=3の場合に(3-8)×0=0、および、u=4の場合に(4-8)×4=-16、と算出する。また制御部103は、u=5の場合に(5-8)×4=-12、u=6の場合に(6-8)×4=-8、u=7の場合に(7-8)×4=-4、および、u=8の場合に(8-8)×4=0、と算出する。この場合、制御部103は、[F1]=-16(u=4の場合)と算出する。
【0058】
また、制御部103は、
図3のテーブルの11行目から13行目に示すデータに基づき、符号付き2進数表現による相対値長s=1~8のそれぞれについて、上記の[F2]における中カッコ内の計算をする。すなわち、制御部103は、s=1の場合に(1-8)×0=0、s=2の場合に(2-8)×0=0、s=3の場合に(3-8)×0=0、および、s=4の場合に(4-8)×0=0、と算出する。また制御部103は、s=5の場合に(5-8)×4=-12、s=6の場合に(6-8)×4=-8、s=7の場合に(7-8)×4=-4、および、s=8の場合に(8-8)×4=0、と算出する。この場合、制御部103は、[F2]=-12(s=5の場合)と算出する。
【0059】
制御部103は、符号無し相対値の場合について特定した相対値長によるファイルのサイズ、および、符号付き相対値の場合について特定した相対値長によるファイルのサイズを比較し、ファイルのサイズがより小さい相対値長を特定する。具体的には、制御部103は、上記で算出した[F1]および[F2]の大小を比較し、[F1]≦[F2]の場合は最適な相対値長として最小相対値長uを特定し、[F1]>[F2]の場合は最小相対値長sに-1を乗算し、最適な相対値長として-sを特定する。
【0060】
すなわち、制御部103は、上記の計算結果に基づき、[F1]=-16<[F2]=-12と判断し、最適な相対値長としてu=4[ビット]を特定する。なお、[最小相対値長u]=[最小相対値長s]=[絶対値長absLength]の場合は、最適な相対値長を0ビットとし、データを絶対値長でファイルに格納する。
【0061】
なお、制御部103は、複数の相対値長のそれぞれの相対値長のうち、複数の座標のデータのデータ長の中で最も大きいデータ長よりも大きい相対値長については積を算出しなくてもよい。すなわち、制御部103は、符号無し2進数表現による相対値長u=1~8のうち、u=8については上記の[F1]における中カッコ内の計算をしなくてもよい。また、制御部103は、符号付き2進数表現による相対値長s=1~8のうち、s=8については上記の[F2]における中カッコ内の計算をしなくてもよい。
【0062】
図4は、
図3の第1計算例によって特定される最適な相対値長を説明するためのテーブルである。
図4に示すテーブルの1行目には、1列目に座標(coordinte):iを示し、2列目から6列目にはi=1からi=5までを示す。2行目の項目は、ファイル内で座標ごとに設けられたデータ表現領域(Data Representation Area)に各座標のデータが相対値(relative)および絶対値(absolute)の何れでファイルに格納されているかを示す。ただし、2行目の1列目には、
図3の計算例1で特定される最適な相対値長(relLength=4[ビット])を、項目名に並記して示す。
【0063】
図5は、一実施形態による最小化方法の第2計算例を説明するためのテーブルである。本実施形態における制御装置100は、一例として、
図5に示す最小化方法の第2計算例を実行する。
図5に示す最小化方法は、
図3と共に上述した最小化方法と同じであり、重複する説明を適宜省略する。
【0064】
図5に示すテーブルの1行目には、1列目に座標(coordinte):iを示し、2列目から11列目にはi=1からi=10までを示す。テーブルの2行目以降では、1列目に複数の項目を示し、2列目から11列目には1座標目から10座標目までの各項目の計算値を示す。
【0065】
2行目から7行目までの項目は、
図3のテーブルにおける2行目から7行目までの項目と同じである。
【0066】
8行目から13行目の項目は、符号無しの2進数表現による相対値長l-1の最大記録数、すなわち、当該相対値長l-1の相対値で格納されるデータの数(relUnsignedNl-1(l―1=1、2、…、absLength))を示す。より具体的には、8行目から12行目のそれぞれに相対値長が1ビットから5ビットまでのそれぞれであるデータの数(relUnsignedN1、relUnsignedN2、relUnsignedN3、relUnsignedN4、relUnsignedN5)を示す。13行目に相対値長が6ビットから8ビットまでの何れかであるデータの数(relUnsignedN6~8)を示す。
【0067】
14行目から21行目の項目は、符号付きの2進数表現による相対値長lの最大記録数、すなわち、当該相対値長lの相対値で格納されるデータの数(relSignedNl(l=1、2、…、absLength))を示す。より具体的には、14行目から20行目のそれぞれに相対値長が1ビットから6ビットまでのそれぞれであるデータの数(relUnsignedN1、relUnsignedN2、relUnsignedN3、relUnsignedN4、relUnsignedN5、relUnsignedN6)を示す。21行目に相対値長が7ビットから8ビットまでの何れかであるデータの数(relUnsignedN7~8)を示す。
【0068】
本実施形態において、制御部103は、
図5のテーブルの8行目から13行目に示すデータに基づき、符号無し2進数表現による相対値長u=1~8のそれぞれについて、上記の[F1]における中カッコ内の計算をする。すなわち、制御部103は、u=1の場合に(1-8)×0=0、u=2の場合に(2-8)×3=-18、u=3の場合に(3-8)×4=-20、および、u=4の場合に(4-8)×4=-16、と算出する。また制御部103は、u=5の場合に(5-8)×5=-15、u=6の場合に(6-8)×5=-10、u=7の場合に(7-8)×5=-5、および、u=8の場合に(8-8)×5=0、と算出する。この場合、制御部103は、[F1]=-20(u=4の場合)と算出する。
【0069】
また、制御部103は、
