(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156418
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】平屋建て住宅
(51)【国際特許分類】
E04H 1/02 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
E04H1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060097
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】田沼 舞
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025AA13
2E025AA15
(57)【要約】
【課題】居室空間における開放感をより高めることができる平屋建て住宅を提供する。
【解決手段】平屋建て住宅10は、建物本体12と、建物本体12の上方に設けられた屋根部13とを備える。平屋建て住宅10は、建物本体12に形成されたLDK23と、建物本体12と屋根部13との間の屋根裏部分19に形成されたロフト46とを備える。LDK23は、建物本体12から屋根裏部分19に吹き抜けた吹き抜け空間35を有している。吹き抜け空間35は、屋根裏部分19においてロフト46と隣接しており、吹き抜け空間35とロフト46との間には、それら両空間35,46を仕切る腰壁55が設けられている。腰壁55は、吹き抜け空間35からロフト46を見通し可能とすべく、透明性を有するガラスパネルを含んで構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物本体と、前記建物本体の上方に設けられた屋根部とを備える平屋建ての住宅において、
屋内空間として、前記建物本体に形成された居室空間と、前記建物本体と前記屋根部との間の屋根裏部分に形成された屋根裏空間とを備え、
前記居室空間は、前記建物本体から前記屋根裏部分に吹き抜けた吹き抜け空間を有しており、
前記吹き抜け空間は、前記屋根裏部分において前記屋根裏空間と隣接しており、
前記吹き抜け空間と前記屋根裏空間との間には、それら両空間を仕切る第1仕切部が設けられ、
前記第1仕切部は、前記吹き抜け空間から前記屋根裏空間を見通し可能とすべく、透明性を有するパネル材を含んで構成されているか、又は手摺部により構成されている、平屋建て住宅。
【請求項2】
前記吹き抜け空間は、前記居室空間の一部に形成されており、
前記屋根裏空間は、前記居室空間における非吹き抜け空間の上方に設けられている、請求項1に記載の平屋建て住宅。
【請求項3】
前記屋根部は、棟部から軒先部に向けて下方傾斜する傾斜屋根部を有し、
前記吹き抜け空間と前記屋根裏空間とは、いずれも前記傾斜屋根部の下方に配置されているとともに、平面視にて前記吹き抜け空間が前記軒先部側に位置し、前記屋根裏空間が前記棟部側に位置するように前記傾斜屋根部の傾斜方向に互いに隣接しており、
前記第1仕切部は、前記吹き抜け空間と前記屋根裏空間とを前記傾斜方向に仕切っている、請求項1又は2に記載の平屋建て住宅。
【請求項4】
前記建物本体には、前記居室空間と隣接する隣接空間が設けられ、
前記居室空間と前記隣接空間とは、前記吹き抜け空間と前記屋根裏空間とが隣接する方向と直交する方向に隣接しており、
前記居室空間と前記隣接空間とを仕切る第2仕切部は、その少なくとも一部が、前記居室空間から前記隣接空間を見通し可能とすべく、透明性を有するパネル材により形成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の平屋建て住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平屋建て住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された平屋建て住宅は、建物本体部と、建物本体部の上方に設けられた屋根部とを備えており、建物本体部にはLDKからなる居室空間が形成されている。