(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156542
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】通信ユニット
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20221006BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20221006BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20221006BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20221006BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20221006BHJP
B41J 29/00 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
G06F3/12 367
G06F3/12 303
G06F3/12 334
G06F3/12 365
G06F3/12 343
G06F3/12 347
G06F3/12 378
G06F3/12 387
G06F3/16 650
G06F3/16 630
G06F13/00 520C
H04N1/00 127B
B41J29/38 201
B41J29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060285
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠本 直毅
【テーマコード(参考)】
2C061
5B084
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP10
2C061AQ04
2C061AS08
2C061CL10
2C061CQ04
2C061CQ23
2C061HN15
2C061HQ17
5B084AA02
5B084AA06
5B084AA12
5B084AA23
5B084AB06
5B084AB13
5B084BB02
5B084CB06
5B084DC02
5B084DC03
5B084DC06
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA37
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB38
5C062AC04
5C062AC34
5C062AF15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】音声入力された音声データに基づいてプリンタを制御する印刷システムにおいて、プリンタへデータを受け渡す新たな通信ユニットを提供する。
【解決手段】印刷システム100において、音声解析サービス5は、印刷ジョブ蓄積サーバ6に印刷ジョブを入力する。音声解析サービス5には、印刷ジョブの送り先を示すデバイスIDと、音声データの送り元を特定するスピーカIDと、が対応付けて登録されており、さらに音声データをスピーカIDと関連付けて入力し、入力されたスピーカIDに対応付けられたデバイスIDを取得し、入力された音声データに基づく印刷ジョブを、デバイスIDと関連付けて印刷ジョブ蓄積サーバ6に入力する。中継ユニット4は、印刷ジョブ蓄積サーバ6にアクセスし、印刷ジョブ蓄積サーバ6から中継ユニット4を示すデバイスIDと関連付けられた印刷ジョブを受信し、受信した印刷ジョブをプリンタ1に入力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続可能な第1通信インタフェースと、
プリンタに接続可能な第2通信インタフェースと、
コントローラと、
を備える通信ユニットであって、
前記通信ユニットには、前記ネットワークに接続される中継サーバへのアクセスに用いるアクセス情報が登録され、前記中継サーバには、印刷ジョブが音声解析サービスから入力され、前記音声解析サービスには、印刷ジョブの送り先のデバイスを示す識別情報と、音声データの送り元を特定する特定情報と、が対応付けて登録されており、さらに前記音声解析サービスには、音声データが前記特定情報と関連付けて入力され、入力された前記特定情報に対応付けられた前記識別情報が取得され、さらに前記音声解析サービスでは、入力された前記音声データに基づいて前記印刷ジョブが生成され、生成された前記印刷ジョブが、取得された前記識別情報と関連付けて、前記中継サーバに入力され、
前記コントローラは、
前記通信ユニットに登録されている前記アクセス情報を用いて、前記第1通信インタフェースを介して前記中継サーバにアクセスし、前記中継サーバから前記通信ユニットを示す前記識別情報と関連付けられた前記印刷ジョブを受信して取得する取得処理と、
前記取得処理にて取得した前記印刷ジョブを、前記第2通信インタフェースを介して前記プリンタに入力する入力処理と、
を実行する、
ことを特徴とする通信ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載する通信ユニットにおいて、
前記取得処理では、
前記通信ユニットに登録されている前記アクセス情報を用いて、前記第1通信インタフェースを介して前記中継サーバに定期的にアクセスし、前記中継サーバから前記通信ユニットを示す前記識別情報と関連付けられた前記印刷ジョブを受信して取得する、
ことを特徴とする通信ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する通信ユニットにおいて、
前記コントローラは、
前記第2通信インタフェースを介して前記プリンタと通信可能か否かを判定する通信判定処理と、
前記通信判定処理にて前記プリンタと通信不可と判定された場合に、前記取得処理の実行と前記入力処理の実行との少なくとも一方を制限する制限処理と、
を実行し、
さらに前記コントローラは、
前記通信判定処理にて前記プリンタと通信可と判定された場合に、前記制限処理を実行しない、
ことを特徴とする通信ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載する通信ユニットにおいて、
前記コントローラは、
前記通信判定処理にて前記プリンタと通信不可と判定された場合に、前記プリンタと通信できない状態であることを報知する報知処理を実行する、
ことを特徴とする通信ユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する通信ユニットにおいて、
前記第2通信インタフェースは、USB(ユニバーサルシリアルバス)通信インタフェースである、
ことを特徴とする通信ユニット。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載する通信ユニットにおいて、
前記中継サーバから取得される前記印刷ジョブには、画像データが含まれず、印刷対象の画像を特定する画像特定情報が含まれ、
前記コントローラは、
前記取得処理にて前記印刷ジョブを取得した後、前記印刷ジョブに含まれる前記画像特定情報に示される画像データを、前記第1通信インタフェースを介して、前記ネットワークに接続される画像サーバから取得する画像取得処理を実行し、
