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特開2022-156489箱体受渡機構、および箱体受渡システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156489
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】箱体受渡機構、および箱体受渡システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/57 20060101AFI20221006BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B65G47/57 A
B65G47/52 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060209
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近松 裕輝
【テーマコード(参考)】
3F044
【Fターム(参考)】
3F044AA11
3F044AB13
3F044AB29
3F044CE07
3F044CF07
(57)【要約】
【課題】搬送車に高い位置精度を求めることなく、搬送車と載置台との間で箱体を簡便に受け渡しする
【解決手段】搬送車50と載置台40,60のいずれか一方は、受け渡し位置に向けて下傾する載置部を有する送渡し路Cと、規制体10と、を備え、他方は、受取り路Cを備える。規制体10は、回動軸33と、回動軸33から延び出した本体部31と、本体部31と逆方向に延び出した被係止部32と、を有する規制部材30と、被係止部32を係止することができる係止部材21と、を備え、搬送車50と載置台40,60とが離れているときは、係止部材21が被係止部32を係止することで、本体部31が載置部より上方に突出する規制姿勢で規制部材30を保持し、搬送車50と載置台40,60とが相対的に近づくことで、係止部材21が変位されて被係止部32から係脱し、規制部材30の回転を許容する構成を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体を搬送する搬送車と、前記箱体を載置可能な載置台との間で、前記箱体の受け渡しを行うための箱体受渡機構であって、
前記搬送車と前記載置台のいずれか一方は、
前記箱体が載置されるとともに、前記箱体の受け渡しを行う受け渡し位置に向けて下傾する載置部を有する送渡し路と、
前記受け渡し位置と前記載置部との間に備えられ、前記載置部に載置された前記箱体が前記受け渡し位置に向けて移動することを規制する規制体と、
を備え、
前記搬送車と前記載置台の他方は、前記送渡し路から前記箱体を受け取る受取り路を備え、
前記規制体は、
回動軸と、前記回動軸から延び出して前記箱体の移動を規制する本体部と、前記本体部と逆方向に延び出した被係止部と、を有する規制部材と、
前記規制部材の前記被係止部を係止することができる係止部材と、
を備え、
前記搬送車と前記載置台とが相対的に離れているときは、前記係止部材が前記被係止部を係止することで、前記本体部が前記載置部より上方に突出する規制姿勢で前記規制部材を保持するとともに、
前記送渡し路と前記受取り路とが前記規制体を介して連続するように前記搬送車と前記載置台とが相対的に近づくことで、前記係止部材が変位されて前記被係止部から係脱し、前記規制部材の回転を許容する構成を備えている、箱体受渡機構。
【請求項2】
前記規制部材は、重心が前記本体部に位置するものとされ、
前記係止部材は、前記規制部材を、前記規制姿勢において前記重心が前記回動軸より前記受け取り路側に位置する状態で保持する請求項1に記載の箱体受渡機構。
【請求項3】
前記送渡し路は帯状をなし、前記受取り路に向かう方向を第1方向、その反対を第2方向とするとき、
前記被係止部は、前記規制部材が前記規制姿勢にあるときに先端から前記第1方向に向けて延び出す延出部を備えており、
前記係止部材は、前記延出部の下面に沿う係止面を備えるとともに、前記送渡し路の延びる方向に沿って変位可能とされており、
前記搬送車と前記載置台とが相対的に離れているときは、前記係止部材が前記被係止部を前記係止面によって下方から係止することで、前記規制部材が前記規制姿勢となるように前記規制部材を保持しており、
前記送渡し路と前記受取り路とが前記規制体を介して連続するように前記搬送車と前記載置台とが相対的に近づくことで、前記係止部材は前記第2方向に向けて変位されて、前記係止部材が前記被係止部から係脱する構成を備えている、請求項1または2に記載の箱体受渡機構。
【請求項4】
前記係止部材は、
前記係止面の前記第1方向の側に、前記送渡し路に沿って延びる長孔を備えており、前記規制体は、前記係止部材が前記第2方向に向けて変位された場合に、前記被係止部の先端が、前記長孔上に位置することで、前記係止部材の回動を許容する、請求項3に記載の箱体受渡機構。
【請求項5】
前記係止部材と前記規制部材とを支持するベース部を備え、
前記係止部材と前記ベース部との間には、前記係止部材を前記第1方向に向けて付勢する付勢部が備えられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の箱体受渡機構。
【請求項6】
前記係止部材は、前記ベース部に対して前記第2方向の側から係止することで、前記係止部材が前記第1方向へ移動することを規制する第1係止部を備えている、請求項5に記載の箱体受渡機構。
【請求項7】
前記係止部材は、前記ベース部に対して前記第1方向の側から係止することで、前記係止部材が前記第2方向へ移動することを規制する第2係止部を備えている、請求項5または6に記載の箱体受渡機構。
【請求項8】
前記送渡し路は帯状をなし、前記受取り路に向かう方向を第1方向、その反対を第2方向とするとき、
前記被係止部は、前記回動軸から前記本体部とは反対の方向に延び出すとともに、
前記係止部材は、前記規制姿勢にあるときに前記被係止部に対して前記第2方向の側から前記被係止部に係止する係止面を有しており、
前記搬送車と前記載置台とが相対的に離れているときは、前記本体部が前記規制姿勢となるように前記係止部材が係止面によって前記被係止部を係止しており、
前記送渡し路と前記受取り路とが前記規制体を介して連続するように前記搬送車と前記載置台とが相対的に近づくことで、前記係止部材は前記第2方向に向けて変位されて、前記係止部材が前記被係止部から係脱する構成を備えている、請求項1または2に記載の箱体受渡機構。
【請求項9】
前記送渡し路と前記受取り路とはそれぞれ、前記載置部としての複数の回転ローラーを備え、複数の前記回転ローラーのうちのいずれかに前記箱体が載置されることで当該箱体の自重によって当該回転ローラーが回転し、当該箱体を前記受け渡し位置に向けて搬送するローラーコンベアによって構成されている、請求項8に記載の箱体受渡機構。
【請求項10】
前記搬送車と前記載置台のいずれか一方は第1のフレームを備え、前記搬送車と前記載置台の他方は第2のフレームを備え、
前記第1のフレームには、上方において、一方の端部に向けて下傾する前記送渡し路と、下方において、前記一方とは逆の他方の端部に向けて下傾する前記受取り路と、が備えられ、
前記第2のフレームには、上方において、一方の端部に向けて下傾する前記受取り路と、下方において、前記一方とは逆の他方の端部に向けて下傾する前記送渡し路と、が備えられ、
前記載置台に対して前記搬送車が近づくことで、前記第1のフレームの前記送渡し路と前記第2のフレームの前記受取り路とが連続し、前記第2のフレームの前記送渡し路と前記第3のフレームの前記受取り路とが連続するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の箱体受渡機構。
【請求項11】
第1載置台と第2載置台との間で搬送車を介して箱体を受渡しする箱体受渡システムであって、
前記第1載置台と前記搬送車との間、および、前記搬送車と前記第2載置台との間には、請求項1~10のいずれか1項に記載の箱体受渡機構が備えられ、
前記第1載置台は、前記箱体受渡機構における送渡し路を備えるとともに、
前記第2載置台は、前記箱体受渡機構における受取り路を備え、
前記搬送車は、前記第1載置台に備えられる前記送渡し路に対する受取り路として機能するとともに、前記第2載置台に備えられる前記受取り路に対する送渡し路となる第1の搬送路を備えている、箱体受渡システム。
【請求項12】
