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特開2022-156363藺草微細繊維、藺草紡績糸、および、藺草微細繊維を製造する方法
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  • 特開-藺草微細繊維、藺草紡績糸、および、藺草微細繊維を製造する方法 図1
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  • 特開-藺草微細繊維、藺草紡績糸、および、藺草微細繊維を製造する方法 図4
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  • 特開-藺草微細繊維、藺草紡績糸、および、藺草微細繊維を製造する方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156363
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】藺草微細繊維、藺草紡績糸、および、藺草微細繊維を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   D01C 1/00 20060101AFI20221006BHJP
   D02G 3/02 20060101ALI20221006BHJP
   D02J 1/18 20060101ALI20221006BHJP
   D01G 1/00 20060101ALI20221006BHJP
   D01G 9/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
D01C1/00 E
D02G3/02
D02J1/18 Z
D01G1/00 A
D01G9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060005
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】521136286
【氏名又は名称】合同会社竹繊維研究所
(71)【出願人】
【識別番号】590001049
【氏名又は名称】株式会社イケヒコ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐川 永徳
(72)【発明者】
【氏名】藤井 透
【テーマコード(参考)】
3B151
4L036
【Fターム(参考)】
3B151AA01
3B151AA11
3B151AC45
3B151CA01
4L036MA08
4L036MA35
4L036MA39
4L036PA31
4L036PA33
(57)【要約】
【課題】藺草の葉鞘から抽出された繊維であって、縦肋を含むように長手方向に沿って分離された藺草微細繊維を提供する。
【解決手段】収穫された藺草を前処理によって異物を取り除いた後、ローラープレス機によって押圧するとともに、紡績可能な長さに裁断する。そして、その繊維を乾燥させた後、分離処理によって柔細胞や表皮などの異物を取り除き、縦肋を含むように長手方向に沿って分離された藺草微細繊維を抽出する。このとき、最大繊維幅が60μm以下であって、繊維長が20mm以上となる藺草微細繊維を抽出して紡績を行えるようにする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
藺草の葉鞘から抽出された繊維であって、縦肋を含むように長手方向に沿って分離された藺草微細繊維。
【請求項2】
繊維幅が60μm以下であり、縦肋を含む長さ20mm以上の請求項1に記載の藺草微細繊維。
【請求項3】
繊維幅が10μm以上30μm以下のものである請求項1に記載の藺草微細繊維。
【請求項4】
請求項1から3に記載の藺草微細繊維を用いて紡績された藺草紡績糸。
【請求項5】
切断された藺草を膨潤させる工程と、
繊維幅が60μm以下となるように解繊する工程と、
によって藺草微細繊維を製造する方法。
【請求項6】
切断された藺草をプレス処理する工程と、
切断された藺草の水分量を調整する工程と、
前記プレス処理および水分調整された藺草を、繊維幅が60μm以下となるように解繊する工程と、
によって藺草微細繊維を製造する方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6の藺草微細繊維を製造する方法において、さらに、
天然抗菌剤液中に浸漬させた後、乾燥させた藺草微細繊維を製造する方法。
【請求項8】
請求項5または請求項6の藺草微細繊維を製造する方法において、さらに、
柔軟剤液を浸漬させた後、乾燥させた藺草微細繊維を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡績糸に用いられる天然植物繊維に関するものであって、より詳しくは、藺草を用いた紡績可能な繊維およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、天然植物繊維を用いて紡績する場合、コットンやフラックスから得られるリネンなどの原料が用いられる(非特許文献1)。
【0003】
