(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156397
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ラベル付き検体採取管の製造方法及びラベル貼付装置
(51)【国際特許分類】
B65C 3/02 20060101AFI20221006BHJP
B65C 9/26 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B65C3/02
B65C9/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060061
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390037327
【氏名又は名称】積水メディカル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000224949
【氏名又は名称】徳山積水工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹生谷 雅敏
【テーマコード(参考)】
3E095
【Fターム(参考)】
3E095AA06
3E095BA01
3E095CA01
3E095DA40
3E095DA52
3E095FA12
(57)【要約】
【課題】検体採取管にラベルを貼り付ける際に、しわの発生及び気泡の巻き込みを抑えることができるラベル付き検体採取管の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るラベル付き検体採取管の製造方法は、検体採取管の外周面にラベルが貼り付けられたラベル付き検体採取管の製造方法であって、絶縁部を表面に有するラベル保持部材の前記絶縁部にラベルを保持する保持工程と、前記ラベル保持部材に保持された前記ラベルと、検体採取管の外周面とを接触させて、前記検体採取管の外周面に前記ラベルを貼り付ける貼付工程とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体採取管の外周面にラベルが貼り付けられたラベル付き検体採取管の製造方法であって、
絶縁部を表面に有するラベル保持部材の前記絶縁部にラベルを保持する保持工程と、
前記ラベル保持部材に保持された前記ラベルと、検体採取管の外周面とを接触させて、前記検体採取管の外周面に前記ラベルを貼り付ける貼付工程とを備える、ラベル付き検体採取管の製造方法。
【請求項2】
前記貼付工程が、前記ラベル保持部材に保持された前記ラベルと、第1のローラ及び第2のローラに搭載された検体採取管の外周面とを接触させて、前記検体採取管の外周面に前記ラベルを貼り付ける工程である、請求項1に記載のラベル付き検体採取管の製造方法。
【請求項3】
前記第1のローラが、勾配角度が0.3°以上1.5°以下である第1のテーパーローラであり、
前記第2のローラが、勾配角度が0.3°以上1.5°以下である第2のテーパーローラである、請求項2に記載のラベル付き検体採取管の製造方法。
【請求項4】
検体採取管の外周面にラベルを貼り付けるラベル貼付装置であって、
ラベルを保持可能な絶縁部を表面に有するラベル保持部材を備える、ラベル貼付装置。
【請求項5】
検体採取管が搭載される第1のローラ及び第2のローラを備える、請求項4に記載のラベル貼付装置。
【請求項6】
前記第1のローラが、勾配角度が0.3°以上1.5°以下である第1のテーパーローラであり、
前記第2のローラが、勾配角度が0.3°以上1.5°以下である第2のテーパーローラである、請求項5に記載のラベル貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体採取管の外周面にラベルが貼り付けられたラベル付き検体採取管の製造方法に関する。また、本発明は、検体採取管の外周面にラベルを貼り付けるラベル貼付装置に関する。
【0002】
採血管等の検体採取管が広く用いられている。検体採取管の外周面には、製品情報等が記載されたラベルが貼り付けられることがある。従来、エア吸引によりラベルをラベル保持部材に保持し、保持されたラベルを検体採取管の外周面へ貼り付けることで、ラベル付き検体採取管が製造されている。
【0003】
