(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156350
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ハードコート塗膜形成用組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 4/02 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
C09D4/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059986
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000222417
【氏名又は名称】トーヨーポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100175075
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康子
(72)【発明者】
【氏名】桶本 真悟
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038FA111
4J038FA281
4J038NA11
4J038NA12
4J038PA17
4J038PB09
(57)【要約】
【課題】耐擦傷性及び耐折り曲げ性が良好なハードコート塗膜、並びにかかる塗膜を形成可能なハードコート塗膜形成用組成物を提供する。
【解決手段】(A-1)多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、(A-2)多官能(メタ)アクリレートオリゴマー、及び(B)カプロラクトン含有(メタ)アクリレートを含み、(A-1)多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数が10以上15以下である、ハードコート塗膜形成用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A-1)多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、(A-2)多官能(メタ)アクリレートオリゴマー、及び(B)カプロラクトン含有(メタ)アクリレートを含み、
(A-1)多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数が10以上15以下であり、
(A-1)成分、(A-2)成分、及び(B)成分の合計に対する(B)成分の割合が、(B)/((A-1)+(A-2)+(B))=8重量%~30重量%であり、かつ
(A-1)成分の分子量が1000~3000である、
ハードコート塗膜形成用組成物。
【請求項2】
無機粒子を含まない、請求項1に記載のハードコート塗膜形成用組成物。
【請求項3】
(B)成分が、イソシアヌレート骨格を有する、請求項1または2に記載のハードコート塗膜形成用組成物。
【請求項4】
(B)成分が、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートである、請求項1~3のいずれか一項に記載のハードコート塗膜形成用組成物。
【請求項5】
更に、レベリング剤、希釈溶剤、及び光重合開始剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のハードコート塗膜形成用組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のハードコート塗膜形成用組成物を硬化することにより得られるハードコート塗膜。
【請求項7】
厚さが1~5μmである、請求項6に記載のハードコート塗膜。
【請求項8】
鉛筆硬度がF以上である、請求項6または7に記載のハードコート塗膜。
【請求項9】
#0000のスチールウールを使って500グラムの荷重で10往復ラビングした後の傷の本数が10本以下である、請求項6~8のいずれか一項に記載のハードコート塗膜。
【請求項10】
耐折り曲げ性が6mmφ以下である、請求項6~9のいずれか一項に記載のハードコート塗膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコート塗膜形成用組成物に関する。詳しくは、所望の厚さの耐擦傷性と耐折り曲げ性が良好である単層薄膜(ハードコート塗膜)を形成しうる、ハードコート塗膜形成用組成物に関する。また本発明は、ハードコート塗膜形成用組成物を硬化することにより得られるハードコート塗膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年発展している、スマートフォン、タブレットPCのようなモバイル機器のディスプレイ表面を傷から保護するために、例えばプラスチック製の保護フィルムで覆うことがある。このようなモバイル機器のディスプレイ表面の保護には従来、強化ガラス製のフィルムやシートなどが使用されている。しかし、強化ガラス製のフィルムやシートは、モバイル機器の重量が重くならないように薄くすると、外部衝撃による破損という課題が生じる。
【0003】
そこで、モバイル機器のディスプレイ表面を、より軽く外部衝撃に対しても強力に保護できるように、ガラスを代替できる素材として、軽量で割れにくいプラスチック樹脂を用いた保護フィルムが研究されている。特に、高硬度および耐擦傷性の特性を有する保護フィルムを製造するために、プラスチックフィルム基材にハードコーティング層を形成するための組成物が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【0004】
さらに、近年のモバイル機器では、コンパクトでありながら大画面を確保できるものとして、一部が屈曲していたり、柔軟性のあるように曲がるディスプレイが注目されている。このような柔軟性のあるディスプレイを保護するための保護フィルムには、耐擦傷性に加えて耐折り曲げ性が良好な単層薄膜のコーティングが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4926002号公報
