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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015651
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】ブロック成形機
(51)【国際特許分類】
   B28B 3/02 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
B28B3/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118645
(22)【出願日】2020-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000132806
【氏名又は名称】株式会社タイガーマシン製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】北原 哲五郎
【テーマコード(参考)】
4G054
【Fターム(参考)】
4G054AA01
4G054AC01
4G054BA02
4G054BA29
4G054BA62
4G054BA74
(57)【要約】
【課題】脱型工程においてコンクリートブロック下部がふくれて変形することがないブロック成形機を提供すること。
【解決手段】型枠4と、前記型枠の上方に設けられ、型枠4内のコンクリートを押圧する押型22を備えた加圧装置と、型枠4の下方に設けられたテーブル装置と、を有し、加圧装置を下降させて型枠4内のコンクリートを押型22によって加圧成形してブロックを製造するブロック成形機であって、テーブル装置は、成形パレット6を支持するテーブル鋼板5と、弾性部材9と、テーブル10と、テーブル10を支持するテーブル支持部材とを有し、テーブル鋼板5と前記テーブル10とは弾性部材9によって連結されておりテーブル10の上面には弾性部材9の高さよりも低い高さを有し、加圧成形時に前記テーブル鋼板5に当接することによりテーブル鋼板5が下降するのを規制する下降規制部材26が設けられていることを特徴とするブロック成形機。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠と、前記型枠の上方に設けられ、前記型枠内のコンクリートを押圧する押型を備えた加圧装置と、前記型枠の下方に設けられたテーブル装置と、を有し、前記加圧装置を下降させて前記型枠内のコンクリートを前記押型によって加圧成形してブロックを製造するブロック成形機であって、
前記テーブル装置は、成形パレットを支持するテーブル鋼板と、弾性部材と、テーブルと、前記テーブルを支持するテーブル支持部材とを有し、前記テーブル鋼板と前記テーブルとは前記弾性部材によって連結されており
前記テーブルの上面には前記弾性部材の高さよりも低い高さを有し、加圧成形時に前記テーブル鋼板に当接することによりテーブル鋼板が下降するのを規制する下降規制部材が設けられている
ことを特徴とするブロック成形機。
【請求項2】
前記弾性部材がゴム柱からなる、請求項1に記載のブロック成形機。
【請求項3】
前記弾性部材がばねからなる、請求項1に記載のブロック成形機。
【請求項4】
前記ばねが金属ばね又は空気ばねである、請求項3に記載のブロック成形機。
【請求項5】
前記型枠に振動機が設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載のブロック成形機。
【請求項6】
前記規制部材は圧縮しても変形しない材料からなる、請求項1~5のいずれか1項に記載のブロック成形機。
【請求項7】
前記規制部材が鉄又は樹脂からなる、請求項6に記載のブロック成形機。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートをブロックに成形するブロック成形機に関する。
【0002】
ブロック成形機においては、水分の少ない硬練りのコンクリート(「ゼロスランプコンクリート」と呼ばれる)が使用され、「成形サイクル」と呼ばれる一連の工程を経て短時間(約10秒から20秒)で所定の寸法のコンクリートブロック(以下、「ブロック」ともいう。)が成形される。
