(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156450
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ホース付き配線部材
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20221006BHJP
F16L 11/12 20060101ALI20221006BHJP
F16L 3/26 20060101ALI20221006BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20221006BHJP
B60R 16/08 20060101ALN20221006BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
H02G3/04
F16L11/12 Z
F16L3/26
H02G3/30
B60R16/08 L
B60R16/02 620Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060156
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】荒井 健太
(72)【発明者】
【氏名】蒲 拓也
(72)【発明者】
【氏名】江端 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岡庭 大純
(72)【発明者】
【氏名】永澤 瞳
【テーマコード(参考)】
3H023
3H111
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
3H023AA03
3H023AA04
3H023AB01
3H023AC02
3H023AC14
3H023AC71
3H023AD36
3H023AD54
3H111AA02
3H111BA12
3H111BA15
3H111CA57
3H111CB02
3H111CB14
3H111CB30
3H111DA02
3H111DA18
3H111DA20
3H111DB02
3H111DB19
3H111DB24
3H111EA16
5G357DA06
5G357DA10
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD14
5G357DG04
5G357DG10
5G363AA07
5G363BA02
5G363BA07
5G363DA13
5G363DA15
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】ホースの流路がなるべく潰れることなく、ホースと配線部材とを簡易な構成で一体化できる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】ホース付き配線部材10は、線状伝送部材20と、前記線状伝送部材20の配線経路に沿って延在し、保持面上に前記線状伝送部材20が固定されたシート30と、前記シート30の前記保持面上に固定されたホース40と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状伝送部材と、
前記線状伝送部材の配線経路に沿って延在し、保持面上に前記線状伝送部材が固定されたシートと、
前記シートの前記保持面上に固定されたホースと、
を備える、ホース付き配線部材。
【請求項2】
請求項1に記載のホース付き配線部材であって、
前記シートと前記ホースとが接触部位直接固定されている、ホース付き配線部材。
【請求項3】
請求項2に記載のホース付き配線部材であって、
前記シートと前記線状伝送部材とが接触部位直接固定されている、ホース付き配線部材。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のホース付き配線部材であって、
前記シートの一方外縁に前記ホースが配置され、前記シートの他方外縁に複数の前記線状伝送部材が配置されている、ホース付き配線部材。
【請求項5】
請求項4に記載のホース付き配線部材であって、
前記他方外縁において、前記複数の線状伝送部材の一部が分岐している、ホース付き配線部材。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のホース付き配線部材であって、