下記の特許文献1には、ラベル供給手段と、被着物の搬送手段と、上記両手段の間に配設した負圧吸引式の貼付ドラムとを備えるラベル貼付装置が開示されている。このラベル貼付装置では、ラベル供給手段から供給されたラベルを貼付ドラムの周面に吸着して移送しつつ、被着物の搬送手段によりラベルの供給と同期して搬送される被着物の外周面にラベルが貼り付けられる。また、このラベル貼付装置では、上記貼付ドラムの外周面が、断面山形状の突状周面として形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エア吸引によりラベル保持部材に保持されたラベルを検体採取管の外周面へ貼り付ける場合、ラベルに吸引の跡が生じることがある。また、エア吸引によりラベル保持部材に保持されたラベルを検体採取管の外周面へ貼り付ける場合、しわが生じたり、気泡の巻き込みが生じたりすることがある。ラベルの面積が大きくなるほど、また、ラベルの厚みが小さくなるほど、しわの発生及び気泡の巻き込みが生じやすい。
【0006】
本発明の目的は、検体採取管にラベルを貼り付ける際に、しわの発生及び気泡の巻き込みを抑えることができるラベル付き検体採取管の製造方法及びラベル貼付装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の広い局面によれば、検体採取管の外周面にラベルが貼り付けられたラベル付き検体採取管の製造方法であって、絶縁部を表面に有するラベル保持部材の前記絶縁部にラベルを保持する保持工程と、前記ラベル保持部材に保持された前記ラベルと、検体採取管の外周面とを接触させて、前記検体採取管の外周面に前記ラベルを貼り付ける貼付工程とを備える、ラベル付き検体採取管の製造方法が提供される。
【0008】
本発明に係るラベル付き検体採取管の製造方法のある特定の局面では、前記貼付工程が、前記ラベル保持部材に保持された前記ラベルと、第1のローラ及び第2のローラに搭載された検体採取管の外周面とを接触させて、前記検体採取管の外周面に前記ラベルを貼り付ける工程である。
【0009】
本発明に係るラベル付き検体採取管の製造方法のある特定の局面では、前記第1のローラが、勾配角度が0.3°以上1.5°以下である第1のテーパーローラであり、前記第2のローラが、勾配角度が0.3°以上1.5°以下である第2のテーパーローラである。
【0010】
本発明の広い局面によれば、検体採取管の外周面にラベルを貼り付けるラベル貼付装置であって、ラベルを保持可能な絶縁部を表面に有するラベル保持部材を備える、ラベル貼付装置が提供される。
【0011】
本発明に係るラベル貼付装置のある特定の局面では、前記ラベル貼付装置は、検体採取管が搭載される第1のローラ及び第2のローラを備える。
【0012】
本発明に係るラベル貼付装置のある特定の局面では、前記第1のローラが、勾配角度が0.3°以上1.5°以下である第1のテーパーローラであり、前記第2のローラが、勾配角度が0.3°以上1.5°以下である第2のテーパーローラである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るラベル付き検体採取管の製造方法は、検体採取管の外周面にラベルが貼り付けられたラベル付き検体採取管の製造方法である。本発明に係るラベル付き検体採取管の製造方法は、絶縁部を表面に有するラベル保持部材の上記絶縁部にラベルを保持する保持工程と、上記ラベル保持部材に保持された上記ラベルと、検体採取管の外周面とを接触させて、上記検体採取管の外周面に上記ラベルを貼り付ける貼付工程とを備える。本発明に係るラベル付き検体採取管の製造方法では、上記の構成が備えられているので、検体採取管にラベルを貼り付ける際に、しわの発生及び気泡の巻き込みを抑えることができる。
【0014】
本発明に係るラベル貼付装置は、検体採取管の外周面にラベルを貼り付けるラベル貼付装置であって、ラベルを保持可能な絶縁部を表面に有するラベル保持部材を備える。本発明に係るラベル貼付装置では、上記の構成が備えられているので、検体採取管にラベルを貼り付ける際に、しわの発生及び気泡の巻き込みを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1(a)及び(b)はそれぞれ、本発明で用いられるラベル保持部材の一例を模式的に示す正面図及び底面図である。
【
図2】
図2(a)及び(b)は、本発明で用いられるローラの周辺の構成の一例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3(a)は、本発明の一実施形態に係るラベル付き検体採取管の製造方法における保持工程を説明するための図であり、
図3(b)は、検体採取管が第1のローラ及び第2のローラに搭載された様子を示す図である。
【
図4】
図4(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係るラベル付き検体採取管の製造方法における貼付工程を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係るラベル付き検体採取管の製造方法で製造されたラベル付き検体採取管を模式的に示す正面図である。