前記入力処理では、前記画像取得処理にて取得された前記画像データに基づく印刷を行わせる前記印刷ジョブを、前記第2通信インタフェースを介して前記プリンタに入力する、
ことを特徴とする通信ユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載する通信ユニットにおいて、
前記中継サーバから取得される前記印刷ジョブには、印刷対象の画像に合成されるテンプレートを特定するテンプレート特定情報が含まれ、
前記コントローラは、
前記入力処理では、前記テンプレート特定情報によって特定されるテンプレートを配置した配置画像に基づく印刷を行う前記印刷ジョブを、前記第2通信インタフェースを介して前記プリンタに入力する、
ことを特徴とする通信ユニット。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載する通信ユニットにおいて、
前記コントローラは、
前記取得処理にて前記印刷ジョブを取得した後、前記印刷ジョブに含まれる画像データをラスタライズした印刷データを取得するラスタ処理を実行し、
前記入力処理では、前記ラスタ処理にて取得された前記印刷データを含む前記印刷ジョブを、前記第2通信インタフェースを介して前記プリンタに入力する、
ことを特徴とする通信ユニット。
【請求項9】
請求項8に記載する通信ユニットにおいて、
前記ラスタ処理では、
前記取得処理にて前記印刷ジョブを取得した後、前記印刷ジョブに含まれる画像データを、前記第1通信インタフェースを介して、前記ネットワークに接続される画像処理サーバに送信し、前記画像処理サーバによって前記画像データがラスタライズされた前記印刷データを受信することで、前記印刷データを取得する、
ことを特徴とする通信ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、プリンタと接続可能な通信ユニットに関する。さらに詳細には、音声入力に基づいて生成された印刷ジョブを中継する通信ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートスピーカのような音声ユーザインターフェース(VUI)の普及により、VUIをインターネットに接続し、VUIに入力された音声データをインターネット上のサーバが解析し、解析結果に基づいて他のデバイスを制御する印刷システムが広く知られている。例えば特許文献1には、VUIを利用してプリンタに印刷を行わせるシステムとして、VUIである音声入力装置と、音声データの解析を行うアプリケーションサーバと、モバイル端末である端末装置と、がアクセスポイントを介して接続され、音声入力装置に入力された音声データをアプリケーションサーバが解析し、解析結果に基づく印刷指示データを端末装置にプッシュ通知し、端末装置は受信した印刷指示データに基づく印刷ジョブをプリンタに送信する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したような印刷システムでプリンタを制御する場合、プッシュ通知によって、モバイル端末である端末装置が音声データの解析結果に基づくデータを受信してプリンタを制御する。このことから、ユーザは、プッシュ通知を受け取るアプリケーションプログラムのインストールやプッシュ通知を受け取るための設定を行うが必要となる。そのため、プッシュ通知を利用しない手順でプリンタにデータを渡す構成が望まれる。
【0005】
本明細書は、音声入力された音声データに基づいてプリンタを制御する印刷システムにおいて、プリンタへのデータの新たな受け渡し手順を提供する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題の解決を目的としてなされた通信ユニットは、
ネットワークに接続可能な第1通信インタフェースと、
プリンタに接続可能な第2通信インタフェースと、
コントローラと、
を備える通信ユニットであって、
前記通信ユニットには、前記ネットワークに接続される中継サーバへのアクセスに用いるアクセス情報が登録され、前記中継サーバには、印刷ジョブが音声解析サービスから入力され、前記音声解析サービスには、印刷ジョブの送り先のデバイスを示す識別情報と、音声データの送り元を特定する特定情報と、が対応付けて登録されており、さらに前記音声解析サービスには、音声データが前記特定情報と関連付けて入力され、入力された前記特定情報に対応付けられた前記識別情報が取得され、さらに前記音声解析サービスでは、入力された前記音声データに基づいて前記印刷ジョブが生成され、生成された前記印刷ジョブが、取得された前記識別情報と関連付けて、前記中継サーバに入力され、
前記コントローラは、
前記通信ユニットに登録されている前記アクセス情報を用いて、前記第1通信インタフェースを介して前記中継サーバにアクセスし、前記中継サーバから前記通信ユニットを示す前記識別情報と関連付けられた前記印刷ジョブを受信して取得する取得処理と、
前記取得処理にて取得した前記印刷ジョブを、前記第2通信インタフェースを介して前記プリンタに入力する入力処理と、
を実行する、
ことを特徴としている。
【0007】
上述した通信ユニットによれば、音声データに基づく印刷ジョブが音声解析サービスから中継サーバに入力され、通信ユニットから中継サーバにアクセスし、通信ユニットが直接その中継サーバから印刷ジョブを受信して取得するため、プッシュ通知と異なる方法で印刷ジョブを取得してプリンタにその印刷ジョブを渡すことができる。その結果、VUIを用いた印刷システムを構築する上で、ユーザがプッシュ通知を受け取るアプリケーションプログラムのインストールやプッシュ通知のための設定を行うが必要なく、印刷ジョブを受け渡すためのユーザの手間が少ない。
【0008】
上記装置の機能を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、および当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に開示される技術によれば、音声入力された音声データに基づいてプリンタを制御する印刷システムにおいて、プリンタへのデータの新たな受け渡し手順が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本形態の印刷システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】中継ユニットの電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】音声解析サービスが有しているテーブルのうち、ユーザ管理テーブルを示す図である。
【
図5】音声解析サービスが有しているテーブルのうち、音声データの解析に用いるテーブル群を示す図であり、(A)が画像テーブルであり、(B)がテンプレートテーブルである。
【
図6】本形態の印刷システムによって実行される処理のうち、音声入力から印刷ジョブを蓄積するまでのシーケンス図である。
【
図7】本形態の印刷システムによって実行される処理のうち、印刷ジョブを受信してプリンタで印刷するまでのシーケンス図である。
【
図8】印刷ジョブの生成処理のフローチャートである。
【
