(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156456
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】汎用コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01F 12/18 20060101AFI20221006BHJP
A01D 41/02 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A01F12/18 K
A01D41/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060164
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】澤村 亮
(72)【発明者】
【氏名】二神 伸
(72)【発明者】
【氏名】北川 智志
(72)【発明者】
【氏名】渡部 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】上加 郁朗
(72)【発明者】
【氏名】黒木 慎
(72)【発明者】
【氏名】玉田 晋太郎
【テーマコード(参考)】
2B074
2B094
【Fターム(参考)】
2B074AA05
2B074AB01
2B074AC02
2B074AD02
2B074AF02
2B074DA01
2B074DA02
2B074DA03
2B094AA01
2B094AA12
2B094AJ01
2B094AJ03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、刈取穀稈を扱室に供給して扱ぎ作用する汎用コンバインにおいて、扱室の形状を工夫することで刈取穀稈の多少にかかわらず排桿と共に排出される穀粒を少なくした脱穀処理を行えるようにすることを課題とする。
【解決手段】扱胴11を軸支する扱室10の扱網30下部に選別室20を設け、扱室10の上部を扱室カバー40で覆った汎用コンバインにおいて、内壁を扱胴11の外周面から等距離で円弧状にした円弧カバー部40aと平面を折り曲げて内壁にした角カバー部40bの組み合わせで扱室カバー40を構成したことを特徴とする汎用コンバインとする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴(11)を軸支する扱室(10)の扱網(30)下部に選別室(20)を設け、扱室(10)の上部を扱室カバー(40)で覆った汎用コンバインにおいて、内壁を扱胴(11)の外周面から等距離で円弧状にした円弧カバー部(40a)と平面を折り曲げて内壁にした角カバー部(40b)の組み合わせで扱室カバー(40)を構成したことを特徴とする汎用コンバイン。
【請求項2】
扱胴(11)の軸方向に円弧カバー部(40a)と角カバー部(40b)を交互に配置した扱室カバー(40)としたことを特徴とする請求項1に記載の汎用コンバイン。
【請求項3】
扱胴(11)の回転方向で円弧カバー部(40a)と角カバー部(40b)を交互に配置した扱室カバー(40)としたことを特徴とする請求項1に記載の汎用コンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、稲麦や菜種等の茎稈を刈り取って穀粒を収穫する汎用コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
汎用コンバインは、機体の前側に設ける刈取前処理装置で刈り取った穀稈を脱穀装置の扱室に取り込み、扱室で脱穀した穀粒は扱室下部の選別室に流下して藁屑を選別排除し、穀粒をグレンタンクに貯留し、脱穀済みの排桿は扱室の排桿排出口から切断処理室に送り込み細断して圃場に放出している。
【0003】
特許文献1に記載の汎用コンバインでは、扱室の後下部に切断処理室を設け、扱室後下部の排桿排出口から排出される排桿と選別室の後上部から吐き出される藁屑を切断処理室に送り込み、回転刃で細断して圃場に放出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
汎用コンバインでは、多量の刈取穀稈が扱室に送り込まれ、扱室の内周壁と扱胴外周との間で扱歯によって扱かれて穀粒が穀稈から分離されるが、刈取穀稈が多いと穀粒の分離が悪くて穀粒が穀稈に付いたままで排桿として排出され、また、供給される刈取穀稈が少ないと扱ぎ作用が不十分でこの場合も穀粒が排桿と共に排出されることになる。
