(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156404
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】制御装置、及びその制御方法並びに制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20221006BHJP
G05B 19/05 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
G05B19/05 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060071
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】戸田 信一
(72)【発明者】
【氏名】中出 実
【テーマコード(参考)】
5H220
5K033
【Fターム(参考)】
5H220AA01
5H220AA04
5H220AA08
5H220BB17
5H220CC05
5H220HH03
5H220JJ12
5H220JJ38
5K033AA04
5K033CB01
5K033DA02
5K033DB16
(57)【要約】
【課題】構成を簡略化することのできる制御装置、及びその制御方法並びに制御プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】制御対象機器を制御する制御装置C1であって、入力情報を含む入力信号が入力され、入力情報を通信ネットワークNWへ送る入力部IN1と、通信ネットワークNWを介して入力部IN1から入力情報を受信し、入力情報に基づいて制御を行うCPU_1と、を備え、CPU_1は、受信した入力情報を、通信ネットワークNWを介して、制御装置C1とは独立して設けられた他の装置C2において制御対象機器を制御するCPU_2へ送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象機器を制御する制御装置であって、
入力情報を含む入力信号が入力され、前記入力情報をデジタル通信ネットワークへ送る入力部と、
前記デジタル通信ネットワークを介して前記入力部から前記入力情報を受信し、前記入力情報に基づいて制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、受信した前記入力情報を、前記デジタル通信ネットワークを介して、前記制御装置とは独立して設けられた他の装置において制御対象機器を制御する制御部へ送信する制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記入力部からの入力であることを表す情報と共に前記入力情報を前記他の制御部へ送信する請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記他の制御部を宛先として設定し、前記入力情報を前記他の制御部へ送信する請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記入力部は、前記制御部を宛先とする宛先情報、前記入力部を発信元とする発信元情報、及び前記入力情報を含むパケットとして、前記パケットを前記デジタル通信ネットワークへ送り、
前記制御部は、前記パケットを受信し、前記宛先情報を前記他の制御部を宛先とする情報へ変換して、前記他の制御部へ送信する請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
制御対象機器を制御する制御装置の制御方法であって、
入力部において、入力情報を含む入力信号が入力され、前記入力情報をデジタル通信ネットワークへ送る工程と、
制御部が、前記デジタル通信ネットワークを介して前記入力部から前記入力情報を受信し、前記入力情報に基づいて制御を行う工程と、
受信した前記入力情報を、前記デジタル通信ネットワークを介して、前記制御装置とは独立して設けられた他の装置において制御対象機器を制御する制御部へ送信する工程と、
を有する制御方法。
【請求項6】
制御対象機器を制御する制御装置の制御プログラムであって、
入力部において、入力情報を含む入力信号が入力され、前記入力情報をデジタル通信ネットワークへ送る処理と、
制御部が、前記デジタル通信ネットワークを介して前記入力部から前記入力情報を受信し、前記入力情報に基づいて制御を行う処理と、
