(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156383
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】車両用内装部品
(51)【国際特許分類】
B60H 1/00 20060101AFI20221006BHJP
B60H 1/34 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B60H1/00 101F
B60H1/00 101G
B60H1/34 611
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060038
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 将克
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇紘
(72)【発明者】
【氏名】小林 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕介
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA01
3L211DA14
3L211EA12
(57)【要約】
【課題】 内気センサを見栄が良く安価に設けることができる車両用内装部品を提供する。
【解決手段】 車両用内装部品10は、車室2に面するように設けられるものであり、車室2側が壁部22で覆われた空気流通路21を有し車室2内の空気を空気流通路21に取り込んで流通させた後に車室2内へ戻すための換気部20を備え、換気部20は、空気流通路21に内気センサSが取り付けられるように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室に面するように設けられる車両用内装部品であって、
車室側が壁部で覆われた空気流通路を有し車室内の空気を上記空気流通路に取り込んで流通させた後に車室内へ戻すための換気部を備え、
上記換気部は、上記空気流通路に内気センサが取り付けられるように構成されている、車両用内装部品。
【請求項2】
上記換気部は、上記空気流通路に互いに空気流れ方向の異なる複数の通気経路が形成されるように構成されている、請求項1に記載の車両用内装部品。
【請求項3】
車室内に空調風を吹き出す吹出開口を有する空調風吹出部を備え、
上記換気部は、車室側から見たときの平面視で上記空調風吹出部の上記吹出開口から外れた位置に設けられている、請求項1または2に記載の車両用内装部品。
【請求項4】
上記換気部は、上記空気流通路における空気流れ方向の両端側の入口開口及び出口開口がいずれも、上記空調風吹出部の上記吹出開口から空調風が吹き出す吹出方向とは異なる向きに開口するように構成されている、請求項3に記載の車両用内装部品。
【請求項5】
上記換気部は、上記吹出方向と交差する交差方向に互いに平行に延びる複数のガイドフィンを有し、上記複数のガイドフィンは、車室内から上記空気流通路の上記入口開口に向かう上流側空気流れと上記空気流通路の上記出口開口から車室内に向かう下流側空気流れがともに上記交差方向に沿って形成されるように空気をガイドする、請求項4に記載の車両用内装部品。
【請求項6】
上記複数のガイドフィンには、車室内に開口し且つ上記空気流通路に連通する貫通開口が設けられており、
上記換気部は、上記入口開口を第1入口開口とし上記出口開口を第1出口開口としたとき、上記複数のガイドフィンのそれぞれの上記貫通開口が上記第1入口開口とは別の第2入口開口、或いは上記第1出口開口とは別の第2出口開口となるように構成されている、請求項5に記載の車両用内装部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられる内装部品に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、車両用換気装置が開示されている。この車両用換気装置は、車室内の温度をモニタする内気センサを備えており、この内気センサで検出された温度情報に基づいて車室内の空調に関する制御を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記内気センサのようなセンサは、乗員の快適性の向上を図るために車室内の環境条件を精度よく検出する目的で設置される。このため、内気センサを乗員に極力近い位置に配置する必要があり、例えば、車室に面するように取り付けられる内装部品の表面近くに内気センサを配置するのが好ましい。