【0006】
本発明は、刈取穀稈を扱室に供給して扱ぎ作用する汎用コンバインにおいて、扱室の形状を工夫することで刈取穀稈の多少にかかわらず排桿と共に排出される穀粒を少なくした脱穀処理を行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0008】
請求項1の発明は、扱胴11を軸支する扱室10の扱網30下部に選別室20を設け、扱室10の上部を扱室カバー40で覆った汎用コンバインにおいて、内壁を扱胴11の外周面から等距離で円弧状にした円弧カバー部40aと平面を折り曲げて内壁にした角カバー部40bの組み合わせで扱室カバー40を構成したことを特徴とする汎用コンバインとする。
【0009】
請求項2の発明は、扱胴11の軸方向に円弧カバー部40aと角カバー部40bを交互に配置した扱室カバー40としたことを特徴とする請求項1に記載の汎用コンバインとする。
【0010】
請求項3の発明は、扱胴11の回転方向で円弧カバー部40aと角カバー部40bを交互に配置した扱室カバー40としたことを特徴とする請求項1に記載の汎用コンバインとする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明で、扱室10に送り込まれた刈取穀稈は扱室カバー40の内壁と扱胴11の外周面に設ける扱歯による扱ぎ作用で脱穀されて穀粒が扱網30を通過して選別室20に落下するが、内壁が円弧状の円弧カバー部40a内を刈取穀稈が移動する間は内壁が扱胴11の外周面から等距離のために移動抵抗が少ない状態で送られ、平面を折り曲げた内壁の角カバー部40b内を刈取穀稈が移動する間は扱胴11の外周面との間隙が狭くなったり広がったりすることによって混ぜられて強い扱ぎ作用が働き、短い扱胴11の幅でも送りと扱ぎ作用のバランスで脱粒が良好で刈取穀稈と共に排出される穀粒が減少する。
【0012】
請求項2の発明で、請求項1の効果に加えて、円弧カバー部40aの送り作用が強く少ない脱粒と角カバー部40bの扱ぎ作用が強く多くの脱粒が扱網30上でバランスよく行われて選別室20への穀粒供給が選別に適して、扱室10での排桿の停滞が無く良好に排出される。
【0013】
請求項3の発明で、請求項1の効果に加えて、扱胴11の回転方向で円弧カバー部40aによる送り促進作用と角カバー部40bによる強い扱ぎ作用が交互に繰り返されて扱網30から選別室20に穀粒がバランス良く供給されて穀粒の選別が良好になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明における実施の形態の汎用コンバインの正面図である。
【
図2】本発明における実施の形態の汎用コンバインの右側面図である。
【
図3】本発明における実施の形態の汎用コンバインの背面図である。
【
図4】本発明における実施の形態の脱穀装置の右側断面図である。
【
図5】本発明における実施の形態の脱穀装置後部の背断面図である。
【
図6】本発明における実施の形態の揺動棚の右側面図である。
【
図7】本発明における実施の形態の揺動棚の左側面図である。
【
図8】本発明における実施の形態の脱穀部の第一実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図9】本発明における実施の形態の脱穀部の第二実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図10】本発明における実施の形態の脱穀部の第三実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図11】本発明における実施の形態の脱穀部の第四実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図12】本発明における実施の形態の脱穀部の第五実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図13】本発明における実施の形態の脱穀部の第六実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図14】本発明における実施の形態の脱穀部の第七実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図15】本発明における実施の形態の脱穀部の第八実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