特許文献1には、建築用ブロック等の成形に際し、型枠にコンクリートを供給して加圧装置でコンクリートを加圧してブロックを成形するブロック成形機が記載されている。
【0003】
図13は従来のブロック成形機100の概略図である。このブロック成形機を用いてブロックを成形する工程を説明する。まず、図13に示すように、予め適量のコンクリートをホッパー31より、ゲートシリンダ32を開くことによって、給材箱13内に貯留する。そして給材箱装置30は、ブロック成形機の型枠4の開口部に向って、給材シリンダ16に押圧されて前進し、型枠4上部でコンクリートを型枠4内に落下させる。
【0004】
次いで、加圧装置33が下降し、コンクリートが所定の寸法のブロックになるまで押型22を下降させ、振動及びプレス装置の重量等でコンクリートを加圧する。加圧成形が終了した後、テーブル支持部材34がシリンダ装置によって下降すると共に加圧装置33が下降してブロックを型枠4から下方に脱型する。脱型後、成形パレット6上に成形されたブロックは、成形パレット6に載置されたままブロック成形機100から押し出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-185633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来の成形機を使用した場合、脱型工程においてブロック下部がふくれて変形するという問題があった。
本発明は、脱型工程においてブロック下部がふくれて変形するということがないブロック成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明は下記(1)に記載するとおりのブロック成形機に係るものである。
(1)型枠と、前記型枠の上方に設けられ、前記型枠内のコンクリートを押圧する押型を備えた加圧装置と、前記型枠の下方に設けられたテーブル装置と、を有し、前記加圧装置を下降させて前記型枠内のコンクリートを前記押型によって加圧成形してブロックを製造するブロック成形機であって、
前記テーブル装置は、成形パレットを支持するテーブル鋼板と、弾性部材と、テーブルと、前記テーブルを支持するテーブル支持部材とを有し、前記テーブル鋼板と前記テーブルとは前記弾性部材によって連結されており
前記テーブルの上面には前記弾性部材の高さよりも低い高さを有し、加圧成形時に前記テーブル鋼板に当接することによりテーブル鋼板が下降するのを規制する下降規制部材が設けられている
ことを特徴とするブロック成形機。
【発明の効果】
【0008】
本発明のブロック成形機を用いることにより、脱型工程におけるコンクリートブロック下部の変形を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1A図1Bはコンクリートを型枠に供給する前の成形機を示す図である。図1Aは成形機の正面図であり、図1Bは側面図である。
図2図2A図2Bは型枠上への成形パレットの供給が完了した時の成形機を示す図である。図2Aは成形機の正面図であり、図2Bは側面図である。
図3図3A図3Bは型枠にコンクリートを供給している時の成形機を示す図である。図3Aは成形機の正面図であり、図3Bは側面図である。
図4図4A図4Bは押型がコンクリートを所定の寸法まで加圧した時の成形機を示す図である。図4Aは成形機の正面図であり、図4Bは側面図である。
図5図5A図5Bはブロックが型枠下方に押し出された時の成形機を示す図である。図5Aは成形機の正面断面図であり、図5Bは側面断面である。
図6図6A図6Cは型枠の構造を説明する図である。図6Aは型枠の正面図であり、図6Bは上面図であり、図6Cは側面図である。
図7図7は型枠に給材を供給している時の成形機を示す模式図である。
図8図8Aは加圧成形工程終了時の成形機の模式図であり、図8Bは脱型工程における脱型開始直後の成形機の模式図であり、図8Cは脱型工程完了時の成形機の模式図である。
図9図9A図9Bはテーブル上面に下降規制部材を装着した成形機の給材工程における給材中の成形機を示す模式図である。図9Aは正面断面図であり、図9B図9Aの部分拡大図である。