【
図6】
図6は、本発明で用いられる検体採取管の一例を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0018】
まず、本発明で用いられる検体採取管及びラベルについて説明する。
【0019】
[検体採取管]
検体採取管は、管状容器である管本体と、栓体とを有することが好ましい。検体採取管に採取される検体としては、体液等が挙げられる。上記体液としては、血液、髄液及び尿等が挙げられる。上記検体採取管は、体液採取管であることが好ましく、採血管であることがより好ましい。
【0020】
図6は、本発明で用いられる検体採取管の一例を模式的に示す正面図である。
【0021】
図6に示す検体採取管90は、管本体91と、栓体92とを備える。検体採取管90は、採血管である。管本体91は、長さ方向の一端に開口を有する。管本体91の長さ方向の他端は、閉じられている。栓体92が、管本体91の開口に取り付けられている。
【0022】
管本体91は、0°を超える勾配角度(θA)を有する。管本体91は、一端(開口)から他端に向かって外径が小さくなる部分を有する。
【0023】
本発明で用いられる管本体の勾配角度(θA)は、0°であってもよく、0°を超えていてもよく、0.1°以上であってもよく、0.3°以上であってもよく、0.5°以上であってもよく、2.5°以下であってもよく、1.5°以下であってもよく、1.2°以下であってもよい。
【0024】
管本体の勾配角度(θ
A)とは、管本体の外周面が、管本体の長さ方向に対して傾いている角度を意味する。
図6では、管本体91の長さ方向が点線で示されている。管本体の勾配角度(θ
A)とは、管本体の正面視において、管本体の長さ方向の直線と、管本体の外周面に平行な直線とのなす角度を意味する。上記管本体の外周面に平行な直線は、管本体の長さをLとしたときに、管本体の正面断面図において、管本体の一端(開口)から他端に向かって0.25Lの位置と、管本体の他端から一端(開口)に向かって0.25Lの位置とを結ぶ直線であることが好ましい。
【0025】
上記管本体の素材としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、アクリロニトリル-スチレン共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体等の熱可塑性樹脂;不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ-アクリレート樹脂等の熱硬化性樹脂;酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、エチルキチン等の変性天然樹脂;ソーダ石灰ガラス、リンケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス等のケイ酸塩、石英ガラス等のガラスや、これらを組み合わせたもの、あるいはこれらを主成分とするもの等の公知の素材が挙げられる。
【0026】
上記栓体として、従来公知の栓体を使用可能である。
【0027】
また、上記検体採取管は、管本体内に収容された血清または血漿分離用組成物等の成分を備えていてもよい。
【0028】
[ラベル]
上記ラベルは、一方の表面が粘着面であることが好ましい。上記ラベルとしては、製品情報等が印字されたラベル、並びに、バリアフィルム等が挙げられる。上記ラベルは、透明部分を有していてもよい。上記ラベルは、印字部分を除く箇所において透明であってもよい。透明部分を有するラベルでは、該透明部分においてしわ及び気泡が目立ちやすい。本発明では、検体採取管にラベルを貼り付ける際に、しわの発生及び気泡の巻き込みを抑えることができるので、透明部分を有するラベルであっても好適に用いることができる。
【0029】
上記ラベルの上記粘着面とは反対側の表面の材質は、上記ラベルが後述のラベル保持部材に保持可能な材質である限り特に限定されない。上記ラベルの上記粘着面とは反対側の表面の材質としては、樹脂等が挙げられる。上記樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル及びポリプロピレン等が挙げられる。
【0030】
上記ラベルの厚みは特に限定されない。上記ラベルの厚みは、5μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、100μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。厚みが50μm以下のラベルでは、しわが特に発生しやすい。本発明では、検体採取管にラベルを貼り付ける際に、しわの発生及び気泡の巻き込みを抑えることができるので、厚みが50μm以下のラベルであっても、好適に用いることができる。