図9】テンプレート画像と印刷画像との一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[印刷システムのシステム構成]
以下、実施の形態にかかる印刷システム100について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態の印刷システム100は、
図1に示すように、ホームネットワーク110と、ホームネットワーク110以外の各種のサーバないしサービスと、から構成される。ホームネットワーク110と、ホームネットワーク110以外の各種のサーバないしサービスと、はインターネット9を介して接続される。ホームネットワーク110は、同じユーザによって利用されることが想定される。一方、ホームネットワーク110以外の各種のサーバないしサービスは、いわゆるクラウドサービスを提供する事業者が運営するサーバないしサービスであり、複数のユーザによって利用されることが想定される。すなわち、ホームネットワーク110以外のネットワークからも利用可能である。
【0012】
ホームネットワーク110を構成するデバイスには、プリンタ1と、スマートスピーカ2と、アクセスポイント3と、中継ユニット4と、が含まれる。本形態のホームネットワーク110では、ユーザがスマートスピーカ2に音声を入力し、その音声に基づく印刷ジョブをプリンタ1に出力し、プリンタ1にその印刷ジョブに基づく印刷を行わせるものである。スマートスピーカ2および中継ユニット4は、アクセスポイント3に接続されている。また、ホームネットワーク110には、必要に応じてパーソナルコンピュータ(PC)8が含まれてもよい。PC8もアクセスポイント3に接続可能である。なお、アクセスポイント3に接続可能なデバイスはこられに限るものではなく、スマートフォン等、他のデバイスであっても接続可能である。
【0013】
アクセスポイント3と接続する態様は、有線接続であっても無線接続であってもよい。本形態では、アクセスポイント3は、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.の略)の802.11a/b/g/nの規格に従った通信方式を用いて無線LANのアクセスポイントとしての機能を実現する。また、アクセスポイント3は、インターネット9に接続されている。そのため、スマートスピーカ2や中継ユニット4等のアクセスポイント3に接続されるデバイスは、アクセスポイント3を介して、ホームネットワーク110以外の各種のサーバないしサービスにアクセスできる。
【0014】
プリンタ1は、印刷機能を有するものであればよく、例えばコピー機や複合機であってもよい。本形態のプリンタ1は、ロール状のラベル紙を収容してラベルへの印刷が可能なラベルプリンタとする。なお、プリンタ1で対応可能な印刷媒体は、ラベルに限るものではなく、カット紙に印刷可能であってもよい。
【0015】
具体的にプリンタ1は、
図2に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含む制御部10を備えている。また、プリンタ1は、ユーザインタフェース(以下、「インタフェース」を「IF」と記載することもある)13と、USB(Universal Serial Busの略)通信IF14と、印刷機構15と、を備え、これらが制御部10に電気的に接続されている。なお、
図2中の制御部10は、プリンタ1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にプリンタ1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0016】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作や入力されたジョブに基づいて、各種の処理を実行する。メモリ12は、各種のプログラムおよびデータを記憶することが可能であり、各種の処理が実行される際の作業領域として利用される。CPU11が備えるバッファも、メモリの一例である。また、メモリ12の一例は、プリンタ1に内蔵されるROM、RAM、NVRAM等に限らず、CPU11が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体であってもよい。メモリ12には、例えば、印刷機構15を制御して印刷を行うためのプログラムが記憶されている。
【0017】
ユーザIF13は、例えば、タッチパネルであり、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。なお、ユーザIF13は、ディスプレイとボタン等の操作部との組であっても良い。
【0018】
USB通信IF14は、少なくともUSB通信を行うためのハードウェアを含む。プリンタ1は、USB通信IF14を介して、各種のデバイスに接続される。一方で、プリンタ1は、無線通信を行うための通信IFを有していない。そのため、アクセスポイント3には、直接はアクセスできない。
【0019】
印刷機構15は、一例として、複数個(例えば、数百個)の発熱素子を有する印刷ヘッドを備えるサーマル方式の印刷機構である。その印刷ヘッドは、制御部10の制御に従って発熱素子を用いてドットを形成すべきシート上の位置を加熱することで、シート上にドットを形成する。なお、印刷方式はサーマル方式に限るものではなく、例えばインクジェット方式や電子写真方式であってもよい。
【0020】
中継ユニット4は、
図1に示したように、無線通信によってアクセスポイント3と接続し、一例としてUSB通信によってプリンタ1と接続することが可能なデバイスである。本形態では、プリンタ1が無線通信のための通信IFを有していないことから、無線通信IFを有する中継ユニット4を介して、アクセスポイント3とプリンタ1との印刷ジョブの受け渡しを実現する。中継ユニット4は、通信ユニットの一例である。
【0021】
具体的に中継ユニット4は、
図3に示すように、CPU41と、メモリ42と、を含む制御部40を備えている。制御部40ないしCPU41は、コントローラの一例である。また、中継ユニット4は、ユーザIF43と、USB通信IF44と、無線通信IF45と、を備え、これらが制御部40に電気的に接続されている。なお、
図3中の制御部40も、中継ユニット4の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際に中継ユニット4に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0022】
CPU41は、メモリ42から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作や入力されたジョブに基づいて、各種の処理を実行する。メモリ42は、各種のプログラムおよびデータを記憶することが可能であり、各種の処理が実行される際の作業領域として利用される。CPU41が備えるバッファも、メモリの一例である。また、メモリ42の一例は、中継ユニット4に内蔵されるROM、RAM、NVRAM等に限らず、CPU41が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体であってもよい。
【0023】
メモリ42には、例えば