前記第1載置台は、前記箱体受渡機構における受取り路を備えるとともに、
前記第2載置台は、前記箱体受渡機構における送渡し路を備え、
前記搬送車は、前記第1載置台に備えられる前記受取り路に対する送渡し路として機能するとともに、前記第2載置台に備えられる前記送渡し路に対する受取り路となる第2の搬送路を備えている、請求項11に記載の箱体受渡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示される技術は、箱体受渡機構、および箱体受渡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工場や物流倉庫等では、作業の効率化と自動化とを支援する自動搬送車(Automated Guided Vehicle:AGV)を利用して部品を搬送することが行われている。このAGVは、例えば、レーザ等の信号や、ラインテープ、ランドマーク等を誘導指標としたコンピュータ制御によって、あるいは、自己位置推定と環境地図作成とを同時に実行するSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)等の自律制御によって、予め定められたステーション間を走行する。ステーションでは、AGVとの間で、搬送対象となる物品を自動で受け渡しする。AGVとの間で物品を受け渡しする方法としては、水平方向に敷設された搬送コンベア上を何らかの動力によって物品を移動させる手法が広く一般に採用されている。
【0003】
その一方で、物品の自重を利用して、エアや電気等の動力手段を用いることなく物品をAGVとの間で受け渡しする手法も採用されている。例えば、特許文献1には、運搬台車とステーションとにそれぞれ、ローラーコンベアを連続して下傾するように設置し、このローラーコンベアに載置された物品が自重で上流側から下流側へ移動することによって、荷物の受け渡しを行うようにした搬送ライン装置が開示されている。この搬送ライン装置では、物品受渡の待機時には、板片状のストッパ手段によって物品の下降が規制され、運搬台車がステーションに到着したときにストッパ手段による規制が解除されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-151997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のストッパ手段は、棒状の伝達部の一端に接続されており、AGVのステーションへの到着と出発とに応じて、伝達部の押し込みと押し込み解除とがなされる。そして、ストッパ手段は、このような伝達部の移動に対応して、規制位置と解除位置との間が変位される構成となっている。しかしながら、このような搬送ライン装置によると、AGVによって移動される伝達部の移動量が不足すると、ストッパ手段の変位量も不足してしまい、例えばAGVがステーションに到着しても、物品の移動規制が解除されず、物品の受渡に支障をきたす場合があった。そのため、AGVによる伝達部の移動量、換言すれば、AGVの停止位置等については、より高精度での制御が求められる。
【0006】
ここに開示される技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、搬送車に高い位置精度を求めることなく、搬送車と載置台との間で箱体を簡便に受け渡しすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本技術は、箱体を搬送する搬送車と、前記箱体を載置可能な載置台との間で、前記箱体の受け渡しを行うための箱体受渡機構を提供する。この箱体受渡機構において、前記搬送車と前記載置台のいずれか一方は、前記箱体が載置されるとともに、前記箱体の受け渡しを行う受け渡し位置に向けて下傾する載置部を有する送渡し路と、前記受け渡し位置と前記載置部との間に備えられ、前記載置部に載置された前記箱体が前記受け渡し位置に向けて移動することを規制する規制体と、を備える。前記搬送車と前記載置台の他方は、前記送渡し路から前記箱体を受け取る受取り路を備える。前記規制体は、回動軸と、前記回動軸から延び出して前記箱体の移動を規制する本体部と、前記本体部と逆方向に延び出した被係止部と、を有する規制部材と、前記規制部材の前記被係止部を係止することができる係止部材と、を備え、前記搬送車と前記載置台とが相対的に離れているときは、前記係止部材が前記被係止部を係止することで、前記本体部が前記載置部より上方に突出する規制姿勢で前記規制部材を保持するとともに、前記送渡し路と前記受取り路とが前記規制体を介して連続するように前記搬送車と前記載置台とが相対的に近づくことで、前記係止部材が変位されて前記被係止部から係脱し、前記規制部材の回転を許容する構成を備えている。
【0008】
上記構成によると、搬送車が載置台から離れているときは、係止部材によって規制部材が規制姿勢で保持されているものの、送渡し路と受取り路とが連続するように搬送車が載置台に近づくことで、係止部材が変位されて、規制部材の回転が許容され、箱体の移動規制も解除される。このとき、規制部材が箱体の移動規制を解除するための動作と、係止部材の変位量との間には、線形的な対応関係がみられない。これにより、係止部材を適切に変位させるために搬送車に高い位置精度を求めることなく、箱体の受渡を好適に行うことができる。
【0009】
本技術の好適な一態様において、前記規制部材は、重心が前記本体部に位置するものとされ、前記係止部材は、前記規制部材を、前記規制姿勢において前記重心が前記回動軸より前記受け取り路側に位置する状態で保持することを特徴とする。これにより、係止部材が規制部材から係脱すると、規制部材が自重によって回動し(倒れ)、本体部が載置部の上方から退避する。このことによって、箱体の受取り路への移動をよりスムーズに行うことができる。
【0010】
本技術の好適な一態様において、前記送渡し路は帯状をなし、前記受取り路に向かう方向を第1方向、その反対を第2方向とするとき、前記被係止部は、前記規制部材が前記規制姿勢にあるときに先端から前記第1方向に向けて延び出す延出部を備えており、前記係止部材は、前記延出部の下面に沿う係止面を備えるとともに、前記送渡し路の延びる方向に沿って変位可能とされており、前記搬送車と前記載置台とが相対的に離れているときは、前記係止部材が前記被係止部を前記係止面によって下方から係止することで、前記規制部材が前記規制姿勢となるように前記規制部材を保持しており、前記送渡し路と前記受取り路とが前記規制体を介して連続するように前記搬送車と前記載置台とが相対的に近づくことで、前記係止部材は前記第2方向に向けて変位されて、前記係止部材が前記被係止部から係脱する構成を備えている。上記構成によると、係止部材を送渡し路に沿って移動させることで、被係止部の係止と係脱とを行うことができる。これにより、規制体の構造を簡潔なものとすることができる。
【0011】
本技術の好適な一態様において、前記係止部材は、前記係止面の前記第1方向の側に、前記送渡し路に沿って延びる長孔を備えており、前記規制体は、前記係止部材が前記第2方向に向けて変位された場合に、前記被係止部の先端が、前記長孔上に位置することで、前記係止部材の回動を許容することを特徴とする。上記構成によると、係止部材を送渡し路に沿って移動させることで、被係止部の係止と係脱とを行うことができる。上記構成によると、簡単な構造によって係止部材を実現することができる。また、係止部材の長孔の周縁に被係止部を保持する部分を広く確保することができ、例えば係止部材の強度を確保することができる。
【0012】
本技術の好適な一態様において、前記係止部材と前記規制部材とを支持するベース部を備え、前記係止部材と前記ベース部との間には、前記係止部材を前記第1方向に向けて付勢する付勢部が備えられている。上記構成によると、係止部材は、自然状態において、付勢部によって被係止部を係止する係止位置に留まるように付勢される。また、係止部材は、搬送車による作用によって付勢力に抗い変位することで、被係止部と係脱するものの、搬送車からの作用がなくなると、付勢部による付勢力によって再び係止位置に留まるように付勢される。これにより、箱体の移動の規制と解除とを簡便に切り替えることができる。
【0013】
本技術の好適な一態様において、前記係止部材は、前記ベース部に対して前記第2方向の側から係止することで、前記係止部材が前記第1方向へ移動することを規制する第1係止部を備えている。上記構成によると、係止部材の第1方向への変位を、第1係止部によって適切に規制することができる。
【0014】