図10図10A図10Bはテーブル上面に下降規制部材を装着した成形機の加圧成形工程終了時の状態を示す図である。図10Aは正面断面図であり、図10B図10Aの部分拡大図である。
図11図11A図11Bはテーブル上面に下降規制部材を装着した成形機の脱型工程における脱型開始直後の状態を示す模式図である。図11Aは正面断面図であり、図11B図11Aの部分拡大図である。
図12図12A図12Bはテーブル上面に下降規制部材を装着した成形機の脱型工程完了時の状態を示す模式図である。図12Aは正面断面図であり、図12B図12Aの部分拡大図である。
図13図13は従来のブロック成形機を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、成形パレットを支持するテーブル鋼板と、弾性部材と、テーブルと、前記テーブルを支持するテーブル支持部材とを有するテーブル装置のテーブル上面に、弾性部材の高さよりも低い高さを有し、加圧成形時にテーブル鋼板に当接することによりテーブル鋼板が下降するのを規制する下降規制部材を設けた点に特徴がある。
以下では、本発明における下降規制部材を設けなかったブロック成形機を図1図8に基づいて説明し、下降規制部材を設けた本発明のブロック成形機を図9~12に基づいて説明する。
【0011】
前記弾性部材は上部をテーブル鋼板に固定され、下部をテーブルに固定されてテーブル鋼板とテーブルとを連結して、防振の機能を有するものである。
弾性部材としては、ゴム柱、金属ばね又は空気ばねが用いられるが、以下では、弾性部材としてゴム柱を用いる場合を例にとって本発明を説明する。
【0012】
まず、図1A及び図1Bに基づいて成形機の全体構造及び成形方法の概要を説明する。
図1Aはブロック成形機100の正面図であり、図1Bはブロック成形機100の側面図である。
成形機の底板1に立設された、成形機の両側面を形成するサイドフレーム2に型枠受け台3が取り付けられ、この型枠受け台3に型枠4が載置されている。一方、成形機内の後方にあるパレットマガジン7には成形パレット6が一時的に重ねて仮置きされている。成形パレット6はパレット押出シリンダ8によってパレットマガジン7から押し出されて後述するテーブル鋼板5の上に供給される。
【0013】
型枠4の下方には鋼鉄製の分厚い板からなるテーブル鋼板5が配置されている。
テーブル鋼板5とその下のテーブル10とはゴム柱9によって連結され、テーブル10はテーブル支持部材であるテーブル支持桁11によって支持されている。テーブル鋼板5、ゴム柱9、テーブル10及びテーブル支持桁11はテーブル装置を構成している。
【0014】
ゼロスランプコンクリート(以下、「コンクリート」という)は給材箱(底板のない箱)13によって搬送され型枠4内に供給される。給材箱13はサイドフレーム2に取り付けられたレール15上を走行する車輪14で懸架されており、コンクリートを満載して型枠4の上板43上にシリンダ16によって押し出される。
型枠4は底面に成形パレット6が配置されており、振動機45によって上下に激しく振動し、給材箱13内のコンクリートが型枠4内に落下、充填される。
型枠4内に充填されたコンクリートが押型22によって加圧成形されたのち型枠4から脱型される。成形されたブロックは成形パレット6の上に載置された状態となる。
【0015】
次に、ブロック成形機の成形サイクルを構成する一連の工程について説明する。
【0016】
(1)工程1(パレット供給工程)
図2A及び図2Bはブロック成形機100(以下「成形機」という)の型枠4にコンクリートを供給する直前の状態を示しており、成形パレット6をテーブル鋼板5上に供給する工程(パレット供給工程)を説明する図である。
パレットマガジン7から一枚の成形パレット6がパレット押出シリンダ8によって押し出されてテーブル鋼板5の上に供給され載置される。
成形パレット6がテーブル鋼板5上に載置されると、テーブル装置は底板1に固定されたテーブルシリンダ12によって押し上げられ、テーブル装置は上昇途上で型枠4の下面に成形パレット6を押し当てながら型枠4を型枠受け台3から数cm持ち上げたところで停止する。成形パレット6は型枠4に対して、型枠4の空洞部の下面を塞ぐように押し当てられ、かつ型枠4が成形機のフレームなどに当たらず、ゴム柱9で保持されたテーブル鋼板5に載置された状態となる。