【特許文献2】特許6533046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、耐擦傷性及び耐折り曲げ性が良好なハードコート塗膜、並びにかかる塗膜を形成可能なハードコート塗膜形成用組成物を提供することを目的とする。また本発明は、柔軟性のあるディスプレイに適用した際に、割れやクラックが生じず、かつ傷のつきにくいハードコート塗膜、並びにかかる塗膜を形成可能なハードコート塗膜形成用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、以下の実施態様に関する。
実施態様1:
(A-1)多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、(A-2)多官能(メタ)アクリレートオリゴマー、及び(B)カプロラクトン変性(メタ)アクリレートを含み、
(A-1)多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数が10以上15以下であり、
(A-1)成分、(A-2)成分、及び(B)成分の合計に対する(B)成分の割合が、(B)/((A-1)+(A-2)+(B))=8重量%~30重量%であり、かつ
(A-1)成分の分子量が1000~3000である、
ハードコート塗膜形成用組成物。
実施態様2:
無機粒子を含まない、実施態様1に記載のハードコート塗膜形成用組成物。
実施態様3:
(B)成分が、イソシアヌレート骨格を有する、実施態様1または2に記載のハードコート塗膜形成用組成物。
実施態様4:
(B)成分が、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートである、実施態様1~3のいずれかに記載のハードコート塗膜形成用組成物。
実施態様5:
更に、レベリング剤、希釈溶剤、及び光重合開始剤を含む、実施態様1~4のいずれかに記載のハードコート塗膜形成用組成物。
実施態様6:
実施態様1~5のいずれか一項に記載のハードコート塗膜形成用組成物を硬化することにより得られるハードコート塗膜。
実施態様7:
厚さが1~5μmである、実施態様6に記載のハードコート塗膜。
実施態様8:
鉛筆硬度がF以上である、実施態様6または7に記載のハードコート塗膜。
実施態様9:
#0000のスチールウールを使って500グラムの荷重で10往復ラビングした後の傷の本数が10本以下である、実施態様6~8のいずれかに記載のハードコート塗膜。
実施態様10:
耐折り曲げ性が6mmφ以下である、実施態様6~9のいずれかに記載のハードコート塗膜。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、所定の硬度を有し、良好な耐擦傷性及び耐折り曲げ性を両立したハードコート塗膜、並びにかかる塗膜を形成可能なハードコート塗膜形成用組成物を提供することが可能となる。さらに本発明により、柔軟性のあるディスプレイに適用した際に、割れやクラックが生じず、かつ傷のつきにくいハードコート塗膜、並びにかかる塗膜を形成可能なハードコート塗膜形成用組成物を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
本発明のハードコート塗膜形成用組成物は、(A-1)多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、(A-2)多官能(メタ)アクリレートオリゴマー、及び(B)カプロラクトン変性(メタ)アクリレートを含む。
【0011】
本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレート、「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味する。また本明細書において「(R)」は、商標登録を示す。
【0012】
(A-1)多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(以下、「(A-1)成分」ということがある)とは、イソシアネート基とヒドロキシ基を反応させたウレタン結合と(メタ)アクリル基を有するオリゴマーであって、分子内に複数個のアクリロイル基を有するオリゴマーを示す。
本発明において、(A-1)成分の(メタ)アクリレート官能基数は、10以上15以下である。この様な(A-1)成分として、例えば、官能基数が10で分子量が1216の多官能ウレタンアクリレートオリゴマー、または官能基数が15で分子量が2144の多官能ウレタンアクリレートオリゴマーを挙げることができ、これらの成分を混合して用いることもできる。
【0013】
本発明において、好ましい(A-1)成分の分子量は、約1000~約3000、約1100~約2500、または約1200~約2200である。
【0014】
(A-2)多官能(メタ)アクリレートオリゴマー(以下、「(A-2)成分」ということがある)として、具体的には例えば、ジペンタエリストールペンタアクリレート(DPPA、アクリレート官能基数:5)、またはジペンタエリストールヘキサアクリレート(DPHA、アクリレート官能基数:6)等を挙げることができる。
【0015】
(B)カプロラクトン変性(メタ)アクリレート(以下、「(B)成分」ということがある)として、具体的には例えば、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン(アクリレート官能基数:1)等を挙げることができる。(B)成分として、好ましくは、分子内にイソシアヌレート骨格を有するものが挙げられ、中でも、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートが特に好ましいものとして挙げられる。
【0016】