本技術の好適な一態様において、前記係止部材は、前記ベース部に対して前記第1方向の側から係止することで、前記係止部材が前記第2方向へ移動することを規制する第2係止部を備えている。上記構成によると、係止部材の第2方向への変位を、第2係止部によって適切に規制することができる。
【0015】
本技術の好適な一態様において、前記送渡し路は帯状をなし、前記受取り路に向かう方向を第1方向、その反対を第2方向とするとき、前記被係止部は、前記回動軸から前記本体部とは反対の方向に延び出すとともに、前記係止部材は、前記本体部が前記規制姿勢にあるときに前記被係止部に対して前記第2方向の側から前記被係止部に係止する係止面を有しており、前記搬送車と前記載置台とが相対的に離れているときは、前記本体部が前記規制姿勢となるように前記係止部材が係止面によって前記被係止部を係止しており、前記送渡し路と前記受取り路とが前記規制体を介して連続するように前記搬送車と前記載置台とが相対的に近づくことで、前記係止部材は前記第2方向に向けて変位されて、前記係止部材が前記被係止部から係脱する構成を備えている。上記構成によると、規制部材を全体として平板状のものとすることができ、規制部材を簡単な構成で構築することができる。
【0016】
本技術の好適な一態様において、前記送渡し路と前記受取り路とはそれぞれ、前記載置部としての複数の回転ローラーを備え、複数の前記回転ローラーのうちのいずれかに前記箱体が載置されることで当該箱体の自重によって当該回転ローラーが回転し、当該箱体を前記受け渡し位置に向けて搬送するローラーコンベアによって構成されている。上記構成によると、送渡し路および受取り路に載置された箱体が、自重によって容易に前進することができる。これにより、重力のみを利用して、よりスムーズな箱体の受渡しが可能とされる。
【0017】
本技術の好適な一態様において、前記搬送車と前記載置台のいずれか一方は第1のフレームを備え、前記搬送車と前記載置台の他方は第2のフレームを備え、前記第1のフレームには、上方において、一方の端部に向けて下傾する前記送渡し路と、下方において、前記一方とは逆の他方の端部に向けて下傾する前記受取り路と、が備えられ、前記第2のフレームには、上方において、一方の端部に向けて下傾する前記受取り路と、下方において、前記一方とは逆の他方の端部に向けて下傾する前記送渡し路と、が備えられ、前記載置台に対して前記搬送車が近づくことで、前記第1のフレームの前記送渡し路と前記第2のフレームの前記受取り路とが連続し、前記第2のフレームの前記送渡し路と前記第3のフレームの前記受取り路とが連続するように構成されている。上記構成によると、搬送車と載置台との間で、箱体の相互の受け渡しが可能とされる。
【0018】
他の側面において、本技術は、第1載置台と第2載置台との間で搬送車を介して箱体を受渡しする箱体受渡システムを提供する。この箱体受渡システムは、前記第1載置台と前記搬送車との間、および、前記搬送車と前記第2載置台との間には、上記のいずれかの箱体受渡機構が備えられ、前記第1載置台は、前記箱体受渡機構における送渡し路を備えるとともに、前記第2載置台は、前記箱体受渡機構における受取り路を備え、前記搬送車は、前記第1載置台に備えられる前記送渡し路に対する受取り路として機能するとともに、前記第2載置台に備えられる前記受取り路に対する送渡し路となる第1の搬送路を備えている。このような構成によると、搬送車を介して、第1載置台から第2載置台へ簡便かつ円滑に箱体を渡すことができる。
【0019】
本技術の好適な一態様において、前記第1載置台は、前記箱体受渡機構における受取り路を備えるとともに、前記第2載置台は、前記箱体受渡機構における送渡し路を備え、前記搬送車は、前記第1載置台に備えられる前記受取り路に対する送渡し路として機能するとともに、前記第2載置台に備えられる前記送渡し路に対する受取り路となる第2の搬送路を備えている。このような構成によると、搬送車を介して、第1載置台と第2載置台との間で、箱体のより簡便かつ円滑に箱体の受け渡しを行うことができる。このような構成によると、搬送車を介して、第1載置台から第2載置台へ、また、第2載置台から第1載置台へ、同時に箱体の送り渡しを行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
ここに開示される技術によれば、搬送車に高い位置精度を求めることなく、搬送車と載置台との間で箱体を簡便に受け渡しすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態に係る箱体受渡システムを採用した組立工場の平面図
図2】箱体受渡システムにおける第1ステーションに箱体受渡車両を移動させたときの側面図
図3】箱体受渡システムにおける第2ステーションに箱体受渡車両を移動させたときの側面図
図4】箱体受渡システムにおける搬送経路を省略したときの側面図
図5】箱体受渡システムにストッパを適用したときの規制状態における平面図
図6】一実施形態に係るストッパの斜視図
図7】規制状態におけるストッパの平面図
図8】規制状態におけるストッパの正面図
図9】規制状態におけるストッパの側面図
図10】規制状態におけるストッパの側断面図
図11】箱体受渡システムに図5のストッパを適用したときの解除状態における平面図
図12】解除状態におけるストッパの平面図
図13】解除状態におけるストッパの正面図
図14】解除状態におけるストッパの側面図
図15】解除状態におけるストッパの側断面図
図16】解除状態から規制状態に復帰するときのストッパの側断面図
図17】スライド部の移動と長孔の寸法とに関連を示す模式図
図18】他の実施形態に係るストッパの斜視図
図19図18のストッパの規制状態における平面図
図20図18のストッパの解除状態における平面図
図21】他の実施形態に係る規制状態におけるストッパの断面図
図22】他の実施形態に係る解除状態におけるストッパの断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
≪実施形態1≫
以下、図1から図17を参照しつつ、実施形態1に係る箱体受渡システム1について説明する。なお、各図に示した符号N1,N2,US,DS,U,Dはそれぞれ、箱体の搬送方向に沿う第1方向,第2方向、搬送方向に沿う上流側,下流側、鉛直方向の上,下を表す。第1方向N1および第2方向N2は、搬送経路の傾斜によって、上流側USとなったり下流側DSとなったりする場合がある。なお、搬送経路に直交する方向を、幅方向という場合がある。
【0023】
〔箱体受渡システムの概略〕
図1は、箱体受渡システム1を採用したエリアの平面図である。箱体受渡システム1は、例えば、自動車用部品組立工場等に設置されて、自動車用部品が収容されている部品箱等の箱体Wを、部品を保管する保管エリアAから、部品を組立てるための生産ライン等が設置された組立エリアBに、箱体受渡車両50によって搬送するためのシステムである。また、本実施形態の箱体受渡システム1は、部品を取り出した後の空の部品箱等についても、箱体受渡車両50によって、組立エリアBから保管エリアAに搬送することができる。
【0024】
箱体受渡システム1は、箱体受渡車両50、第1コンベア装置40(載置台,第1載置台の一例)、および第2コンベア装置60(載置台,第2載置台の一例)を備えている。保管エリアAには、箱体受渡車両50と第1コンベア装置40との間の箱体Wの受渡しを行うための第1ステーションS1が設けられており、第1コンベア装置40は、第1ステーションS1の所定の位置に設置されている。箱体受渡車両50は、部品が収容されている部品箱等の箱体Wを第1コンベア装置40から受け取ったり、空の部品箱等の箱体Wを第1コンベア装置40に受け渡したりするために、第1ステーションS1に停車する。組立エリアBには、箱体受渡車両50と第2コンベア装置60との間の箱体Wの受け渡しを行うための第2ステーションS2が設けられており、第2コンベア装置60は、第2ステーションS2の所定の位置に設置されている。箱体受渡車両50は、部品が収容されている部品箱等の箱体Wを第2コンベア装置60に受け渡したり、空の部品箱等の箱体Wを第2コンベア装置60から受け取ったりするために、第2ステーションS2に停車する。
【0025】
図1には、第1ステーションS1および第2ステーションS2が2つずつ設けられているが、第1ステーションS1および第2ステーションS2の数はこれに限定されない。第1ステーションS1および第2ステーションS2の数は、互いに独立して、1つであってもよいし、また、3つ以上であってよい。
【0026】