【0017】
(2)工程2(給材工程)
工程2は型枠4内にコンクリートを供給し充填する工程(給材工程)である。
図3A及び図3Bは給材中のブロック成形機を示す。
サイドフレーム2に取り付けられたレール15上を走行する車輪14で懸架された給材箱13がコンクリートを満載して型枠4の上板43上に給材シリンダ16で押し出される。型枠4の両側に取り付けられた振動機45の振動軸がモーター17からベルト18によって伝達された回転力により回転を始めると型枠4は振動を始め、上板43に接する給材箱13にも振動が伝達することで給材箱13の中のコンクリートは給材箱13の底から型枠4の中に落下するかたちで供給される。型枠4内のコンクリートは振動によって充填度が高まるが、あらかじめ設定された時間(これは「給材時間」と呼ばれ、通常約2~5秒である)に達すると給材箱13は型枠4の上部から、次の成形サイクルで使用するコンクリートを受け取る定位置まで後方に引き戻される。定位置では、給材箱13の底からコンクリートが落下しないように、サイドフレーム2に取り付けられた板によって給材箱13の底が塞がれる。
【0018】
(3)工程3(加圧成形工程)
工程3は型枠4内のコンクリートを加圧してブロックに成形する工程(加圧成形工程)である。
図4A図4Bは型枠4内におけるコンクリートの加圧成形工程が完了した状態の成形機を示す。
型枠4の上方にはサイドフレーム2を連結する鋼材である連結桁19にプレスシリンダ20が固定されている。給材箱13が型枠4上部から後方に離れると、プレスシリンダ20が、加圧装置である加圧桁(プレスガーダー:press girder)21を下降させて加圧桁21に取り付けられた押型22を振動する型枠4内のコンクリートに押し当ててコンクリートを加圧成形する。
型枠4内のコンクリートが加圧力によって短時間(約5秒~10秒)であらかじめ設定されたブロックの高さ寸法(「定寸」と呼ばれる)に成形されると押型22は下降を停止し、型枠4の振動も停止する。
【0019】
なお、サイドフレーム2の両外側には、加圧桁21とテーブル支持桁11とが精度よく水平に上昇、下降するように上下の動作を案内するガイドシャフト23が固定されている。また、金属や硬い樹脂で作られたガイド板24が、加圧桁21とテーブル支持桁11に取り付けられており、押しボルト25によってガイドシャフト23の前後にガイド板を常時押し当てることで、加圧桁21やテーブル支持桁11が精度よく上昇、下降するようにしている。
【0020】
(4)工程4(脱型工程)
工程4は型枠4内のブロックBを型枠4から脱型する工程(脱型工程)である。図5A図5Bは脱型が完了した状態の成形機を示す。
押型22の下降が停止し型枠4の振動も停止すると、ブロックBが成形パレット6上に載置された状態になる。この時、ブロックBは型枠4内で上面は押型22によって、また、下面は成形パレット6によって上下から挟まれた「定寸」の状態にある。この状態から、プレスシリンダ20とテーブルシリンダ12により、押型22と、成形パレット6を載せたテーブル装置とが同調して下降すると、テーブル装置で持ち上げられていた型枠4も一緒に下降する。しかし、型枠4は数cm下降するとサイドフレーム2に取り付けられた型枠受け台3に当接して、型枠4の下降は停止する。
一方、押型22とテーブル装置はその後も下降し続け、型枠4内のブロックBは、成形パレット6上に載置されたまま押型22によって型枠4の底部から押し出されて脱型される。
【0021】
以上で成形サイクルは完了し、次の成形サイクルが工程1(パレット供給工程)から始まる。
脱型されたブロックBを載せた成形パレット6は、次の成形サイクルで使用される成形パレット6がパレット押出シリンダ8によってパレットマガジン7からテーブル鋼板5上に押し出されると同時に成形機の前方に押し出され、次の成形サイクルに使われる成形パレット6がテーブル鋼板5上に供給される。
【0022】
上述のブロックの成形サイクルの前記工程1~工程4において、工程2(給材工程)と工程3(加圧成形工程)で型枠が振動するが、この型枠の振動が成形されるブロックの成形時間や品質に大きく影響を与えることが良く知られている。