図16】本発明における実施の形態の脱穀部の第九実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図17】本発明における実施の形態の脱穀部の第十実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図18】本発明における実施の形態の脱穀部の第十一実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図19】本発明における実施の形態の脱穀部の第十二実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図20】本発明における実施の形態の脱穀部の第十三実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図21】本発明における実施の形態の脱穀部の第十四実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図22】本発明における実施の形態の脱穀部の第十五実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図23】本発明における実施の形態の脱穀部の第十六実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図24】本発明における実施の形態の脱穀部の第十七実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図25】本発明における実施の形態の脱穀部の第十八実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図26】本発明における実施の形態の脱穀部の第十九実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図27】本発明における実施の形態の脱穀部の第二十実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図28】本発明における実施の形態の脱穀部の第二十一実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図29】本発明における実施の形態の脱穀部の第二十二実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図30】本発明における実施の形態の脱穀部の第二十三実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図31】本発明における実施の形態の脱穀部の第二十四実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図32】本発明における実施の形態の脱穀部の第二十五実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図33】本発明における実施の形態の脱穀部の第二十六実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図34】本発明における実施の形態の脱穀部の第二十七実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図35】本発明における実施の形態の脱穀部の第二十八実施例を示す(A)平面図、(B)側断面図である。
【
図36】本発明における実施の形態の脱穀部の第二十九実施例を示す脱穀室の背断面図である。
【
図37】本発明における実施の形態の脱穀部の第三十実施例を示す脱穀室の背断面図である。
【
図38】本発明における実施の形態の脱穀部の第三十一実施例を示す脱穀室の背断面図である。
【
図39】本発明における実施の形態の脱穀部の第三十二実施例を示す脱穀室の背断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の汎用コンバインについて添付図面を参照しつつ説明する。なお、理解を容易にするために、操縦者から見て、前方を前、後方を後、右手側を右、左手側を左として便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0016】
汎用コンバインは、