図2図4において、紙面の左側は、箱体受渡システム1における第1方向N1であり、箱体の搬送経路に沿って第1ステーションS1から第2ステーションS2に向かう方向である。紙面の右側は、第1方向N1とは反対側の第2方向N2であり、箱体の搬送経路に沿って第2ステーションS2から第1ステーションS1に向かう方向である。図2および図3はそれぞれ、第1ステーションS1および第2ステーションS2において、箱体受渡車両50が、第1コンベア装置40および第2コンベア装置60に対し、搬送経路に沿って近接している状態を示した図である。図4は、搬送経路に沿って第1コンベア装置40、箱体受渡車両50、および第2コンベア装置60を並べるとともに、搬送経路を省略して示した図である。
【0027】
まず、箱体受渡システム1における箱体Wのおおまかな移動について説明する。第1コンベア装置40から第2コンベア装置60に箱体Wを搬送する場合は、第1方向N1が搬送方向となる。箱体Wは、矢印X1,X2,X3に示すように、上コンベア42,53,62の上を、それ自体が受ける重力(自重)によって、第1方向N1(すなわち、下流側)に向けて順に移動する。また、第2コンベア装置60から第1コンベア装置40に箱体Wを搬送する場合は、第2方向N2が搬送方向となる。箱体Wは、矢印X4,X5,X6に示すように、下コンベア43,54,63の上を、それ自体が受ける重力(自重)によって、第2方向N2(すなわち、下流側)に向けて順次移動する。
【0028】
ここで、箱体受渡車両50は、第1ステーションS1と第2ステーションS2との間で箱体Wを搬送する。したがって、第1コンベア装置40と箱体受渡車両50との間の箱体Wの受渡しに際しては、送り側(例えば、第1コンベア装置40)の搬送方向に沿う前方(下流側)に受け取り側(例えば、箱体受渡車両50)が近接して配されている必要がある。また、箱体受渡車両50と第2コンベア装置60との間の箱体Wの受渡しに際しても、送り側(例えば、箱体受渡車両50)の搬送方向に沿う前方(下流側)に受け取り側(例えば、第2コンベア装置60)が近接して配されている必要がある。換言すると、箱体受渡車両50が、第1ステーションS1または第2ステーションS2の所定の受渡位置に停車していない時には、箱体受渡車両50と、第1コンベア装置40または第2コンベア装置60との間で箱体Wの受渡しを実施することはできず、箱体Wを、箱体受渡車両50、第1コンベア装置40、または第2コンベア装置60に留めておく必要がある。そして箱体受渡車両50が、第1ステーションS1または第2ステーションS2の所定の受渡位置に停車すると、速やかに(例えば自動的に)、箱体の受渡しが開始されることが望まれる。そこで、箱体受渡車両50、第1コンベア装置40、および第2コンベア装置60の搬送経路の下流側の端部には、箱体Wが、重力によってさらに前方(下流側)に進むことを規制するとともに、受渡しが可能な状態において規制を解除するストッパ10が設けられている。ストッパ10は、本発明における規制体の一例である。以下、各要素について説明する。
【0029】
〔各要素の構成〕
第1コンベア装置40は、大まかには、フレーム41と、上コンベア42と、下コンベア43と、昇降装置44と、を備えている。フレーム41は、上コンベア42、下コンベア43、および昇降装置44を支持する第1コンベア装置40の躯体であり、概ね略直方体の稜線に沿って管材が組まれることで構成されている。上コンベア42および下コンベア43はいずれも、箱体Wが載置される載置部を構成するとともに、箱体Wを搬送方向に沿って移動させるための要素である。上コンベア42は、フレーム41の内側上方において、第1方向N1に向けて下傾するように、フレーム41に固定されている。また、下コンベア43は、フレーム41の内側下方において、第2方向N2に向けて下傾するように、フレーム41に固定されている。上コンベア42は送渡し路の一例であり、下コンベア43は受取り路の一例である。
【0030】
より詳細には、本例の上コンベア42および下コンベア43はそれぞれ、例えば図6に示すように、搬送方向に沿って二列に延びるローラーコンベア42A,43Aを備えている。これらのローラーコンベア42A,43Aが、搬送対象である箱体Wの幅よりも狭い所定の間隔を保ちつつ配設されている。ローラーコンベア42A,43Aはそれぞれ、円柱形状の複数のローラー42B,43Bと、断面略コの字状の長尺なコンベアフレーム部42C,43Cと、を備えている。コンベアフレーム部42C,43Cは、フレーム41のうち、搬送方向に沿う第1方向N1と第2方向N2の端部において、幅方向に沿って水平に渡される管材Fに対し、長手方向の両端が固定されている。複数のローラー42B,43Bは、それぞれのローラー軸が搬送方向と鉛直方向とに直交する姿勢で、かつ、ローラー軸周りに回転可能なように、コンベアフレーム部42C,43Cに取り付けられている。コンベアフレーム部42C,43Cの上方には、複数のローラー42B,43Bの上部が突出している。複数のローラー42B,43Bの突出部に亘って箱体Wが載置されると、箱体Wの自重によって箱体Wに接している複数のローラー42B,43Bが回転し、箱体Wが下方に送り出される。このことを繰り返しながら、箱体Wは複数のローラー42B,43Bの上を下降しながら、搬送方向(すなわち、第1方向N1下向き、または、第2方向N2下向き)に向けて移動する。以下、上コンベア42および下コンベア43について、各々のローラに上方から滑らかに接する面(換言すれば、コンベア上を搬送される箱体Wの下面が移動する面)を、便宜上、搬送面という。二列のローラーコンベア42A,43Aの上面とその間の帯状領域が、搬送面の一部とされる。上コンベア42または下コンベア43の搬送面に箱体Wを載せると、箱体Wは、自重によって、それぞれの載置面を下降する。上コンベア42の下端部E2には、箱体Wが上コンベア42から落下しないように更なる下降を規制するストッパ10が備えられている。
【0031】
昇降装置44は、箱体Wを上コンベア42の搬送面に乗せたり、下コンベア43の搬送面から箱体Wを降ろしたりするために、箱体Wを昇降させる装置である。昇降装置44は、昇降本体部41Aと、一対のガイドレール41Bと、駆動機構41Cと、を備えている。昇降本体部41Aは、箱体W(例えば部品箱)を安定して載置できる寸法の略板状をなしている。昇降本体部41Aは、一対のガイドレール41Bの間に収められ、その両端においてガイドレール41Bと係合している。一対のガイドレール41Bは、フレーム41の第2方向N2の側において、幅方向の両側に上下方向に沿って配置されている。駆動機構41Cは、昇降本体部41Aを上下方向に移動させる装置であり、その構成は特に制限されない。駆動機構41Cは、例えば錘等の重力を利用して昇降本体部41Aを移動させるものであってもよいし、電気モータ等の駆動力によって昇降本体部41Aを移動させるものであってもよい。駆動機構41Cが昇降本体部41Aを上下方向に移動させることによって、昇降本体部41Aはガイドレール41Bに案内されて、第1コンベア装置40の後方を上下方向に沿って移動できるようになっている。
【0032】
昇降本体部41Aは、上コンベア42の上端と、下コンベア43の下端と、第1コンベア装置40との間で箱体Wを乗せ降ろしする台車(図示せず)の荷台と、の高さ位置において停止できるようになっている。このことにより、台車と昇降本体部41Aとの間において箱体Wを容易に乗せ降ろしすることができるとともに、その箱体Wを昇降本体部41Aから上コンベア42の上端に容易に載せ替えることができる。また、下コンベア43の下端から昇降本体部41Aに箱体Wを容易に載せ替えることができる。
【0033】
第2コンベア装置60は、大まかには、フレーム61と、上コンベア62と、下コンベア63と、傾斜支持部64と、を備えている。フレーム61は、上コンベア62、下コンベア63、および傾斜支持部64を支持する第2コンベア装置60の躯体であり、概ね略直方体の稜線に沿って管材が組まれることで構成されている。上コンベア62および下コンベア63はいずれも、箱体Wを搬送方向に沿って移動させるための要素である。本例の上コンベア62および下コンベア63の構成については、それぞれ、第1コンベア装置40の上コンベア42および下コンベア43と概ね同じであるため、重ねての説明は省略する。上コンベア62は受取り路の一例であり、下コンベア63は送渡し路の一例である。
【0034】