本発明のハードコート塗膜形成用組成物において、(A-1)成分、(A-2)成分、及び(B)成分の合計に対する(B)成分の割合が、(B)/((A-1)+(A-2)+(B))=8重量%~30重量%であることが好ましい。この様な範囲において、特に良好な耐擦傷性と耐折り曲げ性を両立することが可能であり、(B)成分の割合が、8重量%より小さくなると良好な耐折り曲げ性を達成するのが難しく、一方30重量%を超えると良好な耐擦傷性を達成するのが難しくなる。
【0017】
本発明の好ましい実施態様において、ハードコート塗膜形成用組成物は無期粒子を含まないものとすることができる。
【0018】
本発明のハードコート塗膜形成用組成物は、さらにレベリング剤、希釈溶剤、及び光重合開始剤等を含んでも良い。
【0019】
レベリング剤としては、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、アクリル系レベリング剤、ビニル系レベリング剤、並びにフッ素系とアクリル系が複合化されたレベリング剤等が挙げられ、いずれも公知のレベリング剤を使用することができる。レベリング剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
シリコーン系レベリング剤とは、ポリシロキサン骨格を有する化合物を含むレベリング剤である。公知のシリコーン系レベリング剤としては、例えばBYK(R)-302、BYK(R)-307、BYK(R)-325、BYK(R)-331、BYK(R)-333、BYK(R)-341、BYK(R)-345/346、BYK(R)-347、BYK(R)-348、BYK(R)-349、BYK(R)-378、BYK(R)-UV3500(いずれもビックケミー・ジャパン株式会社製)、ポリフローKL-401、ポリフローKL-402、ポリフローKL-403、ポリフローKL-404(いずれも共栄社化学株式会社製)、KP-104、KP-110(いずれも信越化学工業株式会社製)、DOWSIL(TM)14 Additive、DOWSIL(TM)51 Additive、DOWSIL(TM)52 Additive、DOWSIL(TM)55 Additive、DOWSIL(TM)67 Additive、DOWSIL(TM)500W Additive、DOWSIL(TM)501W Additive、DOWSIL(TM)502W Additive(いずれも東レ・ダウコーニング株式会社製)、シルフェイス(R)SAG002、シルフェイス(R)SAG503A(いずれも日信化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0021】
フッ素系レベリング剤としては、ポリオキシアルキレンとフルオロカーボンとの共重合体などを用いることができる。公知のフッ素系レベリング剤としては、例えばMEGAFAC(R)シリーズ(DIC株式会社製)、FCシリーズ(スリーエムジャパン株式会社製)、フタージェント(R)100、フタージェント(R)150、フタージェント(R)250、フタージェント(R)212M、フタージェント(R)251(いずれも株式会社ネオス製)等が挙げられる。
【0022】
公知のアクリル系レベリング剤としては、例えばBYK(R)-381、BYK(R)-3560、BYK(R)-350、BYK(R)-354、BYK(R)-392、BYK(R)-394、BYK(R)-3441(いずれもビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0023】
レベリング剤の使用量は特に限定されないが、例えば(A-1)成分、(A-2)成分、及び(B)成分の合計100質量部に対し、1~5質量部とすることができる。
【0024】
希釈溶剤は、塗工時の粘度を調整又は希釈するためのものであり、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類等の希釈溶剤が挙げられる。
【0025】
希釈溶剤の使用量は特に限定されないが、例えば(A-1)成分、(A-2)成分、及び(B)成分の合計100質量部に対して200~300質量部とすることができる。
【0026】
本発明のハードコート塗膜形成用組成物は、さらに光重合開始剤を含有しても良い。光重合開始剤としては、例えば、メチルベンゾイルフォルメート、α-ヒドロキシアルキルフェノン、α-ヒドロキシアセトフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0027】
光重合開始剤の使用量は特に限定されないが、例えば(A-1)成分、(A-2)成分、及び(B)成分の合計100質量部に対して3~12質量部とすることができる。
【0028】
ハードコート塗膜形成用組成物の製造方法
本発明のハードコート塗膜形成用組成物の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法で製造することが可能である。例えば、(A-1)成分、(A-2)成分、及び(B)成分、さらに場合によりレベリング剤、希釈溶剤、光重合開始剤等を所定の混合比で、遮光・密閉しながら混合し、ハードコート塗膜形成用組成物(塗液)を得ることができる。
【0029】
ハードコート塗膜の形成方法
本発明のハードコート塗膜は、本発明のハードコート塗膜形成用組成物を硬化して得られる単層薄膜であり、例えば次のようにして形成することができる。まずハードコート塗膜形成用組成物(塗液)を作成した後、乾燥後の膜厚が所定の値になるように、プラスチック基材上にバーコータにより塗工する。続いて40~120℃又は60~100℃で、30秒~10分間又は3~5分間加熱乾燥後にUV照射を行う。加熱乾燥条件は、ハードコート塗液の組成、塗膜の厚さ、塗膜を施す基材の種類などにより調整することができる。
【0030】
ハードコート塗膜の厚さは、本発明の効果を発揮できる厚さであればよく特に限定されないが、例えば1μm以上、2μm以上、3μm以上、または4μm以上、かつ2μm以下、3μm以下、4μm以下、または5μm以下とすることができ、好ましくは、1~5μmとすることができる。