【0023】
次に型枠4について詳細に説明する。
図6A図6Cは型枠4を説明する図であり、図6Aは正面図、図6Bは上面図、図6は側面図である。
型枠4の中央の空洞部Vはコンクリートが充填される空間である。空洞部Vは前後左右を鋼鉄製の板で囲われている。空洞部Vを囲う4面の側板は、正面から見て、前と後ろの板をエンドプレート41、左右の板をサイドプレート42と呼ぶ。エンドプレート41とサイドプレート42の上部には、工程2(給材工程)で給材箱13がコンクリートを型枠4上に運んできたときに、型枠4の周りにコンクリートが落ちこぼれないように、左側、右側及び手前側を囲う囲い44が取り付けられた上板43が張り付けられている。工程2(給材工程)では、この上板43の上に給材箱13が押し出されてくる。
【0024】
エンドプレート41には、左右に振動機45が取り付けられており、振動機45は、前後のエンドプレート41に埋め込まれたベアリングケース46、ベアリングケース46内のベアリングで保持される振動軸47、振動軸47の前方の端部に取り付けられたベルトプーリー48、そして、振動を引き起こす振動軸47に取り付けられた複数個の錘49からなる。錘49は振動軸47の中心とわずかにずれた重心を持っている。
成形機に取り付けられたモーター17でベルト18及びベルトプーリー48を介して左右の振動軸47が毎分約2800から3800回転すると、錘49が型枠4を振動させる遠心力を引き起こす。モーター17が起動すると、左右の振動軸47は、右は時計回りの回転を、左は反時計回りの回転をするため、型枠4を左右に動かそうとする力は相殺されて、型枠4は上下方向に振動する。
【0025】
型枠4は、工程1(パレット供給工程)で成形パレット6を底面に供給され、次の工程2(給材工程)で給材箱13が上部にくると、コンクリートを短時間で型枠4内に落下、充填させるために上下に激しく振動する。この振動による大きな衝撃を支え、薄い成形パレット6の反り(曲がり)を抑えるために、成形パレット6の下にテーブル鋼板5(通常厚さ約30~60mm)を設置し、テーブル鋼板5はテーブル10に固定されたゴム柱9によって支えられ、かつテーブル10に固定されている。ゴム柱9は、振動の衝撃を吸収し、型枠4が安定して振動することを助けるものである。
【0026】
コンクリートを使用してブロック成形機でブロックを成形する場合、テーブル鋼板5を支えるゴム柱9が型枠4の振動に大きな影響を与えること、そして、コンクリートの品質のばらつきやゴム柱9の硬さの違いなどで振動による型枠4内のコンクリート充填度、密度には「ばらつき」があることが良く知られている。この「ばらつき」が、押型22が型枠4内のコンクリートを加圧したときのゴム柱9を押し下げる力のばらつきを生む。コンクリートの密度が低ければゴム柱9を押し下げる力は小さくてよいし、密度が高ければ大きな押し下げ力が必要になる。上記の状態を以下で数値を用いて説明する。
【0027】
工程2(給材工程)では、給材箱13内のコンクリートは振動によって型枠4内に落下するが、あらかじめ設定された給材時間がくると給材箱13は後退する。型枠4の空洞部の大きさを、例えば、30cm幅×40cm長さ×22cm高さとすると、その容積は、26,400cmになるが、コンクリートは型枠4の高さ一杯に入っている。例えば22cmの高さ一杯に入っているコンクリートの重量を50kg(50,000g)とすると、給材箱13が後退したときの型枠4内のコンクリートの密度は、1.894g/cmとなる。この密度では、コンクリートブロックは十分な強度が出ないので、次の工程3(加圧成形工程)で、型枠4を振動させながら押型22で型枠内のコンクリートを所定の高さ「定寸」の20cmまで押し下げる。すると空洞部のコンクリートの容積は30cm×40cm×20cm=24,000cmとなるが、ブロックの重量は変わらないので、ブロックの密度は、2.083g/cmとなる。
【0028】
この密度のブロックを作っているとき、ゴム柱9のたわみは1mmであり、工程4(脱型工程)でブロックに変形が生じないとする。