図5のテーブルの14行目から21行目に示すデータに基づき、符号付き2進数表現による相対値長s=1~8のそれぞれについて、上記の[F2]における中カッコ内の計算をする。すなわち、制御部103は、s=1の場合に(1-8)×0=0、s=2の場合に(2-8)×1=-6、s=3の場合に(3-8)×5=-25、および、s=4の場合に(4-8)×6=-24、と算出する。また制御部103は、s=5の場合に(5-8)×6=-18、s=6の場合に(6-8)×8=-16、s=7の場合に(7-8)×8=-8、および、s=8の場合に(8-8)×8=0、と算出する。この場合、制御部103は、[F2]=-25(s=3の場合)と算出する。
【0070】
制御部103は、上記の計算結果に基づき、[F1]=-20>[F2]=-25と判断し、最適な相対値長として-s=-3[ビット]を特定する。
【0071】
図6は、
図5の第2計算例によって特定される最適な相対値長を説明するためのテーブルである。
図6に示すテーブルの1行目には、1列目に座標(coordinte):iを示し、2列目から11列目にはi=1からi=10までを示す。2行目の項目は、ファイル内で座標ごとに設けられたデータ表現領域(Data Representation Area)に各座標のデータが相対値(relative)および絶対値(absolute)の何れでファイルに格納されているか、あるいはデータの値を用いずにデータに関する情報のみがファイルに格納されているかを示す。ただし、2行目の1列目には、
図5の計算例2で特定される最適な相対値長(relLength=3[ビット])を、項目名に並記して示す。なお、図示の例において、7座標目のデータ表現領域には、
図5のテーブルを参照して理解される通り、前回座標から変化していないこと(No-changed)を示す。
【0072】
以上、本実施形態による制御装置100によれば、ファイルのサイズを最小化するための最小化方法を実行する。ファイルは、複数の座標のそれぞれについて、絶対値と、前回座標に対する相対値との何れかでデータを選択的に格納可能である。最小化方法は、複数の座標のデータのデータ長の中で最も大きいデータ長以上の絶対値長と、絶対値長以下の複数の相対値長とを用意する用意段階を備える。最小化方法は更に、当該複数の相対値長のそれぞれの相対値長について、複数の座標のデータの中で、当該相対値長以下のデータ長を有するデータを当該相対値長の相対値としてファイルに格納し、且つ、当該相対値長よりも大きいデータ長を有するデータを上記の絶対値長の絶対値としてファイルに格納すると仮定し、複数の相対値長の中でサイズが最小となる相対値長を特定する特定段階を備える。このように、制御装置100は、ファイル毎に、ファイルに格納する各データの相対値長を最適化することによって、ファイルのサイズを最小化する。
【0073】
本実施形態による最小化方法では、例えば車両20の制御装置100がファイル毎に各データの相対値長を最適化するが、本実施形態による最小化方法との比較例として、各ファイルに格納する各データの相対値長を、例えばサーバが車両に送信するデータ収集設定ファイル内で予め定義する方法が考えられる。このような比較例では、全ユースケースを網羅した最適値を設定したり、相対値長をファイル毎(時間毎)に変更したりできず、ファイルサイズを最適化できない。また、このように最適化されずに比較的大型化したファイルをサーバで大量に保持すると、サーバの保存領域が圧迫され、コストがかかる。
【0074】
また、他の比較例として、例えば車両がZipのような符号化処理により圧縮したファイルをサーバに送信してサーバが圧縮ファイルを大量に保持することが考えられる。このような比較例では、圧縮ファイルを復号化しなければファイルの内容を確認できず、サーバが保持する大量の圧縮ファイル内のデータから特定値を探し出すには、少なくとも一定期間内の全圧縮ファイルの復号化と読み込みが必要となる。そのため、圧縮ファイルを利用する場合の復号化の処理負荷が高くなり、処理コストが大きくなる。
【0075】
これに対して、上記構成を備える本実施形態の最小化方法によれば、座標ごとに、絶対値長の絶対値と、絶対値長以下の相対値長の相対値との何れかでデータを選択的に格納可能なファイルフォーマットを利用して、ファイル毎に、ファイルサイズを最小化できる相対値長を特定する。当該最小化方法によれば、このようにファイル毎に特定した相対値長で格納可能なデータを相対値としてファイルに格納し、残りのデータを絶対値としてファイルに格納し、あるいは、所定条件を満たす場合に、データの値を格納せずにデータに関する情報のみを例えば固定のデータ長を有するデータ表現領域においてファイルに格納することにより、ファイルサイズを最小化することができる。これにより、当該最小化方法によれば、当該最小化方法を実行する制御装置100を備える車両20からサーバ30へとファイルを送信する際の通信量を上記の比較例よりも低減することができ、また、サーバ30においては、ファイルの保存領域および保存コストや、ファイルを利用する時の処理負荷および処理コストを、上記の比較例よりも低減することができる。
【0076】
また、上記で説明した本実施形態による最小化方法によれば、各データの値の変化に応じて、ビット単位でファイルサイズを最適化できる。また、符号付き及び符号無しの両方の相対値長に対応することで、絶対値長の符号や相対値の正負によらずファイルサイズを最適化できる。また、各車両20(ユーザ)/各時間(ファイル単位)で相対値を最適化できるため、個人や部品の個体特性に合わせてファイルサイズを最適化したり、刻々と変化する状況に合わせてファイルサイズを最適化したりすることができる。また、エッジの性能に合わせて最低限の最適化のみに抑えることもできる。
【0077】
以上の実施形態において、ファイルは、複数の座標のそれぞれについて、種類が異なる複数のデータを、絶対値と、前回座標に対する相対値との何れかで選択的に格納可能であってもよい。この場合、種類が異なる複数のデータ間では相関が無いので、上記の最小化方法は、データの種類ごとに独立して、用意段階と、特定段階とを備えてもよい。また、この場合において例えば、上述した座標ごとのデータ表現領域で、種類が異なる複数のデータのそれぞれに対して、当該データが相対値および絶対値の何れであるか、あるいは、当該データの値が、前回座標から変化していないのか、異常であるか、未取得の状態であるか、または制限中の状態であるか、などが定義されてもよい。
【0078】
以上の実施形態において、車両20の制御装置100は、サーバ30に送信するファイルを生成する時に上記の最適化方法を実行して各データの相対値長を一気に計算せずに、各座標に記録するデータを格納部105に保持するタイミングで上述の最適化方法を実行しておいてもよい。これにより、処理負荷を分散させて、ファイル生成時の負荷を抑止することができる。