図1に示したように、印刷ジョブの中継を行うためのプログラムである印刷受信ツール46と、印刷ジョブ蓄積サーバ6にアクセスするためのアクセス情報47と、が記憶されている。アクセス情報47には、例えば、印刷ジョブ蓄積サーバ6のアドレスや、印刷ジョブ蓄積サーバ6へのアクセス権限の認証に用いる認証情報が含まれる。印刷受信ツール46およびアクセス情報47は、中継ユニット4の出荷時からメモリ42に記憶されている。なお、アクセス情報47は、出荷後にユーザ操作によって記憶されてもよい。
【0024】
ユーザIF43は、例えば、タッチパネルであり、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。なお、ユーザIF43は、ディスプレイとボタン等の操作部との組であっても良い。
【0025】
USB通信IF44は、少なくともUSB通信を行うためのハードウェアを含む。中継ユニット4は、携帯型のデバイスであり、USB通信IF44を介してプリンタ1に装着され、プリンタ1と接続される。USB通信IF44は、第2通信インタフェースの一例である。
【0026】
無線通信IF45は、少なくともアクセスポイント3との無線通信を行うためのアンテナ等のハードウェアを含む。中継ユニット4は、無線通信IF45を介して、アクセスポイント3と接続され、さらにアクセスポイント3を介して、アクセスポイント3に接続される他のデバイスやインターネット9に接続されるホームネットワーク110以外の各種のサーバないしサービスにアクセスできる。なお、中継ユニット4は、アクセスポイント3と接続するための無線通信IF45と異なる通信方式の無線通信IFをさらに備えていてもよい。無線通信IF45は、第1通信インタフェースの一例である。
【0027】
図1の印刷システム100の説明に戻り、スマートスピーカ2は、スピーカとマイクとを有し、ユーザが発話する音声に応じて特定の処理を実行する、いわゆる音声ユーザインターフェース(VUI)である。特定の処理には、例えば、ユーザが発話する音声を検知し、検知された音声に基づいて音声データを生成し、生成した音声データを音声解析サービス5に送信するまでの、一連の処理を含む。また、スマートスピーカ2も、アクセスポイント3と無線通信するための通信IFを有している。そのため、スマートスピーカ2は、アクセスポイント3と接続され、さらにアクセスポイント3を介して、アクセスポイント3に接続される他のデバイスやインターネット9に接続されるホームネットワーク110以外の各種のサーバないしサービスにアクセスできる。本形態におけるスマートスピーカ2には、例えばAmazon Echo(Amazonは(登録商標))が適用可能である。
【0028】
PC8は、USB通信IF(不図示)と無線通信IF(不図示)との両方を有している。PC8は、印刷システム100を運用するための事前準備に用いられる。事前準備については後述する。PC8は、スマートスピーカ2に音声が入力されてからその音声に基づく印刷ジョブの実行をプリンタ1に行わせるための一連の処理に関与しない。そのため、事前準備の後、PC8はアクセスポイント3と接続されていなくてもよい。PC8には、例えば、ウェブページを表示するためのプログラムであるブラウザ81が組み込まれている。
【0029】
また、インターネット9に接続されるホームネットワーク110以外の各種のサーバないしサービスとして、本形態の印刷システム100には、音声解析サービス5と、印刷ジョブ蓄積サーバ6と、が含まれる。音声解析サービス5は、音声データの解析と、解析結果に基づく印刷ジョブの生成と、を行う。印刷ジョブ蓄積サーバ6は、印刷ジョブを送信要求があるまで記憶しておくものである。また、印刷システム100には、必要に応じて画像サーバ7が含まれてもよい。画像サーバ7は、印刷対象となる画像の提供や画像データのラスタライズを行うものである。例えば、音声解析サービス5は、スマートスピーカ2のメーカによって運営され、印刷ジョブ蓄積サーバ6や画像サーバ7は、プリンタ1のメーカによって運営される。なお、各サーバないしサービスは、概念的に1個の計算機として図示されているが、実際は、互いに通信可能に接続された複数個の計算機を含む、いわゆるクラウドサーバないしクラウドサービスである。
【0030】
音声解析サービス5は、インターネット9と接続され、インターネット9を介して各種のデータの入力および出力が可能である。例えば、本形態のホームネットワーク110を構成するスマートスピーカ2に入力された音声に基づく音声データが、インターネット9を介して入力される。また、音声データに基づいて生成された印刷ジョブが、インターネット9を介して印刷ジョブ蓄積サーバ6に出力される。
【0031】
音声解析サービス5には、音声解析ツール51と、印刷ジョブ関連ツール52と、データ登録ツール54と、が組み込まれている。各ツールは、1ないし複数のプログラムによって構成される。また、音声解析サービス5には、データ登録ツール54によって管理されるテーブルとして、ユーザごとのデバイスを管理するテーブルと、音声データの解析に用いるテーブルと、が記憶されている。
【0032】
具体的に、音声解析サービス5が有しているテーブルのうち、ユーザごとのデバイスを管理するテーブルには、
図4に示すように、音声解析サービス5を利用するユーザを識別するユーザIDと、音声データの送り元を特定するスピーカIDと、印刷ジョブの送信先のデバイスを識別するデバイスIDと、を関連付けたユーザ管理テーブル54Aが含まれる。ユーザIDないしスピーカIDは、音声データの送り元を特定する特定情報の一例であり、デバイスIDは、印刷ジョブの送り先のデバイスを示す識別情報の一例である。なお、本形態では、ユーザIDとスピーカIDとデバイスIDとを1つのテーブルで管理しているが、ユーザIDとスピーカIDとを関連付けるテーブルと、ユーザIDとデバイスIDとを関連付けるテーブルと、の2つのテーブルに分けて管理してもよい。
【0033】
また、音声解析サービス5が有しているテーブルのうち、音声データの解析に用いるテーブルには、
図5(A)に示すように、音声データから抽出される単語と、画像データを識別する画像IDと、を関連付けた画像テーブル54Bが含まれる。また、
図5(B)に示すように、音声データから抽出される単語と、テンプレートを識別するテンプレートIDと、を関連付けたテンプレートテーブル54Cが含まれる。音声データの解析に用いるテーブルは、音声解析サービス5を利用するユーザIDごとに設けられる。データ登録ツール54は、これらのテーブルを生成する処理、およびこれらのテーブルに対するレコードの追加ないし削除を行う処理を実行する。
【0034】
音声解析ツール51は、音声認識処理や形態素解析処理を実行する。音声認識処理は、音声データを解析して、音声データによって示される発話の内容を示すテキストデータを生成する処理である。形態素解析処理は、そのテキストデータを解析して、発話の内容に含まれる単語などの構成単位(形態素と呼ばれる)の抽出や、抽出された形態素の種別(例えば、品詞の種別)の特定を行う処理である。本形態における音声解析ツール51は、例えば「Alexa Voice Service(Alexaは登録商標)」を利用して実現される。
【0035】
印刷ジョブ関連ツール52は、音声データを解析して得られるテキストデータを用いて印刷ジョブを生成する処理や、生成した印刷ジョブを印刷ジョブ蓄積サーバ6に送信する処理を実行する。印刷ジョブ関連ツール52およびデータ登録ツール54は、中継ユニット4のメーカによって提供され、音声解析サービス5に組み込まれる。