上コンベア62は、フレーム61内の上方において、第1方向N1に向けて下傾するようにフレーム61(管材F)に固定されている。また、下コンベア63は、フレーム61内の下方において、第2方向N2に向けて下傾するようにフレーム61(管材F)に固定されている。このような上コンベア62または下コンベア63の搬送面に箱体Wを載せると、箱体Wは、自重によって、それぞれ搬送面上を下降しながら、第1方向N1または第2方向N2に向けて移動する。ここで、上コンベア62の下端部E6には、箱体Wとしての、上方に開口を有する部品箱を、開口をやや搬送方向前方に向けて傾斜する姿勢で支持する傾斜支持部64が備えられている。上コンベア62の下端部E6と下コンベア63の上端部E7との間には、傾斜姿勢で傾斜支持部64に支持されている部品箱の姿勢を変えて下コンベア63の搬送面に乗せ換えられるように、所定の寸法の隙間が設けられている。下コンベア63の下端部E8には、箱体Wが下コンベア63から落下しないように更なる下降を規制するストッパ10が備えられている。
【0035】
箱体受渡車両50は、搬送対象である箱体Wを、第1ステーションS1および第2ステーションS2の間で搬送する装置である。本例の箱体受渡車両50は、可動棚51と、AGV55(移動手段の一例)とを備えている。可動棚51は、大まかには、フレーム52と、上コンベア53と、下コンベア54と、を備えている。フレーム52は、上コンベア53、および下コンベア54を支持する可動棚51の躯体であり、概ね略直方体の稜線に沿って管材が組まれ、その下端に回転自在なキャスター52Aを備えることで構成されている。上コンベア53および下コンベア54はいずれも、箱体Wを搬送方向に沿って移動させるための要素である。本例の上コンベア53および下コンベア54の構成については、それぞれ、第1コンベア装置40の上コンベア42および下コンベア43と概ね同じであるため、重ねての説明は省略する。なおこの例において、上コンベア53は、上コンベア42に対する受取り路であり、上コンベア62に対する送渡し路である。また、下コンベア54は、下コンベア63に対する受取り路であり、下コンベア43に対する送渡し路である。
【0036】
上コンベア53は、フレーム52内の上方において、第1方向N1に向けて下傾するようにフレーム52(管材F)に固定されている。また、下コンベア54は、フレーム52内の下方において、第2方向N2に向けて下傾するようにフレーム52(管材F)に固定されている。このような上コンベア53または下コンベア54の上面(搬送面)に箱体Wを載せると、箱体Wは、自重によって、それぞれ搬送面の上を下降しながら、第1方向N1または第2方向N2に向けて移動する。ここで、上コンベア53の下端部E4には、箱体Wが上コンベア53から落下しないように更なる下降を規制するストッパ10が備えられている。また、下コンベア54の下端部E10には、箱体Wが下コンベア54から落下しないように更なる下降を規制するストッパ10が備えられている。
【0037】
AGV55は、搬送経路に沿って前後に移動することができ、フレーム52を搬送経路に沿って前進または後進させる。AGV55、床面に敷設されているガイドテープGTを磁気センサによって認識し、このガイドテープに誘導されながら自動的に走行することが可能ないわゆる磁気誘導式AGVである。この磁気誘導式AGVによって、箱体受渡車両50は、例えば組立工場内における第1ステーションS1と第2ステーションS2との間を自動的に行き来することが可能となっている。
【0038】
ここで、図4に示すように、上コンベア53の上端部E3および下端部E4は、第1コンベア装置40の上コンベア42の下端部E2および第2コンベア装置60の上コンベア62の上端部E5と、それぞれ概ね同じ高さとなるように管材Fの位置が調整されている。下コンベア54の上端部E9および下端部E10は、第2コンベア装置60の下コンベア63の下端部E8および第1コンベア装置40の下コンベア43の上端部E11と、それぞれ概ね同じ高さとなるように管材Fの位置が調整されている。したがって、箱体受渡車両50が第1ステーションS1の所定の位置に到着すると、上コンベア53と上コンベア42、および、下コンベア54と下コンベア43が、搬送方向に沿って滑らかに連続するようになっている。また、箱体受渡車両50が第2ステーションS2の所定の位置に到着すると、上コンベア53と上コンベア62、および、下コンベア54と下コンベア63が、搬送方向に沿って滑らかに連続するようになっている。この連続位置が、箱体受渡機構における受け渡し位置となる。
【0039】
〔ストッパの構成〕
ストッパ10は、図6図17に示すように、概して、ベース部11、付勢部12、スライド部20、および規制部材30を備えている。このストッパ10は、通常は、上コンベア42、上コンベア53、下コンベア63、および下コンベア54(以下、これらのコンベアを区別する必要がないときは、「コンベアC」と記す。例えば図5参照。)の下端部E2,E4,E8,E10(以下、これらの下端部を区別する必要がないときは、「端部E」と記す。)に設置されている。以下、コンベアCを構成する二列のローラーコンベアを「ローラーコンベアRC」と記す。第1コンベア装置40および第2コンベア装置60と、箱体受渡車両50との間には、ストッパ10が備えられることによって箱体受渡機構が構築されている。
【0040】
ベース部11は、付勢部12、スライド部20および規制部材30を支持する要素である。本例のベース部11は、板片状の右ベース部11Rと左ベース部11Lとにより構成されている。右ベース部11Rおよび左ベース部11Lはそれぞれ、二列のローラーコンベアRCの間において、互いに離間するように配されている。右ベース部11Rおよび左ベース部11Lは、固定部14を介して、その前方が管材Fに固定されている。また、右ベース部11Rおよび左ベース部11Lは、板面がコンベアCの搬送面に沿うように、二列のローラーコンベアRCの対向側面に対して、図示しない固定部材を介して固定されている。右ベース部11Rおよび左ベース部11Lの互いに近づく側(幅方向内側)の端部には、下方において互いに近づく向きに延びる支持部11S(例えば、図8参照)がそれぞれ設けられている。
【0041】
スライド部20は、本体部21(係止部材の一例)と、押込部22と、上流側係止部24(第1係止部の一例)と、下流側係止部25(第2係止部の一例)と、を備えている。本体部21は、その上面21Aにおいて後述する規制部材30の脚部32の下面に当接し、脚部32を下方から支持する要素である。本体部21は、略矩形の板片状をなし、その板面が概ね搬送面に沿うように配されている。押込部22は、本体部21の下流側(前方)の端部において、その板面が上下方向に沿うように設けられた板片状体であって、本例では、本体部21を下方に向けて曲げ加工することで設けられている。上流側係止部24は、スライド部20がベース部11に対して下流側に抜けるのを防止する要素である。本例における上流側係止部24は、本体部21の上流側(後方)の端部において、裏側に向けて突出する凸部として設けられ、支持部11Sに対して上流側から係止することができるようになっている。下流側係止部25は、棒状をなし、本体部21の上面から法線方向の上方に向けて立設されている。
【0042】
このようなスライド部20は、右ベース部11Rおよび左ベース部11Lの間において、支持部11Sによって下方から支持されている。換言すれば、スライド部20は、搬送方向に沿ってスライド可能なように、幅方向の端部においてベース部11によって支持されている。なお、上流側係止部24は、スライド部20が搬送方向の下流側(前方)に向かってスライドされたとき、上流側から支持部11Sに係止することで、ベース部11からのスライド部20の脱落を防止する抜け止め部材である。また、下流側係止部25は、スライド部20が搬送方向の上流側(後方)に向かってスライドされたとき、後述する軸部33Aに係止することで、スライド部20の上流側に向かう過剰な変位を規制する部材である。
【0043】
なお、本体部21は、搬送方向に沿う寸法がベース部11よりも大きい。また、本体部21には、搬送方向に沿って長尺な略矩形の長孔23が設けられている。本例の本体部21には、幅方向における右側と左側とに一対の長孔23が設けられている。例えば図7に示すように、長孔23の幅方向における寸法はW1であり、長孔23の搬送方向に沿う寸法はL1である。長孔23は、スライド部20をベース部11に対して最も下流側に配したときに、脚部32が長孔23の上流側に配されるように、その位置(長孔23の上流側の端部)が調整される。本体部21のうち、2つの長孔23に挟まれる部分は中央支持部26となっている。
【0044】
