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▶ 株式会社ナリス化粧品の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156500
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】睫毛用化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20221006BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20221006BHJP
   A61K 8/58 20060101ALI20221006BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/31
A61K8/58
A61Q1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060226
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】591230619
【氏名又は名称】株式会社ナリス化粧品
(72)【発明者】
【氏名】大野 利晃
(72)【発明者】
【氏名】大藤 瞳
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA122
4C083AB172
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB321
4C083AB322
4C083AB362
4C083AB381
4C083AB382
4C083AB432
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC102
4C083AC172
4C083AC262
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC792
4C083AC842
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD022
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD242
4C083AD662
4C083CC14
4C083DD23
4C083DD30
4C083DD32
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自然なロングラッシュ効果のある優れた仕上がりと、睫毛への適切な付着性に優れた睫毛用化粧料を提供する。
【解決手段】成分(A)ケイ酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウム、成分(B)炭化水素系ワックス、成分(C)揮発性炭化水素、成分(D)シリコン系油性被膜形成剤、成分(E)ゲル化剤を含有する油中水型又は油性睫毛用化粧料である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)ケイ酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウム
成分(B)炭化水素系ワックス
成分(C)揮発性炭化水素
成分(D)シリコン系油性被膜形成剤
成分(E)ゲル化剤
を含有する、
油中水型又は油性睫毛用化粧料。
【請求項2】
成分(B)が25℃における針入度が16~80である炭化水素系ワックスを含む請求項1に記載の睫毛用化粧料。
【請求項3】
成分(A)がケイ酸カルシウムである請求項1又は請求項2に記載の睫毛用化粧料。
【請求項4】
成分(A)が0.1~5質量%である請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載の睫毛用化粧料。
【請求項5】
成分(B)が4~30質量%である請求項1乃至請求項4いずれか1項に記載の睫毛用化粧料。
【請求項6】
成分(F)炭素数16以上のα-オレフィンとビニルピロリドンとの共重合体を更に含む請求項1乃至請求項5いずれか1項に記載の睫毛用化粧料。
【請求項7】
成分(A)がケイ酸カルシウムであり、成分(B)が、マイクロクリスタリンワックスである請求項1乃至請求項6いずれか1項に記載の睫毛用化粧料。
【請求項8】
繊維を実質的に配合していない請求項1乃至請求項7いずれか1項に記載の睫毛用化粧料。
【請求項9】
ロングラッシュ効果のある油中水型又は油性睫毛用化粧料を得るためのケイ酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウムの使用。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睫毛用化粧料に関し、さらに詳細には、自然なロングラッシュ効果のある優れた仕上がりを持ち、睫毛への適切な付着性に優れた睫毛用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