【0031】
[ラベル貼付装置及びラベル付き検体採取管の製造方法]
本発明に係るラベル貼付装置は、検体採取管の外周面にラベルを貼り付けるラベル貼付装置である。本発明に係るラベル貼付装置は、ラベルを保持可能な絶縁部を表面に有するラベル保持部材を備える。本発明に係るラベル貼付装置を用いることにより、検体採取管の外周面にラベルが貼り付けられたラベル付き検体採取管を製造することができる。
【0032】
図1(a)及び(b)はそれぞれ、本発明で用いられるラベル保持部材の一例を模式的に示す正面図及び底面図である。
【0033】
ラベル保持部材10は、絶縁部11と、板状部材12とを備える。ラベル保持部材10は、絶縁部11を表面に有する。絶縁部11は、ラベルを保持可能である。絶縁部11は、ラベルをエア吸引以外の方法で保持可能である。絶縁部11は、ラベルを電気的相互作用により保持可能であることが好ましい。
【0034】
絶縁部11は、第1の表面11aと第2の表面11bとを有する。第1の表面11aと第2の表面11bとは、絶縁部11において、互いに対向する表面である。
【0035】
板状部材12は、第1の表面12aと第2の表面12bとを有する。第1の表面12aと第2の表面12bとは、板状部材12において、互いに対向する表面である。
【0036】
絶縁部11は、板状部材12の第1の表面12a上に配置されている。絶縁部11は、板状部材12の第1の表面12a上に部分的に配置されている。絶縁部11のサイズは、用いるラベルのサイズにより適宜変更可能である。上記絶縁部は、上記板状部材の第1の表面の全体に配置されていてもよく、上記板状部材の第1の表面の一部に配置されていてもよい。
【0037】
絶縁部11は、絶縁材料を含む。絶縁部11は、絶縁材料を含む絶縁部本体と、粘着剤を含む粘着層とを有する。絶縁部11の第1の表面11a側に絶縁部本体が位置し、第2の表面11b側に粘着層が位置する。絶縁部11の第1の表面11aは、絶縁部本体の表面である。絶縁部11の第2の表面11bは、粘着層の表面である。板状部材12の第1の表面12a上に、絶縁部11の粘着層が配置されている。絶縁部11の第2の表面11bと、板状部材12の第1の表面12aとが接着している。
【0038】
上記絶縁材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル及びナイロン等が挙げられる。
【0039】
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記絶縁部は、ポリテトラフルオロエチレン又はポリ塩化ビニルを含むことが好ましく、ポリテトラフルオロエチレンを含むことがより好ましい。上記絶縁部本体は、ポリテトラフルオロエチレン又はポリ塩化ビニルを含むことが好ましく、ポリテトラフルオロエチレンを含むことがより好ましい。
【0040】
上記粘着層に含まれる粘着剤は特に限定されない。
【0041】
絶縁部11の厚みは、好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下である。絶縁部11の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、ラベルをより一層良好に保持することができる。
【0042】
板状部材12の材料としては、金属及び樹脂等が挙げられる。板状部材12の材料は、(メタ)アクリル樹脂又はナイロンであることが好ましい。
【0043】
本発明に係るラベル貼付装置は、検体採取管が搭載される第1のローラ及び第2のローラを備えることが好ましい。第1のローラ及び第2のローラは、検体採取管を搭載するためのローラである。1本の検体採取管が第1のローラ及び第2のローラの双方のローラ上に搭載される。
【0044】
図2(a)及び(b)は、本発明で用いられるローラの周辺の構成の一例を模式的に示す図である。
図2(a)は、ローラの周辺の構成の一例を模式的に示す平面図であり、
図2(b)は、
図2(a)中のI-I線に沿う図である。
【0045】
図2では、ラベル貼付装置における第1のローラ21、第2のローラ22、第1の軸部31、第2の軸部32、ローラ支持台41が示されている。第1の軸部31は、第1のローラ21を貫通している。第2の軸部32は、第2のローラ22を貫通している。第1のローラ21と第2のローラ22とは、平行に配置されている。第1のローラ21の長さ方向と第2のローラ22の長さ方向とは、同じ方向である。なお、第1,第2のローラ21,22の長さ方向とは、