図1~3に示すように、機体フレーム1の下側には土壌面を走行するための左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の上側には脱穀・選別を行なう脱穀装置3が設けられ、脱穀装置3の前側には圃場の穀桿を収穫する刈取前処理装置4が設けられている。脱穀装置3で脱穀・選別された穀粒は脱穀装置3の右側に設けられたグレンタンク5に貯留され、貯留された穀粒は揚穀筒と横送り筒からなる排出筒7によって外部へ排出される。また、グレンタンク5の前側には操縦者が搭乗する操縦部6が設けられている。
【0017】
<刈取前処理装置>
刈取前処理装置4は、掻込み装置4Aと、横刈刃装置4Bと、オーガ装置4Cと、フィーダハウス4Dを備えて構成されている。なお、オーガ装置4Cの上方で絡み合った穀桿を切断するために縦刈刃装置(図示省略)をオーガ装置4Cの左側に装着することもできる。
【0018】
掻込み装置4Aは、倒伏した穀桿、大豆やそば等の丈の低い穀桿、油菜や菜の花等の丈の高い穀桿をオーガ装置4Cに掻込む装置であり、オーガ装置4Cの全幅とほぼ同一幅に形成され、オーガ装置4Cの上側に設けられている。
【0019】
横刈刃装置4Bは、掻込み装置4Aで掻込まれた穀桿の株元を切断する装置であり、オーガ装置4Cの前側下部に設けられ、側面視において前側から後側に緩やかに後上がり傾斜して配置されている。
【0020】
オーガ装置4Cは、掻込み装置4Aで掻込まれた穀桿をオーガ装置4Cの左側後部に開口された送込口の前方に寄せ集めてフィーダハウス4Dに引き継ぐ装置であり、フィーダハウス4Dの前方に設けられ、汎用コンバインの機体の全幅とほぼ同一幅に形成されている。また、オーガ装置4Cの左右前側には、分草体4Eが装着されている。
【0021】
フィーダハウス4Dは、オーガ装置4Cから引継がれた稲、麦、大豆、そば等の穀桿を脱穀装置3に揚上搬送する装置であり、オーガ装置4Cと脱穀装置3の間に設けられている。
【0022】
<脱穀装置>
脱穀装置3は、
図4等に示すように、上部に穀稈の脱穀を行う扱室10を備え、扱室10の下側に脱穀された穀粒の選別を行なう選別室20を備え、選別室20の後側には、扱室10から排出される排桿や選別室20から排出されるワラ屑類等を切断する切断処理室50を備え、切断処理室50の後側には、切断処理室50で切断された排桿等を外部に排出する排出室70を備えて構成されている。
【0023】
(扱室)
扱室10の前後板10A、10Cには、機体前後方向に延設する扱胴11を架設する扱胴軸12の前後端部がそれぞれ回転自在に軸支され、扱室10の中板10Bには、扱胴11の下側に張設される扱網30が装着されている。
【0024】
扱室10の上部は、扱胴11の筒部17を外周面から等距離の円弧状に囲む円弧カバー部40aと筒部17を折り曲げた平面で囲む角カバー部40bを組み合わせた扱室カバー(扱胴カバーともいう)40で開閉可能に覆っている。
【0025】
第一実施例を示す
図8(A)、(B)では、選別室20の移送棚22終端上までを円弧カバー部40aで覆い、それより後側を角カバー部40bで覆うようにしているが、この構成では扱室10への刈取穀稈が入り易くその後に扱ぎ作用が確実になる効果が期待できる。
【0026】
第二実施例を示す
図9(A)、(B)では、選別室20のシーブ23の終端上までを円弧カバー部40aで覆い、それより後側を角カバー部40bで覆うようにしているが、この構成では扱室10へ刈取穀稈がさらに入りやすくなる効果が期待できる。
【0027】
第三実施例を示す
図10(A)、(B)では、選別室20の移送棚22の前後中間上までを円弧カバー部40aで覆い、それより後側を角カバー部40bで覆うようにしているが、この構成では刈取穀稈の扱ぎ作用が特に良好になる効果が期待できる。
【0028】
第四実施例を示す
図11(A)、(B)では、選別室20下部の2番螺旋軸29Aの前上までを円弧カバー部40aで覆い、それより後側を角カバー部40bで覆うようにしているが、この構成では扱室10への刈取穀稈の送り込み抵抗が少なく、最終扱ぎ作用が確実になる効果が期待できる。
【0029】
第五実施例を示す
図12(A)、(B)では、選別室20下部の1番螺旋軸28Aの前上までを円弧カバー部40aで覆い、それより後側を角カバー部40bで覆うようにしているが、この構成では扱室10への刈取穀稈の送り込み抵抗が少なく、扱ぎ作用も確実になる効果が期待できる。
【0030】
第六実施例を示す
図13(A)、(B)では、選別室20下部の唐箕25の上で第1扱歯18Aの終端上までを円弧カバー部40aで覆い、それより後側を角カバー部40bで覆うようにしているが、この構成では扱ぎ作用がより確実になる効果が期待できる。