【0005】
ところが、内装部品の表面近くに内気センサを配置すると、乗員が内気センサを容易に視認できるようになり見栄えが悪くなるという問題が生じる。そして、このような問題に対処するべく、内気センサに専用の意匠カバーを取り付ける等の対策を講じると、意匠カバーのような別部材が必要になり製品コストがアップする要因に成り得る。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、内気センサを見栄が良く安価に設けることができる車両用内装部品を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
車室に面するように設けられる車両用内装部品であって、
車室側が壁部で覆われた空気流通路を有し車室内の空気を上記空気流通路に取り込んで流通させた後に車室内へ戻すための換気部を備え、
上記換気部は、上記空気流通路に内気センサが取り付けられるように構成されている、車両用内装部品、
にある。
【発明の効果】
【0008】
上述の態様の車両用内装部品において、換気部によれば車室内の空気を空気流通路に取り込んで流通させた後に車室内へ戻すことができる。このとき、車室内の空気に関する情報が内気センサによって検出される。換気部の空気流通路に内気センサを取り付ければ、この内気センサは車室側が壁部で覆われることになり車室側から見えにくい。このため、内気センサに意匠カバーのような専用の部材を取り付けなくても、換気部の壁部を内気センサの車室側を覆う手段に利用することで見栄えが悪くなるのを防ぐことが可能になる。一方で、車両用内装部品が車室に面して設けられるため、乗員に極力近い位置で内気センサによる検出が可能になる。
【0009】
以上のごとく、上述の態様によれば、内気センサを見栄が良く安価に設けることができる車両用内装部品を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1の車両用内装部品の車両における設置状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0012】
上述の態様の車両用内装部品では、上記換気部は、上記空気流通路に互いに空気流れ方向の異なる複数の通気経路が形成されるように構成されているのが好ましい。
【0013】
この内装部品によれば、換気部の空気流通路に形成される複数の通気経路において互いに異なる方向の空気流れを生じさせることができる。これにより、車室内の空気を広範囲から換気部の空気流通路に取り込んで異なる方向に流通させることができ、内気センサが検出する情報に乗員周辺の環境を代表しないような偏りが発生するのを抑制することができる。
【0014】
上述の態様の車両用内装部品では、車室内に空調風を吹き出す吹出開口を有する空調風吹出部を備え、
上記換気部は、車室側から見たときの平面視で上記空調風吹出部の上記吹出開口から外れた位置に設けられているのが好ましい。
【0015】
この内装部品によれば、換気部の空気流通路における空気の流れが、空調風吹出部の吹出開口から吹き出した空調風の影響を受けにくくなり、内気センサが本来検出したい乗員のまわりの情報を精度よく検出することが可能になる。
【0016】
上述の態様の車両用内装部品では、上記換気部は、上記空気流通路における空気流れ方向の両端側の入口開口及び出口開口がいずれも、上記空調風吹出部の上記吹出開口から空調風が吹き出す吹出方向とは異なる向きに開口するように構成されているのが好ましい。
【0017】
この内装部品によれば、車室内から入口開口を通じて空気流通路に取り込まれる空気の流れや、出口開口を通じて空気流通路から車室内に戻される空気の流れが、空調風吹出部の吹出開口から吹き出した空調風によって乱されるのを抑制することができる。
【0018】
上述の態様の車両用内装部品では、上記換気部は、上記吹出方向と交差する交差方向に互いに平行に延びる複数のガイドフィンを有し、上記複数のガイドフィンは、車室内から上記空気流通路の上記入口開口に向かう第1の空気流れと上記空気流通路の上記出口開口から車室内に向かう第2の空気流れがともに上記交差方向に沿って形成されるように空気をガイドするのが好ましい。
【0019】
この内装部品によれば、換気部の複数のガイドフィンを利用して、車室内から空気流通路の入口開口に向かう空気、及び空気流通路の出口開口から車室内に向かう空気を、空調風吹出部の吹出開口から吹き出す空調風の影響を受けにくい方向にガイドすることが可能
になる。
【0020】