睫毛用化粧料に求められる効果としては、睫毛を長く見せるロングラッシュ効果、太く見せるボリューム効果、さらに上向きに湾曲させた睫毛を固定するカールキープ効果がある。これらの効果により目元をはっきり美しく見せることができる。マスクを常用する今日、睫毛用化粧料は特に需要の高い商品である。
【0003】
特にロングラッシュ効果については、かつては付け睫毛や睫毛エクステンションの流行のように不自然であっても強い効果が求められていた。ところが近年では、あくまでも自然な仕上がりの延長線上である仕上がりのための、自分の睫毛をベースとした自然なロングラッシュ効果が強く求められるようになった。
【0004】
従来、睫毛用化粧料にロングラッシュ効果を付与するには、単純に繊維を配合する方法が主であった。例えば、特許文献1では、睫毛を長くみせるためにナイロン、レーヨン等の繊維を配合する方法が開示されている。特許文献2では、ポリトリメチレンテレフタレート繊維と繊維の効果を向上させる粉体として無水ケイ酸を配合する方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、繊維によるロングラッシュ効果は睫毛の先に微細な繊維が塗布されることで睫毛を長くみせることが期待されるが、繊維を睫毛に沿ってきれいに塗布することが難しく、十分なロングラッシュ効果が得られなかった。また繊維を配合すると睫毛への繊維の付着量が調節しにくいため睫毛同士が束になることや化粧料がダマになるような不自然なロングラッシュ効果、仕上がりとなり、さらに繊維自体の重みによって十分なカールキープ効果が得られない場合があった。
【0006】
また繊維を配合しないでロングラッシュ効果を得る試みとして、高重合度ポリエチレングリコール配合することが開示されている(特許文献3)。しかしながら、高重合度ポリエチレングリコールの粘度特性によりボリュームアップ効果は期待できるものの、ロングラッシュ効果は満足がいくものではなかった。
【0007】
一方、ケイ酸カルシウムや炭酸カルシウムは固形粉末化粧料の成形性向上や使用感の調整などの目的に使用されてきた。これらの粉体は、肌に塗布した時にざらつきを感じることが多く、粉末化粧料以外の化粧料には積極的に配合されてこなかった。ましてや、睫毛化粧料のロングラッシュ効果があることは、知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9-263518号公報
【特許文献2】特開2020-55804号公報
【特許文献3】特開平11-79940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記背景に鑑み、本発明は、睫毛用化粧料に関し、自然なロングラッシュ効果のある優れた仕上がりと、睫毛への適切な付着性に優れた睫毛用化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる実情において、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、
特定のケイ酸カルシウム及び、又は炭酸カルシウムを油中水型または油性睫毛用化粧料に配合することによって上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、
成分(A)ケイ酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウム
成分(B)炭化水素系ワックス
成分(C)揮発性炭化水素
成分(D)シリコン系油性被膜形成剤
成分(E)ゲル化剤
を含有する油中水型又は油性睫毛用化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、繊維を配合しなくても、より自然なロングラッシュ効果のある優れた仕上がりを持ち、睫毛への適切な付着性に優れた油中水型または油性睫毛用化粧料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
本発明に用いられる成分(A)ケイ酸カルシウム及び、炭酸カルシウムは、金属元素のひとつであるカルシウムのオキソ酸塩類の一種である。自然界では石灰岩などに含まれており、健康に害は見られないため、建築、化粧品原料、食品添加物などに様々な用途に用いられている。
【0015】
本発明に用いられる成分(A)ケイ酸カルシウムは、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、水が任意の割合で結合した組成物である。例えば、酸化カルシウム:二酸化ケイ素:水=6:6:1の割合で結合したゾノトライト、酸化カルシウム:二酸化ケイ素:水=5:6:5の割合で結合したトバモライト、酸化カルシウム:二酸化ケイ素:水=2:3:2で結合したジャイロライトがあげられ、結合割合によりそれぞれ異なる形状に調整することが可能である。
【0016】
本発明に用いられる成分(A)炭酸カルシウムは、CaCO3で表されるカルシウムの炭酸塩である。特に化学反応により生成された炭酸カルシウムは軽質炭酸カルシウムと呼ばれ、反応条件によりそれぞれ異なる形状に調整することが可能である。