【0031】
第七実施例を示す
図14(A)、(B)では、移送棚22の終端でシーブ23の始端上までを角カバー部40bで覆い、それより後側を円弧カバー部40aで覆うようにしているが、この構成では扱室10の前側で扱ぎ作用を確実に行いその後に排桿の排出を速く行うことで負荷を軽くして選別が良くなる効果が期待できる。
【0032】
第八実施例を示す
図15(A)、(B)では、シーブ23の終端上までを角カバー部40bで覆い、それより後側を円弧カバー部40aで覆うようにしているが、この構成でも扱室10の前半側で扱ぎ作用を確実に行い後半側で排桿を素速く排出することで負荷を軽くして選別が良くなる効果が期待できる。
【0033】
第九実施例を示す
図16(A)、(B)では、移送棚22の前後中間上までを角カバー部40bで覆い、それより後側を円弧カバー部40aで覆うようにしているが、この構成でも扱室10の前側で扱ぎ作用を確実に行いその後に排桿の排出を速く行うことで負荷を軽くして選別が良くなる効果が期待できる。
【0034】
第十実施例を示す
図17(A)、(B)では、2番螺旋軸29Aの前上までを角カバー部40bで覆い、それより後側を円弧カバー部40aで覆うようにしているが、この構成では扱室10の前側で扱ぎ作用を確実に行い後半側で排桿を素速く排出することで負荷を軽くして選別が良くなる効果が期待できる。
【0035】
第十一実施例を示す
図18(A)、(B)では、1番螺旋軸28Aの前上までを角カバー部40bで覆い、それより後側を円弧カバー部40aで覆うようにしているが、この構成でも扱室10の前側で扱ぎ作用を確実に行い後半側で排桿を素速く排出することで負荷を軽くして選別が良くなる効果が期待できる。
【0036】
第十二実施例を示す
図19(A)、(B)では、唐箕25の上で第1扱歯18Aの終端上までを角カバー部40bで覆い、それより後側を円弧カバー部40aで覆うようにしているが、この構成では扱室10の入口側で扱ぎ作用を確実に行い、その後に排桿を素速く排出することで負荷を軽くして選別が良くなる効果が期待できる。
【0037】
第十三実施例を示す
図20(A)、(B)では、移送棚22の前端上までが円弧カバー部40aでそれから角カバー部40bに引き継ぎ、シーブ23の後端で角カバー部40bから円弧カバー部40aに引き継いでいる。この構成では扱室10の入口側で取り込みを良くしてシーブ23上に多くの籾を落とすことで選別ロスが少なく、出口側で排桿の排出を速めて、脱穀負荷の軽減になる。
【0038】
第十四実施例を示す
図21(A)、(B)では、移送棚22の後端上までが円弧カバー部40aでそれから角カバー部40bに引き継ぎ、シーブ23の後端で角カバー部40bから円弧カバー部40aに引き継いでいる。この構成では扱室10の入口側で取り込みを良くしてシーブ23上に多くの籾を落とすことで選別ロスが少なく、出口側で排桿の排出を速めて、脱穀負荷の軽減になる。
【0039】
第十五実施例を示す
図22(A)、(B)では、移送棚22の前端上までが円弧カバー部40aでそれから角カバー部40bに引き継ぎ、シーブ23の前端で角カバー部40bから円弧カバー部40aに引き継いでいる。この構成では扱室10の入口側で取り込みを良くしてシーブ23上に多くの籾を落とすことで選別ロスが少なく、出口側で排桿の排出を速めて、脱穀負荷の軽減になる。
【0040】
第十六実施例を示す
図23(A)、(B)では、移送棚22の後端上までが円弧カバー部40aでそれから角カバー部40bに引き継ぎ、シーブ23の前端で角カバー部40bから円弧カバー部40aに引き継いでいる。この構成では扱室10の入口側で取り込みを良くしてシーブ23上に多くの籾を落とすことで選別ロスが少なく、出口側で排桿の排出を速めて、脱穀負荷の軽減になる。
【0041】
第十七実施例を示す
図24(A)、(B)では、1番螺旋軸28Aの前上までが円弧カバー部40aでそれから角カバー部40bに引き継ぎ、2番螺旋軸29Aの前上で角カバー部40bから円弧カバー部40aに引き継いでいる。この構成では1番螺旋軸28Aと2番螺旋軸29Aの間で扱ぎ作用を強めてシーブ23上に多くの籾を落とすことで選別ロスが少なくなる。
【0042】
第十八実施例を示す
図25(A)、(B)では、1番螺旋軸28Aの後上までが円弧カバー部40aでそれから角カバー部40bに引き継ぎ、2番螺旋軸29Aの前上で角カバー部40bから円弧カバー部40aに引き継いでいる。この構成でも1番螺旋軸28Aと2番螺旋軸29Aの間で扱ぎ作用を強めてシーブ23上に多くの籾を落とすことで選別ロスが少なくなる。