【0079】
以上の実施形態において、最小相対値長を計算してファイル内に記録しておき、各座標のデータを相対値で格納するか絶対値で格納するかを、各座標のデータ表現領域で事後的に切り替えられるようにしてもよい。
【0080】
以上の実施形態において、エッジ側の処理性能が低く全データを処理しきれない場合を想定し、経験的に相対値の最適化がファイルサイズの最適化に寄与するデータのみ相対値を最適化できるように、サーバで対象データを指定、もしくは車両で当該データを選出できるようにしてもよい。
【0081】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0082】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0083】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0084】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0085】
図7は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されうるコンピュータ1200の例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該装置の1又は複数の「部」として機能させ、又は当該オペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。このようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0086】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、グラフィックコントローラ1216、及びディスプレイデバイス1218を含み、これらはホストコントローラ1210によって相互に接続される。コンピュータ1200はまた、通信インターフェース1222、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、これらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続される。コンピュータはまた、ROM1230及びキーボード1242のようなレガシの入出力ユニットを含み、これらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続される。
【0087】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、これにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又は当該グラフィックコントローラ1216自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示させる。
【0088】
通信インターフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ1226は、プログラム又はデータをDVD-ROM1201から読み取り、ハードディスクドライブ1224にRAM1214を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0089】
ROM1230は、内部に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0090】
プログラムが、DVD-ROM1201又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるハードディスクドライブ1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0091】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROM1201、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0092】
また、CPU1212は、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226(DVD-ROM1201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0093】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような、様々なタイプの情報が、情報処理されるべく、記録媒体に格納されてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、これにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0094】
以上の説明によるプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、これにより、プログラムをコンピュータ1200にネットワークを介して提供する。
【0095】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、技術的に矛盾しない範囲において、特定の実施形態について説明した事項を、他の実施形態に適用することができる。また、各構成要素は、名称が同一で、参照符号が異なる他の構成要素と同様の特徴を有してもよい。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0096】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0097】
10 システム
20 車両
30 サーバ
50 通信ネットワーク
100 制御装置
101 通信部
103 制御部
105 格納部
1200 コンピュータ
1201 DVD-ROM
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1216 グラフィックコントローラ
1218 ディスプレイデバイス
1220 入出力コントローラ
1222 通信インターフェース
1224 ハードディスクドライブ
1226 DVD-ROMドライブ
1230 ROM
1240 入出力チップ
1242 キーボード