このうち、コットンから紡績する場合、一本一本に単離された素繊維の平均的な繊維幅(縦方向と横方向の幅の最大幅)が12μmから28μmのものであって、その繊維長が、中繊維綿で21mmから28mm、長繊維綿では28mm以上のものが使用される。このとき、細い紡績糸を作るには、細くて長いコットン素繊維が用いられる。一方、リネンから紡績する場合、繊維幅が20μmから22μmの素繊維であって、平均的な繊維長が20から30mmのものが使用される。しかしながら、リネンの場合、コットンと違って単離することが困難であり、また、紡績に使われる長い繊維(50mmから100mm)については、ペクチンやリグニンなどによって素繊維が重なり合っているものであるため、その繊維幅は小さくとも40μmから80μmと太いものになっている。
【0004】
ところで、このような天然繊維を用いて紡績する場合、少なくとも繊維長として30mm以上の長さが必要とされる。このとき、リネンなどのように長い繊維(100mm以上の繊維)を用いると、繊維幅が太いためにゴワゴワした触感を有するものとなってしまい、コットンのように細い素繊維を使って、20綿番手以下の細い糸を紡ぐことができない。また、リネン原糸を苛性ソーダ水溶液でレッチングすれば、細い素繊維を得ることができるが、繊維長は極めて短くなり、紡績に適した長い繊維を得ることができない。
【0005】
また、このようなコットンやリネンなどは、我が国においては輸入品を用いることが多いため、輸入に頼らない原料を用いた藺草紡績糸の製造が望まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】http://kan5.sakura.ne.jp/konwa/KuramaeHandout/kohyama.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に着目してなされたもので、細い繊維を用いて紡績を行うことができる繊維を提供するとともに、我が国において、植生している植物を用いて紡績できる微細繊維、および、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、藺草の葉鞘から抽出された繊維であって、縦肋を含むように長手方向に沿って分離された藺草微細繊維を提供するようにしたものである。
【0009】
このような藺草の縦肋は2μmから5μm程度と非常に細く、また、仮に、この縦肋に柔細胞が付着していても、繊維幅が10μmから30μm程度と細く、また、一本の縦肋は非常に長いものであるため、細い天然植物繊維を用いて藺草紡績糸を製造することができるようになる。
【0010】
また、このような発明において、好ましくは、平均繊維幅が10μmから30μmの範囲の繊維を用いる。
【0011】
このような細い繊維を用いれば、柔らかな藺草紡績糸を得ることができるようになる。
【0012】
また、このような藺草微細繊維を製造する場合、切断された藺草を膨潤させる工程と、繊維幅が60μm以下となるように解繊する工程とを用いて藺草微細繊維を製造する。
【0013】
もしくは、切断された藺草をプレス処理する工程と、切断された藺草の水分量を調整する工程と、前記プレス処理および水分調整された藺草を、繊維幅が60μm以下となるように解繊する工程とを用いて藺草微細繊維を製造する。
【0014】
さらに、天然抗菌剤液中に浸漬させた後、乾燥させて藺草微細繊維を抽出する。
【0015】
加えて、柔軟剤液に浸漬させた後、乾燥させて藺草微細繊維を抽出する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、縦肋を含むように長手方向に沿って分離された藺草微細繊維を用いるようにしたので、細くて長い天然植物繊維を用いて藺草紡績糸を製造することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】藺草の葉鞘を示す図
図2】藺草の葉鞘の断面図
図3】本実施の形態で使用されるローラプレスを示す図
図4】本実施の形態で使用されるディスクリファイナを示す図
図5】本実施の形態で使用されるガーネット式反毛機による解繊を示す図
図6】本実施の形態における藺草微細繊維の製造工程を示す図
図7】本実施の形態における藺草微細繊維の製造工程を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
この実施の形態における藺草微細繊維は、紡績可能な長さに切断された藺草から抽出されるものであって、解繊処理などを行うことで、縦肋を含むように、10μmから30μmの幅の範囲内であって、紡績可能な長さに解繊させるようにしたものである。そして、このようにして藺草微細繊維を抽出することによって、細い繊維幅を有する繊維から、柔らかい藺草紡績糸を製造できるようにしたものである。以下に、本実施の形態における藺草微細繊維、および、その製造方法について詳細に説明する。なお、この実施の形態においては、藺草の茎に沿った方向を長手方向とし、また、茎の横断面方向を幅方向として説明する。
【0020】
この実施の形態において使用される藺草は、日本国にも植生する単子葉植物イグサ科に属する一年草であって、トウシンソウとも称されるものが用いられる。この藺草は、図1に示すように、収穫時には、長さ1.3mから1.5m程度にまで成長し、日本の夏季である7月頃に収穫される。
【0021】