規制部材30は、規制部本体31(本体部の一例)と、脚部32(被係止部の一例、特に延出部に相当)と、ヒンジ部33(回動軸の一例)と、を備えている。規制部本体31は、略矩形の板片状をなし、右ベース部11Rと左ベース部11Lとの間に渡し架けられる幅を有するとともに、箱体Wの自重を受け止めることができる面積を有している。脚部32は、規制部本体31を搬送路に対して略垂直となるように支持するための要素である。脚部32は、規制部本体31に比して小さな板片状をなし、規制部本体31の先端からその板面に対して略直交するように下流側に向けて延びている。脚部32は、規制部本体31が後方を向く面にて箱体Wの自重を受けたときに、その前方側において本体部21に当接することで、規制部本体31が前方に倒れることを抑止する。本例では、規制部本体31の幅方向における両端部に一対の脚部32が設けられている。一対の脚部32は、規制部本体31に連続されており、規制部本体31の端部から延びる一対のタブ状部分を曲げ加工することで形成されている。脚部32の幅方向に沿う寸法はW2であり、脚部32の搬送方向に沿う寸法はL2である。脚部32の幅方向における位置は、長孔23の幅方向における位置と重なるようになっている。
【0045】
ヒンジ部33は、規制部本体31における脚部32と接続する側の端部を軸として規制部本体31を右ベース部11Rおよび左ベース部11Lに対して回動可能に軸支する構成を有している。本例のヒンジ部33は、軸部33Aと、軸受部33Bと、固定部33Cと、を備えている。軸部33Aは、規制部本体31の回動の軸であり、幅方向に沿って配される。軸受部33Bは、規制部本体31と脚部32との間に設けられ、軸部33Aを幅方向に沿って挿通することができる挿通孔を備えている。これに限定されるものではないが、本例の軸部33Aおよび軸受部33Bは、規制部材30が後述する規制姿勢にあるときに、その重心が軸部33Aよりも規制部本体31の側で、かつ、軸部33Aよりも前方に位置するように、規制部材30を軸支する位置が設定されている。固定部33Cは、軸部33Aを幅方向の両端において回動自在に支持する要素であり、基部33C1と、基部33C1から立ち上がる壁部33C2とからなる断面略L字型の板片によって構成される。基部33C1は、幅方向の寸法が右ベース部11Rおよび左ベース部11Lの幅方向の寸法と略等しくなるように構成されており、右ベース部11Rおよび左ベース部11Lにそれぞれ固定されている。これにより、本体部21は、固定部33Cの基部33C1と、ベース部11の支持部11Sとによって、上下方向から挟持され、その位置が固定される。また、壁部33C2は、後述する解除状態において、規制部本体31が搬送される箱体Wに干渉しないように、かつ、解除状態から規制状態への切替時に規制部本体31をより少ない力で起立させることができるように、軸部33Aの支持高さが調整されている。
【0046】
付勢部12は、ベース部11に対してスライド部20が上流側に変位したときに、スライド部20を下流側に向けて付勢する要素である。本例の付勢部12は引張ばねであり、その両端がベース部11とスライド部20とに固定されている。付勢部12は、自然状態においてスライド部20が最も下流側に配されるように、また、スライド部20との固定位置がベース部11との固定位置よりも上流側となるように、ベース部11およびスライド部20に対する取付位置が決められる。このようにすることで、スライド部20を付勢部12の弾性力に抗して上流側に変位させることができる。また、スライド部20を上流側に変位させた後に負荷を取り去ることで、スライド部20を最も下流側の位置に戻すことができる。なお、上記のとおり、スライド部20が最も下流側に配されているときに、脚部32が長孔23の上流側に配されていることで、本体部21の長孔23の後方側の部分が脚部32の下面に当接して、規制部材30が回転することを規制する。これにより、規制部本体31がスライド部20に対して立ち上がった姿勢(規制姿勢の一例)に保持される。このように規制部本体31が立ち上がった状態においては、搬送経路に載置された箱体Wが規制部本体31に進路を遮られ、重力によって搬送経路の前方に進むことが規制される。したがって、スライド部20がベース部11に対して最も下流側に配された状態を「規制状態」という。
【0047】
ここで、上記のとおり、スライド部20は、押込部22を搬送方向の上流側に向けて押込むことで、ベース部11および規制部材30に対して上流側に変位される。脚部32の幅方向に沿う寸法W2は、長孔23の幅方向における寸法W1よりも小さい。また、脚部32の搬送方向に沿う寸法L2は、長孔23の搬送方向に沿う寸法L1よりも十分に小さい。したがって、例えば図16に示すように、スライド部20の移動に伴って長孔23が上流側に移動すると、脚部32は本体部21による下方からの支持を失い、規制部本体31は自重で軸部33Aを中心に前方(下流側)に回転する。このとき、規制部本体31が中央支持部26に突き当たることで、規制部本体31は概ね本体部21に沿った姿勢(解除姿勢の一例)とされる。またこれに伴い、脚部32はその先端が長孔23に侵入する。本実施形態におけるこのような規制部本体31の回転は、規制部材30の自重によって進行するが、規制部本体31の自重に因らず、箱体Wから受ける荷重によって進行してもよい。このようなスライド部20の移動により、箱体Wの下方への移動規制が解除されて、箱体WがコンベアC上を下流側へ移する。また、このように規制部本体31が本体部21に沿った姿勢となる状態を「解除状態」という。なお、スライド部20を上流側に押込む力が取り除かれると、スライド部20は付勢部12によって下流側に戻され、長孔23の上流側の縁部によって脚部32が前方に向けて回転されることにより、解除状態から規制状態に復帰する。
【0048】
本例の箱体受渡システム1において、ストッパ10は、本体部21が搬送面に沿う姿勢で、かつ、規制状態においてストッパ10が搬送面に干渉しないように、固定部14を介して、コンベアCの下流側の端部においてフレームに取付けられる。そしてスライド部20の押込みは、箱体受渡車両50によって行われる。すなわち、箱体受渡車両50が第1コンベア装置40に近接することで、上コンベア42の下端に設けられたストッパ10と、下コンベア54の下端に設けられたストッパ10が、規制状態から解除状態に切り替わる。また、箱体受渡車両50が第1コンベア装置40から遠ざかることで、上コンベア42の下端に設けられたストッパ10と、下コンベア54の下端に設けられたストッパ10が、解除状態から規制状態に切り替わる。同様に、箱体受渡車両50が第2コンベア装置60に近接することで、上コンベア53の下端に設けられたストッパ10と、下コンベア63の下端に設けられたストッパ10が、規制状態から解除状態に切り替わる。また、箱体受渡車両50が第2コンベア装置60から遠ざかることで、上コンベア53の下端に設けられたストッパ10と、下コンベア63の下端に設けられたストッパ10が、解除状態から規制状態に切り替わる。
【0049】
このとき、例えば、規制状態において脚部32が長孔23のすぐ上流側に配されるようにしておくと、図17に示すように、解除状態への切り替えには、スライド部20を少なくとも脚部32の寸法L2だけ押込めばよい。したがって、スライド部20のより少ない移動で、ストッパ10の切り替えを行うことができる。また、長孔23は、箱体受渡車両50の停止位置の誤差を考慮して、箱体受渡車両50が本来の停止位置で停止したときの脚部32の位置に対して、搬送方向の前後に誤差ΔL1(ただし、ΔL1<L2)の分だけ少なくとも長くなるように設定することができる。つまり、長孔23の寸法は、L1=2×ΔL1+L2+α(ここで、α≧0)とすることができる。このようにすることで、箱体受渡車両50が本来の停止位置に停止できなかった場合でも、ストッパ10を規制状態から解除状態に確実に切り替えることができる。なお、必須ではないものの、長孔23をαだけ余分に長く形成しておくことで、例えば脚部32の寸法L2を様々に変化させることができ、大きさや自重の箱体Wの進行を規制するためのより大きな規制部本体31を備える規制部材30とスライド部20とを組み合わせてストッパ10を構築することができる。
【0050】