上述の態様の車両用内装部品では、上記複数のガイドフィンには、車室内に開口し且つ上記空気流通路に連通する貫通開口が設けられており、
上記換気部は、上記入口開口を第1入口開口とし上記出口開口を第1出口開口としたとき、上記複数のガイドフィンのそれぞれの上記貫通開口が上記第1入口開口とは別の第2入口開口、或いは上記第1出口開口とは別の第2出口開口となるように構成されているのが好ましい。
【0021】
この内装部品によれば、車室内の空気を第1入口開口から空気流通路に取り込んだ後に第1出口開口から車室内に戻す空気流れを形成させることができることに加えて、ガイドフィンに設けられた貫通開口を利用することで、車室内の空気を第2入口開口から空気流通路に取り込んだ後に第2出口開口から車室内に戻す空気流れを形成させることができる。これにより、換気部の空気流通路に互いに異なる方向の空気流れを形成させることが可能になる。
【0022】
以下、上述の態様の車両用内装部品の具体的な構造について図面を参照しつつ説明する。
【0023】
なお、本明細書に関する図面では、特に断わらない限り、車両後方を矢印RRで示し、車両上方を矢印UPで示し、車両内方を矢印INで示すものとする。また、車両用内装部品の幅方向である第1方向を矢印Xで示し、その奥行方向である第2方向を矢印Yで示し、その高さ方向である第3方向を矢印Zで示すものとする。
【0024】
(実施形態1)
図1に示されるように、実施形態1の車両用内装部品(以下、単に「内装部品」ともいう。)10は、車両1の内装パネル部材であるデッキサイドトリム3に車室2に面するように取り付けられるものである。
【0025】
図2に示されるように、内装部品10は、車室2内に開口する枠状の本体部11と、この本体部11の裏面側から第2方向Yに延びる筒状のリテーナ12(
図3を参照)と、換気部20と、空調風吹出部30と、を備えている。この内装部品10は、一般的には、「ベゼル」或いは「レジスタ」とも称呼される。なお、内装部品10の材質は特に限定されないが、成形に関するコストを抑えるためにはその材質として樹脂材料を用いるのが好ましい。
【0026】
換気部20は、本体部11の枠内において第3方向Zの上部に設けられている。これに対して、空調風吹出部30は、本体部11の枠内において換気部20の第3方向Zの直下に隣接して設けられている。換気部20は、内装部品10を車室2側から見たときの平面視で空調風吹出部30の吹出開口31から外れた位置に設けられている。
【0027】
空調風吹出部30は、空調ユニット(図示省略)から空調風が供給される供給ダクト(図示省略)に連通するように構成されており、車室2内に空調風を吹出方向Y1に強制的に吹き出すための吹出開口31を有する。この吹出開口31は、乗員の空調環境を調整するために設けられるものであり、乗員に近い位置に乗員に向かうように配置されている。
【0028】
空調風吹出部30の吹出開口31の車室2側には、空調風をガイドするための複数のガイドフィン32が設けられている。複数のガイドフィン32は、第3方向Zを板厚方向とし、第2方向Yの間隔を隔てて第1方向Xに互いに平行に延びる平板状の部材である。
【0029】
換気部20は、車室2側が壁部22で覆われた空気流通路21を有する。即ち、内装部品10がデッキサイドトリム3に取り付けられた状態では、車室2と空気流通路21との間に壁部22が介装される。壁部22は、第2方向Yを板厚方向とする平板状の部位である。この換気部20は、空調風吹出部30の吹出開口31から強制的に吹き出す空気流れとは異なり車室2内に形成される空気の自然な流れを利用することにより、車室2内の空気を空気流通路21に取り込んで流通させた後に車室内へ戻す機能を果たす。空気の自然な流れは、空調風吹出部30の吹出開口31から吹き出した空調風の影響によって車室2内に形成されるものである。
【0030】
換気部20は、空気流通路21に内気センサSが取り付けられるように構成されている。内気センサSは、空気に関する情報として空気温度を検出可能な温度センサであり、その検出部分が空気流通路21に露出するように設けられている。このため、空気流通路21を流通する空気の温度が内気センサSによって検出される。このとき、内気センサSが乗員に近い位置に配置されているため、この内気センサSを利用して乗員周辺の温度をモニタすることができる。
【0031】
換気部20は、空調風吹出部30の複数のガイドフィン32と同様の複数のガイドフィン23を有する。複数のガイドフィン23は、第3方向Zを板厚方向とし、第2方向Yの間隔を隔てて第1方向Xに互いに平行に延びる平板状の部材である。このとき、各ガイドフィン32が延びる第1方向Xは、空調風吹出部30の吹出開口31における吹出方向Y1と交差する交差方向(吹出方向Y1に概ね直交する方向)となる。