前記シートに前記一方外縁が前記他方外縁よりも外周側となるように曲がる曲げ経路部が設けられている、ホース付き配線部材。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のホース付き配線部材であって、
前記線状伝送部材と前記ホースとが前記シート上で交差している、ホース付き配線部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ホース付き配線部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、チューブの潰れを抑制しつつ、当該チューブをワイヤーハーネス本体に沿って配設する技術を開示している。特許文献1では、ワイヤーハーネス本体を覆うコルゲートチューブ内に、管状保護部材がチューブを覆った状態で配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホースの流路がなるべく潰れることなく、ホースと配線部材とが簡易な構成で一体化されることが望まれている。
【0005】
そこで、ホースの流路がなるべく潰れることなく、ホースと配線部材とを簡易な構成で一体化できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のホース付き配線部材は、線状伝送部材と、前記線状伝送部材の配線経路に沿って延在し、保持面上に前記線状伝送部材が固定されたシートと、前記シートの前記保持面上に固定されたホースと、を備える、ホース付き配線部材である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ホースの流路がなるべく潰れることなく、ホースと配線部材とを簡易な構成で一体化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態1にかかるホース付き配線部材を示す斜視図である。
【
図2】
図2は実施形態1にかかるホース付き配線部材を示す平面図である。
【
図4】
図4は実施形態1にかかるホース付き配線部材を製造する様子を示す説明図である。
【
図5】
図5はホース付き配線部材の第1変形例を示す平面図である。
【
図6】
図6はホース付き配線部材の第2変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のホース付き配線部材は、次の通りである。
【0011】
(1)線状伝送部材と、前記線状伝送部材の配線経路に沿って延在し、保持面上に前記線状伝送部材が固定されたシートと、前記シートの前記保持面上に固定されたホースと、を備える、ホース付き配線部材である。線状伝送部材とホースとがそれぞれシートに固定されることによって一体化されている。これにより、線状伝送部材とホースとが干渉しにくくなり、ホースの流路がなるべく潰れることなく、ホースと配線部材とが簡易な構成で一体化できる。
【0012】
(2)(1)のホース付き配線部材において、前記シートと前記ホースとが接触部位直接固定されていてもよい。これにより、シートとホースとが他の部材を介さずに簡易に固定されることができる。
【0013】
(3)(2)のホース付き配線部材において、前記シートと前記線状伝送部材とが接触部位直接固定されていてもよい。これにより、シートと線状伝送部材とが、シートとホースと同様の固定態様で一体化されることができる。
【0014】
(4)(1)から(3)のいずれか1つのホース付き配線部材において、前記シートの一方外縁に前記ホースが配置され、前記シートの他方外縁に複数の前記線状伝送部材が配置されていてもよい。これにより、線状伝送部材とホースとが交差することが抑制される。
【0015】
(5)(4)のホース付き配線部材において、前記他方外縁において、前記複数の線状伝送部材の一部が分岐していてもよい。これにより、分岐部においても線状伝送部材とホースとが交差することが抑制される。
【0016】
(6)(4)又は(5)のホース付き配線部材において、前記シートに前記一方外縁が前記他方外縁よりも外周側となるように曲がる曲げ経路部が設けられていてもよい。これにより、曲げ経路部において、ホースが線状伝送部材よりも外周側に配置されることができ、ホースの曲率半径が小さくなることが抑制される。
【0017】