また、特許文献1の平屋建て住宅では、居室空間の一部が建物本体部から屋根裏部分へ吹き抜けた吹き抜け空間となっており、これにより、平屋建て住宅にあって居室空間における開放感が高められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、平屋建て住宅にあっては、居室空間における開放感をより高めることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、居室空間における開放感をより高めることができる平屋建て住宅を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、第1の発明の平屋建て住宅は、建物本体と、前記建物本体の上方に設けられた屋根部とを備える平屋建ての住宅において、屋内空間として、前記建物本体に形成された居室空間と、前記建物本体と前記屋根部との間の屋根裏部分に形成された屋根裏空間とを備え、前記居室空間は、前記建物本体から前記屋根裏部分に吹き抜けた吹き抜け空間を有しており、前記吹き抜け空間は、前記屋根裏部分において前記屋根裏空間と隣接しており、前記吹き抜け空間と前記屋根裏空間との間には、それら両空間を仕切る第1仕切部が設けられ、前記第1仕切部は、前記吹き抜け空間から前記屋根裏空間を見通し可能とすべく、透明性を有するパネル材を含んで構成されているか、又は手摺部により構成されている。
【0007】
第1の発明によれば、建物本体に形成された居室空間の一部が屋根裏部分へと吹き抜けた吹き抜け空間となっており、その吹き抜け空間が屋根裏部分において屋根裏空間と隣接している。吹き抜け空間と屋根裏空間とは第1仕切部により仕切られており、その第1仕切部は、透明性を有するパネル材を含んで構成されているか、又は手摺部により構成されている。これにより、吹き抜け空間ひいては居室空間から屋根裏空間を見通すことが可能となっている。この場合、居室空間から第1仕切部を介して屋根裏空間の天井を見渡すことができるため、居室空間において高い位置に天井が拡がっている感覚を抱かせることができる。これにより、居室空間における開放感をより高めることが可能となる。
【0008】
第2の発明の平屋建て住宅は、第1の発明において、前記吹き抜け空間は、前記居室空間の一部に形成されており、前記屋根裏空間は、前記居室空間における非吹き抜け空間の上方に設けられている。
【0009】
平屋建ての住宅では、多層階建ての住宅と比べて、屋内空間を広く確保するのが難しいため、屋根裏部分に屋根裏空間を形成して屋根裏部分の有効利用を図ることが求められる。その一方、居室空間の開放感を高めるべく、居室空間の広い範囲に吹き抜け空間を形成すると、その分、屋根裏空間を形成できる範囲が制限されるため屋根裏部分の有効利用を図ることが困難になる。
【0010】
そこで、第2の発明では、これらの点に鑑み、居室空間の一部だけ吹き抜け空間とし、それ以外を非吹き抜け空間として、非吹き抜け空間の上方に屋根裏空間を設けている。この場合、屋根裏空間を広く確保することができるため、屋根裏部分の有効利用を図ることができる。また、吹き抜け空間と屋根裏空間との間には、居室空間側から屋根裏空間を見通し可能とする第1仕切部が設けられているため、非吹き抜け空間の上方に屋根裏空間が設けられた構成にあっても居室空間の開放感を高めることが可能となる。したがって、この場合、屋根裏部分の有効利用を図りながら、居室空間の開放感をより高めることができる。
【0011】
第3の発明の平屋建て住宅は、第1又は第2の発明において、前記屋根部は、棟部から軒先部に向けて下方傾斜する傾斜屋根部を有し、前記吹き抜け空間と前記屋根裏空間とは、いずれも前記傾斜屋根部の下方に配置されているとともに、平面視にて前記吹き抜け空間が前記軒先部側に位置し、前記屋根裏空間が前記棟部側に位置するように前記傾斜屋根部の傾斜方向に互いに隣接しており、前記第1仕切部は、前記吹き抜け空間と前記屋根裏空間とを前記傾斜方向に仕切っている。
【0012】
建物本体と傾斜屋根部との間の屋根裏部分においては、軒先部側と比べて棟部側の方が上下高さが大きい。その点、第3の発明では、吹き抜け空間が軒先部側に位置し、屋根裏空間が棟部側に位置しているため、屋根裏空間を広く確保することができる。また、第1仕切部が吹き抜け空間と屋根裏空間とを傾斜屋根部の傾斜方向に仕切っているため、吹き抜け空間(居室空間)から第1仕切部を通じて屋根裏空間を見通した際、屋根裏空間の天井面が奥側に向かって上方傾斜するように見えることになる。これにより、居室空間における開放感をさらに高めることが可能となる。
【0013】
第4の発明の平屋建て住宅は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記建物本体には、前記居室空間と隣接する隣接空間が設けられ、前記居室空間と前記隣接空間とは、前記吹き抜け空間と前記屋根裏空間とが隣接する方向と直交する方向に隣接しており、前記居室空間と前記隣接空間とを仕切る第2仕切部は、その少なくとも一部が、前記居室空間から前記隣接空間を見通し可能とすべく、透明性を有するパネル材により形成されている。