【0017】
成分(A)ケイ酸カルシウム及び、炭酸カルシウムの形状は特に限定されない。例えば、繊維状・短冊状・層状・花弁状・カードハウス状のものがあるが、睫毛への付着性の面から、粉体表面に凹凸がある多孔質であることが好ましく、花弁状の形状をしていることが特に好ましい。詳細な機構は定かではないが、ジャイロライト型ケイ酸カルシウムと無定形二酸化ケイ素からなる花弁状ケイ酸カルシウムのように花弁状等の粉体表面に凹凸があると、製剤が睫毛に引っ掛かりやすく睫毛への付着性を向上させるものと推測される。また、成分自体も絡みやすいため、ロングラッシュ効果の優れたものが得られる。
【0018】
成分(A)ケイ酸カルシウム及び、炭酸カルシウムの大きさは特に限定されないが、使用感上から望ましくは100μm以下、さらに望ましくは50μm以下である。
【0019】
ケイ酸カルシウムの市販品であればフローライトR(花弁状;平均粒子径25μm)(富田製薬社製)が挙げられる。炭酸カルシウムの市販品であれば、LDR CA(花弁状;平均粒子径13μm)(東色ピグメント社製)、DOCMINERAL(R) CC(平均粒子径3.6μm)(DOC JAPAN社製)が挙げられる。成分(A)は1種または2種以上を用いることができる。
【0020】
本発明に用いられる成分(A)ケイ酸カルシウム及び、炭酸カルシウムの含有量は特に限定されないが、睫毛用化粧料全量中の総量として0.1~5.0質量%(以下、単に「%」と示す)、好ましくは、0.3~3.0質量%であり、0.5~1.0%が更に好ましい。この範囲であれば、睫毛に塗布した時に、小さな粒子が睫毛上に乗っているようなダマが生じにくいため、睫毛同士が付着しにくく、一本一本が独立に伸長するような被膜を形成し、自然なロングラッシュ効果に優れた睫毛用化粧料が得られる。
【0021】
本発明に用いられる成分(B)が25℃における針入度が16~80である炭化水素系ワックスは、25℃で固体の状態をしており、石油由来、鉱物由来、合成品などがある。針入度は、25±0.1℃ に保ったワックスの試料に、規定の針(針の質量2.5±0.02g 、針保持具の質量47.5±0.02g 、おもりの質量50±0.05g ) が、5秒間に針入する長さを測定し、その針入距離(mm) を10倍した値を針入度とするものであり、JIS K-2235-5.4(1991年) に準じて測定した値である。
【0022】
本発明に用いられる成分(B)25℃における針入度が、16~80である炭化水素系ワックスは化粧品に通常使用されるものであれば特に制限されず使用することができる。例えば、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。具体的には、Hi-Mic-1045(針入度28~42)、EMW-0003(針入度23~53)(日本精蝋社製)、Multiwax W-835(針入度60~80)、Multiwax ML-445(針入度25~35)(Sonneborn社製)などが挙げられる。尚、各原料の針入度は各メーカーの規格の記載に従った。成分(B)は1種または2種以上を用いることができる。異なる針入度の炭化水素系ワックスを用いる場合には、融解混合後のワックスの25℃における針入度が16~80であればよい。
【0023】
本発明に用いられる成分(B)が25℃における針入度が16~80である炭化水素系ワックスの含有量は特に限定されないが、睫毛化粧料全量中4~30%であり、好ましくは6~25質量%であり、8~21%がさらに好ましい。この範囲であれば、製剤に適度な粘度を与え睫毛用化粧料の睫毛への粘着性が向上することで自然なロングラッシュ効果をさらに向上させることができる。
【0024】
本発明に用いられる成分(C)揮発性炭化水素は、低沸点(常圧における沸点260℃以下)イソパラフィン系炭化水素油が好ましく用いられる。
【0025】
低沸点イソパラフィン系炭化水素油(軽質イソパラフィン)としては、具体的には、アイソパー A、同C、同E、同G、同H、同K、同L、同M(以上、いずれもエクソン社製)、パールリーム 4(日油社製)、CREASIL ID CG(PRESPERSE EUROPE GMBH社製)等が挙げられる。本発明に用いられる成分(C)の配合量は特に限定されないが、睫毛化粧料全量中10~80%であり、好ましくは12~75質量%であり、14~70%がさらに好ましい。
【0026】
本発明に用いられる成分(D)シリコン系油性被膜形成剤は、汗、涙、皮脂等に対する抵抗性を高めたり、睫毛のカール持続性を高める効果を付与したり、他の部位(毛髪や皮膚への)2次付着(転写)を抑制する効果の向上を図ることができる。成分(D)としては、通常化粧料に被膜形成剤として配合されるものあれば、特に限定されない。例えば、トリメチルシロキシケイ酸、ポリメチルシルセスキオキサン等のシリコーン樹脂、フッ素変性シリコーン樹脂、アクリルシリコーン共重合樹脂等が挙げられるが、これら例示に限定されるものではない。
【0027】