受信した前記入力情報を、前記デジタル通信ネットワークを介して、前記制御装置とは独立して設けられた他の装置において制御対象機器を制御する制御部へ送信する処理と、
をコンピュータが実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、及びその制御方法並びに制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
制御装置では、センサ等から入力される入力信号が、入力モジュールからCPU等に伝送され、制御が実行される。
【0003】
情報伝達の一例として特許文献1では、1つの親局から送信されたデータの受信局が特定されておらず、他の全局が同時に受信する同報通信方式により情報伝送を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
情報伝送においては、同報通信方式ではなく、1つの入力モジュールから1つのCPUへ情報伝送を行う方式として、伝送の信頼性を向上させる場合がある。しかし、このような方法においては、ある入力信号を複数の制御装置で用いる場合には、入力信号を分岐して、それぞれの制御装置の入力モジュールへ入力する必要がある。このような場合には、制御装置の数だけ入力モジュール及びそれらを格納するインターフェース盤を設け、また配線ケーブルを敷設する必要があるため、その分コストが必要となる。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、構成を簡略化することのできる制御装置、及びその制御方法並びに制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様は、制御対象機器を制御する制御装置であって、入力情報を含む入力信号が入力され、前記入力情報をデジタル通信ネットワークへ送る入力部と、前記デジタル通信ネットワークを介して前記入力部から前記入力情報を受信し、前記入力情報に基づいて制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、受信した前記入力情報を、前記デジタル通信ネットワークを介して、前記制御装置とは独立して設けられた他の装置において制御対象機器を制御する制御部へ送信する制御装置である。
【0008】
本開示の第2態様は、制御対象機器を制御する制御装置の制御方法であって、入力部において、入力情報を含む入力信号が入力され、前記入力情報をデジタル通信ネットワークへ送る工程と、制御部が、前記デジタル通信ネットワークを介して前記入力部から前記入力情報を受信し、前記入力情報に基づいて制御を行う工程と、受信した前記入力情報を、前記デジタル通信ネットワークを介して、前記制御装置とは独立して設けられた他の装置において制御対象機器を制御する制御部へ送信する工程と、を有する制御方法である。
【0009】
本開示の第3態様は、制御対象機器を制御する制御装置の制御プログラムであって、入力部において、入力情報を含む入力信号が入力され、前記入力情報をデジタル通信ネットワークへ送る処理と、制御部が、前記デジタル通信ネットワークを介して前記入力部から前記入力情報を受信し、前記入力情報に基づいて制御を行う処理と、受信した前記入力情報を、前記デジタル通信ネットワークを介して、前記制御装置とは独立して設けられた他の装置において制御対象機器を制御する制御部へ送信する処理と、をコンピュータが実行させるための制御プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、構成を簡略化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態に係る制御システムの概略構成を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る制御装置が備える機能を示した機能ブロック図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係るエンジニアリングツールの表示例を示す図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係るオペレーションツールの表示例を示す図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係るパケットの変換の一例を示す図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る制御装置の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】参考例に係る制御システムの概略構成を示す図である。