【0014】
第4の発明によれば、吹き抜け空間(ひいては居室空間)と屋根裏空間との隣接方向と直交する方向に居室空間と隣接空間とが隣接しており、それら隣接する両空間が第2仕切部により仕切られている。第2仕切部の少なくとも一部は、透明性を有するパネル材により形成され、それにより、そのパネル材を通じて居室空間から隣接空間を見通し可能となっている。これにより、居室空間が屋根裏空間側とは異なる側に拡がっている感覚を抱かせることができるため、居室空間における開放感をより一層高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】平屋建て住宅の建物本体における間取りを示す平面図。
【
図2】平屋建て住宅の屋根裏部分における間取りを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、平屋建て住宅の建物本体における間取りを示す平面図である。
図2は、平屋建て住宅の屋根裏部分における間取りを示す平面図である。
図3は、平屋建て住宅の内部を示す断面斜視図である。なお、
図3は、
図1のA-A線及び
図2のB-B線にて切断した断面斜視図となっている。
【0017】
図3に示すように、平屋建て住宅10は、基礎11上に設けられた建物本体12と、建物本体12の上方に設けられた屋根部13とを備える。平屋建て住宅10は、例えばユニット式住宅からなり、建物本体12が直方体状をなす複数の建物ユニットが組み合わせられることにより構成されている。
【0018】
図2及び
図3に示すように、屋根部13は、切妻式の屋根となっている。屋根部13は、棟部15(詳しくは大棟)から軒先部16に向けて下方傾斜する一対の傾斜屋根部17を備える。図示は省略するが、各傾斜屋根部17は、屋根フレームと、屋根フレームの上に設けられた野地板と、野地板上に葺設された瓦等の屋根材とを有している。各傾斜屋根部17は南北方向に並んでおり、以下においては、南側の傾斜屋根部17を傾斜屋根部17A、北側の傾斜屋根部17を傾斜屋根部17Bともいう。なお、
図2では、説明の便宜上、屋根部13を一点鎖線で示している。
【0019】
平屋建て住宅10には、建物本体12と、建物本体12と屋根部13との間の屋根裏部分19とにそれぞれ屋内空間が設けられている。そこで、以下では、それら屋内空間について説明する。
【0020】
図1及び
図3に示すように、建物本体12には、屋内空間として、玄関21と、ホール22と、LDK23と、仕事室24と、洋室25と、主寝室26と、浴室27と、洗面室28と、トイレ29と、収納室31とが設けられている。玄関21、ホール22、LDK23及び仕事室24は建物本体12の南側に設けられ、傾斜屋根部17Aの下方に位置している。一方、洋室25、主寝室26、浴室27、洗面室28、トイレ29及び収納室31は建物本体12の北側に設けられ、傾斜屋根部17Bの下方に位置している。
【0021】
建物本体12の南側において、玄関21は南東の角部に設けられている。玄関21の北側にはホール22が連続して設けられている。ホール22は西側に延びており、LDK23(リビングダイニングキッチン)に通じている。LDK23は、リビング23a、ダイニング23b及びキッチン23cが連続する連続空間とされており、平面視にて東西方向に延びる矩形形状とされている。リビング23a、ダイニング23b及びキッチン23cは東西方向に並んでおり、東側から西側に向けてこの順に配置されている。なお、LDK23が居室空間に相当する。
【0022】
LDK23は、その全体が傾斜屋根部17Aの下方に位置している。詳しくは、LDK23は、建物本体12における傾斜屋根部17Aの下方領域において、その平面視における傾斜屋根部17Aの傾斜方向(以下、屋根傾斜方向という)全域に亘るよう配置されている。この場合、LDK23は、平面視における屋根傾斜方向の軒先部16側において建物本体12の外壁部33に隣接している。また、外壁部33の屋外側にはテラス空間34が設けられ、テラス空間34にはリビング23aから出入りが可能となっている。
【0023】