図2に、収穫された藺草の葉鞘の断面を示す。図2において、符号1は、縦肋であって、中心部分の髄4を取り囲むように同心円状に点在するものである。この縦肋1の繊維幅は、最も細いもので2μmから3μmと非常に細く、藺草の骨となって藺草を長手方向に支えるものである。一方、符号2は、柔細胞であり、また、符号3は、硬壁細胞であって、縦肋1を取り囲むように存在するものである。
【0022】
図2において、図中Aで示される部分は、葉鞘の中心に近い部分に存在する縦肋1を含む部分であって最大繊維幅8μmから10μm以下の繊維を取り出すことが可能な部分である。
【0023】
一方、その縦肋1から外側に位置するBで示される部分は、Aで示される縦肋1よりも若干細い縦肋1を含む部分であって、最大繊維幅4μmから6μm以下の細い繊維を取り出すことが可能な部分である。
【0024】
また、その外側であるCで示される部分は、縦肋1が隣接して存在する部分であって、この数本の縦肋1が柔細胞2によって密着した状態で取り出されても、最大繊維幅30μm以下の繊維として取り出すことが可能な部分である。
【0025】
さらに、最外側の領域であるDで示される部分は、最大繊維幅が2μmから3μm以下の極めて細い縦肋1が存在する部分であり、極めて細くて強い繊維を取り出すことが可能な部分である。
【0026】
これらの各部位に存在する縦肋1は、一本の茎の長さ(1.3mから1.5m)に対応する長さ分だけ存在し、そこからを紡績可能な長さ分だけ取り出して紡績することで、リネンよりも柔らかい糸を製造することができる。
【0027】
このような縦肋1を含む繊維を抽出する方法について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0028】
<切断処理>
【0029】
藺草を、長さ方向にわたって40mmから60mmに切断する。このとき、使用される藺草としては、規格外の藺草や間引きによって得られた藺草などの他、畳やゴザの端材などを用いてもよい。
【0030】
<膨潤処理>
【0031】
そして、このように得られた藺草を膨潤処理する。この膨潤処理を行う場合、流水、または、静水に1日から2日程度浸漬し、汚れの除去やバクテリア増殖などを防止する。このとき、水は毎日交換しておくことが好ましく、また、水の温度としては、40℃以下にしておくのが好ましい。また、水以外に、灰汁や炭酸カリウム、又は炭酸ナトリウム、あるいは水酸化ナトリウム水溶液によってケミカルレッチングしてもよい。この水酸化ナトリウム水溶液によるケミカルレッチングでは、静水に浸漬するだけの場合に比べて、浸漬時間は1/10以下に短縮することができる。水酸化ナトリウムを使う場合、その濃度は10%以下(最適には1%以下)、水溶液温度を60℃以下としておくことが望ましい。
【0032】
そして、このように浸漬処理された藺草を水で洗浄して、雑菌や異物などを取り除く。
【0033】
<プレス処理>
【0034】
このようにして得られた藺草を、プレス機で茎の幅方向に数回押圧して、扁平状の葉鞘ストリップを得る。なお、藺草が柔らかく、また、茎が細い場合は、このプレス処理を行わなくてもよい。このプレス処理で使用されるプレス機としては、どのような装置を用いても良いが、長尺状の藺草をプレスするには、図3に示すような、主ローラー51と圧壊用ローラー52を有するローラプレス機5を用い、押圧調整用バネ53を調整して押圧力を調整できるようなものを用いるとよい。なお、ここでは、膨潤処理の後にプレス処理を行うようにしているが、膨潤処理の前にプレス処理を行っても良い。このように膨潤処理前にプレス処理を行うと、繊維中に水が浸漬しやすくなるというメリットがある。
【0035】
<解繊圧壊処理>
【0036】
次に、このように得られた藺草から縦肋を含む繊維を抽出するように解繊する。この解繊処理においては、図4に示すような経線直線溝ディスク仕様のディスクリファイナ6aを用いて、所定の細さになるまでディスクを回転させて解繊処理を繰り返す。
【0037】
<抗菌・柔化処理>
【0038】
このように解繊圧壊処理された繊維には、髄4や柔細胞2、表皮の粉体などが付着している。このため、これらの異物を取り除くため、水洗によって異物を取り除くとともに、必要に応じて抗菌剤や柔軟剤を添加する。抗菌剤を添加する場合は、例えば、竹の表皮を湯煎することによって抽出された竹抗菌エキスに浸漬する方法や、木質系抗菌剤であるヒノキチオール溶液などの天然抗菌剤溶液に浸漬する方法を用いることができる。このように天然抗菌剤を用いれば、アレルギーなどを引き起こすことが少なくなるというメリットもある。
【0039】
また、繊維に柔軟性を持たせる場合は、柔軟剤に浸漬して柔軟化させておく。このような柔軟剤としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬させて煮沸処理する方法などが用いられる。
【0040】
<乾燥処理>
【0041】
そして、このように得られた繊維を、今度は、乾燥処理する。この乾燥処理工程においては、繊維の水分量が、10%から50%(好ましくは30%±2.5%)の範囲内になるまでゆっくり乾燥させる。
【0042】
<紡績処理>
【0043】
そして、このようにして得られた藺草微細繊維を紡績して藺草紡績糸を得る。このとき、製品の規格に応じて、A領域の縦肋1や、B領域の縦肋1、C領域の縦肋1、D領域の縦肋1などを選別して紡績する方法や、それぞれを混在して紡績する方法、あるいは、他の種類の繊維(コットンやリネン、化学繊維など)と組み合わせて紡績する方法などを用いることができる。このように各領域における細い縦肋1ごとに分離する場合、サイクロン式の分離機などを用いて分離するようにするとよい。