【
図9】参考例に係る制御装置が備える機能を示した機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係る制御装置、及びその制御方法並びに制御プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本開示の一実施形態に係る制御システムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態では、制御装置C1と制御装置C2とが、デジタル通信ネットワーク(以下、「通信ネットワーク」という)NWにより接続されているものとする。
【0014】
制御装置C1は、制御対象機器を制御(制御や計測)するための制御装置である。制御装置C2は、制御装置C1とは独立して設けられた装置であり、制御対象機器を制御(制御や計測)する。制御装置C1と制御装置C2とは異なる制御対象機器を対象として制御を行う。
【0015】
制御装置C1は、IOA(I/Oアダプター)と、IOM(I/Oモジュール)と、CPU(制御部)が設けられている。本実施形態では、制御装置C1には、IOAとしてIOA_1、IOA_2、及びIOA_3が設けられており、CPUとしてCPU_1が設けられているものとする。なお、制御装置C2も同様にIOAとCPUが設けられている。すなわち、制御装置C2には、IOAとしてIOA_4が設けられており、CPUとしてCPU_2が設けられているものとする。そして、それぞれの制御装置内において、各機器は互いに通信ネットワークNWにより接続されており、情報の送受が可能となっている。なお、情報の伝達方向は限定されない。通信ネットワークNWは、I/O通信ネットワークであり、デジタルの領域で高速通信が行われる。例えば通信ネットワークNWはイーサネットである。本実施形態では、通信ネットワークNWではパケット通信が行われるものとするが、他の通信方式を適用することとしてもよい。以下の説明では、IOAを個々に区別して説明する場合には、IOA_1等と個別に示し、個々に区別しない場合(I/Oアダプターとしての説明の場合)にはIOAと示して説明を行う。なお、CPUやIOMについても同様に示して説明する。
【0016】
IOAは、制御装置C1や制御装置C2に対して配置されており、装置外から装置内へ情報を入力するための装置である。IOAは、例えば入力された情報をパケット化して、通信ネットワークNWへ情報を送信する。なお、IOAは情報出力の機能を有してもよい。
【0017】
例えば、
図1に示すようにIOA_1(IOM_1)は、発振器OSCやスイッチ(S/W)S等の機器(計器PT)に接続されており、各種入力信号が入力される。例えば、発振器OSCからの信号はアナログ信号であり、スイッチSからの信号はデジタル信号である。デジタル信号は、IOA_1配下に実装されたIOM(I/Oモジュールであり、
図1のIOM_1)によりアナログ-デジタル変換されてIOA_1へ入力される。入力信号は、例えば計器やセンサ等からの入力信号であるが、制御に用いられるものであれば上記に限定されない。
【0018】
すなわち、IOA及びIOM(省略可)により、制御装置の入力部が形成される。
図1では、制御装置C1において、IOA_1及びIOM_1を入力部IN1として示している。換言すると、入力部IN1は、入力情報を含む入力信号が入力され、入力情報を通信ネットワークNWへ送る部となる。
【0019】
CPUは、IOAにより送られた入力情報に基づいて、制御対象機器の制御を実行する。制御は、制御対象の機器に応じて、予め制御則が設定されている。
【0020】
さらに、CPUは、異なる制御装置へ入力情報の転送を行う。すなわち、発振器OSC等からの入力信号は、制御装置C1のIOA_1へ入力され、そして制御装置C1内においてCPU_1へ送られる。CPU_1は、入力情報を通信ネットワークNWを介して入力部IN1から受信する。そして、制御装置C1のCPU_1は、制御対象機器の制御を行うとともに、制御装置C2のCPU_2へ入力情報を通信ネットワークNWを介して伝送する。すなわち、CPU_1は、受信した入力情報を、通信ネットワークNWを介して、制御装置C1とは独立して設けられた他の装置である制御装置C2のCPU_2へ送信する。これによって、制御装置C2には、発振器OSC等からの信号を入力することが不要となり、そのための制御盤(インターフェース盤)等の機器が不要となる。情報伝送の具体的方法の詳細については後述する。