これらの中でも特に、シリコーン系の樹脂が好ましく、中でもトリメチルシロキシケイ酸〔市販品としては、KF-7312J 、X-21-5250(ともに信越シリコーン社製)等〕やポリメチルシルセスキオキサンとしてはSILFORM FLEXIBLE FLUID(MOMENTIVE社製)を用いることができるが、これらに限定されるものではない。成分(D)は1種または2種以上を用いることができる。
【0028】
成分(D)を配合する場合、その配合量は睫毛用化粧料全量中に1~50質量% が好ましく、より好ましくは5~40質量%、特に好ましくは10~30質量%である。
【0029】
本発明に用いられる成分(E)ゲル化剤は、特に限定されるものでなく、例えば、デキストリン脂肪酸エステル、有機変性粘土鉱物等が挙げられる。
【0030】
上記デキストリン脂肪酸エステルは、デキストリンまたは還元デキストリンと高級脂肪酸とのエステルである。上記デキストリンまたは還元デキストリンの平均糖重合度は3~100、好ましくは10~50のものを用いるのが好ましい。また上記高級脂肪酸は炭素数8~24、好ましくは14~18の飽和脂肪酸を用いるのが好ましい。デキストリン脂肪酸エステルの具体例としては、パルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、パルミチン酸/ステアリン酸デキストリン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。市販品としてはレオパールKL、レオパールTL(パルミチン酸デキストリン)、レオパールTT(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸デキストリン)(いずれも千葉製粉社製)等が挙げられる。
【0031】
上記有機変性粘土鉱物は、粘土鉱物(例えばモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイトなど)の結晶層間に介在する変換性カチオンを有機極性化合物や有機カチオンで置換したものなどが挙げられる。具体的には、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト(クオタニウム-18ヘクトライト)、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト(クオタニウム-18ベントナイト)等が挙げられる。本発明に用いられる有機変性粘土鉱物は、例えばベントン38(クオタニウム-18ヘクトライト)、ベントン34(クオタニウム-18ベントナイト)(いずれもレオックス社製)等が挙げられる。
【0032】
成分(E)は1種または2種以上を用いることができる。成分(E)の配合量は、睫毛化粧料全量中に1~25質量%が好ましく、より好ましくは3~20質量%、特に好ましくは5~15質量%である。
【0033】
本発明に用いられる成分(F)炭素数16以上のα-オレフィンとビニルピロリドンとの共重合体とは、炭素原子数16以上のα-オレフィンとビニルピロリドンとから合成されるコポリマーである。化粧料に通常使用されるものであれば特に制限されず使用することができる。市販品であれば、ANTARON V-216、ANTARON V-220、ANTARON WP-660(Ashland社製)などが挙げられる。成分(F)は1種または2種以上を用いることができる。
【0034】
本発明に用いられる成分(F)炭素数16以上のα-オレフィンとビニルピロリドンとの共重合体の含有量は特に限定されないが、睫毛化粧料全量中1~10%であり、好ましくは2~9質量%であり、3~8%がさらに好ましい。
【0035】
本発明の睫毛用化粧料は、上記の成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)の他に、通常化粧料に使用される必須成分以外の油性成分、無機顔料、有機顔料及び色素等の粉体、界面活性剤、繊維、多価アルコール、水溶性高分子、水溶性皮膜形成性樹脂、保湿剤、糖類、紫外線吸収剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防湿剤等の水性成分を本発明の効果を妨げない範囲で含有することができる。
【0036】
本発明の油中水型または油性睫毛用化粧料は、液状、ゲル状、クリーム状等の性状は問わないが、油を連続相とする油中水型または油性組成物であり、水の含有量は10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、水を含有していないことが特に好ましい。
【実施例0037】
以下、本発明の睫毛用化粧料の実施例、比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0038】
実施例1~14及び比較例1~8:睫毛用化粧料
下記表1、表2に示す処方の油性睫毛用化粧料を調製し、ロングラッシュ効果、仕上がり、付着性について下記の方法により評価した。その結果も併せて表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【0042】