LDK23の一部は、建物本体12から屋根裏部分19に吹き抜けた吹き抜け空間35となっている。本実施形態では、吹き抜け空間35がダイニング23bの一部に形成されている。吹き抜け空間35は、平面視において、LDK23(ダイニング23b)における屋根傾斜方向(換言すると南北方向)の軒先部16側に位置しており、屋根傾斜方向と直交する方向(換言すると東西方向)に延びる矩形形状とされている。また、吹き抜け空間35は、平面視の大きさがLDK23の平面視の大きさの半分よりも小さく、詳しくはLDK23の平面視の大きさの1/4程度となっている。なお、吹き抜け空間35には階段が設けられていない。また、以下の説明では、LDK23のうち、吹き抜け空間35以外の空間部を非吹き抜け空間36という。
【0024】
LDK23(詳しくはリビング23a)の東側には、仕事室24が隣接して設けられている。LDK23と仕事室24とは、平面視にて屋根傾斜方向と直交する方向に隣接している。仕事室24は、居住者が仕事を行うための仕事部屋であり、居住者が在宅勤務をする際にはこの仕事室24が用いられるようになっている。仕事室24には、例えばデスクや椅子等が設けられている。仕事室24は、LDK23と玄関21との間に位置しており、北側にはホール22が隣接している。なお、仕事室24が隣接空間に相当する。
【0025】
仕事室24は、その周囲が間仕切壁37により囲まれている。間仕切壁37には、仕事室24へ出入りするための出入口38a,38bが設けられている。これら出入口38a,38bのうち、出入口38aは、LDK23から仕事室24へ出入りするための出入口であり、出入口38bはホール22から仕事室24へ出入りするための出入口である。各出入口38a,38bには、出入口38a,38bを開閉する扉部39a,39bが設けられている。これらの扉部39a,39bはいずれも引き戸からなる。なお、
図3では、LDK23全体を示すために、間仕切壁37の一部(詳しくは仕事室24とLDK23とを仕切っている壁部分)と、扉部39aとについて図示を省略している。
【0026】
各扉部39a,39bのうち、LDK23側の出入口38aに設けられた扉部39aはガラスパネルを有して構成されている。ガラスパネルは透明性を有しており、パネル材に相当する。詳しくは、扉部39aは、その全体がガラスパネルにより構成されている。これにより、LDK23から仕事室24を扉部39aを通じて見通すことが可能となっている。なお、間仕切壁37のうちLDK23と仕事室24とを仕切っている壁部分と、扉部39aとにより、第2仕切部が構成されている。
【0027】
建物本体12の北側において、洋室25は北東の角部に設けられ、主寝室26は北西の角部に設けられている。浴室27、洗面室28及びトイレ29は、洋室25と主寝室26との間に設けられている。洋室25は、南北に延びる廊下41を介してLDK23(詳しくはリビング23a)に通じている。また、廊下41には、屋根裏部分19に通じる階段42が隣接している。
【0028】
収納室31は、洋室25の南側に隣接しており、洋室25とホール22との間に位置している。収納室31は、天井高さが他の屋内空間21~29と比べて低くされた低天井空間となっている。収納室31には、洋室25からもホール22からも出入りが可能となっている。
【0029】
続いて、屋根裏部分19について説明する。
図2及び
図3に示すように、屋根裏部分19には、屋内空間として、居室45とロフト46とが設けられている。居室45は、屋根裏部分19の北側に設けられ、傾斜屋根部17Bの下方に配置されている。ロフト46は、屋根裏部分19の南側に設けられ、傾斜屋根部17Aの下方に配置されている。
【0030】
居室45は収納室31の上方に位置しており、建物本体12と屋根裏部分19とに跨って形成されている。居室45と収納室31とを上下に仕切る仕切部48は、建物本体12に形成された屋内空間21~29の床面と天井面との間の中間高さに位置している。この仕切部48により居室45の床面が形成されているとともに、収納室31の天井面が形成されている。この場合、仕切部48は、いわゆるスキップ床部となっている。なお、居室45には、階段42を通じて行き来が可能となっている。また、屋根裏部分19には、居室45に隣接して収納空間49が設けられている。収納空間49は、その床面が居室45の床面よりも高い位置にあり、詳しくはロフト46の床面と同じ高さ位置にある。
【0031】
ロフト46は、LDK23の非吹き抜け空間36の上方に位置している。ロフト46は、非吹き抜け空間36の天井面を形成する天井部51の上方に設けられ、その天井部51により非吹き抜け空間36と上下に仕切られている。天井部51は、建物本体12と屋根裏部分19との境界高さに位置しており、この天井部51によりロフト46の床面が形成されている。また、ロフト46には、階段42を通じて行き来が可能となっている。なお、ロフト46が屋根裏空間に相当する。