【0021】
このように、制御装置C1及び制御装置C2のそれぞれで制御を行う必要であっても、発振器OSC等からの入力を一つとして、入力部IN1(
図1では制御装置C1のIOA_1)を共有化することが可能となる。
【0022】
制御装置C1のCPU_1及び制御装置C2のCPU_2は、コンピュータPC1を介して各種設定が可能とされていてもよい。具体的には、制御システムをコンフィグレーションするエンジニアリングツールがコンピュータPC1に設けられており、このエンジニアリングツールを介して制御装置C1及び制御装置C2に対する設定が可能となっている。また、制御装置C1のCPU_1及び制御装置C2のCPU_2は、コンピュータPC1を介して操作や監視が可能とされてもよい。具体的には、オペレータステーション(オペレーションツール)がコンピュータPC1に設けられており、このツールを介して制御装置C1及び制御装置C2の操作や監視が可能となっている。
【0023】
図2は、本実施形態に係る制御装置C1のハードウェア構成の一例を示した図である。
図2に示すように、制御装置は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU110と、CPU110が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)120と、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)130と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)140と、ネットワーク等に接続するための通信部150とを備えている。なお、大容量記憶装置としては、ソリッドステートドライブ(SSD)を用いることとしてもよい。CPU110が実行するプログラム等は、大容量記憶装置に記憶されており、RAM上に展開しながら実行することとしてもよい。これら各部は、バス180を介して接続されている。
【0024】
また、制御装置は、キーボードやマウス等からなる入力部や、データを表示する液晶表示装置等からなる表示部などを備えていてもよい。
【0025】
なお、CPU11が実行するプログラム等を記憶するための記憶媒体は、ROM120に限られない。例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の他の補助記憶装置であってもよい。
【0026】
後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式でハードディスクドライブ140等に記録されており、このプログラムをCPU110がRAM130等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROM120やその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0027】
なお、制御装置C2についても、制御装置C1と同様のハードウェア構成である。
【0028】
図3は、制御装置C1が備える機能を示した機能ブロック図である。
図3では、発振器OSCを計器PTとして示している。制御装置C1では、IOM_1及びIOA_1、IOM_2及びIOA_2、IOM_3及びIOA_3、そしてCPU_1が設けられており、それぞれ通信ネットワークNWで接続されている。制御装置C2では、IOM_4及びIOA_4、そしてCPU2が設けられており、それぞれ通信ネットワークNWで接続されている。そしてさらに、制御装置C1の各部と制御装置C2の各部とは通信ネットワークNWで接続されている。
【0029】
計器PTからの信号は、制御装置C1のIOM_1へ入り、IOA_1を介してCPU_1へ入力情報が伝送される。すなわち、入力部IN1は、CPU_1に対して1対1通信を行う。換言すると、入力部IN1は、CPU_1の専用の入力部となる。このため、入力部IN1から、CPU_1への確実性の高い情報伝送が可能となる。一方で、入力部IN1は、CPU_1へ情報伝送する場合にその他のCPU_2へ情報伝送することはできない。
【0030】
このため、CPU_1は、入力部IN1から受け取ったパケットを加工して、制御装置C2のCPU_2へ情報転送を行う。例えば、CPU_1は、受信したパケットの宛先情報を加工する等の処理を行い、計器PTからの入力情報を含むパケットを、通信ネットワークNWを介して、CPU_2へ転送する。
【0031】