【0036】
印刷ジョブ蓄積サーバ6は、インターネット9に接続され、デバイスIDごとに、入力された印刷ジョブを記憶するストレージ機能を有している。さらには、デバイスからの要求に応じて、そのデバイスに対応する印刷ジョブを送信する送信機能を有している。例えば、本形態のホームネットワーク110を構成する中継ユニット4からアクセスがあった場合、中継ユニット4を示すデバイスIDに関連付けられた印刷ジョブを中継ユニット4に送信する。印刷ジョブ蓄積サーバ6は、中継サーバの一例である。この印刷ジョブ蓄積サーバ6と中継ユニット4との通信を実現するための通信プロトコルには、例えばMQTT(Message Queuing Telemetry Transportの略)を利用する。
【0037】
画像サーバ7は、インターネット9に接続され、あらかじめ複数の画像データ71を記憶している。そのため、画像サーバ7は、画像データの送信要求を受信すると、その送信要求で指定された画像データ71を読み出して、読み出した画像データ71を送信要求の要求元のデバイスに送信する。例えば本形態のホームネットワーク110を構成する中継ユニット4から画像データの送信要求があった場合、その送信要求で指定された画像データ71を中継ユニット4に送信する。
【0038】
また、画像サーバ7は、画像データ71の他にも、あらかじめ複数のテンプレートデータ72を記憶している。そのため、画像データ71と同様に、画像サーバ7は、テンプレートデータの送信要求を受信すると、その送信要求で指定されたテンプレートデータ72を読み出して、読み出したテンプレートデータ72を送信要求の要求元のデバイスに送信する。
【0039】
また、画像サーバ7には、ラスタツール75が組み込まれている。ラスタツール75は、画像サーバ7が受信したベクタ形式の画像データをラスタライズしてラスタ形式のラスタデータを生成する処理を実行する。例えば本形態のホームネットワーク110を構成する中継ユニット4から画像データのラスタライズ要求があった場合、ラスタライズ要求に付加された画像データをラスタライズし、ラスタライズによって生成されるラスタデータを中継ユニット4に送信する。
【0040】
なお、本形態では、画像サーバ7が画像データ71とテンプレートデータ72との両方を記憶しているが、別々のサーバで記憶してもよい。同様にラスタツール75も別のサーバに組み込まれていてもよい。
【0041】
[事前準備]
続いて、本形態の印刷システム100によって印刷を行うための事前準備について説明する。事前準備には、中継ユニット4を登録するための事前準備と、画像を登録するための事前準備と、がある。
【0042】
中継ユニット4を登録するための事前準備は、PC8によって行われる。PC8は、ユーザの操作によってブラウザ81を起動し、中継ユニット4のメーカが指定したウェブページにアクセスする。さらにPC8は、ウェブページにおいてユーザIDとデバイスIDとの入力を受け付ける。このとき受け付けるユーザIDは、音声解析サービス5を利用するためユーザごとに割り当てられた識別番号であり、デバイスIDは中継ユニット4に記憶されている製品番号である。デバイスIDは、中継ユニット4のマニュアルや筐体等に記されていてよいし、中継ユニット4をPC8に接続して読み出してもよい。
【0043】
さらにPC8は、ユーザIDとデバイスIDとが入力された状態で、中継ユニット4を音声解析サービス5に登録ための操作を受け付けると、入力されたユーザIDおよびデバイスIDを含む登録指示を、インターネット9を介して中継ユニット4のメーカのサーバに送信する。中継ユニット4のメーカのサーバは、登録指示とともにユーザIDとデバイスIDとを受信すると、それらのIDを音声解析サービス5のデータ登録ツール54に渡し、デバイスの登録を指示する。
【0044】
データ登録ツール54は、デバイスの登録が指示されると、渡された中継ユニット4の製品IDとユーザIDとを関連付けて、ユーザ管理テーブル54Aに登録する。これにより、登録されたユーザIDに関連付けられた印刷ジョブの送信先として、中継ユニット4が登録される。なお、PC8が直接音声解析サービス5にアクセス可能であり、データ登録ツール54への指示が可能であれば、PC8から直接音声解析サービス5に登録を指示してもよい。
【0045】
なお、中継ユニット4に事前準備用のアプリケーションプログラムを組み込み、中継ユニット4のユーザIF43を介して、必要な情報の入力を受け付け、入力された情報に基づく登録指示を出力してもよい。例えば、中継ユニット4を登録するための事前準備として、ユーザIDの入力をユーザIF43を介して受け付け、入力されたユーザIDと中継ユニット4の製品IDとを含む登録指示を、インターネット9を介して中継ユニット4のメーカのサーバあるいは音声解析サービス5に送信してもよい。また、中継ユニット4は、中継ユニット4に組み込まれたアプリケーションプログラムによって、ユーザIDおよび登録指示をPC8から受信した場合に、受信したユーザIDと中継ユニット4の製品IDとを含む登録指示を、インターネット9を介して中継ユニット4のメーカのサーバに送信してもよい。
【0046】
画像を登録するための事前準備も、PC8によって行われる。PC8は、中継ユニット4を登録するための事前準備と同様に、ユーザの操作によって、ブラウザ81を起動して中継ユニット4のメーカが指定したウェブページにアクセスする。さらにPC8は、ウェブページにおいてユーザIDの入力を受け付ける。このとき受け付けるユーザIDも、音声解析サービス5を利用するためのユーザIDである。
【0047】
さらにPC8は、画像を音声解析サービス5に登録ための操作を受け付けると、ウェブページにおいて画像IDおよびその画像IDを指定するための単語の入力を受け付ける。このとき受け付ける画像IDは、画像サーバ7が画像データ71を管理するための識別番号である。そして、入力された画像IDおよび単語と、入力されたユーザIDと、を含む登録指示を、インターネット9を介して中継ユニット4のメーカのサーバに送信する。中継ユニット4のメーカのサーバは、ユーザID、画像IDおよび単語とユーザIDとを受信すると、それらの情報を音声解析サービス5のデータ登録ツール54に渡し、画像の登録を指示する。
【0048】
データ登録ツール54は、画像の登録が指示されると、渡された画像IDと単語とを関連付けたレコードを、渡されたユーザIDに対応する画像テーブル54Bに登録する。これにより、ユーザIDごとに、音声入力された単語に対応する画像IDが登録される。テンプレートについても画像と同様に、ユーザID、テンプレートIDおよび単語の入力を受け付け、受け付けたテンプレートIDと単語とが関連付けられたレコードが、受け付けたユーザIDに対応するテンプレートテーブル54Cに登録される。
【0049】
なお、PC8が直接音声解析サービス5にアクセス可能であり、データ登録ツール54への指示が可能であれば、中継ユニット4の登録と同様に、PC8から直接音声解析サービス5に登録を指示してもよい。また、PC8にデータ登録ツール54相当のアプリケーションプログラムを組み込み、画像テーブル54Bおよびテンプレートテーブル54Cについては、PC8にて作成し、作成したテーブルをユーザIDと関連付けて音声解析サービス5にアップロードしてもよい。
【0050】