【0032】
ロフト46は、その全体が傾斜屋根部17Aの下方に位置している。ロフト46は、平面視にて傾斜屋根部17Aの傾斜方向(屋根傾斜方向)に吹き抜け空間35と隣接している。この場合、平面視における屋根傾斜方向(つまり南北方向)において、ロフト46が傾斜屋根部17Aの棟部15側(北側)に位置し、吹き抜け空間35が軒先部16側(南側)に位置している。また、ロフト46は、平面視において、屋根傾斜方向の長さが吹き抜け空間35よりも長くなっており、また屋根傾斜方向と直交する方向の長さが吹き抜け空間35よりも長くよりもなっている。
【0033】
ロフト46の天井面46aと吹き抜け空間35の天井面35aとは傾斜屋根部17Aにより形成されている。傾斜屋根部17Aは、その下面が傾斜屋根部17Aの傾斜に応じた傾斜面53となっている。この傾斜面53は、吹き抜け空間35の上方とロフト46の上方とに跨って形成されており、その傾斜面53により吹き抜け空間35の天井面35aとロフト46の天井面46aとが形成されている。なお、図示は省略するが、傾斜屋根部17Aは、その下面側に天井面材を有しており、その天井面材により天井面35a,46a(傾斜面53)が形成されている。
【0034】
ロフト46と吹き抜け空間35との間には、それら両空間35,46を仕切る腰壁55が設けられている。腰壁55は、天井部51から上方に立ち上がっており、平面視において屋根傾斜方向と直交する方向(東西方向)に延びている。したがって、平面視において、ロフト46と吹き抜け空間35とは、腰壁55により屋根傾斜方向に仕切られている。腰壁55の上端部と傾斜屋根部17A(傾斜面53)との間には所定の隙間が存在しており、その隙間を通じてロフト46と吹き抜け空間35との間で通気が可能となっている。なお、腰壁55の上端部を傾斜屋根部17Aに接続することにより、腰壁55と傾斜屋根部17Aとの間に隙間が存在しないようにしてもよい。
【0035】
腰壁55は、ガラスパネルを有して構成されている。ガラスパネルは透明性を有しており、パネル材に相当する。詳しくは、腰壁55は、その幅方向の全域がガラスパネルにより構成されている。これにより、LDK23から腰壁55を通じてロフト46を見通すことが可能となっている。なお、腰壁55が第1仕切部に相当する。
【0036】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0037】
LDK23の一部が建物本体12から屋根裏部分19へ吹き抜けた吹き抜け空間35となっており、その吹き抜け空間35が屋根裏部分19においてロフト46と隣接している。吹き抜け空間35とロフト46とは腰壁55により仕切られており、この腰壁55は、透明性を有するガラスパネルを含んで構成されている。これにより、腰壁55を通じてLDK23からロフト46を見通すことが可能となっている。この場合、LDK23から腰壁55を介してロフト46の天井を見渡すことができるため、LDK23において高い位置に天井が拡がっている感覚を抱かせることができる。これにより、LDK23における開放感をより高めることが可能となる。
【0038】
LDK23の一部だけ吹き抜け空間35とし、それ以外を非吹き抜け空間36として、非吹き抜け空間36の上方に屋根裏空間としてのロフト46を設けている。この場合、ロフト46を広く確保することができるため、屋根裏部分19の有効利用を図ることができる。また、吹き抜け空間35とロフト46との間には、上述したように、LDK23からロフト46を見通し可能とする腰壁55が設けられているため、非吹き抜け空間36の上方にロフト46が設けられた構成にあってもLDK23の開放感を高めることが可能となる。したがって、この場合、屋根裏部分19の有効利用を図りながら、LDK23の開放感をより高めることができる。
【0039】
建物本体12と傾斜屋根部17Aとの間の屋根裏部分19においては、軒先部16側と比べて棟部15側の方が上下高さが大きい。その点、上記の実施形態では、平面視において、吹き抜け空間35とロフト46とが傾斜屋根部17Aの下方にて傾斜屋根部17Aの傾斜方向に並んでいるとともに、吹き抜け空間35が軒先部16側に位置し、ロフト46が棟部15側に位置している。このため、ロフト46を広く確保することが可能となる。また、腰壁55が吹き抜け空間35とロフト46とを傾斜屋根部17Aの傾斜方向に仕切っているため、吹き抜け空間35(LDK23)から腰壁55を通じてロフト46を見通した際、ロフト46の天井面が奥側に向かって上方傾斜するように見えることになる。これにより、LDK23における開放感をさらに高めることが可能となる。