ここで、CPU_1は、入力部IN1からのデータフォーマットでデータ転送を行う。すなわち、CPU_1は、入力部IN1から情報であることを保持しつつデータ転送を行い、CPU_2では、入力部IN1から直接的に情報伝送が行われたとみなして処理を行う。このため、
図3に示すように、CPU_2から見ると、仮想的な入力部IN1(
図3の点線で囲んだIOM_1)からデータが送られたように見える。すなわち、CPU_1とCPU_2とで入力部IN1が共有化されるとともに、CPU_2から見ると入力部IN1が仮想化される。パケットの変換方法の詳細については後述する。
【0032】
これにより、確実性の高い情報伝送を行いつつ、入力部の共有化を行うことができる。
【0033】
図4は、コンピュータPC1のエンジニアリングツールの表示例を示している。
図4では、制御装置C1に対する表示例と、制御装置C2に対する表示例のそれぞれを示している。エンジニアリングツールでは、入力部のコンフィグレーションが可能となっている。制御装置C1では、入力部IN1によりCPU_1へ情報伝送しているため、入力部IN1の名前(例えばIOM_1)が表示される。また、エンジニアリングツールには、入力部の名前だけでなく、プロパティも表示される。プロパティは、例えば、入力部の仕様情報(例えば入力電流のレンジ情報等)である。
図4では、モジュール及びモジュール配下にアサインした信号のプロパティを○○○、△△△、×××として表示している。制御装置C2についても制御装置C1と同様に、入力部IN1のオブジェクトが表示される。オブジェクトについては、入力部IN1そのものを表すものとして表示してもよいし、入力部が仮想化されたものとして表示してもよい。このように、エンジニアリングツールでは、制御装置C1に対しても、制御装置C2に対しても、入力部IN1のオブジェクトが表示されることとなる。
図5は、コンピュータのオペレーションツールの表示例を示している。
図5では、制御装置C1に対する表示例と、制御装置C2に対する表示例のそれぞれを示している。いずれの表示例でも、入力部IN1から入力が行われているように表示がされている。
図5の入力情報(入力値)では、例えば計器PTで計測された具体的なデータである数値が表示される。
【0034】
次に、情報伝送のパケットの変換の一例を説明する。
図6は、本実施形態に係るパケットの変換の一例を示す図である。
図6では、IOM_1からIOA_1へ送付されるデータA、IOA_1からCPU_1へ送付されるパケットB、そして、CPU_1からCPU_2へ送付されるパケットCのそれぞれを示している。概要としては、入力部IN1は、CPU_1を宛先とする宛先情報(宛先識別情報)、入力部を発信元とする発信元情報(発信元識別情報)、及び入力情報を含むパケットとして、パケットを通信ネットワークNWへ送る。そして、CPU_1は、パケットを受信し、宛先情報を他の制御部(CPU_2)を宛先とする情報へ変換して、他の制御部(CPU_2)へ送信する。
【0035】
まず、データAは、IOM_1によって形成されて、IOAへ送付される。具体的には、データAには、宛先識別情報と、発信元識別情報と、入力情報とが含まれている。宛先識別情報とは、データAの送付先の機器を示す固有情報である。IOA_1はCPU_1へ送付するため、宛先識別情報は、CPU_1に対応して設定されている。発信元識別情報は、データAの送信元の機器を示す固有情報である。すなわち、発信元識別情報は、入力部からの入力であることを表す情報である。データAは、IOM_1から送信されているため、発信元識別情報は、IOM_1に対応して設定されている。なお、発信元識別情報は、入力部の識別が可能であればよい。入力情報は、入力データである。すなわち、入力情報は、発振器OSCやスイッチS等のセンサから入力される情報である。
【0036】
本実施形態では、1つの入力部は1つのCPUへ情報を伝送するため、宛先識別情報及び発信元識別情報は、それぞれ1つとなる。
【0037】
そして、IOA_1では、データAをパケットBの構造へ変換する。具体的には、宛先識別情報に基づいて、宛先アドレス情報が設定され、発信元識別情報に基づいて、発信元アドレス情報が設定される。宛先アドレス情報及び発信元アドレス情報は、通信ヘッダとなる。IOA_1には、宛先識別情報に対応する宛先アドレス情報、及び発信元識別情報に対応する発信元アドレス情報のそれぞれが予め設定されている。通信ヘッダは、その他の情報を含むこととしてもよい。例えば、通信ヘッダは、イーサネット通信の場合には型情報等を含むこととしてもよい。
【0038】