しかし、ある成形サイクルで、工程2(給材工程)中に型枠4内へのコンクリート供給量が50kgより大きくなると、密度が大きくなっているので、押型22が型枠4内のコンクリートを高さ22cmから定寸の20cmまで押し下げるとき、ゴム柱9を押し下げる力が大きくなり、ゴム柱9は1mmより大きくたわむ。この現象が起きると、工程4(脱型工程)でブロック下部がふくれるという変形のトラブルが発生する。
【0029】
工程3(加圧成形工程)で、密度の高いブロックを作るためにゴム柱9を大きな力で押し下げると、工程4(脱型工程)で、ブロックの変形のトラブルがなぜ引き起こされるかを、成形サイクルでの各工程で、型枠周りを模式的に示した図7及び図8A図8C基づいて説明する。
【0030】
図7は工程2(給材工程)で、給材箱13が型枠4の上部に押し出され、型枠4が振動して、給材箱13の中のコンクリートが型枠4の中に落下している状態を示している。この時、成形パレット6を載せたテーブル鋼板5には、型枠4の重量がかかっているが、ゴム柱9はこの重量を十分支える硬さがあるため、たわむなどの変形はない。
【0031】
図8Aは工程3(加圧成形工程)で、型枠4に充填されたコンクリートを押型22が加圧して、あらかじめ設定されたブロックの高さ「定寸」に押し下げた状態を示している。この時、押型22の加圧力によって、コンクリートと型枠4の下の成形パレット6を介してテーブル鋼板5も強く押し下げられる。テーブル鋼板5が押し下げられると、テーブル鋼板5を支えるゴム柱9は大きくたわむ。つまり、強く上から圧縮されたゴム柱9は、その上端はテーブル鋼板5に、下端はテーブル10にそれぞれ固定されているため、側面が大きくふくらみたわむことになる。押型22が定寸まで押し下げられると、型枠4の振動が止まるが、この時ゴム柱9は大きくたわんだままである。たわんだゴム柱9は、伸び上がろうとする力(元に戻ろうとするゴムの復元力)を内部に持ったままの状態になっている。
【0032】
図8Bは工程4(脱型工程)が始まり、ブロックがわずかに型枠4から下方に押し出された状態を示す。脱型が始まる前は、型枠4内に押し固められたブロックは、上面は押型22で、下面は成形パレット6で挟まれており、側面はエンドプレート41やサイドプレート42で囲われているので変形していないが、ゴム柱9は大きくたわんで大きな復元力を内部にもったままである。この状態から、ブロックは押型22により型枠4から下方に押し出されるが、ブロックが型枠4の底から抜け始めると、抜け出た部分B1は4側面が開放されると同時に、ゴム柱9の伸び上がろうとする復元力を受けた成形パレット6によって下から押しあげられ、この力に耐えられずブロックの型枠4から抜け出た部分だけがふくれるように変形する。同時に、ゴム柱9のふくらみ、たわみは、復元力の開放につれて小さくなっていく。
図8Bでは、ゴム柱9はわずかにふくらんでいる状態を示している。
【0033】
図8Cは工程4(脱型工程)が完了した状態を示す。型枠4内のブロックBは完全に型枠4内から下方に抜け出ており、ゴム柱9の内部に残留していた復元力は開放されてゴム柱9のふくらみ、たわみがなくなっているが、ブロックBの下部は変形したままである。
【0034】
以上のように、工程3(加圧成形工程)でゴム柱9が大きくふくらむ変形をして内部に大きな復元力を残留させており、かつ、その復元力が型枠4から抜け出たときのブロックの上下の圧縮強度より大きい場合には、工程4(脱型工程)の開始直後に、型枠4から最初に抜け出たブロックの下部が成形パレット6で下から押し上げられてふくらむというトラブルが発生する。
【0035】
このトラブルの発生に対する従来の対策としては、工程2(給材工程)で型枠4内のコンクリートの密度を下げてゴム柱9を押し下げる力を小さくする方法や、ゴム柱9の材料を、型枠4内のコンクリートの密度が大きくなりゴム柱9を押し上げる力が大きくなっても、たわみの少ない硬いゴムとする方法がある。しかしながら、コンクリートの密度を下げる方法では、ブロックが強度のないものとなるし、また、硬いゴムからなるゴム柱9を用いるとゴムの反発力が大きくなって型枠4の振動も大きく、ガタガタとした不安定な振動になって、安定した品質のブロックを作ることが難しくなるという課題があった。
【0036】
上記課題を解決した本発明の実施形態を図9A及び図9Bに基づいて説明する。