【実施例0031】
以下に具体的な実施形態を挙げて本発明を説明するが、本発明はその実施形態に限定されるものではなく、それらにおける様々な変更及び改変が当業者によって、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく実行され得ることが理解される。
【0032】
合成例-1
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた500ml容のフラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネート(NCO:50%)7.64部、アロニックスM403(ジペンタエリストールペンタアクリレートとジペンタエリストールヘキサアクリレートの混合物)100部、ジブチルスズジラウレート0.02部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.2部を仕込み、80℃まで昇温した。その後、イソシアネート基が消失するまで反応し、ウレタンアクリレートオリゴマー(A-1-1)とジペンタエリストールヘキサアクリレートの混合物を得た。
【0033】
合成例-2
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた500ml容のフラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体(NCO:21.7%)17.23部、アロニックスM403(ジペンタエリストールペンタアクリレートとジペンタエリストールヘキサアクリレートの混合物)100部、ジブチルスズジラウレート0.02部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.2部を仕込み、80℃まで昇温した。その後、イソシアネート基が消失するまで反応し、ウレタンアクリレートオリゴマー(A-1-2)とジペンタエリストールヘキサアクリレートの混合物を得た。
【0034】
実施例1~7、比較例1~8
使用した原料は次の通りである。
(A-1)成分
A-1-1:多官能ウレタンアクリレートオリゴマー(アクリレート官能基数:10、分子量1216)
A-1-2:多官能ウレタンアクリレートオリゴマー(アクリレート官能基数:15、分子量2144)
アートレジンM-3N:多官能ウレタンアクリレートオリゴマー(アクリレート官能基数:2、分子量:560)(根上工業株式会社製)
アートレジンUN-3320HA:多官能ウレタンアクリレートオリゴマー(アクリレート官能基数:6、分子量:1500)とアクリル酸エステルの混合物(根上工業株式会社製)
アートレジンUN-904:多官能ウレタンアクリレートオリゴマー(アクリレート官能基数:10、分子量4900)とアクリル酸エステルの混合物(根上工業株式会社製)
【0035】
(A-2)成分
DPPA:ジペンタエリストールペンタアクリレート(アクリレート官能基数:5)
DPHA:ジペンタエリストールヘキサアクリレート(アクリレート官能基数:6)
【0036】
(B)成分
NKエステルA9300-1CL:ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート(アクリレート官能基数:3)(新中村化学工業株式会社製)
NKエステルA9300:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(アクリレート官能基数:3)(新中村化学工業株式会社製)
【0037】
(レベリング剤)
BYK(R)3560:アクリレート系レベリング剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製)
【0038】
(希釈溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)
【0039】
(光重合開始剤)
Omnirad TPO H(IGM.RESIN.B.V.社製)
【0040】
ハードコート塗膜形成用組成物の調製、及びハードコート塗膜の形成
表1に示す配合に基づいて、所定量の各成分を攪拌機にてハードコート塗膜形成用組成物を調製した。続いて、表面処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製易接着PETフィルム;ルミラー100U483)に、乾燥後の塗膜の厚さが2μm、5μmになるように、バーコータによりハードコート塗膜形成用組成物を塗工し、120℃で30秒間加熱乾燥後、UV照射(積算光量180mJ/cm2)を行って、塗膜を形成した。
【0041】
塗膜の評価
ハードコート塗膜を施した易接着PETフィルムを、以下の評価項目に基づいて評価した。評価項目及びその評価手順を以下に示す。評価結果は表1に示す。
【0042】
(1)鉛筆硬度
JIS-K5600 5-4に準拠して、6B~9Hの硬度の鉛筆を用いてコーティングの引掻き硬度を調べた。鉛筆の芯を750グラムの荷重でコーティング表面に押し付けて動かした後、コーティング表面の傷付の有無を確認し、傷跡が付かない最も硬い鉛筆の芯の硬度を鉛筆硬度として評価した。鉛筆硬度F以上の場合、目的の仕様を達成する。
【0043】
(2)耐擦傷性試験
基材に形成した塗膜を#0000のスチールウールを使って500グラムの荷重で10往復ラビングした後に、傷の入り具合を確認した。評価結果を次のように判定して表1に記載した。結果が1又は2の場合、目的の仕様を達成する。
1:線状の傷の本数が0-5本
2:線状の傷の本数が6-10本
3:線状の傷の本数が11-15本
4:線状の傷の本数が16-20本
5:線状の傷の本数が21本以上
【0044】
(3)耐折り曲げ性試験
塗膜を形成した面を外側にして、直径の異なる棒(2、3、4、5、6及び8mm)に巻き付け、クラックや割れの発生を確認し、クラックや割れの生じない最小の直径を表1に記載した。6mmφ以下の場合、目的の仕様を達成する。
【0045】