この他、事前準備として、スマートスピーカ2を音声解析サービス5で利用するためのユーザIDとの関連付けもあらかじめ登録しておく。本形態では、スマートスピーカ2に記憶されているスピーカIDをユーザIDと関連付けて、音声解析サービス5に登録しておく。すなわち、ユーザ管理テーブル54AにスピーカIDをユーザIDと関連付けて登録しておく。
【0051】
[印刷手順]
続いて、本形態の印刷システム100によって、音声入力から印刷を行うまでの手順について、
図6および
図7のシーケンス図を参照しつつ説明する。本手順は、スマートスピーカ2と、音声解析サービス5と、印刷ジョブ蓄積サーバ6と、中継ユニット4とが協働して、プリンタ1に印刷を実行させる手順である。なお、
図6は、本形態の印刷システム100によって実行される処理のうち、前半の処理である、スマートスピーカ2が音声を検出してから印刷ジョブを印刷ジョブ蓄積サーバ6に蓄積するまでのシーケンス図であり、
図7は、後半の処理である、印刷ジョブ蓄積サーバ6から印刷ジョブを取り出してプリンタ1で印刷するまでのシーケンス図である。
【0052】
なお、本形態における処理およびシーケンス図の各処理ステップは、基本的に、各デバイスに組み込まれたプログラムに記述された命令に従った各デバイスのCPUないしコンピュータの処理を示す。CPUないしコンピュータによる処理は、各デバイスのOS(オペレーティングシステム)のAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OSの詳細な記載を省略して各プログラムの動作を説明する。
【0053】
先ず、本形態の印刷システム100によって実行される処理のうち、前半の処理について説明する。前半の処理は、
図6に示すように、スマートスピーカ2がユーザによって発話された音声を検出(ステップS1、以下「ステップ」を省略)した場合に開始される。音声を検出したスマートスピーカ2は、検出した音声を示す音声データを生成する(S2)。例えば、「XXXのネームプレートを印刷して」との音声がスマートスピーカ2に入力された場合、その音声を示す音声データがスマートスピーカ2によって生成される。
【0054】
スマートスピーカ2は、S2にて生成した音声データと、スマートスピーカ2に記憶されているスピーカIDとを、アクセスポイント3およびインターネット9を介して音声解析サービス5に送信する(S3)。S3における送信には、公知のプロトコル、例えば、HTTP(Hypertext Transfer Protocolの略)が用いられる。
【0055】
音声解析サービス5は、スマートスピーカ2から送信される音声データとスピーカIDとを受信すると、受信した音声データを解析する(S4)。具体的に、音声解析サービス5は、音声解析ツール51によって、音声データに対して音声認識処理を実行して、音声データによって示される音声に基づくテキストデータを生成する。例えば、「XXXのネームプレートを印刷して」との音声を示す音声データを取得した場合には、その音声の内容を示すテキストデータを生成する。音声解析サービス5はさらに、音声解析ツール51によって、生成したテキストデータに対して形態素解析処理を実行する。これによって、例えば、「XXX」、「ネームプレート」、「印刷して」などの単語が抽出されるとともに、これらの単語の品詞種別(例えば、名詞、動詞)が特定される。音声解析サービス5は、形態素解析結果として、抽出された単語に品詞種別を対応付けたリストを生成する。
【0056】
さらに音声解析サービス5は、生成されたテキストデータと、形態素解析結果と、を含む解析結果と、受信したスピーカIDに対応するユーザIDとを、印刷ジョブ関連ツール52に渡し(S5)、印刷ジョブ関連ツール52によって、印刷ジョブの生成処理を実行する(S6)。スピーカIDに対応するユーザIDは、ユーザ管理テーブル54Aを参照することによって取得できる。例えば
図4の例では、スピーカIDとして「VUI_1」を受け取った場合、ユーザIDとして「USER_A」を選択する。
【0057】
図8に、S6の印刷ジョブの生成処理の手順を示す。音声解析サービス5は、形態素解析によって抽出された単語の中から、印刷ジョブの生成に用いる単語を選択する(S601)。例えば、音声解析サービス5は、受け取ったユーザIDに対応する画像テーブル54Bおよびテンプレートテーブル54Cを参照して、形態素解析によって抽出された単語の中から、画像選択用の単語のリストに含まれる単語と、テンプレート選択用の単語のリストに含まれる単語と、を選択する。
図5(A)および(B)の例では、画像選択用の単語として、「XXX」が選択され、テンプレート選択用の単語として、「ネームプレート」が選択される。
【0058】
次に、音声解析サービス5は、選択された単語に基づいて印刷対象を選択する(S602)。具体的に、音声解析サービス5は、画像選択用として選択された単語に基づいて、印刷すべき画像を選択する。例えば、画像選択用として選択された単語が、「XXX」である場合には、画像テーブル54Bによって「XXX」に対応付けられた画像IDである「画像ID_001」を選択する。さらに、テンプレート選択用として選択された単語が、「ネームプレート」である場合には、テンプレートテーブル54Cによって「ネームプレート」に対応付けられたテンプレートIDである「テンプレートID_002」を選択する。
【0059】
次に、音声解析サービス5は、印刷ジョブを生成する(S603)。印刷ジョブは、S602にて選択された画像IDおよびテンプレートIDを含む。なお、S602にて印刷対象が画像IDのみ選択された場合には、その選択された画像IDのみが印刷ジョブに含まれる。
【0060】
図6のシーケンス図に戻り、印刷ジョブを生成した後、音声解析サービス5は、印刷ジョブ関連ツール52によって、印刷ジョブの送信先を選択する(S7)。具体的に、音声解析サービス5は、ユーザ管理テーブル54Aを参照して、受け取ったユーザIDに対応するデバイスIDを選択する。例えば
図4の例では、ユーザIDとして「USER_A」を受け取った場合、デバイスIDとして「CM_1」を選択する。
【0061】
次に、音声解析サービス5は、印刷ジョブ関連ツール52によって、S6によって生成した印刷ジョブと、S7によって選択した印刷ジョブの送信先のデバイスIDと、を印刷ジョブ蓄積サーバ6に送信する(S8)。
【0062】
印刷ジョブおよびデバイスIDを受信した印刷ジョブ蓄積サーバ6は、受信した印刷ジョブを、受信したデバイスIDと関連付けて所定の保存領域に記憶する(S9)。
図6に示した手順により、ホームネットワーク110に含まれるスマートスピーカ2に入力された音声に基づく印刷ジョブが、ホームネットワーク110に含まれる中継ユニット4のデバイスIDと関連付けて、印刷ジョブ蓄積サーバ6に蓄積される。
【0063】
続いて、本形態の印刷システム100によって実行される処理のうち、後半の処理について説明する。後半の処理は、
図6に示した前半の処理とは別に実行される処理であり、中継ユニット4が起動した後、
図7に示すように、印刷受信ツール46によって、中継ユニット4から印刷ジョブ蓄積サーバ6に対して定期的に、アクセスポイント3およびインターネット9を介して、中継ユニット4のデバイスIDと関連付けられた印刷ジョブの送信要求が送られる(S11)。印刷ジョブ蓄積サーバ6からは、中継ユニット4のデバイスIDに関連付けられた印刷ジョブが中継ユニット4に送られ、中継ユニット4は印刷ジョブを受信して取得する(S12)。S12は、取得処理の一例である。