このように、宛先アドレス情報及び発信元アドレス情報の通信ヘッダが付加されることによって、通信ネットワークNW上においてCPU_1へ入力情報が送付される。
【0039】
そして、CPU_1では、パケットBを受け取り、入力情報に基づいて制御対象機器を制御する。具体的には、CPU_1のメモリ上に入力情報を展開して、制御演算を実行する。
【0040】
それに加えて、CPU_1では、パケットBをパケットCの構造へ変換する。具体的には、宛先識別情報を、CPU_2に対応して設定する(差し替え)。また、発信元識別情報を、仮想IOM_1に対応して設定する。仮想IOM_1とは、IOM_1に対応する仮想的なIOモジュールである。実際にはIOM_1からCPU_2への直接送付が行われるわけではないため、仮想的なIOM_1として、仮想IOM_1が発信元識別情報として設定される。仮想IOM_1として設定することでCPU_2からIOM_1の仮想モジュールであることが認識できるが、パケットCへの変換において、発信元識別情報の修正を行わず、IOM_1に対応する発信元識別情報を維持してもよい。
【0041】
そして、CPU_1は、差し替え後の宛先識別情報に対応して、宛先アドレス情報を設定し、差し替え後の発信元識別情報に対応して、発信元アドレス情報を設定する。宛先アドレス情報及び発信元アドレス情報は、通信ヘッダとなる。このようにしてCPU_1は、他の装置であるCPU_2を宛先として設定する。
【0042】
このように、宛先アドレス情報及び発信元アドレス情報の通信ヘッダが付加されることによって、通信ネットワークNW上においてCPU_1からCPU_2へ入力情報が送付される。
【0043】
また、CPU_1において、宛先アドレス情報を変換してCPU_2へ転送するため、CPU_1に対応する入力部へ入力された入力情報を、同じサンプリング周期でCPU_2でも受け取ることができる。CPU_2では、仮想IOM_1から入力情報を受け取ったと見えるため、IOMが仮想化されたこととなる。そして、CPU_2では、受け取った入力情報に基づいて制御対象機器を制御する。
【0044】
なお、パケットの構造として、
図6は一例であり、限定されない。また、通信ネットワークNWをイーサネットで構成する場合、通信ヘッダにタイプコードやIP層等のプロトコルヘッダを含めてよい。また、入力部からCPU_1へ、そしてCPU_1からCPU_2へ、入力情報が正しく伝送されるのであれば、宛先識別情報や発信元識別情報は変換または削除してもよい。
【0045】
次に、上述の制御装置による処理の一例について
図7を参照して説明する。
図7は、本実施形態に係る制御装置C1の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図7に示すフローは、例えば、制御装置C1が稼働している場合に、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0046】
まず、入力部IN1に入力信号が入力される(S101)。すなわち、IOM_1に入力信号として入力情報が入力される。
【0047】
次に、IOM_1において、入力情報に宛先識別情報及び発信元識別情報が付加される(S102)。
【0048】
次に、IOM_1からIOA_1へデータ伝送を行う(S103)。
【0049】
次に、IOA_1において、通信ヘッダ(宛先アドレス情報及び発信元アドレス情報)を付加する(S104)。
【0050】
次に、IOA_1からCPU_1へデータ伝送を行う(S105)。
【0051】
そして、CPU_1では、送られたデータ(特に入力情報)に基づいて、制御対象機器の制御を実行する(S106)。
【0052】
また、CPU_1では、送られたデータにおいて、通信ヘッダ(宛先アドレス情報及び発信元アドレス情報)をCPU_2へ送信するために変換を行う(S107)。
【0053】
そして、CPU_1からCPU_2へデータ伝送を行う(S108)。なお、本実施形態では、S106と、S107及びS108とを並列して処理する場合を説明したが、両処理の実行順番については並列処理に限定されない。例えば、S101からS103はIOM_1で処理され、S103からS105はIOA_1で処理され、S105からS108はCPU_1で処理され、S108はCPU_2で処理される。
【0054】
CPU_2では、データを受け取ると、入力情報に基づいて制御対象機器の制御を実行する。このようにデータが処理されることによって、CPU_1だけでなくCPU_2でも入力情報を受け取って制御を実行することが可能となる。
【0055】