(7)(1)から(3)のいずれか1つのホース付き配線部材において、前記線状伝送部材と前記ホースとが前記シート上で交差していてもよい。線状伝送部材とホースとがシート上で交差する場合でも、予め交差させた状態で、線状伝送部材及びホースをシートに固定することによって、ホースが潰れることが抑制される。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のホース付き配線部材の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかるホース付き配線部材について説明する。
図1は実施形態1にかかるホース付き配線部材10を示す斜視図である。
図2は実施形態1にかかるホース付き配線部材10を示す平面図である。
図3は
図2のIII-III線に沿った断面図である。
【0020】
ホース付き配線部材10は、線状伝送部材20とシート30とホース40とを備える。シート30は、線状伝送部材20の配線経路に沿って延在している。シート30の保持面上に線状伝送部材20が固定されている。ホース40も、シート30の保持面上に固定されている。ホース40は、少なくとも一部の区間において線状伝送部材20に沿って延びる。線状伝送部材20及びホース40が並行する部分がシート30に固定されている。これにより、シート30を介して、線状伝送部材20及びホース40が並行した状態(一体化した状態)に保持されている。
【0021】
本例のホース付き配線部材10は、ルーフパネル60とルーフライナ62との間の空間(ルーフ内空間)に配置される部分を有するものとして説明される。ルーフパネル60及びルーフライナ62は車室の上部に位置し、車両の天井を形成する。ルーフパネル60は、車外に露出し、車両の外観をなす部材である。ルーフライナ62は、車内に露出し、車両の内観をなす部材である。ルーフライナ62は、ルーフライニング、ルーフトリムなど呼ばれることもある。
【0022】
線状伝送部材20は、電気又は光等を伝送する線状の部材である。線状伝送部材20は、車両における部品同士を接続する部材であることが想定される。線状伝送部材20は、伝送線本体22及び被覆層24を含む。伝送線本体22は電気又は光を伝送する伝送路である。例えば、線状伝送部材20が電線の場合、伝送線本体22は導体芯線である。導体芯線は1本又は複数本の素線によって構成される。素線は銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を材料として形成される。また線状伝送部材20が光ファイバの場合、伝送線本体22はコア及びクラッドである。被覆層24は伝送線本体22を覆う層である。被覆層24を構成する樹脂材料は、特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。例えば、線状伝送部材20は、芯線と芯線の周囲の被覆層とを有する一般電線であってもよいし、シールド線、ツイスト線、エナメル線、ニクロム線、光ファイバ等であってもよい。
【0023】
電気を伝送する線状伝送部材20としては、各種信号線、各種電力線であってもよい。電気を伝送する線状伝送部材20の一部等は、信号又は電力を空間に対して送る又は空間から受けるアンテナ、コイル等として用いられてもよい。
【0024】
また、線状伝送部材20は、単心線であってもよい。単心線は単一の線状物である。単心線は伝送路が1つの線状伝送部材である。線状伝送部材20は、多心線であってもよい。多心線は複数の線状物の複合物である。多心線は複数の伝送路を有する線状伝送部材である。多心線は、例えば、ツイスト線、複数の線状物を集合させてこれをシースで覆ったケーブル等であってもよい。
【0025】
シート30は、線状伝送部材20及びホース40を固定可能であればよく、材料、構造等は特に限定されるものではない。シート30を構成する材料に関し、ここでは、シート30は樹脂材料によって形成されている。シート30を構成する材料は、金属、無機物等、樹脂以外の材料が用いられてもよい。
【0026】
ここではシート30は、第1層32及び第2層34を含む2層構造である例が説明される。シート30の構造は、1層構造であってもよいし、3層以上の多層構造であってもよい。第1層32は融着層32である。融着層32には線状伝送部材20及びホース40が融着固定される。融着層32は樹脂材料、好ましくは熱可塑性樹脂材料を含む。融着層32の樹脂材料が軟化して融着相手に融着される。かかる樹脂材料の種類は特に限定されるものではなく、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を採用することができる。
【0027】