【0064】
S11およびS12については、例えば印刷ジョブ蓄積サーバ6に、デバイスIDごとに記憶領域が割り当てられている場合、中継ユニット4は、自身のデバイスIDに割り当てられた記憶領域にアクセスしてその記憶領域に記憶されている印刷ジョブのダウンロードを要求することで、中継ユニット4のデバイスIDに関連付けられた印刷ジョブを印刷ジョブ蓄積サーバ6から受信できる。あるいは、中継ユニット4が印刷ジョブの送信要求と共にデバイスIDを送信し、印刷ジョブ蓄積サーバ6が、受信したデバイスIDに関連付けられている印刷ジョブを抽出する処理を実行し、抽出した印刷ジョブを中継ユニット4に送信してもよい。
【0065】
中継ユニット4は、印刷ジョブ蓄積サーバ6から印刷ジョブを受信すると、印刷受信ツール46によって、プリンタ1との通信を試行し、プリンタ1に接続されているか否かを判定する(S13)。中継ユニット4は、例えばUSB通信IF44を介してプリンタ検索を実行し、プリンタが検索された場合にプリンタ1と接続されていると判定し、プリンタが検索されなかった場合にプリンタ1と接続されていないと判定する。S13は、判定処理の一例である。
【0066】
プリンタ1と接続されていると判定した場合(ALT:接続有り)、中継ユニット4は、印刷受信ツール46によって、受信した印刷ジョブに基づいてプリンタ1に印刷を行わせるための処理を実行する。本形態では、プリンタ1は、ラベルプリンタであり、印刷ジョブは、ラベルプリンタが実行すべき印刷ジョブである。そのため、例えば、印刷ジョブに含まれる画像IDに示される画像である指定画像を、印刷ジョブに含まれるテンプレートIDに示されるテンプレートに配置した配置画像が、印刷対象の画像になる。印刷ジョブにテンプレートIDが含まれていなければ、印刷ジョブに含まれる画像IDに示される画像がそのまま印刷対象の画像になる。
【0067】
テンプレート画像と印刷画像との一例を
図9に示す。
図9(A)に示すテンプレート画像10Tは、テンプレートIDによって示されるテンプレートの画像であり、例えばネームプレート用のテンプレートの一例である。テンプレート画像10Tは、背景画像10Bと、画像配置領域10Aと、を含んでいる。
図9(B)に示す印刷画像10Pは、
図9(A)のテンプレート画像10Tの画像配置領域10Aに、画像IDによって示される指定画像10Mを配置した配置画像10Gである。
【0068】
そこで、中継ユニット4は、受信した印刷ジョブに基づいてプリンタ1に印刷を行わせるための処理として先ず、アクセスポイント3およびインターネット9を介して画像サーバ7にアクセスし、受信した印刷ジョブに含まれる画像IDに対応する画像データ71のダウンロードを要求し(S14)、画像サーバ7から送信される画像データ71を受信して取得する(S15)。S15は、画像取得処理の一例である。
【0069】
次に、中継ユニット4は、アクセスポイント3およびインターネット9を介して画像サーバ7に再度アクセスし、受信した印刷ジョブに含まれるテンプレートIDに対応するテンプレートデータ72のダウンロードを要求し(S16)、画像サーバ7から送信されるテンプレートデータ72を受信する(S17)。なお、印刷ジョブにテンプレートIDが含まれない場合は、S16およびS17は行わない。また、S16およびS17は、S14よりも先に行ってもよいし同時に行ってもよい。
【0070】
次に中継ユニット4は、画像サーバ7から受信したテンプレートデータ72に、画像サーバ7から受信した画像データ71を指定画像として配置した配置画像を示す配置画像データを生成する(S18)。なお、印刷ジョブにテンプレートIDが含まれない場合は、S18は行わない。
【0071】
次に、中継ユニット4は、アクセスポイント3およびインターネット9を介して画像サーバ7に再度アクセスし、生成した配置画像データを画像サーバ7に送信するともにラスタライズを要求する(S19)。S19は、ラスタ処理の一例である。
【0072】
ラスタライズ要求を受信した画像サーバ7は、ラスタツール75によって、受信した配置画像データのラスタライズを行ってラスタデータを生成し(S20)、生成したラスタデータを中継ユニット4に送信する(S21)。
【0073】
次に、中継ユニット4は、画像サーバ7から受信したラスタデータを含む新たな印刷ジョブをプリンタ1に渡す(S22)。S22は、入力処理の一例である。プリンタ1は、中継ユニット4から印刷ジョブが渡されると、その印刷ジョブに含まれるラスタデータに基づく印刷を、印刷機構15を用いて行う(S23)。
図7に示した手順により、印刷ジョブ蓄積サーバ6に蓄積された印刷ジョブ、すなわちホームネットワーク110に含まれるスマートスピーカ2に入力された音声に基づく印刷ジョブが、中継ユニット4を介してプリンタ1に渡され、プリンタ1によって印刷が行われる。
【0074】
一方、プリンタ1と接続されていないと判定した場合(ALT:接続無し)、中継ユニット4は、S14以降の処理を行わず、印刷受信ツール46によって、プリンタが通信できないことを示す報知を、ユーザIF43を用いて行う(S31)。プリンタ1と接続されていない場合には、物理的に接続されていない場合やネットワークの通信不良の場合の他、プリンタ1の電源が入っていない場合も含まれる。プリンタ1と通信できない状態であることを報知することで、ユーザによるプリンタ1との接続作業が期待できる。報知態様には、例えば中継ユニット4が備える警告ランプの点灯、警告音や警告メッセージの出力が該当する。プリンタ1と接続されていないと判定した場合の処理については、制限処理の一例である。S31は、報知処理の一例である。
【0075】
S31による報知の後、中継ユニット4は、プリンタ1に接続されていると判定されるまで、再度S13でのプリンタ1との通信の試行を繰り返す。そして、プリンタ1に接続されていると判定された後、S14以降の処理に移行する。
【0076】
なお、
図7に示した手順では、プリンタ1と接続されていないと判定した場合(ALT:接続無し)、画像サーバ7からの画像データ71の受信やテンプレートデータ72の受信を行っていないが、S20のラスタデータの生成までを完了させ、ラスタデータの送信を待機する構成にしてもよい。あるいは画像サーバ7からの画像データ71の受信やテンプレートデータ72の受信を行った後、プリンタ1との接続を判定する構成にしてもよい。このような構成にすることで、プリンタ1と接続するまで中継ユニット4が印刷ジョブを保持する構成となり、プリンタ1との接続後、直ぐに印刷ジョブをプリンタ1に渡すことができるため、早期の印刷開始が期待できる。この場合、画像サーバ7からの画像データ71の受信やテンプレートデータ72の受信を行った後、プリンタ1との接続を判定してもよい。一方、
図7に示した手順のようにプリンタ1と接続されるまでラスタライズを行わずに待機することで、ラスタデータがメモリ42に蓄積されず、メモリ42の負荷増大を回避できる。
【0077】
また、
図7に示した手順では、S12にて印刷ジョブを受信した後、プリンタ1との通信を試行し、プリンタ1に接続されているか否かを判定しているが、印刷ジョブを受信する前に、プリンタ1との通信を試行し、プリンタ1に接続されていると判定された場合に、印刷ジョブの送信要求が印刷ジョブ蓄積サーバ6に送られる構成であってもよい。例えば、中継ユニット4の起動時(リセット指示による再起動を含む)にプリンタ1との接続を判定してもよく、さらに起動後に定期的に判定してもよい。