【0040】
吹き抜け空間35(ひいてはLDK23)とロフト46とが隣接する方向(南北方向)と直交する方向(東西方向)に、LDK23とロフト46とが隣接しており、LDK23とロフト46とが第2仕切部(具体的には、間仕切壁37においてLDK23とロフト46とを仕切る壁部分及び扉部39a)により仕切られている。また、第2仕切部の一部を構成する扉部39aがガラスパネルを含んで構成され、それにより、扉部39aを通じてLDK23から仕事室24を見通すことが可能となっている。これにより、LDK23がロフト46側とは異なる側に拡がっている感覚を抱かせることができるため、LDK23における開放感をより一層高めることが可能となる。
【0041】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0042】
・上記実施形態では、第1仕切部としての腰壁55を、ガラスパネルにより構成したが、腰壁55を構成するパネル材は必ずしもガラスパネルである必要はなく、例えば透明性を有する樹脂製パネルであってもよい。要するに、腰壁55を構成するパネル材は、吹き抜け空間35からロフト46を見通せるよう、透明性を有していれば材質は問わない。
【0043】
また、第1仕切部を、腰壁55に代えて、手摺部により構成してもよい。手摺部は、所定の間隔で立設された複数の柱部と、各柱部の上端部に跨って延びる笠木とを有して構成される。この場合、手摺部における各柱部の間を通じてLDK23からロフト46を見通すことが可能となる。
【0044】
・上記実施形態では、ロフト46を、LDK23の非吹き抜け空間36の上方に配置したが、これを変更してもよい。例えば、ロフト46を仕事室24の上方に配置してもよい。この場合、LDK23の吹き抜け空間35をリビング33aに形成し、その吹き抜け空間35をロフト46に隣接させることが考えられる。かかる構成では、吹き抜け空間35とロフト46とが東西方向に隣接することになる。つまり、吹き抜け空間35とロフト46とが、平面視にて屋根傾斜方向と直交する方向に隣接することになる。そのため、それら両空間35,46を仕切る腰壁は、平面視にて屋根傾斜方向に延びるよう配設されることになる。
【0045】
・上記実施形態では、吹き抜け空間35を有する居室空間がLDK23であったが、かかる居室空間は必ずしもLDKである必要はなく、リビングや和室等であってもよい。また、上記実施形態では、吹き抜け空間35と隣接する屋根裏空間がロフト46であったが、かかる屋根裏空間は必ずしもロフトである必要はなく、収納空間等であってもよい。
【0046】
・屋根部13は必ずしも切妻式である必要はなく、例えば隅棟式であってもよい。隅棟式の屋根部は、大棟及び隅棟(棟部に相当)により区画された4つの傾斜屋根部を有する。これら4つの傾斜屋根部はいずれも棟部から軒先部へ向けて下方傾斜して形成される。かかる構成では、いずれかの傾斜屋根部の下方に吹き抜け空間35とロフト46とを平面視にて当該傾斜屋根部の傾斜方向に並ぶように配置する。また、上記傾斜方向における棟部側にロフト46を位置させ、軒先部側に吹き抜け空間35を位置させる。そして、吹き抜け空間35とロフト46とをガラスパネルにより形成された腰壁により仕切るようにする。かかる構成においても、上記実施形態と同様、LDK23側から腰壁を介してロフト46を見通した際、ロフト46の天井面が奥側に向かって高くなっているように見えることになる。
【0047】
・上記実施形態では、第2仕切部の一部を構成する扉部39aをガラスパネル(パネル材に相当)により構成したが、これに代えて又は加えて、間仕切壁37においてLDK23と仕事室24とを仕切る壁部分(第2仕切部の一部を構成)の一部にガラス製の窓パネル(パネル材に相当)を設けてもよい。この場合、窓パネルを通じてLDK23から仕事室24を見通すことが可能となる。
【0048】
・上記実施形態では、ユニット式住宅に本発明を適用したが、鉄骨軸組工法により構築される住宅等、他の構造の住宅に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0049】
10…平屋建て住宅、12…建物本体、13…屋根部、15…棟部、16…軒先部、17A…傾斜屋根部、19…屋根裏部分、23…居室空間としてのLDK、24…隣接空間としての仕事室、35…吹き抜け空間、36…非吹き抜け空間、46…屋根裏空間としてのロフト、55…第1仕切部としての腰壁。