【0032】
換気部20は、複数のガイドフィン23の間隔が空調風吹出部30の複数のガイドフィン32の間隔と概ね同様であり、各ガイドフィン23の板厚が各ガイドフィン32の板厚と概ね同様となるように構成されるのが好ましい。本構成によれば、換気部20と空調風吹出部30の意匠の傾向を合わせることで統一感を生み出すことができ、内装部品10全体の見栄えを向上させることができる。
【0033】
上記構成の内装部品10の場合、換気部20は、吹出開口31が乗員に近い位置に配置された空調風吹出部30の第3方向Zの直上に隣接して配置されている。このため、換気部20の空気流通路21に取り付けられ内気センサSも、乗員に近い位置に配置されることになる。その結果、空気流通路21に取り込まれる空気は、乗員周辺の空気であり、この空気の温度を内気センサSで検出することによって、乗員周辺の空気の温度を精度良くモニタすることが可能になる。
【0034】
図3~
図5に示されるように、換気部20は、本体部11の貫通穴を通じてリテーナ12側から空気流通路21に突出する保持部材20aを備えている。内気センサSは、保持部材20aに保持されることによって空気流通路21に取り付けられる。このとき、本体部11のうち壁部22との対向面が内気センサSのための取付座となる。或いは、本体部11のうち壁部22との対向面に内気センサSを直に取り付けるようにしてもよい。
【0035】
換気部20は、空気流通路21に互いに空気流れ方向の異なる複数の通気経路P1,P2,P3が形成されるように構成されている。
【0036】
図3に示されるように、第1の通気経路P1は、車室2内の空気が空気流通路21における空気流れ方向の一端側の入口開口24から取り込まれて空気流通路21を流通した後に、空気流通路21における空気流れ方向の他端側の出口開口25から車室2内に戻る経路である。このとき、入口開口24及び出口開口25はいずれも、空調風吹出部30の吹出開口31から空調風が吹き出す吹出方向Y1とは異なる向きに開口しており、互いに逆向きに開口している。なお、この第1の通気経路P1では、空気流通路21における空気流れ方向が逆方向になることもあり、この場合、入口開口24が出口開口であり、出口開口25が入口開口であってもよい。
【0037】
第1の通気経路P1について、複数のガイドフィン23のガイド機能によれば、本体部11の開口空間11aにおいて、車室2内から空気流通路21の入口開口24に向かう上流側空気流れF1aと、空気流通路21の出口開口25から車室2内に向かう下流側空気流れF1bと、が形成されるように空気がガイドされる。このとき、これらの空気流れF1a,F1bはいずれも、空調風吹出部30の吹出開口31における吹出方向Y1と交差する交差方向(吹出方向Y1に概ね直交する方向)に沿って形成される。この第1の通気経路P1では、概して、第1方向Xの空気流れが形成される。
【0038】
図4に示されるように、第2の通気経路P2は、車室2内の空気が空気流通路21における空気流れ方向の一端側の入口開口26から取り込まれて空気流通路21を流通した後に、空気流通路21における空気流れ方向の他端側の出口開口27から車室2内に戻る経路である。このとき、入口開口26及び出口開口27はいずれも、空調風吹出部30の吹出開口31から空調風が吹き出す吹出方向Y1とは異なる向きに開口しており、互いに逆向きに開口している。なお、この第2の通気経路P2では、空気流通路21における空気流れ方向が逆方向になることもあり、この場合、入口開口26が出口開口であり、出口開口27が入口開口であってもよい。
【0039】
第2の通気経路P2について、複数のガイドフィン23のガイド機能によれば、本体部11の開口空間11aにおいて、車室2内から空気流通路21の入口開口26に向かう上流側空気流れF2aと、空気流通路21の出口開口27から車室2内に向かう下流側空気流れF2bと、が形成されるように空気がガイドされる。このとき、これらの空気流れF2a,F2bはいずれも、空調風吹出部30の吹出開口31における吹出方向Y1と交差する交差方向(吹出方向Y1に概ね直交する方向)に沿って形成される。この第2の通気経路P2では、第1の通気経路P1と直下において、概して、第1方向Xの空気流れが形成される。
【0040】