【0043】
第十九実施例を示す
図26(A)、(B)では、1番螺旋軸28Aの後上までが円弧カバー部40aでそれから角カバー部40bに引き継ぎ、2番螺旋軸29Aの後上で角カバー部40bから円弧カバー部40aに引き継いでいる。この構成では1番螺旋軸28Aと2番螺旋軸29Aの間で扱ぎ作用を強めてシーブ23上に多くの籾を落とすことで選別ロスが少なくなる。
【0044】
第二十実施例を示す
図27(A)、(B)では、1番螺旋軸28Aの前上までが円弧カバー部40aでそれから角カバー部40bに引き継ぎ、2番螺旋軸29Aの後上で角カバー部40bから円弧カバー部40aに引き継いでいる。この構成では1番螺旋軸28A上と2番螺旋軸29A上の間で扱ぎ作用を強めて多くの籾を落とすことで選別ロスが少なくなる。
【0045】
第二十一実施例を示す
図28(A)、(B)では、移送棚22の後端上までが角カバー部40bでそれから円弧カバー部40aに引き継ぎ、シーブ23の後端上で円弧カバー部40aから角カバー部40bに引き継いでいる。この構成は扱室10の前後で扱ぎ作用を強めて多くの籾を落とすことで選別ロスが少なくなる。
【0046】
第二十二実施例を示す
図29(A)、(B)では、移送棚22の前端上までが角カバー部40bでそれから円弧カバー部40aに引き継ぎ、シーブ23の後端上で円弧カバー部40aから角カバー部40bに引き継いでいる。この構成でも扱室10の前後で扱ぎ作用を強めて多くの籾を落とすことで選別ロスが少なくなる。
【0047】
第二十三実施例を示す
図30(A)、(B)では、移送棚22の前端上までが角カバー部40bでそれから円弧カバー部40aに引き継ぎ、シーブ23の前端上で円弧カバー部40aから角カバー部40bに引き継いでいる。この構成は扱室10の前側で扱ぎ作用と送り作用を行って扱室10の後部で多くの籾を落とすことで選別ロスが少なくなる。
【0048】
第二十四実施例を示す
図31(A)、(B)では、移送棚22の前後中央上までが角カバー部40bでそれから円弧カバー部40aに引き継ぎ、シーブ23の前部上で円弧カバー部40aから角カバー部40bに引き継いでいる。この構成でも扱室10の前側で扱ぎ作用と送り作用を行って扱室10の後部で多くの籾を落とすことで選別ロスが少なくなる。
【0049】
第二十五実施例を示す
図32(A)、(B)では、1番螺旋軸28Aの前上までが角カバー部40bでそれから円弧カバー部40aに引き継ぎ、2番螺旋軸29Aの前上で円弧カバー部40aから角カバー部40bに引き継いでいる。この構成では扱室10の前後で扱ぎ作用を強めて多くの籾を落とすことで選別ロスが少なくなる。
【0050】
第二十六実施例を示す
図33(A)、(B)では、1番螺旋軸28Aの後上までが角カバー部40bでそれから円弧カバー部40aに引き継ぎ、2番螺旋軸29Aの前上で円弧カバー部40aから角カバー部40bに引き継いでいる。この構成でも扱室10の前後で扱ぎ作用を強めて多くの籾を落とすことで選別ロスが少なくなる。
【0051】
第二十七実施例を示す
図34(A)、(B)では、1番螺旋軸28Aの後上までが角カバー部40bでそれから円弧カバー部40aに引き継ぎ、2番螺旋軸29Aの後上で円弧カバー部40aから角カバー部40bに引き継いでいる。この構成でも扱室10の前後で扱ぎ作用を強めて多くの籾を落とすことで選別ロスが少なくなる。
【0052】
第二十八実施例を示す
図35(A)、(B)では、1番螺旋軸28Aの前上までが角カバー部40bでそれから円弧カバー部40aに引き継ぎ、2番螺旋軸29Aの後上で円弧カバー部40aから角カバー部40bに引き継いでいる。この構成でも扱室10の前後で扱ぎ作用を強めて多くの籾を落とすことで選別ロスが少なくなる。
【0053】
第二十九実施例を示す
図36は、扱胴カバー40を扱胴11の回転方向で二分割し、回転前側の内壁を折り曲げ平面状にした角カバー部40bとして、回転後側の内壁を円弧状にした円弧カバー部40aとしている。この構成で、穀稈を持ち上げる側で扱ぎ作用を強めて多くの籾を落とすことで選別ロスが少なくなる。
【0054】
第三十実施例を示す
図37は、扱胴11の回転方向で1/3を角カバー部40bで覆い残りを円弧カバー部40aとしている。逆に、扱胴11の回転方向で1/3を円弧カバー部40aで覆い残りを角カバー部40bとしても良い。この構成でも、穀稈を持ち上げる側で扱ぎ作用を強めて多くの籾を落とすことで選別ロスが少なくなる。