図9Aは工程2(給材工程)で、給材箱13が型枠4の上部に押し出され、型枠4が振動して、給材箱13の中のコンクリートが型枠4の中に落下している状態を示す図であり、図9B図9Aの部分拡大図である。
本発明は、テーブル鋼板5がゴム柱9のたわみによって下降する「下がりしろ」を規制する下降規制部材26をテーブル10の上面に装着することにより、上記の課題を解決した。
下降規制部材26は、鉄や硬い樹脂などの圧縮による変形がほとんどない材料で製造されており、下面がテーブル10に固定され高さは調整できるようになっている。
【0037】
図9A及び図9Bによって、下降規制部材26の作用を説明する。
図9Aに示すように、工程2(給材工程)の終了時には、成形パレット6を載せたテーブル鋼板5には、型枠4の重量がかかっているが、ゴム柱9はこの重量を支える十分な硬さがあるため、たわむなどの変形はない。従って、ゴム柱9の下端を固定するテーブル10の上面と、ゴム柱9の上端を固定するテーブル鋼板5の下面との寸法Hは、たわんでいないゴム柱9の高さとなっている。下降規制部材26は、テーブル鋼板5を均等に支えられるように複数個所でバランスよくテーブル10の上面に固定されているが、その高さYはHより低く設計されていて、給材中においては下降規制部材26の上面とテーブル鋼板5の下面との間には隙間C(通常約0.5~2mm)が保たれている。
【0038】
図10A、10Bは工程3(加圧成形工程)で、型枠4に充填されたコンクリートを押型22が加圧して、コンクリートを定寸に押し下げた状態を示している。図10B図10Aの部分拡大図である。
この時、押型22の加圧力によって、コンクリートと型枠4の下の成形パレット6を介してテーブル鋼板5も強く押し下げられる。テーブル鋼板5は押し下げられが、下降規制部材26に当接して止まる。ゴム柱9も下降規制部材26の高さY以下には圧縮されず、給材時の隙間寸法Cの分だけ圧縮され、それに応じてわずかにたわむことになる。テーブル鋼板5が下降規制部材26の上面に当接しながらも型枠4は振動を続け、押型22がコンクリートを定寸まで押し下げると、型枠4の振動が止まる。この時、ゴム柱9の高さ寸法はYのままであり、給材時の隙間寸法Cの分だけたわんでおり、そのたわみに応じた復元力を内部に持った状態になっている。
上記のように下降規制部材26を設け、下降規制部材26の寸法(高さ)を給材中において下降規制部材26の上面とテーブル鋼板5の下面との間に所定の隙間Cが形成されるように調節しておくことにより、いかなる場合においても、また、いつの成形サイクルにおいても脱型時にゴム柱9が持つ復元力は一定となる。
【0039】
図11A、11Bは工程4(脱型工程)が始まり、ブロックがわずかに型枠4から下方に押し出された状態を示す。図11B図11Aの部分拡大図である。
脱型が始まる前は、型枠4内に押し固められたブロックは、上面は押型22で、下面は成形パレット6で挟まれた状態で型枠4から下方に押し出されるが、ゴム柱9は下降規制部材26の高さYまで圧縮されてわずかにたわんだままである。ブロックが型枠4の底から抜け始めると、抜け出た部分は四方の側面が開放されると同時に、ゴム柱9の伸び上がろうという復元力を受けた成形パレットによって下から押しあげられるが、ゴム柱9が高さYまで圧縮されたときの復元力はブロックの圧縮強度より小さくなるように隙間Cが設定されているので、変形することはない。ゴム柱9のふくらみは、復元力の開放につれて小さくなっていき、高さYも復元するので、下降規制部材26とテーブル鋼板5との間に隙間Cが発生する。図11A図11Bでは、ゴム柱9はわずかにふくらんでいるが隙間Cが発生している状態を示している。
【0040】
図12A、12Bは工程4(脱型工程)が完了した状態を示す。図12B図12Aの部分拡大図である。
型枠4内のブロックは完全に型枠4内から下方に抜け出ており、ゴム柱9の内部に残留していた復元力は開放されてゴム柱9のふくらみがなくなって隙間Cが発生している。
【0041】