上記実施形態の箱体受渡機構は、箱体Wを搬送する箱体受渡車両50(搬送車)と、箱体Wを載置可能な第1,第2コンベア装置40,60(載置台)との間で、箱体Wの受け渡しを行うためのものである。箱体受渡車両50と第1,第2コンベア装置40,60のいずれか一方は、箱体Wが載置されるとともに、箱体Wの受け渡しを行う受け渡し位置に向けて下傾する載置部を有する上流側コンベアC(送渡し路)と、受け渡し位置と載置部との間に備えられ、載置部に載置された箱体Wが受け渡し位置に向けて移動することを規制するストッパ10(規制体)と、を備える。箱体受渡車両50と第1,第2コンベア装置40,60の他方は、上流側コンベアCから箱体Wを受け取る下流側コンベアC(受取り路)を備える。ストッパ10は、ヒンジ部33(回動軸)と、ヒンジ部33から延び出して箱体Wの移動を規制する規制部本体31(本体部)と、規制部本体31と逆方向に延び出した脚部32(被係止部)と、を有する規制部材30と、規制部材30の脚部32を係止することができるスライド部20の本体部21(係止部材)と、を備える。箱体受渡車両50と第1,第2コンベア装置40,60とが相対的に離れているときは、本体部21が脚部32を係止することで、規制部本体31が載置部より上方に突出する規制姿勢で規制部材30を保持する。上流側コンベアCと下流側コンベアCとがストッパ10を介して連続するように箱体受渡車両50と第1,第2コンベア装置40,60とが相対的に近づくことで、本体部21が変位されて脚部32から係脱し、規制部材30の回転を許容する構成を備えている。
【0051】
上記構成によると、箱体受渡車両50が第1,第2コンベア装置40,60から離れているときは、スライド部20によって規制部材30が規制姿勢で保持されているものの、上流側コンベアCと下流側コンベアCとが連続するように箱体受渡車両50が第1,第2コンベア装置40,60に近づくことで、スライド部20が変位されて、規制部材30の回転が許容され、箱体Wの移動規制も解除される。このとき、規制部材30が箱体Wの移動規制を解除するための動作と、係止部材の変位量との間には、線形的な対応関係がみられない。これにより、スライド部20を適切に変位させるために箱体受渡車両50に高い位置精度を求めることなく、箱体Wの受渡を好適に行うことができる。例えば、箱体受渡車両50の停止位置の位置制御精度を緩めた場合でも、箱体の受渡を好適に行うことができる。
【0052】
上記実施形態において、規制部材30は、重心が規制部本体31に位置するものとされ、スライド部20の本体部21は、規制部材30を、規制姿勢において重心がヒンジ部33より下流側コンベアC側に位置する状態で保持することを特徴とする。これにより、本体部21が規制部材30から係脱すると、規制部材30が自重によって回動し(倒れ)、規制部本体31が載置部の上方から退避する。このことによって、箱体Wの下流側コンベアCへの移動をよりスムーズに行うことができる。
【0053】
上記実施形態において、上流側コンベアCは帯状をなし、下流側コンベアCに向かう方向を第1方向、その反対を第2方向とするとき、規制部本体31のヒンジ部33よりも先端には、規制部材30が規制姿勢にあるときに先端から第1方向に向けて延び出す脚部32(延出部)を備えており、スライド部20の本体部21は、脚部32の下面に沿う上面21A(係止面)を備えるとともに、上流側コンベアCの延びる方向に沿って変位可能とされている。そして箱体受渡車両50と第1,第2コンベア装置40,60とが相対的に離れているときは、本体部21が脚部32を上面21Aによって下方から係止することで、規制部材30が規制姿勢となるように規制部材30を保持している。上流側コンベアCと下流側コンベアCとがストッパ10を介して連続するように箱体受渡車両50と第1,第2コンベア装置40,60とが相対的に近づくことで、本体部21は第2方向に向けて変位されて、本体部21が脚部32から係脱する構成を備えている。上記構成によると、スライド部20の本体部21を上流側コンベアCに沿って移動させることで、脚部32の係止と係脱とを行うことができる。これにより、ストッパ10の構造を簡潔なものとすることができる。
【0054】
上記実施形態において、本体部21は、上面21A(係止面)の第1方向の側に、上流側コンベアCに沿って延びる長孔23を備えており、ストッパ10は、本体部21が第2方向に向けて変位された場合に、脚部32の先端が、長孔23上に位置することで、本体部21の回動を許容することを特徴とする。上記構成によると、本体部21を上流側コンベアCに沿って移動させることで、脚部32の係止と係脱とを行うことができる。上記構成によると、簡単な構造によって本体部21を実現することができる。また、本体部21の長孔23の周縁に脚部32を保持する部分を広く確保することができ、例えば本体部21の強度を確保することができる。
【0055】
上記実施形態において、本体部21と規制部材30とを支持するベース部11を備え、本体部21とベース部11との間には、本体部21を第1方向に向けて付勢する付勢部12が備えられている。上記構成によると、本体部21は、自然状態において、付勢部12によって脚部32を係止する係止位置に留まるように付勢される。また、本体部21は、箱体受渡車両50による作用によって付勢力に抗い変位することで、脚部32と係脱するものの、箱体受渡車両50からの作用がなくなると、付勢部12による付勢力によって再び係止位置に留まるように付勢される。これにより、箱体Wの移動の規制と解除とを簡便に切り替えることができる。
【0056】
上記実施形態において、本体部21は、ベース部11に対して第2方向の側から係止することで、本体部21が第1方向へ移動することを規制する上流側係止部24(第1係止部)を備えている。上記構成によると、本体部21の第1方向への変位を、上流側係止部24によって適切に規制することができる。
【0057】
上記実施形態において、本体部21は、ベース部11に対して第1方向の側から係止することで、本体部21が第2方向へ移動することを規制する下流側係止部25(第2係止部)を備えている。上記構成によると、本体部21の第2方向への変位を、下流側係止部25によって適切に規制することができる。
【0058】
上記実施形態において、上流側コンベアCと下流側コンベアCとはそれぞれ、載置部としての複数のローラー42B,43B(回転ローラー)を備え、複数のローラー42B,43Bのうちのいずれかに箱体Wが載置されることで、箱体Wの自重によってローラー42B,43Bが回転し、箱体Wを受け渡し位置に向けて搬送するローラーコンベアRCによって構成されている。上記構成によると、上流側コンベアCおよび下流側コンベアCに載置された箱体Wが、自重によって容易に前進することができる。これにより、重力のみを利用して、よりスムーズな箱体Wの受渡しが可能とされる。
【0059】
上記実施形態において、箱体受渡車両50と第1,第2コンベア装置40,60のいずれか一方は第1のフレームを備え、箱体受渡車両50と第1,第2コンベア装置40,60の他方は第2のフレームを備え、第1のフレームには、上方において、一方の端部に向けて下傾する上流側コンベアCと、下方において、一方とは逆の他方の端部に向けて下傾する下流側コンベアCと、が備えられ、第2のフレームには、上方において、一方の端部に向けて下傾する下流側コンベアCと、下方において、一方とは逆の他方の端部に向けて下傾する上流側コンベアCと、が備えられ、第1,第2コンベア装置40,60に対して箱体受渡車両50が近づくことで、第1のフレームの上流側コンベアCと第2のフレームの下流側コンベアCとが連続し、第2のフレームの上流側コンベアCと第3のフレームの下流側コンベアCとが連続するように構成されている。上記構成によると、箱体受渡車両50と第1,第2コンベア装置40,60との間で、箱体Wの相互の受け渡しが可能とされる。
【0060】
上記実施形態において、第1コンベア装置40(第1載置台)と第2コンベア装置60(第2載置台)との間で箱体受渡車両50を介して箱体Wを受渡しする箱体受渡システム1は、第1コンベア装置40と箱体受渡車両50との間、および、箱体受渡車両50と第2コンベア装置60との間には、上記のいずれかの箱体受渡機構が備えられ、第1コンベア装置40は、箱体受渡機構における上流側コンベアCを備えるとともに、第2コンベア装置60は、箱体受渡機構における下流側コンベアCを備え、箱体受渡車両50は、第1コンベア装置40に備えられる上流側コンベアCに対する下流側コンベアCとして機能するとともに、第2コンベア装置60に備えられる下流側コンベアCに対する上流側コンベアCとなる第1の搬送路を備えている。このような構成によると、箱体受渡車両50を介して、第1コンベア装置40から第2コンベア装置60へ簡便かつ円滑に箱体Wを渡すことができる。
【0061】