【0055】
図38の第三十一実施例は、扱胴11上に角フレーム60を通し、この角フレーム60に円弧カバー部40aから角カバー部40bを蝶番で取り付けて観音開きが出来るようにしている。逆に、角カバー部40bから円弧カバー部40aにしても良い。
【0056】
その他に、扱胴11の回転方向で扱胴カバー40の内壁形状を、
図39に示す第三十二実施例如く角カバー部40bから平面カバー部40cとしさらに円弧カバー部40aとする構成も考えられ、選別ロスが少なくなる。
【0057】
また、円弧カバー部40aと角カバー部40bと平面カバー部分はボルトで連結して、部分的に交換可能にすると良い。
【0058】
扱室10で脱穀処理された排桿は、扱胴11によって後方に搬送された後、扱室10の排桿口10Dから外部に排出される。なお、
図6の円弧状の矢印は、扱胴11の回転方向を示しており、背面視において、扱胴11は反時計方向に回転している。
【0059】
扱室10の上部には、内面に複数の送塵ガイド42が並設された扱胴カバー40が設けられている。なお、後方への穀稈の搬送を効率的に行うために、回転レバー46を揺動させることによって送塵ガイド42の傾斜角度を変更することができる。
【0060】
各送塵ガイド42は、送塵ガイド42の幅方向の略中心に設けられた支軸43に回転自在に支持されており、各送塵ガイド42の左側上部は、前後方向に向かって延在している連結レバー44によって相互に連結されている。連結レバー44の前部は、軸45の下部に溶接等によって固着され、軸45は、扱胴カバー40の外面に設けられた支持部材47に回転自在に支持され、軸45の上部には、連結レバー44に対して略直交方向に延在する回転レバー46が溶接等によって固着されている。なお、後方への搬送される穀稈の押圧によって送塵ガイド42の傾斜角度の変動を防止するために、支軸43は、扱胴11の回転方向側に配置するのが好適である。
【0061】
(扱胴)
次に、扱胴11について説明する。扱胴11は、
図5に示すように、扱胴軸12の前端部に溶接等によって固着された前部支持部材13と、扱胴軸12の前側部に固着された中間部支持部材14と、扱胴軸12の後端部に固着された後部支持部材15と、前部の円錐台状の取込み螺旋部16と、後部の筒部17を備えて構成されている。
【0062】
取込み螺旋部16の外周面には、供給された穀稈を後方に搬送するために、後側に向かって傾斜した搬送螺旋16Aが設けられ、搬送螺旋16Aの下部には、搬送螺旋16Aの剛性を高めるために、周方向に所定の間隔をもって略三角形のリブ16Bが設けられている。また、取込み螺旋部16の終端部は、筒部17の前端部に溶接等によって固着されている。
【0063】
筒部17の外周面には、前後方向に複数の第1扱歯18Aが溶接等によって固着された鋼材等からなる略板状の第1プレート18と、前後方向に複数の第2扱歯19Aが固着された鋼材等からなる略板状の第2プレート19が周方向に60度の間隔を持って交互に周設されている。なお、第1扱歯18Aが立設された第1プレート18と、第2扱歯19Aが立設された第2プレート19を周方向に45度の間隔を持って交互に周設することもできる。
【0064】
筒部17の外周面に隣接して取付けられた第1プレート18の第1扱歯18Aの間隔と、第2プレート19の第2扱歯19Aの間隔は、供給された穀稈の扱歯18A、19Aへの絡みつきを防止し、脱穀性能を高め、後方への穀稈の搬送を効率的に行うために、第2扱歯19Aの間隔を、第1扱歯18Aの間隔に対して2倍の間隔とし、第1扱歯18Aと第2扱歯19Aの位相を1/2位相(1/2間隔)相違させて、側面視において、第1扱歯18Aと第2扱歯19Aが相互に重ならないようにしている。なお、第2扱歯19Aの間隔を、第1扱歯18Aの間隔に対して3倍、4倍の間隔とすることもできる。
【0065】
扱歯18A、19Aは、供給された穀稈の絡みつきによる脱穀性能の低下を防止するために、円柱状に形成するのが好適である。また、扱歯18A、19Aは、
図6に示すように、扱胴軸12から離れるほど扱胴11の回転方向上手側に位置するように約10度傾斜させた後退角を持ってそれぞれプレート18、19に固着されている。なお、扱胴11の前側部で脱穀性能を高め、扱胴11の後側部で穀稈の搬送性能を高めるためには、プレート18、19の中間部支持部材14よりも前側に位置する部位に固着された扱歯18A、19Aの後退角を小さくし、プレート18、19の中間部支持部材14より後側に位置する部位に固着された扱歯18A、19Aの後退角を大きくするのが好適である。