図2(a)における上下方向であり、
図2(b)における手前-奥方向である。
【0046】
第1のローラ21の外形は、円錐台形状である。第2のローラ22の外形は、円錐台形状である。第1のローラ21と第2のローラ22とは同一の形状を有する。第1のローラ21の大径部側から小径部側に向かう方向と、第2のローラ22の大径部側から小径部側に向かう方向とは、同じ方向である(
図2(a)における上から下に向かう方向)。
【0047】
第1のローラ21は、0°を超える勾配角度(θ1)を有する第1のテーパーローラである。第2のローラ22は、0°を超える勾配角度(θ2)を有する第2のテーパーローラである。勾配角度が0°の場合、第1のローラ及び第2のローラの外形はそれぞれ、円柱形状であり、ストレートローラである。
【0048】
ローラの勾配角度(θ
1,θ
2)とは、ローラの外周面が、ローラの長さ方向に対して傾いている角度を意味する。より具体的には、ローラの勾配角度とは、ローラの平面視において、ローラの長さ方向の直線と、ローラの外周面の外形に平行な直線とのなす角度を意味する。
図2(a)では、第1のローラ21の長さ方向及び第2のローラ22の長さ方向がそれぞれ点線で示されている。
【0049】
第1のローラ21の勾配角度(θ1)及び第2のローラの勾配角度(θ2)は、用いる検体採取管の形状により適宜変更される。
【0050】
第1のローラ21の勾配角度(θ1)は、好ましくは0.3°以上、より好ましくは0.5°以上、好ましくは1.5°以下、より好ましくは1.2°以下である。ただし、第1のローラの勾配角度(θ1)は0°であってもよい。すなわち、第1のローラは、ストレートローラであってもよい。
【0051】
第2のローラ22の勾配角度(θ2)は、好ましくは0.3°以上、より好ましくは0.5°以上、好ましくは1.5°以下、より好ましくは1.2°以下である。ただし、第2のローラの勾配角度(θ2)は0°であってもよい。すなわち、第2のローラは、ストレートローラであってもよい。
【0052】
第1のローラ21の勾配角度(θ1)と第2のローラ22の勾配角度(θ2)との差の絶対値は、好ましくは0.5°以下、より好ましくは0.3°以下、最も好ましくは0°である。すなわち、第1のローラ21の勾配角度(θ1)と第2のローラ22の勾配角度(θ2)とは一致していることが最も好ましい。
【0053】
第1のローラ21の勾配角度(θ1)と管本体の勾配角度(θA)との差の絶対値、及び、第2のローラ22の勾配角度(θ2)と管本体の勾配角度(θA)との差の絶対値はそれぞれ、好ましくは0.5°以下、より好ましくは0.3°以下、最も好ましくは0°である。上記差の絶対値が上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。また、上記差の絶対値が上記上限以下であると、勾配角度(θA)が0°を超える管本体を備える検体採取管を用いた場合でも、貼付工程にてラベルを検体採取管に傾きなく貼り付けることができる。
【0054】
以下、本発明に係るラベル付き検体採取管の製造方法について説明する。
【0055】
上記ラベル付き検体採取管の製造方法は、絶縁部を表面に有するラベル保持部材の絶縁部にラベルを保持する保持工程を備える。上記ラベル付き検体採取管の製造方法は、ラベル保持部材に保持されたラベルと、検体採取管の外周面とを接触させて、検体採取管の外周面にラベルを貼り付ける貼付工程を備える。
【0056】
図3(a)は、本発明の一実施形態に係るラベル付き検体採取管の製造方法における保持工程を説明するための図である。
【0057】
図3(a)では、ラベル保持部材10の板状部材12側の表面に把持部材60が備え付けられている。把持部材60は、棒状部61と球状部62とを有する。把持部材60を持ち、ラベル保持部材10における絶縁部11の第1の表面11aと、ラベルLとを接触させる。ラベルLは、一方の表面が粘着面である。絶縁部11の第1の表面11aの面積は、ラベルLの粘着面とは反対側の表面の面積よりも大きい。絶縁部11の第1の表面11aと、ラベルLにおける粘着面とは反対側の表面とを接触させる。これにより、ラベルLは、絶縁部11の第1の表面11a上にて、絶縁部11とラベルLとの間に働く電気的相互作用(静電気)により保持される。なお、ラベルLの粘着面とは反対側の表面全体が、絶縁部11の第1の表面11aと接触するように、絶縁部11の第1の表面11aと、ラベルLにおける粘着面とは反対側の表面とを接触させることが好ましい。
【0058】
保持工程の前又は後に、検体採取管90を第1のローラ21及び第2のローラ22に搭載する。