例えば、入力部からCPU_1及びCPU_2の両方へ直接的に入力情報を伝送する場合、情報量の増加や通信周期の増加により通信負荷が増加する可能性がある。これに対して、本実施形態のように、入力部は1つのCPU_1へ入力情報を伝送し、その後にCPU_1からCPU_2へ情報を伝送する場合、処理負担の軽減や通信の信頼性の向上との効果を奏する。
【0056】
次に、本実施形態に係る制御装置による効果について
図8及び
図9を参照して説明する。
図8及び
図9は、参考例に係る制御装置の構成を示している。参考例とは、入力信号を分岐して、複数の制御装置へ入力する構成である。参考例では、制御装置C3と制御装置C4のそれぞれで、発振器OSCやスイッチS等の計器PTからの入力信号を用いて制御を行う。
【0057】
図8は、本実施形態における
図3の構成に対応する参考例の構成である。
図8に示すように、それぞれの制御装置C3及び制御装置C4では各制御対象機器を制御している。それぞれの制御装置C3及び制御装置C4には、発振器OSCからの入力信号、及びスイッチSからの入力信号のそれぞれが分岐され、それぞれのIOAへ入力される。このため、それぞれの制御装置C3及び制御装置C4には、入力信号を入力するIOAをそれぞれ配置する必要がある。
【0058】
図9は、
図8に示す制御装置C3及び制御装置C4の構成の具体例を示す図である。
図12では、発振器OSCを計器PTとして示している。制御装置C3では、IOM_1及びIOA_1、IOM_2及びIOA_2、IOM_3及びIOA_3、そしてCPU_3が設けられており、それぞれ通信ネットワークNWで接続されている。制御装置C4では、IOM5及びIOA_5、IOM_4及びIOA_5、そしてCPU_4が設けられており、それぞれ通信ネットワークNWで接続されている。計器PTからの信号は、ディストリビュータ(電源装置)DSで信号分岐される。そして、制御装置C3のIOM_1へ入り、IOA_1を介してCPU_3へ入力情報が伝送される。一方で、ディストリビュータDSで分岐された入力信号は、アイソレータ(信号絶縁器)ISOを介してIOM_5へ入り、IOA_5を介してCPU_4へ送られる。
【0059】
図9のように、計器PTからの入力信号を分岐してぞれぞれの制御装置へ入力する場合には、ディストリビュータDSやアイソレータISOだけでなく、IOM_5及びIOA_5を格納するインターフェース盤及び配線ケーブルを敷設する必要があるが、
図3のように、CPU_1からCPU_2への入力情報の伝達を行うことによって、参考例の場合の必要機器を不要とすることができる。このため、
図3の構成とすることで、構成の簡単化が可能となり、コストを効果的に抑制することが可能となる。また、構成が簡単化されるため工期の短縮も期待できる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る制御装置、及びその制御方法並びに制御プログラムによれば、CPU_1は、入力部IN1において入力された入力信号に基づいて制御対象機器の制御を行うとともに、他の制御部であるCPU_2へ入力情報を送信する。このため、CPU_2においても入力情報に基づいて制御を行うことができる。これによって、入力部IN1を共有化することができるため、入力部IN1の構成を省略することができる。すなわち、入力部IN1の仮想化ができる。入力部IN1の必要数が抑制されることによって、コストダウンが期待できる。
【0061】
CPU_1が、入力部IN1からの入力であることを表す情報(発信元情報)と共に入力情報をCPU_2へ送信する、これによって、CPU_2は、入力部からの入力であることを認識することができる。すなわち、入力部IN1の仮想化ができる。
【0062】
CPU_1が、CPU_2を宛先として設定し、入力情報をCPU_2へ送信することで、CPU_1からCPU_2へ入力情報をより確実に送信することができる。
【0063】
本開示は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施が可能である。
【0064】
例えば、本実施形態における制御装置は、発電プラントにおいて設けられる。制御対象機器は、例えばタービンやボイラ、付帯設備等である。なお、制御装置は、発電プラントに限定されず、幅広く適用することが可能である。
【0065】
以上説明した各実施形態に記載の制御装置、及びその制御方法並びに制御プログラムは例えば以下のように把握される。