【0066】
(選別室)
扱室10の下側には、扱室10から漏下する脱穀処理物を穀粒とそれ以外の藁屑等とに選別するための選別室20が設けられている。選別室20の上部には揺動選別装置21が設けられ、選別室20の下部には揺動選別装置21に空気を送風する唐箕25と、揺動選別装置21から漏下する穀粒を回収する1番受樋28と、揺動選別装置21から漏下する枝梗等が付着した穀粒を回収する2番受樋29とが、前側から後側に向かって設けられている。なお、1番受樋28で回収された穀粒はグレンタンク5に移送され、2番受樋29で回収された穀粒等は扱胴11の前部に移送された後、再び扱胴11によって脱穀される。
【0067】
揺動選別装置21は、唐箕25の上側に配置された移送棚22と、移送棚22の下流側に配置されたシーブ23と、さらにシーブ23の下流側に配置されたストローラック24を揺動枠32に備えて構成されている。
【0068】
移送棚22は、扱室10から漏下する穀粒を下流側に配置されたシーブ23に移送できればよく、移送棚22の後部を後下がりに傾斜させたり、移送棚22の上面に突起や凹凸を設けたりすることができる。
【0069】
シーブ23は、移送棚22から移送された穀粒又は扱室10から直接漏下する穀粒と藁屑等の異物とを選別する篩であり、下流側が高くなるように傾斜した薄い板状体からなる固定シーブ部材を揺動選別装置21の揺動方向に所定の間隔を空けて平行に複数並設したものである。シーブ23は左右シーブ側枠23L,Rの間で各シーブ片の間隔を調整固定しているので、揺動枠32と左右シーブ側枠23L,Rの間で左右シーブ側枠23L,Rのすぐ下側に緩衝ゴム34を介在している。緩衝ゴム34は左右シーブ側枠23L,Rの前後中央、或いは前側と中央の二箇所、又は前中後の三箇所に設けると良い。緩衝ゴム34には溝を成形し、溝に左右シーブ側枠23L,Rの板を嵌め込んだり、緩衝ゴムを瞬間接着剤で左右シーブ側枠23L,Rに張り付けたり、左右シーブ側枠23L,Rの取付ネジ33の頭部に緩衝ゴム34を位置して設ける。
【0070】
ストローラック24は、シーブ23から漏下しなかった比較的大きな藁屑中から枝梗等が付着した穀粒等を篩い選別する篩である。
【0071】
唐箕25の送風口は、風割27によって上側風路26Aと下側風路26Bとに区画されている。また、1番受樋28の内部には、グレンタンク5に連通する螺旋コンベア式の1番螺旋軸28Aが配置され、2番受樋29の内部には、扱胴11の前部に連通する螺旋コンベア式の2番螺旋軸29Aが配置されている。
【0072】
(切断処理室)
選別室20の後側には、扱室10の排桿口10Dから排出される排桿や、選別室20から排出される排桿屑類等を切断する切断処理室50が設けられている。切断処理室50には、中央部に扱室10から排出される排桿等を切断する回転刃51と、前下部に回転刃51と対抗して設ける起立・倒伏可能な受刃(送り受刃ともいう)52と、受刃52の前後側に排桿等の滞留を防止する排桿ガイド53を備えて構成されている。
【0073】
回転刃51は、切断処理室50に横架した回転軸55に円周方向四等配した直刃で、回転軸55の外周一部が扱室10の排桿口10Dの後板10Cよりも前に入り込む位置として、回転刃51が下向きの軌跡を描く範囲に排桿を送り受刃52との間で切断する。また、回転軸55の軸心位置は、揺動選別装置21の後端より低く、選別室20のストローラック24後端よりも高い位置としている。また、下部に設ける排桿ガイド53は、回転軸55の筒外周より前側から回転刃51の下端よりも後まで設けている。
【0074】
また、扱室10内の左側壁内には回転軸55の軸心位置より前側から下方に向けて傾斜した側排桿ガイド56を設けて、扱胴11で送り出される排桿を回転刃51の回転域に送るようにしている。側排桿ガイド56は扱室10の補強も兼ねている。
【0075】
(排出室)
切断処理室50の後側には、切断処理室50で受刃52を起立して切断された排桿や、受刃52を倒伏して非切断された排桿を外部に拡散して排出する排出室70が設けられている。排出室70は、切断処理室50から排出された排桿を拡散する拡散ガイド73が装着された前側排出室71と、前側排出室71の後部に装着された後側排出室72を備えて構成されている。
【符号の説明】
【0076】
10 扱室
10D 排桿口
11 扱胴
20 選別室
30 扱網
40 扱室カバー
40a 円弧カバー部
40b 角カバー部