図3(b)に示すように、検体採取管90における管本体91の外周面が、第1のローラ21及び第2のローラ22の双方のローラ上に至るように、検体採取管90を第1のローラ21及び第2のローラ22に搭載する。
【0059】
第1のローラ21及び第2のローラ22の大径部側に、管本体91の小径部側が位置し、かつ、第1のローラ21及び第2のローラ22の小径部側に、管本体91の大径部側が位置するように、検体採取管90を第1のローラ21及び第2のローラ22に搭載する。第1のローラ21及び第2のローラ22の大径部側に、管本体91の他端側が位置し、かつ、第1のローラ21及び第2のローラ22の小径部側に、管本体91の一端側が位置するように、検体採取管90を第1のローラ21及び第2のローラ22に搭載する。このように配置することにより、第1のローラ21及び第2のローラ22にて、検体採取管90を水平に保持することができ、貼付工程にてラベルを検体採取管90に傾きなく貼り付けることができる。
【0060】
栓体92には、保持具71及びレバー72が取り付けられている。保持具71及びレバー72を操作することにより、検体採取管90を回転させることができる。保持具71及びレバー72は、ラベル貼付装置において、検体採取管を回転させるための回転機構を構成する。
【0061】
図4(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係るラベル付き検体採取管の製造方法における貼付工程を説明するための図である。
図4(b)は、
図4(a)中のI-I線に沿う断面図である。
【0062】
ラベル保持部材10に保持されたラベルLと、第1のローラ21及び第2のローラ22に搭載された検体採取管90の外周面とを接触させる。より具体的には、ラベル保持部材10に保持されたラベルLと、第1のローラ21及び第2のローラ22に搭載された検体採取管90における管本体91の外周面とを接触させる。本実施形態では、把持部材60を持ち、検体採取管90の上部から、ラベル保持部材10を近づけることによって、ラベル保持部材10に保持されたラベルLの粘着面と、検体採取管90の外周面とを接触させている。
【0063】
なお、例えば、把持部材を用いるのではなく、ピストン等の機構により、ラベル保持部材10に保持されたラベルLと、第1のローラ21及び第2のローラ22に搭載された検体採取管90とを近づけて、ラベルLと検体採取管90の外周面とを接触させてもよい。ラベル貼付装置は、ラベル保持部材に保持されたラベルを、検体採取管の外周面に接触させるように、ラベル保持部材、又は、第1のローラ及び第2のローラに搭載された検体採取管を移動させる移動機構を備えることが好ましい。
【0064】
次いで、保持具71及びレバー72を動作させることによって、検体採取管90を第1のローラ21及び第2のローラ22上で回転させる。ラベルLと絶縁部11との接着力(電気的相互作用による接着力)は、ラベルLにおける粘着面と検体採取管90との接着力よりも弱い。このため、ラベルLの粘着面と検体採取管90の外周面とを接触させながら検体採取管90を回転させることで、検体採取管90の外周面にラベルLを貼り付けることができ、かつ、ラベルLを貼り付ける際のしわの発生及び気泡の巻き込みが効果的に抑えられる。
【0065】
なお、保持具71及びレバー72を用いずに、例えば、モーター等に接続された第1のローラ21自体及び第2のローラ22自体が回転することにより、検体採取管90を回転させてもよい。
【0066】
また、ラベル保持部材10に保持されたラベルLを検体採取管90に押し当てながらラベル保持部材10を動かすことにより、検体採取管90を回転させてもよい。
【0067】
このようにして、
図5に示すように、検体採取管90の外周面にラベルLが貼り付けられたラベル付き検体採取管95を製造することができる。
【0068】
上記ラベル付き検体採取管の製造方法では、検体採取管の外周面にラベルを、0.5周以上で配置してもよく、1周で配置してもよく、1周以上で配置してもよく、1.5周以上で配置してもよく、2周以上で配置してもよい。
【0069】
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0070】
以下の部材を用意した。
【0071】
(検体採取管)
図6に示す形状を有し、管本体と栓体とを備える検体採取管
管本体の勾配角度(θ
A):1.0°
管本体の素材:ポリエチレンテレフタレート(PET)
管本体の長さ:10cm
開口端の外径:1.6cm
【0072】
(ラベル)
ポリエチレンテレフタレートシートと粘着層との積層シート
サイズ:縦7.5cm×横4.5cm×厚み50μm
【0073】
(ラベル保持部材A)
<板状部材>
材料:アクリル樹脂