ブロックの成形においては、コンクリートそのものの品質を厳密に一定にすることは難しく、ばらつくことが当たり前であり、また給材時に型枠4内へ振動でコンクリートを落下させ供給する時の型枠4内のコンクリートの充填度のばらつきは避けられない。こうしたばらつきが、工程3(加圧成形工程)でゴム柱9を押し下げる力のばらつきをもたらし、ゴム柱9のたわみの大きさをばらつかせる。ゴム柱9が加圧成形工程で内部にもつ復元力がばらつくため、工程4(脱型工程)でのゴム柱9の復元力によるブロック下部のふくらみという変形が発生するが、ゼロスランプコンクリートそのもののばらつきや、給材時のコンクリートの充填度のばらつきを防ぐのは容易ではない。
【0042】
しかし、下降規制部材26があれば、ばらつきがあってもゴム柱9のたわみの大きさは一定に保たれ、ゴム柱9の復元力もばらつくことがない。従って、ゴム柱9の復元力の大きさを決める隙間寸法Cを、ゴム柱9の復元力がブロックの圧縮強度より小さくなるような寸法に設定すれば、型枠4内のコンクリートの違いやコンクリート充填度の違いで発生するブロックの下部が脱型時にふくらむというトラブルを防止できる。
【0043】
上記では、弾性部材としてゴム柱を用いた場合について説明したが、弾性部材として金属ばね又は空気ばねを用いた場合においても、下降規制部材を用いることにより、ブロック下部のふくれを防止することができる。
【0044】
下降規制部材を装着したテーブル装置を持つブロック成形機が、業界で長年解決できなかった「脱型時のブロック下部のふくらみ」という課題を解決し、いわゆる成形の「ベテラン」でなくとも容易にブロックを製造できる状況を実現する。
【0045】
本発明は、下記(1)~(4)の実施形態を含む。
(1)型枠と、前記型枠の上方に設けられ、前記型枠内のコンクリートを押圧する押型を備えた加圧装置と、前記型枠の下方に設けられたテーブル装置と、を有し、前記加圧装置を下降させて前記型枠内のコンクリートを前記押型によって加圧成形してブロックを製造するブロック成形機であって、
前記テーブル装置は、成形パレットを支持するテーブル鋼板と、弾性部材と、テーブルと、前記テーブルを支持するテーブル支持部材とを有し、前記テーブル鋼板と前記テーブルとは前記弾性部材によって連結されており
前記テーブルの上面には前記弾性部材の高さよりも低い高さを有し、加圧成形時に前記テーブル鋼板に当接することによりテーブル鋼板が下降するのを規制する下降規制部材が設けられている
ことを特徴とするブロック成形機。
(2)前記弾性部材がゴム柱からなる、上記(1)に記載のブロック成形機。
(3)前記弾性部材がばねからなる、上記(1)に記載のブロック成形機。
(4)前記ばねが金属ばね又は空気ばねである、上記(3)に記載のブロック成形機。
(5)前記型枠に振動機が設けられている、上記(1)~(4)のいずれか1項に記載のブロック成形機。
(6)前記規制部材は圧縮しても変形しない材料からなる、上記(1)~(5)のいずれか1項に記載のブロック成形機。
(7)前記規制部材が鉄又は樹脂からなる、上記(6)に記載のブロック成形機。
【符号の説明】
【0046】
1 底板
2 サイドフレーム
3 型枠受け台
4 型枠
5 テーブル鋼板
6 成形パレット
7 パレットマガジン
8 パレット押出シリンダ
9 ゴム柱、防振ゴム
10 テーブル
11 テーブル支持桁、テーブル支持部材
12 テーブルシリンダ
13 給材箱
14 車輪
15 レール
16 給材シリンダ
17 モーター
18 ベルト
19 連結桁
20 プレスシリンダ
21 加圧桁、加圧装置
22 押型
23 ガイドシャフト
24 ガイド板
25 押しボルト
26 下降規制部材
30 給材箱装置
31 ホッパー
32 ゲートシリンダ
33 加圧装置
34 テーブル支持装置
41 エンドプレート
42 サイドプレート
43 上板
44 囲い
45 振動機
46 ベアリングケース
47 振動軸
48 ベルトプーリー
49 錘
100 ブロック成形機
B ブロック、コンクリートブロック
C 隙間
V 空洞部
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
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図10
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図13