融着層32の構造は特に限定されるものではない。例えば融着層32は一様充実断面を有するシート(非発泡シート又はソリッドシートなどとも呼ばれる)であってもよい。また例えば、融着層32は、発泡シート等であることも考えられる。また例えば、融着層32は、編布、織布又は不織布等の繊維材シートであることも考えられる。第1層32の一方の表面がシート30の一方主面とされる。
【0028】
第2層34は付加層34である。付加層34は融着層32とは異なる材料で形成されたり、異なる構造を有したりする。付加層34は融着層32にある機能を高めたり、融着層32にない機能をシート30に追加したりする。第2層34を構成する材料は、上記融着層32で説明された材料のほか、金属、無機物等などであってもよい。第2層34の構造は、上記融着層32で説明された構造のいずれかであってもよい。第2層34の一方の表面がシート30の他方主面とされる。
【0029】
第1層32の他方の表面と第2層34の他方の表面とが接触しつつ、第1層32と第2層34とが固定されている。第1層32と第2層34との固定態様は特に限定されるものではないが、融着又は接着により固定されているとよい。例えば、第1層32及び第2層34の少なくとも一方が、繊維材シート又は発泡シートのように表面に空隙があるシートであると、空隙に樹脂材料又は接着剤が入り込んで固定されることができる。これによりいわゆるアンカー効果が発揮されて、第1層32及び第2層34が強固に固定される。
【0030】
ここでは第1層32が樹脂製のソリッドシートであり、第2層34が繊維材シートであるものとして説明される。ここでは第1層32と第2層34とが融着されているものとして説明される。つまり、第1層32の樹脂が流動性を有する状態で第2層34の繊維の間に入り込んだ後に硬化される。これにより、第1層32の樹脂が第2層34における繊維の間に入り込んだ状態が維持され、第1層32と第2層34とが強固に固定される。
【0031】
第1層32及び第2層34は同じ大きさ(同じ平面形状)に形成されてもよい。第1層32及び第2層34は一方が他方よりも大きく形成されていてもよい。第1層32及び第2層34は接触する領域が全体的に固定されている。第1層32及び第2層34は接触する領域の一部のみが固定されていてもよい。
【0032】
シート30は柔らかい部材であってもよい。例えば、第1層32が軟質PVCなど軟質な樹脂を材料とするソリッドシートであり、第2層34がPETを材料とする不織布であるなどして、シートが柔らかい部材とされる。例えば、シート30は線状伝送部材20の曲げに追従可能な可撓性を有してもよい。配線部材は厚み方向への曲げ(折目がシート30の保持面に沿うような曲げ)が可能とされてもよい。
【0033】
複数の線状伝送部材20の経路は、接続先となる部品の位置等に応じて設定される。複数の線状伝送部材20がシート30に固定されることによって、複数の線状伝送部材20がそれぞれの接続先となる部品の位置等に応じた配線経路に沿った状態に保たれる。複数の線状伝送部材20の経路は直線経路と曲げ経路との組み合わせによって構成されていてもよい。シート30も直線経路と曲げ経路との組み合わせによって構成されていてもよい。複数の線状伝送部材20は、幹線から枝線が分岐する態様で、シート30に固定されていてもよい。シート30も幹線が固定される部分から枝線が固定される部分が分岐する形状に形成されていてもよい。ここでは複数の線状伝送部材20はシート30上で曲がっている。また複数の線状伝送部材20はシート30上で分岐している。
【0034】
ホース40は、流体が通過可能な流路を有する。ホース40は、曲げ可能である。ホース40は、屈曲が生じない範囲の曲げにおいて、流路を維持しつつ曲がることが可能である。ホース40は、例えば、EPDMなどの弾性を有するエラストマ製であってもよい。ホース40は、軟質PVCなどの樹脂を材料として、可撓性を有するように構成されていてもよい。本例では、ホース40を通る流体が、液体であることが想定されている。流体は、気体であってもよい。本例では、液体がウインドウ用のウォッシャ液であることが想定されている。液体はウォッシャ液以外の液体であってもよい。
【0035】