サイズ:縦11cm×横15cm×厚み0.5cm
<絶縁部>
材料:ポリテトラフルオロエチレンシートと粘着層との積層シート(中興化成工業社製「フッ素樹脂粘着テープ」)
<ラベル保持部材Aの作製>
板状部材の第1の表面に、上記積層シートを粘着層側から貼り付けて、ラベル保持部材A(縦11cm×横15cm)を作製した。なお、上記板状部材の第1の表面上に配置されている絶縁部のサイズは、縦9cm×横13cmである。
【0074】
(ラベル保持部材B)
<板状部材>
材料:アクリル樹脂
サイズ:縦11cm×横15cm×厚み0.5cm
<絶縁部>
材料:ポリ塩化ビニルシートと粘着層との積層シート(日東電工社製「塩化ビニールテープ」)
<ラベル保持部材Bの作製>
板状部材の第1の表面に、上記積層シートを粘着層側から貼り付けて、ラベル保持部材B(縦11cm×横15cm)を作製した。なお、上記板状部材の第1の表面上に配置されている絶縁部のサイズは、縦9cm×横13cmである。
【0075】
(ローラ)
ローラA:テーパーローラ、勾配角度(θ):1.0°
ローラB:テーパーローラ、勾配角度(θ):0.5°
ローラC:ストレートローラ、勾配角度(θ):0°
【0076】
(実施例1)
表1に示す種類のラベル保持部材及びローラを用いて以下のようにしてラベル付き検体採取管を作製した。なお、ラベル保持部材は、
図4に示すように、棒状部と球状部とを有する把持部材を取り付けて用いた。また、ローラは、
図2に示すように、ローラ支持台に搭載して用いた。
【0077】
把持部材を持ち、ラベルにおける粘着面とは反対側の表面全体が、ラベル保持部材における絶縁部の第1の表面と接触するように、上記絶縁部の第1の表面と、ラベルとを接触させて、ラベルを絶縁部に保持した。絶縁部とラベルとは、電気的相互作用(静電気)により保持されている。
【0078】
第1のローラ及び第2のローラの大径部側に、検体採取管の管本体の小径部側が位置し、かつ、第1のローラ及び第2のローラの小径部側に、検体採取管の管本体の大径部側が位置するように、検体採取管を第1のローラ及び第2のローラに搭載した。次いで、検体採取管の栓体に保持具及びレバーを取り付けた。
【0079】
ラベル保持部材に保持されたラベルと、第1のローラ及び第2のローラに搭載された検体採取管における管本体の外周面とを接触させ、検体採取管の栓体に取り付けられた保持具及びレバーを操作し、検体採取管を第1のローラ及び第2のローラ上で回転させた。ラベルの粘着面と検体採取管の外周面とを接触させながら検体採取管を回転させることで、検体採取管の外周面にラベルを貼り付けた。このようにして、ラベル付き検体採取管を作製した。
【0080】
(実施例2,3)
ラベル保持部材及びローラの種類を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ラベル付き検体採取管を作製した。
【0081】
(比較例1)
検体採取管の管本体の外周面に、ラベルの粘着面の一端を仮で貼り付け、検体採取管をローラに搭載した。次いで、ラベル保持部材を用いずに、その上から検体採取管を押さえることなく、検体採取管を回転させて、検体採取管の外周面にラベルを貼り付けた。これら以外は、実施例1と同様にして、ラベル付き検体採取管を作製した。
【0082】
(評価)
(1)しわ及び気泡の巻き込み
得られたラベル付き検体採取管10本の外観を目視にて確認し、しわ及び気泡の巻き込みが発生しているか否か確認した。
【0083】
<しわの判定基準>
〇:ラベル付き検体採取管10本中、しわが発生しているラベル付き検体採取管の本数が1本以下
△:ラベル付き検体採取管10本中、しわが発生しているラベル付き検体採取管の本数が2本以上4本以下
×:ラベル付き検体採取管10本中、しわが発生しているラベル付き検体採取管の本数が5本以上
【0084】
<気泡の巻き込みの判定基準>
〇:ラベル付き検体採取管10本中、気泡が巻き込まれているラベル付き検体採取管の本数が1本以下
△:ラベル付き検体採取管10本中、気泡が巻き込まれているラベル付き検体採取管の本数が2本以上4本以下
×:ラベル付き検体採取管10本中、気泡が巻き込まれているラベル付き検体採取管の本数が5本以上
【0085】
構成及び結果を下記の表1に示す。
【0086】
【符号の説明】
【0087】
10…ラベル保持部材
11…絶縁部
11a…第1の表面
11b…第2の表面
12…板状部材
12a…第1の表面
12b…第2の表面
21…第1のローラ
22…第2のローラ
31…第1の軸部
32…第2の軸部
41…ローラ支持台
60…把持部材
61…棒状部
62…球状部
71…保持具
72…レバー
90…検体採取管
91…管本体
92…栓体
95…ラベル付き検体採取管
L…ラベル