本開示に係る制御装置(C1)は、制御対象機器を制御する制御装置であって、入力情報を含む入力信号が入力され、前記入力情報をデジタル通信ネットワーク(NW)へ送る入力部(IN1)と、前記デジタル通信ネットワークを介して前記入力部から前記入力情報を受信し、前記入力情報に基づいて制御を行う制御部(CPU_1)と、を備え、前記制御部は、受信した前記入力情報を、前記デジタル通信ネットワークを介して、前記制御装置とは独立して設けられた他の装置(C2)において制御対象機器器を制御する制御部(CPU_2)へ送信する。
【0066】
本開示に係る制御装置によれば、制御部は、入力部において入力された入力情報に基づいて制御対象機器の制御を行うとともに、他の制御部へ入力情報を送信する。このため、他の制御部においても入力情報に基づいて制御を行うことができる。これによって、例えば制御部に対して入力部をそれぞれ設ける場合と比較して、入力部を共有化することができるため、入力部の構成を省略することができる。すなわち、入力部の仮想化ができる。入力部の必要数が抑制されることによって、コストダウンが期待できる。
【0067】
本開示に係る制御装置は、前記制御部は、前記入力部からの入力であることを表す情報と共に前記入力情報を前記他の制御部へ送信することとしてもよい。
【0068】
本開示に係る制御装置によれば、制御部が、入力部からの入力であることを表す情報を含む入力情報を他の制御部へ送信する、これによって、他の制御部は、入力部からの入力であることを認識することができる。すなわち、入力部の仮想化ができる。
【0069】
本開示に係る制御装置は、前記制御部は、前記他の制御部を宛先として設定し、前記入力情報を前記他の制御部へ送信することとしてもよい。
【0070】
本開示に係る制御装置によれば、制御部が、他の制御部を宛先として設定し、入力情報を他の制御部へ送信することで、制御部から他の制御部へ入力情報をより確実に送信することができる。すなわち、入力部の仮想化ができる。
【0071】
本開示に係る制御装置は、前記入力部は、前記制御部を宛先とする宛先情報、前記入力部を発信元とする発信元情報、及び前記入力情報を含むパケットとして、前記パケットを前記デジタル通信ネットワークへ送り、前記制御部は、前記パケットを受信し、前記宛先情報を前記他の制御部を宛先とする情報へ変換して、前記他の制御部へ送信することとしてもよい。
【0072】
本開示に係る制御装置によれば、入力部は、制御部を宛先とする宛先情報、入力部を発信元とする発信元情報、及び入力情報を含むパケットとして、パケットを前記デジタル通信ネットワークへ送り、制御部はパケットを受信する。このため、入力部と制御部の間で一対一の通信が可能となり、情報伝送の確実性を向上させることができる。その上で、制御部は、宛先情報を他の制御部を宛先とする情報へ変換して、他の制御部へ送信する。このため、他の制御部についても、入力情報に基づいて制御を行うことが可能となる。すなわち、入力部を、制御部と他の制御部とで仮想的に共有化することができる。
【0073】
本開示に係る制御方法は、制御対象機器を制御する制御装置の制御方法であって、入力部において、入力情報を含む入力信号が入力され、前記入力情報をデジタル通信ネットワークへ送る工程と、制御部が、前記デジタル通信ネットワークを介して前記入力部から前記入力情報を受信し、前記入力情報に基づいて制御を行う工程と、受信した前記入力情報を、前記デジタル通信ネットワークを介して、前記制御装置とは独立して設けられた他の装置において制御対象機器を制御する制御部へ送信する工程と、を有する。
【0074】
本開示に係る制御プログラムは、制御対象機器を制御する制御装置の制御プログラムであって、入力部において、入力情報を含む入力信号が入力され、前記入力情報をデジタル通信ネットワークへ送る処理と、制御部が、前記デジタル通信ネットワークを介して前記入力部から前記入力情報を受信し、前記入力情報に基づいて制御を行う処理と、受信した前記入力情報を、前記デジタル通信ネットワークを介して、前記制御装置とは独立して設けられた他の装置において制御対象機器を制御する制御部へ送信する処理と、をコンピュータが実行させる。
【符号の説明】
【0075】
110 :CPU
120 :ROM
130 :RAM
140 :ハードディスクドライブ
150 :通信部
180 :バス
A :データ
B :パケット
C :パケット
C1-C4 :制御装置
CPU_1-CPU_4:CPU(制御部)
DS :ディストリビュータ
IN1 :入力部
IOA_1-IOA_5:IOA(I/Oアダプター)
IOM_1-IOM_5:IOM(I/Oモジュール)
ISO :アイソレータ
NW :通信ネットワーク
OSC :発振器
PT :計器
S :スイッチ