上記実施形態において、第1コンベア装置40は、箱体受渡機構における下流側コンベアCを備えるとともに、第2コンベア装置60は、箱体受渡機構における上流側コンベアCを備え、箱体受渡車両50は、第1コンベア装置40に備えられる下流側コンベアCに対する上流側コンベアCとして機能するとともに、第2コンベア装置60に備えられる上流側コンベアCに対する下流側コンベアCとなる第2の搬送路を備えている。このような構成によると、箱体受渡車両50を介して、第1コンベア装置40と第2コンベア装置60との間で、より簡便かつ円滑に箱体Wの受け渡しを行うことができる。このような構成によると、箱体受渡車両50を介して、第1コンベア装置40から第2コンベア装置60へ、また、第2コンベア装置60から第1コンベア装置40へ、同時に箱体の送り渡しを行うことができる。
【0062】
≪実施形態2≫
実施形態2に係る箱体受渡機構において用いられるストッパ110について、図18図20を参照しつつ説明する。本実施形態のストッパ110において、脚部132は、規制部本体131の幅方向における中央部分に一つ設けられている。脚部132の幅方向の寸法W2’は、一対の固定部33Cの間の寸法よりもやや小さい。また、長孔123は、スライド部120の本体部121の幅方向における中央部分に一つ設けられている。長孔123の搬送方向の寸法は実施形態1と同程度であるが、幅方向の寸法W1’は、脚部132の幅方向の寸法W2’よりも大きい。そして規制部本体131の幅方向の寸法W3’は、長孔123の幅方向の寸法W1’よりも大きい。そして、下流側係止部25は、棒状をなし、本体部121の右側面から幅方向の外側に向けて立設されている。その他の構成については上記実施形態1と同様であり、同様の構成、作用および効果についての説明は省略する。
【0063】
上記構成において、脚部132は幅広に構成することができるために、剛性が高められる。その結果、箱体Wの荷重が大きいときであっても、規制状態において規制部本体131の前傾を好適に規制することができる。また、解除状態においては、規制部本体131が前方に回転し、幅方向の両端部が、スライド部120の本体部121のうち、長孔123の幅方向両側の縁部に係止される。これにより、規制部本体131は、概ね本体部21に沿った第2の姿勢となる。したがって、このようなストッパ110を用いることで、実施形態1と同様の箱体受渡機構,および箱体受渡システム等を実現することができる。
【0064】
なお、本例のスライド部120には、実施形態1における中央支持部26が存在しない。そのため、本例において下流側係止部25は、本体部121の左側方に突出し、スライド部120が後方に押し込まれることで、左ベース部11Lに対して前方から係止できるようになっている。これにより、下流側係止部125は、スライド部120が搬送方向の上流側(後方)に向かってスライドされたとき、左ベース部11Lに係止することで、スライド部120の上流側に向かう過剰な変位を規制することができる。なお、具体的には図示しないが、下流側係止部25は、本体部121の右側方に突出し、スライド部120が後方に押し込まれることで、右ベース部11Rに対して前方から係止できるようになっていてもよい。また、下流側係止部25は、本体部121のうち長孔123の幅方向の側方において、上方に向けて突出するように設けられていてもよい。
【0065】
≪実施形態3≫
実施形態3に係る箱体受渡機構において用いられるストッパ210について、図21および図22を参照しつつ説明する。本実施形態の規制部材230は、全体として略平板状をなしており、回動軸となるヒンジ部33を境として、規制部本体231と、被係止部232と、に区分けされている。規制部材230は、被係止部232がスライド部220の本体部221に近づき、かつ、本体部221の上面221Aに対して略垂直となる規制姿勢となったとき、被係止部232が本体部221に干渉しないように、ヒンジ部33によって軸支されている。また、本体部221に立設された下流側係止部225は、規制部本体231が規制姿勢から前方(下流側)に向けて回動したときに、規制部本体231を下方から支持することで、規制部材230の更なる回動を規制することができるようになっている。具体的には、下流側係止部225は、規制部材230が搬送方向に平行となるまで倒れないように、かつ、規制部本体231が箱体Wの搬送面よりも上方に突出しないように、規制部材230の姿勢を調整する。
【0066】
また、スライド部220の本体部221には、長孔が設けられておらず、本体部221の後方側において係止部材223が備えられている。本実施形態の係止部材223は、断面略L字型をなす板片より構成されており、折曲部に対して一方の小片部分が本体部221に固定され、他方の小片部分が本体部221の上面221Aと搬送方向とに対して略垂直となるように立設されている。係止部材223の他方の部分のうち、前方を向く面は、被係止部232を係止することができる係止面223Aとなっている。その他の構成については上記実施形態1と同様であり、同様の構成、作用および効果についての説明は省略する。
【0067】
上記構成において、スライド部220が搬送方向に沿って前後にスライドすると、係止部材223もスライド部220と一体的に前後に変位する。そして図21に示すように、スライド部220が最も下流側に位置するとき、規制部材230の被係止部232は、係止部材223によって上流側から係止され、規制部本体231が前方に向かうように回動することが規制される。これに対し、図22に示すように、スライド部220が最も上流側に位置するとき、係止部材223は被係止部232から係脱し、規制部本体231が前方に向かって回動することが許容される。したがって、このようなストッパ210を用いることで、実施形態1と同様の箱体受渡機構,および箱体受渡システム等を実現することができる。
【0068】
上記構成において、被係止部232は、ヒンジ部33(回動軸)から規制部本体231(本体部)とは反対の方向に延び出すとともに、スライド部220は、規制部本体231が規制姿勢にあるときに被係止部232に対して上流側(第2方向の側)から被係止部232に係止する係止面223Aを有しており、箱体受渡車両50と第1,第2コンベア装置40,60とが相対的に離れているときは、規制部本体231が規制姿勢となるようにスライド部220が係止面223Aによって被係止部232を係止しており、上流側コンベアCと下流側コンベアCとがストッパ10を介して連続するように箱体受渡車両50と第1,第2コンベア装置40,60とが相対的に近づくことで、スライド部220は上流側(第2方向)に向けて変位されて、スライド部220の係止面223Aが被係止部232から係脱する構成を備えている。上記構成によると、規制部材30を全体として平板状のものとすることができ、規制部材230を簡単な構成で構築することができる。
【0069】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0070】
(1)上記実施形態では、箱体受渡システムを自動車用部品組立工場に適用した例を示したが、箱体受渡システム、箱体受渡機構、および箱体受渡車両の適用例はこれに限定されず、例えば、物流倉庫や各種施設における箱体の仕分けやピックアップ、店舗のバックヤード等における箱体の補充等に適用してもよい。
(2)上記実施形態では、箱体Wを自重によって移動させる手段としてローラーコンベアが用いられていたが、他の実施形態においては、スライダー、ベルトコンベア,ボールローラーコンベア等の動力を備えない公知の搬送手段が利用されてもよい。
【0071】
(3)上記実施形態では、箱体受渡車両50における移動手段として、無人搬送車(AGV)が採用されていたが、移動手段はこの例に限定されない。また、AGVも、磁気誘導式AGVに限定されず、例えば、レーザ誘導式AGVや、SLAM自律制御式のAGVなどであってよい。また、箱体受渡車両50は、例えば、移動手段として車輪を備え、人力等によって駆動されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…箱体受渡システム、10,110…ストッパ、12…付勢部、20,120…スライド部、21,121…本体部、22…押込部、23,123…長孔、24…上流側係止部、25,125…下流側係止部、30…規制部、31,131…規制部本体、32,132…脚部、40…第1コンベア装置、41…フレーム、42…上コンベア、43…下コンベア、50…箱体受渡車両、52…フレーム、53…上コンベア、54…下コンベア、55…AGV、60…第2コンベア装置、61…フレーム、62…上コンベア、63…下コンベア
図1
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