本例のホース40は、ウォッシャ液の貯留部(ウォッシャタンク)と、ウォッシャノズルとを接続するウォッシャホース40であることが想定されている。また、ウォッシャタンクとウォッシャノズルとが車両の前後方向に分かれて配置されていることが想定される。例えば、ウォッシャタンクが車両の前方(車室よりも前方)に配置され、ウォッシャノズルが車両の後方(車室よりも後方)に配置されたリアウインドウ用のウォッシャノズルであってもよい。ウォッシャタンクは、例えばエンジンルームなどの前室に配置されてもよい。ウォッシャノズルは、例えばリアワイパなどと共にリアウインドウの周辺に配置されてもよい。ウォッシャ液は、ウォッシャタンクからウォッシャホース40を介してウォッシャノズルに達する。そして、ウォッシャ液は、ウォッシャノズルからリアウインドウに向けて吐出される。
【0036】
ホース40は、車両を前後方向に縦断するように配置される。ホース40は、ルーフ内空間を通って車室部分を前後方向に跨ぐ。より詳細には、ホース40は、ウォッシャタンクからAピラーに沿ってルーフ内空間に向けて延びる。ホース40は、ルーフ内空間を縦断し、車室よりも後方に配置されるウォッシャノズルまで延びる。車両の後方におけるホース40の経路は、車種、又は、リアウインドウがバックドアに組み込まれているか否かなどによって適宜設定される。例えば、ホース40は、車両の後方において、ルーフ内空間からそのまま車外空間に出るように配置されてもよいし、Cピラーに沿って下がるように配置されてもよい。なお、ホース40の一端部又は他端部は、継手に連結されてもよい。当該継手に連結された別のホースがウォッシャタンク又はウォッシャノズルまで延びていてもよい。
【0037】
ルーフ内空間には、線状伝送部材20も配置される。線状伝送部材20は、例えば、ルーフに配置される機器(ルーフ機器64)と接続されるルーフ機器64用の線状伝送部材20Aを含んでもよい。ルーフ機器64としては、例えば、ランプ、アンテナ等であってもよい。ルーフ機器64は、ルーフ内空間の所定の位置に配置される。線状伝送部材20Aは、シート30上でホース40と分岐してルーフ機器64との接続位置まで延びる。線状伝送部材20Aは端部に設けられたコネクタ26などを介してルーフ機器64と接続されてもよい。線状伝送部材20Aはシート30の第1端部から分岐位置までホース40と並行する。
【0038】
線状伝送部材20は、車両の後方に配置される機器と接続される後方機器用の線状伝送部材20Bを含んでもよい。後方機器としては、リアワイパ装置などであってもよい。線状伝送部材20Bは、シート30の第1端部から第2端部まで、ホース40と並行していてもよい。線状伝送部材20Bは、ホース40と共に、ルーフ内空間から外方に延び出てもよい。なお、ここではシート30の第1端部から第2端部までホース40の経路は直線経路である。
【0039】
線状伝送部材20A、20BのうちAピラーに沿って延びる部分は結束部材50によって円形束状に束ねられていてもよい。結束部材50は、テープ又は結束バンドなどであってもよい。シート30の第1端部の近くで、円形束部分28の結束が解かれ、シート30上の配列に移る。円形束部分28の結束が解かれる部分は、シート30上であってもよいし、シート30外であってもよい。ホース40は、円形束部分28と共にAピラーに沿って延びてもよい。ホース40は、結束部材50によって、円形束部分28に一緒に束ねられていてもよい。線状伝送部材20A、20B及びホース40は、円形状に束ねられていなくてもよい。線状伝送部材20A、20B及びホース40は、シート30に固定されたままAピラーに沿って延びてもよい。
【0040】
シート30の保持面上において、シート30の一方外縁にホース40が配置され、シート30の他方外縁に複数の線状伝送部材20が配置されている。他方外縁において、複数の線状伝送部材20の一部が分岐している。これに合わせてシート30も分岐している。本例では、シート30上でホース40と線状伝送部材20とが交差していない。本例では、シート30上でホース40と線状伝送部材20とが離れて配置されている。
【0041】
ホース40の太さは、例えば、2ミリメートルから8ミリメートルである。ホース40と共にシート30上に固定される線状伝送部材20は、例えば、低圧(例えば、12ボルト)用の電源線又は信号線であり、通常、ホース40よりも細い。ホース40と共にシート30上に固定される線状伝送部材20には、ホース40の太さと同じかそれよりも太い線状伝送部材20が含まれていてもよい。
【0042】