(製法)
a.成分(1)~(21)を100℃にて均一に加熱溶解する。
b.aに成分(22)~(30)を加え、均一に混合する。
c.bを塗布体付き容器に充填して睫毛用化粧料を得た。
【0043】
(評価方法)
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目):(評価観点)
イ.ロングラッシュ効果:睫毛が伸びているかどうか
ロ.仕上がり:塗布後、睫毛に粉のような小さな塊がなく、自然な睫毛のような仕上がりになっているかどうか
ハ. 付着性:化粧料が睫毛に均一に付着するかどうか
【0044】
判定項目
イ、ロ、ハの項目について、各試料について専門パネル5名の評価者による使用テストを行った。評価者全員が各試料を睫毛に塗布し、評価者各人が、イ、ロ、ハの各項目を評価観点について下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。
【0045】
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
【0046】
(判定基準)
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える
○ :3.5点を超え5点以下
△ :1点を超え3.5点以下
× :1点以下
【0047】
表1、表2の結果から明らかなように、本発明の実施例1~14の睫毛用化粧料は、比較例1~8の睫毛用化粧料に比べ、ロングラッシュ効果、仕上がり、付着性に優れたものであった。
一方、成分(A)の代わりに他成分の粉体を配合した比較例1~6ではロングラッシュ効果もしくは仕上がり、またはロングラッシュ効果と仕上がりの両方において満足のいくものが得られなかった。成分(B)の配合量が少ない比較例7では付着性が低く、ロングラッシュ効果、仕上がりも満足のいくものが得られなかった。成分(B)の代わりに針入度の低いセレシン(針入度12)を配合した比較例8では、均一な付着性が得られずロングラッシュ効果、仕上がりも満足のいくものが得られなかった。
【0048】
以下、その他の実施例を示す。各睫毛用化粧料の配合量を100質量%として示す。各成分に続く数値は、配合量を示す。
実施例15:油性液状マスカラ(繊維入りタイプ)
(成分)
(1) 軽質イソパラフィン 残量
(2) トリメチルシロキシケイ酸 20.00
(3) マイクロクリスタリンワックス(針入度78) 15.00
(4) エイコセン・ビニルピロリドン共重合体 4.00
(5) 合成ワックス 5.00
(6) ミツロウ 3.00
(7) デカメチルシクロペンタシロキサン 2.50
(8) パラフィン 2.00
(9) イソステアリン酸 2.00
(10)パルミチン酸デキストリン 1.50
(11)(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリン 1.50
(12)重質流動イソパラフィン 1.50
(13)カルナウバロウ 1.00
(14)ワセリン 1.00
(15)水添ロジン酸ペンタエリスリチル 1.00
(16)ポリエチレンワックス 0.20
(17)d-δ-トコフェロール 0.10
(18)フェノキシエタノール 0.05
(19)黒酸化鉄 5.00
(20)ナイロン製繊維(ナイロンファイバー 6デニール2mm) 1.50
(21)無水ケイ酸 1.00
(22)タルク 1.00
(23)酸化チタン 1.00
(24)ケイ酸カルシウム(花弁状) 0.75
【0049】
(製法)
a.成分(1)~(18)を100℃にて均一に加熱溶解する。
b.aに成分(19)~(24)を加え、均一に混合する。
c.bを塗布体付き容器に充填して睫毛用化粧料を得た。
【0050】
本発明の油性液状マスカラ(繊維入りタイプ)は、さらにロングラッシュ効果に優れており、仕上がり、付着性に優れたものであった。
【0051】
実施例16:油中水型マスカラ(クリーム状)
(成分)
(1) 軽質流動イソパラフィン 残量
(2) トリメチルシロキシケイ酸 20.00
(4) ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 2.50
(5) エイコセン・ビニルピロリドン共重合体 4.00
(6) パルミチン酸デキストリン 1.00
(7) マイクロクリスタリンワックス(針入度39) 10.00
(8) ジメチコン 3.00
(9) ジステアルジモニウムヘクトライト 4.00
(10)煙霧状シリカ 0.50
(11)黒酸化鉄 5.00
(12)ケイ酸カルシウム(花弁状) 0.75
(13)精製水 10.00
(14)エタノール 5.00
(15)アクリレーツコポリマー 5.00
【0052】
(製法)
a.成分(1)~(12)を100℃にて均一に加熱溶解する。
b.成分(13)~(15)を均一に混合する
c.aにbを加え、均一に混合する。
d.cを塗布体付き容器に充填して睫毛用化粧料を得た。
【0053】
本発明の油中水型マスカラ(クリーム状)は、ロングラッシュ効果、仕上がり、付着性に優れたものであった。