図5に示されるように、第3の通気経路P3は、車室2内の空気が空気流通路21における空気流れ方向の一端側の入口開口28から取り込まれて空気流通路21を流通した後に、空気流通路21における空気流れ方向の他端側の出口開口29から車室2内に戻る経路である。このとき、入口開口28及び出口開口29はいずれも、空調風吹出部30の吹出開口31から空調風が吹き出す吹出方向Y1とは異なる向きに開口しており、互いに逆向きに開口している。なお、この第3の通気経路P3では、空気流通路21における空気流れ方向が逆方向になることもあり、この場合、入口開口28が出口開口であり、出口開口29が入口開口であってもよい。
【0041】
入口開口28は、1つのガイドフィン23に設けられた貫通開口23aによって構成されており、出口開口29は、別のガイドフィン23に設けられた貫通開口23aによって構成されている。各貫通開口23aは、車室2内に開口し且つ空気流通路21に連通するように設けられている。ここで、入口開口24または入口開口26を第1入口開口とし、出口開口25または出口開口27を第1出口開口としたとき、入口開口28が1つのガイドフィン23の貫通開口23aによって構成された第2入口開口となり、出口開口29が別のガイドフィン23の貫通開口23aによって構成された第2出口開口となる。
【0042】
第3の通気経路P3について、本体部11の開口空間11aにおいて、車室2内から空気流通路21の入口開口28に向かう上流側空気流れF3aと、空気流通路21の出口開口29から車室2内に向かう下流側空気流れF3bと、が形成される。このとき、これらの空気流れF3a,F3bはいずれも、空調風吹出部30の吹出開口31における吹出方向Y1と交差する交差方向(吹出方向Y1に概ね直交する方向)に沿って形成される。この第3の通気経路P3では、概して、第3方向Zの下向きの空気流れが形成される。
【0043】
上記構成の内装部品10において、換気部20は、複数の開口24~29のいずれも、日射光の影響や吹出開口31から吹き出す空調風の影響を受けにくい位置に配置されるように構成されるのが好ましい。
【0044】
また、上記構成の内装部品10において、換気部20の複数の開口24~29における所望の通気性能を確保するために、複数の開口24~29のそれぞれの開口面積の基準値を50mm2とし、この基準値を上回るように複数の開口24~29を構成するのが好ましい。
【0045】
さらに、上記構成の内装部品10において、乗員の平均的な手指の大きさを想定し、換気部20の複数の開口24~29のそれぞれの形状及び開口寸法を、乗員の手指が挿入されるのを防ぐことができるものとするのが好ましい。一例として、複数の開口24~29の断面形状を略正方形としたとき、一辺の長さが7mmを下回るように開口寸法を設定することができる。
【0046】
次に、上述の実施形態1の作用効果について説明する。
【0047】
実施形態1の内装部品10において、換気部20によれば車室2内の空気を空気流通路21に取り込んで流通させた後に車室2内へ戻すことができる。このとき、車室内の空気に関する情報である温度が内気センサSによって検出される。換気部20の空気流通路21に内気センサSを取り付ければ、この内気センサSは車室2側が壁部22で覆われることになり車室2側から見えにくい。このため、内気センサSに意匠カバーのような専用の部材を取り付けなくても、換気部20の壁部22を内気センサSの車室2側を覆う手段に利用することで見栄えが悪くなるのを防ぐことが可能になる。一方で、内装部品10が車室2に面して設けられるため、乗員に極力近い位置で内気センサSによる検出が可能になる。
【0048】
従って、上述の実施形態1によれば、内気センサSを見栄が良く安価に設けることができる内装部品10を提供することが可能になる。
【0049】
上記構成の内装部品10によれば、換気部20の空気流通路21に形成される複数の通気経路P1,P2,P3において互いに異なる方向の空気流れを生じさせることができる。これにより、車室2内の空気を広範囲から換気部20の空気流通路に取り込んで異なる方向に流通させることができ、内気センサSが検出する温度に乗員周辺の温度を代表しないような偏りが発生するのを抑制することができる。
【0050】
上記構成の内装部品10によれば、換気部20の空気流通路21における空気の流れが、空調風吹出部30の吹出開口31から吹き出した空調風の影響を受けにくくなり、内気センサSが本来検出したい乗員のまわりの情報を精度よく検出することが可能になる。
【0051】
上記構成の内装部品10によれば、車室2内から入口開口24,26,28を通じて空気流通路21に取り込まれる空気の流れや、出口開口25,27,29を通じて空気流通路21から車室2内に戻される空気の流れが、空調風吹出部30の吹出開口31から吹き出した空調風によって乱されるのを抑制することができる。
【0052】