【0078】
以上詳細に説明したように本形態の中継ユニット4によれば、音声データに基づく印刷ジョブが音声解析サービス5から印刷ジョブ蓄積サーバ6に入力され、中継ユニット4から印刷ジョブ蓄積サーバ6にアクセスし、中継ユニット4が直接その印刷ジョブ蓄積サーバ6から印刷ジョブを受信して取得するため、プッシュ通知と異なる方法で印刷ジョブを取得してプリンタ1にその印刷ジョブを渡すことができる。その結果、スマートスピーカ2を用いた印刷システム100を構築する上で、ユーザがプッシュ通知を受け取るアプリケーションプログラムのインストールやプッシュ通知のための設定を行うが必要なく、印刷ジョブを受け渡すためのユーザの手間が少ない。
【0079】
また、本形態の印刷システム100は、中継ユニット4が一旦印刷ジョブを受信し、その後、プリンタ1に入力する構成である。そのため、プリンタ1のメモリ容量が小さい場合であっても、中継ユニット4で印刷ジョブの入力を待つ、すなわちプリンタ1のメモリ12の圧迫を抑えつつ印刷ジョブを渡すことができ、メモリ容量が小さいプリンタ1であっても適用できる。
【0080】
また、本形態の印刷システム100は、USB通信によって中継ユニット4がプリンタ1に印刷ジョブを渡している。そのため、ネットワークに接続するためのインタフェースを有していないプリンタであっても適用できる。また、事前準備が完了していれば、中継ユニット4をプリンタ1に接続するだけでプリンタ1での印刷が可能になる。
【0081】
また、本形態では、印刷システム100の導入にあたって、プリンタ1のファームアップデートが必要ない。つまり、USB通信IF14があるプリンタ1であればそのまま適用できる。仮に本形態の印刷システム100に適用するにあたってファームアップデートが必要になったとしても、中継ユニット4から新しいファームウェアをインストールすればよい。この場合、新しいファームウェアの保存先を示すファームウェアのアップデートジョブをプリンタ1のメーカが印刷ジョブ蓄積サーバ6に入力し、そのアップデートジョブを中継ユニット4が受信することで、中継ユニット4がファームウェアの保存先にアクセスして新しいファームウェアを受信し、プリンタ1に入力してもよい。
【0082】
なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば画像サーバ7は、ホームネットワーク110を構成するデバイスではないが、ホームネットワーク110を構成するデバイスであってもよい。
【0083】
また、実施の形態では、事前準備として、スマートスピーカ2のスピーカIDと音声解析サービス5を利用するためのユーザIDとの関連付けをあらかじめ登録しておくが、音声データの送信元を特定する方法がこれに限るものではない。例えば、スマートスピーカ2にユーザIDが登録可能であり、スマートスピーカ2から音声データがその登録されたユーザIDと関連付けられて送信される場合、音声解析サービス5でのスピーカIDとユーザIDとの関連付けは不要であり、音声解析サービス5は、受信したユーザIDに基づいて印刷対象の画像を決定し、印刷ジョブの送信先を決定すればよい。この場合、ユーザIDが「特定情報」の一例となる。
【0084】
また、実施の形態では、画像テーブル54Bに登録される情報として画像IDを登録しているが、画像データの参照先を示すアドレス情報を登録してもよい。テンプレートテーブル54Cに登録されるテンプレートIDも同様に、テンプレートの参照先を示すアドレス情報を登録してもよい。この場合、中継ユニット4は、そのアドレス情報に示されるアドレスにアクセスし、画像データないしテンプレートをダウンロードしてもよい。
【0085】
また、実施の形態では、音声解析サービス5は、ユーザIDごとに、画像テーブル54Bおよびテンプレートテーブル54Cを設けているが、ユーザIDの指定が無い共通の画像テーブル54Bおよびテンプレートテーブル54Cを設けてもよい。この場合、ユーザごとに事前準備を行うのではなく、プリンタ1のメーカがあらかじめ共通の画像テーブル54Bおよびテンプレートテーブル54Cを用意してもよい。
【0086】
また、実施の形態では、印刷ジョブ蓄積サーバ6に蓄積される印刷ジョブには、画像IDやテンプレートIDを含め、画像データそのものを含めていないが、画像IDやテンプレートIDで指定せず、画像データやテンプレートそのものを含めてもよい。その場合、画像サーバ7へのアクセスは不要となり、通信を負荷を軽減できる。一方、印刷ジョブ蓄積サーバ6に蓄積される印刷ジョブに画像データやテンプレートそのものを含めないことで、印刷ジョブ蓄積サーバ6に蓄積される印刷ジョブのサイズを小さくすることができ、印刷ジョブ蓄積サーバ6のメモリ負荷が軽減される。
【0087】
また、実施の形態では、ラスタライズを画像サーバ7が行っているが、中継ユニット4がラスタライズを行ってもよい。中継ユニット4がラスタライズを行う場合であっても、プリンタ1にラスタデータが入力されるため、ラスタライズ機能を有していないプリンタであっても実施の形態のシステムに適用できる。また、プリンタ1がラスタライズ機能を有している場合には、中継ユニット4は、ラスタライズ前の配置画像を含む印刷ジョブをプリンタ1に渡してもよい。
【0088】
また、実施の形態では、テンプレートデータ72を画像サーバ7が有し、中継ユニット4は画像サーバ7にアクセスしてテンプレートデータ72を取得しているが、例えばテンプレートデータ72をプリンタ1が有していてもよい。この場合、中継ユニット4がプリンタ1からテンプレートデータ72を取得してもよい。また、プリンタ1でのラスタライズが可能である場合は、中継ユニット4からテンプレートIDと画像データとを渡し、プリンタ1によって配置画像を生成するようにしてもよい。
【0089】
また、実施の形態では、中継ユニット4が定期的に印刷ジョブ蓄積サーバ6に対して送信要求を行っているが、送信要求を行うタイミングないし時刻を中継ユニット4に登録可能とし、登録されたタイミングないし時刻に従って送信要求を行ってもよい。また、送信要求を行うための操作を中継ユニット4のユーザIF43を介して受け付け可能とし、その操作があったことに応じて送信要求を行ってもよい。なお、実施の形態のように定期的に送信要求を行うことで、印刷ジョブ蓄積サーバ6から印刷ジョブを自動的に受信してプリンタ1に入力するため、音声入力に基づいて自動的に印刷ジョブをプリンタ1に渡すことができる。
【0090】
また、実施の形態では、中継ユニット4とプリンタ1とはUSB通信IF14(44)を介して通信を行うが、中継ユニット4とプリンタ1との間で通信が可能であれば他の通信方式でもよい。例えばBluetooth(登録商標)通信IFを介した通信であってもよい。
【0091】
また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0092】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 プリンタ
2 スマートスピーカ
3 アクセスポイント
4 中継ユニット
5 音声解析サービス
6 印刷ジョブ蓄積サーバ
7 画像サーバ