【0044】
また、別の方法で解繊処理することもできる。この解繊方法について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0045】
<切断処理、膨潤処理>
【0046】
図6における切断処理や膨潤処理と同様に、藺草を、40mmから100mmの長さに切断して膨潤処理する。
【0047】
<プレス処理>
【0048】
そして、このようにして得られた藺草を、プレス機で茎の幅方向に数回押圧して、扁平状の葉鞘ストリップを得る。
【0049】
<吸水量調整処理>
【0050】
そして、プレス処理による圧壊によって得られた藺草を、水に浸漬させ、水分量が30%から60%になるように調整する。
【0051】
<解繊圧壊処理>
【0052】
次に、このように水分量の調整された葉鞘ストリップを、繊維の長手方向に沿って解繊維する。この解繊処理を行う場合、図5に示すようなガーネット式反毛機6や、フラットカード機、ローラーカード機、リネン用梳綿機などを用いるが、いずれの場合でも、細かいピッチの細いワイヤーを用いるようにしておく。また、ローラーの回転速度については、葉鞘ストリップの状態により調整するが、回転数が早い場合は、細い微細繊維得られる一方、繊維長が短くなるというデメリットがある。一方、回転数が遅い場合は、太くなるが、長い繊維が得られるというメリットがある。このため、製造される製品の規格に応じてローラーの回転数を調整する。
【0053】
<抗菌・柔化処理>
【0054】
そして、サイクロン式分離機によって異物を分離するとともに、前述の抗菌・柔化処理と同様の方法で、抗菌剤や柔軟剤を添加する。
【0055】
<乾燥処理>
【0056】
そして、このように得られた繊維を乾燥させる。この乾燥処理工程においては、繊維の水分量が、10%から50%(好ましくは30%±2.5%)の範囲内になるまでゆっくり乾燥させる。
【0057】
<紡績処理>
【0058】
そして、このようにして得られた藺草微細繊維を紡績して藺草紡績糸を得る。このとき、製品の規格に応じて、A領域の縦肋1や、B領域の縦肋1、C領域の縦肋1、D領域の縦肋1などを選別して紡績する方法や、それぞれを混在して紡績する方法、あるいは、他の種類の繊維(コットンやリネン、化学繊維など)と組み合わせて紡績する方法などを用いることができる。このように各領域における細い縦肋1ごとに分離する場合、サイクロン式の分離機などを用いて分離するようにするとよい。
【0059】
このように、上記実施の形態によれば、日本国などに植生する藺草の葉鞘から抽出された繊維であって、縦肋1を含むように長手方向に沿って解繊された藺草微細繊維を得るようにしたので、非常に細く、かつ、繊維長も紡績可能な程度以上の長さの藺草素繊維から藺草紡績糸を製造することができるようになる。
【実施例0060】
以下、本実施の形態における実施例について説明する。
【0061】
発芽後、5ヶ月経過した熊本県八代地区の藺草を伐採し、葉鞘を2個ローラプレス機で押し潰した。これを5日間井戸流水(10リットル/時間)に浸漬した。その後、長さ60mmに切断した。天日乾燥後、電気乾燥炉中で水分量が20%になるまで乾燥させた。
次に、幅200mmのサンプル・ローラ・カード機で解繊した。主ドラム回転数が500rpmの場合、平均厚さ45μm、平均幅160μm、長さ55mmの藺草紡績糸が得られた。歩留まりは65%であった。藺草紡績糸を再度サンプル・ローラ・カード機に通した。この場合、主ドラム回転数を800rpmに上昇させた。その結果、平均繊維幅55μm、長さ45mmの藺草微細繊維が得られた。さらに、これを同じ条件でサンプル・ローラ・カード機に通すと、微細繊維の平均繊維幅は38μm、平均長さ37mmとなった。この時の収率は、35%であった。微細繊維表面には,柔細胞の痕跡(細胞)が点在付着していた.長さ30mm未満の微細繊維は40%あった。そして、この藺草微細繊維を用い、コットンとの混紡糸(20綿番手)を得た。藺草微細繊維の重量含有率は40%である。混紡糸の引張り強度は610gであった。
【0062】
次に、別の実施例について説明する。
【0063】
平均繊維幅45μm、長さ55mmの藺草紡績糸とポリプロピレン繊維(PPF)とを1:1の割合で重ねてサンプル・ローラ・カード機に2回通し、混合して20cm幅のウェブを作り、これを20cm毎に切断、交互に直角に重ね合わせた後、ホットプレス(180℃)にてプレボードを製作した。これと比較するため、ケナフ繊維/PPFボードも製作し、両者の曲げ剛性が同じ場合の重量を比較した。その結果、藺草紡績糸/PPFプレボードはケナフ繊維/PPFボードと同等の性能を有することが分かった。
【符号の説明】
【0064】
A・・・中心付近の縦肋
B・・・外側の縦肋
C・・・隣接する縦肋
D・・・最外側の縦肋
1・・・縦肋
2・・・柔細胞
3・・・硬壁細胞
4・・・髄
5・・・プレスローラー機
51・・・主ローラー
52・・・圧壊ローラー
53・・・押圧調整バネ
6a・・・ディスクリファイナ
6b・・・ガーネット式反毛機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7