上記構成の内装部品10によれば、換気部20の複数のガイドフィン23を利用して、車室2内から空気流通路21の入口開口24,26に向かう空気、及び空気流通路21の出口開口25,27から車室2内に向かう空気を、空調風吹出部30の吹出開口31から吹き出す空調風の影響を受けにくい方向にガイドすることが可能になる。
【0053】
上記構成の内装部品10によれば、車室2内の空気を第1入口開口24,26から空気流通路21に取り込んだ後に第1出口開口25,27から車室2内に戻す空気流れを形成させることができることに加えて、ガイドフィン23に設けられた貫通開口23aを利用することで、車室2内の空気を第2入口開口28から空気流通路21に取り込んだ後に第2出口開口29から車室2内に戻す空気流れを形成させることができる。これにより、換気部20の空気流通路21に互いに異なる方向の空気流れを形成させることが可能になる。
【0054】
なお、上述の実施形態1に特に関連する変更例では、例えば、空調風吹出部30の吹出開口31から吹き出す空調風の影響を受けにくい場合、複数の開口24~29の少なくとも1つが空調風吹出部30の吹出開口31から空調風が吹き出す吹出方向Y1と同じ向きに開口するように構成することもできる。
【0055】
また、上述の実施形態1に特に関連する別の変更例では、ガイドフィン23の貫通開口23aを省略した構造を採用することもできる。この場合、換気部20の2つの開口28,29が省略されることになり、換気部20の空気流通路21に、2つの通気経路P1,P2のみが形成される。
【0056】
以下、上述の実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
【0057】
(実施形態2)
図6に示されるように、実施形態2の内装部品10Aは、その換気部20Aの構造について、実施形態1の内装部品10の換気部20のものと相違している。換気部20Aは、換気部20の複数のガイドフィン23に相当する要素を備えていない。また、換気部20Aにおいて、車室2内の空気が入口開口24から取り込まれて空気流通路21を流通した後に出口開口25から車室2内に戻る経路と、車室2内の空気が入口開口28から取り込まれて空気流通路21を流通した後に出口開口29から車室2内に戻る経路と、が形成される。
【0058】
その他の構成については、実施形態1の場合と同様である。
【0059】
実施形態2の内装部品10Aによれば、実施形態1の内装部品10に比べて、複数のガイドフィン23に相当する要素を省略することによって、換気部20Aの構造を簡素化することができる。
【0060】
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0061】
本発明は、上記の典型的な実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記の実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0062】
上述の実施形態では、換気部20,20Aと空調風吹出部30の両方を備える構造の内装部品10,10Aについて例示したが、これに代えて、空調風吹出部30に相当する要素を省略し、換気部20,20Aに相当する要素のみを備える構造の内装部品を採用することもできる。
【0063】
上述の実施形態では、内気センサSとして空気の温度を検出する温度センサを使用する場合について例示したが、これに代えて或いは加えて、温度以外の環境条件を検出する別のセンサを採用することもできる。別のセンサとして、例えば、空気の湿度に関する情報や、空気組成(空気中の酸素濃度や二酸化炭素脳など)に関する情報を検出するセンサなどが挙げられる。
【0064】
上述の実施形態では、内装部品10,10Aを車室2に面するデッキサイドトリム3に取り付ける場合について例示したが、その取付箇所となる部材はデッキサイドトリム3に限定されるものではなく、必要に応じて、車室2に面する適宜の部材に内装部品10,10Aを取り付けることができる。
【符号の説明】
【0065】
2 車室
10,10A 内装部品(車両用内装部品)
20,20A 換気部
21 空気流通路
22 壁部
23 ガイドフィン
23a 貫通開口
24,26 第1入口開口(入口開口)
25,27 第1出口開口(出口開口)
28 第2入口開口(入口開口)
29 第2出口開口(出口開口)
30 空調風吹出部
31 吹出開口
F1a,F2a 上流側空気流れ
F1b,F2b 下流側空気流れ
P1,P2,P3 通気経路
S 内気センサ
X 第1方向(交差方向)
Y1 吹出方向