線状伝送部材20Bのうち車両後方に延びる部分は、結束部材によって円形束状に束ねられていてもよい。結束部材は、テープ又は結束バンドなどであってもよい。シート30の第2端部の近くで、円形束部分の結束が解かれ、シート30上の配列に移る。円形束部分の結束が解かれる部分は、シート30上であってもよいし、シート30外であってもよい。ホース40は、線状伝送部材20Bの円形束部分と共に車両の後方に延びてもよい。ホース40は、結束部材によって、線状伝送部材20Bの円形束部分に一緒に束ねられていてもよい。線状伝送部材20B及びホース40は、円形状に束ねられていなくてもよい。線状伝送部材20B及びホース40は、シート30に固定されたまま車両の後方に延びてもよい。
【0043】
シート30と線状伝送部材20との固定態様としては、接触部位固定であってもよいし、非接触部位固定であってもよいし、両者が併用されていてもよい。シート30とホース40との固定態様としても、同様に、接触部位固定であってもよいし、非接触部位固定であってもよいし、両者が併用されていてもよい。以下、シート30に固定される線状伝送部材20及びホース40をまとめて、固定対象20、40と称することがある。ここで接触部位固定とは、シート30と固定対象20、40とが接触する部分がくっついて固定されているものである。また、非接触部位固定とは、接触部位固定でない固定態様であり、例えば、縫糸、カバー、粘着テープなどが、固定対象20、40をシート30に向けて押え込んだり、シート30と固定対象20、40とを挟み込んだりして、その状態に維持するものである。
【0044】
かかる接触部位固定の態様として、接触部位間接固定であってもよいし、接触部位直接固定であってもよいし、異なる領域で両者が併用されていてもよい。ここで接触部位間接固定とは、シート30と固定対象20、40とが、その間に設けられた接着剤、粘着剤、両面粘着テープなどを介して間接的にくっついて固定されているものである。また接触部位直接固定とは、シート30と固定対象20、40とが別に設けられた接着剤等を介さずに直接くっついて固定されているものである。接触部位直接固定では、例えばシート30と固定対象20、40とのうち少なくとも一方に含まれる樹脂が溶かされることによってくっついて固定されることが考えられる。
【0045】
かかる接触部位直接固定の状態が形成されるに当たり、樹脂は、例えば、熱によって溶かされることも考えられるし、溶剤によって溶かされることも考えられる。つまり、接触部位直接固定の状態としては、熱による接触部位直接固定の状態であってもよいし、溶剤による接触部位直接固定の状態であってもよい。好ましくは、熱による接触部位直接固定の状態であるとよい。
【0046】
このとき接触部位直接固定の状態を形成する手段は特に限定されるものではなく、融着等の公知の手段を用いることができる。例えば、融着によって熱による接触部位直接固定の状態を形成する場合、超音波融着、加熱加圧融着、熱風融着、高周波融着など種々の融着手段を採用することができる。またこれらの手段によって接触部位直接固定の状態が形成されると、シート30と固定対象20、40とは、その手段による接触部位直接固定の状態とされる。具体的には、例えば、超音波融着によって接触部位直接固定の状態が形成されると、シート30と固定対象20、40とは、超音波融着による接触部位直接固定の状態とされる。従って、上記融着固定は、接触部位直接固定の一態様である。
【0047】
ここでは、シート30とホース40とが接触部位直接固定されている。シート30と線状伝送部材20とも接触部位直接固定されている。この場合、固定対象20、40の最外層と融着層32とが融着される。
【0048】
線状伝送部材20において最外層は被覆層24である。被覆層24は融着層32に融着可能な材料である。被覆層24を構成する樹脂材料は融着層32を構成する樹脂材料と種類が同じであってもよい。例えば、融着層32を構成する樹脂材料、及び被覆層24を構成する樹脂材料はPVC又はポリオレフィンである。
【0049】
ホース40において、ホース40自体がホース40の最外層である。ホース40は融着層32に融着可能な材料である。上記のようにホース40がEPDM製である場合、主として融着層32の樹脂材料が溶けて、ホース40の外面に接着していてもよい。上記のようにホース40がPVC製などである場合、融着層32の樹脂材料に加えて、ホース40の樹脂材料も溶けて、相互に接着してもよい。ホース40の樹脂材料及び融着層32の樹脂材料が同じ種類である場合、融着層32の樹脂材料及びホース40の樹脂材料のうち溶けた材料同士が混ざり合っていてもよい。
【0050】
シート30と線状伝送部材20との固定部(融着部)は線状伝送部材20の延在方向に沿って間隔をあけて複数設けられてもよい。同様に、シート30とホース40との固定部(融着部)はホース40の延在方向に沿って間隔をあけて複数設けられてもよい。これらの固定部の間隔は特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。シート30と線状伝送部材20との固定部の間隔と、シート30とホース40との固定部の間隔とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、線状伝送部材20が単心の信号線を含む場合、単心の信号線は、比較的細い線であることから、ホース40よりも曲がりやすい。この場合、単心の信号線とホース40とが並行する直線区間において、シート30と単心の信号線の固定間隔が、シート30とホース40との固定間隔よりも小さくされてもよい。もっとも、シート30と線状伝送部材20との固定部は、線状伝送部材20の延在方向に沿って連続的に設けられていてもよい。同様に、シート30とホース40との固定部は、ホース40の延在方向に沿って連続的に設けられていてもよい。
【0051】
図4は実施形態1にかかるホース付き配線部材10を製造する様子を示す説明図である。
【0052】
図4に示す例では、超音波融着装置によって、ホース40とシート30とが融着される。超音波融着装置は、ホーン80及びアンビル82を有する。ホーン80は、融着対象となる部分に超音波振動を付与する。これにより、融着対象となる部分が発熱し、軟化することができる。ホーン80は、融着対象となる部分に局所的に超音波振動を付与することができる。これにより、融着対象でない部分の発熱を抑制できる。アンビル82は、ホーン80と共に融着対象となる2つの部材を挟持する。通常、融着対象となる部分は、ホーン80及びアンビル82にプレスされつつ挟持された部分を中心に発熱する。
【0053】
例えば、ホース40は、アンビル82に形成された溝83に収容される。これにより、ホーン80及びアンビル82がホース40を強くプレスすることが抑制される。溝83の深さは、ホース40の直径と同じかそれよりも大きい。シート30がホーン80と溝83の側壁の頂部との間にプレスされつつ挟まれた状態で、ホーン80からシート30に超音波振動が付与される。シート30のうちホース40の側方部分から軟化し始める。そして、軟化した部分が溝83の内面とホース40との隙間を埋めつつ、ホース40に達し、ホース40に接着する。これにより、ホース40の流路がなるべく潰れることなく、シート30とホース40とが固定されることができる。
【0054】
融着前のシート30の保持面は平坦面である。融着後のシート30の保持面には凹凸形状が生じていてもよい。
図3に示すように、シート30において、ホース40の周辺に凸部36及び凹部38が生じうる。凸部36及び凹部38は、シート30の厚み方向に沿った凹凸部分である。凸部36は、ホース40とシート30とが重なる部分に設けられる。凸部36は、融着前の平坦な保持面とホース40との隙間を埋めるために保持面がかさ上げされた部分である。例えば、凸部36は軟化したシート30の材料が溝83内に入り込んで形成される。凹部38は、凸部36の側方に設けられる。凹部38は、保持面をかさ上げして凸部36を設けるために、保持面の他の部分から材料が凸部36に向けて供給されることによって、保持面が凹んだ部分である。凹部38は、溝83の側壁の頂部によって、保持面が押されてできた跡であるととらえることもできる。なお、融着条件(ホーン80の出力、アンビル82の形状、プレスの力加減など)によっては、凸部36及び凹部38が設けられない場合もあり得る。
【0055】
線状伝送部材20とシート30との融着も超音波融着装置を用いて行われてもよい。線状伝送部材20とシート30との融着に用いられるアンビル82にも、溝83が形成されていてもよい。線状伝送部材20が溝83に収容された状態で、線状伝送部材20とシート30とがホーン80及びアンビル82にプレスされつつ、超音波融着がなされてもよい。アンビル82に形成された溝83は、線状伝送部材20の直径に応じた大きさとされてもよい。線状伝送部材20とシート30との融着部分にも、凸部36及び凹部38が設けられていてもよい。
【0056】
<効果等>
以上のように構成されたホース付き配線部材10によると、線状伝送部材20とホース40とがそれぞれシート30に固定されることによって一体化されている。これにより、線状伝送部材20とホース40とが干渉しにくくなり、ホース40の流路がなるべく潰れることなく、ホース40と配線部材とが簡易な構成で一体化できる。
【0057】
また、シート30とホース40とが接触部位直接固定されている。これにより、シート30とホース40とが他の部材を介さずに簡易に固定されることができる。また、シート30と線状伝送部材20とが接触部位直接固定されている。これにより、シート30と線状伝送部材20とが、シート30とホース40と同様の固定態様で一体化されることができる。
【0058】
また、シート30の一方外縁にホース40が配置され、シート30の他方外縁に複数の線状伝送部材20が配置されている。これにより、線状伝送部材20とホース40とが交差することが抑制される。
【0059】
また、他方外縁において、複数の線状伝送部材20の一部が分岐している。これにより、分岐部においても線状伝送部材20とホース40とが交差することが抑制される。
【0060】
[変形例]
図5はホース付き配線部材10の第1変形例を示す平面図である。
【0061】
第1変形例にかかるホース付き配線部材110は、シート130に曲げ経路部が設けられている点で、上記ホース付き配線部材10とは異なる。曲げ経路部において、シート130は、ホース40が配置される一方外縁が、複数の線状伝送部材20が配置される他方外縁よりも外周側となるように曲がる。これにより、曲げ経路部において、ホース40が線状伝送部材20よりも外周側に配置されることができ、ホース40の曲率半径が小さくなることが抑制される。これにより、ホース40が屈曲しにくくなる。
【0062】
図6はホース付き配線部材10の第2変形例を示す平面図である。
【0063】
第2変形例にかかるホース付き配線部材210は、ホース40と線状伝送部材20とがシート30上で交差している点で、上記ホース付き配線部材10、110とは異なる。本例のホース付き配線部材210のように、線状伝送部材20とホース40とがシート30上で交差する場合でも、予め交差させた状態で、線状伝送部材20及びホース40をシート30に固定することによって、ホース40が潰れることが抑制される。
【0064】
線状伝送部材20とホース40との交差部分において、線状伝送部材20とホース40とのうち線状伝送部材20がホース40よりも下(シート30側)であってもよい。線状伝送部材20がホース40よりも下であると、ホース40を越えるのに線状伝送部材20の経路長が長くなることが抑制される。線状伝送部材20とホース40との交差部分において、線状伝送部材20とホース40とのうちホース40が線状伝送部材20よりも下であってもよい。ホース40が線状伝送部材20よりも下であると、線状伝送部材20によってホース40をシート30に向けて押さえることができる。
【0065】
なお、
図6に示すように線状伝送部材20同士もシート30上で交差してもよい。線状伝送部材20同士は、シート30上で交差していなくてもよい。
【0066】
またこれまで、シート30の一方外縁にホース40が配置され、シート30の他方外縁に複数の線状伝送部材20が配置されているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。ホース40はシート30の幅方向に沿った中間部に配置されてもよい。ホース40の両側に線状伝送部材20が配置されてもよい。線状伝送部材20Aがホース40の両側に配置されてもよい。この場合、少なくとも一方側の線状伝送部材20Aがシート30上でホース40と交差する。ホース40の一方側方に線状伝送部材20Aが配置され、ホース40の他方側方に線状伝送部材20Bが配置されてもよい。この場合、ホース40がシート30上で線状伝送部材20A、20Bと交差しない場合もあり得る。
【0067】
またこれまで、ホース付き配線部材10がルーフ内空間に配置される例が説明されたが、このことは必須の構成ではない。ホース付き配線部材10は、ルーフ内空間とは別の空間に配置されてもよい。例えば、ホース付き配線部材10は、フロアパネルとカーペットとの間の空間に配置されてもよい。
【0068】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0069】
10、110、210 ホース付き配線部材
20、20A、20B 線状伝送部材
22 伝送線本体
24 被覆層
26 コネクタ
28 円形束部分
30、130 シート
32 第1層
34 第2層
36 凸部
38 凹部
40 ホース
50 結束部材
60 ルーフパネル
62 ルーフライナ
64 ルーフ機器
80 ホーン
82 アンビル